三つ烏は籠の中
王立アプリーリス魔法学院 イベントノベル(テーマ)制作 真柄 葉納品 2021年04月09日 21時39分46秒
夜空には満天の星々が輝きを競い、月は煌々と地上を照らしていた。
「――さて、どうしてこうなったか聞こうか?」
へたりと座り込む幼馴染二人に向け、スミカズ・ミズハラが問いかける。
「なぁ、アーシェル。スミカズが怒ってるじゃないか。どうしてくれるんだよ」
「はぁ? 俺のせいじゃねぇだろ。オリヴァーだって一緒になって追っかけてたじゃねぇか」
「アーシェル一人で行かせたらどこ行くかわからないからだろ。いい加減、自分の魔法力場探知能力の無さを自覚しろよ」
「そう言うこまけぇ技術は苦手なんだよ! なんでこの学院は見ただけじゃまともな場所にたどり着けんぇんだよ!」
「そりゃ、ここが魔法学院だからだよ。アーシェル、あんたももう4年生なんだぞ。それくらいわかるだろ?」
「わからねぇよ! 俺は気持ちよく魔法がぶっ放してぇんだよ!」
「はぁ……これだから【ドラゴン寮】所属は」
「はーい、二人ともちゅうもーく。好き勝手お喋りする前に、オレの質問に答えようね~?」
まるで放課後の一時のように言葉を交わすアーシェル・G・クラインとオリヴァー・ウッドに、スミカズは再び声をかけた。
「はい、先生! アーシェルが変な魔法生物見つけたのが原因だと思います!」
「なんだと! 変なってのはこいつの事か!」
と、アーシェルが懐に抱いていた毛玉――もとい、謎魔法生物を抱き上げオリヴァーに見せつける。
「そうそう、それだ。それはいったい何なんだ? 見た目は確かに可愛いけど、内から変な魔力を感じるし、それ、たぶん異界の生物だぞ?」
「それがどうしたよ。こんなに可愛い生物が迷子になってたんだぞ。普通助けるだろ、人として!」
「ああ、うん。人としての前に、魔法使いとして正体不明の謎生物に手を出すのはどうかと思うぞ?」
「うるせぇ、可愛いは正義なんだよ!」
「うわ、でたよ、アーシェルの謎理論」
「うーん。そろそろ怒ってもいいタイミングかな~?」
「先生! 全面的にアーシェルが悪いと思います!」
スミカズの声に、オリヴァーがビシッと手を上げ答える。
「この裏切り者め……!」
「裏切るとか人聞きの悪い。そもそも、その生物に関しては味方してないし」
ぐぬぬと唸るアーシェルに、オリヴァーはプイっと顔を背けた。
「気が済んだかな? それじゃ、話を始めるよ」
そんなタイミングを見計らい、スミカズは話し始めた。
「まず、その生物が何であるかはおいておこう。多分、ペガサス寮当たりの仕業なんだろうけど、今ここで解明する手段はないからね」
「ほら見ろ、スミカズもこいつは大丈夫って言ってるじゃねぇか」
「一体どう聞いたらそう聞こえるんだ、この脳筋!」
「なんだと!?」
再び口論になりかける二人に向け、スミカズが小さく微笑むと――。
「……オレの反転治癒魔法は痛いよ?」
――ビクッ!!
静かに語ったスミカズの言葉に、二人は瞬時に正座した。
「それじゃ、今の状況を整理するね」
二人が静かになったことを確認したスミカズは、人差し指を立て話を始める。
「今オレ達がいるのは、たぶん第三校舎の裏。二人の魔力残滓を追ってきたから間違いないと思う」
そう言うとスミカズは立てていた指をそのまま真下に向けた。
「そして、今オレ達が『居る』のは、『鳥籠』の中だ」
そのままくるりと頭を回したスミカズ。周りは無数の鉄柵で囲われている。
そう、三人はまるで『鳥籠』のようなものの中に囚われていた。
「先生! 発言いいですか!」
「はい、オリー君。どうぞ」
意味不明な状況下でも、こんなやり取りができる事を微笑ましく思いつつ、スミカズは手を上げたオリヴァーの冗談に乗ってやる。
「周りは全て星空ですが、何故ここが学院内だと思うのですか!」
「いい質問ですね。それはこれが――」
と、オリヴァーの質問を受け、スミカズは取り出した杖を鳥籠の檻の隙間に差し込んだ。
――バチンっ!!
