【泥乱】ディズル内乱

イネス・コンテスティ
ご協力ありがとうございます、ミルド様。アシムベート様をはじめ、古老の方々のご理解はまだ得られておりませんし、若いリザードマンの皆様と私だけでは征竜様のご指示を果たせるか心配でした。
マクシミリアン・ミルド
いえ、戦う地は違えども、民草の安寧の為に剣を振るうのは帝国軍人の誉れです。古老の方々が『泥血啜る月吸蟲』を封じるのに雲霞鳥の力が必要だったというなら、両方を纏めて倒してしまえば良いでしょう。
……イネス殿、よそ行きの口調、まだ続けるかい? 見ているのはリザードマンくらいだろう?
イネス・コンテスティ
ああ、偉い人の前じゃないから取り繕う必要もないんだ。じゃあ改めて、助力に感謝するよ、マックスおじさん。
マクシミリアン・ミルド
そこまで砕けなくてもいいんだがなあ。まあ、いいか。帝国近衛連隊、これより巫女イネス殿に協力しよう。存分に使ってくれ。
ヴァーロゥム
(あ、あの男は一体……? 間違いなく、強い。まさか、イネス殿はあの男を……?)
ディズル大湿地帯の難敵たる雲霞鳥と泥血啜る月吸蟲。
第三の巫女イネスはその打倒のため、皇帝ヨゼフの手を借りると告げた。
(6月9日より 【泥乱】ディズル内乱 連動シナリオリリース予定!)
assignment【泥乱】ディズル内乱 概要
「【泥乱】ディズル内乱」は第三の征竜の巫女イネス・コンテスティがギシュム族の若者ヴァーロゥムに保護された事に端を発し、大酋長アシムベート・グリオウの求心力低下と相まって生じたリザードマン部族の分断を扱う連動です。巫女イネスとの交流を機に不倶戴天の敵である雲霞鳥と泥血啜る月吸蟲の徹底的な掃討を目論む若手と、それらの脅威を知る古老とが方針を巡り対立します。
assignmentここまでの流れ
ギシュム族の若者ヴァーロゥムが湿地帯で助けた迷い人は、征竜の巫女と付き人と自称し、その言葉と武力で若いリザードマンの尊敬を勝ち得た。征竜からの言葉として、「征竜の数が神代より減っており彼らリザードマンに早く竜となって欲しい」という。巫女らの周囲に帝国の影を感じたアシムベートは、彼女らの周辺を探ることとした。
(6月8日追記)
若きリザードマン達は巫女イネスを素直に歓待するが、イネスと親しい武装商人が帝国近衛連隊長と同じ名を名乗っている事が判明した。イネスは自身がヨゼフ一派とリザードマンの更なる進化という一点で合意し、協力を受けていると認める。彼女の招きを受け、マクシミリアン・ミルドと近衛連隊の生き残りが正式にディズル大湿地帯へ来訪した。アシムベートと古老は雲霞鳥の存在が泥血啜る月吸蟲の封印の一角を担っている事を明かし、自重を促すが……。
person_pin関連NPC
ディズル大湿地帯の最大派閥であるギシュム族の酋長。ギシュム族が泥血啜る月吸蟲を封印している一帯の管理を担うことから、大酋長とも呼ばれる。武威ばった人物ではあるが、人柄は良く義理堅い。帝国近衛騎士になったエフレムの兄貴分でもあり、マナズィールも共にしたことがある。
《本連動での動き》
昨年、独断でシルトラース帝国のリーンエス王国侵攻に加担する密約を結んでいたことを告白して以降、求心力の衰えが見られている。
(6月8日追記)
イネスと近衛連隊の助力を受けて雲霞鳥の巣を攻略しようという若者達に自重を促すが、その言葉は届いていないようだ。
亡国となった帝国の皇族の、唯一と思われていた生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝ヨゼフとその子女である第三皇女イダとの間に生まれた生粋の皇族と言われている。帝都から脱出して以降、各国の支援や冒険者達の助力を受けて帝国南部を奪還し、その後も帝国民の安住の地を確保しようと努めている。
《本連動での動き》
恩義のあるアシムベートの苦境を伝え聞くも、ディズル大湿地帯の内政問題である為に介入をためらっているようだ。
【蠱毒】ラスリャマスの乱ではアシムベートに従った、ギシュム族の優秀な若手戦士。将来の族長候補として期待されていた中の一人である。
《本連動での動き》
集落の外縁警備を行っていた際に、道に迷ったという『征竜の巫女』と付き人を助けた。
(6月8日追記)
イネスへ迂遠なアプローチを続けているが、今のところ効果は見られていない?
