【蒼開】開拓の第一歩

崎田航輝

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シナリオID:2644

オープニング

「ようこそ来てくださいました」
 男爵は、迎えた冒険者達に期待に満ちた声音で言った。
 そして――僕の望みは一つです、と告げる。
「うちで持っている島を……開拓して頂けないでしょうか!」

●夢
 エブラル男爵領ナーチ。
 リーンエス王国の南寄りに位置するそこは、田畑の多いのどかな土地だ。
 歩めば農民達が仕事をする景色が見られ、時に彼らの和やかな笑い声も響く。争いもなく、平和でおおらかな風合いの領地であった。
 そんなナーチを治める領主が……土地の中心の屋敷に住まう、エブラル男爵。
 風土に合っている、とでもいうのだろうか、人の良さそうな印象の青年で――容姿も貴族というよりは夢に溢れた若者といった風情。
 実際の所、夢に溢れていて――それが冒険者達を招聘した理由でもあるのだった。

「実は、最近家督を継ぎまして」
 男爵は冒険者にお茶を出しながら、経緯を説明する。
「親が『そろそろ隠居したいから』と、引退した故なのですが……実は私はこの時をずっと、待っていたのです」
 曰く、エブラル男爵は幼い頃より冒険や開拓といったものが好きだった。
 だが、仮にも貴族の子息。一応躾も厳しく、自由な冒険や開拓などとは無縁で……子供の時分からその夢を胸に抱き続けたまま、日々を送ってきたらしい。
「でも、こうして晴れて領主になった今――もう僕を止めるものはないという訳です!」
 実はこの男爵領、南の海に小さい島を持っている。
 だから早速その開拓に乗り出そうと思った、というわけだった。

「ただ、開拓を始めようにも問題がありまして」
 その島、かなり前の代から所有していたというが……魔物が住み着いていて、人の立ち入れぬ環境らしい。
「子供の頃は島に行きたいと懇願して、ダメだと言われたものですが……その理由は、そういう危険もあるからだったんです」
 けれど勿論、今そんな事で諦めたくはないという。
「一応、実際に船で近くまでは行ってみました」
 すると確かに魔物らしき姿がいたという。
 だが島中に溢れるほど居るわけでもなさそうだし……何より、改めてその目で見た島は、多様な自然に溢れていた。
「絶対にそこを開拓したいと思いました」
 その為に、皆さんのお力を借りたいと思ったのです、と。

●依頼
「開拓したい、とは言っても……勿論、趣味だけではありませんよ」
 男爵は地図で島の場所を示しつつ続ける。
「うちの領民は農家が多いのですが――若い人々はもっと何かこう、刺激のある仕事を欲しがっていて」
 領の経営は上手くいっているからでもあろうか、人手も少々余り気味だという。
「開拓がそういう人達にとっても良い仕事を生むんじゃないか、と思った訳です」
 理想を言えば、領民がいくらか移住し、島で何らかの仕事に従事できるようになったら嬉しいという。
 勿論、それは今のところ夢物語。
 魔物もただ居るだけではなく、島の自然を食い荒らしたり、侵蝕したりして――非常にゆっくりだが環境を悪くしてもいるようだ。
「放っておけば何代か後には島がなくなってしまう可能性もあります」
 それも避けたいから、魔物を確実に討伐する必要がある。
「だから皆さんに頼りたい、という訳なのです」

「それから、これは後の話ですが――」
 島が平和になった暁には、冒険者達に開拓そのものにも協力してほしい、と男爵は言った。
 というのも、男爵自身はおいそれと領地からは離れられず……領民も専門家ではないので、知識が不足しているからだ。
「陣頭指揮をとる方がいてくれれば、と」
 領民を指導しつつ、島を開拓していく。
 その役を冒険者が担ってくれればこの上ないのだと言った。
「ですので、魔物を退治できましたら……開拓出来そうな場所や、拠点に出来るような場所を見つける為の調査もしてきて頂ければ嬉しいです」
 人の手の入っていない島だ。
 開拓には障害となる場所や問題もあるだろう。
「その洗い出しができれば、本格的に開拓に臨む時に役立つはずですから」
 男爵はわくわくと言う。
 色々と並べてはいるが、やはり本心には期待があるのだろう。
「長らく放置されていた無人島ですが――」
 その姿が変わっていくのを見てみたい、と。
 男爵は楽しみに満ちた声で言った。

