【幻秋】ちからがほしいかー?

コースケ

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シナリオID:3261

オープニング

●白い魔物
 辺境都市群の都市のひとつ、水上都市アキュアリスタ。湖から突き出た遺跡を利用して造られたこの都市は、年末の水神祭の準備が行われていた。
 湖は一年に一度、冬季に大きく水位が下がり遺跡内部へ入ることが出来るようになるため、観光客や研究者が多く訪れるのだ。


「―――が――いかー?」

「今、何か聞こえ無かったか?」
「……いや? 波音じゃないか?」

 小舟に乗り、水神祭に備えて遺跡周辺の湖面を清掃していた作業員の耳に、水中から声をかけるものがあった。声は小さく水音に紛れて聞き取れなかったが、作業を続ける内に次第にはっきりと聞こえるようになる。

「――らが―しいかー?」

「やっぱり何かいるぞ!?」
「ああ。俺にも聞こえた!」

 作業員二人が水面を覗き込むと、湖底から何か白いものが浮かんで来るのが見えた。

「まさか、クリーパー……!?」
「でも喋るクリーパーなんて居るのか?」

 逃げるのも忘れて固まる作業員の前に、その白いものがじゃばっ! っと音を立てて姿を現した!

「ちからがほしいかー?」
「ヒエエッ! ……あれ?」

 ひっくり返りそうになった作業員だったが、白いものを直接見て間抜けな声を上げる。

「……小さいな?」
「しかもちょっと可愛い」

 二人が言うように、湖から飛び出したのは両掌に乗るくらいの白い球体で、子供の落書きの様な大きな目と口を持った存在だった。胴体からはちょこんとした手と尻尾らしきものが付いており、赤白ストライプ柄の三角帽子を被っているところも含めて愛嬌がある。

「しつれいだなー」
「「喋ったー!?」」

 驚く作業員達の周りをふよふよ漂いながら、その白い魔物は二人に向かい口を開いた。

「つよくなりたきゃイタズラするぞー?」
「強くなりたきゃ……」
「……イタズラ?」

 顔を見合わせる作業員だったが、一人が魔物に向かってオールを構える。

「やれるもんならやってみろ!」
「お、おい! 相手は何か分からないんだぞ?」
「こんなちっこい魔物に怯えてどうすんだ! 仕事の邪魔するんならぶっ叩いてやる!」
「わかったー!」

 息巻く作業員に魔物は体ごとこくりと頷くと、そのままぷくーっと膨らんでゆく。

「ヒエエッ! なんだコイツ!?」

 見上げるほどに膨らんだ魔物に腰を抜かした作業員が悲鳴を上げた。
 魔物は悲鳴に反応せずぐにゃぐにゃと身体を歪め、巨大な獣の姿を取る。サイズと頭に赤白ストライプの帽子が乗っていることを除けば完全に海豹(アザラシ)に変体していた。

「ユ、ユキミアザラシ……?」
「てことは……?」

 青ざめた作業員が顔を見合わせ、そこから逃れるため小舟を漕ごうとするが、海豹が船にのしかかって来るのが早かった。

『イタズラするぞー!?』
「うわあぁぁー!?」

 湖面で身体を横回転させる海豹に小舟ごと押し潰され、作業員の悲鳴が湖面に響いた。


●魔物の正体
「ありゃあジュールで間違いないな」

 魔物の正体を突き止めるため、アキュアリスタの冒険者ギルドを出ていった何でも屋のオッターは、戻って来るなりギルドの受付に報告した。その身体はずぶ濡れになっている。

「……オッターさんも沈められたんですね」

 対応する受付が魔物の情報を記入する。顔をヒク付かせているのは机の上にまで水滴が落ちていたからだ。

「あ、すまねぇ。なるべく早めに伝えた方が良いと思って」
「床はともかく書類を書く机の上と濡らすは勘弁してくださいね」

 オッターに手拭いを渡すと受付は依頼書にペンを走らせる。
 しばらく前からアキュアリスタの湖上に現れる魔物は、最近あちこちに現れて「強くなりたきゃイタズラするぞ」と人を脅して回るジュールという存在らしい。

「噂では戦えば勝敗に関わらず満足して去っていくそうですけど、どうして湖に居座っているのでしょう?」
「おそらくだが、ちゃんと戦える奴が居なかったから満足してないんじゃないか?」

 甘いお菓子等を与えると機嫌を良くして一緒に遊んだりしてくれるらしいが、ここのジュールはそれでは満足しなかったらしい。

「では、やはり冒険者さんに依頼を出して戦って貰う必要がありますね。ジュールが手加減してくれているのかこれまでに重傷者も出ていませんし、そこまで危険な依頼でも無いでしょう」

