【帝国】帝国奪還連動 帝都決戦編

コンラート・マフダル

……あれが征竜。我ら帝国が討つべき――いや、人類が討つべき敵、か。

レイウェスト・バルダス

帝国は征竜に対する「人類の盾」。遂にその時が来たようだな、コンラート。
我が国だけではない。大陸全ての国から同盟者が集い、共に戦わんとしてくれている。人類のみならず、ケンタウロスまでもだ。

コンラート・マフダル

はい。必ずや帝都を奪還し、世界に仇なす征竜を討ち果たしましょう。

レイウェスト・バルダス

しかし、コンラート……クジンリーネ帝の件は、既に知っていたのだな。

コンラート・マフダル

存じておりました。如何に殿下といえど、他言はできず……。

レイウェスト・バルダス

良い。だが、『超越者」か……。
人々の中にも『超越者』の域に達した者が新たに現れたと聞くが、果たして征竜はどう見るのだろうな。

コンラート・マフダル

征竜が『超越者』を嫌うならば、その存在が吉と出るか凶と出るか。いずれにせよ、我々は全力を尽くすしかありません。
殿下――御武運を。

人類の存亡を賭けた「帝都シルトラース奪還作戦」。戦いの火蓋が、遂に切られました――
(11月30日 「【帝国】決戦:未来への嚆矢」 シナリオリリース!)

assignment【帝国】帝国奪還連動 帝都決戦編 概要

「【帝国】帝国奪還連動 帝都決戦編」では、シルトラース帝国第八皇子レイウェスト皇子を旗頭とした帝国軍および彼を支持する国々の支援から成るロスガリア大陸連合軍による、帝都シルトラース奪還作戦を扱います。

assignmentここまでの流れ

『預言の魔女』オペラは、帝国皇帝ヨゼフ・バルダス一派と征竜が帝都に現れる夢を見た。ヨゼフは娘イダを倒し、征竜の力を利用して悲願たる大陸制覇を成すために。征竜は創造神の創りし世界の理を変え得る『超越者』イダ、エフレム、そしてエフレムを思うままに動かし得る者として危険視するレイウェストを滅し、人の数を神代と同等まで減じるために。イダの居城と化した帝都を目指す。
帝都奪還を目指すレイウェストの前には、黒い霧を吐き仔を操る『天霧りに消ゆる幽界樹』、人の心を失い人の世を乱す祖父と母、更には人の世の繁栄を恐れ人を粛清せんとする征竜までもが立ちはだかる。
シルトラース帝国、リーンエス王国、エラトゥーン都市同盟、ディズル大湿地帯、辺境都市群、ゴールディ、フィルエス大森林、ドワーフ王国、シグモル火山帯は「ロスガリア大陸連合軍」を成し、帝都シルトラース奪還へと動き出した。
(11月29日追記)
帝都奪還作戦の準備は順調に進み、ついにオペラが夢に見た11月末を迎えた。帝都まで進軍したレイウェストらロスガリア大陸連合軍は、南下した征竜と東進してきたヨゼフ一派と出会う。両者はイダ・バルダスおよびその配下の幽界樹の打倒を優先することで合意。各国援軍、そして人類との共闘を決め帝都に駆け付けた『聖地』のケンタウロス戦士らが支援する中、クライス・アクバーの本格式凝黒装置が稼働を開始。行く手を阻む黒い霧を減じながら、レイウェストらは手勢と冒険者を伴い帝都へ突入する。

assignment決戦の概要

・戦域1:帝都中央『天霧りに消ゆる幽界樹』伐採
友軍:ウィリアム・リーンエス、クライス・アクバー、マクシミリアン・ミルド、帝国軍、王国軍/敵軍:天霧りに消ゆる幽界樹、幽界樹の仔(新型・旧型)

・戦域2:帝都市内『イダ・バルダス』捜索
友軍:レイウェスト・バルダス、バルディオン、帝国軍、ヨゼフ・バルダス/敵軍:イダ・バルダス、イダ配下のクリーパー、幽界樹の仔(新型・旧型)、幽界樹の根

・戦域3:帝都南西『征竜』問答
友軍:アシムベート・グリオウ、リザードマン兵、帝国軍/敵軍:征竜、ヒルルク、イダ配下のクリーパー、幽界樹の仔(新型・旧型)

assignment連動スケジュール(予定)

2023/10/30 連動特設ページ公開
2023/10/31 連動シナリオリリース開始
2023/11/29 決戦特設ページ公開
2023/11/30 「【帝国】決戦:未来への嚆矢」  オープニング公開
2023/12/18 「【帝国】決戦:未来への嚆矢」  リプレイ公開
2023/12/19 第2決戦シナリオ オープニング公開
2024/01/11 第2決戦シナリオ リプレイ公開

※スケジュールは第1決戦シナリオの結果により変更となる可能性があります。

person_pin関連NPC

亡国となった帝国の皇族の、唯一と思われていた生き残り。皇帝ヨゼフとその子女である第三皇女イダとの間に生まれた生粋の皇族と言われていたが、実際はリザードマンの大酋長アシムベートとイダの間の息子であった。大陸一の美姫と謳われた母譲りの長く、美しい髪と気難しげな真紅の瞳の持ち主。エフレムとともに帝都から脱出して以降、帝国復興のために周囲の協力を得ながら奮闘していた。ヴィント奪還作戦に於いてエフレムに不審を抱き、帝国滅亡の真相を問いただした結果、彼と袂を分かつこととなった。

《本連動での動き》

帝国軍およびロスガリア大陸連合軍の旗頭として、帝都奪還作戦に挑もうとしている。
(11月29日追記)
帝都内へ突入し、皇妃イダ・バルダスの討伐を目指して捜索を行う。

帝国南部の守りの要『ヴァイセントラフ砦』と南部の経済的中心『帝国南部鎮守都市ヴィント』をレイウェスト皇子から任された帝国の重鎮。帝国崩壊時に妻と息子バルディオンJrを亡くし、その後アンデッドと化した息子と対峙することになった過去を持つ。帝国崩壊以降、将軍としてレイウェストに仕え、陰日向になり支えてきた。

《本連動での動き》

皇帝ヨゼフの生存により忠誠心の置き所を迷う事もあったが、レイウェストを主君と定め、帝都奪還作戦に挑もうとしている。
(11月29日追記)
レイウェストと共に帝都内へ突入し、皇妃イダ・バルダスの討伐を目指して捜索を行う。

帝国北部鎮守都市「オルセン」の太守兼将軍である若きハーフリング。代々太守を拝命する名門マフダル家の長で、弓の腕も高いが軍を動かす方が得手な頭脳派。ほぼ孤立状態かつ厳しい環境にありながらも多くの人口を抱えるオルセン太守として、都市を守り民を食わせることを最優先してきた。征竜に対する人類の盾として北を守ってきた自負もある。これまでレイウェストらヴィント勢に合流して兵を動かす余裕はなかったが、帝国民を救う為にもっとも粉骨砕身の努力をしてきたレイウェストを正当に評価し、冒険者の尽力やオルセンの状況変化も受けて、帝都奪還作戦に兵を出すことを決める。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦に向けて、帝都の北側へ兵を送る事を表明している。
(11月29日追記)
帝国北部方面軍を率いて帝都の北側に到着。陽動を行い、城壁内から現れる敵および周辺地域から襲来する敵に対応する。

