キツネさんとボクたち、カカオ育てのヒントを求めて

狐野径

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シナリオID:2949

オープニング

●手がかりを探して
 フィルエス大森林でカカオを育てる――それは難しいことが明らかだった。
 だからといって、しないであきらめるのもつまらない。
 エキルとラビトは発芽できるか、成長をさせられるかを試すことを目標とした。
 冒険者の助言もあり、その際、鉢で育てることと、温室を作ることとする。
 そこにある課題は、温室の温度や湿度をどう上げるか、だ。
 カカオ豆自体はたくさんあるのだから、試すしかない。

 もともと、シグモル火山帯にはヒントを求めていく予定だった。
 ただ、その求めるヒントは定まった。
 温室を作ることと関わり、温度をどう保つか、だ。
 温めるのに温石を作ったり、湯を沸かしておくなど案はあるが、違う角度で何か見つかるかもしれない。
 火山という地形、また、様々な信仰が集まっているところなのだから。

 ウルに連れられて、エキルとラビトは火山に到着した。
「火山」
「どーん」
 妙な興奮で二人は言うため、
「嫌な喜び方するな!」
 とウルが注意した。
「とりあえず、腹ごしらえして、宿取って、調査開始だな……」
 エキルとラビトはウルの服を引っ張る。
「キツネさん!」
「あれ!」
「火山料理だって!」
「気になる」
 看板を指さす二人に促され、ウルは向かうのだった。

 火山の熱を利用したふかし芋だった。
 竪穴があり、材料を入れた籠を下ろしておくと熱で調理がされると言う。
 熱々の芋をほおばり、エキルとラビトは、
「ふほいね」
「うん……はふはふ」
「にゃつふぁあれば、大森林でも育てられるよね」
「そうだよね」
 と、食べながらしゃべったため、ウルは渋面。
「……お前ら、口に入れてしゃべるな……特に、熱いもの喰ってる最中は集中してろ。口の中やけどしても知らねぇぞ」
 エキルとラビトは真顔で答えた。
「キツネさん」
「手遅れだよ」
「……おい……痛いか? 皮剥けたか……どういう状態だ」
 ウルは二人の前にしゃがんで顔を覗き込む。
「……痛いけど、なめておけば治るよ」
「それに、お芋食べちゃわないともったいない」
「……キツネさんって優しいよね」
「ボク、キツネさんのこと大好きだよ」
「……お、おおう」
 ウルの耳がピンとたち、頬が赤い。
「だから、お芋もう一個買って」
「もう一つの種類のお芋食べたい」
 ウルのこめかみがピクリと動いた。

●打ち捨てられた神殿
 ウルはエキルとラビトを連れて、それらしい神殿に寄ってみる。
 農業や石に関わりそうな話は聞けても、何となく違う感じがした。
 結構、色々な信仰があるということは分かった。

 ただ、あちこち回るにつれて、エキルとラビトが明らかに元気をなくしていく。
 そんな中、樹木になる実を発育させるのがうまいということで信仰を集めていた、と思われる神がいたということを聞いた。
 ただし、すでに信者がいないため、神殿も機能していないし、遺跡みたいな状態だ。
 見物することは可能なので、行ってみることはできる。

 得られた情報では、内部は部屋がある以外は、壁画があったり、地下に壺や石があるなどといった感じだという。
 エキルとラビトは残念がるけれども、ここまで来たのだから見ていくくらいしてもよいと考えた。
「見てみたいよね」
「新しい発見があるかもしれないしね」
 ウルも「そうだな」とうなずく。

 早速、探索する予定を立てるが、エキルとラビトはウルに向かって厳かに言う。
「キツネさん」
「実は、マジカルポケットの件から思うことがあるんだ」
「キツネさん以外の冒険者にも付き合ってもらおう」
「そうすることで、色々な角度から見ることができるよね」
「屋内だとシーフの技能が役立つって聞いたよ」
「キツネさんはキツネさんで素敵だけど、冒険者雇う」
 面と向かってそういわれると、ウルは反論もできなかった。
「でもな、建物の構造以外もあるから、とりあえず、色々な人に来てもらうことが重要だからな?」
 エキルとラビトの偏った知識に対して、説明を入れることは忘れなかった。

