【鬼哭】キツネさんとボクたち、カカオ農場前
狐野径
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シナリオID:2608
オープニング
●ゴブリン事情と決断
ウル・ヘルバは、フィルエス大森林でカカオを育てたいエルフの子どもたち――エキルとラビトを連れて旅をしていた。蛇行もしているけれども、一番見てみたい、カカオを育てる現場に向かっている。
しかし、ゴールディの方にあるカカオ農場まであと少し、というところで、ウルは冒険者ギルドから注意喚起をもらう。
「帝国の方でゴブリンたちが暴れているとか、変な雰囲気になっているとかあります。ゴールディではどうかわかりませんので、お子さん連れていくなら気を付けた方がいいかもしれません」
情報不足はわかるし、ドン・ゴーフルがいる地ならば、情勢も違うだろう。元から注意は必要だったとしても、情報収集で寄ったギルドであえて言われたのは、より一層問題があるという事だろう。
宿を引き払う準備をしている現在が、ウルの決断の最後のタイミング。あとは、もう自力でどうにかする形になる、と捉えていた。
カカオ農場にあと少しで到着できる、と思いエキルとラビトはうきうきしている。なお、パンクリアース学園に行ったあと、そのまま旅を始めず、一度大森林に戻った。ウルのいう事を最後まで聞かず暴走する危険を避けたいため、二人の両親やグレイオンスに子どもたちを諭してもらうためだ。
地域の情勢など当時わかっていたことも教えたため、ウルの指示を守るようになった。
ウルが悩んでいる間に、準備が整ったため、
「キツネさん、出発できるよ」
「カカオ楽しみだよ!」
と、声がかかる。カカオ農場が見られるという楽しみと喜びで、エキルとラビトの目はキラキラしている。全身でその空気を醸し出す。
それを見て引き返すと言いづらい。そもそも、ゴールディでは暴徒がどうのって話は聞いていない。
一方で自分が二人を守ることができるかという、腕の微妙さもある。
「どしたの、キツネさん」
「昨日から悩んでるよね」
尻尾と耳を指す。ウル、表情はコントロールしても、耳と尻尾が感情に連動する傾向が強かった。
「……あ、うん、わかった! 冒険者雇う」
安全とここまでやって来たということを天秤にかけた結果だった。
ただ、説明をしていないから、エキルとラビトはきょとんとしていた。
●裏事情――愛を勝ち取るために
豪奢だけれども薄手の衣類を着、しどけなくソファに座る女は、
「ねぇ……キツネの毛皮が欲しい」
と、言った。
男は「わかった!」といい、物欲しそうな、なめるような視線を、女に向ける。
女は笑みを深くし、体勢を変える。
「もちろん、結果次第よ?」
男はゴクリと生唾を飲み込み、部屋を後にした。
キツネの毛皮。
彼女の気持ちを引き付けるには、もふもふで毛並みのよい毛皮が欲しい。
買うには高い。
お金がないならキツネが住んでいるところで狩りをするしかない。
毛が長いキツネならば気候的には寒いところに行かないとならないだろう。
ここで、男は我に返り「そんなに遠くまで行けるか?」と自問自答した。
仲がいい男に声を掛けると、「無理だろそんなところまで行くの」という。
「いい加減、あの女諦めればいいのに」
「いや、俺はあの人を振り向かせたい。ほしい物を言ってくれるなんて、俺は認められたんだって」
「いやいや……利用されているだけでは?」
二人は歩きながら話していた。
気づけば、農場とかある、街からは離れたところに来ていた。
目に入ったのは、もふもふのキツネの尻尾だった。
●裏事情――だって魔物だもの
魔物が来た理由はエーテルが欲しいから。
そこを選んだのは、生き物がいるから。
複雑なことはない、偶然、たどり着いただけ。
高さ140センチ、全長だと200センチくらいになるのだろうか。一見すると、茶色のもこもこ、ふさふさ、ふかふかな物体に見える。
巨大なキツネ風の顔にその半分くらいある、尻尾。顔に直接足や尻尾が生えたシンプルな形状。
ぴょこぴょこ跳ねるように歩き、獲物を見ると近づいてくる。
目の前には獲物がいる。
こちらに気付いていない、ゴブリンが――。
●カカオ農場に向かう道
ウルが冒険者を雇うといったとき、エキルとラビトに事情を話した。
カカオ農場に行けるならば問題ないため二人は快諾した。ウルがきちんと対応してくれているのだから、ありがたいと思っても拒否する必要がない内容なのだから。
さて、街で冒険者と合流し、カカオ農場に向かっていた。
「カカオ、カカオ」
小さな声で二人はリズムをとるように言い、踊るように歩いている。
「キツネさん、尻尾暑くない?」
不意に言われてウルは「いうのやめてくれ」とうめく。
エキルとラビトも、このような気候はそもそも初めて。暑さにばてそうだけれども、カカオへの愛や初めての場所への好奇心で乗り切っている面がある。そこに、好奇心として、ウルの尻尾に視線が行く。
「冬毛なんだよ、今!」
本当か嘘かわからないけれども、ウルの尻尾はふっくらしている。
「……それは大変だよね」
「今、いらない、キツネさんの尻尾」
蒸し暑い所での冷たい反応。
そんなこんなで一行の前に、ゴブリン二人が立ちふさがる。
