賊から農作物を守ろう(追加報酬あり)

岩岡志摩

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シナリオID:3223

オープニング

●農作物、被害を受ける
 その農村は、ある果物――リンゴを多く生産する村としてその名が知られていた。
 年間を通して冷涼な地域であるその村は昼夜の温度差も大きく、リンゴの栽培に適していた。
 そしてこの村で育てているリンゴは、今が収穫の時期となるため、村人達も総出で収穫作業に勤しんでいる。
 この村にとってリンゴは宝と言えるが、村人達の表情は暗い、
「おい、またか」
「ああ。今度は西側の家もやられていた」
 ここ最近になって、この村では収穫間近のリンゴが奪われる事件が相次いでいた。
 最初は品質が良さそうなリンゴが数個単位でなくなっていた。
 当初村人達は獣がリンゴをもいで食べた可能性も考えたが、リンゴの実をつけていた枝が鋭利なもので切られ、周囲に落ちていたことから獣ではないと判断している。
 盗まれるリンゴの数は日を追うごとに増していき、村人達もリンゴ畑を守るため交代で不寝番につき、警戒を続けていたが犯人は捕まることなく、その犯行も大胆になっていく。
 そしてこの日は、ある一家が育てていたリンゴが全て奪われ、木も数本へし折られた。
 実を盗まれるだけでなく木も折られてしまえば、今後数年にわたって収穫できるリンゴの数も減り、収入も激減する。
「どうする。このまま取られっぱなしでいいのか」
「いいわけないだろう」
「だが俺達だけじゃ守り切れないのも確かだ」
 このままでは村で育てていたリンゴが根こそぎ奪われる。
 そう考えた村人達は、相談の末に冒険者ギルド支部へと依頼を出すことにした。

●依頼と交渉
 応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスは、依頼人である村人達とのやり取りを重ねていく。
「おっしゃる通り、犯人は皆さんの村にあるリンゴを再び奪おうと動く可能性が高いと思われます」
 アルヒも村人達と同じく、リンゴを盗んでいるのは獣ではなく人間だと考えていた。
 そして盗みを働いた賊の手口から見ても、村のリンゴを根こそぎ奪おうと考えているのは確かだ。
 既にアルヒは村の有力者へと話を通し、現行犯の場合は冒険者達が懲罰を加えることを認めさせていた。
「できれば犯人を捕まえるだけでなく、二度と盗みはしないと思わせるような対策を講じて頂きたく」
 村の人々は再び賊が村に来ないような対策を講じてほしいと、追加の要望も出す。
「もちろん冒険者の方々には追加報酬となるものも提供させていただきます」
 具体的には、村で収穫できたリンゴの中で売り物にはならないものを使って料理や菓子、果実水などを作り、村に来てくれた冒険者達に振る舞うつもりでいるようだ。
 だがアルヒは村人達の意図を見抜いていた。
「売り物にならないリンゴは冒険者達が食べて良いから、その分報酬を安くしてほしいということですね?」
「そういうわけではありません。こちらも被害に遭い収入が減った者も多いため、できればご配慮願えればと」
 村人達もアルヒも、お互い表情こそ笑顔だが目は笑っていない。
「実際に賊を捕まえるのは冒険者になるのですから、それ相応の報酬は必要になります」
「そこをなんとか――」
 アルヒが迫り、村人達が渋る形で交渉が続く。
 お互いに妥協点を見いだせたところで、アルヒは依頼を斡旋するため動き始める。