 スキルだけでなく、得意とする分野が皆違う。
 今回は、多角的に情報を見ることが必要。

 ということで、神殿探索への同行の依頼を出し当日を迎える。
 ただ、ウルもエキルとラビトも、一つ忘れていることがある。
 見学や探索できるけれども、普段から手入れされているかどうかは別だということを。
 誰もいない、薄暗いまたは暗いところを好む動物も虫もいる――近所の神殿に聞けば、ネズミや黒ぽい大き目の昆虫を見たとか、わかるのだった。

解説

●目的・目標  ある神殿(遺跡)の探索。  絵の解釈、石の謎。 ●探索する神殿の状況  地上部分は二階建て。  共通して存在している物は、埃など。  ところどころに存在していそうなもの、クモの巣。  場所によっては小型動物、黒や赤ぽい甲殻を持つちょっと大きめの昆虫がいるという噂。  一階は広々としている。  壁画があり、そこには大きな木(※)と、あがめる人々がメーンに描かれている。  その周辺には、石を並べていたり、収穫できたのか喜んでいるような様子、石に手をかざす人の絵などが描かれている。  春夏秋冬と何かありそう?  二階は大部屋と小部屋があり、居住区だったような雰囲気。  特に残っている物はない。  地下に下りる階段がどこかにあるらしい……。  地下は中は真っ暗。  地下入ってすぐには、大きな壺が複数ある。  壺の中には石が入っていたり、空っぽで埃がたまっていたり、さまざま。  なお、部屋のあちこちに大きな石(人間の頭ぐらいの大きさ)が転がっている。  通路を通り、奥の部屋に行くと、祭壇のようなものがある。  その上にはやはり、大きな石がある。  壁面には石みたいなのが描かれ、その周りにもこもことしたような線が入っている。  彩色もあるようだけれども。  ※世界樹ではないです。  ただ単に、何らかの木が大きく描かれているだけです。  壁画の構図の影響です。  見たときに「おや?」と思っても、「世界樹じゃない」とは判断できるような感じです。 ●NPC  ・ウル・ヘルバ 植物についてはそれなりに詳しい。  探索に使えそうな技能は暗視、超嗅覚。  ゴミを持ちかえれば飲食可能と言われたので、探索の中途で出ないでいいよう、人数分弁当を用意した。大きな袋に入れ、普通にもってく。  弁当はふかした芋らしい。  ・エキルとラビト エルフの10歳くらいの男女。  カカオを大森林で育てたいという情熱の塊。  探索してみることに意義があると考えるけれども、最大限にその機会は生かすべきだと思っている。  なお、好奇心旺盛で見たことない生き物は興味を持つ。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  先日、春の霜から植物守るグッズを広告で見て、心の中のエキルとラビトが「キツネさん、これ買って」と訴えてました。  さて、フィルエス大森林でカカオ豆を育て、チョコレートをたくさん作って、皆にあげたいという野望を持ち、ここまで来たエキルとラビト。カカオについて知ったり、農業について知ったり……行ける範囲で世界を見てきました。冒険者の皆さんが手伝ってくれたから、大きな怪我することもなく、巡り、火山を見物する、何かヒントを探すという連作の最終目標まで来られました。  たぶん石の何かだとはわかる……状態です。  神具があれば素敵すてきですが、状況から解釈することになります。  その解釈やら、神殿はこれ以上何もないのかなどの調査が今回の目的です。  神殿を住まいにしているのか、通り道にしているのかしている生き物の存在は色々な感情を呼び起こすかもしれません。  よろしくお願いします。

リプレイ

●集合
 冒険者たちと依頼人は、神殿前。

 ロゼットはシグモル火山帯出身である。
 小さな子どもであるエキルとラビトが夢を追いかけて、はるばる来てくれたのだから、何か力になってあげたかった。
「観光向けじゃない、古い文献とか残っていないかと思って」
 あらかじめ神殿やそれらしい信仰について集めていたが、的は絞り切れない。
 そのことを告げると、エキルとラビトは、
「でも、実際見てみないと!」
「何かわかるかもしれないし!」
 と、前向きな発言をする。
「そうよね」
 ロゼットは微笑んだ。

 トーラはエキルとラビトに挨拶。
「神代のシグモル火山帯は緑豊かな豊穣の土地だったそうです。温室の手掛かりが見つかるといいですね!」
 エキルとラビトは驚いた顔になる。
「豊かな土地!?」
「温室!」
 目的が迷子になっていたようで、トーラに礼も述べ、言い訳をぽつり。
「カカオは忘れてないんだけど」
「色々あると……つい」