シルトラース帝国近衛連隊出身の元軍人で帝国魔導院エスタル支部長。最愛の妻と娘を帝国崩壊時に失って以後しばらくは攻撃性の塊のような時期もあったが、現在は生来の子供好きの性格が復活し、他人の子供の世話を焼いていることが多い。幽界樹の最大の脅威である【黒い霧】への対策として『凝黒紋具』を、幽界分樹発生の対策として龍脈異常探知装置『状捜楔』を制作した。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦に向けて、凝黒紋具「本格式凝黒装置(大型)」20基の輸送を行う。
(11月29日追記)
本格式凝黒装置の運用を指揮しながら帝都内へ突入し、幽界樹の伐採を目指す。

40代程のヒューマンの男性。シルトラース帝国近衛連隊長として最強の戦士とされ、滅亡前の帝国では四方将軍の上席にあり、帝国軍人の頂点であった。【泥乱】連動においてヨゼフ・バルダスより切り捨てられ、現在はレイウェスト皇子に協力している。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦に向けて、橋頭保となり得る拠点確保を行う。
(11月29日追記)
帝都内へ突入し、幽界樹の伐採を目指す。

現シルトラース帝国皇帝。幼少期より皇帝になるために切磋琢磨し、皇位継承以前から周辺国家や兵士たちへと積極的に介入し、来るリーンエス王国との決戦に備えていた。武力をもって大陸を統べる夢を見、娘イダの異能を利用してアシムベートを篭絡し、王国に攻め入る直前まで準備していたが、イダとエフレムによる幽界樹出現で覇道を阻まれた。民も国も失った今でも「大陸制覇」に固執し、それしか見えていない。レイウェストとはイダ打倒までの消極的共闘を約束しているほか、イダを倒しその後の大陸制覇にも利用するため征竜とも同盟を結んだ。

《本連動での動き》

11月末に征竜を伴い、帝都に現れる事がオペラにより預言されている。
(11月29日追記)
レイウェストや冒険者とは別行動ながら、帝都内へ突入し、皇妃イダ・バルダスの討伐を目指して捜索を行う。

シルトラース帝国現皇帝ヨゼフ・バルダスの第三皇女であり、皇妃(側室)でもある女性。第八皇子レイウェスト・バルダスの実母であり、『大陸一の美姫』と謳われた美貌の姫だが、ヨゼフ帝と婚姻し成人とされた後の彼女の姿を見た者は極端に少ない。1220年の夏、エフレムに命じて『天霧りに消ゆる幽界樹』を召喚させ、帝国を崩壊させた人物。人を超えた『超越者』となり、独善的に『美しい世界』を追い求めている。美を極めた末の異能『魅了』によって帝都の幽界樹と多数のクリーパーを支配下に置いているようだ。

《本連動での動き》

オペラの『夢の神』として神託を授けていた人物である事が判明。征竜およびヨゼフとの戦いに備え、幽界樹に力を蓄えさせているようだ。
(11月29日追記)
帝都内のどこかに潜み、クリーパーを操作しているようだ。

皇子レイウェストの護衛騎士。現在、イダと並んで最も神に近い超越者。護衛騎士の中で唯一のリザードマンであること、クリーパーを召喚し支配することを得手とする《召喚術》の達人であること、そして寡黙に過ぎる性格から『語らずの智者』の異名を持つ。亡国の騎士となっても単身で各国の介入からレイウェストを守る忠義の人物……と思われていた。ヴィント奪還作戦における不自然な立ち回りから、レイウェストに帝国崩壊の引き金を引いたのが彼であると看破され、袂を分かつこととなる。

《本連動での動き》

レイウェストの元を去った後も、ドワーフ王国への助力の対価としてレイウェストへの支援を取りつけ、レイウェストが滞在していた王国の危機に際してはクライスに助言して龍脈異常探知装置『状捜楔』を完成させていた事が判明している。
(11月29日追記)
幽界樹伐採後にアストラル界に通じる『穴』が生じる可能性を懸念し、それを塞ぐために力を溜めている。帝都中央、幽界樹の幹の近くのどこかに居るようだ。

四対八眼の金眼に多数の角、六対十二枚の翼を持つ、いわゆる西洋竜の形状をした生物。創造神が世界を造った際に『世界の守護者』として生み出された竜たちの最後の生き残り。創造神が造った世界に変革をもたらす『昇神』を快くは思わず、ドン・ゴーフルと同時代にエフレム、イダと昇神が続きかねない状況と、力なきレイウェストがエフレムを意のままに昇神させ得る「人という生物ゆえの欠陥」を危険視。彼らの殺害を決める。同時に、神に至れる超越者が増えた原因はヒトの数が増えすぎた事と考え、自身の理想とする神代の数まで減じることを宣言。イダの打倒という点で利害が一致し、ヨゼフと同盟を結んでいる。

《本連動での動き》

11月末にヨゼフを伴い、帝都に現れる事がオペラにより預言されている。
(11月29日追記)
レイウェストを殺害しようとするもヨゼフに制止され、帝都の城壁の一角でイダ・バルダス発見の時を待っているようだ。

「必ず的中する」予知夢を見ると証明された女性。帝国崩壊の夏以降、予知の範囲はロスガリア大陸全土にわたり、夢の中に「白い鳥」が現れることが彼女の予知夢の特徴である。彼女はそれを神の預言であると信じ、世界中の人々を救うべく予知夢の情報を冒険者ギルドへ提供していた。

《本連動での動き》

11月末に征竜とヨゼフが帝都に現れる予知夢を見、同時に夢の神の正体がイダである事を知った。その後も予知夢は見続けているようだ。

ウィリアム・リーンエス王子の妹にあたるリーンエス王国第一王女。人形のように可憐な容姿からは想像もつかない行動力と気の強さで、周囲を驚かせることもある。現王家唯一の王女であり、国王や王太子、ウィリアム王子の寵愛を一身に受ける影の女王。レイウェストの婚約者であり、未来の帝国皇妃として彼を支える立場である。

《本連動での動き》

レイウェストらと共に世界樹の元を訪れた。帝都奪還作戦では後方拠点の将として出陣するつもりのようだ。
(11月29日追記)
古砦都市シャルトに残り、後方拠点の将として負傷者の対応などの指揮を行う。

リーンエス王国の第二王子。文武ともに優れた才能を有した《授恵者》であるが、王族らしからぬ軽薄さ故に近親以外の王族からは見下され、対立する貴族からも「毀れ者(こぼれもの)」と揶揄されている。王国の代表として冒険者ギルド本部のあるリブラネスタに派遣されているが、本人はこれ幸いと市井を味わっていた。国策によりバデーニ公爵家への婿入りを予定しており、独身生活に終止符を打とうとしている。