途端、魔力が弾け雷撃が走る。
「結界だからです」
そう言ってくるりと杖を一回転。腰のホルダーに差し込んだ。
「これは、その謎生物を捕えるために張られたものだと思うんだ」
と、スミカズは口調を戻すとアーシェルの腕の中に抱かれる、まるでタンポポの綿毛をそのまま大きくしたような謎の魔法生物を指さした。
「なるほど……。経緯としては、ペガサス寮の誰かが変な生物を召喚した。でも、何かの手違いで逃げ出してしまって、捕まえるためにこの『鳥籠』を設置した。そして、俺達はその罠にまんまとはまった。そんな所かな?」
「確信はないけどね」
オリヴァーの推測に首を縦に振ったスミカズが、呆れるように肩を竦めた。
「ペガサス寮の奴等、今度会ったら覚えとけよ!」
「アーシェル。それ、ペガサス寮の生徒達からすればとばっちりだからな?」
なぜか復讐に燃えるアーシェルを諭しながら、オリヴァーは溜息をつく。
「それはそうと、さっきから色々調べてたんだけど、この檻を作ってる魔力に覚えがあるんだよね」
「うん? 知り合いか?」
「いや、直接の知り合いじゃないんだけど、有名人だよ」
「有名人?」
「ああ。多分、この檻を作ったのはレイジ寮長だろうね」
「おいおい、寮長自らの作って……俺達出られるんだろうな?」
「どうかな。この檻は謎生物を捕えるためのものだから、時間が経てば誰かが捕まってないか確認に来るとは思う。その時まで待つのが筋だろうけど……ちょっと問題があってね」
「うん? ……あー」
困ったような笑顔を浮かべるスミカズに、オリヴァーは何かを感づく。
「あれは、それほど強力な結界で捕まえないといけないほどの生物だってことだよな」
そして、アーシェルが「おーよしよし、可愛い奴め」とか言ってモフってる謎生物へと視線を向けた。
「そうだね。そして、オレ達はそんな謎生物とこの狭い空間の中に捕らえられている」
「おまけに脱出の方法がわからない、と。うーん、わりと詰んでないか?」
「ああ、詰んでるかもね」
腕を組みちらりと見つめてくるオリヴァーに、スミカズは苦笑で返した。
「シェリー、君の意見も聞きたいんだけど」
「うん?」
スミカズに呼ばれたアーシェルは謎生物から顔を上げる。
「この檻から脱出する方法だよ。何かいいアイデアはないかな?」
「結界を破る方法か?」
「別に破らなくてもいいんだけどね。脱出できればそれでいいよ」
「でも、これよ。雷撃防御に視界遮断、空間隔離もか? なんかいっぱい効果がかかってるぞ?」
「ついでに位置誤認もかかってるかな。流石、そう言う『眼』だけはいいね」
「一言余計だ」
感心するキヨスミに、アーシェルはふんとそっぽを向いた。
「ついでを言うと『門』に繋がってるかもしれない。だろう?」
そこにオリヴァーが付け加える。
「そう、そこが一番の問題だよね。これはこの謎生物の為のものだ。なら、本来居た世界へと繋がる門がどこかに隠れている可能性が高いだろうね」
「うかうかしてたら襲われるかのせいもあるのか……うーん」
「ちょっと困ったよね」
「外部への連絡は?」
「駄目だった。遮断されてるね」
「八方塞か……」
と、オリヴァーとスミカズがこの状況に頭を悩ませていると。
「『門』があるならそこから出ればいいんじゃねぇのか?」
アーシェルが相変わらず謎生物をモフりながら二人に話しかけた。
「――さて、どうしてこうなったか聞こうか?」
へたりと座り込む幼馴染二人に向け、スミカズ・ミズハラが問いかける。
「なぁ、アーシェル。スミカズが怒ってるじゃないか。どうしてくれるんだよ」
