世界一受けたくない授業
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)翡翠電脳公社制作 おおくまねこ納品 2023年05月25日 12時50分31秒
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翡翠電脳公社のオフィスビルの一室にて。引退を迎える一人のデュープが上司と面談をしていた。
「Teacher君、君には長年世話になったね」
「いやいや、こちらこそ感謝だ、プロデューサー。君の仕切りは実にやりやすかった」
プロデューサーが差し出した手を、Teacherは固く握り返した。
「Teacher君、引退前に何かやりたい企画があればぜひ言ってくれ。可能な範囲で叶えよう」
「ふむ……それでは、一つお願いをしたい。実は一人、目を付けた女王様候補……じゃなかった、とても将来有望そうで気になっていた新人がいたのだ。彼を、私にプロデュースさせてくれないか?」
「ふむ、どの新人だ?」
「この子だ」
先生はサッと、懐から(盗撮と思しき)一人のデュープの写真を取り出した。
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「ようこそ、デュープ・Teacherの愛の授業へ! よくきてくれたね、ブラッド君!」
「あんた、誰だ? あと俺はブラッドではなくF-Quartzなんだが……」
F-Quartz(レピド・クロサイト)はハイテンションに挨拶してきた仮面のオッサンを、めちゃくちゃうさんくさそうな顔で見た。レピドはある日突然、直属の上司からここに来るように申し付けられたのだ。なんでも、引退する高名なデュープが、クオーツがよりデュープ・バトルの高みに立つ為の個人レッスンを申し出てくれた、という話だったのだが……。
「いいや、君はブラッドだ! その血のように赤い髪と瞳はブラッドと呼ぶにふさわしい。私は君をブラッドと呼ぶよ!」
「……まあ、呼び名ぐらい好きにすればいいが」
「うむ! 理解が早いな、ブラッド君! ではさっそく、レッスンを始めよう!」
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「まずは、このコスメを使ってもらおう!」
にこやかに、口紅やファンデーションをバラバラと机の上に並べるTeacher。ご丁寧なことに、全て翡翠電脳公社の子会社の化粧品メーカーの商品だった。
「は?」
クオーツは目が点になった。この化粧品と、デュープバトルに一体どんな関係が?
「その。なんだ。この化粧品がデュープバトルとどうつながるのか、説明してもらえるだろうか」
困惑しながらクオーツが問いかけると、Teacherは自信満々に答えた。
「もちろん関係あるとも! 企業なくして我々デュープは成り立たない! 所属企業の存続のため、我々デュープはもっとPR活動に積極的になるべきなのだ!」
「な、なるほど……」
Teacherの言い分は社会人としてはそれなりに筋が通ってはいたが、「デュープバトルで強くなれる方法」と全く関係なかったのだが、クオーツがそれに気づくことはなかった。
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(私の目に狂いはなかった! やはり彼は逸材だ! 私が導いてやれば、彼はブラッドストーンの如く輝く、デュープ界の女王となるだろう!)
クオーツは才覚はあるものの、パフォーマンス性に欠ける職人タイプだった。Teacherは彼の優れたビジュアルを生かすべく、あれこれと口出しをしてきた。なお、『クオーツがよりデュープ・バトルの高みに立つ為の個人レッスン』という看板に偽りはない。「高み」は強さとイコールではないからである。
「次は映像授業だ! 君にふさわしい作品を選んできた。一緒に見ようではないか!」
Teacherが持ってきた映像ディスクには、『映像の性紀』と書かれていた。
(これはセクハラなのでは……?)