 エルは色々な信仰があることに驚いていた。
「樹木になる実を発育させるのがうまい……、信仰、って、色々ある、ん、です、ね。……シグモル、で育てる、の、難しい、から?」
 ウル・ヘルバがうなずいている。
「でも、廃れたんだよなぁ……育てるってことに直接関係ねぇってことか?」
 火山帯の風土を考えると、信仰として続きそうだが、何か違うのかもしれない。
「そう、です……ね、調べる、ことで、わかることも、あります。神殿、何か、見つかると、いい、です、ね」
 エキルとラビトが「うん」と両手を挙げた。

 エルは事前に聞けた神殿の状況について伝えた。
 管理している人が出入りしているくらいで、他に目撃はない。
 中の様子は、聞いた限りでは危険はなさそうだ。
「掃除、は、きちんとされている、と、いうわけでは、ない、そうです」
 ウルが荷物を見る。
「中で弁当食べるのはやめるか……時間短縮になると思ったが」
 エルは「ウルさん、お弁当、用意して、いてくれたん、ですね、ありがとうございます」と告げ、続けた。
「気に、なるなら、ここ、で、食べれば、いい……です」
 建設的な提案をしておく。
 なお、マッピングやメモをとる準備をする。
 歩数である程度距離は測れるし、地図を作ことで何か気づくかもしれない。
 余程変な構造でない限り。

 シェルドン・プレクターはエキルとラビトに、
「本日はよろしくお願いします。自分はできることがたかが知れていますが、精一杯頑張らせていただくであります」
 と丁寧に言う。
 エキルとラビトもつられて、丁寧に「よろしくお願いします」という。
「でも、ボクたちより大きいだけで、色々できるよ」
「そうそう。たかが知れてないんだよ」
「なるほど、そう言っていただくと嬉しいです。付き添いという役目はきちんと全う致しましょう」
 シェルドンは二人の心遣いに応じた。

 エルは念のために提案する。
「探索、なら、ウルさんと、エキルさんとラビトさんは、後ろがいいかも?」
 ウルが「用心、そこまでいるか?」と首をひねる。
 ロゼットは少し考える。
「まぁ、何があるかわからないかな……通りすがりの魔獣がいたり、ネズミとか黒い虫とか……?」
 エルがため息つく。
「……黒っぽい昆虫、とか、は、いらない、です、けど」

 トーラがフットワーク軽く前に出る。
「じゃあ、行きましょう。私が前行きますね」
 シェルドンはランタンを持ち、エキルとラビトに並ぶ。
「見えづらい時は言ってください」
「はーい」
 神殿の中がどのくらい暗いかわからない。
 道具は使えるように準備しておく。

●一階
 入ってすぐは広々とした部屋。
 そこには壁画がある。
 巨大な木、あがめる人々などが描かれている。

 エキルとラビトは木を見て「世界樹っぽいけど」「世界樹じゃない」と感想を述べ、眺める。
「収穫を喜んでいるみたいだけど」
「石を持ってるのはなんでだろう?」
 エキルとラビトは首をかしげる。
 二人の視界の隅を走りぬける何か。
「今、何かいたよね」
「あれ、何だろう」
 シェルドンが明かりを向ける。
 明かりから逃げるようにそれは動く。
 シェルドンが解説する。
「人がいないところですから、虫や動物が通ったり、住んだりするんです。クモの巣もありますし」
 二人は「へぇ」と声をあげ、動く物を追うように部屋の隅まで目を走らせた。

 ロゼットは微笑む。
「生き物を見ている場合ではないわよ。手がかり探さないと」
「あ、そうだった」
 二人は壁画を近づいたり、離れたりしつつ観察する。

 ロゼットも壁画を見て考える。
 絵のモチーフはわかるとしても、何を伝えようとしているか、全体がわからない。
 石がポイントのようだけれども、どういうものだろうか。
「これを読む手がかりがあるか、先を見たほうがいいわね」

 トーラは壁画に描かれている石の並べ方に着目する。
「どういう意味があるんでしょうか? 壁画に描かれた並びや、何らかの規則性に合わせて石を並べてみるとか……? でも、石がないですね……?」

 エルはじっと絵を見つめる。
 描かれている人物の一人が石に手をかざしているような雰囲気だ。
「石に、手をかざすってこと、は、温かいって、こと、なんだろうけど……どうやって……温かくなっているのか……」
 感じることが思考を広げていった。

