【豊穣】割り立てのカボチャを味わおう!
夜月天音
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シナリオID:2530
オープニング
快晴の朝、エラトゥーン都市同盟南東、ベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』も収穫祭で賑わっていた。
「テリーズ・トラ・トリュース! カボチャ割りに挑戦しませんか!」
「収穫祭のために仕入れたカボチャですよ! その名も『スイーツカボチャ』!」
「品種改良に挑戦している農家さんが生み出した試作品です。大きさにばらつきがあって皮は鉄並みのかたさだが、中身は柔らかくて味はお菓子のように甘く生食を楽しめます!」
「見事に割る事に成功したお客様に、割ったカボチャで作った料理を1品無料で味わって貰ってます!」
「割ったカボチャで、スープにプリンにタルトにケーキにサラダに……何でも作るよ!!」
種族様々の美男美女の店員が店先で、カボチャを手に持ちながら声高らかに店の収穫祭イベントを宣伝していた。
「いかかがですか? 屋外でカボチャ割りに挑戦して頂き、屋内でゆっくりとカボチャ料理を味わってみませんか?」
説明を終えた店員達は、最高の笑顔で足を止めた人達にカボチャを差し出した。
続々と興味を持った者達がカボチャ割りに挑戦を始めた。
その模様とは、
「いやぁぁ、アタシのお気に入りの包丁が曲がるなんて」
「くそぉお、俺の槌でも割れないか。手が痺れて動かねぇ」
「もう少し切れ味を鋭くするか重量を上げれば、いけるか? 弱点というか割りやすい所が見抜けたらな」
「叩きつけても傷もつかない。普通のカボチャみたいに熱したら、刃とか入りやすくなるかな。鉄並みなら時間はかかるかもだけど」
振り下ろした武器や道具が曲がったり折れたり砕けたり手が痺れたりと、悪戦苦闘であった。
一方。
「あまぁあい、蕩けちゃいそう」
「こんなに甘いカボチャ初めて、色もオレンジで可愛いし」
「カボチャ嫌いだったけど、これなら食べられる」
「カボチャは甘くて美味しいけど、料理人の腕もいいのもあるわ」
店内からは、スイーツカボチャの甘さに蕩ける声で賑わっていた。
「テリーズ・トラ・トリュース! カボチャ割りに挑戦しませんか!」
「収穫祭のために仕入れたカボチャですよ! その名も『スイーツカボチャ』!」
「品種改良に挑戦している農家さんが生み出した試作品です。大きさにばらつきがあって皮は鉄並みのかたさだが、中身は柔らかくて味はお菓子のように甘く生食を楽しめます!」
「見事に割る事に成功したお客様に、割ったカボチャで作った料理を1品無料で味わって貰ってます!」
「割ったカボチャで、スープにプリンにタルトにケーキにサラダに……何でも作るよ!!」
種族様々の美男美女の店員が店先で、カボチャを手に持ちながら声高らかに店の収穫祭イベントを宣伝していた。
「いかかがですか? 屋外でカボチャ割りに挑戦して頂き、屋内でゆっくりとカボチャ料理を味わってみませんか?」
説明を終えた店員達は、最高の笑顔で足を止めた人達にカボチャを差し出した。
続々と興味を持った者達がカボチャ割りに挑戦を始めた。
その模様とは、
「いやぁぁ、アタシのお気に入りの包丁が曲がるなんて」
「くそぉお、俺の槌でも割れないか。手が痺れて動かねぇ」
「もう少し切れ味を鋭くするか重量を上げれば、いけるか? 弱点というか割りやすい所が見抜けたらな」
「叩きつけても傷もつかない。普通のカボチャみたいに熱したら、刃とか入りやすくなるかな。鉄並みなら時間はかかるかもだけど」
振り下ろした武器や道具が曲がったり折れたり砕けたり手が痺れたりと、悪戦苦闘であった。
一方。
「あまぁあい、蕩けちゃいそう」
「こんなに甘いカボチャ初めて、色もオレンジで可愛いし」
「カボチャ嫌いだったけど、これなら食べられる」
「カボチャは甘くて美味しいけど、料理人の腕もいいのもあるわ」
店内からは、スイーツカボチャの甘さに蕩ける声で賑わっていた。
解説
喫茶店の軒先で開催されているカボチャ割に挑戦して、割ったカボチャを使った料理が1品無料になりますので、賑やかに過ごしてみて下さい。
【喫茶店『エヴァブルー』について】
新鮮野菜と果物を使った料理が自慢。
食事、デザート、百合茶、ジュース、酒まで種類豊富に扱っています。
従業員は土地柄もあってか種族は様々ですが、皆美男美女です。
本日は収穫祭のイベントとして、屋外でカボチャ割りが催され、屋内では割ったカボチャを使った料理の提供をしています。
【スイーツカボチャについて】