「その、尻尾を置いていきな! そうすれば命はとらねぇからな」
「だめだよ! キツネさんの尻尾はボクたちのだよ」
「暑くて今は微妙だけど!」
腰引き気味の男にエキルとラビトがきっぱりと応戦する。
ウルは一瞬、相手と子どもたちが何言い合っているのか考えてしまった。
理解した瞬間、反論する。
「……俺の尻尾は俺の物だ! 大体、尻尾取ったら痛いし、へたすりゃ死ぬぞ! 勝手なこと抜かすんじゃねぇ! 大体、腰が引けてる野郎どもが何をぬかす」
「キツネさん! これ、威を借るキツネ!」
「聞いたことあるよ!」
冒険者がいるからウルが強気に出てるとエキルとラビトが判断したらしい。
ウルは「うるせぇよ」と返す。その耳がピクリと動き、視線が鋭く男たちの先に向かった。
冒険者の中にも「それ」に気付いたものはいた。
腰の引けているチンピラなのかわからない若者のゴブリンよりも、それ、の方が問題だ。
ウルは盾を使えるようにすると、エキルとラビトを引き寄せる。「それ」がどこにいるか、把握に努める。
「なんだ! 俺たちを無視するのか?」
男たちが吠える。
「いや、魔物がいるんだ。てめぇらにかまってる暇ねぇ」
男たちはウルの言葉を逃げるための口実だととらえかけたが、冒険者たちの真剣な顔に気付く。
そして、振り返ると「ぎゃあああああああああああああ、た、助けて!」と悲鳴を上げて、冒険者の方に来る。
ウルは「いや、俺に近づくな!」と言いながら、子どもたちを守りつつ、後退する。
エキルとラビトはウルや冒険者が守ってくれると理解しているため、状況に応じて動くため色々見ていた。
「キツネさんの尻尾を守らないと!」
「ねぇ、あの魔物、キツネだよね」
「尻尾でっかい!」
「顔もおっきい!」
「きもかわっていうんだっけ」
「きもかわー」
二人は叫んだ。ただ、ちょっと、楽しそう。
ウルが「ほんとだ、キツネの巨大な顔に尻尾か」と何とも言えない顔になった。
依頼人を守るという事だけでなく、魔物を放置すれば、カカオ農場への被害が出るかもしれないため、冒険者は臨戦態勢を整えるのだった。
ウル・ヘルバは、フィルエス大森林でカカオを育てたいエルフの子どもたち――エキルとラビトを連れて旅をしていた。蛇行もしているけれども、一番見てみたい、カカオを育てる現場に向かっている。
しかし、ゴールディの方にあるカカオ農場まであと少し、というところで、ウルは冒険者ギルドから注意喚起をもらう。
「帝国の方でゴブリンたちが暴れているとか、変な雰囲気になっているとかあります。ゴールディではどうかわかりませんので、お子さん連れていくなら気を付けた方がいいかもしれません」
情報不足はわかるし、ドン・ゴーフルがいる地ならば、情勢も違うだろう。元から注意は必要だったとしても、情報収集で寄ったギルドであえて言われたのは、より一層問題があるという事だろう。
宿を引き払う準備をしている現在が、ウルの決断の最後のタイミング。あとは、もう自力でどうにかする形になる、と捉えていた。
カカオ農場にあと少しで到着できる、と思いエキルとラビトはうきうきしている。なお、パンクリアース学園に行ったあと、そのまま旅を始めず、一度大森林に戻った。ウルのいう事を最後まで聞かず暴走する危険を避けたいため、二人の両親やグレイオンスに子どもたちを諭してもらうためだ。
地域の情勢など当時わかっていたことも教えたため、ウルの指示を守るようになった。
ウルが悩んでいる間に、準備が整ったため、
「キツネさん、出発できるよ」
「カカオ楽しみだよ!」
と、声がかかる。カカオ農場が見られるという楽しみと喜びで、エキルとラビトの目はキラキラしている。全身でその空気を醸し出す。
それを見て引き返すと言いづらい。そもそも、ゴールディでは暴徒がどうのって話は聞いていない。
一方で自分が二人を守ることができるかという、腕の微妙さもある。
「どしたの、キツネさん」
「昨日から悩んでるよね」
尻尾と耳を指す。ウル、表情はコントロールしても、耳と尻尾が感情に連動する傾向が強かった。
「……あ、うん、わかった! 冒険者雇う」
安全とここまでやって来たということを天秤にかけた結果だった。
ただ、説明をしていないから、エキルとラビトはきょとんとしていた。
●裏事情――愛を勝ち取るために
豪奢だけれども薄手の衣類を着、しどけなくソファに座る女は、
「ねぇ……キツネの毛皮が欲しい」
と、言った。
男は「わかった!」といい、物欲しそうな、なめるような視線を、女に向ける。
女は笑みを深くし、体勢を変える。
「もちろん、結果次第よ?」
男はゴクリと生唾を飲み込み、部屋を後にした。
キツネの毛皮。
彼女の気持ちを引き付けるには、もふもふで毛並みのよい毛皮が欲しい。
買うには高い。
お金がないならキツネが住んでいるところで狩りをするしかない。
毛が長いキツネならば気候的には寒いところに行かないとならないだろう。
ここで、男は我に返り「そんなに遠くまで行けるか?」と自問自答した。
仲がいい男に声を掛けると、「無理だろそんなところまで行くの」という。
「いい加減、あの女諦めればいいのに」
「いや、俺はあの人を振り向かせたい。ほしい物を言ってくれるなんて、俺は認められたんだって」
「いやいや……利用されているだけでは?」
