【帝国】帝国奪還連動 帝都決戦編

エフレム

殿下……、御怪我は……。

レイウェスト・バルダス

私は無事だ。……エフレム、なぜ私に応えた。そなたは幽界樹跡の穴を塞ぐと……!

エフレム

拙は……殿下の御心のままに。殿下が望まれたならば参じるが使命です。全ては、殿下の御為に――っ……

レイウェスト・バルダス

もう話すな、エフレム。
……私は、彼の竜と決着をつけねばならぬ。この世界を守らねばならぬ。
そなたの罪を問うはその後だ。だから――

エフレム

……。

レイウェスト・バルダス

決して死ぬな、エフレム。

「【帝国】決戦:未来への嚆矢」リプレイと特別褒賞・負傷者一覧が公開されました!

征竜、ヨゼフ、溢れ出る無数のクリーパー。
世界の命運を賭けた最後の戦いが始まろうとしています――
(12月19日 「【帝国】決戦:混沌の夜明け」 シナリオリリース!)

assignment【帝国】帝国奪還連動 帝都決戦編 概要

「【帝国】帝国奪還連動 帝都決戦編」では、シルトラース帝国第八皇子レイウェスト皇子を旗頭とした帝国軍および彼を支持する国々の支援から成るロスガリア大陸連合軍による、帝都シルトラース奪還作戦を扱います。

assignmentここまでの流れ

『預言の魔女』オペラは、帝国皇帝ヨゼフ・バルダス一派と征竜が帝都に現れる夢を見た。ヨゼフは娘イダを倒し、征竜の力を利用して悲願たる大陸制覇を成すために。征竜は創造神の創りし世界の理を変え得る『超越者』イダ、エフレム、そしてエフレムを思うままに動かし得る者として危険視するレイウェストを滅し、人の数を神代と同等まで減じるために。イダの居城と化した帝都を目指す。
帝都奪還を目指すレイウェストの前には、黒い霧を吐き仔を操る『天霧りに消ゆる幽界樹』、人の心を失い人の世を乱す祖父と母、更には人の世の繁栄を恐れ人を粛清せんとする征竜までもが立ちはだかる。
シルトラース帝国、リーンエス王国、エラトゥーン都市同盟、ディズル大湿地帯、辺境都市群、ゴールディ、フィルエス大森林、ドワーフ王国、シグモル火山帯は「ロスガリア大陸連合軍」を成し、帝都シルトラース奪還へと動き出した。
(11月29日追記)
帝都奪還作戦の準備は順調に進み、ついにオペラが夢に見た11月末を迎えた。帝都まで進軍したレイウェストらロスガリア大陸連合軍は、南下した征竜と東進してきたヨゼフ一派と出会う。両者はイダ・バルダスおよびその配下の幽界樹の打倒を優先することで合意。各国援軍、そして人類との共闘を決め帝都に駆け付けた『聖地』のケンタウロス戦士らが支援する中、クライス・アクバーの本格式凝黒装置が稼働を開始。行く手を阻む黒い霧を減じながら、レイウェストらは手勢と冒険者を伴い帝都へ突入する。
(2023/12/18追記)
幽界樹は人類の猛攻を受けて斃れ、帝都に満ちていた黒い霧と幽界樹の仔と共に消えた。しかし、幽界樹跡地の大穴は塞がらず、アストラル界からクリーパーが溢れ出ようとしている。
一方、ヨゼフより早くイダを発見し戦いの舞台に登場させる事に成功したレイウェストは、最後となろう母子の対話を行う事が出来た。単独でイダへ挑む機を逸したヨゼフは、征竜に騎乗しイダの操るクリーパー群を強襲。神々にも匹敵する者達の人智を超えた戦いを前に、ヒトの域を超えぬ授恵者達は介入の機すら掴めず、己の身を護る事で精一杯であった。 その時、メドゥの右腕と左腕が飛来し、ヨゼフを攻撃。ヨゼフは征竜の背から落とされ、地上でアシムベートやマクシミリアンらと対峙することになる。
他方、征竜とイダの戦いは、レイウェストを救うべく現れたエフレムの攻撃によって状況が一変した。レイウェストへ殺意を向けた征竜の隙をつき、超越者イダは「美しき世界が永遠に続く事」を願って最後の階梯を昇る。イダの愛する「美しき世界」を破壊し得る唯一の存在たる征竜は、己の肉体に只ならぬ異変を感じながらもレイウェストを抹殺せんと動く。征竜を敵とする超越者クジンリーネ、メドゥの左腕が加勢し、ついに人類と征竜の決戦が始まった。 その頃、帝都中央には吸血鬼の神であるメドゥの右腕が降り立っていた。エフレムにかわり大穴を塞ぐと言う彼とウィリアムの目の前で、無数のクリーパーと巨大な触手が溢れ出す。

assignment決戦の概要

戦域1:帝国皇帝ヨゼフ・バルダス討伐
友軍:アシムベート・グリオウ、マクシミリアン・ミルド、帝国軍、リザードマン兵、王国軍
敵軍:ヨゼフ・バルダス、中~大型クリーパー

戦域2:征竜打倒
友軍:レイウェスト・バルダス、バルディオン、クジンリーネ・バルダス、メドゥの左腕、帝国軍
敵軍:征竜、中~大型クリーパー

戦域3:天霧りに消ゆる幽界樹跡
友軍:ウィリアム・リーンエス、メドゥの右腕、王国軍、帝国軍
敵軍:無数のクリーパー、超大型クリーパーの触手

assignment連動スケジュール(予定)

2023/11/29 決戦特設ページ公開
2023/11/30 「【帝国】決戦:未来への嚆矢」  オープニング公開
2023/12/18 「【帝国】決戦:未来への嚆矢」  リプレイ公開
2023/12/19 「【帝国】決戦:混沌の夜明け」 オープニング公開
2024/01/11 「【帝国】決戦:混沌の夜明け」 リプレイ公開

person_pin関連NPC

亡国となった帝国の皇族の、唯一と思われていた生き残り。皇帝ヨゼフとその子女である第三皇女イダとの間に生まれた生粋の皇族と言われていたが、実際はリザードマンの大酋長アシムベートとイダの間の息子であった。大陸一の美姫と謳われた母譲りの長く、美しい髪と気難しげな真紅の瞳の持ち主。エフレムとともに帝都から脱出して以降、帝国復興のために周囲の協力を得ながら奮闘していた。ヴィント奪還作戦に於いてエフレムに不審を抱き、帝国滅亡の真相を問いただした結果、彼と袂を分かつこととなった。

《本連動での動き》

帝国軍およびロスガリア大陸連合軍の旗頭として、帝都奪還作戦に挑もうとしている。
(11月29日追記)
帝都内へ突入し、皇妃イダ・バルダスの討伐を目指して捜索を行う。
(2023/12/18追記)
自身の抹殺と人類の粛清を実行せんとする征竜との決着をつけようとしている。