 そう言いながら依頼書を書き上げた受付は、ふと浮かんだ疑問をオッターに投げる。

「そう言えば、作業員の方がまともに戦えずジュールが満足しなかったのは分かりますけれど、オッターさんは授恵者ですよね? どうして満足しなかったんですか?」
「う。いやそれは……ハクション! あー風邪引いたかな。早く温かくして寝ないといけねぇ」
「ちょっと、依頼書に不備があったら私が怒られるんですってばー!」

 そそくさと逃げ出すオッターの背を、受付の悲鳴が追いかけた。

解説

依頼内容:アキュアリスタの湖上に現れるジュールを戦闘で満足させ退去させる。 ●新種の妖精(?)「ジュール」(【幻秋】連動共通情報) この秋、ロスガリア大陸の各地で頻繁に目撃されるようになった謎の妖精らしき存在。両手に乗るくらいの白い球形でちょこんと尻尾があり、ペンで雑に落書きしたような大きい目と口がある「おばけ」っぽい外見。赤白ストライプ柄の三角帽を被っている。自分達のことは「ジュール」と言う。 街はずれや森の中、畑などに昼夜問わず現れ、「強くなりたきゃイタズラするぞ」と人を脅かす。単体が多いが複数まとまっていることもある。 「強くなりたくない」と答えると、やたらと哀れんでくる。 「強くなりたい」と答えると、強力なモンスターに変身して襲いかかってくる。ジュールが勝っても人間が勝っても満足そうに元の姿に戻り、どこかへ去っていく。重傷を負うことはあっても、殺されることはないようだ。 なお、お菓子やフルーツなど甘い物をあげて機嫌をとると、仲良く遊んでくれることもあるらしい。 ●この依頼の特記事項 ・ジュールの出現場所はアキュアリスタの湖上。水深はかなり深いが戦場となるのは水深20mまで。 ・船を浮かべていると水中から現れる。遭遇率は昼夜問わずほぼ100%。 ・強くなりたいと言うと巨大な海豹に変身して襲ってくる。攻撃手段は巨体を横に転がせてのローリング押し潰し(幅2ヘクス、距離6ヘクスの自身の移動を伴う範囲攻撃)、水中に潜っての体当たり(単体攻撃) ・巨大化しても水面すれすれを浮いている。 ・移動手段として4人乗りの小舟を2艘まで貸出可能。破壊されても賠償の必要は無いが操船は冒険者のみで行う(通常動かすなら問題ない。特別な動きを行うなら汎用スキルの【騎乗】による一般判定)

マスターより

お世話になっております。コースケです。 マスター間で水上都市アキュアリスタのシナリオが少ないという話をした事もあり、水神祭前ですがアキュアリスタを舞台にしたシナリオをリリースしてみました(王国と同盟が大変で舞台にし難い時期というのもありますが……) ここのジュールは手強いですが、手加減もしてくれるので重傷等の危険も少ない(全てのシナリオ言えることですが行動によってはどんな依頼でも危険はあり得るので0ではありません)ですし、初心者の方も腕試しとして如何でしょうか。勿論熟練の方の参加も歓迎です。 何か解りにくい事がありましたら、ジュールにやたら哀れまれたオッターが回答します。 それでは、よろしければご参加お願いします!

リプレイ

●出発前
 アキュアリスタの冒険者ギルド内に険悪な空気が漂っていた。

「哀れまれるだけだと濡れなくねえか? テメェ、何か隠してんなら全部吐きやがれ」
「あぁ? 俺がそんな事すると思ってんのか?」
「あのあの、ケンカしちゃダメですよぅ!」

 ペルゼィックに問い詰められ、オッターが不機嫌に睨み返していた。険のある視線がぶつかり、レラ・F(フェネル)・ギュンターがオロオロと右往左往している。

「……喧嘩なのか?」
「意見の……相違?」

 そんな様子に、レピド・クロサイトとラケルが揃ってかくりと首を傾げた。レラと違い、全くこの空気に動じていない(読めていないとも言う)。
 その空気を払拭したのは、受付が振り下ろしたチョップだった。

「あいてっ!?」
「オッターさんが濡れていたのは戦って湖に落ちたからですよ。気絶して溺れるところをジュールに助けられて、『おまえよわいなー』と哀れまれたそうです」
「ちょっ!? 黙っててくれって言っただろ?」

 抗議を無視し、受付はため息をついてオッターを睨み付ける。

「恥ずかしいのは分かりますけど、聞かれたら答えないと皆さん不審に思うでしょう? ギルドは冒険者さんあってのものなんですから、変に隠し事をして不信感を持たれる訳にはいかないんです!」
「うぐ……」

