白と紫の街巡り
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 七瀬納品 2023年05月10日 12時37分53秒
●偶然の出会い
デュープバトルの熱気から離れた、とある穏やかな休日のこと。
ぽかぽかと心地よい陽気に誘われて、NO-iは居住区画内にある繁華街エリアを散歩していた。様々な店が軒を連ねる通りは、見ているだけでも楽しい気分になる。
(……あれ?)
そんな時、ふと視界に入った人影。きょろきょろと辺りを見渡したり、看板を見つめたりする女性の姿は――なんというか、そう、とても困っている様な気配がしたのである。
何か困っているならば、力になりたい。そう思ったNO-iは、そのまま彼女の元へと足を向けた。
「えっと、大丈夫、ですか?」
その声に振り返った女性――Gerdaは、自らに声をかけてくれた人物へ、困り顔のまま口を開いた。
「す、すみません、道に迷ってしまいまして……」
Gerdaは、絶賛迷子であった。街へ出たはいいものの、デビューしたばかりということもあり、居住区内はまだ知らない事の方が多い。一人で心細い思いをしていたところに、ちょうどNO-iが現れたのである。
広告で見たスイーツバイキングに行きたくて、と言ったGerdaにNO-iはとある提案をした。
「あの、ノイで良ければ、案内、します」
バイキングへ行くついでに、この周辺のことも教えてあげられたらいいかもしれない。そう思ったNO-iがその旨を付け加えれば、Gerdaの顔がぱっと輝いた。
「わ、街を案内してくださるんですか? ありがとうございます……!」
この時点で、GerdaのNO-iへの好感度は上がりっぱなしである。
(ケーキ、好きなのかな?)
一方のNO-iも、これは先達として頑張らねば、と密かに気合いを入れた。
●花、寄り添う
道中互いの事を話しながら、トコトコと二人は歩みを進める。
「ここは、日用品が買える所。所属する企業によって、値引きされる商品が、違うの」
「なるほど……!」
時折役立ちそうな情報を交えながら行われる店の説明を、一生懸命耳を傾けながら覚えようとするGerda。今度のお休みにはここへ来てみよう、と心の中にメモをしておく。
そうして並んで歩いている最中、NO-iがふと、とある店の前で足を止めた。つられてそちらを見たGerdaは、ガラス越しに見えた鮮やかな色彩に頬を緩める。
「ここは……お花屋さんですか? 綺麗なお花がたくさんありますね」
色とりどりの花たちが瑞々しく、かつ華やかに咲き誇り、人目を惹きつけている。
「……少しだけ、寄っても、いいですか?」
「はい、もちろん!」
ドアベルの音に続いて店内へ進めば、そこは花の香りで満たされている。可憐な花々を前に、はにかみながらNO-iは言葉を紡いだ。
「いろんな色を、見るのが好きで。今日は『素敵な白』に、出会えたから、そんな色を中心に、連れて帰ろうと思って……」
「わあ、素敵です……! その、紫も入れていただけますか? わたしにとっても、『優しい紫』に出会えた素敵な日ですので」
おずおずとそう言ったGerdaに、NO-iは微笑んで頷いた。
店内で気になった花と共にAIロボへと希望を伝えると、ほどなくしてブーケが出来上がる。白いフリージアと紫色のリューココリネを中心とした『白と紫のブーケ』を前に、二人は心がふんわりと温かくなるような喜びを分かち合うのだった。
●甘い香り
「Gerdaさんは、どんなケーキが、好きですか?」
幾分打ち解けたこともあり、これも何かの縁だから、とスイーツバイキングは二人で楽しむことになった。NO-iが自分の好きなケーキを思い浮かべながらそう尋ねると、Gerdaは緩む頬を抑えるように手を添える。
「いろんなフルーツが乗っているタルトが好きです。宝石みたいにキラキラしていて、見ているだけで楽しくて……!」
そう語るGerdaの瞳もまた、宝石の様にきらきらと輝いていた。なにぶん食べることが好きな彼女である。フルーツタルトを思い浮かべ、胸が沸き立つのも当然のことであった。
――そんな会話をしながら歩いていれば、あっという間に目的地へとたどり着く。
「あっ……ここ、ですね」
「こ、ここが……あのスイーツバイキング……!!」
ポップなカラーの看板に、可愛らしい内装。
苺のショートケーキに、チョコケーキ、チーズケーキ、フルーツタルト、ティラミス、プリン……エトセトラ。店の中に並ぶスイーツは、その種類もさることながら、抗いがたい甘い香りを纏って乙女達を誘う。
二人は顔を見合わせて、頷き合った。
「行きましょう、NO-i様!」
「はい。美味しいスイーツ、たくさん、食べましょう……!」
甘く美味しいスイーツは、二人の心も体も満たす。こうしてバイキングを堪能して、二人は休日を楽しんだのであった。
デュープバトルの熱気から離れた、とある穏やかな休日のこと。
ぽかぽかと心地よい陽気に誘われて、NO-iは居住区画内にある繁華街エリアを散歩していた。様々な店が軒を連ねる通りは、見ているだけでも楽しい気分になる。
(……あれ?)
