【羅盤】ヴィントの楽しい木造建築・Withラバン
椿油
コメント 2
シナリオID:2352
オープニング
●建築とまではいかなくとも
「おねーさん! 聞いて聞いて! 聞いてほしいのだ!」
ここはシルトラース帝国南部。元帝国難民で現授恵者の少年、ラバンがほぼ専属受付嬢となっているフィラに向かって話す。
「どうしましたか? 何か良い事でもありました?」
「あの、みす、みすてぃ、みすてぃあに……何だっけ?」
「天霧りに消ゆる幽界樹がどうしました?」
フィラは跡地のダンジョンに何か出たのかと耳を傾ける。
「そうそれ、幽界樹――みたいな魔獣がいたのだ!」
どうやら違ったらしい。
「幽界樹みたいな魔獣、とは?」
更に耳を傾けるフィラ。
「外を探索してたら発見したのだ。背中にふっとい木が生えた四足歩行の獣さんなのだ!」
「……もう少し教えてもらえます?」
ラバン曰く、タケノコでも幽界樹でも無い木が生えている全高4~5m程の四足の魔獣。そして背中に生えている木を使ってがんばって擬態している事。たまにしか現れない事。そして恐らく、その木はほぼ本物の木と同じ性質である事だ。
「――って感じだった、ってリスバンがこっそり見てきてくれたのだ」
「クリーパーとかでは無いんですね」
一応安心するフィラ。中~大型クリーパーや幽界樹ではなくただの樹木のような魔獣なら片づけるのは早そうだ。
「で、丁度いいとはどういう意味ですか?」
「えっと……背中の木を使ってもくぞーけんちくするのだ!」
ラバンは胸を反らした。
「は?」
いつも冷静だがマジなトーンで聞き返したフィラ。
「ほら、木材が足りないってよく言われてるのだ。ここらへん《平地》だし……せめて牧場の柵ぐらいにはしたいのだ!」
ラバンが頑張って手を振りながら説明すると、ようやく納得したのかフィラは手を動かし始めた。
「成程? つまり、討伐して、伐採して、木材にしたいと。それで私に声をかけたと。分かりました、依頼にしておきましょうか」
その動かした手は書類を作る為だ。
「ほんとーなのだ!?」
まさか快く賛同してくれるとは思わなかったラバンは更に手を振るスピードを加速させた。
「……だってほら、住民の方々が新種の幽界樹と勘違いされたら混乱が起きますし?」
ラバンの話を依頼にしてくれるのは彼女だけだった。だからこそほぼ専属になっているのかもしれないが……。
「おねーさん! 聞いて聞いて! 聞いてほしいのだ!」
ここはシルトラース帝国南部。元帝国難民で現授恵者の少年、ラバンがほぼ専属受付嬢となっているフィラに向かって話す。
「どうしましたか? 何か良い事でもありました?」
「あの、みす、みすてぃ、みすてぃあに……何だっけ?」
「天霧りに消ゆる幽界樹がどうしました?」
フィラは跡地のダンジョンに何か出たのかと耳を傾ける。
「そうそれ、幽界樹――みたいな魔獣がいたのだ!」
どうやら違ったらしい。
「幽界樹みたいな魔獣、とは?」
更に耳を傾けるフィラ。
「外を探索してたら発見したのだ。背中にふっとい木が生えた四足歩行の獣さんなのだ!」
「……もう少し教えてもらえます?」
ラバン曰く、タケノコでも幽界樹でも無い木が生えている全高4~5m程の四足の魔獣。そして背中に生えている木を使ってがんばって擬態している事。たまにしか現れない事。そして恐らく、その木はほぼ本物の木と同じ性質である事だ。
「――って感じだった、ってリスバンがこっそり見てきてくれたのだ」
「クリーパーとかでは無いんですね」
一応安心するフィラ。中~大型クリーパーや幽界樹ではなくただの樹木のような魔獣なら片づけるのは早そうだ。
「で、丁度いいとはどういう意味ですか?」
「えっと……背中の木を使ってもくぞーけんちくするのだ!」
ラバンは胸を反らした。
「は?」
いつも冷静だがマジなトーンで聞き返したフィラ。