 オッターが言葉を詰まらせるのを見て、ペルゼィックが舌打ちをする。

「チッ。んな事かよ。情報は正確に伝えろ。次は無えからな」

 『鍛冶職(斥候)の情報は正確でなけりゃ価値はねぇ』と心中で呟くペルゼィックに釘を刺され、オッターが渋々頷く。

「終わりましたか」
「では、行きしましょう!」

 話が済んだ事を確認したAlexandra(アレクサンドラ)・Hexe(ヘクス)・Claudia(クラウディア)とエルナ・クルプファルツが席を立ち、冒険者達はアキュアリスタの湖へ出発するのだった。

「いざ、最強のもふもふを求めて!」


●不測の事態(トラブル)
「では、予定通りにお願いします!」

 水上歩行(ウォーターウォーク)の魔法をかけて貰ったエルナが湖面を駆けて行く。冒険者達が立てた作戦の要が彼女であり、エルナはその役割を果たす為に別行動を取ったのだ。


 エルナと別れた一行は小舟で湖上を進み、ジュールが現れるのを待つ。やがて、水中から声が響いて来た。

「―――が――いかー?」
「来ました。エルナさんに連絡を」

 Alexandraがエルナにテレパスで連絡を取ろうとするが、返ってくる筈の連絡がない。

「何かあったのですか?」
「まさかあちらにジュールが現れたか?」

 同じ船に乗るレラとレピドが顔を曇らせるが、Alexandraは思案の後に首を振る。

「いいえ。エルナさんの実力なら簡単に倒れる様な事は無いでしょう」

 そこへ、ペルゼィックとラケルが乗った小舟が近付いてくる。

「何が……ありました?」
「あのあの、エルナさんとテレパスが繋がらないんですよぅ!」

 声をかけるラケルにレラがわたわたと事情を説明し、ペルゼィックが押し殺した声で釘を刺す。

(声に出すな。獲物に気付かれるだろうが。居ない奴の事を考えてもしょうがねえ。今は上がってくる奴を狩るぞ)

 口を押さえてコクコク頷くレラに視線をやったペルゼィックは、迎撃の準備として自分とラケルに水上歩行の魔法をかけ、Alexandraも自身とレラ、レピドに水上歩行をかける。
 それとほぼ同時に、水中から声の主が現れた!

「ちからがほしいかー?」


●問答
「つよくなりたきゃイタズラするぞー?」
「強さはいらねえ。要は勝ちゃあいいんだ」

 現れたジュールにペルゼィックが即答する。時間稼ぎの意味もあるが本心でもあった。

「どんなほうほうでも、かつためにはちからがひつようではー? そのむじゅんにもきづけないなんてー」
「テメェ間抜け面(ヅラ)して言ってくれるじゃねえか。俺は強さからくる面倒事は御免だね。あと、知らねえ奴から勝手に因縁つけられるのも迷惑だ」

 ふよふよと高いところから哀れむジュールに苛つく様子のペルゼィックだったが、その裏で冷静にジュールを観察していた。そのペルゼィックの直感(モヒカンセンサー)は、このジュールが見た目と裏腹に強力であり、底知れぬ相手だと感じていた。


「……つよくなりたくないのかー」
「待ったッ! それについて提案があるのですが」
「てーあんー?」

 しょんぼりして湖に潜っていこうとするジュールへ、Alexandraが持ちかけたのは戦闘の勝敗による賭けだった。

「あなたが勝てばアキュアリスタの粋な甘味をご馳走しましょう。私が勝てば、友人がユキミアザラシ姿のあなたを撫で放題ということでどうでしょうか」
「そう言う事(モフり放題)なら俺も乗ろう」
「もふり放題と聞けば……黙ってはおけないね」
「では、ギュンタはぬいぐるみのモデルさんになって欲しいのですよー!」

 Alexandra出した条件に、残る三人も食い付いた。
 猫飼いで他のもふもふもイケるレピドと、ジュールが巨大な白いアザラシの姿に化けると聞き、ユキミアザラシへの風評被害を阻止するため参じたラケルはもふもふの為に、ギュンタことレラはジュールの姿のぬいぐるみを作りたいと思っていたから渡りに船である。
 ペルゼィックは大海豹の皮と油を目的にしており、討伐する事自体に異論はない。
 ちなみに、ラケルにとって風評被害阻止のためジュールを撃退することと、アザラシに化けたジュールをもふもふし放題して愛でるのは矛盾しないらしい。それはそれこれはこれ。

「んー、ちからがほしいわけじゃないのかー?」

 ちっちゃな腕を組んで首(らしき部分)を捻るジュールに、ホムンクルス三人組が口を開く。

「いや。強くなりたい気持ちもある」
「うん……ラケル、いっぱい強くなりたい」
「ギュンタも強くなりたいですよー!」
「もー、それならはやくいってくれればよかったのにー」

 ぱっと顔を輝かせたジュールの身体がぐんぐん膨らんでゆく。

『つよくなりたきゃイタズラするぞー?』

 巨大な海豹(アザラシ)に化けたジュールに対し、一同は湖面に散開して迎撃態勢を取った。


●戦闘(イタズラ)開始
「でかいな、ユキミアザラシ……いや、ジュールアザラシか?」

 レピドは向かってくるジュールを止めるため、神材刀『朔(さく)』に赤光のエーテル(縛糸刃)を纏わせジュールに切り付けた!