そんな時、ふと視界に入った人影。きょろきょろと辺りを見渡したり、看板を見つめたりする女性の姿は――なんというか、そう、とても困っている様な気配がしたのである。
何か困っているならば、力になりたい。そう思ったNO-iは、そのまま彼女の元へと足を向けた。
「えっと、大丈夫、ですか?」
その声に振り返った女性――Gerdaは、自らに声をかけてくれた人物へ、困り顔のまま口を開いた。
「す、すみません、道に迷ってしまいまして……」
Gerdaは、絶賛迷子であった。街へ出たはいいものの、デビューしたばかりということもあり、居住区内はまだ知らない事の方が多い。一人で心細い思いをしていたところに、ちょうどNO-iが現れたのである。
広告で見たスイーツバイキングに行きたくて、と言ったGerdaにNO-iはとある提案をした。
「あの、ノイで良ければ、案内、します」
バイキングへ行くついでに、この周辺のことも教えてあげられたらいいかもしれない。そう思ったNO-iがその旨を付け加えれば、Gerdaの顔がぱっと輝いた。
「わ、街を案内してくださるんですか? ありがとうございます……!」
この時点で、GerdaのNO-iへの好感度は上がりっぱなしである。
(ケーキ、好きなのかな?)
一方のNO-iも、これは先達として頑張らねば、と密かに気合いを入れた。
●花、寄り添う
道中互いの事を話しながら、トコトコと二人は歩みを進める。
「ここは、日用品が買える所。所属する企業によって、値引きされる商品が、違うの」
「なるほど……!」
時折役立ちそうな情報を交えながら行われる店の説明を、一生懸命耳を傾けながら覚えようとするGerda。今度のお休みにはここへ来てみよう、と心の中にメモをしておく。
そうして並んで歩いている最中、NO-iがふと、とある店の前で足を止めた。つられてそちらを見たGerdaは、ガラス越しに見えた鮮やかな色彩に頬を緩める。
「ここは……お花屋さんですか? 綺麗なお花がたくさんありますね」
色とりどりの花たちが瑞々しく、かつ華やかに咲き誇り、人目を惹きつけている。
「……少しだけ、寄っても、いいですか?」
「はい、もちろん!」
ドアベルの音に続いて店内へ進めば、そこは花の香りで満たされている。可憐な花々を前に、はにかみながらNO-iは言葉を紡いだ。
「いろんな色を、見るのが好きで。今日は『素敵な白』に、出会えたから、そんな色を中心に、連れて帰ろうと思って……」
「わあ、素敵です……! その、紫も入れていただけますか? わたしにとっても、『優しい紫』に出会えた素敵な日ですので」
おずおずとそう言ったGerdaに、NO-iは微笑んで頷いた。
店内で気になった花と共にAIロボへと希望を伝えると、ほどなくしてブーケが出来上がる。白いフリージアと紫色のリューココリネを中心とした『白と紫のブーケ』を前に、二人は心がふんわりと温かくなるような喜びを分かち合うのだった。
●甘い香り
「Gerdaさんは、どんなケーキが、好きですか?」
幾分打ち解けたこともあり、これも何かの縁だから、とスイーツバイキングは二人で楽しむことになった。NO-iが自分の好きなケーキを思い浮かべながらそう尋ねると、Gerdaは緩む頬を抑えるように手を添える。
「いろんなフルーツが乗っているタルトが好きです。宝石みたいにキラキラしていて、見ているだけで楽しくて……!」
そう語るGerdaの瞳もまた、宝石の様にきらきらと輝いていた。なにぶん食べることが好きな彼女である。フルーツタルトを思い浮かべ、胸が沸き立つのも当然のことであった。
――そんな会話をしながら歩いていれば、あっという間に目的地へとたどり着く。
「あっ……ここ、ですね」
「こ、ここが……あのスイーツバイキング……!!」
ポップなカラーの看板に、可愛らしい内装。
苺のショートケーキに、チョコケーキ、チーズケーキ、フルーツタルト、ティラミス、プリン……エトセトラ。店の中に並ぶスイーツは、その種類もさることながら、抗いがたい甘い香りを纏って乙女達を誘う。
二人は顔を見合わせて、頷き合った。
「行きましょう、NO-i様!」
「はい。美味しいスイーツ、たくさん、食べましょう……!」
甘く美味しいスイーツは、二人の心も体も満たす。こうしてバイキングを堪能して、二人は休日を楽しんだのであった。