「ほら、木材が足りないってよく言われてるのだ。ここらへん《平地》だし……せめて牧場の柵ぐらいにはしたいのだ!」
ラバンが頑張って手を振りながら説明すると、ようやく納得したのかフィラは手を動かし始めた。
「成程? つまり、討伐して、伐採して、木材にしたいと。それで私に声をかけたと。分かりました、依頼にしておきましょうか」
その動かした手は書類を作る為だ。
「ほんとーなのだ!?」
まさか快く賛同してくれるとは思わなかったラバンは更に手を振るスピードを加速させた。
「……だってほら、住民の方々が新種の幽界樹と勘違いされたら混乱が起きますし?」
ラバンの話を依頼にしてくれるのは彼女だけだった。だからこそほぼ専属になっているのかもしれないが……。
解説
【目的】
樹木魔獣を倒して木材をゲットしましょう。
【戦場】
ヴィント郊外、警備の薄い辺り。
敵は移動しているようですが、太い木が一本ある所が明らかに怪しいです。
【敵情報】
樹木魔獣(暫定命名)
四足で動き、背中に太い木が生えています。どうやって生えたかは不明ですが、本物の木が生えているようです。前足を使って相手を攻撃しつつ1ヘクス押し出したり、背中の木をぶん回す範囲攻撃など意外と器用な事が出来ます。知能はあまり高くないです。
【味方】
ラバン(男性/シューター)
発起人であり元難民の少年。《エーテルリンク》《ハーツベインショット》《強射》《精密射撃》を今回使ってくれます。
リスバン(ペット)
ラバンのリスです。命名が安易。ラバンにこう指示した方がいいとプレイングでアドバイスして下されば良い感じに連携してくれるかもしれません。
マスターより
椿油です。久々のラバンくん登場です。
帝国で太めの木材が手に入るなんてチャンス、逃すのは惜しいので倒しちゃいましょう!
探せばほぼ見つかる容姿をしているので、なるべく探す方向の方が良いと思われます。
木材は即加工しなくとも、使い道を提示して下さると幸いです。ラバンくんが後で上手くやってくれます。
皆様のアツいプレイング、お待ちしております!
リプレイ
●再会と痕跡探し
「ラバン! 久しぶりなのだ~! 暫く合わないうちに立派になってるのだ~!」
「ししょー!」
ラバンと大福は師弟関係にあった。久々に出会ってハグする二人、そして粽もラバンとお供のリスバンを鼻で嗅いでご挨拶だ。
「久しぶりの共闘! 頑張るのだ! えいえいおー!」
「えいえいおーなのだー!」
フェリシアは擬態の情報を聞いて少し思っている事があった。
(樹木魔獣を倒して木材をゲット、ということはー……ぎたい? はとってもわかりやすいって言ってたですけど……わたしどんかんだから、みつけられるかなぁ……?)
アンジェはアンジェなりに提案をしてみる。
「あの、目的の魔獣探すのは……、見つけた場所に連れて行ってもらって、その周りを探せば……」
「ああ、まずはそうしてみようぜ!」
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトも賛成する。
「木を背負ってたら重たそうだから、足跡が残ってるかも……?」
「ラバン、現場に案内するのだ!」
大福がラバンに声をかけると、ラバンは遠方を指差した。
「あっちなのだ!」
現場周辺で《捜波》を行う大福と、《エーテルリンク》で情報共有しつつ気配を潜めて探索する粽。
「リスバンも探すのだ!」
チョケチョケ、と鳴きながらリスバンも怪しい場所が無いか探しに回る。
「太い木が見つかればいいってことです……よね?」
フェリシアもそれらしい木が無いかウロウロと周囲を探して回る。
「足跡……意外とありませんね……」
アンジェの勘は当たっていただろう。だが、足跡が無いという事はこの魔獣、思ったより移動していないようだ。
「どこら辺に居たんだ?」
アルベルトがラバンに尋ねる。
「多分この木みたいなとこ……あ、これかもなのだ?」