『おうっ?』

 神材刀の刃が分厚い皮膚を貫き、赤光のエーテルは糸の様に纏わり付くが、ジュールはそれを引き千切り転がり始めた!

『ちょっとビックリしたけどきかないぞー!』
「見た目に騙されるな。ソイツは格上だと見てかからねぇと大怪我するぞ」
「確率は低い、か……ん?」

 ペルゼィックが天地のエーテルをかき集め(超魔法で)魔力を高めながら警戒を呼びかけ、レピドが後退する。その視界の端に何かが映った。


「ユキミさんを頑張ってゴロンゴロン転がしちゃいま――みぎゃ!?」

 レラが転がり迫るジュールを跳ね返そうと、エーテル光を全身に纏ってダマスカス鋼の盾を構えて突撃し、そのまま押し潰されて下敷きになる。

「言わんこっちゃねぇ……」
『ゴボゴボ……!?』

 その光景にペルゼィックが頭を抱える。ジュールの化けた海豹は見かけ通りの質量を持っており、ドラゴンチャリオッツで吹き飛ばすには無理があったばかりか、その巨体にのしかかられたレラは湖面を突き破り水中に沈んでいた。

「ちょっと緊張感……無かったかも」

 ラケルは掌に蒼白い光の槍(スネアージャベリン)を出現させると、ジュールへ狙いをつける。

「でも……やることは変わらない。今は……足を止める」

 放たれた光の槍がジュールに命中し、炸裂して纏わり付いた!
 先程のレピドの束縛には抵抗したジュールだったが、ラケルの移動阻害は効果を発揮していた。これは二人の能力(付与性能)の差もあるが、付与するBSの難易度(基準値)によるところも大きい。

「ぷはっ、びっくりしたのですよ……」
「足が止まっている間に仕止めるぞ!」

 レラが水中から顔を出して水面に上がり、ペルゼィックがエーテルの矢(魔矢)でジュールの頭を狙う!

「ほーどーけーないー」

 ジュールはペルゼィックの攻撃にもあまり堪えた様子はなかったが、移動を封じられているため巨体を捻り脱しようとしている。だが、もう暫く(数ラウンド)は抜け出せそうにない。


「ちょっといいか」

 足止まったジュールを見たレピドが、一同へ声をかけた。

「何か……あった?」

 問いかけてくるラケルに頷き、レピドは小声で説明する。

(遺跡にエルナが居る)


●狙撃手
「気付いて貰えましたっ!」

 エルナは冷や汗をかいていた。水上歩行の魔法の効果時間内にジュールが現れなかったことと、遮蔽の無い水上では隠密状態になる事が難しいため、アキュアリスタの遺跡部分に上がってそれを行うことを伝えようとしたのだが、連絡用のテレパスをセットし忘れていたのだ。

「失敗しちゃいましたね……」

 幸いレピドがエルナに気付いてくれたことと、ラケルの提案により事前に決めていたハンドサインでこちらの意図は伝わった様だった。

「失敗した分は働いて取り戻さないとですっ!!」

 エルナは神材の弓を構え、仲間が機を作ってくれることを信じ集中を始めた。


(遺跡の方を気にしていることを覚られないようにな)
(了解なのですよー)

 ジュールと対峙していた五人は、下がってエルナの狙撃を成功させる作戦を小声で話し合う。

(懸念点は二つ。ひとつはエルナさんの射程まで距離が足りないこと)
(もうひとつは……そこに誘い込むまでエルナを気付かれ無いようにすること……だね)

 Alexandraとラケルの言葉に一同が頷く。誘導自体は難しくないが、威力の上昇(グレートボウ:炎)に集中しているエルナは他の行動が取れない。いかにエルナが隠密行動(隠蔽スキル)の達人でも、射撃を行うためには射線が通っている必要がある以上、ジュールの視界に入れば発見される可能性が高いのだ。

(俺達がどれだけ奴の気を引けるかにかかってるって事か)

 ペルゼィックがレラを癒し(ヒール)ながら呟く。皮と油が目的な彼にとって、エルナの超高威力の狙撃は皮の傷が少なくなる(=利用可能部位が多くなる)点でも都合が良い。


『なにをこそこそしてるー?』

 そこへ移動阻害を脱したジュールが向かってくる。一同は再び散開して迎撃の態勢を取った。


●誘導
「此方ならどうだ?」

 レピドは肉体を蝕むエーテル(脛撃)を込めた刃でジュールを突き、その動き(回避)を低下させることに成功する!