二人は歩きながら話していた。
気づけば、農場とかある、街からは離れたところに来ていた。
目に入ったのは、もふもふのキツネの尻尾だった。
●裏事情――だって魔物だもの
魔物が来た理由はエーテルが欲しいから。
そこを選んだのは、生き物がいるから。
複雑なことはない、偶然、たどり着いただけ。
高さ140センチ、全長だと200センチくらいになるのだろうか。一見すると、茶色のもこもこ、ふさふさ、ふかふかな物体に見える。
巨大なキツネ風の顔にその半分くらいある、尻尾。顔に直接足や尻尾が生えたシンプルな形状。
ぴょこぴょこ跳ねるように歩き、獲物を見ると近づいてくる。
目の前には獲物がいる。
こちらに気付いていない、ゴブリンが――。
●カカオ農場に向かう道
ウルが冒険者を雇うといったとき、エキルとラビトに事情を話した。
カカオ農場に行けるならば問題ないため二人は快諾した。ウルがきちんと対応してくれているのだから、ありがたいと思っても拒否する必要がない内容なのだから。
さて、街で冒険者と合流し、カカオ農場に向かっていた。
「カカオ、カカオ」
小さな声で二人はリズムをとるように言い、踊るように歩いている。
「キツネさん、尻尾暑くない?」
不意に言われてウルは「いうのやめてくれ」とうめく。
エキルとラビトも、このような気候はそもそも初めて。暑さにばてそうだけれども、カカオへの愛や初めての場所への好奇心で乗り切っている面がある。そこに、好奇心として、ウルの尻尾に視線が行く。
「冬毛なんだよ、今!」
本当か嘘かわからないけれども、ウルの尻尾はふっくらしている。
「……それは大変だよね」
「今、いらない、キツネさんの尻尾」
蒸し暑い所での冷たい反応。
そんなこんなで一行の前に、ゴブリン二人が立ちふさがる。
「その、尻尾を置いていきな! そうすれば命はとらねぇからな」
「だめだよ! キツネさんの尻尾はボクたちのだよ」
「暑くて今は微妙だけど!」
腰引き気味の男にエキルとラビトがきっぱりと応戦する。
ウルは一瞬、相手と子どもたちが何言い合っているのか考えてしまった。
理解した瞬間、反論する。
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「キツネさん! これ、威を借るキツネ!」
「聞いたことあるよ!」
冒険者がいるからウルが強気に出てるとエキルとラビトが判断したらしい。
ウルは「うるせぇよ」と返す。その耳がピクリと動き、視線が鋭く男たちの先に向かった。
冒険者の中にも「それ」に気付いたものはいた。
腰の引けているチンピラなのかわからない若者のゴブリンよりも、それ、の方が問題だ。
ウルは盾を使えるようにすると、エキルとラビトを引き寄せる。「それ」がどこにいるか、把握に努める。
「なんだ! 俺たちを無視するのか?」
男たちが吠える。
「いや、魔物がいるんだ。てめぇらにかまってる暇ねぇ」
男たちはウルの言葉を逃げるための口実だととらえかけたが、冒険者たちの真剣な顔に気付く。
そして、振り返ると「ぎゃあああああああああああああ、た、助けて!」と悲鳴を上げて、冒険者の方に来る。
ウルは「いや、俺に近づくな!」と言いながら、子どもたちを守りつつ、後退する。
エキルとラビトはウルや冒険者が守ってくれると理解しているため、状況に応じて動くため色々見ていた。
「キツネさんの尻尾を守らないと!」
「ねぇ、あの魔物、キツネだよね」
「尻尾でっかい!」
「顔もおっきい!」
「きもかわっていうんだっけ」
「きもかわー」
二人は叫んだ。ただ、ちょっと、楽しそう。
ウルが「ほんとだ、キツネの巨大な顔に尻尾か」と何とも言えない顔になった。
依頼人を守るという事だけでなく、魔物を放置すれば、カカオ農場への被害が出るかもしれないため、冒険者は臨戦態勢を整えるのだった。
解説
●目的・目標
魔物の討伐。
恐喝者の対応。
●NPC
・ウル・ヘルバ
一応、エキルとラビトを守ることや、状況によって冒険者の後衛カバリングもすることはできる。
・エキル 10歳エルフ、女。とりあえず、カカオを育てたい。
現在は、危険地域だと理解し、好奇心は抑えつつ、ウルや冒険者のいう事をきちんと聞く。
・ラビト 10歳エルフ、男。とりあえず、カカオを育てたい。
エキルと基本同じ。
・キツネの尻尾を狙う悪党 2人
ウルの尻尾を狙ったけれども、魔物がいるのにビビる。
魔物には対抗できないし、脅したことを忘れて助けを求めに来る。
●敵情報
魔物×10
キツネと思われるデフォルメかかった巨大な顔兼胴体に尻尾、四本の足が生えている。
高さ140センチ、全長だと200センチ近い。
体当たりして来たり、尻尾を振り回したり、物理的な攻撃をしてくる。
もふもふな毛皮の影響か防御力は高そう。
なお、近づいている間に人間にばれたため、こっそりではなく、回り込んだりして、取り囲もうとしているようである。
●地理など
街の方から農場に向かう道の真ん中あたり。
道幅は3メートルほど。とはいえ、端の方は小さな草が元気よく生えている。
また、道の周りはそれなりに大きな元気な草が生えている。エキルとラビトが入ると、見つけづらいくらい。ところどころに大きく育った熱帯雨林で見そうな木も生えている。結果、見通しが利くようで利かない。
