ビッグオウムに関する所感


1221年8月12日

私の友人、臣下の皆様方へ
2021年08月12日 22時49分24秒 |4

2021年08月12日 22時52分26秒
 このとてつもない秘密はもっと公にされるべきであり、私は果たしてこのような物を特定の勢力が独占していて良いものかどうか疑問に思います。十分な検証が出来ていないために確言は出来ませんが、もしこの生物を世界中の人達が運用する事が出来たなら、人類にとって多大な福音となる事でしょう。商業、軍事の点においても少なからぬ革新がもたらされる筈です。あるいは既に関わっている人間が思いついていない、利用法が考案されるという事もあるでしょう。その重大性を鑑みて、私はこの短文をしたためるに至った次第です。昨今の事件からして、この事が直ちに人々の口端に上るとは思えませんが、各位十分に留意されるように。


シャルロットより

2021年08月12日 22時53分24秒
 さて、この巨大で、置き場に困るような鳥が何故重宝されているのかと言えば、それはビッグオウムが人を運ぶという点で馬をも超える有用性を示しているからです。この驚嘆すべき怪鳥は御者を含めた数人の人間を一度に、名馬の全力疾走をも超える速度で遥かに遠い場所まで運ぶ事ができます。その便利さは馬車と比較する事もおこがましい程で、私は初めてビッグオウムに乗った日、リブラネスタからローレラウラまで一時間ほどで到達した日の事を忘れる事が出来ません。確かに乗り心地は良くない物です。空を飛ぶ時には風が当たって凍えないようにコートを羽織る必要があり、うたた寝をする事も出来ない。しかし、船酔いするからと帆船の力を否定する人間はいないでしょう。この鳥をもし私が所有する事ができたなら、グランスパーダとエリンベールを往復するのもあっという間にできるだろうし、領内のどこにでも気軽に赴くことができる。そしてそれは領外であってもです。この事を熱望しない貴族が居るとは思えません。乗り物としてビッグオウムに対抗できるのは船だけではないでしょうか。それもあくまで積載量という点のみに限った話です。それこそが乗り物にとってもう一つ重要な点ですから、例えビッグオウムが十分に増えたからと言って、全ての港湾施設が不要になるという事では無いでしょうけれど。

(中略)

2021年08月12日 22時54分29秒
 ビッグオウムは成体の全高が3mから5mにもなる巨大な鳥であり、「ビッグ」オウム――「巨大な」オウム――という名前が指し示す通り、その足が三本である事を除けばオウムに良く似ています。足は通常の鳥と似たような位置に横並びに生えており、個体によって違う黄緑や赤といった鮮やかな羽毛を持ちます。尾羽や冠羽にも特徴を持つものもありますが、個体差が激しく、その全てをここで述べる事は出来ません。嘴は鋭利で歪曲しており、木の実を食べる事も、虫を食べる事も、飼育場に紛れ込んだ鼠を食べる事もできるようですが、人族を食べたという例は聞いたことがありません。総じて気難しく、飼育が難しいようで、ゴールディにおいても貴重品として扱われているようです。寿命はわかりませんが、ゴブリン達が個体数を増やすのに苦労している所から見ると、かなり長いのではないかと推測できます。病気にもある程度強いようで、ビッグオウムが病気のため冒険者の活動に支障が出たというような事は今の所無いようです。

(中略)

2021年08月12日 22時55分04秒
 私が授恵者となったのは1年ほども前、1220年6月の事でした。それから皆さんご存知の通り、帝国の崩壊とそれに関わる諸事によって、私を取り巻く環境は様々に変化し、その中で色々な目新しい体験をしました。それについては皆様もそれぞれの体験がお有りでしょうし、また様々に情報が出回っていることでもありますから、ここで述べる事はしません。では何を伝えたいのかと言えば、私もその一員であります冒険者達の活動を支えている、ある生き物についてなのです。「ビッグオウム」と呼ばれているそれはゴールディのゴブリン達だけが独占的に飼育し、必要に応じて貸し出されている物であり、他国の人間にとっては非常に馴染みが薄いと思われます。実際、私も目にしたのはリブラネスタに赴いた1220年8月が初めてでした。現在は各地に冒険者が盛んに赴くようになった事によって、彼らが使用しているビッグオウムもまた衆目に晒される事が増えていますけれども、未だ目にした事が無いという方が大勢いるでしょう。そのため、ここではビッグオウムがどんな生物で、どんな風に利用されているのか、私が目にした限りの事を簡潔に述べる事にします。
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0