三つ華の贈り物
キャラクターノベル(グループ)制作 真柄 葉納品 2021年02月08日 20時58分14秒
「今日集まってもらったのは他でもない。君達精鋭諸君の意見を聞きたいからだ」
暗闇の中、きらりと光る翡翠の瞳が鋭い眼光を放ち、同胞達を見た。
しんと鎮まる闇の中、返事を待ち大きな耳をぴくぴく動かしていると――。
「に、似てると思うわ……」
返ってきたのは必至で笑いをこらえる声だった。
「あ、あれ、変かな? バルディオン将軍」
「とくちょうは、とらえていましたわ。でも、やはり、こえしつにむりがあるとおもいますわ」
「うっ……ヴィルジニア市長の方がよかったかな」
冒険者の街の市長の名を出し、しゅんと耳を垂れた。
夢見宿『ガーデニア』の二階の一室。アンネエルカの私室で、灯もつけず一つの布団にもぐる少女達。アンネエルカ、クレア・エクレール、マレーネ・シェーンベルクは、とある計画を実行する為にここへと集っていた。
暗がりの中、照明用紋具にエーテルを流すと、仄かな明かりが広がった。
「えっと、じゃ気を取り直して。それぞれ何がいいか意見していってみる?」
クレアが二人を見ながら問いかける。
「そうね。私としては実用的なものがいいと思うのだけれど……お財布とかどうかしら?」
はいっと小さく手を上げて答えたアンネエルカ。去年の誕生日にパパに贈って喜ばれたものを挙げてみた。
「財布かぁ。いいかも! マレーネ……さんは何か案ある?」
と、クレアは次にマレーネの方を見る。
「そうですわね……やはり、とのがたへのおくりもののていばんといえば、おさけではないでしょうか。いがいと、てもとにのこるものをおくられるのを、きらうかたもいらっしゃいます」
人差し指を立て、マレーネは二人に話していく。
「とはもうしますが、けっきょくのところ、おくりものとは、まごころをおくるもの。しなにこだわるひつようは、ありませんわ。おふたりのおきもちのこもったものを、おくるのがよろしいのではないかしら」
「お気持ち、ね……か、肩叩き券とかかしら?」
「あは、アンネってば、子供みたい」
「えっ! そ、そんなに子供っぽいかしら……パパには大好評だったんだけど」
「子供っていうか……うーん、かわいいよ?」
「もぅ、それじゃ答えになってないわっ」
「えへへ……」
ぷぅとむくれるアンネエルカに、ごめんごめんと手をすり合わせるクレア。
「いえ、あんがい、わるくないかもしれませんわ? きっとおしごとでかたもこっておられるでしょうし、わかいじょせいのごほうしをうけて、きぶんをわるくされるとのがたはいらっしゃいませんもの」
「ご、ご奉仕……そ、そうなんだ。流石だね、マレーネさん。大人のご意見だ」
「ご奉仕? あ、お手伝いねっ! うんうん、私達だけじゃそんな案は出でこないもの。とっても参考になるわっ」
「ほんとですわね、やはり、じんせいけいけんほうふなかたの、おはなしは、とてもためになりますわ」
「うん! やっぱりお相手が大人だから、その辺りの事もちゃんと考えて贈り物選ばないとね!」
「ええ、そうね! せっかく贈るのだから、沢山喜んでもらいたいもの!」
「はい、いただいたきちょうなごいけんをさんこうにして、きめていきましょう!」
「「「…………うん?」」」
薄暗い布団の中、一斉に首をかしげる三人。
「えっと、マレーネさんのお話だよね……?」
「わたくしですか?」
「あ、あれ……?」
再び三人して首を傾げた。
「と、とにかく、話を進めようか」
「そ、そうね。プレゼントは少し後回しにして、渡すタイミングを話し合うのはどうかしら?」
「それはたしかにじゅうようですわね。たいみんぐひとつで、かんどうのどあいも、ずいぶんとかわってきますもの」
「うんうん、ボク的にはお出かけから帰ってきたタイミングとかいいかなって思ってるんだけど」
「なるほど! お店について気が緩んだころを見計らって、びっくりさせちゃう作戦ねっ!」