帝国南部の守りの要『ヴァイセントラフ砦』と南部の経済的中心『帝国南部鎮守都市ヴィント』をレイウェスト皇子から任された帝国の重鎮。帝国崩壊時に妻と息子バルディオンJrを亡くし、その後アンデッドと化した息子と対峙することになった過去を持つ。帝国崩壊以降、将軍としてレイウェストに仕え、陰日向になり支えてきた。

《本連動での動き》

皇帝ヨゼフの生存により忠誠心の置き所を迷う事もあったが、レイウェストを主君と定め、帝都奪還作戦に挑もうとしている。
(11月29日追記)
レイウェストと共に帝都内へ突入し、皇妃イダ・バルダスの討伐を目指して捜索を行う。
(2023/12/18追記)
主君レイウェストの抹殺と人類の粛清を実行せんとする征竜との決着をつけようとしている。

帝国北部鎮守都市「オルセン」の太守兼将軍である若きハーフリング。代々太守を拝命する名門マフダル家の長で、弓の腕も高いが軍を動かす方が得手な頭脳派。ほぼ孤立状態かつ厳しい環境にありながらも多くの人口を抱えるオルセン太守として、都市を守り民を食わせることを最優先してきた。征竜に対する人類の盾として北を守ってきた自負もある。これまでレイウェストらヴィント勢に合流して兵を動かす余裕はなかったが、帝国民を救う為にもっとも粉骨砕身の努力をしてきたレイウェストを正当に評価し、冒険者の尽力やオルセンの状況変化も受けて、帝都奪還作戦に兵を出すことを決める。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦に向けて、帝都の北側へ兵を送る事を表明している。
(11月29日追記)
帝国北部方面軍を率いて帝都の北側に到着。陽動を行い、城壁内から現れる敵および周辺地域から襲来する敵に対応する。

シルトラース帝国近衛連隊出身の元軍人で帝国魔導院エスタル支部長。最愛の妻と娘を帝国崩壊時に失って以後しばらくは攻撃性の塊のような時期もあったが、現在は生来の子供好きの性格が復活し、他人の子供の世話を焼いていることが多い。幽界樹の最大の脅威である【黒い霧】への対策として『凝黒紋具』を、幽界分樹発生の対策として龍脈異常探知装置『状捜楔』を制作した。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦に向けて、凝黒紋具「本格式凝黒装置(大型)」20基の輸送を行う。
(11月29日追記)
本格式凝黒装置の運用を指揮しながら帝都内へ突入し、幽界樹の伐採を目指す。
(2023/12/18追記)
本格式凝黒装置の運用を終え、術師達の退避や負傷者の後送の指揮をとっている。

40代程のヒューマンの男性。シルトラース帝国近衛連隊長として最強の戦士とされ、滅亡前の帝国では四方将軍の上席にあり、帝国軍人の頂点であった。【泥乱】連動においてヨゼフ・バルダスより切り捨てられ、現在はレイウェスト皇子に協力している。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦に向けて、橋頭保となり得る拠点確保を行う。
(11月29日追記)
帝都内へ突入し、幽界樹の伐採を目指す。
(2023/12/18追記)
部下であった帝国近衛連隊の仇たる皇帝ヨゼフとの決着をつけようとしている。

現シルトラース帝国皇帝。幼少期より皇帝になるために切磋琢磨し、皇位継承以前から周辺国家や兵士たちへと積極的に介入し、来るリーンエス王国との決戦に備えていた。武力をもって大陸を統べる夢を見、娘イダの異能を利用してアシムベートを篭絡し、王国に攻め入る直前まで準備していたが、イダとエフレムによる幽界樹出現で覇道を阻まれた。民も国も失った今でも「大陸制覇」に固執し、それしか見えていない。レイウェストとはイダ打倒までの消極的共闘を約束しているほか、イダを倒しその後の大陸制覇にも利用するため征竜とも同盟を結んだ。

《本連動での動き》

11月末に征竜を伴い、帝都に現れる事がオペラにより預言されている。
(11月29日追記)
レイウェストや冒険者とは別行動ながら、帝都内へ突入し、皇妃イダ・バルダスの討伐を目指して捜索を行う。
(2023/12/18追記)
帝都内の地上にて、アシムベートやマクシミリアンらと対峙している。

シルトラース帝国現皇帝ヨゼフ・バルダスの第三皇女であり、皇妃(側室)でもある女性。第八皇子レイウェスト・バルダスの実母であり、『大陸一の美姫』と謳われた美貌の姫だが、ヨゼフ帝と婚姻し成人とされた後の彼女の姿を見た者は極端に少ない。1220年の夏、エフレムに命じて『天霧りに消ゆる幽界樹』を召喚させ、帝国を崩壊させた人物。人を超えた『超越者』となり、独善的に『美しい世界』を追い求めている。美を極めた末の異能『魅了』によって帝都の幽界樹と多数のクリーパーを支配下に置いているようだ。

《本連動での動き》

オペラの『夢の神』として神託を授けていた人物である事が判明。征竜およびヨゼフとの戦いに備え、幽界樹に力を蓄えさせているようだ。
(11月29日追記)
帝都内のどこかに潜み、クリーパーを操作しているようだ。
(2023/12/18追記)
美しき世界の永遠の維持を願い、神となった。

皇子レイウェストの護衛騎士。現在、イダと並んで最も神に近い超越者。護衛騎士の中で唯一のリザードマンであること、クリーパーを召喚し支配することを得手とする《召喚術》の達人であること、そして寡黙に過ぎる性格から『語らずの智者』の異名を持つ。亡国の騎士となっても単身で各国の介入からレイウェストを守る忠義の人物……と思われていた。ヴィント奪還作戦における不自然な立ち回りから、レイウェストに帝国崩壊の引き金を引いたのが彼であると看破され、袂を分かつこととなる。

《本連動での動き》

レイウェストの元を去った後も、ドワーフ王国への助力の対価としてレイウェストへの支援を取りつけ、レイウェストが滞在していた王国の危機に際してはクライスに助言して龍脈異常探知装置『状捜楔』を完成させていた事が判明している。
(11月29日追記)
幽界樹伐採後にアストラル界に通じる『穴』が生じる可能性を懸念し、それを塞ぐために力を溜めている。帝都中央、幽界樹の幹の近くのどこかに居るようだ。
(2023/12/18追記)
幽界樹跡の大穴を塞ぐ準備をしていたが、忠誠を誓うレイウェストの声に応えて征竜を攻撃。反撃により瀕死となっている。

四対八眼の金眼に多数の角、六対十二枚の翼を持つ、いわゆる西洋竜の形状をした生物。創造神が世界を造った際に『世界の守護者』として生み出された竜たちの最後の生き残り。創造神が造った世界に変革をもたらす『昇神』を快くは思わず、ドン・ゴーフルと同時代にエフレム、イダと昇神が続きかねない状況と、力なきレイウェストがエフレムを意のままに昇神させ得る「人という生物ゆえの欠陥」を危険視。彼らの殺害を決める。同時に、神に至れる超越者が増えた原因はヒトの数が増えすぎた事と考え、自身の理想とする神代の数まで減じることを宣言。イダの打倒という点で利害が一致し、ヨゼフと同盟を結んでいる。

