【螺旋戦線】その殺意、児戯が如き

天魔大戦アポカリプス・ゼロ-四月革命- イベントノベル(テーマ)制作 螺子巻ゼンマイ納品 2022年04月04日 17時05分50秒

「んだよ、まだ全然殺り合ってねぇーじゃん」

 天使を相手にした、デカい抗争がある。
 そう聞いて遊びに来たナハシュは、戦場の静かさに息を吐く。
 もっと乱戦になってるかと思ってたのに。来んの早すぎたか?
「ま、いっか。なぁオイ、天使ぶっ殺せば良いんだよな?」
 手近な悪魔に問い掛けると、肯定の返事。
 天使は今、先行部隊が洞窟の地形に苦戦している所らしい。

「へぇ。人間界のアレみてぇだな」

 天使だけ選ぶのは、ぶっちゃけ面倒くさいけど。
 そういう児戯(隠れ鬼)のつもりで遊べば、たまには悪くないかもしれない。
 ニヤリと笑んだナハシュは、早速周囲を警戒しながら進む、独りの天使を発見した。
 まずはアイツを吃驚(びっくり)させてやるか。
 ナハシュは短く呪文を唱え、自らの姿を透明化する。そうして静かに天使の背後に回り込むと……

「わっ! ……ハハッ、いーねそのビビり顔!」
「なんッ、いつの間に――」
「はい一点~!」

 ザシュッ。
 短剣で両目を斬り裂いてから、刃を首筋に突き立てる。
 最期の力で反撃しようとする天使を、ナハシュは「邪魔」と蹴り飛ばし。
 頬に飛んだ返り血を指で拭って、次の獲物に目を向けた。

「おっ、次は四人か。なら……」

 流石にそのままじゃやり辛い。
 そう考えたナハシュは、ぶわり。黒い翼を羽搏かせ、周囲に甘い霧を撒く。
「毒か。注意しろ!」
「ははっ。気を付けりゃ良いってモンでもないだろ?」
 天使たちが動揺した刹那、ナハシュは最も強そうな敵に刃を振るう。
 敵は身を翻しこれを避けようとするが、切っ先がその肌を裂いた。
「皮の一枚くらい、」
「って思うか? 染みるだろ、それ?」
 悪魔が浮かべた笑みに、天使は青褪める。
 刃に纏わせた毒。霧となって漂う毒。それらが彼の体の自由を奪う。
 ナハシュはその天使の翼を掴み、放り投げた。受け止めようとした天使を、投擲物の陰に隠れたナハシュが斬り、裂く。毒に浸った血が飛散し、霧で動けなくなった彼らの首を、ナハシュは順番に掻き切ってやる。

「一丁上がり、っと」
「すげぇなお前! 天使を一瞬で――」
「あ、まだいた」

 ザクリ。
 刃を悪魔の胸に突き立ててから、違ったかと首を傾げる。
 まぁいいや。この勢いでぶっ殺してこう!
 天も魔もなく惨殺し、血に塗れたナハシュ(無垢なる大悪魔)はふわぁと欠伸をひとつ。

「飽きたから帰る。じゃーな!」

 戦いの趨勢には興味が無い。
 遊び疲れたナハシュは、満足して自身の領土へ戻るのだった。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0