農家の品種改良によって生み出された試作品のカボチャ。
大きさにばらつきはありますが、お菓子のように甘く生食を楽しめます。
中身は柔らかいが鉄のように皮が頑丈です。
普通の包丁では皮を処理するのは難しいですが、鍛えぬいた武器や技であれば何とか出来るかと思います。
※活動時間やこういう冒険者や従業員と交流したいや楽しみたいカボチャ料理や飲み物など、希望などがありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※活動時間は朝~夜までになります。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
喫茶店でカボチャ割って美味しいカボチャ料理をのんびりと収穫祭のひとときを満喫して頂けたらと思います。
リプレイ
快晴の朝、エラトゥーン都市同盟南東、収穫祭の賑やかさに包まれるベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』。
店先で店員達がスイーツカボチャの宣伝を大袈裟に響かせる中。
「ふ~ん? 硬いかぼちゃ? 鉄みたいな硬さの皮? 流石に大袈裟過ぎないかしら?」
デイジー・ロックウェルは、大袈裟な宣伝に眉をひそめるが、
「ま、せっかくだから、挑戦してみようかしら」
興味から足を止めた。
「……お菓子のように甘いスイーツカボチャか」
甘い物が好きとあってか、興味を示すサイラス。
「へぇ、カボチャ割りかぁ、何か楽しそー! しかも皮が鉄みたいに硬いとか! 割り甲斐がありそう! みんな、どうやって割るんだろー! 色んな大きさのカボチャが沢山!」
宣伝を聞いて胸をワクワクさせたネロは、参加のために足を止めるだけでなく群がる見物客達の間を潜り抜け最前列を陣取り、店員達の手にある大きさ様々のスイーツカボチャに目を輝かせた。
「……カボチャは野菜なのにスイーツとの相性抜群ですが、それがお菓子のように甘いと聞いては参加しないわけもないですねぇ」
関心を示すギーゼラ。何せ甘党でお菓子が大好きなので。
誰よりも早く動いたのは、
「包丁貸してもらえるかしら?」
デイジーだ。
「カボチャはこれでいいわ」
店員から包丁を借りてから適当な大きさのスイーツカボチャを選ぶ。
そして、
「はぁぁあ!!」
デイジーは、幾度もスイーツカボチャに勢いよく包丁を振り下ろした。
だが、
「はぁ、はぁ、何よコレ……ホントに硬いわね」
包丁は何の役にも立たず、ただデイジーの息が切れるだけであった。
「わぁ、本当に硬いんだぁ」
ネロは、スイーツカボチャのあまりの硬さに声を上げた。
「やはりただの包丁では無理か」
改めてスイーツカボチャの硬さを知ったサイラスは、
(熱を入れるのは時間掛かるし、調理の時アレだし、現行の最高火力試しもあるし)
カボチャ割りの手順をあれこれと思考する。
「なかなか手強そうですねぇ」
近くにいたギーゼラがサイラスの言葉に頷いた。
(最高のカボチャスイーツをタダで味わえると知ったからには参加辞退は無しですが、さてどうしましょうか)
同じくスイーツカボチャの割り方を模索しながら。
「……包丁を返すわ」
呼吸を落ち着かせたデイジーは包丁を店員に返し、
「本気を出させて貰うわね」
自分の武器であるダマスカス鋼の大太刀に持ち替えた。
「弱点は、と」
デイジーは、スイーツカボチャを手でコンコンと叩いた。
「さすが、鉄なみの皮ね、響きが悪いわ。ここは思いっきり……」
手ではあまり音が跳ね返らないため、役に立つ道具を探してきょろり。
「看板! そこの看板を少し借りるわよ」
デイジーは立っている喫茶店の案内板に目を留め手に取り、
「皮の薄い所は……」
力一杯スイーツカボチャのあちこちを叩き回しては、優れた超聴覚で跳ね返る音を聞き分けて刃が入りそうな場所を探す。
「……違う」
慎重に。
周囲の人達が固唾を飲んで見守る中、
「ここね!」
ついに、見つけた。デイジーの顔が不敵に歪んだ。
案内板を元の場所に戻してから、スイーツカボチャを弱点の位置を真上に置く。
「みんな、危ないから下がっていて」
見回る皆を下がらせてから、
「よし、斬るわよ」
大太刀を勢いよく振りかぶり、
「はぁぁぁあ!!」
研ぎ澄まされた一撃、鋭旋牙を鋭く繰り出した。
「割れぇぇぇ!!」
周囲の人達がデイジーのやる気に当てられ、あつい声援を発する。
「割っちゃえぇ!!」
ネロもまた皆に混じって絶賛応援中だ。
周囲の応援を受けて振り下ろした大太刀は、見事にスイーツカボチャを捉えた。
「あは、ちょっとやり過ぎたかしら?」
結果、スイーツカボチャは綺麗にぱっくりと切断。やっちまったとデイジーの額から汗がたらり。