「なら……ラケルはこっちだね」

 レピドが脛撃を成功させたことを見たラケルは、肉体を脆くさせるエーテル(魔錆)でジュールの防御力を低下させた。

「えいやー!」
「喰らいやがれ!」

 弱体化したジュールへペルゼィックとレラが仕掛け、竜骨の戦槌が鋭く振り下ろされ、魔矢がジュールの顔面を狙って放たれる!

『まだまだー! というか、なにをねらってるー?』

 ジュールは二人の攻撃で受けた傷に動きを止めるが、後方に控えるAlexandraへ向かってごろんごろん転がり出した!
 距離を取っていたためすぐに到達する訳では無いが、まずはレラとレピドが巻き込まれる。

「今度はどっぽーんとはいかないのですよー!」

 レラは防具にエーテルを纏わせて(重点硬化で)受け流し、レピドは攻撃を見切って範囲外へ逃れる!

『とまらなーいーとめられなーいー』

 ジュールはそのままAlexandraへ向かって転がり続け、今度はペルゼィックとラケルを押し潰す!

「あっ」

 ペルゼィックは光の膜(エーテルバリア)で被害を押さえるが、見切って避けようとしたラケルは失敗し跳ね飛ばされてしまう!

「だいじょぶですかー!?」
「クソッ!」

 レラとペルゼィックが癒しで回復させて意識を繋ぎ止めるが、その間にジュールはAlexandraへと迫る!


(まだ、足りない)

 Alexandraは星海へ紡ぐ朋友譚(メイガシス・ヒュムネピカ)を手に、魔法を唱えていた。この詠唱(ギガンティックシュート)が完成すればAlexandraの魔法は絶大な威力となる。だが、唱え終わる前にジュールが迫っていた!

『ざんねんだったなー……あれれ?』

 ジュールが驚きの声を上げる。Alexandraがの姿がぼやけ、赤髪の青年と入れ替わっていたのだ。

(仲間との連携、か。生前にもそういった事はあったのだろうか?)

 プリズムシャドウでAlexandraと入れ替わったレピドは、ジュールに押し潰されぬよう身を躱しつつ胸中で呟く。ホムンクルスとなる前は暗殺者だった彼に生前の記憶はないが、こうやって味方とフォローし合い、連携した事は無かった様に思えた。


『さーせるかー!』

 詠唱は終えたが、重装備のAlexandraよりジュールの方が速く、今度こそ押し潰そうと転がるジュールを止めるべくレピドとレラが顔を狙うが、これまで顔面を狙われ続けたジュールは前足を顔にあててガードする。

『かおばかりねらいすぎなのだー!』

 ジュールは顔を隠したままAlexandraへ転がって行く。

「願ってもない好機……だね」

 ラケルは再び光の槍を生み出し、ジュールにぶつけるとその動きを止める!

「皆さんの協力に感謝を。さて、決めましょうか」

 Alexandraはジュールの前に立ち、詠唱により威力と範囲の増した集束させたエーテル(ノヴァクラスター)を叩き付けた!!


●終止
 集中は十分で、神材の弓に番えた矢には必殺のエーテルが込められ、放たれる瞬間を待っていた。

 ――まだ、足りない――

 標的が射程に入るまであと10m……8……5……3……2……いま。

(ハイパーエルナ砲、発射です!!)

 そっと指を放し、必殺の矢を放つ! 解放された矢は緩い弧を描き、湖上を吹く風に流されながら飛んでいった。


『いたーい! でも、ジュールをたおすにはたりなかったね』

 ジュールのお腹に穴が空いていた。しかし貫通するには到らず、ジュールはまだ動ける様子だった。だが、Alexandraは終わったとばかりに魔術刀を下ろす。

「いいえ。もう十分です」
『なんだとー?』

 ジュールはAlexandraに体をぶつけようとする。だがその瞬間、飛来した必殺の矢がジュールの頭部で爆発した!!


「きゅうぅ~」

 爆炎が収まると、元の姿に戻ったジュールが目を回していた。


●勝者の特権?
「はい! チョコてゅ~るをあげましょう!」
『なめらかであまーい』

 エルナは再び海豹に化け甘味(てゅ~る チョコレート味)をぺろぺろしているジュールの背に乗ってもふもふを全身で堪能し、それにレピドとラケルも便乗してもふもふしている。

「よいですねぇ。創作意欲が湧いて来るのですよ」

 レラはアザラシと通常の姿のジュール二種類のぬいぐるみ作りに精を出していた。余裕があれば海豹に乗るエルナ達のぬいぐるみも作るつもりである。

「クソッ、骨折り損かよ」
「妖精ですしね」

 一方、ペルゼィックは倒しても海豹の毛皮と油は手に入らないとジュールから聞き悪態を付いていた。
 その隣に立つAlexandraが見守る中、エルナ達は心ゆくまでジュールをもふり倒すのであった。