魔物は一行がいるあたりに向かい、農場方面の草むら近づいていた。
魔物と冒険者たちの位置は近接攻撃するには遠く、魔法はあと少しという感じ。
冒険者の初期位置はよほどでない限り、ウルたちの周りとなる。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
カカオ農場を目指すウルと子どもたち。ゴブリンがらみで事件も起こっているため、ウルは冒険者に依頼を出すことにしました。
魔物が出るのは想定内かもしれないけれども出てほしくはないし、尻尾狙われるのは想定外。
なお、魔物消えても毛皮がしっかり残るかは……。
よろしくお願いします。
リプレイ
●臨戦態勢へ
ストレガ・L・リベルガストラは「同胞、都合がいいのだ」と魔物を指差し盗賊まがいのことをした者たちに告げる。
「キツネの話をしていたが、アレを狩れば解決なのだ!」
盗賊まがいのことをしていたゴブリンたちは「えっ」と言って動きを止めた。
「怯えてひきつけてくれるとありがたいのだ」
ストレガが淡々と現状を告げると相手は「いやいや、無理」と声をそろえる。
エルはエキルとラビトのカカオを育てたいという気持ちにほんわかと寄り添っていた所に、護衛の仕事だと気持ちを切り替える。
状況が変化したうえ、強盗まがいの人たちの言うことがコロッと変わった。
「強盗、なのに、助けて、ほしい……?」
首をかしげる。都合がいいといえるし、魔物相手だから仕方がないのか。
何にせよ、一番重要なのはエキルとラビトを守ること。
「ウルさんとエルフさんたち、は、下がっていてもらえると、いい、と、思い、ます。強盗、も、邪魔、しないなら……」
妥協点だった。
ハリーヌ・ヨツユビは「ウル様、エキル様とラビト様をお守り願いたいでございます!」と言いながら、その近くに位置を取る。強盗を見ても特に表情は動かないが、内心舌打ちしたい状況。
「正直、死のうが生きようがどうでもよいのでございますが、ワタクシどもが疑われては困るでございますからね」
きちんと調査されれば魔物の影響とかわかるかもしれないが、どうなるかなんてわからない。
「ウル様の近くでじっととしているでございますよ!」
と、悪党たちに声を掛ける。こっちに来るかどうかはわからないけれども。
ウル・ヘルバは尻尾強盗のゴブリンに気は許すことはなく、エキルとラビトを守るべく、対応していく。
「ボクたちも頑張るよ!」
「こう見えても先生のところで一番強いんだから」
エキルとラビトが臨戦態勢を取っているため「無理すんなよ」とウルは声を掛け、盾と武器を構える。
サイラスはとりあえず、強盗まがいの者たちは構わない。考える頭があれば、どこかに行くか、助けを求めた冒険者の指示に従うだろう。
魔物を討伐することに集中する。依頼人はウルであり、エキルとラビトを守ることが重要だ。
【焔翼】で素早く前に出る。
「逃がすつもりはないし、こっちをボコる頭になってくれれば都合がいい」
他の者があのゴブリン二人をどうにかして、態勢を整える時間は十分あるだろう。
●魔物、討伐
エルはウルたちの少し前に立ち、弓に矢をつがえる。オオカミのウィルにはウルたちの方にいてもらう。その周りで何かあったときの対応はしやすくなるだろう。
魔物の動きから人間を囲みたいという事を感じ取れる。
「囲まれないように、気を付け、ます」
突出したサイラスに魔物は興味を持っているようなので、そこを軸に攻撃を考える。魔物に向かいグラヴィティボルトを放ち、行動を阻害することを試みた。命中はしたが毛皮が厚く、手ごたえが薄い気もした。
(攻撃、したら、毛皮、ダメにならない、かな……?)
ふと、心配になった。とはいえ、魔物を倒すことが優先であるため、疑問は心の片隅にその考えは押し込む。
ハリーヌは矢をつがえ魔物に対し【グラヴィティボルト】を放つ。動きを鈍らせ、状況に応じて範囲攻撃も考える。
ゴリラには前に出てもらい、単独またはハリーヌの攻撃に追撃でしてもらうつもりだ。
現在のところ、サイラスよりこちら側には魔物は来ていない。
なお、視界は敵を収めているが、音には意識を払う。もしこちらに来るような敵がいればすぐに対応できるように。
ストレガは魔物の移動を邪魔するように【重力場】を作る。次にどこに作るか考えておく。
「ところで、同胞たちよ、どうするつもりなのだ? 怯えながらでもエルフの子どもたちを守れ。子どもと協力して、前後左右を警戒し、キツネの方向を伝えよ。さすれば、先ほどの態度は不問に処す」
怒りを抑えた声音で告げる。
「未来のカカオ研究者を傷つけることは『ストレガ』が許さんのだ」
探究者の学舎の長として、ここまで来たエキルとラビトに何かあることは許せないことであった。
二人は魔物が怖いため、後方に下がる。逃げる可能性は――腰を抜かしているのでどうだろうか。
サイラスは【真殺界】で殺界を構築し、魔物の動きに注意を払う。
魔物たちはサイラスに攻撃を仕掛けたり、横を通り過ぎようとしていた。
「通さないぜ」
攻撃の及ぶ範囲にいる魔物に対し、サイラスの攻撃が加えられる。
攻撃を受けた魔物たちは、サイラスに対し抗議の声をあげ、向かってくる。
「想定している状況であるのは助かる」