《本連動での動き》

帝都奪還作戦ではリーンエス王国軍の主将として出陣するつもりのようだ。
(11月29日追記)
帝都内へ突入し、幽界樹の伐採を目指す。

ディズル大湿地帯の最大派閥であるギシュム族の酋長。ギシュム族が泥血啜る月吸蟲を封印している一帯の管理を担うことから、大酋長とも呼ばれる。武威ばった人物ではあるが、人柄は良く義理堅い。帝国近衛騎士になったエフレムの兄貴分でもあり、マナズィールも共にしたことがある。かつてイダの異能を知るヨゼフの策により彼女と出逢い、盲目的かつ一方的な恋をした末に子レイウェストが誕生。王国との開戦に向けて同盟を結ぶに至った。

《本連動での動き》

レイウェストらと共に世界樹の元を訪れた。子であり同胞であるレイウェストを支持し、援軍を率いての帝国入りを表明している。
(11月29日追記)
帝都内の南西城壁付近にて、征竜の動向を監視しながらクリーパーや幽界樹の仔に対応する。

フィルエス大森林のエルフの最古老の一人であり、まとめ役。かつて『灰火』の族長も務めていた。部族間のもめごとなどが起きた際に調停にあたったり、他国や他種族に対してはフィルエス大森林を代表した立場で外交を行うこともある。

《本連動での動き》

レイウェストらと共に世界樹の元を訪れた。帝国へ援軍を送るにあたり、各氏族間や帝国、冒険者ギルドなどとの調整を行う。

リーンエス王国とシルトラース帝国の辺境を預かる王国貴族。王国内ではアーチボルト辺境伯と呼ばれることが多い。王党派貴族の若手筆頭としてもその名を知られているが、知名度に比して社交界への露出が少なく。軍を率いれば優れた将だが王国貴族に蔓延する権謀術数には疎い。

《本連動での動き》

主にリーンエス王国北方貴族の兵で構成される『王国外周部隊』を指揮し、帝都の南で陽動や退路確保を行う。

第三代シルトラース帝国皇帝であり、『首刈帝』の通称で呼ばれた女傑。長い銀髪を後に纏めた紅眼の女性で、征竜の骨でつくられた『首刈宝剣【零の剣:姫妖】』を有する。長き眠りの後、帝国北部鎮守都市オルセンを帝国滅亡時の幽界樹の出現とその後の混乱から救い、絶大な感謝と敬意を向けられている。また、人知れず帝国都市ダルトートの幽界樹へ単身で挑み、瀕死の状態に追い込んだが最後の止めを欠き、後の暴走を招くなどうっかりした面もある。しばらく「謎の旅人クーネさん」を名乗っていたが、最終決戦を前に正体を明かした。

《本連動での動き》

帝国軍に協力し帝都奪還作戦に参加している。超越者である彼女の『目的』たる「征竜の討伐」を成すべく、仕掛ける機会を窺いながら今は目立たぬよう行動しているようだ。

人類未踏とされていた極北地帯からきたという少女。極北生まれの極北育ちで、森で育ったエルフたちとは全く異なる価値観を有している。【極北の征竜】の耳目としての役割を持つ《征竜の巫女》であり、世界を巡って冒険者ら多くの人々と交流した。征竜が人類の粛清を宣言しても深い信仰心を捨てることはなく、かつての征竜の巫女であるメドゥの左腕から【国崩しの征竜】がシル・ウァキア平原帝国を滅ぼした際の暴挙や【極北の征竜】がそれを見捨てた事実を聞かされてもなお、忠実な征竜の巫女であり続けようとしている。

《本連動での動き》

帝都へ現れた極北の征竜のもとへ駆け付け、襲い来る幽界樹の仔やイダ配下のクリーパーと戦う。

メドゥの指先の大幹部。神代の終わりに昇神し「吸血鬼」を生んだ神であり、血を媒体とする混沌魔術の使い手でもある。常に楽しげに振る舞う彼だが、よく見れば作った笑顔であることもわかるだろう。征竜との共闘に反発した左腕と行動を共にし、ヨゼフ一派から距離を取った。左腕とは長い縁であるようで、相互に協力する場合もあるようだ。神代の英雄ジド・ルウの盟友であったこと、昇神により吸血鬼種族を生んだのは故意ではなく『世界の理の書き換えの失敗』であったらしいことが判明している。メドゥの指先では、ジド・ルウの目標だという『世界の真実』を人々に気付かせる手伝いをしているようだ。

《本連動での動き》

メドゥの左腕が確実に征竜を打倒できるよう、彼女の行動を制御しているようだ。今はまだ動く様子がない。

メドゥの指先の大幹部。飛行術を用い、また世界の障壁の裂け目を広げる儀式なども知っている無感情な女性。右腕とは長い縁であるようで、相互に協力する場合もあるようだ。シル・ウァキア平原帝国の滅亡以前に【極北の征竜】から世界へ送り込まれた元征竜の巫女であり、同帝国の民を虫けらのように焼いた【国崩しの征竜】の暴挙と、それを見捨てた【極北の征竜】に深く失望した過去を持つ。超越者である彼女の『目的』は「征竜の打倒」であるという。右腕とは長い縁であるようで、彼の言葉には耳を貸す場合もあるようだ。

《本連動での動き》

確実に征竜を打倒できるよう、メドゥの右腕と共に身を隠しているようだ。今はまだ動く様子がない。

menu_book関連用語・情報

ロスガリア大陸連合軍(11月29日追記)

帝都奪還作戦に参加する全ての国家の連合軍。 帝都奪還、イダ・バルダス打倒、ヨゼフ・バルダス打倒、幽界樹伐採、征竜との対決など、を目標に、レイウェスト率いるシルトラース帝国軍は帝都へ進軍する。リーンエス王国、エラトゥーン都市同盟、ディズル大湿地帯、辺境都市群、ゴールディ、フィルエス大森林、ドワーフ王国、シグモル火山帯はそれを支持し、援軍派遣、物資や資金の支援など様々な手段で協力する。
(11月29日追記)
 帝国軍および各国の援軍・支援部隊は概ね以下の布陣・役割を担う。

 【シルトラース帝国】
 ・帝国北部方面軍:帝都の北に布陣し、陽動および周辺地域から襲来するクリーパーに対応。
 ・帝国南部方面軍『外周部隊』:帝都の南から東に布陣し、陽動および周辺地域から襲来するクリーパー対応、退路確保を行う。
 ・帝国南部方面軍『突入部隊』:帝都の南東から帝都内に突入し、イダ・バルダス捜索と幽界樹伐採に分かれる。

 【リーンエス王国】
 ・王国軍『外周部隊』:帝都の南から東に布陣し、陽動および周辺地域から襲来するクリーパー対応、退路確保を行う。
 ・王国軍『突入部隊』:帝都の南東から帝都内に突入し、幽界樹伐採を行う。