《本連動での動き》

11月末にヨゼフを伴い、帝都に現れる事がオペラにより預言されている。
(11月29日追記)
レイウェストを殺害しようとするもヨゼフに制止され、帝都の城壁の一角でイダ・バルダス発見の時を待っているようだ。
(2023/12/18追記)
イダの昇神により、美しき世界を破壊し得る唯一の存在と見なされ、守護者としての在り方を『書き換えられた』。それでもレイウェストの抹殺と人類の粛清を己の使命とし、実行せんとしている。

「必ず的中する」予知夢を見ると証明された女性。帝国崩壊の夏以降、予知の範囲はロスガリア大陸全土にわたり、夢の中に「白い鳥」が現れることが彼女の予知夢の特徴である。彼女はそれを神の預言であると信じ、世界中の人々を救うべく予知夢の情報を冒険者ギルドへ提供していた。

《本連動での動き》

11月末に征竜とヨゼフが帝都に現れる予知夢を見、同時に夢の神の正体がイダである事を知った。その後も予知夢は見続けているようだ。

ウィリアム・リーンエス王子の妹にあたるリーンエス王国第一王女。人形のように可憐な容姿からは想像もつかない行動力と気の強さで、周囲を驚かせることもある。現王家唯一の王女であり、国王や王太子、ウィリアム王子の寵愛を一身に受ける影の女王。レイウェストの婚約者であり、未来の帝国皇妃として彼を支える立場である。

《本連動での動き》

レイウェストらと共に世界樹の元を訪れた。帝都奪還作戦では後方拠点の将として出陣するつもりのようだ。
(11月29日追記)
古砦都市シャルトに残り、後方拠点の将として負傷者の対応などの指揮を行う。

リーンエス王国の第二王子。文武ともに優れた才能を有した《授恵者》であるが、王族らしからぬ軽薄さ故に近親以外の王族からは見下され、対立する貴族からも「毀れ者(こぼれもの)」と揶揄されている。王国の代表として冒険者ギルド本部のあるリブラネスタに派遣されているが、本人はこれ幸いと市井を味わっていた。国策によりバデーニ公爵家への婿入りを予定しており、独身生活に終止符を打とうとしている。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦ではリーンエス王国軍の主将として出陣するつもりのようだ。
(11月29日追記)
帝都内へ突入し、幽界樹の伐採を目指す。
(2023/12/18追記)
幽界樹跡の大穴から溢れ出るクリーパーや巨大な触手を食い止めるべく戦う。

ディズル大湿地帯の最大派閥であるギシュム族の酋長。ギシュム族が泥血啜る月吸蟲を封印している一帯の管理を担うことから、大酋長とも呼ばれる。武威ばった人物ではあるが、人柄は良く義理堅い。帝国近衛騎士になったエフレムの兄貴分でもあり、マナズィールも共にしたことがある。かつてイダの異能を知るヨゼフの策により彼女と出逢い、盲目的かつ一方的な恋をした末に子レイウェストが誕生。王国との開戦に向けて同盟を結ぶに至った。

《本連動での動き》

レイウェストらと共に世界樹の元を訪れた。子であり同胞であるレイウェストを支持し、援軍を率いての帝国入りを表明している。
(11月29日追記)
帝都内の南西城壁付近にて、征竜の動向を監視しながらクリーパーや幽界樹の仔に対応する。
(2023/12/18追記)
かつてイダの異能を利用し己を策にはめた皇帝ヨゼフとの決着をつけようとしている。

フィルエス大森林のエルフの最古老の一人であり、まとめ役。かつて『灰火』の族長も務めていた。部族間のもめごとなどが起きた際に調停にあたったり、他国や他種族に対してはフィルエス大森林を代表した立場で外交を行うこともある。

《本連動での動き》

レイウェストらと共に世界樹の元を訪れた。帝国へ援軍を送るにあたり、各氏族間や帝国、冒険者ギルドなどとの調整を行う。

リーンエス王国とシルトラース帝国の辺境を預かる王国貴族。王国内ではアーチボルト辺境伯と呼ばれることが多い。王党派貴族の若手筆頭としてもその名を知られているが、知名度に比して社交界への露出が少なく。軍を率いれば優れた将だが王国貴族に蔓延する権謀術数には疎い。

《本連動での動き》

主にリーンエス王国北方貴族の兵で構成される『王国外周部隊』を指揮し、帝都の南で陽動や退路確保を行う。

第三代シルトラース帝国皇帝であり、『首刈帝』の通称で呼ばれた女傑。長い銀髪を後に纏めた紅眼の女性で、征竜の骨でつくられた『首刈宝剣【零の剣:姫妖】』を有する。長き眠りの後、帝国北部鎮守都市オルセンを帝国滅亡時の幽界樹の出現とその後の混乱から救い、絶大な感謝と敬意を向けられている。また、人知れず帝国都市ダルトートの幽界樹へ単身で挑み、瀕死の状態に追い込んだが最後の止めを欠き、後の暴走を招くなどうっかりした面もある。しばらく「謎の旅人クーネさん」を名乗っていたが、最終決戦を前に正体を明かした。

《本連動での動き》

帝国軍に協力し帝都奪還作戦に参加している。超越者である彼女の『目的』たる「征竜の討伐」を成すべく、仕掛ける機会を窺いながら今は目立たぬよう行動しているようだ。
(2023/12/18追記)
超越者としての『目的』である征竜の打倒を目指してレイウェストに加勢した。

人類未踏とされていた極北地帯からきたという少女。極北生まれの極北育ちで、森で育ったエルフたちとは全く異なる価値観を有している。【極北の征竜】の耳目としての役割を持つ《征竜の巫女》であり、世界を巡って冒険者ら多くの人々と交流した。征竜が人類の粛清を宣言しても深い信仰心を捨てることはなく、かつての征竜の巫女であるメドゥの左腕から【国崩しの征竜】がシル・ウァキア平原帝国を滅ぼした際の暴挙や【極北の征竜】がそれを見捨てた事実を聞かされてもなお、忠実な征竜の巫女であり続けようとしている。

《本連動での動き》

帝都へ現れた極北の征竜のもとへ駆け付け、襲い来る幽界樹の仔やイダ配下のクリーパーと戦う。
(2023/12/18追記)
幽界樹の仔やイダの配下から征竜を守り抜くも、征竜から言葉をかけられる事もないまま負傷し、保護された。

