ハッシリ春の甘味まつりと花粉対策!
椿油
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シナリオID:2843
オープニング
●ハッシリ村は今日も平和なはずだった
ハッシリ村は春を迎えるにあたり、甘味まつりを行おう。と村長ミルキーが決めた矢先の事だった。
「ベジタブルさん、何の甘味出すか決めました?」
ミルキーの妻ソフィネが、農家の女性ベジタブルに尋ねる。
「おらは草餅出すど、あんまい粉につけるとうめぇって聞いただ」
「良いですね草餅! シャルガネでも流行ってますからね! ……へ、へっくしゅん!」
ソフィネがくしゃみをしたのを見て一瞬驚いたベジタブル。
「風邪でも引いたんか?」
「い、いえ……そういう訳じゃくしゅん!」
その頃、ミルキーは大工のジョニースターと鍛冶屋のアイーロニヴに出し物を尋ねていた。
「お二人は何か出し物の予定ありますか?」
「そうだな、甘味って言ったらハッシリ名物カラフルアイスクッキーだろ!」
ジョニースターは一昨年夏の冷たい物を出す催し、ひんやりフェスで優勝して村の名物スイーツ権を獲得していたのだ。
「いや、氷室使うもの以外でお願いしま……っくしゅん!!」
ミルキーもくしゃみが出る。
「風邪か」
アイーロニヴが断定するも、ミルキーは否定した。
「おっかしいな、昨日までは何ともへっくしゅん!!」
と、そこにゴブリナの少女ダオシエが駆けてくる。
「ミルキーさん、たいへん……! なんか村の外に大きな木がふえてる! しかも2本!!」
「なんだって!? くしゅん!!」
ミルキーが見に行くと、それは間違いなくくしゃみの原因。
「……スギとヒノキだな。しかも両方から花粉が出てる」
通常なら、同時に花粉を飛ばさない種類が横に二つ並んでいた。昨日までは無かったものだ。これの存在こそが、くしゃみが出た理由だろう。
「どうする……? もやす?」
ダオシエが鼻水をズビズビさせているミルキーを心配する。
「こりゃ祭りにも支障がへっくしゅ、出るに違いなっくしゅん、だからっしゅぅぁ!! 参加ついでに木こりをへっくしゅん!!」
駆けつけたソフィネが良く見ると、スギとヒノキは不自然にわさわさ揺れていた。
「木こりっていうより、っくしゅん、これ、魔獣なんじゃ……っしゅん!!」
「マジかよ……っくしゅぉおぉい!!」
「だ、ダオシエ帰るね……? くしゅん! あ、遅かったー!」
さて、無事に甘味まつりは開催できるのだろうか。
ハッシリ村は春を迎えるにあたり、甘味まつりを行おう。と村長ミルキーが決めた矢先の事だった。
「ベジタブルさん、何の甘味出すか決めました?」
ミルキーの妻ソフィネが、農家の女性ベジタブルに尋ねる。
「おらは草餅出すど、あんまい粉につけるとうめぇって聞いただ」
「良いですね草餅! シャルガネでも流行ってますからね! ……へ、へっくしゅん!」
ソフィネがくしゃみをしたのを見て一瞬驚いたベジタブル。
「風邪でも引いたんか?」
「い、いえ……そういう訳じゃくしゅん!」
その頃、ミルキーは大工のジョニースターと鍛冶屋のアイーロニヴに出し物を尋ねていた。
「お二人は何か出し物の予定ありますか?」
「そうだな、甘味って言ったらハッシリ名物カラフルアイスクッキーだろ!」
ジョニースターは一昨年夏の冷たい物を出す催し、ひんやりフェスで優勝して村の名物スイーツ権を獲得していたのだ。
「いや、氷室使うもの以外でお願いしま……っくしゅん!!」
ミルキーもくしゃみが出る。
「風邪か」
アイーロニヴが断定するも、ミルキーは否定した。
「おっかしいな、昨日までは何ともへっくしゅん!!」
と、そこにゴブリナの少女ダオシエが駆けてくる。
「ミルキーさん、たいへん……! なんか村の外に大きな木がふえてる! しかも2本!!」