極北からやってきた三人目の征竜の巫女。とても美人のヒューマン女性。南へ進んでいたところ、沼地に遭遇して困っていたらしい。思考はどちらかというと戦士であり、リザードマンの生き様に共感したので彼らが強くなるために協力したいという。
《本連動での動き》
ギシュム族に保護され、疲れを癒やすべく療養している。
(6月8日追記)
ヨゼフ一派との協力関係を明かし、帝国近衛連隊をディズル大湿地帯へ招き入れた。当人は集落で古老の説得を続けるようだ。
枯れ木のような長身の老人。鋭い目と隙の無い身ごなしが特徴のヒューマン。極北山脈の近くの村落の生き残りで、村人が皆死に絶えた村で1人暮らしていた所を巫女に拾われたという。
《本連動での動き》
格闘術を嗜むが現役は引いたと自称し、若いリザードマンがクリーパーを狩る際には師匠や軍師のように振舞う。
(6月8日追記)
状況の変化に際し、稽古を控えて巫女イネスの身辺の守りについているらしい。
40代程のヒューマンの男性。シルトラース帝国近衛連隊長として最強の戦士とされ、滅亡前の帝国では四方将軍の上席にあり、帝国軍人の頂点であった。
《本連動での動き》
配下の近衛連隊の生き残りと共に征竜の巫女イネスと若手リザードマン達へ協力を申し出ており、雲霞鳥の巣を滅ぼすべく先陣を切った。
menu_book関連用語・情報
ギシュム族
リザードマンの中で大きな勢力を誇る武闘派一族で、『泥血啜る月吸蟲』の結界の管理や封印強化の儀式の遂行を担ってきた。二年前にラスリャマスの乱を退けた偉大な戦士アシムベートが変わらず大酋長を勤めている。 アシムベートが、滅亡以前のシルトラース帝国が計画していたリーンエス王国侵攻作戦に無断で協力を約束していた事を告白して以降、その求心力には衰えが見られている。
泥血啜る月吸蟲
伝説に残る『竜喰らい』などの超大型級に匹敵する強力さを有するとも言われている、ディズル大湿地帯の一角に物理的に封印された大型級のクリーパー。エーテルの乱れた湿原でしか生きられないと目されており、エーテルが清浄化された石垣とその内側を流れる川により形成された封印で閉じ込められている。しかし、月吸蟲が存在することにより周囲の環境は徐々にエーテルが乱れていき、石垣は崩れ、川も湿地で侵食されていくことが分かっている。かつて新暦1044年には封印が破れる事件があり、再封印のためにリザードマンは多大な犠牲を払った。そのため、ギシュム族の主導の下、月吸蟲への攻撃と封印の強化が定期的に行なわれている。
最後の封印強化は二年前。メドゥの指先ラスリャマスによる妨害が行われたが、冒険者の協力によって儀式を成功させた。
封印地帯
エーテルが清浄化された石垣と、その内側を流れる川により囲い込むことによって形成されている。月吸蟲によってエーテルの乱れが広がると、封印にも影響が出るため、石垣にはエーテルの清浄化を保つ能力のある石柱が要石のように一定間隔で埋め込まれている。封印地帯の内部に出入りするには、石垣の間に作られた通路を通り、跳ね橋のように門を降ろして内側の川を渡る必要がある。
封印地帯内部の生態
乱れたエーテルにより、クリーパーが発生しやすい環境になっている。しかし、それらのクリーパー達は仲間意識があるわけでもなく、互いに共食いを繰り返す、弱肉強食の世界を形成している。無論その頂点にいるのは月吸蟲であり、リザードマンにより加えられている攻撃によって弱まった力を、他のクリーパーを捕食することにより取り戻していると言われている。またリザードマンにとっては皮肉にも、封印地帯を形成する石垣は、雲霞鳥の格好の繁殖地となっているようだ。その他の原生生物も逞しく生きている他、かつて戦場に散ったリザードマンのスケルトンなども封印地帯をうろついている。
雲霞鳥
生息域はディズル大湿地帯全域。少数であれば比較的楽に討伐可能。超低空を飛翔するものの湿地帯から出ることはない。