「わぁあ、綺麗に真っ二つ! すごぉい!」
ネロが拍手と共に感嘆を送った。
「ふふふ、ありがとうね!」
デイジーは笑顔で礼を言ってから、スイーツカボチャを店員に託して店内へ。
「見事な腕前だったな」
サイラスは感心を口にした後、
「さて、挑むとするか」
見学をやめてカボチャ割りに本腰を入れる。どうやら手立てが整ったようだ。
「これにしよう」
サイラスは、速やかに選んだスイーツカボチャを手に取り、
(下手が一番硬いのでそこからずれた位置を選ぼう。刃先だけ入れない様に……どこがいいか)
切れそうな所を見極めていく。
程なくして、
「……ここだな」
サイラスは見つけた。
(反撃とか考慮が不要の相手、気にせず火力だけを試すとしよう……)
いざ、自身が打った刀である風雷坊を構えた。
瞬間、
「うぉっと、いてぇぇ」
「かてぇなぁ」
「無理だろ、これ」
デイジーの勢いについて行こうとスイーツカボチャと睨めっこをしていた挑戦者達が挑むも技術が足りないのか悉く武器は通らない。それどころか腕を痛めたり怪我をする者もいたり。
「怪我をしていますねぇ」
ギーゼラが現れた。
「治してあげられる?」
ネロがひょこっと様子を見に来た。
「大丈夫ですよぉ」
と言ってギーゼラはヒール3で怪我を癒し、
「これで後日痛める事もなく、痺れも良くなるはずです」
ハイパーヒーリングオーラを使い痺れを癒した。
癒された人達が礼を口々に言いだすと、
「フフフフフ、お礼なんていいですよぉ! 癒すのはヒーラーとして当然の事ですので!」
ギーゼラはにこにこと笑顔で返した。
「良かったねぇ」
ネロも癒された人達に笑い掛けた。
丁度その時、
「うぉぉぉぉ!!」
流血の詩により理性を持ちながらも狂気を纏ったサイラスが咆哮と共に、集中力と物理攻撃7による攻撃力アップも加わった最大火力となった鋭く力強い一撃千鳥雷切を放つ。
「わぁ、雷みたいに速い!」
稲妻それさえも叩き斬るが如く素早い一撃に感嘆するネロ。
放たれた刃は、見事にスイーツカボチャを捉え、
「……よし」
見事に叩き斬った。
だが、サイラスの胸に残るは、
「割れたのはいいが、記念品の刀で何やってるんだろうなぁ。火力自慢もアレだ、戦闘本業の冒険者として売り込むなら兎も角鍛冶屋が誇ることでも無いし」
何とも言えぬ思い。
(まあとりあえずこれから自分用に作るのが剣だろうが刀だろうが槍だろうが、切れ味のデータとかにはなるから損では無いだろう)
少しも刃こぼれをしていない刀を見やる。何はともあれ、得る物はあったようだ。
「……デザートでも楽しむか。そのために来たのだからな」
サイラスは、気持ちを切り替えて甘味を楽しむ事に決め、店員に割れたスイーツカボチャを託して店内へ。
「さて、治療も終わりましたし、華麗にカボチャを割って、僕のスイーツへの情熱を見せつけてやりましょうか」
敗退者の治療を終えたギーゼラがやる事は、ただ1つだ。甘味大好きという思いに身を委ねる。
「頑張ってね! 僕も頑張るよ!」
ネロは声援を送ると共にきりりとやる気の顔を浮かべた。
「えぇ、お互いに頑張りましょう」
ギーゼラは穏やかにネロの武運を願ってから、戦場へ。
「カボチャはこれにしましょうか!」
ギーゼラが良さげなスイーツカボチャを選んでから、
「武器は……」
手にしたのは、新品で消毒済みの竜石の祭刀だ。
「敵の血で汚れた武器で大切なカボチャを切るわけにはいきませんからねぇ!」
スイーツを食べる気満々なのは、見るからにである。
「切る位置は……」
持てる調理の知識をフルに使い、探りを入れる。
しばらくして、
「ここなら……」
刃を入れる位置を決めた。
「手を抜くのはカボチャに失礼というもの」
輝腕3により明敏となった知覚はスイーツカボチャをしっかりと捉え、輝刃3で祭刀の刃を淡く透明な光で包み攻撃性能を強化する。
準備が万全に整った所で、
「綺麗に真っ二つです!」
狙いどころに向かって、痛烈な一撃ディバインストライクを叩き込んだ。
「本当に真っ二つだぁ!」
ネロが驚く中、眩く光り輝く刃は見事にスイーツカボチャにトドメをさした。
「フフフフフ、これならば最高のスイーツが完成するはず!」
割れたスイーツカボチャを見るギーゼラが思うは、カボチャのスイーツの事。
ギーゼラはスイーツカボチャを店員に託し、意気揚々と店内へ。スイーツへの期待を胸に。
「よし、僕もみんなみたいに割るぞ!」
いよいよネロの出番だ。
「ただ割るのもつまんないし、盛り上げちゃおうかな? ちょっとパフォーマンス的に、カッコ良く割ってみようかなー」
見て来た皆の見事な割りっぷりに触発されてか、ちょっぴり考え込むネロ。