「なんだって!? くしゅん!!」
ミルキーが見に行くと、それは間違いなくくしゃみの原因。
「……スギとヒノキだな。しかも両方から花粉が出てる」
通常なら、同時に花粉を飛ばさない種類が横に二つ並んでいた。昨日までは無かったものだ。これの存在こそが、くしゃみが出た理由だろう。
「どうする……? もやす?」
ダオシエが鼻水をズビズビさせているミルキーを心配する。
「こりゃ祭りにも支障がへっくしゅ、出るに違いなっくしゅん、だからっしゅぅぁ!! 参加ついでに木こりをへっくしゅん!!」
駆けつけたソフィネが良く見ると、スギとヒノキは不自然にわさわさ揺れていた。
「木こりっていうより、っくしゅん、これ、魔獣なんじゃ……っしゅん!!」
「マジかよ……っくしゅぉおぉい!!」
「だ、ダオシエ帰るね……? くしゅん! あ、遅かったー!」
さて、無事に甘味まつりは開催できるのだろうか。
解説
【目的】
・スギとヒノキの魔獣を退治する。
・甘味まつりを楽しむ。
【魔獣について】
・スギトレント
スギの木のような魔獣です。常に花粉を飛ばしやすい気候になるよう周囲の温度をコントロールする能力を持ち、そのせいで花粉が飛んでいます。枝で殴ってきたり、花粉をわさわさ落として一時的に花粉症(行動阻害の強度2~3程度)を引き起こします。炎に弱いかどうかは未確認です。
・ヒノキトレント
ヒノキの木のような魔獣です。スギトレントとほぼ同じ能力持ちで、こっちの周囲の方がスギトレントの周囲より暖かいです(なので同時に花粉が飛んでいます)。やはり枝で殴ってきたり花粉をわさわさ落としてきたりします。こちらも弱点は未確認です。
戦闘はソフィネ(シューター/花粉症)、ダオシエ(ヒーラー/花粉症)、エメルン(ウォーリア/未発症)が加勢してくれます。エメルンがまだ発症していないので、もしかすると花粉症から護れるかもしれません。
【甘味まつり】
魔獣を倒した後がメインですが、倒す前に参加しても大丈夫です。
・草餅(ベジタブル出品)
黄色い粉につけて食べるのがシャルガネ流だそうですが、カカオ大好きベジタブルさんはココアパウダーも用意したとか。未知数のココア草餅もお楽しみください。
・カラフルベリークッキー(ジョニースター出品)
アイスを挟んだクッキーが本来のカラフルアイスクッキーですが、まだアイスの時期ではないので木の実で代用した模様。甘いベリー(ピンク色)と酸っぱいベリー(濃い赤色)とランダム味つけ(オレンジ色)から選べます。ランダムの内容はプレイング指定も可能です。
・さくさくフォーチュンチョコ(アラン&ポール出品)
双子の商人兄弟が出品した、おみくじ付きチョコです。外はさっくり中はふんわり。チョコが溶ける前におみくじを出さないと読めなくなるかもしれないのが欠点です。おみくじの内容は「友情」「努力」「勝利」「金運」「恋愛」「名誉」のジャンルのいずれかが入っています。プレイングでジャンルの指定が可能です。
・飴細工(アイーロニヴ出品)
作りたての飴を使って、好きな形に細工してもらえます。当日はそこそこ暖かく、溶けてしまうので長時間の保存は出来ません。技術力があるので人の顔とかも作ってもらえます。ドゥジン信仰で愛しの彼を食べてしまいたい方にもオススメです。
マスターより
椿油です。いよいよ花粉症の時期が来てしまいました。長い戦いが始まりそうですね。
というわけで花粉症対策という名の魔獣退治と春のお祭りシナリオをお届けします。祭りのみの参加、戦闘のみの参加も可能です。果たしてココア草餅は美味しいのでしょうか。
ちなみにトレント達を倒しきってしまえば、本来近くにスギもヒノキも無い村の皆はもう花粉症にはなりません。(発症が確定しているミルキーとソフィネとダオシエはその他の花粉でくしゃみが出かねませんが)
皆様のアツいプレイング、お待ちしております!