●やること
 ある村で収穫間近のリンゴを盗まれる事件が多発し、村人達を悩ませています。
 村人達もこれ以上盗まれないよう努力をしたものの、賊の盗みはさらに大胆になっています。
 リンゴの実だけでなく、実のなる木も折って駄目にするなど、犯行は悪質です。
 盗んだリンゴの量が大量であることから、アルヒは犯人が単独ではなく複数いると見込んでいます。
 リンゴの窃盗は今後も続くと見られているため、村人達は皆様冒険者の力を借りようと今回依頼を出しました。
 皆様にはこの村でやってほしいことが2つあります。
 1つ目は、村で盗みを働く賊の捕縛です。
 これまで村人達は自力で何とかしようと試みましたが、上手くいっていません。
 盗みに入られるのは夜間ということ、一度に盗まれたリンゴの量から賊が複数いるところまでは判明しています。
 賊を捕縛できるなら手段は問いません。村人達も全力で皆様の活動に協力いたします。
 2つ目は、賊が再びこの村で盗みを働きたくないと思わせるような対策を講じることです。
 現場となる村の畑はあらゆる方角から進入が可能な状態です。
 また人が身を隠せそうなくらいの藪も多く、対策としてはそうした藪を可能な限り刈りとり、壁や堀などで畑を囲むなど、賊の隠れそうな場所を潰し、簡単には畑まで到達できないようなものを構築することも有効になると思われます。
 獣害対策という名目で罠を設置し、村人達にはその位置を知らせることで賊だけを罠に嵌めるやり方もアリです。
 先に畑を守るための対策を講じ、実際に賊が侵入してきたら対策の有効性を検証しながら賊を捕まえると、手間が省けるかもしれません。
 村には農耕器具以外にも木材や石材、建築に使う用具なども揃っているため、必要なものを畑の周囲に設置する際はそれらをお使いください。
 賊を捕縛出来たら、二度と犯行に及ばないよう相手が死なない範囲で皆様達が言い聞かせる(お仕置きする)ことも認められています。
 賊を捕まえた後の処理はアルヒや村人達が責任をもって行います。
 なお皆様が村にいる間、食事は村の方から提供されます。
 内容は売り物にならないリンゴを活用した料理やお菓子、果実水です。
 主に提供される料理は、キノコと芋とリンゴのサラダ、すりおろしたリンゴに付け込まれた肉のソテー、りんごの肉巻きになりますが、食材は揃っているので皆様が希望すれば別のものも作ることは可能です。
 お菓子としては、アップルパイやリンゴのコンポート(この村では蜂蜜を溶かした水で煮て保存したものになる)、アップルジンジャーケーキなどが提供されます。
 料理やお菓子はお土産として持ち帰ることも可能なので、希望すれば持ち帰り用の容器も村より皆様へと提供いたします。
 本格的な収穫を前にしての度重なる被害を受け、村は困り果てています。
 どうか皆様の手で賊を捕まえ、こらしめて下さるようお願いいたします。

解説

●目標  賊を全員捕縛する  副目標:これ以上リンゴを盗まれないよう対策を講じる  登場  賊×4人  現場となる村で、収穫を控えたリンゴを盗む者達。略称「賊」。  最初は数個単位だったが、次第に犯行は大胆となり、今では畑1つ分のリンゴを全て奪い、実のなる木を折って駄目にするなど悪質さも増してきた。  村人達の見立てでは、盗みに来るのは夜間と推測している。  アルヒの調査で賊は授恵者1人、一般人3人の構成で、賊の能力も判明した。  装備は全員短剣のみ。賊のうち授恵者は革鎧を装備しているので識別は可能。敵授恵者の略称は「鎧賊」。使用スキルは疾風足、アクセラレイター。  全員黒い布で全身を包み、夜闇に紛れるよう偽装して犯行に及んでいたことも判明している。  村人達  今回の依頼人達。食事以外にも様々なことで皆様に協力する。  捕まえた賊をしかるべき場所へ送ることや後始末は引き受ける。    アルヒ・ラスカス  今回の増援。皆様の指示に従う。使用スキルはヒール、解呪。汎用スキルは暗視、テレパス。  状況  リンゴを主に生産する農村。年間を通し冷涼で一日の寒暖差も大きく、リンゴの育成に向いている。  この村で収穫できるリンゴは酸味が少なく、豊かな甘みと多めの果汁が特徴。果肉は硬めでシャキシャキとした食感を楽しめる。  現在村にある畑のうち東と南は収穫を済ませたが、西側は賊に奪われ全滅。残る北側の畑と周囲が主な活動場所となる。  皆様が滞在中の食事は村人達が用意する。必要な資材や器具、捕縛用のロープなどは村の中に全てそろっている。  昼間は快晴が続き視界は確保されているが、夜間は周囲にある家の灯りだけで暗い。  夜の畑周囲は無人になるので、皆様が住民達の避難誘導を行う必要はない。  以下は畑の簡易見取り図。皆様は自由な場所からスタートできる。重複可能。下記見取り図内でなら、藪を刈りとり、その跡へ防壁や堀などを張り巡らせることも可能。  ↑北   ABCDEFGHI  1藪藪藪藪口藪 藪藪  2藪藪藪藪口藪藪  3 畑畑畑口畑畑畑  4藪畑畑畑口畑畑畑藪  5    口   6藪畑畑畑口畑畑畑  7藪畑畑畑口畑畑畑藪  8藪畑畑畑口畑畑畑藪  9 藪藪 口藪藪藪  畑;リンゴの木が並ぶ場所  藪;人が身を低くすれば潜めるくらいの高さ。賊はこの場所を通り畑へ侵入すると思われる。  口:農道。村人達はここを通って収穫作業を行う。