「そうだ!」
ピコンと何やら閃いたネロは、
「おにーさん、おねーさん、綺麗に割れたらいーっぱい褒めてね?」
自分を見守る観客達に向かって、甘え上手っぷりを見せた。
「ぼうず、頑張れよ!」
「怪我をしないようね」
「割れよ!」
ネロの小ささと愛らしさに観客達は庇護欲からか温かな声援を送る。
「うん、頑張るから見ててねー!」
ネロは声援を送ってくれる観客達に手を振って応えてから、バイアーディスの爪を籠手に取り付けた竜爪の籠手と分厚い金属の板を貫通するほどに鋭利な竜牙の暗針をそれぞれの手に持つ。
(あの技を使おう。格好良く決まるといいなー。断面が綺麗になるよう頑張るぞ)
表情は気合いの入った凛々しいもの。
「やぁぁぁあ!!」
ネロは暗針と籠手という2つの武器による3段連撃、トリプルファングを繰り出した。
さすが、金属の板をも貫通する暗針と鋭い爪である。
「僕に割れないカボチャは、無い! なーんて、えへへっ」
見事に鉄並みの皮に貫通し綺麗に割り、愛らしいドヤ顔を観客達に向けた。
「坊や、頑張ったわね」
「すげぇ」
「あんな小さい子が割ったんだ。俺も頑張るぞ」
観客達は皆温かい拍手で応えた。
ネロは拍手に包まれながら、スイーツカボチャを店員に任せて店内へ。
「せっかくだから、スイーツが良いわね! タルトとか、ケーキやプリンとか?」
店内に入り適当な席に座ったデイジーは、すでに注文する料理をだいたい決めていたのか喜々とメニューを広げた。
「よし、ここはプリンにしよう!」
種類豊富にあるスイーツから選んだのはプリンだ。すぐに店員を呼び止め注文した。
しばらくして注文した料理が運ばれた。
「わぁ、綺麗なオレンジ色!」
デイジーは、鮮やかなオレンジ色に目を輝かせ、
「いただきます!」
スプーンでひと掬いし、勢いよく口に運んだ。
「これは、美味しいわね。やっぱり、運動のあとは甘いものが一番ね! 何より自分で割ったカボチャだから尚更!」
口内に一気に甘さが広がりデイジーの表情が蕩ける。手間もあってか、プリンの甘さが深く心にも届く。
「パンクリアース学園の購買とかでも売って貰えないかしら……見た目も可愛いし、野菜を使って健康的だし人気が出ると思うんだけど」
ブツブツとプリンへの思いを呟きながら、忙しなく頬張った。
「生食が出来るらしいから、買えるようならカボチャを買って帰りたい所だな」
店内に入り席に着いたサイラスが最初に頭を巡らしたのは、
(犬猫の餌になるし、種炒めてつまみとかにもなるし。後酒の材料にしたりもいいな)
ペットや酒の事。美味しい食べ方は色々あるようだ。
その時、
「にしても、このプリン美味しいわね」
付近でカボチャプリンに手が止まらぬデイジーの弾んだ声が飛び込んできた。
「プリンか。美味しそうだな」
気付いたサイラスは我に返り、プリンを頬張るデイジーを一瞥した後、
「食べる物を決めないとな」
テーブルに立て掛けていたメニューを広げた。
「どれも美味しそうだな」
何もかも美味しそうで、目が忙しい。
結果、何にしたかというと、
「タルトにプリン……どれにするか。そもそも、普通のカボチャと違い菓子のように甘いらしいが、食べてないとどれだけ甘いとか何と合うかわからんしな。ここはお任せで行くか」
店員にお任せする事にした。何せ、スイーツカボチャなる物の味が分からないので。
サイラスは店員を呼び止め、お任せで注文し、スイーツカボチャのお持ち帰りについて訊ね、可能と知るなり購入を決めた。
程なくしてお持ち帰りと共に料理がやって来た。
「タルトか」
カボチャのタルトと土産のスイーツカボチャだ。
「まずは……」
最初の一口。
「……この甘さ、野菜とは思えないな」
口の中に広がる優しくも鮮烈な甘さ。
「うまいな」
サイラスは舌鼓を打つ。甘い物好きとしては心地よいもの。傍らには土産のスイーツカボチャがあった。
「タダで食べられる一品はタルトにしましょうか」
カボチャ割りを終えて店内に入ったギーゼラは席に座るなり、メニューを開く事無く店員を呼び止めて注文した。
すぐに注文した料理が運ばれた。
「美味しそうですねぇ」
ギーゼラはすぐさま口に運んだ。
「ん~、甘くて美味しいですねぇ。やっぱり、一番素材の美味しさを味わえる食べ方はタルトですねぇ」
自分的食べ方により得た口の中に広がる甘さに大満足のギーゼラであった。
「ケーキとプリンに……他のスイーツも美味しそうですね。自腹で注文しましょう」
ギーゼラはもぐもぐしながら、メニューを開き心惹かれたスイーツを注文した。
(今しか味わえない限定品となれば、味わえるだけ味わい尽くさなければ損ですからね!)
