記録 1

ディレイン・オールドケイジディレイン・オールドケイジ更新 2024年10月10日 12時24分26秒

おじさんの旅の記録

記録 1
⚫︎10の月7の日 晴れ

 だいぶ深い森、その中を通るぎりぎり荷車が通れるくらいの道を抜けた。程なくしていい感じの集落に到着。澄んだ水の流れる川と、肥沃で平らな土地。よその集落との行き来に難はあるんだろうけど、自給で需要の大半が自足できているようだ。
 折よく、収穫祭の最終日だってことで、夕食はご相伴に預かることになった。久しぶりの客人、それも医者なもんだから大歓迎を受けて、肉でも野菜でも酒でも好きなだけどうぞときた。ありがたい。でもこれ多分、前払いってことだよね。
 食べる間にも、かたわらから子供たちがきらきらした目で見上げてきた。冒険者で力を合わせて魔物を倒した話。ペット自慢コンテストの話。他にもいろいろ、せがまれるまま、就寝時間だからと母親たちが迎えに来るまで語ってみせた。
 子供がいなくなれば大人の時間。もう少しだけきな臭い話や政治の関わる話もちょっとして。お返しに集落の成り立ちだとか周辺の植生なんかの話、夫婦間の愚痴争いを肴に、酒を傾け、肩を組んで笑い合った。

⚫︎10の月8の日 晴れ時々曇り

 目が覚めたら、ほか数名とともに床の上で転がっていた。身体中がばきばきで痛む。かかっていた毛布を住人に返却しつつ礼を言う。
 いい酒だった。あれだけ飲んだのに二日酔いどころか頭が逆にすっきりしていた。
 川で顔を洗い、寝かせてくれた家で朝食までもらい、さすがに仕事する気になった。まあ例に漏れず老若男女、体にいろんな気掛かりのある人たちがよく集まってくれるものだ。とはいえこの集落は栄養状態も衛生状態も悪くないから、大きな病気の人はいなくて、老いや季節の変化に伴うものが目立った。それでも、話を聞いて「それはこういうものだ」と示してくれる、ってだけで違うんだろう。気の持ちようっていうのは全くないわけじゃない。

 午後になって、森に入っていた狩人たちが帰ってきた。普通の動物ではありえない足跡を見つけたとかなんとか。明日にでももう少し人数を集めて確認に行くらしい。最終的には冒険者ギルドへ頼むことになるかもしれないけど、一宿一飯どころじゃないし、ついていくことにした。
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0