●島へ
 そうして冒険者達は、男爵の出した船で南の海へ向かった。
 青空の下、遠方に見えてきたのは――小さな無人島。
 長らく人の触れていないそこは、多くの自然に満ちているようだ。
 だけでなく、魔物の影響もあるのだろう、各所が荒れていて……とても人が住めるようになるとは思えぬ景色だった。
 けれど、それを実現するのが開拓なのだから。
 冒険者達はその第一歩を踏むために、島へと降り立ってゆく。

解説

■目的  島の魔物退治と、環境調査。 ■島について  名はウェイブルー島。  南の海の小島で、健脚なら一日で外周を巡れる大きさです。  上空から見るとほぼ円形。  島はエーテルの状態や環境により植物の育つ速度が速い模様。  ただ魔物に変容させられた部分もあり、環境は全体に荒れています。 ■島の情報(外からの観察によるもの) ●外縁  北の崖と東の岩礁を覗き、ほぼ全てが砂浜。  凹凸が激しく、砂丘のようになっています。  砂丘が壁になり、船からでは丘の内側を詳しく望めません。 ●北側  山になっています。  北に行くほど高高度。  北端は山の頂上から続く崖で、切り立った岩場です。  時々大きな音が響くという情報があります。 ●中部  島の多くを占めると思われる森林地帯。  北側は山と地続き。  樹木は多様ですが、木々の密度や環境が場所によってかなり違うようです。 ●川  山が源流。  水量に偏りが多く、殆どが氾濫しているか、涸れた跡になっています。  位置も満遍なく存在しているわけではなさそうです。 ●東端  岩礁地帯になっています。  歩んで渡る事も可能な高さです。 ●地下  岩礁の合間から、島の内部へ続くと思しき水路があるようです。 ■敵 ・「クリーパー」×16  小型のスライム状。  島の各地に分布。自然を食い荒らしつつ、時折野生動物などを襲っています。  動きは非常に緩慢。  危機を感じると自然の迷彩色を纏います。迷彩状態では目視は不可能。  牙による近接攻撃を行います。

マスターより

連作の第一話です。 無人島の開拓に挑むシリーズとなります。 今回は第一歩として、魔物退治と島の検分を行います。 シナリオはクリーパーを全滅させれば成功となります。 クリーパーは強敵ではありません。狭い場所に集まっているという事もないので、メンバーがそれぞれ別行動をとっても問題は無いでしょう。 島は全ての場所で、人が過ごすには問題になる点があるようです。 環境調査ではその辺りの洗い出しも兼ねていくと良いでしょう。 調査は次回以降も自由にできるので、網羅する必要まではありません。 また、次回から開拓の為に領民を人手として連れてくる事も出来ます。 拠点の位置などは、一般人が来る事も加味して想定しても良いかも知れません。 拠点は幾つ定めても構いません。 皆様のプレイングを、心より楽しみにお待ちしております。