メドゥの指先の大幹部。神代の終わりに昇神し「吸血鬼」を生んだ神であり、血を媒体とする混沌魔術の使い手でもある。常に楽しげに振る舞う彼だが、よく見れば作った笑顔であることもわかるだろう。征竜との共闘に反発した左腕と行動を共にし、ヨゼフ一派から距離を取った。左腕とは長い縁であるようで、相互に協力する場合もあるようだ。神代の英雄ジド・ルウの盟友であったこと、昇神により吸血鬼種族を生んだのは故意ではなく『世界の理の書き換えの失敗』であったらしいことが判明している。メドゥの指先では、ジド・ルウの目標だという『世界の真実』を人々に気付かせる手伝いをしているようだ。

《本連動での動き》

メドゥの左腕が確実に征竜を打倒できるよう、彼女の行動を制御しているようだ。今はまだ動く様子がない。
(2023/12/18追記)
エフレムにかわり、幽界樹跡の大穴を塞ぐべく力を高めている。

メドゥの指先の大幹部。飛行術を用い、また世界の障壁の裂け目を広げる儀式なども知っている無感情な女性。右腕とは長い縁であるようで、相互に協力する場合もあるようだ。シル・ウァキア平原帝国の滅亡以前に【極北の征竜】から世界へ送り込まれた元征竜の巫女であり、同帝国の民を虫けらのように焼いた【国崩しの征竜】の暴挙と、それを見捨てた【極北の征竜】に深く失望した過去を持つ。超越者である彼女の『目的』は「征竜の打倒」であるという。右腕とは長い縁であるようで、彼の言葉には耳を貸す場合もあるようだ。

《本連動での動き》

確実に征竜を打倒できるよう、メドゥの右腕と共に身を隠しているようだ。今はまだ動く様子がない。
(2023/12/18追記)
超越者としての『目的』である征竜の打倒を目指してレイウェストに加勢した。

menu_book関連用語・情報

ロスガリア大陸連合軍(11月29日追記)

帝都奪還作戦に参加する全ての国家の連合軍。 帝都奪還、イダ・バルダス打倒、ヨゼフ・バルダス打倒、幽界樹伐採、征竜との対決など、を目標に、レイウェスト率いるシルトラース帝国軍は帝都へ進軍する。リーンエス王国、エラトゥーン都市同盟、ディズル大湿地帯、辺境都市群、ゴールディ、フィルエス大森林、ドワーフ王国、シグモル火山帯はそれを支持し、援軍派遣、物資や資金の支援など様々な手段で協力する。
(11月29日追記)
 帝国軍および各国の援軍・支援部隊は概ね以下の布陣・役割を担う。

 【シルトラース帝国】
 ・帝国北部方面軍:帝都の北に布陣し、陽動および周辺地域から襲来するクリーパーに対応。
 ・帝国南部方面軍『外周部隊』:帝都の南から東に布陣し、陽動および周辺地域から襲来するクリーパー対応、退路確保を行う。
 ・帝国南部方面軍『突入部隊』:帝都の南東から帝都内に突入し、イダ・バルダス捜索と幽界樹伐採に分かれる。

 【リーンエス王国】
 ・王国軍『外周部隊』:帝都の南から東に布陣し、陽動および周辺地域から襲来するクリーパー対応、退路確保を行う。
 ・王国軍『突入部隊』:帝都の南東から帝都内に突入し、幽界樹伐採を行う。

 【エラトゥーン都市同盟】
 援軍の派遣はないが、冒険者への報酬を含む資金提供や食糧・武器防具など物資提供の形で支援を行っている。

 【ゴールディ】
 ・ブラックデス授恵者部隊:帝都への突入支援や後方支援、退路確保を行うべく、他国の軍に混じったり、隙間を埋めるような形で帝都の外周に広く布陣している。

 【ドワーフ王国】
 授恵者および非授恵者兵向けの武器防具を多数提供しているほか、対邪竜武器の貸出とそれらを運用するための人員の派遣を行っている。

 【辺境都市群】
 物資提供による支援のほか、帝都偵察時からシャルガネ居住区のシノビ部隊が派遣されている。

 【シグモル火山帯】
 本格式凝黒装置20基を稼働させるための術者として、神官や神徒を大量に派遣している。

 【フィルエス大森林】
 授恵者エルフ戦士部隊:帝都への突入支援や後方支援、退路確保を行うべく、他国の軍に混じったり、隙間を埋めるような形で帝都の外周に広く布陣している。

 【ディズル大湿地帯】
 物資の支援のほか、寒さに耐えられる授恵者リザードマン部隊を派遣している。
 ・授恵者リザードマン部隊:帝都内の南西城壁付近にて、征竜の動向を監視しながらクリーパーや幽界樹の仔に対応する。

天霧りに消ゆる幽界樹

帝都崩壊事変に際して帝都の中央に現れた樹木型の超大型クリーパー。同種と思われる樹木型のクリーパー(幽界分樹)が同時に帝国各地の主要都市に出現し、帝国の崩壊の引き金となった。
帝都の幽界樹が本体であるか、それとも地中やアストラル界などに真の「本体」が存在するのかは判明していない。
エーテル能力の低い者の感覚を著しく阻害する黒い霧を都市を覆う規模の広範囲に吐き出す事、木の実にも見える自身の一部を他種のクリーパーに植え込んで『幽界樹の仔』とし、同調、操作することがある。また、自身の分身である新型の『仔』を生み操る能力も得た。
かつて討伐された幽界分樹の例でいえば、特殊能力の強大さと裏腹に、幽界樹自体の攻撃手段は根状の巨大器官で地下から突き上げるもの、葉状の物を全周囲にまき散らすものなど『比較的』貧弱であった。
大地のエーテルを吸い上げ糧とする性質があり、帝国全土と王国北部に不作をもたらしている。現在はイダの意向を受け、ヨゼフと征竜との戦いに備えて急速にエーテルを吸収し力を蓄えているようだ。
(11月29日追記)
現在は帝都の城壁付近まで枝葉を茂らせ、新型の幽界樹の仔を殖やして戦闘に備えているようだ。
(2023/12/18追記)
冒険者およびウィリアム、マクシミリアン、クライス、帝国軍、王国軍によって伐採され、消滅した。

帝都シルトラース

帝国最大の都市にして帝国滅亡の発端となった首都。一辺10kmの方形大城壁に囲まれた難攻不落の都市であった。近衛騎士エフレムが召喚した『天霧りに消ゆる幽界樹』によって全域を濃い黒霧に覆われており、力なき者の侵入を拒んでいる。幽界樹の仔など多数のクリーパーが跋扈し、城壁に近づく者にもそれらは襲いかかる。
市内には皇妃イダ・バルダスが居るとされ、幽界樹をはじめとしたクリーパーが彼女の支配を受けていると推測される。
(2023/12/18追記)
幽界樹の消滅により黒い霧と幽界樹の仔も消え、荒野となった街を晒している。