●おまけ
 ジュールが何故自分達を鍛えようとするのか気になっていたレピドは、ジュールが化けた海豹が転がっていた場所に手を置く。

「モフるのに夢中で忘れていたからな」

 エーテルを通じ、残留思念に触れる。

「人を強くして悩みや苦しみから解放したい……?」

 食欲等の雑念もあったが、流れ込んで来たのはそれよりはるかに強い人の成長を願う思念だった。

マスターコメント

お待たせして申し訳ありません。 少々トラブルもありましたが、この様な結果になりました。 個人的には山あり谷ありの方が物語としては楽しいと思うのですが、皆さんは如何でしょうか? そのお陰で文字数が溢れそうになりましたが……。 それと確認してみたところ、グレートボウ:炎はロングアクションを4ターン以上続ける事が出来る(威力の上昇にカウントするのは3ターンが上限)そうですので、今回の様に威力の上昇をキープしたまま待つことも出来るそうです。 ただし、ロングアクション中は他の行動が出来ないので隠密状態を維持するのは今回のような工夫が必要になるでしょう。 今後の参考にしていただければと思います。 リプレイ楽しんで頂ければ幸いです。 ご参加ありがとうございました!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2023年10月24日 13時50分00秒 公開

成功

相談掲示板

  1. レピド・クロサイト

    ……巨大なユキミアザラシ愛で放題と聞いて(誤解) レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。

  2. ラケル

    ユキミアザラシに対する風評被害の危機と聞いて(? キャスター、ラケル。よろしく ウォーターウォークは必須かな……

  3. レラ・F・ギュンター

    ユキミアザラシさん愛で放題と伺いました!(違います) ギュンタはウォーリアのレラ・F・ギュンターと申します。どぞ、ギュンターとお呼びください。 転がってますところをドラゴンチャリオットで体当たり致しましたら、反対側に転がってゆくこともあるのでしょうかねえ。こう、ごろりんごろりんと。 ウォーターウォークを頂けるのでありましたら、突撃してみたかったりします。

  4. Alexandra・Hexe・Claudia

    今依頼でもよろしくお願いします。 キャスター、クラウディアです。 …ユキミアザラシ?なでほうだい…??? …今回ですけれども、ちょっと試したい連携がありまして。 最近こちらで習得した〈ノヴァクラスター〉…ひょっとして条件(相手に移動ないし回避系BS)を揃えたら、相手に弱点を晒させてダウンを取れないかな…と。 そのダウンに、エルナさんが大火力射撃を重ねたら何が起こるか。気になります。 ─こほん。そんなわけで、今回は先に挙げたスキルを持ち寄る予定です。 具体的にどのような連携になるかは…これからのお話し次第ですね。

  5. ペルゼィック

    ・・・んっ!んー(再投稿失礼 ペルゼィック。キャスター(←挨拶 油と毛皮を取りに来た。……油と毛皮を取りに来たんだっつーの(大事な事なので二回・・・ キャスターが多いな。相談次第になるが、持っていきたいスキルはさっさと決めちまえ。 俺は全体の方針で穴空いてる部分埋めるように適当に持ってく。

  6. エルナ・クルプファルツ

    エルヴンシューターのエルナです!みなさまよろしくお願いしますね! 勝てばユキミアザラシさんをもふもふし放題!これは気合いを入れて挑まなければいけませんね! ふむふむ!クラウディアさんのリクエストを頂きましたし、私は大火力ロマン構成で行きましょう! 一発限りの大技ですが、威力はなんと2000以上! クラウディアさんとの連携も合わせて、上手くいったら凄いことになるかもですね! 巨大ユキミアザラシさんのローリングアタックとレラさんのチャリオット!ぶつかったらどうなるのか、気になりますね!

  7. ラケル

    じゃあ、ラケルがデバフ入れるね。 スネアージャベリンでいいかな?