リプレイ

●上陸
「あれがウェイブルー島……!」
 晴れた空の下、船が海を進みゆく。
 その先に見えたものに――ネーヴェ・グラヌローザは声音を踊らせていた。
 青々と木々の茂るそこは、確かに長らく人が訪れていないようで。
「無人島開拓、だなんて。浪漫がありますわね……!」
「ああ」
 そうだな、とカイン・ステラも甲板で呟く。
 実際、男爵領の人々にとっても……刺激に満ちた仕事が生まれそうだ。
(刺激、か。……考えてみりゃ、俺の生まれ故郷も刺激はなかったかもな)
 そこはリブラネスタ近郊ゆえ、大都市に遊びにいけるという違いはある。けれどカインには十分、男爵領の人々の気持ちが判るから。
「ま、回れるだけ回っとくかね」
「そうね。ここからは、小舟を出しましょう」
 と、木舟を下ろすのがロゼット。
 皆でそこへ乗り、砂浜に上陸すると……ようやく中から島を望む事が出来た。
「しかし、本当に手付かずと言って差し支えない島ですね……」
 イヴェール・イリュジオンの言葉に、リディリディ・トゥラ・イェレミースも「ええ」と頷いている。
 先の見通せぬ木立。
 凹凸の激しい砂浜。
 感じられるのは激しいまでの自然の旺盛だ。
 男爵が「自然に溢れていた」と感想を持ったのは、間違いではない。ただ、現実は決して綺麗なだけではない。
 その事を、リディリディは誰より知っているから。
「手を入れなければならないところは、多そうですね……」
「うむ。それでも利用できる土地が増えるのは良い事なのだ」
 ストレガ・L・リベルガストラは警戒しつつ語る。
 故にこそ、安全確保は何より大事だから。
「早速、手分けして回るのだ」
「ええ」
 ロゼットは一度海辺へも振り返る。
「桟橋も必要になるかしらね。何処が良さそうか、見ておいて貰う事は出来るかしら?」
「ああ、判った」
 カインが応えて歩み出すと……サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブはイヴェールと共に山の方角へ。
「あたし達はあっちを調べるね!」
「じゃあ、私は地下の方へ行くよ」
 言ってアステルがそちらへ向かうと、ネーヴェも同じく東へ。
「ふふっ、なんだか胸が熱くなって参りましたわ」
 島の全容はまだ判然とせず、自分達の手で何処まで出来るかは分からない。
 けれど出来得る限り力になれたらと思うから……ネーヴェは声音に希望を込めて。
「まずはその第一歩ですわね。頑張りましょう!」

●頂へ
 “青い海に浮かぶウェイブルー島
 島の北部に聳え立つ山で鳴り響く謎の音
 その正体を探るべく
 サフィラ探検隊(仮)は山の中へと足を踏み入れた――”
 ――サフィラ著『怪奇! 絶海の孤島に鳴り響く謎の音!』より

「……何を書かれているんですか?」
「にゃ? ちょっとね!」
 何となくそんな走り書きをしていたサフィラが答えると、イヴェールは小首を傾げつつも視線を前へ戻す。
 北側、山の麓だ。
 実際に来てみると――
「確かに音はしますね」
 断続的に響く、低い震動音がある。
 ただ、イヴェールは焦らず、まずは見つけた川沿いに歩む。源流を見つける心算だった。
「といっても、ここは涸れているようですが……」
「干からびちゃったのかな?」
「魔物の影響かも知れませんね」
 ならば尚更源流を確かめる必要はある、と二人は川の痕跡を辿ってゆく。
 道中は獣道だが、イヴェールは一般人でも登れる登山道を探り、記録してゆく。
 と、水流の音が聞こえ、流れの強い川を発見。二人はそれを伝い……小さな湖のような場所に着いた。
 その先にある滝が――
「おそらく源流ですね」
 それは溢れる湧き水。山肌から染み出す、紛う事無き川の源だ。
「……水質は問題ないですね。動物もいますし」
 周囲も自然豊かで、見れば鼬や狸の姿も見える。
 それを記録しつつ、イヴェールは異変にも気づいた。
 それは動物を狙ってゆっくりと近づく――スライムの異形。
 頷き合った二人は、光塊を纏わせた刃で一撃。二体のそれを、一度に霧散させた。