超越者

授恵者のようにエーテルの扱いに長けた者は、人の身のまま神へ至るための階梯を昇っていくという。神に至る直前の階梯まで達した存在は「超越者」と呼ばれ、人間の枠を超えたような強大な能力を得るようだ。しかし、階梯を昇るにつれてその個人は徐々に変質していき、一つの目的しか見えなくなるとメドゥの右腕によって語られた。

昇神

超越者となり、神へと至る階梯を昇り切った者の一部は、自身の存在の在り方を変え、神に成ることができるようだ。かつて「名もなき小鬼」がゴブリンをヒトへと変じたように、創造神が創った世界の理(ルール)を変え「新たな法則を産む」と共に「その法則に関わる神」となる。「名もなき小鬼」以外の例としては、昇神により吸血鬼を生んだとされる「メドゥの右腕」などが該当する。

世界樹

フィルエス大森林中北部にそびえる大樹。実は神代に創造神によって生み出された『大地の守護者』であり、征竜と並ぶ強大な力を持つ。現在は、その身をもって足下にあるアストラル界との境界の裂け目を塞いでいるため身動きはできない。フィルエス大森林のエルフに導きを与えていたハイアルヴの正体も世界樹である。
1220年夏の帝国崩壊直前ごろに異変を察知、様子を見に根を伸ばしたところ帝国皇女イダ・バルダスにより力を収奪され、ハイアルヴとしての能力も奪われた。回復を目指して大森林各地で異変を起こし、人類とケンタウロスの族長ルカンドラの助力を得てイダの干渉および大森林に侵攻中のヨゼフを退けた(【樹謂】連動)。その際にイダと幽界樹による世界の滅亡の預言を与え、人類とケンタウロスに彼女らの打倒を呼びかけ、そのために助力する旨を宣言した。
1223年秋、帝都奪還作戦を前にレイウェストらが世界樹を訪問。世界樹は『神に祝福されし授恵者達』へ自身の力を少しずつ分け与えると、自身はその身をエーテルに換えて足下の裂け目を塞ぎ、消滅した。

『聖地』のケンタウロス

『聖地』は複数の部族のケンタウロス達が住む土地で、場所はシルトラース帝国の東端。ドワーフ王国や辺境都市群に近い平原にある。彼らは神代の英雄ジド・ルウとの約束によりこの地を守っているという。
1222年初頭に聖地がメドゥの左腕の襲撃を受けたことによりケンタウロスの大移動(【人馬】連動)が起き、聖地とそこに住まうケンタウロス達、そしてエーテル石の存在が明らかとなる。聖地奪還戦においては冒険者が主戦力となり、ケンタウロスと帝国の停戦協定の締結に大きく貢献した。エーテル石はそれ自体が多くのエーテルを含有するが、紋具や神代の魔方陣などの触媒として用いた際の効果も極めて大きい。
【樹謂】連動の際には一部族の長ルカンドラが冒険者とともにフィルエス大森林の世界樹を訪れ、幽界樹により世界が滅亡するとの預言を聞いた。その後、【天馬】連動での交流も経て、聖地のケンタウロス達の人類への敵対感情はかなり薄れ、友好的関係を築けそうな段階にきている。
1223年秋、それまで明確な「不作」の影響が表れていなかった『聖地』周辺でも樹木や草木が生気を失っていく様子が確認された。人類との交流経験が豊富なランランとルカンドラ、ヌロブアの3名が帝国軍の駐屯所を訪れ、情報交換を行ったらしい。
(11月29日追記)
ランランやルカンドラらの尽力により、複数のケンタウロス部族の戦士たちが帝都奪還作戦の支援に駆け付けることとなった。帝都への突入支援や陽動、退路確保などを人類とともに行う。ハンドサイン等により簡単な意思疎通が可能となっている。

古砦都市シャルト

建国王イェーラウ・バルダスの時代に砦が作られた場所で、シルトラース帝国の地方都市の1つ。帝都シルトラースの南方に位置し、現在奪還済みの都市の中では最も帝都に近い。
帝国崩壊に伴い幽界樹が発生し瓦礫だらけの廃墟と化したが、クーネと冒険者を加えた帝国軍が奪還に動き、1223年春からの戦いで幽界樹を倒しクリーパーの掃討を行った。
ヴィントから帝都へ進軍する際の後方拠点・物資集積の中継拠点として利用される。
(11月29日追記)
後方拠点として整備され、物資の集積場所や追加の援軍の受け入れ、負傷者の後送先のひとつとして機能する。

本格式凝黒装置(凝黒紋具)

・大型:クライス・アクバーが制作した、エーテル石を内部に収めた紋具装置。大型は大きめの竈ぐらいの大きさで、荷馬車に積み込んで移動させる。幽界樹の吐き出す『黒い霧』を黒い結晶岩に変えることで空間から除去し、人間への悪影響を抑える。ただし、完全に除去できるわけでは無く、授恵者であれば多少の変調を覚える程度にまで抑えられるが、一般人にとっては不快さが残る。動作中は基本的に自動で作動するが、作動開始や停止などの操作には最低10人の術者が必要となる。最大効果範囲は直径約500m、最長稼働時間は2~3日と推定される。

・小型:大型と同様の効果をもつ、アクセサリー程度の小型紋具装置。術者は1人で良く、最大効果範囲は直径200m弱、最長稼働時間は1時間と推定される。
(2023/12/18追記)
帝都の幽界樹が伐採されたことにより、本格式凝黒装置はその役目を終えた。

 新暦1220年の夏、皇妃イダ・バルダスの願いを受けて『語らずの智者』エフレムが召喚した超大型クリーパー『天霧りに消ゆる幽界樹』。
 それは、一切の予兆もなく帝都を滅亡させ、龍脈を通じて国土全域に送り込んだ分樹によってシルトラース帝国の都市という都市をも破壊した、人類史上稀にみる凶悪かつ強大な存在だった。

 その幽界樹が、倒された。

 帝都全体を覆っていた枝葉と黒い霧は、無残に抉られた巨大な幹とともに消え。無数に蠢いていた幽界樹の仔らもまた、後を追うように次々と斃れていった。
 幽界樹が生えていた帝都中央にはただ、底も見えぬ巨大な大穴が残っているのみ。

 伐採を成した英雄達のひとりとしてその場に在ったウィリアム・リーンエスは、自身らの偉業を示すその光景を、信じられないものを見る目でしばし眺めていた。共に戦ったマクシミリアン・ミルド、クライス・アクバーとて同様だ。

 王国騎士か、帝国兵か――誰かが我に返ったように勝利を口にし、その周囲から膨れ上がるようにして勝鬨が上がる。
 しかしウィリアムとマクシミリアンの視線は、大穴の淵へ歩を進めたクライスと、彼の行く先に佇む白鱗のリザードマン、エフレムに向けられていた。