リプレイ
●ハッシリ村の外れにそびえ立つ二本のトレント
今、冒険者と3人のハッシリ村の授恵者はスギトレント・ヒノキトレントの前に居た。トレントズが何もしなくとも、風でわさわさと揺れている。
「アレルギーを出す魔獣ですか。至急退治しないといけませんね! ……くしゅん!」
トーラは降って来る花粉を手でパタパタと排除しながら戦闘態勢――隠密状態に入る。
「まずはスギ! 貴様からだ!」
シャドウはサクッと魔獣を倒す為に《目にも止まらぬ早業》、仲間達でなければ見逃していたかもしれない連撃をスギトレントへと与えていく。わさわさ揺れて痛がっているらしいスギトレント。
「それじゃあ、支援するよー!」
アルマ・ヴァレンタインはあらかじめ濡らしておいたバンダナを顔に巻いて花粉対策とし、そのまま《ウェイブ・オブ・インフィニティロア》のエーテルの波動を周囲へと漲らせる。
「うん。森に生きるエルフにとっては嬉しくない相手だね」
久々に戦うらしいセヴラン・クアルトは、《グラヴィティボルト》を放って逆にスギトレントの動きを重くする。
「早く成敗しなくては! っくしゅん!」
ソフィネが《風読みの矢2》を放ち、スギトレントに命中する。
「ソフィネお姉さん、これあげるね!」
ダオシエが《輝腕3》をソフィネにかけ、命中力を強化した。
ざわざわと動く二本のトレント、スギトレントは集中攻撃に怒って花粉をシャドウにばらまいた。
「っくし!!」
シャドウがくしゃみをするのを見て、ヒノキトレントはシャドウを枝で叩こうとする。しかし、アルマの味方へのウェイブ・オブ・インフィニティロアの効果もあってか攻撃は外れ、枝が地面に勢い良く叩きつけられた。
「杉と檜……組ませては危険すぎる魔獣ですね。村内に入る前に叩きましょう」
マスクをしたエヴァン・ピオネロによる《アーケインストリーム》の澱嵐の力により、更に移動が遅くなるトレントズ。更に《超魔法》にてエーテルを集め、攻撃準備は万端だ。
「当てに行きましょう」
エメルンは《速打2》をスギトレントにぶつけ、スギトレントはざわざわと葉を揺らして怒りを示した。
次に動いたのは隠密していたトーラだ。《ホライゾナルジャンプ》で華麗に駆け寄り、スギトレントに《タナトスバイト改》をぶつけていく。
「えいっ!!」
スギトレントがトーラの方を向いた頃には、トーラは《フェザーステップ》で再び場外の森へと隠密していったのだった。
「次は貴様だヒノキ、覚悟しろ! っくし!」
シャドウがくしゃみをしながら恐ろしく早い《目にも止まらぬ斬撃》をヒノキに駆け寄って与えに行く。抜かりない味方の強化と敵の弱化によって、花粉症などシャルガネスイーツを早く堪能したいシャドウには意味を成さなかった。頭の中にはスイーツの事しか無かったのだ。
「行くよー、メテオライト!」
花粉症に負けないシャドウを見つつ、アルマが放った《メテオライト4》がスギトレントを勢い良くへし折ったのだった。
「よし、スギが倒れたね」
セヴランは安堵しながら《魔矢》をヒノキトレントへと撃ち込んだ。
「後はヒノキだけですね……っくしゅん!!」
くしゃみの勢いで、ソフィネの《風読みの矢2》は明後日の方へと飛んでいった。
「ソフィネお姉さん、だいじょうぶ?」
ダオシエはソフィネに《解呪3》をかけ、花粉症を治していく。
「花粉ごと洗い流しますよ!」
エヴァンの《タイダルストリーム3》のエーテルが、ヒノキトレントを勢い良く揺らす。
「これで終いです」
エメルンが《強打2》を当てると、ついにヒノキトレントはボキリと音を立てて倒れたのだった。
「あ、終わりました?」
トーラがひょこっと出て来た時には、シャドウの花粉症はアルマの《サルベーションオール》によって治療されていたのだった。
「助かった……このまま甘味まつりに参加する事になるかと思ったぞ」