Teacherは『美しい嘘のドレスは真実をより輝かせる!』という謎のポリシーから、過激なパフォーマンスという名の嘘のドレスを嬉々としてクオーツに仕立てていく。4時間目の授業が終わる頃には、クオーツはすっかりコーディネイトされており、セクシードレスを着た、キャバ嬢の如きスタイルになっていた。
「では、今日の最後のチャプターだ。一流のデュープたるもの、ハニートラップくらいできねばならない。今から私を誘惑してみたまえ。シチュエーションはそうだな……『年齢を誤魔化してこっそりキャバクラでバイトしていたら、担任教師が客として来店してしまったJK』でいこう! では、このセーラー服を着て潤んだ瞳で私を……」
「できるかァ!」
「おおう!?」
ついにキレたクオーツがサイバーウィップ月華三段ツッコミを入れると、ティーチャーは血のように赤いエフェクトを咲かせて爆散した。が、ここは仮想空間。瞬時にアバターを再構築したティーチャーは何事もなかったかのように復活した。
「HAHAHA! とんだやんちゃボーイだな、我が教え子よ! だが、その鞭の一撃は実に刺激的だった! では今日はここまで! 次の授業を楽しみにしていたまえ! とう!」
Teacherは窓をガラっと開けると、ハンググライダーで颯爽と空に飛び立っていった。
「な、何者なんだ……というか、俺はデビューまであの男の授業を受けさせられるのか?」
クオーツはこれからの日々のことを考え、とてもアンニュイな気分になった。
翡翠電脳公社のオフィスビルの一室にて。引退を迎える一人のデュープが上司と面談をしていた。
「Teacher君、君には長年世話になったね」
「いやいや、こちらこそ感謝だ、プロデューサー。君の仕切りは実にやりやすかった」
プロデューサーが差し出した手を、Teacherは固く握り返した。
「Teacher君、引退前に何かやりたい企画があればぜひ言ってくれ。可能な範囲で叶えよう」
「ふむ……それでは、一つお願いをしたい。実は一人、目を付けた女王様候補……じゃなかった、とても将来有望そうで気になっていた新人がいたのだ。彼を、私にプロデュースさせてくれないか?」
「ふむ、どの新人だ?」
「この子だ」
先生はサッと、懐から(盗撮と思しき)一人のデュープの写真を取り出した。
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「ようこそ、デュープ・Teacherの愛の授業へ! よくきてくれたね、ブラッド君!」
「あんた、誰だ? あと俺はブラッドではなくF-Quartzなんだが……」
F-Quartz(レピド・クロサイト)はハイテンションに挨拶してきた仮面のオッサンを、めちゃくちゃうさんくさそうな顔で見た。レピドはある日突然、直属の上司からここに来るように申し付けられたのだ。なんでも、引退する高名なデュープが、クオーツがよりデュープ・バトルの高みに立つ為の個人レッスンを申し出てくれた、という話だったのだが……。
「いいや、君はブラッドだ! その血のように赤い髪と瞳はブラッドと呼ぶにふさわしい。私は君をブラッドと呼ぶよ!」
「……まあ、呼び名ぐらい好きにすればいいが」
「うむ! 理解が早いな、ブラッド君! ではさっそく、レッスンを始めよう!」
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「まずは、このコスメを使ってもらおう!」
にこやかに、口紅やファンデーションをバラバラと机の上に並べるTeacher。ご丁寧なことに、全て翡翠電脳公社の子会社の化粧品メーカーの商品だった。
「は?」
クオーツは目が点になった。この化粧品と、デュープバトルに一体どんな関係が?
「その。なんだ。この化粧品がデュープバトルとどうつながるのか、説明してもらえるだろうか」
困惑しながらクオーツが問いかけると、Teacherは自信満々に答えた。
「もちろん関係あるとも! 企業なくして我々デュープは成り立たない! 所属企業の存続のため、我々デュープはもっとPR活動に積極的になるべきなのだ!」
「な、なるほど……」
Teacherの言い分は社会人としてはそれなりに筋が通ってはいたが、「デュープバトルで強くなれる方法」と全く関係なかったのだが、クオーツがそれに気づくことはなかった。
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(私の目に狂いはなかった! やはり彼は逸材だ! 私が導いてやれば、彼はブラッドストーンの如く輝く、デュープ界の女王となるだろう!)
クオーツは才覚はあるものの、パフォーマンス性に欠ける職人タイプだった。Teacherは彼の優れたビジュアルを生かすべく、あれこれと口出しをしてきた。なお、『クオーツがよりデュープ・バトルの高みに立つ為の個人レッスン』という看板に偽りはない。「高み」は強さとイコールではないからである。
「次は映像授業だ! 君にふさわしい作品を選んできた。一緒に見ようではないか!」
Teacherが持ってきた映像ディスクには、『映像の性紀』と書かれていた。
(これはセクハラなのでは……?)
Teacherは『美しい嘘のドレスは真実をより輝かせる!』という謎のポリシーから、過激なパフォーマンスという名の嘘のドレスを嬉々としてクオーツに仕立てていく。4時間目の授業が終わる頃には、クオーツはすっかりコーディネイトされており、セクシードレスを着た、キャバ嬢の如きスタイルになっていた。
「では、今日の最後のチャプターだ。一流のデュープたるもの、ハニートラップくらいできねばならない。今から私を誘惑してみたまえ。シチュエーションはそうだな……『年齢を誤魔化してこっそりキャバクラでバイトしていたら、担任教師が客として来店してしまったJK』でいこう! では、このセーラー服を着て潤んだ瞳で私を……」
「できるかァ!」
「おおう!?」
ついにキレたクオーツがサイバーウィップ月華三段ツッコミを入れると、ティーチャーは血のように赤いエフェクトを咲かせて爆散した。が、ここは仮想空間。瞬時にアバターを再構築したティーチャーは何事もなかったかのように復活した。
「HAHAHA! とんだやんちゃボーイだな、我が教え子よ! だが、その鞭の一撃は実に刺激的だった! では今日はここまで! 次の授業を楽しみにしていたまえ! とう!」
Teacherは窓をガラっと開けると、ハンググライダーで颯爽と空に飛び立っていった。
「な、何者なんだ……というか、俺はデビューまであの男の授業を受けさせられるのか?」
クオーツはこれからの日々のことを考え、とてもアンニュイな気分になった。