マスターより

 こちらはPC様よりリクエストされたシナリオです。  この農村では今が収穫の時期です。  しかしその収穫物を奪われる事件が多発し、自衛を試みても駄目だったことから、村人達は皆様冒険者に助けを求めました。  既に村からは皆様に対し、賊を捕まえるために必要と思われる対策は全て認めるとの確約をもらっているので、賊が来る前に畑の周囲に手を加えることもできます。  例えば藪を全て刈り取って見通しを良くする、周囲に壁や堀を構築して侵入しにくくする、篝火を置く場所を設け、夜間でも視界を確保できるようにするなど、できることは様々です。  これ以外にも「獣から作物を守るため」という名目で、周囲にくくり罠や落とし穴を作る、堀の底に泥を詰めて、足を踏み入れたら抜け出せにくくする、鳴子など大きな音を立てるもので周囲を張り巡らせるなどの工作も可能です。  賊を捕まえ、二度と畑にある収穫物(リンゴ)を盗もうと考えないような対策を講じることができれば、目標は達成扱いとなります。  質問がございましたら、出発36時間前まででしたらアルヒが答えられる範囲のことは答えます。

リプレイ

●やること
 度重なる農作物の盗難に悩まされた村は、冒険者達に助けを求めることにした。
「収穫物泥棒とか大変けしからん相手ですね!」
 村へ到着したフリーダ=ブロムヴィストは農作物を盗んだ犯人に対し、憤りを示す。
 依頼人となった村人達の話によると、犯人は複数のようだ。
「農家の方々の苦労をなんだと思っているのでしょう?」
 フリーダが見る限り、恐らく犯人達は農家の苦労など考慮していない。
「ここで捕まえるだけでなく、二度と挑む気を無くさせないといけませんね」
 フリーダは今後のことも考慮し、事態の解決に臨む。
 そしてシルク・メイプルリーフは村にある畑の現状を確認すると、最初にやるべきことを決める。
「まず畑の周囲の藪は切り払ってしまいましょう。視界を妨げているものがあって良いことは無いです」
 シルクの言う通り、畑の周囲に生い茂る藪が視界を遮っていた。
 これでは畑への進入路は複数あり、身を隠して逃げることも容易になるだろう。
「撤去できる部分は先に刈り取ったほうがいいかと思います」
 バル・ヌール・スケアクロウも畑の周囲を見渡すと、シルクの案に同意する。
「視界も悪くなりますし、害虫類が住処にしそうな感じもありますからね」
  ――病気の媒介になったり、交雑したりというのも聞かないわけでもないですし。
 バルは藪があることで、畑に悪い影響を与える可能性についても指摘する。
「見えやすいと思えば、盗みを行うハードルは高くなりますし」
 ルアンナ・ミュラーも藪の刈り取りに賛意を示した。
「見通しが悪くなる原因でもある藪を刈り取りましょう」
 反対意見もなかったことから、冒険者達は畑周囲にある藪を刈ることから手を付け始めた。
 村人達に話を通し、道具を借りた冒険者達は畑の各方面へと散開し、それぞれ刈り取り作業を開始する。