「おだいじにねー」
アルマの隣で、エヴァンはトレントの亡骸を処理していた。
「花粉ごと処分しておきますね!」
お掃除も忘れずに、アルマは自分の武器で花粉を掃除して《穴掘り紋具「グレイウォッシャー」》で作った穴へと入れるのだった。
●いよいよ始まるハッシリ村の甘味まつり
「ありがとう皆さん、それじゃあ思う存分楽しんで行って下さい!」
くしゃみの止まった村長ミルキーが両手を広げて歓迎する。顔は涙と鼻水を拭いた跡が見受けられたが。
「戦闘で走り回りましたし、少しくらいは多めに食べても大丈夫ですよね?」
トーラは全ての店舗を巡りに、まずは草餅から頂く事にした。すると隣には草餅に無心でかぶりついているシャドウがいた。
「頂きます! あ~ん……美味しい!」
「きな粉……美味いな!」
シャドウはココア餅にも挑戦してみる。甘い×甘いはスペシャル甘い事に気付き、思わず頬っぺたを抑えてとろけるような目じりでスイーツを堪能していた。
「やはり甘味……甘味は全てを解決する……!」
「それじゃあ、私はカラフルベリークッキーも食べてきますね」
カラフルベリークッキー、トーラが頼んだ甘いベリー味の売れ行きは予想通りと言うべきか。アイスクッキーがウケたのだから、甘い味がウケないはずがない。
「これって何のベリーなんですか?」
「ははっ、企業秘密さ!」
クッキーを焼きながら、ジョニースターは笑って答えた。次にフォーチュンチョコの所へトーラが向かうと、双子の兄弟アランとポールが客寄せの為に小芝居をしていた。
「まぁ奥様、おみくじで凄い結果が出ましたわ! でも、このくじお高いんでしょう?」
と、アランがポールに女々しく尋ねる。
「何と今回、無料で試せまーす!!」
ポールは万歳しながら客達に叫んでいた。一体何の劇だったのだろうか。トーラが試すと、「努力:叶う。とにかく邁進せよ」というおみくじが出て来た。
「無料で元気づけてくれるのは確かに良いですね!」
最後に、飴細工で猫の形を作ってもらったトーラは、あまりに可愛い出来に食べるのを躊躇した。
「溶けるが……」
アイーロニヴが注意するも、ニクい職人技のおかげでとっても可愛い猫に見惚れてしまったトーラ。
「ああ……、でも溶けちゃう……!」
最終的に上からかぶりつくのだった。
セヴランは栗鼠のララを肩に乗せてのんびりと甘味まつりを見て回る。
「やぁ、カラフルベリークッキーは要るかい?」
「それじゃあ、ランダムの味でお願いできるかな?」
「あいよ! ランダム入りました!」
と、ジョニースターがテキパキと砕いたベリーをクッキーでサンドする。見た目はオレンジ色だが、食べると何と甘い味のベリーより甘いんじゃないかという程のミルキーな甘さ(村長ではない)が口の中に広がる。
「こ、これは……!」
ミルキーだ、とてもミルキーだと綻ぶセヴランの口元。
「当たりを引いてしまったねぇお客さん!」
ジョニースターはニコニコ笑っていた。そして次にフォーチュンチョコの所へ向かうと、また先程の小芝居をしていた双子たち。
「フォーチュンチョコか、面白そうだね。運試しにひとつ」
「はーい!」
チョコの中から出て来たくじは、「友情:現状維持。貴方から変わろう」と書いてあった。ララの事だろうか? ララの為にナッツのお菓子を探して買うセヴラン。
「うん、春のさきがけにふさわしいお祭りだね」
甘いお菓子を手にして笑顔の子供達を見て、微笑むセヴランはララがナッツをゆっくり食べられるように宿へと戻るのだった。
アルマとエヴァンは、共に戦ったソフィネ達と村に戻りながら、まずは草餅から堪能する。
「ココア味の草餅も美味しいね、はいあーん」
「あーん」
農家のベジタブルがそれを見つめてぽつりとこぼす。
「若ぇってえぇなあ……」
(そういえばベジタブルさんって何歳なんだろう……?)