甘い物好きがタルトだけで満足するとは大間違いである。
「お土産にクッキーを買って帰りましょう。日持ちしますし」
土産まで考えているという徹底ぶりである。ちなみに自分用である。
程なくして、ケーキとプリンが追加され、ギーゼラはタルトもケーキもプリンも存分に舌鼓を打った。
「う~ん、僕はどうしようかな~、悩む~」
入店したネロは席に座り、手に取ったメニューと睨めっこ。口から出るのは可愛らしい唸り声。
だが、
「けど、ここはやっぱりカボチャのタルトかな?」
店内を見回したりメニューを睨んだりを散々して、最適解を見つけた。
そして、店員を呼び止めてタルトを注文した。
「せっかくだから百合茶も追加しちゃおう」
お菓子には飲み物をと。この地の名産も追加した。
しばらくして、注文した料理が運ばれた。
「わぁあ、綺麗なオレンジ色!」
眼前に置かれたタルトの綺麗なカボチャ色に感嘆してから、
「いただきま~す」
勢いよくパクリ。
「ん~、あまぁぁい、おいしいぃ」
口いっぱいに満たす甘さにネロの顔が可愛らしく綻んだ。
「はぁあ、百合茶も美味しい」
タルトだけでなく百合茶も美味しく味わった。
とにもかくにも、喫茶店『エヴァブルー』で開催されたカボチャ割りは賑わい、スイーツカボチャの甘さはに参加者達の舌を存分に満足させた。
店先で店員達がスイーツカボチャの宣伝を大袈裟に響かせる中。
「ふ~ん? 硬いかぼちゃ? 鉄みたいな硬さの皮? 流石に大袈裟過ぎないかしら?」
デイジー・ロックウェルは、大袈裟な宣伝に眉をひそめるが、
「ま、せっかくだから、挑戦してみようかしら」
興味から足を止めた。
「……お菓子のように甘いスイーツカボチャか」
甘い物が好きとあってか、興味を示すサイラス。
「へぇ、カボチャ割りかぁ、何か楽しそー! しかも皮が鉄みたいに硬いとか! 割り甲斐がありそう! みんな、どうやって割るんだろー! 色んな大きさのカボチャが沢山!」
宣伝を聞いて胸をワクワクさせたネロは、参加のために足を止めるだけでなく群がる見物客達の間を潜り抜け最前列を陣取り、店員達の手にある大きさ様々のスイーツカボチャに目を輝かせた。
「……カボチャは野菜なのにスイーツとの相性抜群ですが、それがお菓子のように甘いと聞いては参加しないわけもないですねぇ」
関心を示すギーゼラ。何せ甘党でお菓子が大好きなので。
誰よりも早く動いたのは、
「包丁貸してもらえるかしら?」
デイジーだ。
「カボチャはこれでいいわ」
店員から包丁を借りてから適当な大きさのスイーツカボチャを選ぶ。
そして、
「はぁぁあ!!」
デイジーは、幾度もスイーツカボチャに勢いよく包丁を振り下ろした。
だが、
「はぁ、はぁ、何よコレ……ホントに硬いわね」
包丁は何の役にも立たず、ただデイジーの息が切れるだけであった。
「わぁ、本当に硬いんだぁ」
ネロは、スイーツカボチャのあまりの硬さに声を上げた。
「やはりただの包丁では無理か」
改めてスイーツカボチャの硬さを知ったサイラスは、
(熱を入れるのは時間掛かるし、調理の時アレだし、現行の最高火力試しもあるし)
カボチャ割りの手順をあれこれと思考する。
「なかなか手強そうですねぇ」
近くにいたギーゼラがサイラスの言葉に頷いた。
(最高のカボチャスイーツをタダで味わえると知ったからには参加辞退は無しですが、さてどうしましょうか)
同じくスイーツカボチャの割り方を模索しながら。
「……包丁を返すわ」
呼吸を落ち着かせたデイジーは包丁を店員に返し、
「本気を出させて貰うわね」
自分の武器であるダマスカス鋼の大太刀に持ち替えた。
「弱点は、と」
デイジーは、スイーツカボチャを手でコンコンと叩いた。
「さすが、鉄なみの皮ね、響きが悪いわ。ここは思いっきり……」
手ではあまり音が跳ね返らないため、役に立つ道具を探してきょろり。
「看板! そこの看板を少し借りるわよ」
デイジーは立っている喫茶店の案内板に目を留め手に取り、
「皮の薄い所は……」