 エキルとラビトは眉間にしわを寄せ、
「よくわからない?」
「先も見てみよう」
 と、神殿の他のところを見ることを提案した。

 トーラは階段や壁の位置の違和感から、
「地下に下りる階段ですね」
 と看破した。
 二階に向かう階段は部屋の奥にすぐあるが、その近くにある衝立のような壁が死角を作り、地下に下りる階段は分かりづらかった。

 エルは広い部屋から階段の方を見る。
「壁画の、先が、見えづらく、なってる、感じです?」
 地図を作ってみると、壁画がある部屋を広くしようとした結果にも見えたし、たまたまかも知れないとも考えられた。

 エキルとラビトが二階に上がりたがっているので、先に向かう。
 部屋がいくつかあり、居住区みたいだ。
 信仰に関わりそうな手がかりは見つからない。
 ロゼットは視界の隅で、エキルとラビトがしゃがみ込むのを見た。
 シェルドンも気づき足を止める。
 エキルとラビトの視線の先にはネズミ。
 ロゼットは「危ないから触っちゃだめよ」と注意を促す。
 二人は「危ないの?」「森で見たことあるけど違う」と驚く。
 ロゼットから「種類は色々いるのよ」と聞き、エキルとラビトはネズミを観察していた。
 シェルドンは「さあ、他のところもまだありますし、行きましょう」と促した。

●地下
 地下に下りると、光源が全くなくなった。
 ランタンの明かりを頼りに調査する。

 エキルとラビトは部屋に置いてある壺に飛びつこうとする。
「壺だ」
「入れそう!」
 トーラが「一応、確認してからにしてください!」と制止する。
 シェルドンが片手でエキルの肩をおさえ、ウルがラビトの服の首をつかんだ。
 ラビトが「うぐっ」と首が締まり、ウルに抗議した。

 探波では特に変な形はないこと、捜波では生き物がうろついていることがわかる。
 トーラは生き物については状況から、廃墟に住まう動物や虫だろうと推測する。
「……魔獣や魔物ではない……でしょう、たぶん」
 廃墟に住まう動物や虫は仕方がない、という雰囲気。
 エキルとラビトも見える範囲の調査を始める。
「空っぽ」
「石が入ってる」
「石はあっちにもある」
「たくさんあるね」
 エキルとラビトは走り回る。
 シェルドンは明かりを持って、ついていく。
「走るとつまずくかもしれません。こういうところは落ち着いていきましょう」
 エキルとラビトは「そうだね」と足を止めた。
 シェルドンも石を眺める。
「大き目の石ですね」
 壺の位置や石の状況など記憶していく。
 どこで何が役立つかはわからない。

 トーラは上の壁画との連動を考える。
「この石を持って行って並べてみましょう。ヒントがあるかもしれませんし」
 ただ、結構な数があるため、すべてを持って行くには大変そうだ。
 全体を見てからでも遅くはないだろう。
「……一階の絵画で手をかざしている様子を見るに、この石が紋具だったりしないでしょうか?」
 ウルが「なるほどな……作るための場所とか、保存場か?」と石を持ち上げてみる。
 トーラは「色々考えられますね」と聞きつつ、持てそうな石を持ち観察する。
 石の種類は似ているようだけれども、紋具という様子もなかった。
 また、転がっている石は、壺が壊れたか、壺の中から出したのか、たまたまか。

 エルは壺を覗き込む。
「壺の、中に、熱くした、石を入れる、とか? そこに、水を、張って、いた?」
 魔法の知識を引っ張り出し、考える。
「何か、触媒、がある?」
 情報が足りない。

 一行は奥の部屋に向かった。

 ロゼットは部屋の正面にある台を見る。
「一階じゃなくて、地下に祭壇……?」
 台の上には大きな石がある。
 ひょっとしたら、石自体が紋具ではなく、台が紋具ということを考える。
 紋章知識をもって何か書かれていないか探す。
 飾りは彫られているため、温かさなどをイメージしたもののようにとらえた。
「植物を育てるわけではないの?」
 壁に絵があるので、エンライトも用いてじっくり見る。
「石の周りにもこもこしたような線……蒸気や湯気?」
 トーラが「なるほど、湯気ですか」と応じる。
「何か不思議ですけど、言われたら、そんな感じですね」
「まぁ、推測の域をでないけど……ぬくもりに関わるなら……そういうことかも?」
「寒冷地で植物を育てるとなれば、ぬくもりが続くような紋具は需要はありそうですよ」
 園芸の知識からトーラが指摘すると、ロゼットは「確かに」とうなずく。
 現状見える状態と、信仰が一致するとは言い切れない。