一定数以上集まった雲霞鳥は集団で狩りを行うが、その際に雲霞鳥は薄い靄に包まれ、この靄が雲霞鳥たちを強化する役割を担っている。靄を纏った雲霞鳥群は大湿地帯を傍若無人に食い荒らす。そのためリザードマンたちは雲霞鳥を見つけようものなら早期に討伐し、群れの形成を遅らせながら、次の群れに備える――というライフサイクルとなっている。
帝国近衛連隊(6月8日追記)
帝国崩壊以前は授恵者のみ千名程で構成され、かつてのシルトラース帝国における最強の武装集団だった。帝都滅亡に際しては幽界樹の黒い霧に苦戦しながらも、その身を挺して奮闘。ヨゼフ・バルダスら帝国中枢の帝都脱出を助けた。現在まで生存し、ヨゼフに従っているのは100名程。良い意味でも悪い意味でも帝国軍の上澄みなので、征竜は敵であるという思考はぬぐえない。
征竜の巫女(6月8日追記)
詳細は不明だが、征竜に何らかの役割を任じられた者たち。その身体のどこかに「征竜の紋章」と呼ばれる模様が浮かび上がる。人類社会の見聞を指示され極北より訪れたヒルルク、彼自身の見極めの為に巫女とされた帝国皇子レイウェスト・バルダスの2名が知られていたが、ディズル大湿地帯に第三の巫女としてイネス・コンテスティが現れた。
「雲霞鳥の巣を攻める、だと? まさか、どれだけの犠牲が出ると思っているのだ」
「今年は雲霞鳥の特異個体が多く見られているのじゃぞ。守る手立てを考える方が肝要であろうに」
「征竜の巫女イネス様が協力して下さいます」
大酋長たるアシムベートを前に、ギシュム族の若者ヴァーロゥムは怖じる様子もなくそう語る。ディズル大湿地帯で迷っていた所を保護されて以後、第三の征竜の巫女を名乗るイネス・コンテスティは若きリザードマン達の信頼を得ていた。アシムベートをはじめ、古老への敬意を無くした訳ではないにせよ、新しい外からの風は否応なく若者を煽る。
「正式な面会の機会をいただき、感謝いたします。大酋長アシムベート様」
威圧的な外見のリザードマンに囲まれ、物怖じした様子も無く会釈をする若い女が、この事態の中心だ。気配を消して背後に控える老人の方が武人としては上であろうが、イネスが若き武闘派の火付け役なのは間違いない。
「……お前達は知らないのだ。雲霞鳥は湿地帯の必要悪。『泥血啜る月吸蟲』の封印は、無尽蔵に増える雲霞鳥どもの力を借りて成り立っている」
アシムベートが静かに語った言葉に、控えていた古老がざわめいた。それは古老達の間では知られているものの、広く語るような事柄では無い。リザードマンの戦士としては、独力でかの大クリーパーを抑え切れていないという不名誉なのだから。ヴァーロゥムにとっても当然初耳であった。
「……そ、それは」
「それならば、『泥血啜る月吸蟲』も倒してしまえば良いでしょう」
「イネス殿」
言葉を無くしたヴァーロゥムを勇気づけるように微笑み、巫女イネスが口を開く。
「皆様と、ヨゼフ様との間に確執があると聞いていましたので、黙っていたのですが……。あの方は『リザードマンを強くする』という点において私の目的に同意して下さっています。助力を惜しまないとも、仰っていました」
「ヨゼフ・バルダス……? 今更、手を貸すというのか。いや、しかし……」
アシムベートが困惑したようにその名を告げた。皇帝ヨゼフ・バルダスはいまや大陸各国から敵視されている。ディズル大湿地帯が直接の危害を受けた訳ではなくとも、長年の同盟者であるフィルエス大森林が攻撃を受けた記憶も新しい。だからこそ、アシムベート自身の口からヨゼフ一派との決別とレイウェスト皇子への助力を口にしたのだ。
「……しかし、『泥血啜る月吸蟲』を本当に倒せるというのなら」
「馬鹿な。大森林の惨状を見たであろう。あのものが信用できるとでもいうのか」