 【エラトゥーン都市同盟】
 援軍の派遣はないが、冒険者への報酬を含む資金提供や食糧・武器防具など物資提供の形で支援を行っている。

 【ゴールディ】
 ・ブラックデス授恵者部隊:帝都への突入支援や後方支援、退路確保を行うべく、他国の軍に混じったり、隙間を埋めるような形で帝都の外周に広く布陣している。

 【ドワーフ王国】
 授恵者および非授恵者兵向けの武器防具を多数提供しているほか、対邪竜武器の貸出とそれらを運用するための人員の派遣を行っている。

 【辺境都市群】
 物資提供による支援のほか、帝都偵察時からシャルガネ居住区のシノビ部隊が派遣されている。

 【シグモル火山帯】
 本格式凝黒装置20基を稼働させるための術者として、神官や神徒を大量に派遣している。

 【フィルエス大森林】
 授恵者エルフ戦士部隊:帝都への突入支援や後方支援、退路確保を行うべく、他国の軍に混じったり、隙間を埋めるような形で帝都の外周に広く布陣している。

 【ディズル大湿地帯】
 物資の支援のほか、寒さに耐えられる授恵者リザードマン部隊を派遣している。
 ・授恵者リザードマン部隊:帝都内の南西城壁付近にて、征竜の動向を監視しながらクリーパーや幽界樹の仔に対応する。

天霧りに消ゆる幽界樹

帝都崩壊事変に際して帝都の中央に現れた樹木型の超大型クリーパー。同種と思われる樹木型のクリーパー(幽界分樹)が同時に帝国各地の主要都市に出現し、帝国の崩壊の引き金となった。
帝都の幽界樹が本体であるか、それとも地中やアストラル界などに真の「本体」が存在するのかは判明していない。
エーテル能力の低い者の感覚を著しく阻害する黒い霧を都市を覆う規模の広範囲に吐き出す事、木の実にも見える自身の一部を他種のクリーパーに植え込んで『幽界樹の仔』とし、同調、操作することがある。また、自身の分身である新型の『仔』を生み操る能力も得た。
かつて討伐された幽界分樹の例でいえば、特殊能力の強大さと裏腹に、幽界樹自体の攻撃手段は根状の巨大器官で地下から突き上げるもの、葉状の物を全周囲にまき散らすものなど『比較的』貧弱であった。
大地のエーテルを吸い上げ糧とする性質があり、帝国全土と王国北部に不作をもたらしている。現在はイダの意向を受け、ヨゼフと征竜との戦いに備えて急速にエーテルを吸収し力を蓄えているようだ。
(11月29日追記)
現在は帝都の城壁付近まで枝葉を茂らせ、新型の幽界樹の仔を殖やして戦闘に備えているようだ。

帝都シルトラース

帝国最大の都市にして帝国滅亡の発端となった首都。一辺10kmの方形大城壁に囲まれた難攻不落の都市であった。近衛騎士エフレムが召喚した『天霧りに消ゆる幽界樹』によって全域を濃い黒霧に覆われており、力なき者の侵入を拒んでいる。幽界樹の仔など多数のクリーパーが跋扈し、城壁に近づく者にもそれらは襲いかかる。
市内には皇妃イダ・バルダスが居るとされ、幽界樹をはじめとしたクリーパーが彼女の支配を受けていると推測される。

超越者

授恵者のようにエーテルの扱いに長けた者は、人の身のまま神へ至るための階梯を昇っていくという。神に至る直前の階梯まで達した存在は「超越者」と呼ばれ、人間の枠を超えたような強大な能力を得るようだ。しかし、階梯を昇るにつれてその個人は徐々に変質していき、一つの目的しか見えなくなるとメドゥの右腕によって語られた。

昇神

超越者となり、神へと至る階梯を昇り切った者の一部は、自身の存在の在り方を変え、神に成ることができるようだ。かつて「名もなき小鬼」がゴブリンをヒトへと変じたように、創造神が創った世界の理(ルール)を変え「新たな法則を産む」と共に「その法則に関わる神」となる。「名もなき小鬼」以外の例としては、昇神により吸血鬼を生んだとされる「メドゥの右腕」などが該当する。

世界樹

フィルエス大森林中北部にそびえる大樹。実は神代に創造神によって生み出された『大地の守護者』であり、征竜と並ぶ強大な力を持つ。現在は、その身をもって足下にあるアストラル界との境界の裂け目を塞いでいるため身動きはできない。フィルエス大森林のエルフに導きを与えていたハイアルヴの正体も世界樹である。
1220年夏の帝国崩壊直前ごろに異変を察知、様子を見に根を伸ばしたところ帝国皇女イダ・バルダスにより力を収奪され、ハイアルヴとしての能力も奪われた。回復を目指して大森林各地で異変を起こし、人類とケンタウロスの族長ルカンドラの助力を得てイダの干渉および大森林に侵攻中のヨゼフを退けた(【樹謂】連動)。その際にイダと幽界樹による世界の滅亡の預言を与え、人類とケンタウロスに彼女らの打倒を呼びかけ、そのために助力する旨を宣言した。
1223年秋、帝都奪還作戦を前にレイウェストらが世界樹を訪問。世界樹は『神に祝福されし授恵者達』へ自身の力を少しずつ分け与えると、自身はその身をエーテルに換えて足下の裂け目を塞ぎ、消滅した。

『聖地』のケンタウロス

『聖地』は複数の部族のケンタウロス達が住む土地で、場所はシルトラース帝国の東端。ドワーフ王国や辺境都市群に近い平原にある。彼らは神代の英雄ジド・ルウとの約束によりこの地を守っているという。
1222年初頭に聖地がメドゥの左腕の襲撃を受けたことによりケンタウロスの大移動(【人馬】連動)が起き、聖地とそこに住まうケンタウロス達、そしてエーテル石の存在が明らかとなる。聖地奪還戦においては冒険者が主戦力となり、ケンタウロスと帝国の停戦協定の締結に大きく貢献した。エーテル石はそれ自体が多くのエーテルを含有するが、紋具や神代の魔方陣などの触媒として用いた際の効果も極めて大きい。
【樹謂】連動の際には一部族の長ルカンドラが冒険者とともにフィルエス大森林の世界樹を訪れ、幽界樹により世界が滅亡するとの預言を聞いた。その後、【天馬】連動での交流も経て、聖地のケンタウロス達の人類への敵対感情はかなり薄れ、友好的関係を築けそうな段階にきている。
1223年秋、それまで明確な「不作」の影響が表れていなかった『聖地』周辺でも樹木や草木が生気を失っていく様子が確認された。人類との交流経験が豊富なランランとルカンドラ、ヌロブアの3名が帝国軍の駐屯所を訪れ、情報交換を行ったらしい。
(11月29日追記)
ランランやルカンドラらの尽力により、複数のケンタウロス部族の戦士たちが帝都奪還作戦の支援に駆け付けることとなった。帝都への突入支援や陽動、退路確保などを人類とともに行う。ハンドサイン等により簡単な意思疎通が可能となっている。