さらに、重力場や後方の者たちの攻撃もあるため、全体的に魔物たちの行動は鈍いし、人間に向かうにはルートが限られるのだった。
魔物たちは冒険者に接敵を試みる。魔法や射撃の攻撃をしてくる様子はなかった。
そのため、サイラスを攻撃したり、その先で近くにいるゴリラに向かっていく。
サイラスは攻撃を受け「尻尾、ふかふかしてるが、結構重くて痛い」と感想。状況に応じて回復魔法を考えるが、まだその時ではない。
ストレガは「逃がさないよう、四肢を攻撃して足止めし、とどめをさせれればいいのだ」というが、ちょっと疑問形だった。魔物たちの足は対峙すると見づらいと気づいた。
後衛で魔物の全体が見えやすいエルとハリーヌが、
「一応、胴体の下に、足が、一応あるみたい、です」
「狙いづらいでございますね」
という。サイラスは接敵しており、「顔と尻尾で胴体はあるが、足ってどこだ」というほどだった。
「キツネ……なのだ?」
思わず違う疑問が生じる、魔物の形状だった。
さて、そういうことを話しつつも、攻撃の手は休めることはない。
ハリーヌとエルは敵の状況から範囲で攻撃を仕掛ける。放たれた矢は炸裂し、光となり周囲に影響を出した。
ストレガは【重力場】を築いて、敵の動きを抑制する。サイラスは範囲で攻撃をするように心がけた。
魔物たちの毛皮が厚いのは、ひょっとしたら何か残るのではという期待も生じさせる。
しかし、重なった攻撃により倒れた魔物はぷしゅという音を立ててしぼんでいく。
腐敗した匂いと、液体が地面に広がる。毛は残った。
動けている魔物たちは「やらなきゃやられる」という意識が強くなったようにうかがえた。サイラスや、ゴリラに攻撃をする。別の人たちも狙いたいところだが、進みは遅かった。
エルは「中身だけが、消えた、のでしょうか」と思うが、狩猟の知識を持って調べるにも、まずは敵を討伐しないと難しい。矢をつがえ【炸光矢2】を放った。
ハリーヌは「敵の動きがどうなるか注視でございます」という。体制を立て直すために逃げる可能性もあった。護衛という事を考えれば、深追いはしない。ただし、カカオ農場の方に逃げるならば、追い討伐をすることは必須だ。こちらに向いている個体もいるため【グラヴィティボルト】を放ち、ゴリラに追撃させた。
ストレガは「こちらに来るならこうなのだ」と【メテオライト】で攻撃する。
サイラスは魔物が周りにいることを考え【刺築】でまとめて攻撃する。
冒険者が奮闘する中、後方で待機するウルはエキルとラビト、こっちに来た尻尾狙いの二人連れをうかがう。守るのはエキルとラビト、ゴブリンたちは守らないが逃がすつもりはなかった。
冒険者と魔物の攻防はしばらくすると、冒険者優位で終わった。
●対処をどうすべきか
ストレガが地面にしみ込んだものを見て「これは……うむ、掃除する必要はあるのだ?」という状況だ。毛皮はどうなのか一応確認するが、毛は残るけれども、皮はボロボロである。
「これは残念なお知らせなのだ。残れば内臓を出し、皮の尻尾を剥ぐこともできたのだ……肥料にでもなってくれるといいのだ」
実用的に考えていた。
サイラスも残った物を観察し、取れそうなのは、毛と膜のように残る皮だった。採取しながらも、尻尾狙い強盗のゴブリンたちには注意していた。
ゴブリンたちは立ち去ろうとしているため、ストレガが鋭く声かける。
「待つのだ。ウル殿と子どもたちに謝るのだ」
ハリーヌの鼻が怒りを表すようにヒクヒク動く。
「他人を襲うということは、返り討ちも覚悟のうえでございましょうね?」
ゴブリンたちはちょうど冒険者たちに囲まれる状態になる。
手薄そうなのはウルがいるあたりだけれども、ちびエルフたちが武術の心得があるような構えを見せている。ウルがそもそも、武器をしまっていない。ゴリラが立ちふさがりオオカミが威嚇する。
意外と、手薄じゃないのかもしれない。
ゴブリンたちは「……すんません」とヘコッと頭を下げた。
ウルが「軽いなぁ」といい、一応武器はしまった。
エルは「毛皮ほしいなら、対価、を、もらうとか? 情報とか?」と提案を出すが、散らばっている物を見て「毛皮でなくて、毛ですが、集めれば、何か、できます?」と考える。
「こいつらにやるの? 対価あれば……まぁいいか?」
サイラスはゴブリンたちを見て、依頼主のウルに視線を向けた。
エルが「でも、なぜ、毛皮?」と疑問を口にした。
ハリーヌも背景を聞く態勢になる。
「しかるべき所に突き出しても構わないでございますが、一応、ウル様を狙った理由を聞くでございます」
ゴブリンが気になる彼女に毛皮を贈りたいというむねを話した。
「その女は強欲でございますね。きっとキリがないでございますよ。この調子では女を手に入れる前に、ソチラが命を落とすでございましょうね」
「欲が尽きるわけなし。あんたは自分の恋愛妄想のためなら何やっても問題ないって思った? とりあえず、恋愛感情ってやはり世界一不要なゴミだよなぁ」
サイラスが威圧感をもってゴブリンたちに立ちはだかる。
「魔物の残骸から素材得られるけれども、毛皮はなさそうだ。そうなると、おれの護衛対象の一部が欲しいわけだよね? つまり、敵だろ? 見逃すわけにはいかないなぁ。それに、次の犯罪が起きる前につぶそうか」
「そうでございますね」
ハリーヌも応じた。