そこにあったのは、木だった。
「《捜波》も反応したのだ」
大福の《捜波》がこの木をマークしている。
「じゃあそれじゃないですか~、っと、静かにしないと起きちゃいますね……?」
フェリシアは身構える。
「よし、木材にするぜ!」
アルベルトは得物の大太刀を取り出す。
「……ミニビヒモーさんは怪我しないように、逃げていてね……」
アンジェはミニビヒモーを退避させて、安全を確保した上で後衛に下がる。
「ラバン、敵に気が付かれる前に前足を狙って先制攻撃なのだ」
「了解なのだししょー!」
ラバンの《精密射撃》がスコッと当たる。以前より精度は上がっているらしい。すると、地面が盛り上がって中から出て来たのは背中に大きな木を背負った四足歩行の魔獣であった。正解である。
「まずは攪乱していくのだ!」
大福の《攪乱射撃3》が命中し、エーテルに侵される樹木魔獣。続いて粽があっちへこっちへと動いて攪乱させ、追撃として噛みついていく。
「今なら当たるものも当たらなくなるですぅ~えいっ」
フェリシアは《魔矢》を放って、樹木魔獣にコツコツとダメージを与えていくようだ。
「これで、守りを固めます……」
アンジェが《サークルプロテクション》の光を広げる事で、全員の身が確実に護られていく。
「思いっきりぶった斬る!!」
アルベルトは《千鳥雷切斬》で勢いよくだるま落としするが如く樹木の部分を叩く。怒った樹木魔獣はターゲットをアルベルトに決め、頭の樹木を振り回す。範囲内に居たアルベルトに当たりかけるも、間一髪で躱した。
「ふぅ、危ない所だったな!」
攪乱射撃のエーテルも効いていたのだろう。そして更に分かった事がある。この魔獣は……足が遅い。
「いい感じに木こりしていくのだー!」
ラバンはアルベルトが攻撃した箇所をきちんと観察して、そこに当てるべく今は集中しているようだ。
「確実に当てるのだ、ラバン!」
大福が声でサポートしながら《精密射撃3》を当てて木を削っていく。何故か生命も共有されているらしく、下の根っこ側の魔獣も痛がっている。粽は魔獣の顔に噛みついた。
「削りますよ~……当たれっ」
フェリシアは引き続き《魔矢》を当てる。
「ラバン、やってみたい事があるのだ!」
ラバンが放ったのは《ハーツベインショット》。上手い事命中した不可視のエーテル付きの矢が、樹木魔獣を蝕んでいく。木にただちに影響は無いが、倒したらすぐに木こりした方がいいかもしれない。
「おお、上手く当てられて凄いのだ! 成長してるのだ!」
大福も喜んでいる。リスバンはチョケケと動いて独撃の前歯で齧っていく。
「少し怖いけれど……」
アンジェも《魔矢》を放ち、攻撃に参加する。
「よし、行くぜ!」
《鋭撃2》をアルベルトが当てた事で、片足を深く地面に押し付ける樹木魔獣。先ほどの《千鳥雷切斬》の時もそうだが、結構痛そうにしている。
樹木魔獣は片足を痛がりながらもアルベルトに突進をかました事で、アルベルトは《重点硬化2》で防ぎながらも少し後退させられる。
「っ、威力はそこそこだが押す力は半端じゃないな!」
《サークルプロテクション》の光もあってか、ダメージは最小限で済んだようだ。
●伐採の時
ハーツベインショットが少しは効いただろうか。ラバンのサポートに合わせて大福も《精密射撃3》を再び射ってダメージを蓄積させていく。
「ラバン! 次もイケるのだ?」
「もちろんなのだ、ししょー!」
フェリシアの《魔矢》もきちんと効果は発揮されている。確実に樹木魔獣は体力を減らしているのだ。
「このままやっちゃいますう~」
「かくじつに決めて倒しちゃうのだー!」
ラバンは《強射》を樹木魔獣の顔へと当てる。よろめく樹木魔獣。
「それでは、回復します……!」
アンジェが《ヒール2》をアルベルトに行使し、光のエーテルが傷を癒していく。
「助かったぜ! またぶん回して来る前に決めておくぞ!」