「そうそう、夜の長い今なら、灯の無い闇での待ち伏せとかも有効だって思うんだ!」
「とてもいいと思わっ! パッと灯をつけてみんなおそろいの衣装なんかを着て、お出迎えするのっ!」
アンネエルカとクレアの話は次第にヒートアップしていく。
「おふたりとも、すこしおちついてくださいませ。たしかに、びっくりさせるさくせんはたのしいかもしれません。でも、それはほんとうに、おくられるかたのことをおもってのことでしょうか?」
そんな二人に、マレーネは苦笑しながらも優しく声をかける。
「贈られる方……」
そんなマレーネの言葉に二人は、はっと顔を上げた。
「確かに、自己満足なのかもしれないわ……」
アンネエルカとクレアは互いに顔を合わせ、こくんと頷く。
「わかっていただけて、わたくしもうれしいですわ」
ごめんなさいと頭を下げる二人に、マレーネはニコリと微笑んだ。
「渡す場所は談話室がいいとおもうのだけれど、どうかしら?」
アンネエルカの問いかけに、二人は異議なしと頷いた。
「それじゃ、机を一つ確保しておくわ。机の上にプレゼントを置いておいて、私達で壁を作っておいて、パッと避けて見せちゃう感じで行こうと思うのよ」
「うん、ばっちりじゃないかな! それならきっとおじさんも喜んでくれるよ!」
「ですわね。おじさまのよろこぶおかおが、めにうかぶようですわ」
身振り手振りで説明するアンネエルカを二人は微笑ましく見つめる。
「それで、問題のプレゼントはどうしようか」
「マレーネさん、何かいい案ないかな?」
クレアが改めてマレーネに問いかけた。
「そうですわね……おさけですと、かってきてわたすだけになってしまいますし……。あ、そうですわ。あんねさま、おじさまはあまいものはおすきかしら?」
「えっ? たしか嫌いではないはずよ」
マレーネに突然話を振られ、アンネエルカは思い出しながら答える。
「でしたら、『ちょこれーと』はいかがでしょう」
「チョコレート? あの高いお菓子? でも、それって結局買ってくることになるんじゃ?」
マレーネの提案にクレアは首を傾げた。
「いえ、じさくするのですわ」
「えっ、あれって作れるの?」
「はい。ざいりょうのかかおまめが、さいきんえどぅのーぐのめいきゅうより、たいりょうにさんしゅつされるように、なったそうですわ。かかおまめのふんまつ、『かかおぱうだー』さえてにはいれば、じさくもそれほどむずかしくありませんわ……ありませんの?」
「しらないよっ!?」
かくりと首をかしげるマレーネに、クレアは思わず声を上げた。
「あ、でも私もそのお話聞いたわ。なぜか大量に採れるようになって、お値段もだいぶお安くなってるって」
「へぇ、そうなんだ」
「もちろん、おみせでこうにゅうするしなには、とおくおよばないかもしれませんが、まごころをこめるといういみでは、わるくないせんたくではないかとおもうのですけど――」
「どうでしょう?」と、マレーネは二人に問いかける。
「私は賛成よっ。うまくできるかはわからないけれど、手作りを贈れるのはとっても嬉しいわ!」
「うんっ! ボクも日頃の感謝を込めて、久しぶりに気合入れて作っちゃうよ!」
「はい、みなさんでちからをあわせて、いいものをおおくりしましょう!」
おー! と、布団の中で小さく拳を振り上げた三人。
贈り物、贈る場所、どちらも決まり、今日の目的を達成した三人は、布団の中で微笑み合った。
「あ、あのね、マレーネ……さん!」
と、そんな中、クレアが控えめに声を上げる。
「はい、なんですか、くれあさま」
「うっ……えっと、その……」
何か言いたげにちらちらとマレーネを見るクレア。
「どうかされましたか?」
「すーはー……。えっと! 突然かもだけど……マレーネって、呼んでもいいかな……?」
上目遣いに見つめるクレアに、マレーネはまぁと驚く。
「もちろん、かまいませんわ。ふふ、まれーねですか。うれしいですわ」