「はぁ? 俺のせいじゃねぇだろ。オリヴァーだって一緒になって追っかけてたじゃねぇか」
「アーシェル一人で行かせたらどこ行くかわからないからだろ。いい加減、自分の魔法力場探知能力の無さを自覚しろよ」
「そう言うこまけぇ技術は苦手なんだよ! なんでこの学院は見ただけじゃまともな場所にたどり着けんぇんだよ!」
「そりゃ、ここが魔法学院だからだよ。アーシェル、あんたももう4年生なんだぞ。それくらいわかるだろ?」
「わからねぇよ! 俺は気持ちよく魔法がぶっ放してぇんだよ!」
「はぁ……これだから【ドラゴン寮】所属は」
「はーい、二人ともちゅうもーく。好き勝手お喋りする前に、オレの質問に答えようね~?」
まるで放課後の一時のように言葉を交わすアーシェル・G・クラインとオリヴァー・ウッドに、スミカズは再び声をかけた。
「はい、先生! アーシェルが変な魔法生物見つけたのが原因だと思います!」
「なんだと! 変なってのはこいつの事か!」
と、アーシェルが懐に抱いていた毛玉――もとい、謎魔法生物を抱き上げオリヴァーに見せつける。
「そうそう、それだ。それはいったい何なんだ? 見た目は確かに可愛いけど、内から変な魔力を感じるし、それ、たぶん異界の生物だぞ?」
「それがどうしたよ。こんなに可愛い生物が迷子になってたんだぞ。普通助けるだろ、人として!」
「ああ、うん。人としての前に、魔法使いとして正体不明の謎生物に手を出すのはどうかと思うぞ?」
「うるせぇ、可愛いは正義なんだよ!」
「うわ、でたよ、アーシェルの謎理論」
「うーん。そろそろ怒ってもいいタイミングかな~?」
「先生! 全面的にアーシェルが悪いと思います!」
スミカズの声に、オリヴァーがビシッと手を上げ答える。
「この裏切り者め……!」
「裏切るとか人聞きの悪い。そもそも、その生物に関しては味方してないし」
ぐぬぬと唸るアーシェルに、オリヴァーはプイっと顔を背けた。
「気が済んだかな? それじゃ、話を始めるよ」
そんなタイミングを見計らい、スミカズは話し始めた。
「まず、その生物が何であるかはおいておこう。多分、ペガサス寮当たりの仕業なんだろうけど、今ここで解明する手段はないからね」
「ほら見ろ、スミカズもこいつは大丈夫って言ってるじゃねぇか」
「一体どう聞いたらそう聞こえるんだ、この脳筋!」
「なんだと!?」
再び口論になりかける二人に向け、スミカズが小さく微笑むと――。
「……オレの反転治癒魔法は痛いよ?」
――ビクッ!!
静かに語ったスミカズの言葉に、二人は瞬時に正座した。
「それじゃ、今の状況を整理するね」
二人が静かになったことを確認したスミカズは、人差し指を立て話を始める。
「今オレ達がいるのは、たぶん第三校舎の裏。二人の魔力残滓を追ってきたから間違いないと思う」
そう言うとスミカズは立てていた指をそのまま真下に向けた。
「そして、今オレ達が『居る』のは、『鳥籠』の中だ」
そのままくるりと頭を回したスミカズ。周りは無数の鉄柵で囲われている。
そう、三人はまるで『鳥籠』のようなものの中に囚われていた。
「先生! 発言いいですか!」
「はい、オリー君。どうぞ」
意味不明な状況下でも、こんなやり取りができる事を微笑ましく思いつつ、スミカズは手を上げたオリヴァーの冗談に乗ってやる。
「周りは全て星空ですが、何故ここが学院内だと思うのですか!」
「いい質問ですね。それはこれが――」
と、オリヴァーの質問を受け、スミカズは取り出した杖を鳥籠の檻の隙間に差し込んだ。
――バチンっ!!