と、アルマが思っているとソフィネがベジタブルにツッコんだ。
「ベジタブルさん、まだ20代じゃないですか」
「えっ」
「えっ」
思わず口からココア餅が零れたアルマとエヴァンだった。
カラフルベリークッキーは敢えて酸っぱい味をチョイスしてみたエヴァン。
「これは、甘味と酸味のコラボが絶妙です……!」
「だろ?」
ジョニースターはハハハと笑った。おみくじの現場では相変わらず小芝居を続けていたアランとポールだったが、二人が来ると。
「恋愛みくじにしておくよ! な、ポール」
「そうだね、アラン」
勝手にチョイスされた恋愛みくじの結果は、アルマが「良好。より深い関係を築ける」で、エヴァンが「一層努力せよ」だった。
「やったー! エヴァくんは?」
「努力せよ……よし、もっともっと努力します!」
おみくじを大切に収納したアルマとエヴァンだった。
そして、アルマはアイーロニヴに自分の顔をリクエストして、一瞬で作られるアルマ飴。
「飴細工美しいですね……流石アイーロニヴさん」
「ボクの顔をお食べよ!」
(アルマの顔を!!)
一瞬戸惑ったエヴァンだったが、勇気を出してパクリと勢いよく飴を食べる。
「美味しい……!」
食べ進んでいくと、アルマを食べているエヴァンの顔がどんどん照れていく。
「どうだった?」
「ぼ、ぼくの顔の飴もお願いします!」
アルマの質問に、照れ隠しするように自分の飴を作ってもらったエヴァン。
「あーんっ」
エヴァンの顔の飴を食べたアルマも、「人に食べてもらうと魂がその人の中で生き続ける」という言葉を思い出して、ドキドキしながら食べていくのだった。
「青春だな……」
アイーロニヴがぼそりと溢した。
「美味い! 美味い! 美味い……!」
「喉に詰まらせんでねぇど?」
シャドウは、念願のシャルガネスイーツを心行くまで、甘味まつりが終わるまで堪能したとか、しないとか――。
今、冒険者と3人のハッシリ村の授恵者はスギトレント・ヒノキトレントの前に居た。トレントズが何もしなくとも、風でわさわさと揺れている。
「アレルギーを出す魔獣ですか。至急退治しないといけませんね! ……くしゅん!」
トーラは降って来る花粉を手でパタパタと排除しながら戦闘態勢――隠密状態に入る。
「まずはスギ! 貴様からだ!」
シャドウはサクッと魔獣を倒す為に《目にも止まらぬ早業》、仲間達でなければ見逃していたかもしれない連撃をスギトレントへと与えていく。わさわさ揺れて痛がっているらしいスギトレント。
「それじゃあ、支援するよー!」
アルマ・ヴァレンタインはあらかじめ濡らしておいたバンダナを顔に巻いて花粉対策とし、そのまま《ウェイブ・オブ・インフィニティロア》のエーテルの波動を周囲へと漲らせる。
「うん。森に生きるエルフにとっては嬉しくない相手だね」
久々に戦うらしいセヴラン・クアルトは、《グラヴィティボルト》を放って逆にスギトレントの動きを重くする。
「早く成敗しなくては! っくしゅん!」
ソフィネが《風読みの矢2》を放ち、スギトレントに命中する。
「ソフィネお姉さん、これあげるね!」
ダオシエが《輝腕3》をソフィネにかけ、命中力を強化した。
ざわざわと動く二本のトレント、スギトレントは集中攻撃に怒って花粉をシャドウにばらまいた。
「っくし!!」
シャドウがくしゃみをするのを見て、ヒノキトレントはシャドウを枝で叩こうとする。しかし、アルマの味方へのウェイブ・オブ・インフィニティロアの効果もあってか攻撃は外れ、枝が地面に勢い良く叩きつけられた。
「杉と檜……組ませては危険すぎる魔獣ですね。村内に入る前に叩きましょう」
マスクをしたエヴァン・ピオネロによる《アーケインストリーム》の澱嵐の力により、更に移動が遅くなるトレントズ。更に《超魔法》にてエーテルを集め、攻撃準備は万端だ。
「当てに行きましょう」
エメルンは《速打2》をスギトレントにぶつけ、スギトレントはざわざわと葉を揺らして怒りを示した。
次に動いたのは隠密していたトーラだ。《ホライゾナルジャンプ》で華麗に駆け寄り、スギトレントに《タナトスバイト改》をぶつけていく。
「えいっ!!」
スギトレントがトーラの方を向いた頃には、トーラは《フェザーステップ》で再び場外の森へと隠密していったのだった。
「次は貴様だヒノキ、覚悟しろ! っくし!」
シャドウがくしゃみをしながら恐ろしく早い《目にも止まらぬ斬撃》をヒノキに駆け寄って与えに行く。抜かりない味方の強化と敵の弱化によって、花粉症などシャルガネスイーツを早く堪能したいシャドウには意味を成さなかった。頭の中にはスイーツの事しか無かったのだ。
「行くよー、メテオライト!」
花粉症に負けないシャドウを見つつ、アルマが放った《メテオライト4》がスギトレントを勢い良くへし折ったのだった。