昔にもそう呼ばれたことがあったのだろうか。そんな事を思いながら、マレーネはこくんと頷いた。
「そ、それから! ボクの事は、その……クレアって呼んでくれると嬉しいなって!」
「わかりましたわ。くれあ、ですわね、くれあさま」
「あ、うん! ……うん?」
「どうかされました? くれあさま」
「あ、えっと……クレアね?」
「はい、くれあ、ですね、くれあさま」
「うぅ……」
笑顔で見つめるマレーネに、クレアはがくりと肩を落とす。
「むー、何だか二人だけずるいわ!」
と、そんな二人を見守っていたアンネエルカが布団ごとばっと立ち上がった。
「私もアンネって呼ばれたいし、マレーネって呼びたいもの!」
グッと拳を握り力説するアンネエルカは、伺う様にマレーネを見る。
「えっと、マレーネ……さん、どうかしら」
「はい、もちろんかまいません。おふたりになまえをよんでいただけて、うれしいかぎりですわ」
「本当? よかった……私だけ断られたらどうしようかと思ったわ」
「よかったね、アンネ」
ほっと胸をなでおろすアンネエルカを、クレアが笑顔で祝福した。
「えっと、それじゃ……マレーネ」
「はい、あんねさま」
「あ、あの……アンネ、ね?」
「はい、あんね、ですわね。あんねさま」
「あ、うん……アンネよ?」
「ええ、あんね、ですわ。あんねさま」
「あ……うん」
ニコニコと微笑むマレーネに、アンネエルカががっくり肩を落とした。
「ふふ、これでみんなけいしょうなしですわね。うれしいですわ」
「うん! これからも、よろしくね! えっと、クレア、マレーネ! ……やっぱり、まだちょっと恥ずかしいかも」
えへへ、と嬉し恥ずかしそうに舌を出すアンネエルカ。
「あはは、呼ばれるのもちょっとこそばゆいね。でも、アンネにマレーネか。えへへ、嬉しいな」
クレアも照れ笑いで答えた。
「はい、うれしいです。これからもよろしくおねがいしますわ。あんねさま、くれあさま」
満面の笑みでそういうマレーネに、二人は顔を見合わせ苦笑したのだった――。
暗闇の中、きらりと光る翡翠の瞳が鋭い眼光を放ち、同胞達を見た。
しんと鎮まる闇の中、返事を待ち大きな耳をぴくぴく動かしていると――。
「に、似てると思うわ……」
返ってきたのは必至で笑いをこらえる声だった。
「あ、あれ、変かな? バルディオン将軍」
「とくちょうは、とらえていましたわ。でも、やはり、こえしつにむりがあるとおもいますわ」
「うっ……ヴィルジニア市長の方がよかったかな」
冒険者の街の市長の名を出し、しゅんと耳を垂れた。
夢見宿『ガーデニア』の二階の一室。アンネエルカの私室で、灯もつけず一つの布団にもぐる少女達。アンネエルカ、クレア・エクレール、マレーネ・シェーンベルクは、とある計画を実行する為にここへと集っていた。
暗がりの中、照明用紋具にエーテルを流すと、仄かな明かりが広がった。
「えっと、じゃ気を取り直して。それぞれ何がいいか意見していってみる?」
クレアが二人を見ながら問いかける。
「そうね。私としては実用的なものがいいと思うのだけれど……お財布とかどうかしら?」
はいっと小さく手を上げて答えたアンネエルカ。去年の誕生日にパパに贈って喜ばれたものを挙げてみた。
「財布かぁ。いいかも! マレーネ……さんは何か案ある?」
と、クレアは次にマレーネの方を見る。
「そうですわね……やはり、とのがたへのおくりもののていばんといえば、おさけではないでしょうか。いがいと、てもとにのこるものをおくられるのを、きらうかたもいらっしゃいます」
人差し指を立て、マレーネは二人に話していく。
「とはもうしますが、けっきょくのところ、おくりものとは、まごころをおくるもの。しなにこだわるひつようは、ありませんわ。おふたりのおきもちのこもったものを、おくるのがよろしいのではないかしら」
「お気持ち、ね……か、肩叩き券とかかしら?」