力一杯スイーツカボチャのあちこちを叩き回しては、優れた超聴覚で跳ね返る音を聞き分けて刃が入りそうな場所を探す。
「……違う」
慎重に。
周囲の人達が固唾を飲んで見守る中、
「ここね!」
ついに、見つけた。デイジーの顔が不敵に歪んだ。
案内板を元の場所に戻してから、スイーツカボチャを弱点の位置を真上に置く。
「みんな、危ないから下がっていて」
見回る皆を下がらせてから、
「よし、斬るわよ」
大太刀を勢いよく振りかぶり、
「はぁぁぁあ!!」
研ぎ澄まされた一撃、鋭旋牙を鋭く繰り出した。
「割れぇぇぇ!!」
周囲の人達がデイジーのやる気に当てられ、あつい声援を発する。
「割っちゃえぇ!!」
ネロもまた皆に混じって絶賛応援中だ。
周囲の応援を受けて振り下ろした大太刀は、見事にスイーツカボチャを捉えた。
「あは、ちょっとやり過ぎたかしら?」
結果、スイーツカボチャは綺麗にぱっくりと切断。やっちまったとデイジーの額から汗がたらり。
「わぁあ、綺麗に真っ二つ! すごぉい!」
ネロが拍手と共に感嘆を送った。
「ふふふ、ありがとうね!」
デイジーは笑顔で礼を言ってから、スイーツカボチャを店員に託して店内へ。
「見事な腕前だったな」
サイラスは感心を口にした後、
「さて、挑むとするか」
見学をやめてカボチャ割りに本腰を入れる。どうやら手立てが整ったようだ。
「これにしよう」
サイラスは、速やかに選んだスイーツカボチャを手に取り、
(下手が一番硬いのでそこからずれた位置を選ぼう。刃先だけ入れない様に……どこがいいか)
切れそうな所を見極めていく。
程なくして、
「……ここだな」
サイラスは見つけた。
(反撃とか考慮が不要の相手、気にせず火力だけを試すとしよう……)
いざ、自身が打った刀である風雷坊を構えた。
瞬間、
「うぉっと、いてぇぇ」
「かてぇなぁ」
「無理だろ、これ」
デイジーの勢いについて行こうとスイーツカボチャと睨めっこをしていた挑戦者達が挑むも技術が足りないのか悉く武器は通らない。それどころか腕を痛めたり怪我をする者もいたり。
「怪我をしていますねぇ」
ギーゼラが現れた。
「治してあげられる?」
ネロがひょこっと様子を見に来た。
「大丈夫ですよぉ」
と言ってギーゼラはヒール3で怪我を癒し、
「これで後日痛める事もなく、痺れも良くなるはずです」
ハイパーヒーリングオーラを使い痺れを癒した。
癒された人達が礼を口々に言いだすと、
「フフフフフ、お礼なんていいですよぉ! 癒すのはヒーラーとして当然の事ですので!」
ギーゼラはにこにこと笑顔で返した。
「良かったねぇ」
ネロも癒された人達に笑い掛けた。
丁度その時、
「うぉぉぉぉ!!」
流血の詩により理性を持ちながらも狂気を纏ったサイラスが咆哮と共に、集中力と物理攻撃7による攻撃力アップも加わった最大火力となった鋭く力強い一撃千鳥雷切を放つ。
「わぁ、雷みたいに速い!」
稲妻それさえも叩き斬るが如く素早い一撃に感嘆するネロ。
放たれた刃は、見事にスイーツカボチャを捉え、
「……よし」
見事に叩き斬った。
だが、サイラスの胸に残るは、
「割れたのはいいが、記念品の刀で何やってるんだろうなぁ。火力自慢もアレだ、戦闘本業の冒険者として売り込むなら兎も角鍛冶屋が誇ることでも無いし」
何とも言えぬ思い。
(まあとりあえずこれから自分用に作るのが剣だろうが刀だろうが槍だろうが、切れ味のデータとかにはなるから損では無いだろう)
少しも刃こぼれをしていない刀を見やる。何はともあれ、得る物はあったようだ。
「……デザートでも楽しむか。そのために来たのだからな」
サイラスは、気持ちを切り替えて甘味を楽しむ事に決め、店員に割れたスイーツカボチャを託して店内へ。
「さて、治療も終わりましたし、華麗にカボチャを割って、僕のスイーツへの情熱を見せつけてやりましょうか」
敗退者の治療を終えたギーゼラがやる事は、ただ1つだ。甘味大好きという思いに身を委ねる。
「頑張ってね! 僕も頑張るよ!」
ネロは声援を送ると共にきりりとやる気の顔を浮かべた。