《チャージング》で近づき、《鋭撃2》を思いっきり当てるアルベルト。すると樹木魔獣は足を地に付けているのが保てなくなり、のびるように倒れた。
「倒した……のだ?」
ラバンがリスバンに確認させる。リスバンはチョケッと嬉しそうに鳴いた。
「やったのだししょー!」
「ラバンもよくやったのだ~!」
喜ぶラバン、そして大福。安堵の顔でアルベルトは大太刀を収納し、フェリシアも笑顔を見せながら戦闘態勢を解除し、アンジェはホッとしながら肩を撫でおろしたのだった。
●加工作業
「よし! 伐り終わったぜ」
アルベルトが大太刀を駆使しつつ、切り株になる程の大規模な木こりまでやってのけた。
「その枝を伐るのだ、ラバン」
「りょーかいなのだ!」
子供用ノコギリで枝を伐って、粽が運び出す。枝と言ってもかなり太く、牧場の柵に丸々一本使えてしまうかもしれない。机や椅子に加工するのは勿論、農具にだってなるだろう。
「小さな鶏小屋くらいなら作れるかもなのだ~。リスバンの休憩巣箱も作るのだ?」
「わぁ……! リスバン、ししょーに感謝するのだ! ほらほら!」
チョケチョケ鳴いているリスバンだった。
アンジェは本体に根付いていた太い原木の使い道を考えていた。
「長い木を切るのはもったいないから……そのまま大きい天幕の柱とか……?」
木の皮からは繊維を採ったり、染料にしたり出来るだろう。
「葉っぱは……あ、ミニビヒモーさん食べちゃ駄目です……」
もっしゃもっしゃ。ミニビヒモーは葉っぱを食べるだけで大満足だった。
フェリシアは根っこを観察している。
「この木、どうやって魔獣にくっついたんでしょうね? 共存してるとかです?」
上の木が攻撃された際に魔獣が痛がっていたので、共存以上の関係性があったのは間違いない。生命の神秘というやつだ。
机や椅子、柵などを色々試作で作ってみたところで大福が休憩を提案する。
「そろそろ休憩するのだ~」
お花見セットを広げ、春の行楽弁当をあらかじめ持って来た大福の隣に座るラバン。
「わーい休憩なのだー! ……何作ってるのだ?」
木彫りの栗鼠……いや、これはリスバンだった。
「ラバンに木彫りのリスバンをプレゼントなのだ!」
「わぁぁ……!」
ラバンの顔が輝く。
「誰かの助けになりたいって気持ち、立派なのだ! 一人前のシューターになってて師匠は嬉しいのだ!」
「ありがとーなのだししょー!!」
ラバンは木彫りのリスバンをくるくると眺めながら喜んではしゃいだ。
「良かったですねぇ~」
フェリシアは微笑ましく見つめていた。
●作品と共に去りぬ
いくつも作ったので持ちきれないかと思ったが、まだ天気は晴れているし昼間なので、荷馬車を借りたり近所の人に手伝ってもらいながら地道に少しずつ地元に運んで行くという。
「どうせ盗むような人もいないから、頑張って運ぶのだ!」
「おお、偉いな! 頑張れよ」
アルベルトもギルドまでだったらいくつか持って運べるかもしれないが、ラバンが言い出した事なので特に止めはしなかった。
「またいつか、一緒にお仕事するのだ~! シャルガネに遊びに来るのでもいいのだ!」
「そうするのだー!」
皆にバイバイと手を振りながら、ラバンはよいしょと荷物を抱える準備をするのだった。
後日、ラバンの地元に柵が増えて天幕付きの休憩スポットが増え、農具が寄贈されたという――。
「ラバン! 久しぶりなのだ~! 暫く合わないうちに立派になってるのだ~!」
「ししょー!」
ラバンと大福は師弟関係にあった。久々に出会ってハグする二人、そして粽もラバンとお供のリスバンを鼻で嗅いでご挨拶だ。
「久しぶりの共闘! 頑張るのだ! えいえいおー!」
「えいえいおーなのだー!」
フェリシアは擬態の情報を聞いて少し思っている事があった。
(樹木魔獣を倒して木材をゲット、ということはー……ぎたい? はとってもわかりやすいって言ってたですけど……わたしどんかんだから、みつけられるかなぁ……?)