古砦都市シャルト

建国王イェーラウ・バルダスの時代に砦が作られた場所で、シルトラース帝国の地方都市の1つ。帝都シルトラースの南方に位置し、現在奪還済みの都市の中では最も帝都に近い。
帝国崩壊に伴い幽界樹が発生し瓦礫だらけの廃墟と化したが、クーネと冒険者を加えた帝国軍が奪還に動き、1223年春からの戦いで幽界樹を倒しクリーパーの掃討を行った。
ヴィントから帝都へ進軍する際の後方拠点・物資集積の中継拠点として利用される。
(11月29日追記)
後方拠点として整備され、物資の集積場所や追加の援軍の受け入れ、負傷者の後送先のひとつとして機能する。

本格式凝黒装置(凝黒紋具)

・大型:クライス・アクバーが制作した、エーテル石を内部に収めた紋具装置。大型は大きめの竈ぐらいの大きさで、荷馬車に積み込んで移動させる。幽界樹の吐き出す『黒い霧』を黒い結晶岩に変えることで空間から除去し、人間への悪影響を抑える。ただし、完全に除去できるわけでは無く、授恵者であれば多少の変調を覚える程度にまで抑えられるが、一般人にとっては不快さが残る。動作中は基本的に自動で作動するが、作動開始や停止などの操作には最低10人の術者が必要となる。最大効果範囲は直径約500m、最長稼働時間は2~3日と推定される。

・小型:大型と同様の効果をもつ、アクセサリー程度の小型紋具装置。術者は1人で良く、最大効果範囲は直径200m弱、最長稼働時間は1時間と推定される。

 帝都奪還作戦における一大後方拠点として整備された、古砦都市シャルト。各国からの支援物資や援軍などの人員は、多くがこの拠点や帝国近衛連隊長マクシミリアン・ミルドが確保したクラルゴン砦に集まっていた。

「人も、物も、順調に集まっているね。拠点確保と整備、帝都への進軍ルート確保と偵察……これらも恙なく完了したようで何よりだ」

 シャルト中央付近に張られた、とある天幕。冒険者達の助力により成し遂げられた『下準備』の数々を記した報告書に目を落としながら、リーンエス王国第二王子ウィリアム・リーンエスは機嫌よさげな笑みを浮かべた。
 彼と共に円卓を囲むは、錚々たる顔ぶれ。帝都奪還作戦の旗頭となる帝国皇子レイウェスト・バルダスが正面に。その他には、ウィリアムの実妹であり未来の帝国皇妃メアリー・リーンエス、帝国南方将軍バルディオン、帝国北方将軍コンラート・マフダル、先に名の挙がった帝国近衛連隊長マクシミリアン、元帝国魔導院エスタル支部長クライス・アクバー、レイウェストの実父でありディズル大湿地帯の大酋長とも呼ばれるアシムベート・グリオウ。
 さらにウィリアムが右を向けば、そこには彼の長年の友人でもあるメルヴィン・トマス・アーチボルト北方辺境伯が静かに座している。

「帝都南の城壁は幾つかの箇所で容易に破壊できそうですね。ドワーフ王国の投石器(轟かす者(フリスト))なら一撃で崩せるような罅(ひび)も確認されていますから」

 帝都の城壁の状態を記した地図と報告書(偵察結果)の上を指でなぞりながらメルヴィンが言えば、バルディオンはその巨躯で椅子を軋ませながら首肯した。

「帝都突入時の手順は、大まかにヴィント奪還時と同様になりましょうな。大音声と共に城壁を破壊し、陽動――内部の敵を其方へ引き寄せた上で、突入部隊は最小限の破壊に留めた別ルートから市内へ。帝都の面積を思えば、陽動は多方向から必要になる」
「――ならば北の陽動は北部方面軍(こちら)で引き受けよう、バルディオン卿。兵は既に帝都の北方で待たせてある」

 その投石器だけ回してくれれば良い、と言うコンラートに、バルディオンは小さく一礼して感謝の意を表した。オルセンから帝都北への進軍は無事に済んだとはいえ、人類勢力圏の広い帝国南部や東部に比べれば、北部はまだクリーパーが跋扈する世界だ。そこで陽動を行うということは、帝都内の敵だけに留まらず、自軍の外側――つまり周辺地域から音を聞きつけて集まってくる敵も相手にすることになるだろう。数、質ともに現帝国において最強の軍団と言える北部方面軍に帝都北を任せられる安心感は大きかった。

「アーチボルト辺境伯率いる王国軍に、まず南側中央の城壁を崩していただく。それを合図に、北も投石を開始。突入ルートは南東……最も崩しやすいとみられる、この位置です」

 レイウェストは地図上に指を這わせ、偵察時に蜘蛛の巣状の罅(ひび)が見られた城壁の一点を指し示した。

「ここを崩し、帝都内へ突入します。破壊音や凝黒装置の存在で幽界樹の仔(敵)が集まる可能性がありますが、一度南と北に寄せている状態ならば時間は稼げるでしょう」

 突入後は、幽界樹の伐採と皇妃イダ・バルダス捜索のため複数の部隊に分かれる必要があるだろう。幽界樹の幹は帝都の中央から動くことは無いが、イダに関しては広い帝都の何処に潜んでいるか不明だ。凝黒装置の数が許す限り、何手にも分かれて捜さなければ見つかりようもない。

 帝都の面積は約10km四方。一方で、大型凝黒装置が黒い霧を減じることができる範囲は直径約500mだ。突入部隊が装置を荷車に載せて共に進むだけでなく、負傷者の後送などを考えれば何基かは退路確保のために使わなければならない。凝黒装置の数にも、効果範囲にも、時間にも限界がある以上、幽界樹は最優先で確実に倒す必要がある。

「帝都の幽界樹の枝葉は、城壁まで達して都市を覆い尽くしているそうですわね。帝都内では黒い霧や幽界樹の仔、幽界樹の根だけでなく、頭の上からの攻撃にも注意が必要ですわ」

 メアリーの言に、レイウェストは苦々しい顔で頷いた。
 王都グランスパーダ近郊に現れた幽界分樹を思えば、葉をカッターのように広範囲にばら撒いたり、爆裂する実を枝から投下したりする攻撃は、帝都の幽界樹にも可能だろう。幽界樹の枝葉が帝都全体を覆っているのならば、帝都のどこにいても頭上から攻撃を受ける可能性がある。

「マクシミリアン、クライス、そなたらは南部方面軍の一部を率いて幽界樹を刈りに行ってくれ。出来得る限り最速で、だ」
「御意にございます」
「承知いたしました。ミルド殿、万一に備えて貴殿にも小型凝黒装置を渡しておきます」

 最優先目標であるからこそ、レイウェストは帝国最強の男(マクシミリアン)と凝黒装置開発者(クライス)を選んだ。そこへ爽やかな笑顔で割って入ったのは、王国でも上澄みに位置する男――ウィリアムだった。