ゴブリンたちは怯える。
「ごごごごめんなさい」
「お、おれはこいつに付き合っただけだ」
サイラスは「いや、付き合った時点で同罪だろ?」と威圧感をかける。
ウルは渋面だ。
「見逃すのもなぁ……俺よりも、弱い奴来たら、こいつらに殺されかねねぇよなぁ」
エルもウルの心配が理解でき「そう、なりそうです、ね」とうなずく。
ゴブリンたちは心の底から謝る状況も見えないし、ほとぼりが冷めて何かあっても困る。
ウルは「突き出す、で」と告げた。
反省の色が見えないのだから、妥当な状況だった。
これにより冒険者たちは行動が定まる。
ストレガは「ゴールディへようこそ、カカオ研究者よ」とエキルとラビトに声を掛けた。
「そうだよ!」
「カカオ師匠もいるよ!」
「ようやく来たんだよ!」
「時間が来ちゃうよ!」
二人は騒ぐ。カカオ農場訪問時間が迫っているのだ。
ウルは「二手に分かれるという事でいいか?」と冒険者に提案する。ここから農場まであと少しだ。悪党たちを放置していくわけにも連れていくものどうだろうとなる。
ゴブリンたちをしかるべきところに突き出した後、農場で合流することも可能だ。
エルは「カカオ、を、育てたい……やりたいことがあるって、いい、ですね」とエキルとラビトに言う。
「うん」
「チョコレートたくさん作るんだよ」
「そうすれば、一杯プレゼントできるんだ」
「おじいさんにも、キツネさんにも、冒険者の人にも!」
エルは「素敵な、こと、です」とうなずいた。
サイラスが「で、どう分かれる?」と問う。そして、冒険者たちは簡単に話し合い、行動を決めた。
「見物が終わったら、チョコレートファウンテンも楽しめるでございますよ」
ハリーヌは持参のチョコレートファウンテンを見て「チョコの山?!」や「チョコすごいよ!」と口々にエキルとラビトが言う。さらに、喜びのハグをハリーヌにしようとして、両手を広げた態勢で固まり、とりあえず、ウルに勢いよく飛びついておく。
ハリーヌは「喜んでいただけたのは幸いでございます」と言い、ウルは「そこは冷静かよ……」と咳き込んだ。
悪党はしかるべきところに突き出し、お灸をすえてもらう。
エキルとラビトは、無事カカオ農場見物をすることができるのだった。
フィルエス大森林との気候の違いを肌で感じる体験だったことは間違いなかった。
ストレガ・L・リベルガストラは「同胞、都合がいいのだ」と魔物を指差し盗賊まがいのことをした者たちに告げる。
「キツネの話をしていたが、アレを狩れば解決なのだ!」
盗賊まがいのことをしていたゴブリンたちは「えっ」と言って動きを止めた。
「怯えてひきつけてくれるとありがたいのだ」
ストレガが淡々と現状を告げると相手は「いやいや、無理」と声をそろえる。
エルはエキルとラビトのカカオを育てたいという気持ちにほんわかと寄り添っていた所に、護衛の仕事だと気持ちを切り替える。
状況が変化したうえ、強盗まがいの人たちの言うことがコロッと変わった。
「強盗、なのに、助けて、ほしい……?」
首をかしげる。都合がいいといえるし、魔物相手だから仕方がないのか。
何にせよ、一番重要なのはエキルとラビトを守ること。
「ウルさんとエルフさんたち、は、下がっていてもらえると、いい、と、思い、ます。強盗、も、邪魔、しないなら……」
妥協点だった。
ハリーヌ・ヨツユビは「ウル様、エキル様とラビト様をお守り願いたいでございます!」と言いながら、その近くに位置を取る。強盗を見ても特に表情は動かないが、内心舌打ちしたい状況。
「正直、死のうが生きようがどうでもよいのでございますが、ワタクシどもが疑われては困るでございますからね」
きちんと調査されれば魔物の影響とかわかるかもしれないが、どうなるかなんてわからない。
「ウル様の近くでじっととしているでございますよ!」
と、悪党たちに声を掛ける。こっちに来るかどうかはわからないけれども。
ウル・ヘルバは尻尾強盗のゴブリンに気は許すことはなく、エキルとラビトを守るべく、対応していく。
「ボクたちも頑張るよ!」
「こう見えても先生のところで一番強いんだから」
エキルとラビトが臨戦態勢を取っているため「無理すんなよ」とウルは声を掛け、盾と武器を構える。
サイラスはとりあえず、強盗まがいの者たちは構わない。考える頭があれば、どこかに行くか、助けを求めた冒険者の指示に従うだろう。
魔物を討伐することに集中する。依頼人はウルであり、エキルとラビトを守ることが重要だ。
【焔翼】で素早く前に出る。
「逃がすつもりはないし、こっちをボコる頭になってくれれば都合がいい」
他の者があのゴブリン二人をどうにかして、態勢を整える時間は十分あるだろう。
●魔物、討伐
エルはウルたちの少し前に立ち、弓に矢をつがえる。オオカミのウィルにはウルたちの方にいてもらう。その周りで何かあったときの対応はしやすくなるだろう。
魔物の動きから人間を囲みたいという事を感じ取れる。
「囲まれないように、気を付け、ます」
突出したサイラスに魔物は興味を持っているようなので、そこを軸に攻撃を考える。魔物に向かいグラヴィティボルトを放ち、行動を阻害することを試みた。命中はしたが毛皮が厚く、手ごたえが薄い気もした。
(攻撃、したら、毛皮、ダメにならない、かな……?)
