幕間
ディレイン・オールドケイジ更新 2024年01月22日 14時29分34秒
SS
最終決戦前の
「はあぁぁぁあーー…つっかれたぁぁあぁぁ…」
かろうじて足の踏み場を残す自室を進み、寝台に突っ伏した。ばふん、と絶大な包容力を持つ高級寝具が受け止めてくれる。ダンジョンに何度も潜るのは面倒だったが、やっておいてよかったと、すでに閉じた瞼の裏で考える。
(…浸けといた薬草、今日で5日だっけか。そろそろ一度確認しないとだなぁ)
物は多いが整頓だけはされている机、その上で静かに時を待つガラス器具。中は薄緑色の液体で満たされ、貴重な類の薬草が沈んでいる。
実験を開始するだけして、冒険者として受けた依頼の遂行に出かけていた。よくある魔物退治で、自身の能力的にも同行者の顔ぶれ的にも、危なげなく終わった。今回は。
このところ、依頼を完了させては自宅で実験し、多少の休息をとってからまた別の依頼へと出発する、そんな日々を過ごしている。もともと医療行為に必要な器具類は多く、しかし清潔さは保っていたのが、最近は掃除すら最低限だ。
こんな部屋を養母に見られたらどんな小言が飛んでくるか。
記憶に残る怒鳴り声に、口元が弛んだ。
――焦りがあるのだろう。さすがに全く自覚していないわけではない。
世界の変化が加速している。冒険者にもたらされる依頼も難度と危険度が増している。戦う相手の質も違う。対して、冒険者側も、いや、ひとの側も、力をつけてきた。強力な武具もある。が、だからといって安心できようか?
(絶対にない、とは、言い切れない)
ひとを超えたもの。ひとではないもの。そんな相手の動きを読みきれるか。対応しきれるか。
無傷で済むはずはない。それはそうだ。命が危ぶまれる。それもそう、当然の相手だ。それでも向かうのが、…向かってしまうのが、《彼ら》だから。
(…………もう、二度と)
乱暴に瞼をこする。両の頬を手のひらで張る。重く沈んでいた体を、勢いつけて寝台から跳ね起こし。机に向かう。
まずはできることを、着実に。
手元が暗くなる頃合。器具から薬草を取り出す前に、ランタンに火を灯すことにした。
かろうじて足の踏み場を残す自室を進み、寝台に突っ伏した。ばふん、と絶大な包容力を持つ高級寝具が受け止めてくれる。ダンジョンに何度も潜るのは面倒だったが、やっておいてよかったと、すでに閉じた瞼の裏で考える。
(…浸けといた薬草、今日で5日だっけか。そろそろ一度確認しないとだなぁ)
物は多いが整頓だけはされている机、その上で静かに時を待つガラス器具。中は薄緑色の液体で満たされ、貴重な類の薬草が沈んでいる。
実験を開始するだけして、冒険者として受けた依頼の遂行に出かけていた。よくある魔物退治で、自身の能力的にも同行者の顔ぶれ的にも、危なげなく終わった。今回は。
このところ、依頼を完了させては自宅で実験し、多少の休息をとってからまた別の依頼へと出発する、そんな日々を過ごしている。もともと医療行為に必要な器具類は多く、しかし清潔さは保っていたのが、最近は掃除すら最低限だ。
こんな部屋を養母に見られたらどんな小言が飛んでくるか。
記憶に残る怒鳴り声に、口元が弛んだ。
――焦りがあるのだろう。さすがに全く自覚していないわけではない。
世界の変化が加速している。冒険者にもたらされる依頼も難度と危険度が増している。戦う相手の質も違う。対して、冒険者側も、いや、ひとの側も、力をつけてきた。強力な武具もある。が、だからといって安心できようか?
(絶対にない、とは、言い切れない)
ひとを超えたもの。ひとではないもの。そんな相手の動きを読みきれるか。対応しきれるか。
無傷で済むはずはない。それはそうだ。命が危ぶまれる。それもそう、当然の相手だ。それでも向かうのが、…向かってしまうのが、《彼ら》だから。
(…………もう、二度と)
乱暴に瞼をこする。両の頬を手のひらで張る。重く沈んでいた体を、勢いつけて寝台から跳ね起こし。机に向かう。
まずはできることを、着実に。
手元が暗くなる頃合。器具から薬草を取り出す前に、ランタンに火を灯すことにした。