  8. Alexandra・Hexe・Claudia

    キャスターが多い…? ─、確かに…ずいぶん偏りましたね。 立ち位置内訳は、前衛3、後衛3…エルナさんが孤高スタイルをとるなら4:2になるか…といったところでしょうか? …あ、私は前衛にカウントですので。はい。 見たところ耐久面の出力はおおむね私が上位のようです。なるべくダメージヘイトを稼いでみます。 明確な拘束力がない手前、飛び火は相当に発生しそうですが… 〈ウォーターウォーク〉は…んん、お任せしてもよろしいでしょうか? できればその分のスキル枠を攻防に割きたいのです。

  9. Alexandra・Hexe・Claudia

    〈スネアージャベリン〉…はい、条件達成に充分です。ご協力感謝します、ラケルさん。 エルナさんもリクエストを受けていただけて嬉しいです。 手段を見るにエルナさんが一番準備に時間がかかりますから…実行の合図もそちらから出していただけるととても助かります。 あとは準備完了までこちらで前衛を張りつつ〈クレネルウォール〉も用意しておいて… 見計らって、ラケルさん・わたしの順で仕掛ければいけそうです。 クリティカル効果の要望として、弱点をエルナさんに向ける形でダウンを取る…と。 ─ふふ。うまくいきますかね?楽しみです。

  10. ラケル

    じゃあ、ラケルは今装備してる武具とスキルで参加するね ジュールが視認できなくなった場合に、超聴覚を使おうと思う 付与値はあとちょっぴり上げられるけど、攻撃の手が減るのもアレかなってことで火力型杖にしてる 今回はヒーラー居ないし、短期超火力で決めた方がいい気がする ギュンターのやりたい「ジュール(ユキミアザラシ)ころんころん」も、接敵されると困る後衛には有難いかな

  11. エルナ・クルプファルツ

    分かりました!でしたら私の方の準備開始の合図を出しますね! 隠蔽攻撃になるので、合図はテレパスになると思います! なのでどなたかテレパスを準備して頂けると嬉しいです! 合図開始から3ラウンドで最大威力に達します!その前にも撃つこと自体はできるので、状況次第で発射しましょう! ちなみに本番の構成はこんな感じです!後衛ですね! ウォーターウォークを頂いて水面に待機するか、本船の上から弓で撃つかになりそうです! 射撃範囲内への誘導はみなさまにおまかせすることになりそうです!

  12. Alexandra・Hexe・Claudia

    Q1, ―あ。 あの、オッターさん。件のジュールが変身した姿ですが…どれくらいのサイズだったかは観察されましたか? (可能であればhex数での表現もあると嬉しい)

  13. オッター

    A1 見上げるくらいだったな。 具体的には体長8m、体高4mくらいでヘクス二つを占有すると思って貰っていいぜ。

  14. Alexandra・Hexe・Claudia

    わかりました、ありがとうございます。 相手の情報を鑑みるなら、〈ウォーターウォーク〉の戦闘中付与を意識する場合1箇所で受ける(≒1人だけ持ち込む)のは得策でないやもしれませんね… なるべく味方と一定距離を取った方が、纏めて巻き添えのリスクを減らせるでしょうから。 …となると、ここは私も持ち寄るのが吉かな。特に前衛への付与で役に立ちそうですし。 さて、先に話していた連携について改めて共有します。 内容は[移動・回避デバフ]を起点とした大火力集中攻撃。 エルナさんの隠密およびチャージ攻撃準備にあわせて目標を射程圏内に誘導し、チャージ完了後に 〈デバフスキル〉→〈ノヴァクラスター〉→〈見えない死神〉 の順で当てるプランです。 実行にあたっては、エルナさんから〈テレパス〉で。 私からは…そうですね。指笛と、同行するペットを伝令として走らせることとします。 また、実行にあたって…これは不都合でなければ、の話なのですが。 レラさんに対して、目標となる相手の射程圏内への誘導を。 レピドさんに対して、私を対象とした〈プリズムシャドウ〉を用いての目標至近への誘導を。 それぞれお願い出来れば非常に助かります。

  15. レラ・F・ギュンター

    皆さんありがとうございます! ギュンタはユキミさんをごろんごろんしちゃいますよー! 時に、Claudiaさんに伺いたいのですが。 「相手の射程圏内への誘導を」とのことですけども、これって具体的に何をしたらよろしなのでしょか。 すみませんギュンタ、かしこさが足りずあまり理解出来てなくて。 ユキミさんをClaudiaさんの魔法が届く位置までゴロンゴロンしてけばよろしです?それともエルナさんでしょか? 射程内まで転がしてくのでよろしでしたら承ります。 それだとまずそうでしたら必要スキルをご教示いただけますと助かります。持っていれば協力できますし、持ってなければ難しそですかね。

  16. レピド・クロサイト

    特性は今のところ要請のあったプリズムシャドウ、それとデバフの話が出ていたので縛糸刃の予定。 近接攻撃主体になるのでウォーターウォークは助かる、よろしく頼む。 >Alexandra 了解だ、プリズムシャドウは持っていこう。 指笛か伝令がきたら使用すればいいんだな?

  17. エルナ・クルプファルツ

    ギュンターさんもレピドさんもありがとうございます! ギュンターさんのごろごろ!楽しみにしています! 私の方は弓による射撃攻撃になるので、20ヘクスの範囲内ならどこでも大丈夫ですよ! なので、恐らく誘導はクラウディアさんの位置か、プリズムシャドウを使うところを見るとレピドさんの位置になるのかなと想像しています! いい感じにごろんごろんするといいのかもしれません!