かつての帝国の隆盛を知る古老も揺れている。彼らが倒せるというのならば、倒せるのであろうか、と。まとまりを欠いた古老会議は結論を出せず、巫女イネスと若者達の提言については先送りとなった。その午後、ディズル大湿地帯に物々しい甲冑姿の集団が姿を現す。
「帝国近衛連隊、隊長のマクシミリアン・ミルド以下76名。征竜の巫女イネス様の要請により馳せ参じました。これより雲霞鳥の掃討と『泥血啜る月吸蟲』討伐にご助力いたしましょう」
人数は激減し、その鎧も古老達の記憶にあるよりも傷つき汚れていたが、王国騎士団と並んで大陸最強の集団と称された彼らの武威は明らかであった。
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あくまでもディズル大湿地帯の問題ではある。しかし、帝国皇帝ヨゼフの協力を受けたとなれば、フィルエス大森林やヴィントのレイウェスト皇子らとの関係に罅も生じよう。その事は重々理解できている古老達にとっても、目の前にぶら下げられた、千年超の仇敵打倒の可能性は大きい。
「……儂は反対だ。レイウェスト皇子への義に背く。それに、雲霞鳥や泥血啜る月吸蟲はそこまで容易い敵ではあるまい」
「しかし、マクシミリアン殿によれば、雲霞鳥を殲滅する秘策があると」
「おぬしは、彼らが信頼できるというのか?」
「彼らはあくまで巫女イネス様の助勢だという。ならば我らとは無関係とすれば」
「鱗無き惰弱者のような戯言を口にするな!」
「……口を慎め。我らの同盟者を侮辱するつもりか」
イネスやバルバスといった部外者を廃し、古老たちに若者の代表としてヴァーロゥムを加えた部族会議は、紛糾した。アシムベートは明確に反対を述べ、他には大湿地帯の過去の歴史に詳しい古老も慎重論を述べる。ヴァーロゥムは威勢良く主戦論を語り、古老の中でも過去に幾度か生じた雲霞鳥の大氾濫の脅威や、封印結界の仕組みに詳しくない者は流されつつあった。
「過去の事例は正しい伝承を伝えているのですか? 大げさになっていたり、あるいは授恵者達の助力を得られる今となっては脅威たり得ぬ規模なのではありませんか」
「苦難にあって魂を燃やした先祖を愚弄するのか、ヴァーロゥム!」
「す、すみません」
叱責を受けて頭をたれる青年は、外部の者の影響を受けすぎたようにも見えたが、リザードマンの誇りを失った訳ではない。そう感じて古老の1人は安堵の息を吐く。
「そもそも、彼らを受け入れたとして、冒険者ギルドの授恵者達はこの討伐に助力してくれるのか……?」
「は、はい。イネス様に確認するように言われて聞いています……。冒険者ギルドはあくまで中立である、と返答がありました」
この場合の中立宣言は、アシムベートにとっては苦い。いっそ皇帝ヨゼフ一派に与するならば冒険者ギルドは一切協力しない、とでも言われれば説得材料にもなったのだが。巫女イネスは今も若きリザードマン達へ甘い言葉をささやき、勝利の未来を得るべく彼らと共に汗を流しているだろう。集落の外に野営したマクシミリアンらは自分たちだけでも雲霞鳥を掃討しようと準備を進めているらしい。ヒューマンの感情を見抜くことが得意ではないにせよ、アシムベートの目から見て彼らに悪意は見受けられなかった。だからこそ、難しい。
「……フィルエス大森林を助けてエルフの知己を得るより前の我らは、独力で大湿地帯の敵と戦っていたのだ。そのときに戻るだけでこの地の大敵を除けると考えれば、考慮の余地はあるのではなかろうかのう」
「なんと、それは本音で言っているのか?」
「いや、あくまで可能性としてじゃよ」
古老からすらそのような声が出る。会議は数日にわたっても結論らしい結論に至らず、苦悩していたアシムベートの元に、マクシミリアンら近衛連隊が独自で動き出したという知らせが入った。巫女イネスと若者達もそれぞれ動き出したという。誰もがよりよい未来を望みながらも、リザードマン種族は静かに分断されつつあった。
執筆:アルパカコネクト運営