「よっしゃー! 音の正体を探るぞー!」
 サフィラが改めて気合を入れて……二人は山頂への探索を再開する。
 道中は多様な植生が見られ、サフィラはあちこちに目移り。
「色んな木の実があるよ。――あ! このアケビも食べ頃だ! 持って帰ろっと」
 と、うきうきとそれらを採取していく。
 そうして進むにつれて……音も近づいてきた。
「火山活動かとも思いましたが、噴煙はありませんしね……」
「にゃ、もっと登ってみよう!」
 サフィラは言って更に先へ。急峻な坂を、注意して上ってゆく。
 ただ、音は一帯に反響していて中々出処が掴めない。
「うーん、方向はこっちで合ってるはずなんだけどなぁ?」
 サフィラはきょろきょろして――そこではっとした。
 近くの木がばきりと音を立て、傾き始めていた。それから根を張る土と共に……轟音を上げて下方へ滑り落ちてゆく。
「にゃ、雪崩みたいになってる!」
「地すべりですか」
 二人は岩場に掴まって安定を確保する。
 音の正体はこれだ。時に岩も交じり、地鳴りを上げていたのだ。
 ただ、広範に起きている訳ではなく、特定の箇所の地面だけが緩くなってるようで――
「やっぱり魔物かな?」
「そのようですね」
 イヴェールは頷いて坂を見る。
 そこに木々の根や土壌を喰らう――スライムが見えた。
 数は距離を置いて二体。まずはイヴェールが一体を貫くと、サフィラも疾駆して。
「にゃ! これでおしまいっ!」
 鮮やかに刃を奔らせ、残りも両断した。
 その後イヴェールが、登山道に目印となる石を置いて……下山。日も落ちる前に合流へ向かう。

●氾濫と恵み
 森林へ入った三人は、一帯を網羅するように探索を始めていた。
 木々の入り組んだそこは、自然の宝庫でありながら迷路でもあって――リディリディは見回しながら呟く。
「こういった獣道は危険でもありますから……冒険者を雇ったのは賢明ですね……」
「そうね」
 ロゼットも頷きつつ、男爵の純朴で人の良さそうな相貌を想起する。
 期待をされたからには応えたい、と。
「農業以外の産業が育つ下地もあると良いいけれど……この自然もなるべくなら活かしたいわね」
「その為にも、脅威の排除は必要なのだ」
 と、瞳を細めるのはストレガだ。
 前方に、木々の疎らな一帯が現れていた。
 見ると植物が不自然に枯れていて――
「これは自然の業じゃないのだ。土地のエーテルを喰らっているクリーパーがいるはずなのだ」
 言うと素早く周囲を観察。
 土壌の腐食した跡が、轍となっている場所を見つけ――ストレガはそれを辿り始めた。
 するとその先、木々の間に蠢くものを発見する。
 スライム状のクリーパー。近場に二体と、離れた遠方に一体が見えた。
「あれなら巻き込めそうなのだ」
 と、ストレガはまず重力場を展開。近くの二体を収め、更に足絡之呪――青藍に煌めくスネアアンカーで動きを止めていく。
 三体目も抑えに向かうと、近場の二体が迷彩を纏う、が。
 動けないなら見失う事もない。直後にはロゼットがそこへ魔法の矢を放って撃破した。
「こちらは問題ないわ」
「助かるのだ」
 応えるストレガもまた、三体目の動きを封じていた所。逃げ出せなくなったスライムが、姿を消す前に……そのまま魔弾を放って退治した。
 ストレガはスライムの居た跡を観察する。
 そこだけ見ると、地面への影響は緩やかだが――
「おそらく、かなりの時間をかける事で大地を喰らっていたと思われるのだ」
 天敵の居ない環境で、相応の長生きをしていたのだろう。
 一先ずこれで周囲の脅威は取り除けたろうが……警戒はしつつ、三人は探索を続ける。