「よし、スギが倒れたね」
セヴランは安堵しながら《魔矢》をヒノキトレントへと撃ち込んだ。
「後はヒノキだけですね……っくしゅん!!」
くしゃみの勢いで、ソフィネの《風読みの矢2》は明後日の方へと飛んでいった。
「ソフィネお姉さん、だいじょうぶ?」
ダオシエはソフィネに《解呪3》をかけ、花粉症を治していく。
「花粉ごと洗い流しますよ!」
エヴァンの《タイダルストリーム3》のエーテルが、ヒノキトレントを勢い良く揺らす。
「これで終いです」
エメルンが《強打2》を当てると、ついにヒノキトレントはボキリと音を立てて倒れたのだった。
「あ、終わりました?」
トーラがひょこっと出て来た時には、シャドウの花粉症はアルマの《サルベーションオール》によって治療されていたのだった。
「助かった……このまま甘味まつりに参加する事になるかと思ったぞ」
「おだいじにねー」
アルマの隣で、エヴァンはトレントの亡骸を処理していた。
「花粉ごと処分しておきますね!」
お掃除も忘れずに、アルマは自分の武器で花粉を掃除して《穴掘り紋具「グレイウォッシャー」》で作った穴へと入れるのだった。
●いよいよ始まるハッシリ村の甘味まつり
「ありがとう皆さん、それじゃあ思う存分楽しんで行って下さい!」
くしゃみの止まった村長ミルキーが両手を広げて歓迎する。顔は涙と鼻水を拭いた跡が見受けられたが。
「戦闘で走り回りましたし、少しくらいは多めに食べても大丈夫ですよね?」
トーラは全ての店舗を巡りに、まずは草餅から頂く事にした。すると隣には草餅に無心でかぶりついているシャドウがいた。
「頂きます! あ~ん……美味しい!」
「きな粉……美味いな!」
シャドウはココア餅にも挑戦してみる。甘い×甘いはスペシャル甘い事に気付き、思わず頬っぺたを抑えてとろけるような目じりでスイーツを堪能していた。
「やはり甘味……甘味は全てを解決する……!」
「それじゃあ、私はカラフルベリークッキーも食べてきますね」
カラフルベリークッキー、トーラが頼んだ甘いベリー味の売れ行きは予想通りと言うべきか。アイスクッキーがウケたのだから、甘い味がウケないはずがない。
「これって何のベリーなんですか?」
「ははっ、企業秘密さ!」
クッキーを焼きながら、ジョニースターは笑って答えた。次にフォーチュンチョコの所へトーラが向かうと、双子の兄弟アランとポールが客寄せの為に小芝居をしていた。
「まぁ奥様、おみくじで凄い結果が出ましたわ! でも、このくじお高いんでしょう?」
と、アランがポールに女々しく尋ねる。
「何と今回、無料で試せまーす!!」
ポールは万歳しながら客達に叫んでいた。一体何の劇だったのだろうか。トーラが試すと、「努力:叶う。とにかく邁進せよ」というおみくじが出て来た。
「無料で元気づけてくれるのは確かに良いですね!」
最後に、飴細工で猫の形を作ってもらったトーラは、あまりに可愛い出来に食べるのを躊躇した。
「溶けるが……」
アイーロニヴが注意するも、ニクい職人技のおかげでとっても可愛い猫に見惚れてしまったトーラ。
「ああ……、でも溶けちゃう……!」
最終的に上からかぶりつくのだった。
セヴランは栗鼠のララを肩に乗せてのんびりと甘味まつりを見て回る。
「やぁ、カラフルベリークッキーは要るかい?」
「それじゃあ、ランダムの味でお願いできるかな?」
「あいよ! ランダム入りました!」
と、ジョニースターがテキパキと砕いたベリーをクッキーでサンドする。見た目はオレンジ色だが、食べると何と甘い味のベリーより甘いんじゃないかという程のミルキーな甘さ(村長ではない)が口の中に広がる。
「こ、これは……!」
ミルキーだ、とてもミルキーだと綻ぶセヴランの口元。
「当たりを引いてしまったねぇお客さん!」
ジョニースターはニコニコ笑っていた。そして次にフォーチュンチョコの所へ向かうと、また先程の小芝居をしていた双子たち。
「フォーチュンチョコか、面白そうだね。運試しにひとつ」
「はーい!」
チョコの中から出て来たくじは、「友情:現状維持。貴方から変わろう」と書いてあった。ララの事だろうか? ララの為にナッツのお菓子を探して買うセヴラン。
「うん、春のさきがけにふさわしいお祭りだね」
甘いお菓子を手にして笑顔の子供達を見て、微笑むセヴランはララがナッツをゆっくり食べられるように宿へと戻るのだった。
アルマとエヴァンは、共に戦ったソフィネ達と村に戻りながら、まずは草餅から堪能する。
「ココア味の草餅も美味しいね、はいあーん」
「あーん」
農家のベジタブルがそれを見つめてぽつりとこぼす。
「若ぇってえぇなあ……」
(そういえばベジタブルさんって何歳なんだろう……?)