「えぇ、お互いに頑張りましょう」
ギーゼラは穏やかにネロの武運を願ってから、戦場へ。
「カボチャはこれにしましょうか!」
ギーゼラが良さげなスイーツカボチャを選んでから、
「武器は……」
手にしたのは、新品で消毒済みの竜石の祭刀だ。
「敵の血で汚れた武器で大切なカボチャを切るわけにはいきませんからねぇ!」
スイーツを食べる気満々なのは、見るからにである。
「切る位置は……」
持てる調理の知識をフルに使い、探りを入れる。
しばらくして、
「ここなら……」
刃を入れる位置を決めた。
「手を抜くのはカボチャに失礼というもの」
輝腕3により明敏となった知覚はスイーツカボチャをしっかりと捉え、輝刃3で祭刀の刃を淡く透明な光で包み攻撃性能を強化する。
準備が万全に整った所で、
「綺麗に真っ二つです!」
狙いどころに向かって、痛烈な一撃ディバインストライクを叩き込んだ。
「本当に真っ二つだぁ!」
ネロが驚く中、眩く光り輝く刃は見事にスイーツカボチャにトドメをさした。
「フフフフフ、これならば最高のスイーツが完成するはず!」
割れたスイーツカボチャを見るギーゼラが思うは、カボチャのスイーツの事。
ギーゼラはスイーツカボチャを店員に託し、意気揚々と店内へ。スイーツへの期待を胸に。
「よし、僕もみんなみたいに割るぞ!」
いよいよネロの出番だ。
「ただ割るのもつまんないし、盛り上げちゃおうかな? ちょっとパフォーマンス的に、カッコ良く割ってみようかなー」
見て来た皆の見事な割りっぷりに触発されてか、ちょっぴり考え込むネロ。
「そうだ!」
ピコンと何やら閃いたネロは、
「おにーさん、おねーさん、綺麗に割れたらいーっぱい褒めてね?」
自分を見守る観客達に向かって、甘え上手っぷりを見せた。
「ぼうず、頑張れよ!」
「怪我をしないようね」
「割れよ!」
ネロの小ささと愛らしさに観客達は庇護欲からか温かな声援を送る。
「うん、頑張るから見ててねー!」
ネロは声援を送ってくれる観客達に手を振って応えてから、バイアーディスの爪を籠手に取り付けた竜爪の籠手と分厚い金属の板を貫通するほどに鋭利な竜牙の暗針をそれぞれの手に持つ。
(あの技を使おう。格好良く決まるといいなー。断面が綺麗になるよう頑張るぞ)
表情は気合いの入った凛々しいもの。
「やぁぁぁあ!!」
ネロは暗針と籠手という2つの武器による3段連撃、トリプルファングを繰り出した。
さすが、金属の板をも貫通する暗針と鋭い爪である。
「僕に割れないカボチャは、無い! なーんて、えへへっ」
見事に鉄並みの皮に貫通し綺麗に割り、愛らしいドヤ顔を観客達に向けた。
「坊や、頑張ったわね」
「すげぇ」
「あんな小さい子が割ったんだ。俺も頑張るぞ」
観客達は皆温かい拍手で応えた。
ネロは拍手に包まれながら、スイーツカボチャを店員に任せて店内へ。
「せっかくだから、スイーツが良いわね! タルトとか、ケーキやプリンとか?」
店内に入り適当な席に座ったデイジーは、すでに注文する料理をだいたい決めていたのか喜々とメニューを広げた。
「よし、ここはプリンにしよう!」
種類豊富にあるスイーツから選んだのはプリンだ。すぐに店員を呼び止め注文した。
しばらくして注文した料理が運ばれた。
「わぁ、綺麗なオレンジ色!」
デイジーは、鮮やかなオレンジ色に目を輝かせ、
「いただきます!」
スプーンでひと掬いし、勢いよく口に運んだ。
「これは、美味しいわね。やっぱり、運動のあとは甘いものが一番ね! 何より自分で割ったカボチャだから尚更!」
口内に一気に甘さが広がりデイジーの表情が蕩ける。手間もあってか、プリンの甘さが深く心にも届く。
「パンクリアース学園の購買とかでも売って貰えないかしら……見た目も可愛いし、野菜を使って健康的だし人気が出ると思うんだけど」
ブツブツとプリンへの思いを呟きながら、忙しなく頬張った。
「生食が出来るらしいから、買えるようならカボチャを買って帰りたい所だな」