●準備は怠りなく
 藪が刈り取られていくに従い、畑の周囲は見通しがよくなっていく。
「啓示にも『最近産地不明の果物売るトラック多いよね』との事です。恐らくはお怒りなのでしょう」
 フリーダは藪を刈り取る中、自身が最近受けた啓示についてそのような解釈をしていた。
「切り払った木くずは肥料にも燃料にもなりますし、良いことばかりですね」
 シルクは藪の仮置き場所を設けると、そこへ刈り取った藪を運ぶよう仲間達に依頼する。
 シルクからの要請に従いフリーダやルアンナ、そしてバルは刈り取った藪を仮置き場へ運んでいく。
「でもここの藪だけはちょっと残しておいてもいいですか?」
 ここでルアンナは、いま自身がいる場所の藪について、一部だけ残す許可を求めてきた。
「夜の作戦時に自分が隠れるのに利用するつもりです。終わったら刈り取ります」
 ルアンナと同じことを考えていたのか、フリーダは賛意を示す。
「味方が隠れる部分だけは残しておきましょう。敵が頼りにする為に接近すれば奇襲が狙えますし」
 特に反対意見はなかったため、藪は一部残される形となった。
 不要な藪を除去したフリーダは、村人達に話を通して柵に使えそうな資材を借り受けると、柵の構築へと移行する。
「今回は人数が限られていますから、味方が待ち構えている側以外の柵を優先します」
 改めて全体を見渡し、フリーダは配備が必要と思われる個所から柵の設置を行い始める。
「そういえば知ってます?」
 藪の刈り取りを終わらせたバルは、柵の設置作業を手伝いながらこのような話を語り出す。
「どこかの部族では枝一本ごとに骨一本だそうですよ? ペナルティ」
 バルの話は、ある部族において農作物を駄目にしたときに受ける懲罰に関するものだった。
「果樹は育てるのに十数年単位でお世話をして、ようやく得られるものですからね」
 バルはどの部族や場所においても、果樹が実をつけるまで育てるには相応の苦労を重ねていると語る。
「ついでに鳴子も用意しておきます」
 フリーダは村より借りたロープや鈴も使い、鳴子のように音が出る仕掛けを作り始めた。
 一部は村人達から借りた鈴を取り付け、さらに音が出るようにしている。
「これで接近してくる相手を探知できるようになると思います」
 フリーダに続き、ルアンナも村人達から資材を借り受けると立て看板を作成し、畑の外側に当たる場所へと設置していく。
「内容はこんな感じです」
 フリーダは看板に書かれた文言を指し示す。
 ――不審者情報。
 ――近辺で刃物を持った赤い服の女が徘徊しているとの目撃情報が寄せられました。夜に外出する際は十分に気を付けて下さい。
 仲間達の作業を確認したバルは村人達のもとへ向かうと、あることを尋ねた。
「養蜂家の方はいらっしゃいますか?」
 幸いこの村にも養蜂家はいたので、バルは養蜂家の人に挨拶した後、ある提案を持ちかける。
「蜂の巣箱を畑のあちらこちらに置くのはどうでしょう?」
 バルは畑の周囲に置く理由をこのように説明する。
「受粉のお役にも立つでしょうし、不用意な乱入者がいても彼ら自身が警戒してくれるのもあるかなと思うのですが」
 村にいた養蜂家は思案した後、バルの案に賛同し、バルは借り受けた巣箱を畑へと運び、設置していく。
 そしてシルクは、別のやり方で賊の誘引を行おうとしていた。
「きっと盗賊さんたちはリンゴ丸かじりぐらいしかしてないと思うので、調理したリンゴで誘き出せたりしませんかね」
 シルクは借りたテーブルや椅子を畑の北側へと設置し、ある準備を進める。
「作った料理を並べて席に座りつつ待って見ましょう」
 シルクは村人達の許可を得た上で、村が用意してくれた食材や調理場や調理道具、そして孤児院仕込みの調理技術(シスタークッキング)をフル活用して、料理を作り始めた。