「エフレム師。――貴殿の懸念は、現実となったようですね」

 クライスがそれを言い切らぬうちにも、穴の底から獣の咆哮らしきものが響いてくる。何かが無数に蠢くような、這い上がるような、不気味なざわめきが近付いてきていた。

「……その穴はアストラル界に通じております。拙がこの身をエーテルに換え、塞ぐ他ありません」

 エフレムの全身が、仄かな光に包まれる。この時のために高め続けていた力の一部が、その身体から零れ出るかのように。

「……あの咆哮は相当な大物の気配だ。皆、気を抜かないでくれ」
「負傷者と凝黒装置の術師達は早急に帝都の外へ。クライス、指揮を頼めるか」

 湧き上がってくるクリーパー達の気配を察知し、ウィリアムとマクシミリアンは得物を構え直した。マクシミリアンの求めに頷きを返したクライスは、幽界樹伐採までに傷ついた者達と役目を終えた術師達を退避させるべく、後方へ向かう。

 幽界樹が斃れ、黒い霧が跡形もなく消え去っても。
 帝都中央の戦いは、まだ終わらない。

●
「母上。彼の皇帝ヨゼフが居らぬ今こそ、御話ししたい事がございます」

 帝都北西部。帝国皇子レイウェスト・バルダスは、荒野に集う大型クリーパーの狭間に美しき母の姿を見ていた。
 その表情を窺うには遠く、声を届かせるだけでも精一杯の距離。きっと母は微笑んでいるのだろうと、レイウェストは思う。

 皇帝ヨゼフ・バルダスは未だこの場に姿を現さず、両者は健在だ。彼らが相まみえる前にこうして母との対話を行うことが出来たのは、レイウェストにとって幸いだった。
 黒い霧が想定より早く晴れ、ヨゼフよりも先に母を見つけることができた。そして、怪物と化した母の前に姿を晒す決意も、冒険者に背中を押されなければ固められなかっただろう。

「まあ、レイウェスト。会いに来てくれたのね。後ろの皆さんはお友達だったのかしら? 私の味方ではないようだったけれど、せっかく来ていただいたのだから退屈しないようにと思って。少し楽しんで頂いていたのよ」
「……母上の味方ではありませんが、私の友です」
「そう。たくさんお友達がいるのね。素敵だわ。私の子に世界が味方しているのよ、母としてこんなに喜ばしいことがあるかしら」

 毅然として答えたレイウェストに、皇妃イダ・バルダスは鈴を転がすような声音で『喜び』を表した。

「……母上」

 超越者として高みに昇るほど、失われていく人の心。感情。
 喜びも悲しみも、怒りも恐れも、愛も憎悪も、ヒトの頂点に昇りつめた彼女の心には残っていまい。
 ただそこに在るのは、彼女が思う『美しき母と子』の姿。母であればこう振舞うべきと、彼女の中に在る『美』に従っているに過ぎないのだろう。

「それで、あの男(ヨゼフ)が居ない今だから話したいことって何かしら? きっと、彼はもうすぐここに来るわ。この美しい世界を破壊しようとする、征竜と一緒に」
「はい、母上。貴女はこれから、皇帝ヨゼフと征竜との戦いに臨まれる。ですが、幽界樹なき今、いくらクリーパーを寄せ集めようとも御一人でその両者に打ち勝つことはできぬでしょう。創造神より力を与えられた『世界の守護者』と、超越者が共に挑んでくるのですから」
「……私が負けると言うのね?」
「私はそう考えます。貴女も、わかっているからこそ自ら打って出ることは無かった。幽界樹の力を強め、『預言の魔女』を通じて我々に共闘を呼びかけ、それが叶わぬと察せば黒い霧と無数の仔に守られた帝都に身を潜め続けた。貴女は、あの二人に勝てぬ事を知っている」

 イダが、僅かに黒髪を揺らした。考える素振りすら見せず、彼女は鷹揚に笑う。

「それでも、私は戦わないといけないわ。この美しい世界を守るために」
「はい、私は母上を止めません。万が一にも運が味方すれば貴女が勝利する可能性もゼロではありません。ただ、貴女が勝とうと負けようと、貴女には――」

 一度言葉を切り、レイウェストは瞼を閉じた。
 深く息を吐きだして、紅い瞳で母を見据える。

「無数の国民を死に至らしめた罪深き皇族として、美しき最期を望みます」
「……それはどういう意味かしら」

 怒りを感じさせるでもなく、ただ不思議そうに、滅国の皇妃はか細い首を傾げた。

「国を滅ぼした皇族は、その命を以て罪を贖う事こそ美と考えます。例え最後に立っていたのが母上だとしても、この世界は貴女が存在し続ける事を美としない。また、仮に貴女が愚帝ヨゼフや人類の敵となった征竜に敗れたとしても、彼らに討伐の名誉を与える事は貴女の美にも反するでしょう」
「……彼らに殺されそうになったら自害を、彼らを殺したとしても自害を、と言っているのね。レイウェスト。確かに、あの男に私が殺されたら、名誉だけでなく力も奪われてしまうものね」

 花の顔(かんばせ)でにっこりと微笑んで、イダは紅い瞳で我が子を見返していた。

「ヒトは、自らの意志で美しき未来を掴みます。貴女は、この世界に居るべきではない」
「そう……あなたはそう思うのね。それも美しいわ」

 イダは、それ以上何も言おうとしなかった。
 ただ静かにレイウェストを見つめて、作りものの母の愛をその美しき顔に湛えているのみだ。

「私は……」

 レイウェストが再び口を開きかけたその時、イダの目が空を見上げた。

 風を切る轟音。
 脚がすくむような本能的な恐怖。

「お下がりください、殿下!」

 バルディオンの声に振り返り、レイウェストはイダの視線の先を見る。

「――退避せよ!」
 レイウェストは声を張り、同時に駆け出していた。イダの配下たる飛翔型クリーパーの群れが羽搏く音を背で聞きながら、バルディオンや護衛とともにその場を後にする。

 彼らが見上げた南西の空。
 天翔る白き竜が、四対八眼の眼でイダを見据えていた。

●
 征竜が顎(あぎと)を開き、眩い光の奔流が空を貫く。
 荒野と化した帝都を、青白い炎が舐めた。

「イダ・バルダス。我が娘よ。貴様に引導を渡す時が来たようだな」

 白き竜の背に跨る偉丈夫(ヨゼフ・バルダス)は、襲い来た天馬のクリーパーを矛の一振りで打ち据え吹き飛ばす。

「まあ、お父様。蜥蜴さんの背中でお馬さんごっこかしら。御一人では心細いのね」

 全てを焼き尽くす竜の炎は、流体クリーパーの張った防壁に阻まれイダには届かない。
 周囲の地面は無残に抉られ、焼け溶けていく。征竜の尾に打たれた鳥型クリーパーが落下し息絶える中、地上の獣型が肉の砲台や口腔から猛烈な光を打ち上げ、征竜の鱗を焼いた。