ふと、心配になった。とはいえ、魔物を倒すことが優先であるため、疑問は心の片隅にその考えは押し込む。
ハリーヌは矢をつがえ魔物に対し【グラヴィティボルト】を放つ。動きを鈍らせ、状況に応じて範囲攻撃も考える。
ゴリラには前に出てもらい、単独またはハリーヌの攻撃に追撃でしてもらうつもりだ。
現在のところ、サイラスよりこちら側には魔物は来ていない。
なお、視界は敵を収めているが、音には意識を払う。もしこちらに来るような敵がいればすぐに対応できるように。
ストレガは魔物の移動を邪魔するように【重力場】を作る。次にどこに作るか考えておく。
「ところで、同胞たちよ、どうするつもりなのだ? 怯えながらでもエルフの子どもたちを守れ。子どもと協力して、前後左右を警戒し、キツネの方向を伝えよ。さすれば、先ほどの態度は不問に処す」
怒りを抑えた声音で告げる。
「未来のカカオ研究者を傷つけることは『ストレガ』が許さんのだ」
探究者の学舎の長として、ここまで来たエキルとラビトに何かあることは許せないことであった。
二人は魔物が怖いため、後方に下がる。逃げる可能性は――腰を抜かしているのでどうだろうか。
サイラスは【真殺界】で殺界を構築し、魔物の動きに注意を払う。
魔物たちはサイラスに攻撃を仕掛けたり、横を通り過ぎようとしていた。
「通さないぜ」
攻撃の及ぶ範囲にいる魔物に対し、サイラスの攻撃が加えられる。
攻撃を受けた魔物たちは、サイラスに対し抗議の声をあげ、向かってくる。
「想定している状況であるのは助かる」
さらに、重力場や後方の者たちの攻撃もあるため、全体的に魔物たちの行動は鈍いし、人間に向かうにはルートが限られるのだった。
魔物たちは冒険者に接敵を試みる。魔法や射撃の攻撃をしてくる様子はなかった。
そのため、サイラスを攻撃したり、その先で近くにいるゴリラに向かっていく。
サイラスは攻撃を受け「尻尾、ふかふかしてるが、結構重くて痛い」と感想。状況に応じて回復魔法を考えるが、まだその時ではない。
ストレガは「逃がさないよう、四肢を攻撃して足止めし、とどめをさせれればいいのだ」というが、ちょっと疑問形だった。魔物たちの足は対峙すると見づらいと気づいた。
後衛で魔物の全体が見えやすいエルとハリーヌが、
「一応、胴体の下に、足が、一応あるみたい、です」
「狙いづらいでございますね」
という。サイラスは接敵しており、「顔と尻尾で胴体はあるが、足ってどこだ」というほどだった。
「キツネ……なのだ?」
思わず違う疑問が生じる、魔物の形状だった。
さて、そういうことを話しつつも、攻撃の手は休めることはない。
ハリーヌとエルは敵の状況から範囲で攻撃を仕掛ける。放たれた矢は炸裂し、光となり周囲に影響を出した。
ストレガは【重力場】を築いて、敵の動きを抑制する。サイラスは範囲で攻撃をするように心がけた。
魔物たちの毛皮が厚いのは、ひょっとしたら何か残るのではという期待も生じさせる。
しかし、重なった攻撃により倒れた魔物はぷしゅという音を立ててしぼんでいく。
腐敗した匂いと、液体が地面に広がる。毛は残った。
動けている魔物たちは「やらなきゃやられる」という意識が強くなったようにうかがえた。サイラスや、ゴリラに攻撃をする。別の人たちも狙いたいところだが、進みは遅かった。
エルは「中身だけが、消えた、のでしょうか」と思うが、狩猟の知識を持って調べるにも、まずは敵を討伐しないと難しい。矢をつがえ【炸光矢2】を放った。
ハリーヌは「敵の動きがどうなるか注視でございます」という。体制を立て直すために逃げる可能性もあった。護衛という事を考えれば、深追いはしない。ただし、カカオ農場の方に逃げるならば、追い討伐をすることは必須だ。こちらに向いている個体もいるため【グラヴィティボルト】を放ち、ゴリラに追撃させた。
ストレガは「こちらに来るならこうなのだ」と【メテオライト】で攻撃する。
サイラスは魔物が周りにいることを考え【刺築】でまとめて攻撃する。
冒険者が奮闘する中、後方で待機するウルはエキルとラビト、こっちに来た尻尾狙いの二人連れをうかがう。守るのはエキルとラビト、ゴブリンたちは守らないが逃がすつもりはなかった。
冒険者と魔物の攻防はしばらくすると、冒険者優位で終わった。
●対処をどうすべきか
ストレガが地面にしみ込んだものを見て「これは……うむ、掃除する必要はあるのだ?」という状況だ。毛皮はどうなのか一応確認するが、毛は残るけれども、皮はボロボロである。
「これは残念なお知らせなのだ。残れば内臓を出し、皮の尻尾を剥ぐこともできたのだ……肥料にでもなってくれるといいのだ」
実用的に考えていた。
サイラスも残った物を観察し、取れそうなのは、毛と膜のように残る皮だった。採取しながらも、尻尾狙い強盗のゴブリンたちには注意していた。
ゴブリンたちは立ち去ろうとしているため、ストレガが鋭く声かける。
「待つのだ。ウル殿と子どもたちに謝るのだ」
ハリーヌの鼻が怒りを表すようにヒクヒク動く。
「他人を襲うということは、返り討ちも覚悟のうえでございましょうね?」
ゴブリンたちはちょうど冒険者たちに囲まれる状態になる。
手薄そうなのはウルがいるあたりだけれども、ちびエルフたちが武術の心得があるような構えを見せている。ウルがそもそも、武器をしまっていない。ゴリラが立ちふさがりオオカミが威嚇する。
意外と、手薄じゃないのかもしれない。
ゴブリンたちは「……すんません」とヘコッと頭を下げた。
ウルが「軽いなぁ」といい、一応武器はしまった。