●畑で盗賊を捕まえる
 昼間のうちに様々な準備を終えた冒険者達は、夜闇が周囲を包み込むよりも前に畑の周囲へと身を潜め、盗賊達を待ち受ける。
 藪はあえて一部残してあるため、身を隠す場所は複数存在していた。
 当初バルは堂々と姿を見せる形で、シルクは北側に用意した椅子に座る形でそれぞれ盗賊達を待ち受けるつもりでいたが、盗賊達の中にも暗視スキルを持つ者がいる可能性もあることや、バルやシルクの姿を見た盗賊達が警戒して畑に近づかずに逃げ出し、捕縛できず取り逃がしてしまう可能性も考えられた。
 このことからバルやシルクは少し方針を変更し、今は仲間達と共に藪の中へ身を潜めている。
 やがて夜になると畑やその周囲が闇に包まれ、視界も塞がれる。
 息を潜めて冒険者達が待ち構える中、バルとルアンナの暗視スキルは、闇の向こうよりこちらへ近づいてくる盗賊達の姿を捉えていた。
 バルやルアンナに発見されているとも知らず、盗賊達は南側より畑に近づいてくると、ルアンナの立てた看板を見たのか、動きを止めた。
 そして内容を無視したのか、そのまま畑に踏み入るつもりだった盗賊の1人が、何かに足を取られた瞬間、フリーダの配した鳴子が鈴の音を盛大に鳴らす。
 それを聞いたフリーダが夜煌石の首飾りにエーテルを通わせて仄かな光をともし、照明代わりに使うことで視界を確保すると、盗賊達の1人を捕捉する。
「可能であれば、少なくとも1人は殺さず尋問することができればベストです」
 フリーダは周囲に潜む仲間達に向け、当面の目標を提示すると、振り下ろされた白金のパラッシュより不可視の衝撃(衝撃刃4)を飛ばし、盗賊を打ち据える。
 直撃を受けた盗賊は一撃で生命を刈り取られて吹き飛び、地面に横転し動かなくなった。
 その間にバルも藪より身を乗り出し、暗視スキルで視界を確保しながら、盗賊の捕捉を始める。
「悪戯や軽い気持ちなのかもしれませんけど、骨の一本くらいはお覚悟くださいな」
 不穏な言葉と共に、バルは刻死の剣に口づける。
 ――顕現せよ。
 バルの呟きと共に、鮮血の色をした鎖状エーテル(殉愛の鎖)が顕現して解き放たれ、盗賊の1人に絡みつくとそのままバルの近くへと引き寄せる。
「い、いいじゃねえか。沢山あるんだからよ!」
「沢山あるからというのであれば、複数あるものであれば私も奪ってもいいということでございますよね?」
 ――果実だったら一つあたり臓器一つでしょうか?
 盗賊の抗議にバルは淡々と切り返すと、刻死の剣を持たない手で加減した一撃を盗賊の腹へと打ちこむ。
(何もしていない人が横からかっさらうのは、いっそ誘拐などと同じくらい問題だと思いますよ?)
 その一撃で昏倒した盗賊を見下ろし、バルは内心そう言い切った。
 この頃にはシルクもエーテルを通した夜煌石の首飾りで視界を確保し、北側に置いたテーブルまで移動すると、盗賊達を手招きしはじめていた。
「全力でおもてなしさせていただきます。どうぞこちらへ」
 用意したテーブルに自身が作った料理を並べ、椅子に座ったシルクは手招きを止めない。
 シルクの様子にただならぬものを感じた盗賊達は、警戒して近づこうとしなかったが、その間に藪を出たルアンナが暗視スキルを駆使して、盗賊達の背後へと回り込んでいた。
「リンゴを盗む悪い人は貴方達ですね……?」
 背後より囁かれた盗賊達が驚いて飛び退き、声がした方角へと振り向くと――。
 竜石のノコギリ鉈を構えるルアンナの姿がそこにあった。
「ま、まさか看板にあった不審者――」
 革鎧を着た方の盗賊が狼狽の声をあげ、不審者もといルアンナはその盗賊へと一気に肉薄するなり、竜石のノコギリ鉈を打ち下ろす。
「泥棒は逃がしません」
 肩口より食い込んだ刃が斜めに盗賊の体を斬り裂いて斬痕を刻み、盗賊は鮮血を噴き上げ後退すると、既にその先にはシルクが至近にまで迫っていた。
「ええ逃がしませんとも」
 席についてもらえなかったことで、シルクはやむを得ない手段を用いることにした。
 そのままシルクは盗賊に組み付くなり全力のエーテルと祈りを込めた鯖折り(真・シスターブリーカー)を披露すると、生木がへし折られるような異音を発し、痙攣する盗賊の体から力が抜けた。
 最後の一人は身を翻して逃走に転じたが、フリーダの発動したバーバリアンデスチェーンによって絡めとられ、フリーダのいる方角へと引き寄せられる。
 そしてバルやルアンナ、シルク達がその盗賊を包囲し――その場で無力化した。