「成程。なら僕らも幽界樹へ向かうとするよ。連れていけるのは王国騎士団と集権派(身内)の騎士だから数は多くないけれど、最速でのオーダーに応えられる質はあるつもりだ」
「感謝します。ウィリアム王子」
「頼りがいのある義兄(あに)で居たいからね。当然さ」
「……」

 その笑顔に胡散臭い何かを感じながらも、レイウェストは黙って感謝の礼を送った。次いでバルディオンを見、口を開く。

「私とバルディオンは母う――イダ・バルダスを捜します。世界樹はその力を我々授恵者に分け与える時、イダの異能とも戦えると言った。彼女の『魅了』に抵抗でき得る力を授恵者が得たのかもしれないが、必ず打ち勝てるとは世界樹も言わなかった。……だが私とヨゼフ帝に限っては、これまで一度も彼女の異能によって操られた記憶がありません」

 レイウェストにとっては優しく寛容で、少女のように笑う母だった。父であるヨゼフ・バルダスにとって彼女は『獣』であったと言う。
 いくら記憶を辿ってみても、レイウェストが母の都合の良いように操られたことはない。また、彼女がヨゼフを操ることが可能であったならば、帝国崩壊など起こす必要もなかったに違いないのだ。

「血を分けた肉親であれば効かぬのか、イダ妃自身が意識的に――もしくは無意識的に除外しているのかは不明ながら。……このバルディオン、地の果てまでも殿下と共に参りましょう」
「感謝する、バルディオン。……クライス、万一に備え、小型凝黒装置をバルディオンにも持たせてくれ」

 クライスが頷くのを見て、レイウェストは静かに一度、瞼を閉じた。小さく息を吐いてから、再び顔を上げる。

「オペラ殿が夢に見た日(11月末)、我々は帝都の西でヨゼフ帝と征竜を迎えることになるでしょう。征竜もまた、私の耳目を通じて我々が待っていることを察するはず。――幽界樹とイダ・バルダスの討伐が最優先である以上、ヨゼフ帝との休戦(消極的共闘)は維持したい。私が彼らを迎え、改めて交渉します」

「……ヨゼフとて一国の皇帝。休戦を反故にすることはあるまい。だが、征竜がそれに同意したとは真なのか。万一の盾は必要だ」

 アシムベートの忠告を受けて、レイウェストの護衛を買って出たのはマクシミリアンとバルディオンだった。世界の守護者たる征竜相手に彼らが『盾』の役割を果たせるかは疑問だが、他に適任は居ない。

「幽界樹、イダを倒すまでの休戦が征竜相手にも成立したならば……征竜の抑えはアシムベート殿らに頼みたい」

 かつてイェルノー荒野でそうしたように、征竜が一度静観の姿勢をみせたならば、それを維持させる必要がある。イダや幽界樹がクリーパーを差し向け、征竜が反撃に出てしまえば、その余波で帝都内外の友軍をも消し飛ばされる恐れがあるのだ。

「そのような役割であれば、我らリザードマンは適任であろうな」

 なぜか、とは口に出さず。レイウェストの右手の征竜の紋章(征竜の耳目)を見遣りながら、アシムベートは同意した。
 ――その時。

「帝国の敵たる征竜を殺す算段はできたか? レイウェスト」

 兵士達の制止を強引に振り切って天幕に入ってきたのは、長い銀髪に紅い瞳の女性――クーネ・ルウだった。
 彼女はそのままズンズン円卓まで進み、怪訝な顔の一同をぐるりと見回してから、堂々と空席に腰を下ろす。

「クーネ殿……? 今日は一段と、その……珍しい装いだな」
「そうか。私にとっては、こちらの方が正式なのだが」

 クーネが何者であるかをバルディオンが皆に小声で伝える中、レイウェストは不思議そうに彼女の服装に注目していた。いつもは遊牧民族風の衣装なのだが、今日は珍しく王侯貴族風の――というよりは、古い時代の皇族のそれに似た衣装を纏っている。
 彼女が持つ骨剣に気付いたのは、近衛連隊長のマクシミリアンだった。

「……クーネ殿、とお呼びして宜しいか。失礼ながら、其方の剣は」
「これは私の愛剣だ。征竜を殺すための、な。――銘は、『首刈宝剣【零の剣:姫妖】』という」

 ざわり、と。帝国勢の間で小さなざわめきが起きる。
 首刈宝剣【零の剣:姫妖】――帝国の歴史上、それを持つことができた者は、ただ一人。
「済まない、コンラート。借りていた宝剣マフダルをうっかり折ってしまってな。今は修理中だ」
「滅相もございません。――クジンリーネ・バルダス第三代皇帝陛下」

 唖然とした表情を浮かべる一同の中で。
 オルセン太守コンラートだけが跪き、臣下の礼をとっていた。

●
 唐突に正体を明かした第三代皇帝クジンリーネ・バルダスは、どうやら征竜を殺す事しか頭に無いようだった。帝都奪還作戦に協力しないわけではないが、曰く、

『私は征竜に隙ができるまで目立たないようにさせてもらうぞ。私は奴の嫌う『超越者』だからな。早々に征竜から目を付けられてはやりにくい』

 という事らしい。展開が急すぎて頭が追いつかないレイウェストを後目に、彼女は意気揚々とどこかへ行ってしまった。
 ともあれ、此度の作戦の大筋は固まった。天幕に集った面々はそれぞれ自軍に戻り、レイウェストとメアリーは護衛を伴ってシャルト市内を巡っていた。

「帝都の戦いでは『聖地』のケンタウロスも合流するとか。亜人が人の味方をするなんて、俄かには信じられなかったのですけれど」
「彼らの棲み処にも幽界樹の害が及んでいる。もはや他人事ではないのだろう。……私は二度、『聖地』で長く過ごした事がある。彼らは、私達を後ろから撃つような者達ではないよ」
 ルカンドラやランランといった友好的な個体の尽力もあり、『聖地』からは複数のケンタウロス部族が帝都奪還作戦に参戦するという。通訳なくしては言葉を交わすこともできないが、ハンドサインなど簡単な意思疎通手段も準備されているようだ。

「……利害一致の末とはいえ、少しでも戦力が欲しい今は有難いことですわね。それからレイウェスト、イダ妃の捜索をなさると言って、場所の目星は全くついていないんですの?」
「ああ。……ただ、帝都内の地上にはもう、人工の建造物が残っていないそうだ。偵察を行った者達の中には、帝都の地下に着目した者がいる。幽界樹の根が蠢く帝都内では地下空間も多くが破壊されているはずだが、人が身を隠す程度の空間はいくらもあるだろう」

 レイウェストの言に、小さく頷くメアリー。オペラの夢の中ではイダは地上に居たようだが、四六時中そこで過ごしているとも思えない。神に至れる者とはいえ、人は人なのだから。