 植生を調べつつも、リディリディが注意を向けたのは川だ。
 最初に見つけたそこは涸れていて、次に見つけた場所は――
「氾濫していますね……」
 容易に近づけぬほど、水量が多い。
 轟々と流れる水は川の外にも零れていて――ロゼットは見回して呟く。
「植物にも悪い影響がありそうね。人にとっても勿論、危険だし」
「少なくとも、気軽に魚釣りが出来る……などといった環境ではなさそうですね」
 リディリディも言って、可能な限り歩み寄る。
 すると上流で別の川と合流していると判ったが、そちらには水が流れていない。境目に大地が歪んだ痕跡があり……クリーパーの影響と思われた。
「治水が必要ですね」
「ええ。水源になるなら、この辺りは浜も遠くないし、拠点を近くにおけそうね」
 ロゼットも言って、暫し付近を巡る。
 すると比較的流れの緩やかな場所と、涸れた支流が隣接している場所があって――リディリディは足を止めた。
「ここは少し整備すれば水場になりそうです」
 言いつつ情報を書き込むのは地図だ。
 詳細なものがあった方が良いだろうと、リディリディは探索の始めからつけている。ロゼットも位置感覚を活かし、そこに正確なマッピングを施していった。
 リディリディは土のうを運ぶ動線も計算に入れつつ、水場に出来る位置を数カ所選定。
 そうすると、水量のある川はごく僅かだと判るが――
「涸れた支流にきちんと水を流す事が出来れば、水場の数も増えそうですね」
 それを成果にして……川の調査の一段落とする。
 更に歩みを進めると、ロゼットは木々の種類が多彩なのに気づく。
「樹木が豊かなのは良いわね。燃料にも資材にもなるし、風雨を避けるのにも役立つし――」
 見れば、カエデのように蜜を出す木もある。木の実をつけたものも多いし、多様な面で役に立ちそうだ。
「そういえば、野生動物はいるのかしら?」
「鼬に狸、鳥類もいたのだ」
 と、ストレガは答えながら……不意に木立の間から襲ってきた影を見つけて投石。
 地面に落ちた――蝙蝠を拾い上げていた。
「蝙蝠には色々な種類があるのだ。調べてみるのだ」
 言うとストレガはその亡骸を解体。内蔵も調べ、雑食性らしいと見て……周囲の生態の資料としてメモしていた。
「植生も、動物の種類も豊かなようなのだ。魔物の侵蝕が、ある意味で特異な環境を作ったのかも知れないのだ」
「他にはない島、という事ですね……」
 狭い範囲に多様な環境が詰まっている。そんな森林だとリディリディも実感して、改めて視線を巡らせていた。

●砂上を行く
「上手くやってるみたいだな」
 カインはふと、そんな森林班の姿を遠目に見つけて呟いていた。
 外縁の浜を、西回りに歩いている所だ。
 浜の内側は森林と隣接している。その境目を中心に進んでいるのは、浜の外側は殆どが激しい凹凸になっている為だ。
「ま、それでも多少均せば、どこでも船着き場にはなりそうか」
 とはいえ何処もまっさらな浜という訳ではない。
 倒れた木々の残骸や、石などが散乱していて……整備には手間もかかりそうだった。
「珍しいもんもあったけどな――」
 と、手にしているのは無数のガラス片。
 大陸から流れ着いたものらしいが……ここに来るまでに削られたのか、どれも丸みを帯びた美しい宝石のようになっている。
 そんな収穫もありつつ、クリーパーを見つければ矢で撃ち払って――大鼬のファと共に警戒も怠らず進む。
 そして北端に着くと――
「確かに崖だな」
 その岸壁を仰ぐ。
 ただ、浜は狭くなっているものの、水辺を歩く事は可能。
「干潮時には通れなさそうだが……橋なんかをかけておきゃ、困らないか」
 そうして北も問題なく通ってゆく。
 更に海を観察して魚の種類が豊富だとも判った。
「白身魚に赤身魚、イカにタコ。見たことねえ魚もいたし」
 海の幸が豊かなのは事実だろう、と。
 そんな発見も書き記して、東の岩礁へ。そこもまた貝類が多く居る事を見て取って……後は危険もなく、南の浜に戻った。