途端、魔力が弾け雷撃が走る。
「結界だからです」
そう言ってくるりと杖を一回転。腰のホルダーに差し込んだ。
「これは、その謎生物を捕えるために張られたものだと思うんだ」
と、スミカズは口調を戻すとアーシェルの腕の中に抱かれる、まるでタンポポの綿毛をそのまま大きくしたような謎の魔法生物を指さした。
「なるほど……。経緯としては、ペガサス寮の誰かが変な生物を召喚した。でも、何かの手違いで逃げ出してしまって、捕まえるためにこの『鳥籠』を設置した。そして、俺達はその罠にまんまとはまった。そんな所かな?」
「確信はないけどね」
オリヴァーの推測に首を縦に振ったスミカズが、呆れるように肩を竦めた。
「ペガサス寮の奴等、今度会ったら覚えとけよ!」
「アーシェル。それ、ペガサス寮の生徒達からすればとばっちりだからな?」
なぜか復讐に燃えるアーシェルを諭しながら、オリヴァーは溜息をつく。
「それはそうと、さっきから色々調べてたんだけど、この檻を作ってる魔力に覚えがあるんだよね」
「うん? 知り合いか?」
「いや、直接の知り合いじゃないんだけど、有名人だよ」
「有名人?」
「ああ。多分、この檻を作ったのはレイジ寮長だろうね」
「おいおい、寮長自らの作って……俺達出られるんだろうな?」
「どうかな。この檻は謎生物を捕えるためのものだから、時間が経てば誰かが捕まってないか確認に来るとは思う。その時まで待つのが筋だろうけど……ちょっと問題があってね」
「うん? ……あー」
困ったような笑顔を浮かべるスミカズに、オリヴァーは何かを感づく。
「あれは、それほど強力な結界で捕まえないといけないほどの生物だってことだよな」
そして、アーシェルが「おーよしよし、可愛い奴め」とか言ってモフってる謎生物へと視線を向けた。
「そうだね。そして、オレ達はそんな謎生物とこの狭い空間の中に捕らえられている」
「おまけに脱出の方法がわからない、と。うーん、わりと詰んでないか?」
「ああ、詰んでるかもね」
腕を組みちらりと見つめてくるオリヴァーに、スミカズは苦笑で返した。
「シェリー、君の意見も聞きたいんだけど」
「うん?」
スミカズに呼ばれたアーシェルは謎生物から顔を上げる。
「この檻から脱出する方法だよ。何かいいアイデアはないかな?」
「結界を破る方法か?」
「別に破らなくてもいいんだけどね。脱出できればそれでいいよ」
「でも、これよ。雷撃防御に視界遮断、空間隔離もか? なんかいっぱい効果がかかってるぞ?」
「ついでに位置誤認もかかってるかな。流石、そう言う『眼』だけはいいね」
「一言余計だ」
感心するキヨスミに、アーシェルはふんとそっぽを向いた。
「ついでを言うと『門』に繋がってるかもしれない。だろう?」
そこにオリヴァーが付け加える。
「そう、そこが一番の問題だよね。これはこの謎生物の為のものだ。なら、本来居た世界へと繋がる門がどこかに隠れている可能性が高いだろうね」
「うかうかしてたら襲われるかのせいもあるのか……うーん」
「ちょっと困ったよね」
「外部への連絡は?」
「駄目だった。遮断されてるね」
「八方塞か……」
と、オリヴァーとスミカズがこの状況に頭を悩ませていると。
「『門』があるならそこから出ればいいんじゃねぇのか?」
アーシェルが相変わらず謎生物をモフりながら二人に話しかけた。