●日常が戻る
 冒険者達によって、畑に出現した盗賊達は全員倒された。
 授恵者も含め、盗賊の大半は息があったため、今は捕縛されこの場よりしかるべきところへと連行されている。
 その後ルアンナは残る藪を全て刈り取り、後始末を済ませていた。
 なおシルクが作成した料理は、その後村人達が冒険者達に対する盗賊捕縛へのお礼を兼ねた宴会を開催した時に供され、無事完食された。
 その後盗賊達への尋問により、一連の事件は今回捕まった盗賊達の犯行だと判明したことから、村を悩ませていた問題は無事解決の運びとなった。
 盗賊達がいなくなったことで、村の住民達はりんごの収穫作業を本格化させていく。
 冒険者達への感謝と共に。

マスターコメント

 村や農作物を盗賊から守って下さりありがとうございます。  盗賊の捕縛に加え、農作物へこれ以上被害を出さないための方策も実施して下さったことから大成功とさせていただきました。  改めましてこの度はご参加下さりありがとうございました。  また機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオR

ショートシナリオR普通 報酬:標準4 / 4〜8人

2023年10月07日 15時00分42秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. No.1

    豊穣の使徒シルクです ふむり、あえて目立つことで辵経路を限定出来ませんかね? 2Eあたりでこれ見よがしに布陣して見ようかと思います

  2. No.2

    藪ですけど明らかに無い方がいいですよね 代わりに柵なり堀なり作った方が畑にもいい影響がありそうです

  3. バル・ヌール・スケアクロウ

    あーきーのーみーかーくー ウォーリアのバル・ヌール・スケアクロウです 藪に関してはそうですねー、害虫害獣の類も見えなくなるのは問題だと思いますし シンプルにハチの巣とかに気づけなくなるのは作業とかするのに危なそうな気がしますのでできれば(承諾があれば)除去していいと思うのです。

  4. ルアンナ・ミュラー

    キャスターのルアンナです、よろしくお願いします! >薮の刈り取り 明らかに無い方が見通し良くて良いですね、虫とかも湧きますし。 でもちょっとだけ残しておいて私が潜んで、入ってきた泥棒を脅かしたりしたいなーって思ってます。( 多分北の方の薮から入ってくるみたいですし、上の図の4くらいの所がちょうど良さそうです。

  5. No.5

    私は2Eで待機しお客さん達をお茶に誘って見ますね

  6. バル・ヌール・スケアクロウ

    では私は9Dあたりを考えましょうかねー。 多少足が速くても引き寄せられますからねー

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0