「あは、アンネってば、子供みたい」
「えっ! そ、そんなに子供っぽいかしら……パパには大好評だったんだけど」
「子供っていうか……うーん、かわいいよ?」
「もぅ、それじゃ答えになってないわっ」
「えへへ……」
ぷぅとむくれるアンネエルカに、ごめんごめんと手をすり合わせるクレア。
「いえ、あんがい、わるくないかもしれませんわ? きっとおしごとでかたもこっておられるでしょうし、わかいじょせいのごほうしをうけて、きぶんをわるくされるとのがたはいらっしゃいませんもの」
「ご、ご奉仕……そ、そうなんだ。流石だね、マレーネさん。大人のご意見だ」
「ご奉仕? あ、お手伝いねっ! うんうん、私達だけじゃそんな案は出でこないもの。とっても参考になるわっ」
「ほんとですわね、やはり、じんせいけいけんほうふなかたの、おはなしは、とてもためになりますわ」
「うん! やっぱりお相手が大人だから、その辺りの事もちゃんと考えて贈り物選ばないとね!」
「ええ、そうね! せっかく贈るのだから、沢山喜んでもらいたいもの!」
「はい、いただいたきちょうなごいけんをさんこうにして、きめていきましょう!」
「「「…………うん?」」」
薄暗い布団の中、一斉に首をかしげる三人。
「えっと、マレーネさんのお話だよね……?」
「わたくしですか?」
「あ、あれ……?」
再び三人して首を傾げた。
「と、とにかく、話を進めようか」
「そ、そうね。プレゼントは少し後回しにして、渡すタイミングを話し合うのはどうかしら?」
「それはたしかにじゅうようですわね。たいみんぐひとつで、かんどうのどあいも、ずいぶんとかわってきますもの」
「うんうん、ボク的にはお出かけから帰ってきたタイミングとかいいかなって思ってるんだけど」
「なるほど! お店について気が緩んだころを見計らって、びっくりさせちゃう作戦ねっ!」
「そうそう、夜の長い今なら、灯の無い闇での待ち伏せとかも有効だって思うんだ!」
「とてもいいと思わっ! パッと灯をつけてみんなおそろいの衣装なんかを着て、お出迎えするのっ!」
アンネエルカとクレアの話は次第にヒートアップしていく。
「おふたりとも、すこしおちついてくださいませ。たしかに、びっくりさせるさくせんはたのしいかもしれません。でも、それはほんとうに、おくられるかたのことをおもってのことでしょうか?」
そんな二人に、マレーネは苦笑しながらも優しく声をかける。
「贈られる方……」
そんなマレーネの言葉に二人は、はっと顔を上げた。
「確かに、自己満足なのかもしれないわ……」
アンネエルカとクレアは互いに顔を合わせ、こくんと頷く。
「わかっていただけて、わたくしもうれしいですわ」
ごめんなさいと頭を下げる二人に、マレーネはニコリと微笑んだ。
「渡す場所は談話室がいいとおもうのだけれど、どうかしら?」
アンネエルカの問いかけに、二人は異議なしと頷いた。
「それじゃ、机を一つ確保しておくわ。机の上にプレゼントを置いておいて、私達で壁を作っておいて、パッと避けて見せちゃう感じで行こうと思うのよ」
「うん、ばっちりじゃないかな! それならきっとおじさんも喜んでくれるよ!」
「ですわね。おじさまのよろこぶおかおが、めにうかぶようですわ」
身振り手振りで説明するアンネエルカを二人は微笑ましく見つめる。
「それで、問題のプレゼントはどうしようか」
「マレーネさん、何かいい案ないかな?」
クレアが改めてマレーネに問いかけた。
「そうですわね……おさけですと、かってきてわたすだけになってしまいますし……。あ、そうですわ。あんねさま、おじさまはあまいものはおすきかしら?」
「えっ? たしか嫌いではないはずよ」
マレーネに突然話を振られ、アンネエルカは思い出しながら答える。
「でしたら、『ちょこれーと』はいかがでしょう」
「チョコレート? あの高いお菓子? でも、それって結局買ってくることになるんじゃ?」