●煌めき
 ネーヴェは改めて水や食料を確認して……岩礁を歩み始めていた。
 そこは高さもあるが、バランス感覚を活かしつつ進み……歩きやすいルートをメモ。更に水流に気を配って。
「ここが地下への道ですね」
 岩礁の合間に、暗い水路を発見した。
 同道するアステルもまた、他の場所を調べていて――
「この辺りでは、入口は一箇所だけみたいだよ」
「では、参りましょうか」
 二人で頷きそこへ入る。
 水路と言っても、すぐに陸は見えてきた。
「地下洞窟、のようですね」
 ネーヴェがエンライトで照らすと、鍾乳石が美しく光を反射する空間が広がっていた。
 同時にクリーパーも発見したが……ネーヴェは素早く魔弾で撃破する。
 と、近くにエーテル溜まりの跡らしき場所も見つけた。
「ここから魔物が生まれていたのでしょうか」
 尤もそれは痕跡でしかない。ここで新たな魔物の出現はないだろう。
 それが確認出来ると更に奥へ。
 足場の悪い岩場は、接着させた蜘蛛糸ロープを命綱にして越えて……その先にある窪地で、海水とは異なる水流を発見した。
「これは……真水ですね」
 地下から湧いているようで、地上の川とは別の水脈だろう。水質も問題なく、飲む事も出来そうだ。
 故にそこで一端休憩し、再び先へ。
「反対側まで進めそうですわね」
「うん」
 アステルも頷き、詳細なマッピングを続ける。
 すると各所で、外の海と繋がる水路を見つける事も出来た。
「必要があれば、東以外からでも潜って入る事が出来るでしょうか」
「そうだね。色んな所から探検出来るって思うと楽しいかも」
 二人は言いつつ――発見はそれだけに終わらない。
 きらりと光るものを視界に捉え、二人は更に先へ。島の反対側で最奥と思しきそこに……幾種もの鉱石を含んだ地層が続く景色を見つけた。
「これは……稀少な石もありますわね」
 精査せねば判らないが、新たな鉱石もあるかも知れない。
 ネーヴェはそれもメモして……地上に戻る事に決めた。

●第一歩
 合流した皆は、情報を共有し地図を纏めた。
「森林に、岩礁の近く、地下にも良い空間があったか。浜も場所は選べるし、拠点には困らなさそうだな」
 カインの言葉に皆も頷く。
 クリーパーも殲滅出来たし――
「にゃ……なんかお腹すいちゃった」
 サフィラは一息ついてそんな言葉を零す。
 だから、と早速採取した山菜や木の実、そして持参した魚の干物も使って――鍋を料理。
「皆も食べる?」
 それに頷いた面々も共に、芳しい湯気を昇らせるそれを味わった。
「次は場所を均してから、拠点造りでしょうか」
 イヴェールの言葉にリディリディは頷く。
「今のままだと、危険な場所もありますから。……人手も必要ですね」
「戻ったら早速、男爵に報告しましょう」
 ロゼットが言うと、ストレガはうむと応えて――改めて島を見やる。
「現状では島自身が自然を害している部分もあるのだ。開拓をするのなら、大胆に行う必要もありそうなのだ」
「どうなって行くでしょうか――」
 ネーヴェもそっと呟く。
 それを決めてゆくのは自分達自身だ。
 きっと苦労はあれど……やはりわくわくと心が踊る。暮れ始めた空の下、ネーヴェはそんな思いで景色を見つめていた。

マスターコメント

お疲れ様でした。 クリーパーを退治し、島の環境調査もほぼ全域に行う事が出来ました。 拠点の候補も複数上がり、動植物の生態や資源になりそうなものについても発見がありました。 次回以降、開拓や領民の仕事づくりを考える際にも役立ってゆくでしょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ易しい 報酬:多い8 / 4〜8人