 また、絵をよく見ると、かすかに違う色も入っているけれども、薄れている。
 ロゼットは考える。
「授恵者が発するエーテルの光のようなもの……かしら?」
 エーテルの絵として描くならこういう風というイメージだろうか。
「こうすると……熱が出てくる……?」
 ロゼットは石に手をかざしてみる。
 エーテルを操作するときのような、魔法を使うような意識。
 しばし集中するが、特に何も感じない。

 トーラも絵や台などを自分なりに見つつ、ロゼットの推察も加味し考える。
「これが温かくなるなら、温室の暖房に使えそうです。神代の道具なら動かなくなっているかもですね……」
 トーラは石が紋具ということ前提で考えを続けた。
「壊れていても、ヴァルクリエあたりまで行けば修理ができるかもしれません。管理する人から持ち出しが許可されればですけどね」
 エキルとラビトが「どれが何かわからないんだよね」と難しい顔をしていた。ただの石を持ち出す可能性もある。

 トーラは試しに絵の様子を見つつ、石を祭壇近くで並べてみる。
「何か規則性があって……ということでもないのでしょうか」
 動かすのも結構大変な状況だった。

 エルは祭壇ぽい台の上にある石を指し「これ、動か、してみても、いいですか?」と問う。
 ここまでの調査で動かして問題はなさそうではあるが、祭壇ぽい場所ということもあり、慎重に。
 反対意見もないので、台の上の大きな石を何とか持ち、石がいっぱいある壺の上に置いてみた。
 特に変化はない。
 水をかけてみた変化も見たいが、壺にたまるし、ここで水を使うのは憚られた。
 石を戻して、台の上で掛けてみるが、特に何もない。
「うーん」
 考え込む。

 シェルドンはエキルとラビトを見守り、目の前の絵と記憶にある一階の壁画を比べてみたりする。
「石が共通ということですか」
 それ以外だと人が描かれていることだろう。
「風景は……どうでしょうか?」
 人物や石以外は抽象的で、似ているとも似てないともわからない。
 エキルとラビトは、絵から離れて石を持とうとした。
 シェルドンが「自分が持ちましょう」と言い、どうしたいか尋ねた。

●休憩
 一通り見たところで、一旦、出入り口付近まで戻り、昼食をとる。
 考えでいっぱいになった頭を冷やしつつ、整理する時間。
 埃ぽかったので、気分も変わる。
 弁当である芋をほおばる。
 エルは「……ウルさん、お水、要ります?」と尋ねるため、ウルは素直に「ありがと」と答えた。

 ロゼットがエキルとラビトにこの地域の食生活について教えてくれる。
「毎日、ご飯のお皿に乗るのはふかしたお芋だったりしたわ」
 エキルとラビトは冷えた芋をほおばりながら、大森林とは違う食生活に驚く。
「こんな土地でも、ちゃんと世話をすれば芋が育つのだから、大森林でカカオを育てる方法だってきっと見つかるわ」
 ロゼットに言われてエキルとラビトは「そうだね」と考える。
「……でも、ここでご飯食べられたら、もっといいのかな」
「でも、ボクたちが考えてできるなら、大人がすでにしてるよね」
 ロゼットは微笑む。
「そう、考えたから芋が育ったのよ。考えなければ育たないの」
 二人は「そうか……」「ボクたちはボクたちだよね」と納得する。

 トーラがカカオ栽培についてのアドバイスをする。
「効率よく温めるなら、温室ですよね……光を通して外気を遮断する素材であるガラスで作ることが一般的です。ガラスは高級品です」
「そこ、考えてなかった」
「ガラスってよくわかってないね、ボクたち」
 ガラスはわかるけれども、大きなガラスがどんなものか悩ましい。
 トーラが「ガラスではない素材を探してみるのはどうでしょう?」と提案した。
「透明な皮膜を持った魔獣などがいれば、それを手に入れて温室の材料にしたりとか」
 二人は「ガラス頑張る方がいいような気がする」とうめく。
 トーラも「確かにそうですね」と苦笑する。
「陽光を通し、外気を遮断し、安価もしくは手軽に用意できる……そんな素材がうまく見つかれば……ですね」

 シェルドンは温室について「寒い土地でも活用できるということになりますか?」と質問する。「そうだね」とエキルとラビトが答える。
 温室が作れれば、色々変わることがあるかもしれない。
 トーラが「土の状況も大切です」という。
 色々農業は難しい。