「では……エフレムは、どうなさいますの?」
「……正直、決めかねる」

 周囲の兵たちに聞こえぬよう、声を低くして返すレイウェスト。その表情には、迷いと戸惑いの色が濃く表れていた。

『拙は、殿下の御心のままに。御母上(イダ妃)より殿下の御身命を御守りするよう願われた其の日から、拙が忠誠を誓うは殿下ただ一人。殿下の御身辺に侍るを許されぬ身なれば、拙に出来るは殿下の往く道を阻む幽界樹の始末のみ。仮に拙が彼の幽界樹を斃せども、跡に残る穴より這者(クリーパー)を押し留めるは至難。拙は此の身を澱(エーテル)と化し、其の穴を塞がねばなりませぬ。全ては、殿下の御為に――』

 幽界樹を召喚し帝国を滅ぼした『語らずの智者』エフレムは、遭遇した冒険者の願いからレイウェストに宛てた手紙を認めた。
 エフレムの力量であれば、幽界樹を斃す事も可能かもしれない。しかし、彼がそれを成さないのは、幽界樹を斃した跡に生じるだろうアストラル界に通じる『穴』を塞ぐ事ができる者は自分以外に居ないと考え、そのために死の危険を冒すことはできない……という事のようだ。

「私の心のままに……か」

 エフレムが幽界樹を喚んだのは、イダに頼まれたため。今レイウェストの傍に居ないのは、レイウェストがそれを望んでいると考えているため。
 現在の彼が忠誠を誓う相手はイダではなくレイウェストのみ――だが、それも誰か(イダ)にそう願われた結果なのではないか。

 冒険者を通じて知ったエフレムの真意は、あまりにも空虚だった。
 誰かに頼まれれば叶えてしまう。誰かの願いを得られなければ、彼には一体何が残るというのだろう。

「どのような人物であれ、帝国を滅ぼしたのですから重罪人ですわ。ただ……幽界樹を倒した跡に生じる『穴』。それが真実になるのであれば、限りなく神に近い彼のような方でなければ塞げないのかもしれませんわね」
「そうだな……。少なくとも、幽界樹伐採までの私達に、エフレムを構っている余裕はない。彼を頼るわけにはいくまいが、探し出して捕らえるような事も出来まいよ。ただ……」

 シャルトへ発つ前夜、レイウェストは冒険者達と様々な話をした。
 エフレムの事も、この戦の事も。帝国の民の上に立つ者としての姿勢も、自分自身の為にいま考えるべき事も。
「私は、私の望みを叶えるためにエフレムを神に成らせることは無い。彼の者を殺せと征竜に差し出すつもりも無い。――私が治めるのは人の世だ。エフレムが滅ぼした国もまた、人の世なのだ。人の世で起きた事の始末は、人の手でつけるべきと私は思う」
「……そうですわね」

 ウィリアム、メアリー、アシムベート、帝国の将達、世界中の支援者達――そして、冒険者達。
 濁流のように押し寄せる運命に翻弄されながらも、レイウェストは今、多くの者達に支えられて立っている実感を得ていた。
「わたくしはこの拠点(シャルト)を守ります。貴方も、お兄様も――どうかご無事で」
「……ありがとう」

●
 11月も末に近づけば、帝国はもう強い寒気の中にある。
 粉雪がちらつく曇り空の下、シャルトの一角には帝都への出陣を待つ各国の兵達が集っていた。戦に向けて依頼を受けた冒険者達も各地から駆け付け、人熱れが冬をも忘れさせる。

「我が愛すべき同胞よ! 世界より集いし戦士達よ! ――時は来た」

 彼らの双眸が向く先には、艶めく黒髪を一つに束ね、戦装束に身を包んだ一人の少年の姿があった。

「敵は我らが帝国を滅ぼし、今や世界をも災禍に呑み込まんとする『天霧りに消ゆる幽界樹』。滅国の皇妃イダ・バルダス。己が野望に憑りつかれ、民をも捨てた愚帝ヨゼフ・バルダス。……そして、征竜だ」

 シルトラース帝国最後の皇子レイウェスト・バルダスは、迷いなき瞳で兵達を、冒険者達を見つめ続ける。一人一人の顔を、脳裏に刻み付けるかのように。

「いかなる敵が立ち塞がろうとも、我々は全てを打ち倒す。我々は三年前の屈辱を晴らし、必ずや帝都奪還を成し遂げる。我々は、我々の愛する者達が生きるこの帝国を、この世界を、必ずや守り通さねばならない。――我々は決して敗けはしない。我々はいかなる犠牲を払おうとも、自らの未来を勝ち取るため最後まで戦う。……我ら授恵者(人類)に後を任せし『大地の守護者(世界樹)』は言った。『守護者』達の時代は終焉を迎えたと」

 曇天から俄かに差した陽光が、レイウェストを明るく照らし出す。彼は目一杯に声を張り上げ、征竜の虹宝剣を高く掲げた。

「我が同胞よ、同盟者達よ。今こそ『世界の守護者』と成れ! ――我々は、必ずや勝利を掴む!」

 兵士達が一斉に得物を掲げ、割れんばかりの歓声がシャルトを包む。
 いつまでも冷めぬ熱狂をその身で受け止めて、演説を終えたレイウェストがゆっくりと降壇しかけた――その時だった。

 ――やあやあ、素晴らしい演説だったね。感動しちゃったよ!

 その場に集った全ての者達の脳内に、思念が響く。

「――そなた、は……?」

 誰もが注目する壇上、そこにはいつの間にか、白い球体のような何かが浮いていた。赤白の三角帽に落書きのような目口――それが収穫祭時期に世間を騒がせた『妖精ジュール』であると気付いたのは、誰が最初であったか。

「やあ、ボクは妖精ジュール……いや、キミ達はもう気付いているよね? ボクはジド・ルウ。その意識体さ」
「ごめんね~、いい感じの演説タイムに乱入しちゃってさ。ウチの首領が、どうしても皆に話したいことがあるらしくてね」

 空を滑るようにして壇上に現れた大蝙蝠が、黒髪赤目の吸血鬼に姿を変えた。その隣に舞い降りてきたのは、神官のようなローブを纏った一人の女。

「メドゥの右腕……! 左腕もか……!」
「――止せ!」

 思わず斬りかかろうとした武官を、レイウェストが制止する。
「戦う気はないよ?」とへらへら笑う右腕を睨みつけながら、レイウェストは低い声で問うた。

「ジド・ルウがそなたら(メドゥの指先)の首領だと? そのような噂は耳にしたが、しかし――」
「その通り! ボクはメドゥとかメドゥの指先首領とか呼ばれるけど、君達が言う『神代の英雄』ジド・ルウなのさ。ボクは世界の狭間からこの世界を見守って、皆を救うために組織を作って手助けしてきたんだ!」
「……皆を、救うため?」

 理解できぬ様子で聞き返したレイウェストに、ジュール――ジド・ルウは上機嫌で丸い身体を揺すってみせる。

「この世界の人間達は、いつだって悩んで、苦しんでる。誰しも『欠落』を抱えて生きているんだ。人間はそんな苦しみから解放されるべきなんだよ。そのためには、皆が『世界の真実』に気付く必要がある。気付くためには、どんどんヒトとしての階梯を昇らなきゃいけない。……そう、神に成るってことさ!」
「神に成り、世界の真実に気付くことが、人が人の苦しみから救われるために必要なことだと言うのか?」
「そう! だからボクは、深い深い欠落を抱えた子達を集めて、力を与えて、階梯を昇る手助けをしているんだ」