  18. ラケル

    ひとまず、ラケルが装備予定のスキル掲載しとく 被りそうなのあったら変えるから教えて欲しい 【装備スキル】 [特性] 空間爆砕(攻撃) [特性] スネアージャベリン(行動阻害デバフ) [アクション] 見切り2 [アクション] 魔弾2(攻撃) [アクション] 魔糸3(回避デバフ) [アクション] ウォーターウォーク

  19. Alexandra・Hexe・Claudia

    レラさんとレピドさんへの回答に併せて、詳細をお話しします。 まず、最終的な目標は[エルナさんの〈見えない死神〉によるトドメ]です。 なので、誘導を行ううえでの『射程』はエルナさんが基準。 私もそれに合わせて待機位置を決めます。 実際に大火力攻撃を撃つにあたって、動き方は以下の通り。 事前ターン:エルナさんが潜伏 1ターン目:エルナさんがロングアクションによるチャージ開始 2ターン目:アレクサンドラがロングアクションによるチャージ開始 3ターン目:両者待機 4ターン目:総攻撃開始 さて。まずレラさんに依頼したい[射程圏内への誘導]は、エルナさんの射撃が届く位置であればOKです。 エルナさんも配置にあたり射程内を選ぶと思いますから、どちらかといえば [射程外へ逃げられないように抑える]のが主軸かもしれません。 ちなみに誘導ですが、手段は問いません。 先にご提示いただいたごろごろ転がしのほか、〈シーザーロア〉系列の特性スキルを用いる。 或いは汎用スキルから目標が惹かれやすそうなものを選ぶのもよいでしょう。 次にレピドさんへ。 私が扱う〈ノヴァクラスター〉は射程が0。サブアクションによる移動を合わせても2hexが実質射程です。 この短所を〈プリズムシャドウ〉で補います。 貴方には目標の2hex以内に移動してもらい、タイミングを合わせて使用していただくことで実効射程を伸ばすプランです。 尚、〈プリズムシャドウ〉の使用タイミングは上述の『4ターン目』。 こちらは私がプレイングで指定しますので、「(打ち合わせた)タイミングに合わせてスキル使用」としていただければ。

  20. Alexandra・Hexe・Claudia

    …と、記入が漏れました。 私が指笛と伝令を使うタイミングですが。 事前ターン:エルナさんが潜伏 1ターン目:エルナさんがロングアクションによるチャージ開始 <=ここです 2ターン目:アレクサンドラがロングアクションによるチャージ開始 3ターン目:両者待機 4ターン目:総攻撃開始 なので、全体的な認知としましては 『指笛・伝令がきてから3ターン後』に総攻撃開始 と思っていただければ結構です。 ここまでで記載した行動は、タグ発行のうえ私がメインプレイングを記載します。 タグ名は【集撃】。 開始合図は、初動であるエルナさんが〈テレパス〉で発信。 私は受信後に共有行動を行います。

  21. ラケル

    あ…………水中に潜ってからの体当たりがあるんだね むむ

  22. レラ・F・ギュンター

    >Claudiaさん 詳細とご指示ありがとうございます。壮大です…! あのえと、それでごめんなさい、シーザーロアなんですけど、持てないのです。 スキルとしては取れるんですが、ギュンタのメインウェポンはハンマーでして…こちらヒーラー武器でして…。 武器を買い換えるとなるとお金が足りませんもので、大幅に弱体化してしまいますから、ギュンタはゴロンゴロンでがんばります!

  23. Alexandra・Hexe・Claudia

    であれば、私は目標に対して近い位置で〈ギガンティックシュート〉を構えてみるのはいかがでしょう。 "明らかに危険な大技の準備"を見せれば、こちらも注目されるでしょう。中断を狙う相手に対して、はじき返すようにゴロゴロ転がしてやる とか。

  24. ペルゼィック

    相談内容見てる限り俺はウォーターウォーク以外特にすることなさそうだな。 なら、戦闘の邪魔にならないよう適当にしてる。

  25. ラケル

    あ、ペルゼィックがウォーターウォークを持ってくなら、ラケルはウォーターウォーク予定だった枠を物防デバフにしようかな……

  26. Alexandra・Hexe・Claudia

    出立まで24時間を切りました。 今回は我儘にお付き合いいただきありがとうございます。 プレイング・装備スキルへの依存度が極端に高い方策を取っていますので…お互い忘れ物などがないようにしていきたいですね。 ペルゼィックさんも、先んじてのサポート宣言に感謝を。 今回のように我儘を振りかざす回ですと、どうしても平時のケアが疎かになるもので…とても助かります。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0