エルは「毛皮ほしいなら、対価、を、もらうとか? 情報とか?」と提案を出すが、散らばっている物を見て「毛皮でなくて、毛ですが、集めれば、何か、できます?」と考える。
「こいつらにやるの? 対価あれば……まぁいいか?」
サイラスはゴブリンたちを見て、依頼主のウルに視線を向けた。
エルが「でも、なぜ、毛皮?」と疑問を口にした。
ハリーヌも背景を聞く態勢になる。
「しかるべき所に突き出しても構わないでございますが、一応、ウル様を狙った理由を聞くでございます」
ゴブリンが気になる彼女に毛皮を贈りたいというむねを話した。
「その女は強欲でございますね。きっとキリがないでございますよ。この調子では女を手に入れる前に、ソチラが命を落とすでございましょうね」
「欲が尽きるわけなし。あんたは自分の恋愛妄想のためなら何やっても問題ないって思った? とりあえず、恋愛感情ってやはり世界一不要なゴミだよなぁ」
サイラスが威圧感をもってゴブリンたちに立ちはだかる。
「魔物の残骸から素材得られるけれども、毛皮はなさそうだ。そうなると、おれの護衛対象の一部が欲しいわけだよね? つまり、敵だろ? 見逃すわけにはいかないなぁ。それに、次の犯罪が起きる前につぶそうか」
「そうでございますね」
ハリーヌも応じた。
ゴブリンたちは怯える。
「ごごごごめんなさい」
「お、おれはこいつに付き合っただけだ」
サイラスは「いや、付き合った時点で同罪だろ?」と威圧感をかける。
ウルは渋面だ。
「見逃すのもなぁ……俺よりも、弱い奴来たら、こいつらに殺されかねねぇよなぁ」
エルもウルの心配が理解でき「そう、なりそうです、ね」とうなずく。
ゴブリンたちは心の底から謝る状況も見えないし、ほとぼりが冷めて何かあっても困る。
ウルは「突き出す、で」と告げた。
反省の色が見えないのだから、妥当な状況だった。
これにより冒険者たちは行動が定まる。
ストレガは「ゴールディへようこそ、カカオ研究者よ」とエキルとラビトに声を掛けた。
「そうだよ!」
「カカオ師匠もいるよ!」
「ようやく来たんだよ!」
「時間が来ちゃうよ!」
二人は騒ぐ。カカオ農場訪問時間が迫っているのだ。
ウルは「二手に分かれるという事でいいか?」と冒険者に提案する。ここから農場まであと少しだ。悪党たちを放置していくわけにも連れていくものどうだろうとなる。
ゴブリンたちをしかるべきところに突き出した後、農場で合流することも可能だ。
エルは「カカオ、を、育てたい……やりたいことがあるって、いい、ですね」とエキルとラビトに言う。
「うん」
「チョコレートたくさん作るんだよ」
「そうすれば、一杯プレゼントできるんだ」
「おじいさんにも、キツネさんにも、冒険者の人にも!」
エルは「素敵な、こと、です」とうなずいた。
サイラスが「で、どう分かれる?」と問う。そして、冒険者たちは簡単に話し合い、行動を決めた。
「見物が終わったら、チョコレートファウンテンも楽しめるでございますよ」
ハリーヌは持参のチョコレートファウンテンを見て「チョコの山?!」や「チョコすごいよ!」と口々にエキルとラビトが言う。さらに、喜びのハグをハリーヌにしようとして、両手を広げた態勢で固まり、とりあえず、ウルに勢いよく飛びついておく。
ハリーヌは「喜んでいただけたのは幸いでございます」と言い、ウルは「そこは冷静かよ……」と咳き込んだ。
悪党はしかるべきところに突き出し、お灸をすえてもらう。
エキルとラビトは、無事カカオ農場見物をすることができるのだった。
フィルエス大森林との気候の違いを肌で感じる体験だったことは間違いなかった。
マスターコメント
ご参加ありがとうございます。
カカオ農場の見物だけでなく、気候の違いも体感するし、情勢のあれやこれやも知る旅となっています。皆さまの協力あっての旅。さすがに、エキルとラビトもいう事を聞くべきところは聞くような分別もつきました。
カカオツアーは大森林の外を知るツアーです。この後、どこに行くのかは……。
ご縁があればお会いしましょう。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜6人
2022年11月29日 22時10分15秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
No.1
サイラスだ、まだ揃ってないがよろしくなー とりあえず避難させるなら囲まれる前に引き離すが理想だなー。近接しかなさそうだし殺界で捕まえればそれなりにいけそうだよねと 恐喝者?威圧でもする?多分これ仕留めた魔獣の毛皮要求してきそうよな、自分達が何やったか忘れて
エル、です。…シューター、です。 どうぞ、よろしく。 そう、ですね。 ウルさんとエルフさんたち、は、さがっていてもらえるといい、と、思う、ので。 魔物、は、引き付けるか足止めするか、できるといい、です、ね。 わたし、は、どっちも難しい、です、けど。 攻撃、したら、毛皮、ダメになるかも、ですし…?
まだ、人数、足りてません、けど…。 とりあえず、取り囲もうとしてくる敵から攻撃する感じで、書いてみます、ね。
No.4
さて埋まるかわからんが突撃して殺界で捕まえられそうなら捕まえて殴ろかと。
ストレガなのだ。宜しくなのだ。 埋まるかはわからんがアーケインで足止めして狩るのだ。なるべく傷を少なく倒すのだ。
ギリギリの参加で失礼するでございます! ワタクシはゴリラを連れて行くでございます。 完全に取り囲まれる前に狩りたいでございますね。
囲まれる心配があったからまず壁で護衛対象を守ることにするのだ。 あとは近づいてきたやつから攻撃するのだ。