 ふふっ、と。黙って聞いていたメドゥの右腕が寂しげに笑ったような気配がした。
 ジド・ルウはそれを気に留めるでもなく、ざわめく兵や冒険者達をぐるりと見回している。

「へえ~? 世界樹くんのお陰もあるけど、ここにも『世界の真実』に気付き始めた人がいるんじゃない? キミ達が『超越者』って呼んでるやつだよ。ボクは皆を救いたいんだ。だからキミ達には、この厳しい戦いを経てもっともっと強くなってほしい!」

 丸い胸を張って宣言するジド・ルウを、誰もが唖然として見つめる中。
 かつて極北の征竜の巫女であったというメドゥの左腕が、無感情な声音で言葉を紡いだ。

「私は征竜を殺す。征竜こそが世界の害悪よ。私はあなた達が何をしようと興味はないけれど、私の邪魔だけはしないで」
「おっと、左腕ちゃん。今は大人しくしようね」

 まるで一人だけ正気を保っているかのように、メドゥの右腕(吸血鬼の神)はレイウェストを振り返る。

「ウチの首領は君達に発破をかけに来ただけさ。それから左腕ちゃんは征竜を殺したい。僕は、長い付き合いの左腕ちゃんの望みを叶えてあげたい。そこで君達に忠告とお願いだ」
「……申してみよ」

「征竜は『超越者』を嫌う。左腕ちゃんが目を付けられたら面倒だから、僕達はしばらく動かない。だけどチャンスが来たら、遠慮なくやらせてもらうつもりだよ。それは君達にとって利になるだろうから、僕達の邪魔もしないでほしい」
「キミ達の中にも『超越者』がいるなら、征竜には気を付けたほうがいいね! まあ、上手く動けばもしかして、だけど……うん、皆! がんばってね!!」

 レイウェストの返答も聞かず、身勝手な者達(メドゥの指先)はふわりと空へ舞い上がる。
 白い球体は冬空に溶け、北へと飛び去る大蝙蝠と白尽くめの女の姿もまた、瞬く間に見えなくなった。

●
 11月末――預言の日。
 帝都の城壁が見える位置まで進軍したロスガリア大陸連合軍は、ヨゼフ一派が現れるという西側を除き、都市を包囲するように布陣した。
 帝都全域を覆う幽界樹の枝葉は、遠目に見ればまるでなだらかな山のよう。都市に満ちた黒い霧は城壁の外側にまで薄く広がり、力なき非授恵者ならば近付くことすら叶わない。大型凝黒装置の大半は帝都内への突入部隊に随伴するため、城壁付近の陽動は授恵者が、その外周の守りは非授恵者が、と役割を分ける必要がある。

「……来たか」

 帝都西側。荒野の果てから響く行軍の音を聞き、レイウェストは顔を上げた。宰相ナサニエル・バルバスティンを先頭に、武装した幾人もの男女(帝国過激派)が帝国皇帝ヨゼフ・バルダスの軍馬を囲んでいる。

「――我が孫、レイウェストよ。余と共に母を討つ覚悟は整ったか」

 レイウェストの背後から、マクシミリアンが奥歯を食い縛る音が聞こえた。
 ディズルに散った部下を想い、こみ上げる怒りを理性で押さえつけるマクシミリアンの姿も。頭を垂れることもなく厳しい眼差しを向けるバルディオンの姿も。
 大陸制覇の夢に憑りつかれた超越者(ヨゼフ)の目には、映らない。

「大森林で交わした休戦の約定は覚えております。我が母イダ・バルダスを討つまでは、貴方と剣を交えるつもりは無い」
「……良かろう。じきに征竜も参る」

 ヨゼフが抑揚のない声音で告げたその時、俄かに空が陰った。同時、轟音のような羽音とともに突風が吹き荒れる。

 ――我が新しき巫女よ。我は汝を 危険視する。

「……征竜」

 大空を舞う巨大な白き竜。四対八眼の金眼が、射貫くようにレイウェストを見下ろしていた。

 ――汝は神に至りし者(エフレム)を 言の葉にて動かし得る。なれば 滅ぶべし(それゆえに殺す)。

「私はエフレムを神になど成らせぬ。そなたのような者には、私の心など生涯わからぬやもしれぬがな」

 マクシミリアンとバルディオンが得物に手をかけ、前へ出た。白き竜は眼下の少年を見定めるかのように押し黙り、空を旋回し続ける。

「征竜よ。その者と余は休戦の約定を結んでおる。余の同盟者たる其方が手を出すは罷りならん。その者を殺せば、イダ・バルダスとその配下たる幽界樹を打倒すべく集った何万の兵が敵となろう」

 レイウェストに殺意を向ける征竜を制止したのは、ヨゼフだった。
「余と其方の同盟をもってすれば、人の連合軍など容易に蹴散らせよう。しかし、その潰し合いこそが皇妃イダ(あの女)の狙いであれば如何する」

 ヨゼフが発した問いに、征竜が答えることはなく。
 しかしレイウェストからは離れ行き、黙したまま城壁の一角に舞い降りた。

「陛下と皇子が休戦の約定を交わしたとて、皇子は我らと馴れ合うことを望みますまいな」
「その通りだ、バルバスティン」
「では、此方は此方。其方は其方で。互いに彼の皇妃を捜すといたしましょう」

 帝都を望む荒野で、ヨゼフ率いる帝国過激派とレイウェストら連合軍代表が、それぞれに向きを変える。
 帝都の西と南へ、それぞれ歩んでいく両者の姿を、人知れず岩陰から見守る者が居た。

「――征竜さま……!」

 すがるように、己が全てを捧げるかのように、白き竜を見つめてその名を呼んだ。
 銀色の髪を風に靡かせ、征竜の巫女ヒルルクは立ち上がる。
 行かねばならない。故に彼女は、駆け出していた。

●
 帝都の城壁を前に、20基の大型凝黒装置が稼働を開始する。
 漂う黒い霧が集められ、吸われ、明らかに薄まっていく様子が見て取れた。

 まもなく正午。南東の突入部隊は既に準備を終えている。
 南に組み上げられたドワーフ王国の大型投石器『轟かす者(フリスト)』が、時計の針が頂点に揃う時を待っていた。

「――放て!!」

 正午。メルヴィン・トマス・アーチボルト北方辺境伯の号令のもと、巨岩が城壁を打ち崩す。岩と瓦礫を乗り越えて、瞬く間に帝都内から溢れ出てくる新旧の幽界樹の仔を、連合軍が待ち受けていた。

 やがて、遠く離れた帝都北からも、巨岩が城壁を打つ轟音が響き始める。

 帝都シルトラース奪還作戦の始まりだ。


 執筆:桃谷かな

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0