2022年12月18日 00時09分48秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ロゼット

    ヒーラーのロゼットよ。よろしくね。 目的は魔物退治と環境調査ということだけど、事前情報の 通りなら別々に行動しても大丈夫そうではあるわね。 とはいえ1人だと、話し相手もいなくて淡々としそうだから、 同行希望や調査に行きたい場所で、まとまっても良いかなって。 北側の山で大きな音の正体を探るのも良いし、中部の森林で 拠点にできそうな開けた場所を探すとか、東端の岩礁から 地下がどうなってるのか探索ってこともできるわね。 全部を巡るのは大変だし、大まかな地域でバラけて 分担した方が良いのかな、とも思ってるわ。どうかしら。

  2. No.2

    ウォーリアのアステルだよ。よろしくお願いします! そうだね。ロゼットさんが言うみたいに、 ペアを組むなり何なりで、手分けするの、良いと思う。 因みに私は、今のところ地下でマッピングでもしようかな?って考えてるよ。 あくまでまだ考え中だから、他の場所に行くのも勿論可能だよ!

  3. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!シーフのサフィラだよっ! みんなよろしくねっ! んー、個人的に気になるのは山かなぁ 島全体を見渡してみたいし 大きな音の原因も気になるから 山に行ってみよっかなぁ

  4. ロゼット

    山と地下には手が挙がったから、 私は中部の森林地帯に行ってみようかな? 拠点にできそうな開けてて、水源が確保できそうな 場所がないか、歩いてみようかしら。

  5. No.5

    キャスターのリディリディです。 あの・・・、よろしくお願いします。 調査する場所は大まかに六箇所ほどでしょうか。 一組、一二箇所ほど回れば良さそうですね。 私は川の方を見てきます。 水源があれば拠点を作るにも良さそうですし・・・。

  6. イヴェール・アーチボルト

    ウォーリアのイヴェール・イリュジオンです。 どうぞよろしくお願い致します(ぺこり) 魔物退治と環境調査が最低条件、という事でしたら大まかな6箇所については一度は訪れる必要がありそうでしょうか? であれば二人一組で一か所を回るとして、残り二か所はそれぞれ二組ずつが時間を決めて合流して回ってもいいのかなと… 例えば森林地帯ですが島の多くを占めるようですし、二人だけで索敵しつつ調査するのは大変ではないでしょうか? 次いでぐるりと島を回る必要のある外縁についても時間がかかる印象があります。 「健脚なら一日で外周を巡れる大きさ」とのことですが、時計回りと反時計回りでそれぞれ一組ずつが回れば大体一日の半分で外周を探索出来るではと? 勿論、きっちり決めずに大体で回るでも大丈夫でしょうが…

  7. ネーヴェ・グラヌローザ

    ヒーラーのネーヴェ・グラヌローザと申します。 皆様どうぞ宜しくお願い致します。 私もイヴェールさんと同様、主要6地点は一通り訪れておきたいかな、と考えております。 一方で、マスターコメントに「調査は次回以降も自由にできるので、網羅する必要まではありません。」とも御座いますので、今回で全てくまなく調査する必要も無さそうな気が致しますね。 あとは東端に地下への入り口があるようですから、この2箇所に関してはセット扱いで宜しいかと存じます。 島の外縁に関してはイヴェールさんご提案の方法が一番効率良さそうですし、地下組以外の2組がご提案の手法で回ると時間短縮にもなって宜しいのではないでしょうか。 残り一組は一番最初の場所が終わり次第、一番広大であろう森林地帯に合流するのも一つの手だとは思います。