と、アルマが思っているとソフィネがベジタブルにツッコんだ。
「ベジタブルさん、まだ20代じゃないですか」
「えっ」
「えっ」
思わず口からココア餅が零れたアルマとエヴァンだった。
カラフルベリークッキーは敢えて酸っぱい味をチョイスしてみたエヴァン。
「これは、甘味と酸味のコラボが絶妙です……!」
「だろ?」
ジョニースターはハハハと笑った。おみくじの現場では相変わらず小芝居を続けていたアランとポールだったが、二人が来ると。
「恋愛みくじにしておくよ! な、ポール」
「そうだね、アラン」
勝手にチョイスされた恋愛みくじの結果は、アルマが「良好。より深い関係を築ける」で、エヴァンが「一層努力せよ」だった。
「やったー! エヴァくんは?」
「努力せよ……よし、もっともっと努力します!」
おみくじを大切に収納したアルマとエヴァンだった。
そして、アルマはアイーロニヴに自分の顔をリクエストして、一瞬で作られるアルマ飴。
「飴細工美しいですね……流石アイーロニヴさん」
「ボクの顔をお食べよ!」
(アルマの顔を!!)
一瞬戸惑ったエヴァンだったが、勇気を出してパクリと勢いよく飴を食べる。
「美味しい……!」
食べ進んでいくと、アルマを食べているエヴァンの顔がどんどん照れていく。
「どうだった?」
「ぼ、ぼくの顔の飴もお願いします!」
アルマの質問に、照れ隠しするように自分の飴を作ってもらったエヴァン。
「あーんっ」
エヴァンの顔の飴を食べたアルマも、「人に食べてもらうと魂がその人の中で生き続ける」という言葉を思い出して、ドキドキしながら食べていくのだった。
「青春だな……」
アイーロニヴがぼそりと溢した。
「美味い! 美味い! 美味い……!」
「喉に詰まらせんでねぇど?」
シャドウは、念願のシャルガネスイーツを心行くまで、甘味まつりが終わるまで堪能したとか、しないとか――。
マスターコメント
トレント達はこれ以上花粉を撒き散らす事なく無事に倒され、甘味まつりを皆さん堪能する事が出来ました!
またのご参加をお待ちしております!
イベントシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜25人
2023年03月16日 13時24分09秒 公開
大成功
相談掲示板
シャドウだ。よろしく。 魔獣を片付け和、いやシャルガネスイーツを堪能するとしよう。
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! 方範囲に病気をばらまく魔獣とは厄介ですね。急いで退治したいところですし、攻撃力重視で行くべきでしょうか。
>急いで退治したいところですし、攻撃力重視で行くべきでしょうか。 ユー!いっちゃいなよ!
キャスターのエヴァンです。 よろしくお願いします。 爆炎したり豪風したりタイダルしたり(力押しグイグイ) 春のお祭りの時間を沢山取らせて頂きますね。(グッ)
すっかり出発間近になっちゃったけど ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 抵抗上げも含めた支援とか花粉症対策に解除系のスキルも準備して ちゃっちゃと片付けてお祭り参加するよー