 休憩後、石を動かしてみたり、実践的な調査を続けた。
 後悔がないほど、きちんと調べて、色々な考えがあるということはわかった。

 エキルとラビトはすがすがしい顔をしていた。
「紋具や神具があっても使えないだろうってわかったよ」
「でも、温石は作れるんだから、考えてみるよ」
「それと、温室をどう作るかだね」
「ガラスを作るか、新しい素材を探すか……」
「考えることが大切だよね」
 二人は冒険者にお礼を述べた。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。  色々な角度の考えを皆さまから聞き、エキルとラビトの中で蓄積されていくことでしょう。  「キツネさんとボクたち、」のカカオ育てたい旅、は今回で終了です。  しかし、エキルとラビトが「カカオを育てる」は、何かしらで続きます。  ガラスについてや素材探し、温室建築、温石作成、水蒸気はどうするとか……意外と色々ありますが……カカオの芽が出るかなど、実際もありますので、エキルとラビトのすることは色々ありますし。それら関係なく、大森林を訪れると、質問攻めに遭うかもしれませんし。  お付き合いありがとうございました。  ご縁があればお会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ易しい 報酬:少ない4 / 4〜6人

2023年05月13日 01時25分46秒 公開

大成功

参加者

相談掲示板

  1. トーラ

    トーラです。よろしくお願いします! シグモル火山帯に恒久的な熱源などあれば良いのですけれど、周囲を温める紋具などないでしょうか? それと、ガラスは高級品だったと思うので、温室を作るなら代わりの物を探すか、透明の素材に頼らない温室を考えないとですね…?

  2. エル

    エル、です。…シューター、です。 どうぞ、よろしく。 そう、ですね。 熱源、と、湿度、を、保つ、方法…? とりあえず、探索、は。 捜波、と、灯り、とか、持って行こう、と、思い、ます。

  3. ロゼット

    ロゼットよ。シグモル火山帯への依頼と聞いて。 連作の終盤で不成立も残念だし、人数合わせに。 既にアイデアで出ているようだけど、壁面に石が描かれ、 その周りにもこもことしたような線が入っているのは、 熱した岩を利用した蒸気かしらね。 あまり新しい案はないのだけど、探索をお手伝いするわ。

  4. トーラ

    あと一人ですね! ロゼットさんありがとうございます。 地元の方が居てくれるのは心強いです!

  5. エル

    ロゼットさん、どうぞ、よろしく。 あと、一人、増える、と、いい、です、ね。 そう言えば。ウルさん、お弁当、用意、して、くれてるみたい、です、けど。 自分、でも、何か、持って行った、方がいい、です、よね…。

  6. ロゼット

    連作だけど、やることは。 ・子供(エキルとラビト)を引率して神殿の探索 ・どこかにあるらしい地下への階段(地下は中は真っ暗) ・1階の壁画、地下の壺の石と岩から、樹木になる実を  発育させるのが上手いとされてた理由の想像 ・上がカカオ豆を育てるのに役立てば良し ・子供が小型動物や昆虫に付いて、どこかへ行かないように この辺かな。 お弁当は…まあ、ふかし芋を持っていけば良いかな。 こんな土地でも芋は育つのだから、大森林でカカオ豆を育てる 方法もきっとあるでしょう。

  7. No.7

    皆様、はじめまして。 なりたての冒険者プレクターであります。 滑り込みで、お邪魔致します。 自分は出来ることがたかが知れておりますので、 ・お子様方の護衛と付き添い ・お子様方の為の光源確保(ランタン持参) ・無いよりマシ程度の記憶力と位置感覚でお子様方の支援 辺りを担当させて頂ければと思う次第であります。

  8. ロゼット

    シェルドンはよろしくね。何とか成立したわ。 私は地元の人間なのを活かして、神殿について何か、 観光向けじゃない資料や文献がないか、調べてみるわ。 あと、地下の祭壇に何か効果?があるかもしれないから 紋章知識を元にして、調べてみるわね。

  9. エル

    プレクターさん、はじめまして。 どうぞ、よろしく。 4人、揃って良かった、です。 石、を、調べる、のに。魔法知識、持って行って、みようか、と、思い、ます。 試し、に…。

  10. トーラ

    成立ですね。 シェルドンさんもありがとうございます! とりあえずわたしは看破と宗波で隠されたものの調査と、園芸でカカオの生育に向く環境の再現について調べてみますね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0