  8. カイン・ステラ

    カイン・ステラ、よろしく。 ちょっと立て込んでるので、今日のところは挨拶まで。

  9. ロゼット

    >主要6地点 解説の6つは情報だから、地点には分けづらいんじゃないかな。 外縁の「一日で外周を巡れる大きさ」も、島の大きさの目安で、 実際に歩いて1周するのは難しいんじゃないかしら。 特に北側、北端は山の頂上からの切り立った崖になっているし。 大雑把だけど島の地図って、こんな感じだと思っているわ。 >簡易地図 山山川山山山 砂森森森森岩 砂森森森森地 砂森森森森岩 砂砂砂砂砂岩 山…北側は山。北の端は山頂から崖になっている。 岩…東側は岩礁。歩んで渡る事も可能な高さです。 地…岩礁の合間から地下へ続くと思しき水路がある。 砂…北側・東側以外はほぼ砂浜。凹凸のある砂丘。 森…中央は島の多くを占めると思われる森林地帯。 川…山が源流。氾濫したり涸れていたり。他の位置不明。 >探索の分担 ・北側(山全体、川の源流) ・東側(岩礁、地下の水路) ・西・南側(砂浜、浅瀬) ・中央部(森林、川の位置) ☆全ての地域で魔物との遭遇はある。 個人的には、4地域に分けての分担でどうかなって。 西・南側(砂浜、浅瀬)は、あまり説明がないけど、 船着き場に向いた場所や、漁ができる場所を探したり。 人数分けは、個人の希望もあるから 決めにくいけど、素直に2人×4地域でいくか。 最初に全員で砂浜の西・南側を探索してから、 北側・東側・中央部へそれぞれ分かれるとか。 面積は中央部が広そうだけど、山は高低の昇り降りがあるし、 岩礁の地下も広さが分からないから、負担差は均等かなって。 スケジュール的には早朝から始めて、日没までに集合かしら。

  10. ストレガ・L・リベルガストラ

    ストレガなのだ。宜しくなのだ。 主目的としてクリーパーを全滅させないといけないので分担して全て回る事了解なのだ。 接岸地点はおそらくは砂浜だろうからバーッと見てそこから分かれるでもいいと思うのだ。 個人的な探索希望は森にするのだ。

  11. カイン・ステラ

    手分けして全域を探索するのは賛成だ。 探索希望は、外縁部希望出すかな。あ、他の場所でも問題ない。 探索の補助要員に大鼬連れて行く予定。

  12. ネーヴェ・グラヌローザ

    なるほど……歩いてぐるりと回るのは難しいかもしれないのですね。 ロゼット様の四地域に分ける案も分かりやすそうですが、出発時間のことを考えますと、ストレガ様の言うパーッと見てから散開でも良さそうな気が致します。 私個人はどちらでも構いません。 私は東端と地下を希望致しますね。 ロゼット様のリストで言うところの東側になりましょうか。

  13. No.13

    もう出発まで間がないのですね。 とりあえず行き先の希望だけ出しておきます。 中央部に行かせてもらおうかと思います。 川は元々行きたかったですし、森は人手が欲しくなりそうなので。

  14. ロゼット

    昨日は来れなかったわ…。 区分けや班分けまで作るなら初日から動くべきったかな。 情報にあった場所には全て、誰かが行っているようだから あとはイヴェールも自身の希望で動いて良いと思うわ。 アステル:東側(地下) サフィラ:北側(山) ストレガ:中央部(森林) ネーヴェ:東側(岩礁と地下) リディリディ:中央部(森林と川) カイン:外縁部(西・南側) ロゼット:中央部(森林)

  15. イヴェール・アーチボルト

    明日には出発なので提出お忘れなく。 私は山にいきましょうか…ナハルハルアリーブさん1人だけのようですし。 音の他、川の源流を調べられたら幸いでしょうか…

  16. イヴェール・アーチボルト

    ロゼットさんの発言に被りましたが特に問題なさそうでした( 先の発言の通り、山の方を見に行かせて頂きますね。 まぁそこまで難しい依頼でも無いので必要以上に気負われなくて良いかなと…? 人命が失われるならともかく、調査と討伐だけなら皆さん上手くやられると思いますし。

  17. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!島を手分けして探索しながら スライム退治する感じだねっ!おっけー! スキルと装備は探索メインにして 山の音の正体と食べれる物を探してくよ! おお!イヴェっち手伝ってくれるの? ありがとー!助かる〜!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0