マレーネの提案にクレアは首を傾げた。
「いえ、じさくするのですわ」
「えっ、あれって作れるの?」
「はい。ざいりょうのかかおまめが、さいきんえどぅのーぐのめいきゅうより、たいりょうにさんしゅつされるように、なったそうですわ。かかおまめのふんまつ、『かかおぱうだー』さえてにはいれば、じさくもそれほどむずかしくありませんわ……ありませんの?」
「しらないよっ!?」
かくりと首をかしげるマレーネに、クレアは思わず声を上げた。
「あ、でも私もそのお話聞いたわ。なぜか大量に採れるようになって、お値段もだいぶお安くなってるって」
「へぇ、そうなんだ」
「もちろん、おみせでこうにゅうするしなには、とおくおよばないかもしれませんが、まごころをこめるといういみでは、わるくないせんたくではないかとおもうのですけど――」
「どうでしょう?」と、マレーネは二人に問いかける。
「私は賛成よっ。うまくできるかはわからないけれど、手作りを贈れるのはとっても嬉しいわ!」
「うんっ! ボクも日頃の感謝を込めて、久しぶりに気合入れて作っちゃうよ!」
「はい、みなさんでちからをあわせて、いいものをおおくりしましょう!」
おー! と、布団の中で小さく拳を振り上げた三人。
贈り物、贈る場所、どちらも決まり、今日の目的を達成した三人は、布団の中で微笑み合った。
「あ、あのね、マレーネ……さん!」
と、そんな中、クレアが控えめに声を上げる。
「はい、なんですか、くれあさま」
「うっ……えっと、その……」
何か言いたげにちらちらとマレーネを見るクレア。
「どうかされましたか?」
「すーはー……。えっと! 突然かもだけど……マレーネって、呼んでもいいかな……?」
上目遣いに見つめるクレアに、マレーネはまぁと驚く。
「もちろん、かまいませんわ。ふふ、まれーねですか。うれしいですわ」
昔にもそう呼ばれたことがあったのだろうか。そんな事を思いながら、マレーネはこくんと頷いた。
「そ、それから! ボクの事は、その……クレアって呼んでくれると嬉しいなって!」
「わかりましたわ。くれあ、ですわね、くれあさま」
「あ、うん! ……うん?」
「どうかされました? くれあさま」
「あ、えっと……クレアね?」
「はい、くれあ、ですね、くれあさま」
「うぅ……」
笑顔で見つめるマレーネに、クレアはがくりと肩を落とす。
「むー、何だか二人だけずるいわ!」
と、そんな二人を見守っていたアンネエルカが布団ごとばっと立ち上がった。
「私もアンネって呼ばれたいし、マレーネって呼びたいもの!」
グッと拳を握り力説するアンネエルカは、伺う様にマレーネを見る。
「えっと、マレーネ……さん、どうかしら」
「はい、もちろんかまいません。おふたりになまえをよんでいただけて、うれしいかぎりですわ」
「本当? よかった……私だけ断られたらどうしようかと思ったわ」
「よかったね、アンネ」
ほっと胸をなでおろすアンネエルカを、クレアが笑顔で祝福した。
「えっと、それじゃ……マレーネ」
「はい、あんねさま」
「あ、あの……アンネ、ね?」
「はい、あんね、ですわね。あんねさま」
「あ、うん……アンネよ?」
「ええ、あんね、ですわ。あんねさま」
「あ……うん」
ニコニコと微笑むマレーネに、アンネエルカががっくり肩を落とした。
「ふふ、これでみんなけいしょうなしですわね。うれしいですわ」
「うん! これからも、よろしくね! えっと、クレア、マレーネ! ……やっぱり、まだちょっと恥ずかしいかも」
えへへ、と嬉し恥ずかしそうに舌を出すアンネエルカ。
「あはは、呼ばれるのもちょっとこそばゆいね。でも、アンネにマレーネか。えへへ、嬉しいな」
クレアも照れ笑いで答えた。
「はい、うれしいです。これからもよろしくおねがいしますわ。あんねさま、くれあさま」
満面の笑みでそういうマレーネに、二人は顔を見合わせ苦笑したのだった――。