 飛翔クリーパーが竜と皇帝に群がり、衝撃波と光が何度も閃く。
 抉られ、焼かれゆく帝都のあちこちから、逃げ遅れた者の悲鳴があがった気がした。

「レイウェスト殿! ご無事か」
「アシムベート殿……」

 帝都南西に居たはずのアシムベート・グリオウらがレイウェストの隊を見つけて駆け寄るも、誰もが呆然と眼前の戦いを見上げるしかできない。

 征竜とは、そして神々にも匹敵する超越者とは、これほどまでに強大な力を有するのか。

 或いは、メドゥの左腕ならば目にしたこともあるやもしれない。
 シル・ウァキア平原帝国をわずか一夜にして滅ぼしたという征竜の力。
 そして、相討ちとはいえ征竜をも打ち滅ぼした超越者の力。

 神の祝福を受けた授恵者といえども、両者の戦いを前にして出来る事など一つもないのではないか。
 それは決して誇大な表現ではない。

 彼らの力は、戦いは――人類の想像を完全に上回っていた。

「……ヨゼフに、イダに――力を収奪させぬこと。いずれか勝利した側を我らが討つこと」

 バルディオンとアシムベートの盾に護られ、空を見上げたままのレイウェストが掠れた声で呟いた。

「……できるのか。我々、ヒトに」

 大地が揺れ、空を飛んだ轢弾が征竜の翼の一枚を貫く。吐き下ろされた炎が地を舐め、陽炎と煙に視界が歪んだ。

「……あるのか?」
「殿下……」

 我らに掴める未来は、あるのか?

 この人智を超えた戦いを誰が制したとしても、その先の人類に安寧など無い。
 じわじわと染み渡るように、絶望が広がっていく。

「母上!! 征竜!! 我が祖父よ!! この世界を想うならば、なぜこの世界を破壊する!!!」

 叫ぶ他なかった。もはや恐怖すら感じなかった。
 レイウェストの憤りは頂点に達し、鋭い眼でヒトを超えし者達を睨みつけていた。

「これが、力有る者達の所業か!!!」

 渾身の叫びは、彼らの耳に届いただろうか。
 征竜がその金眼をわずかに動かしたように見えたその時、空に真っ赤な何かが広がった。

●
「あなたは邪魔よ、皇帝」

 大空を赤く染めあげた血液の華に征竜とヨゼフが目を奪われた瞬間、白いローブを纏った女が黒い大蝙蝠とともに飛来する。女は征竜の背に跨るヨゼフへと、押し出すように片手を伸ばした。
 ヨゼフの矛から飛んだ真空の刃を難なく躱し、女は渾身の集中を以てその強大な力(念動力)を行使する。

「おのれ、左腕――」

 ぐらりと傾ぎ、目に見えぬ何かに打たれたかのように征竜の背から吹き飛ばされるヨゼフ。帝都市中へ落下していくその姿を、幽界樹跡のマクシミリアン・ミルドの目が捉えていた。

「……ヨゼフ・バルダス」

 奥歯を食い縛り、それでも幽界樹跡の大穴へと視線を戻すマクシミリアン。ウィリアムは大穴から這い出そうとする者達の気配を程近くに感じながら、わずかな間を置いて口を開いた。

「行ってください、近衛連隊長殿」
「殿下、しかし――」
「ここは僕らで持ちこたえます。どうせ、帰れる保証のない戦いさ。なら、僕は共に戦った貴方に悔いを残してほしくない」

 こんな時だというのに、爽やかな笑顔を向けたウィリアムを見て。
 マクシミリアンは一呼吸分だけ逡巡し、そして深々と頭を下げた。

「――感謝いたします」

●
 落ちてゆく皇帝ヨゼフを逃すまいと、アシムベート率いるリザードマン部隊が得物を手に帝都を駆ける。
 レイウェストには、その背中を見送る余裕もない。
 突如として姿を現したメドゥの右腕と左腕によって、ヨゼフが征竜との共闘を阻まれたとしても、目の前の戦いが終わるわけではない。

 イダの操る大型クリーパーの群れが征竜を穿ち、群がり、強靭な肉体に爪を立てる。征竜が六対の翼を羽搏かせてそれらを振り払い、全てを焼き払わんと青白き業火を吐き散らす。
 手を出すことなど到底叶わぬ戦いを前に、ヒトは自身の身を護るだけで精一杯だった。

「どいて! どきなさいよ! 征竜さま、わたしも戦います! 今、お傍に――」
「行ってはならぬ、ヒルルク殿!」

 白き竜に身も心も捧げる娘が、制止しようとした帝国兵の腕を振り払ってレイウェストの真横を駆け抜けた。
 追うバルディオンの手が届くより早く――征竜の尾に跳ね飛ばされ落下したクリーパーの巨体が、彼女の頭上に迫る。

「――征竜、さま」

「ヒルルク殿! 誰か、ヒルルク殿を外へ!」
 地に倒れた征竜の巫女を、帝国兵達が抱え上げ帝都の外へと搬送していく。薄く開いた彼女の両眼はそれでも白き竜を見つめ、唇は譫言のようにその名を呼び続けていた。

「こんな……このような事……」
「――っ、殿下!」

 バルディオンの巨躯がレイウェストの前へと躍り出て、盾を掲げる。
 視界が覆われる前にレイウェストの双眸が捉えたのは、飛翔クリーパーを焼き払わんと広げられた征竜の顎だった。その奥に灯った焔は、数秒もせぬうちにバルディオンを――レイウェストを焼くのだろう。

(……もはや、これまでか)

 帝国崩壊の夏、滅亡する帝都から逃れ、生き延びた事は奇跡に近いと思っていた。
 例え、その滅亡をもたらしたエフレムによって救われた命だとしても、皇族である自分が生きている事には大きな意味があると――シルトラース帝国はまだ亡国ではないのだと、民を支え、そして支えられて、ここまで歩んできた。

 だが、それももう終わる。

 自分が死ねば、世はどうなるのだろう。
 時間が止まりかけているかのような感覚の中、レイウェストは胸の内で呟く。

 自分を旗頭として帝都に集った兵は、同盟者は、冒険者達は。
 帝都奪還を夢見る民は。征竜の脅威に怯える世界の人々は。
 彼らの期待に応える事もできず、民を守る事もできず、自分はここで死ぬのだ。

(……嫌だ)

 嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
 自分は死んではならない。こんな所で、死ぬわけにはいかない。

「……誰か、助けてくれ」

 ――拙は、殿下の御心のままに。

「……エフレム」

 呼ぶつもりのなかった名が、無意識にレイウェストの唇から零れ落ちる。

「助けてくれ……エフレム!!!」

●
 そこから何が起きたのか、レイウェストにも暫く理解できなかった。

 征竜の顎から業火が溢れるその直前、帝都中央から紫の稲妻を思わせる光が迸った。
 蛇のように長大なクリーパー――紫電蛇(しでんじゃ)に乗って飛来した白きリザードマンが、征竜目掛けて杖を突き出す。