店内に入り席に着いたサイラスが最初に頭を巡らしたのは、
(犬猫の餌になるし、種炒めてつまみとかにもなるし。後酒の材料にしたりもいいな)
ペットや酒の事。美味しい食べ方は色々あるようだ。
その時、
「にしても、このプリン美味しいわね」
付近でカボチャプリンに手が止まらぬデイジーの弾んだ声が飛び込んできた。
「プリンか。美味しそうだな」
気付いたサイラスは我に返り、プリンを頬張るデイジーを一瞥した後、
「食べる物を決めないとな」
テーブルに立て掛けていたメニューを広げた。
「どれも美味しそうだな」
何もかも美味しそうで、目が忙しい。
結果、何にしたかというと、
「タルトにプリン……どれにするか。そもそも、普通のカボチャと違い菓子のように甘いらしいが、食べてないとどれだけ甘いとか何と合うかわからんしな。ここはお任せで行くか」
店員にお任せする事にした。何せ、スイーツカボチャなる物の味が分からないので。
サイラスは店員を呼び止め、お任せで注文し、スイーツカボチャのお持ち帰りについて訊ね、可能と知るなり購入を決めた。
程なくしてお持ち帰りと共に料理がやって来た。
「タルトか」
カボチャのタルトと土産のスイーツカボチャだ。
「まずは……」
最初の一口。
「……この甘さ、野菜とは思えないな」
口の中に広がる優しくも鮮烈な甘さ。
「うまいな」
サイラスは舌鼓を打つ。甘い物好きとしては心地よいもの。傍らには土産のスイーツカボチャがあった。
「タダで食べられる一品はタルトにしましょうか」
カボチャ割りを終えて店内に入ったギーゼラは席に座るなり、メニューを開く事無く店員を呼び止めて注文した。
すぐに注文した料理が運ばれた。
「美味しそうですねぇ」
ギーゼラはすぐさま口に運んだ。
「ん~、甘くて美味しいですねぇ。やっぱり、一番素材の美味しさを味わえる食べ方はタルトですねぇ」
自分的食べ方により得た口の中に広がる甘さに大満足のギーゼラであった。
「ケーキとプリンに……他のスイーツも美味しそうですね。自腹で注文しましょう」
ギーゼラはもぐもぐしながら、メニューを開き心惹かれたスイーツを注文した。
(今しか味わえない限定品となれば、味わえるだけ味わい尽くさなければ損ですからね!)
甘い物好きがタルトだけで満足するとは大間違いである。
「お土産にクッキーを買って帰りましょう。日持ちしますし」
土産まで考えているという徹底ぶりである。ちなみに自分用である。
程なくして、ケーキとプリンが追加され、ギーゼラはタルトもケーキもプリンも存分に舌鼓を打った。
「う~ん、僕はどうしようかな~、悩む~」
入店したネロは席に座り、手に取ったメニューと睨めっこ。口から出るのは可愛らしい唸り声。
だが、
「けど、ここはやっぱりカボチャのタルトかな?」
店内を見回したりメニューを睨んだりを散々して、最適解を見つけた。
そして、店員を呼び止めてタルトを注文した。
「せっかくだから百合茶も追加しちゃおう」
お菓子には飲み物をと。この地の名産も追加した。
しばらくして、注文した料理が運ばれた。
「わぁあ、綺麗なオレンジ色!」
眼前に置かれたタルトの綺麗なカボチャ色に感嘆してから、
「いただきま~す」
勢いよくパクリ。
「ん~、あまぁぁい、おいしいぃ」
口いっぱいに満たす甘さにネロの顔が可愛らしく綻んだ。
「はぁあ、百合茶も美味しい」
タルトだけでなく百合茶も美味しく味わった。
とにもかくにも、喫茶店『エヴァブルー』で開催されたカボチャ割りは賑わい、スイーツカボチャの甘さはに参加者達の舌を存分に満足させた。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
スイーツカボチャの見事な割りっぷりを見せて頂いたりカボチャ料理を美味しく食べて頂いたりと、収穫祭を楽しんで頂き、ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜10人
2022年11月19日 22時58分47秒 公開
大成功