 世界の裂け目たる大穴を塞ぐべくその身に湛えた全てのエーテルを、紫電蛇の一撃に込めた。
 巨大な紫色の雷に打たれた『世界の守護者』たる征竜は、開いたままの顎を紫電蛇へと向ける。

「――エフレム!?」

 征竜の巨体が空を滑り、地面を抉るようにして大地に墜ちた。同時に、業火に焼かれた紫電蛇ごと、エフレムの身体も落下していく。

「美しいわ。なんて美しい忠誠心なのかしら」

 思わず駆け寄るレイウェストらを他所に、響いたのはイダの声だった。

「ねえ征竜さん。今私が見ている世界はこんなにも美しいのに、どうして昔に戻そうなんて言うの?」

 ――神は 其れを望むであろう。

 大地に身体を横たえたまま答えた征竜の思念には、どこか揺れが感じられた。
 竜の殺意の矛先は今、神に至りし者(エフレム)を言の葉にて動かし得る者――レイウェストに向けられている。

「私は、この美しい世界が永遠に続く事を望むわ。あなたも、誰かに押し付けられた『世界の守護者』の役割なんて捨てて自由に生きるべきよ。この美しい世界に『世界の守護者』は邪魔なだけ。そうでしょう?」

 ――世が終焉の危機に瀕した時、その厄災を祓う。
 ――神より賜わりし唯一の勅を 捨てはせぬ。

「そう。あなたはそう思うのね。それも美しいわ。――けれど私は、この世界に美しいままで在ってほしいの」

 大型クリーパーに守られたイダの身体から、光が立ち上る。
 名もなき小鬼がそうしたように。滅国の皇妃は、美しき世界の永遠の維持を願う。

 征竜が身を起こしたその時、彼女は確かにレイウェストを見ていた。

「シルトラース帝国皇女として、皇妃として。そしてこの世界を愛するひとりの女として。私は、美しい幕引きをさせてもらうわ」


 イダの身体から溢れた優しい光が、帝都を呑み込むように広がっていく。
 その光はやがて征竜の巨躯ただ一点に収束し、黙して身をよじる竜の体内から何かを抜き去ろうとしているように見えた。

 ――あなたは『世界の守護者』ではいられない。あなたに世界を壊す力は、もう無いのよ。

 肉体を失った皇妃の言葉は、彼女の思う『美しき世界』を破壊し得る唯一の存在たる征竜へと向けられている。
「……母、上」
 世界の理の『書き換え』が起きているのだと、レイウェストは声も出せずにその光景を見つめていた。


「ヒトの昇神を厭いながら、二度も止められぬとは。無様だな、征竜」
「……クジンリーネ帝」

 気が付けば、レイウェストの隣には長大な骨剣――首刈宝剣【零の剣:姫妖】を手にした銀髪の女が立っている。
 帝国第三代皇帝クジンリーネ・バルダス。征竜の抹殺を『目的』とする、超越者。

「あの皇妃に『書き換え』られたのね。生物としての、在り方を」

 空を見れば、白いローブを頭から被った女が浮いている。
 かつての征竜の巫女、メドゥの左腕。彼女もまた、征竜の抹殺を『目的』とする超越者だ。

 ――我は 世界を守りし竜
 ――我は 神より賜わりし勅を 捨てはせぬ

 ――捨ては せぬ

 征竜の金眼が、レイウェストを向く。
 苦しげに息を吐き、竜はそれでも空へと舞い上がった。

「前を見よ、レイウェスト。皇妃が居なくなったなら、次はエフレムを操るお前を狙う。奴を殺す機を見誤らぬようにな」
「……」

 征竜を挑発するように骨剣を構えるクジンリーネと、無機質な気配を漂わせたまま宙に浮かぶメドゥの左腕。
 彼女達を――そして征竜を真っ直ぐに見据えて、レイウェストは剣を抜いた。

●
「やあやあ皆すごいじゃない! あの幽界樹を! 打ち倒した!! まさしく偉業だよこれは!」

 大穴の底から恐ろしげな咆哮の響く幽界樹跡。頼みの綱のエフレムが飛び去ったその場所では、白い球体のような姿の妖精ジュール――こと、神代の英雄ジド・ルウの意識体が熱弁を振るっていた。

「英雄殿。いま僕達はそれどころじゃなくてね。もうすぐその穴からクリーパーが湧いて出る。雑談は後日にしてもらえないかな?」

 大剣を手にしたままのウィリアムが苦い顔で言うが、ジドは気にも止めずに話を続ける。

「皇妃様を見た? 彼女は神になり、全ての苦しみから解き放たれた!」

 ガサリ、と。穴の淵から不穏な音が響いた。
 大穴の淵に無数の手足が掛かり、アストラル界からの来訪者(クリーパー)が今にも這い出そうとしている。

「迎撃用意――構え!」
「彼女は世界の真実を知り、この世界の全てを理解したんだ!」

 王国騎士団をはじめ、その場の誰もが緊張感に包まれる中、ジドだけが周りも見えずに話し続けていた。

「ごめんね~、ウチの首領が空気読めなくて」
「右腕君、悪いが君の組織の首領と話している余裕はない」

 無限とも思える数のクリーパー達が、まるで津波のように押し寄せてくる。飛びかかってきた一体を斬り払いながら、ウィリアムはジドの近くに降り立ったメドゥの右腕を横目で見た。
 しかし、右腕はいつもの愉しげな笑みを浮かべる事もなく、静かに口を開く。

「……僕が、エフレムのかわりに穴を塞ぐよ。こう見えても神だからね」
「君が……? 何故だい?」

 意表を突かれたウィリアムの問いに、彼は少しだけ唇の端を緩めた。寂しさと虚無が入り混じったような表情で、微笑う。

「だって、僕はずっと終わりが来る日を待っていたから。……僕は神に成るべきじゃなかった。時が戻るなら、神代の仲間と一緒に戦って死ぬ事を選ぶよ」

 それが叶わないなら、盟友(ジド)の所へ行かせてほしい――そう答えて、彼はクリーパーの群れを血液の壁で避けながら大穴の淵に立った。

「また沢山クリーパーが出てきたね! 皆、もっともっと強くなって、世界の真実に気付こう! そうすれば全て解決するよ。もう苦しむことはなくなるんだ!」

 人類とクリーパーがぶつかり合う戦場に、ジドの声が響き渡る。
 大穴から次々と這い出す小型、中型のクリーパー達の隙間から、まるで巨大な蛸のような六本の触手が現れ、王国騎士を薙ぎ倒して荒れ狂う。

「……世界の真実ねぇ」

 その身をエーテルに換えるべく力を高め始めた右腕が、ジドを見上げてポツリと呟いた。歴史上に類を見ぬ偉業を為した超越者でありながらも、遂に神に至ることは無かった朋友を、その瞳に映して。

「じゃあ教えてあげようか。『世界の真実』と、ジドが知らない世界の理をさ」


 執筆:桃谷かな
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0