アンジェはアンジェなりに提案をしてみる。
「あの、目的の魔獣探すのは……、見つけた場所に連れて行ってもらって、その周りを探せば……」
「ああ、まずはそうしてみようぜ!」
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトも賛成する。
「木を背負ってたら重たそうだから、足跡が残ってるかも……?」
「ラバン、現場に案内するのだ!」
大福がラバンに声をかけると、ラバンは遠方を指差した。
「あっちなのだ!」
現場周辺で《捜波》を行う大福と、《エーテルリンク》で情報共有しつつ気配を潜めて探索する粽。
「リスバンも探すのだ!」
チョケチョケ、と鳴きながらリスバンも怪しい場所が無いか探しに回る。
「太い木が見つかればいいってことです……よね?」
フェリシアもそれらしい木が無いかウロウロと周囲を探して回る。
「足跡……意外とありませんね……」
アンジェの勘は当たっていただろう。だが、足跡が無いという事はこの魔獣、思ったより移動していないようだ。
「どこら辺に居たんだ?」
アルベルトがラバンに尋ねる。
「多分この木みたいなとこ……あ、これかもなのだ?」
そこにあったのは、木だった。
「《捜波》も反応したのだ」
大福の《捜波》がこの木をマークしている。
「じゃあそれじゃないですか~、っと、静かにしないと起きちゃいますね……?」
フェリシアは身構える。
「よし、木材にするぜ!」
アルベルトは得物の大太刀を取り出す。
「……ミニビヒモーさんは怪我しないように、逃げていてね……」
アンジェはミニビヒモーを退避させて、安全を確保した上で後衛に下がる。
「ラバン、敵に気が付かれる前に前足を狙って先制攻撃なのだ」
「了解なのだししょー!」
ラバンの《精密射撃》がスコッと当たる。以前より精度は上がっているらしい。すると、地面が盛り上がって中から出て来たのは背中に大きな木を背負った四足歩行の魔獣であった。正解である。
「まずは攪乱していくのだ!」
大福の《攪乱射撃3》が命中し、エーテルに侵される樹木魔獣。続いて粽があっちへこっちへと動いて攪乱させ、追撃として噛みついていく。
「今なら当たるものも当たらなくなるですぅ~えいっ」
フェリシアは《魔矢》を放って、樹木魔獣にコツコツとダメージを与えていくようだ。
「これで、守りを固めます……」
アンジェが《サークルプロテクション》の光を広げる事で、全員の身が確実に護られていく。
「思いっきりぶった斬る!!」
アルベルトは《千鳥雷切斬》で勢いよくだるま落としするが如く樹木の部分を叩く。怒った樹木魔獣はターゲットをアルベルトに決め、頭の樹木を振り回す。範囲内に居たアルベルトに当たりかけるも、間一髪で躱した。
「ふぅ、危ない所だったな!」
攪乱射撃のエーテルも効いていたのだろう。そして更に分かった事がある。この魔獣は……足が遅い。
「いい感じに木こりしていくのだー!」
ラバンはアルベルトが攻撃した箇所をきちんと観察して、そこに当てるべく今は集中しているようだ。
「確実に当てるのだ、ラバン!」
大福が声でサポートしながら《精密射撃3》を当てて木を削っていく。何故か生命も共有されているらしく、下の根っこ側の魔獣も痛がっている。粽は魔獣の顔に噛みついた。
「削りますよ~……当たれっ」
フェリシアは引き続き《魔矢》を当てる。
「ラバン、やってみたい事があるのだ!」
ラバンが放ったのは《ハーツベインショット》。上手い事命中した不可視のエーテル付きの矢が、樹木魔獣を蝕んでいく。木にただちに影響は無いが、倒したらすぐに木こりした方がいいかもしれない。
「おお、上手く当てられて凄いのだ! 成長してるのだ!」
大福も喜んでいる。リスバンはチョケケと動いて独撃の前歯で齧っていく。
「少し怖いけれど……」
アンジェも《魔矢》を放ち、攻撃に参加する。
「よし、行くぜ!」
《鋭撃2》をアルベルトが当てた事で、片足を深く地面に押し付ける樹木魔獣。先ほどの《千鳥雷切斬》の時もそうだが、結構痛そうにしている。
樹木魔獣は片足を痛がりながらもアルベルトに突進をかました事で、アルベルトは《重点硬化2》で防ぎながらも少し後退させられる。
「っ、威力はそこそこだが押す力は半端じゃないな!」
《サークルプロテクション》の光もあってか、ダメージは最小限で済んだようだ。
●伐採の時
ハーツベインショットが少しは効いただろうか。ラバンのサポートに合わせて大福も《精密射撃3》を再び射ってダメージを蓄積させていく。
「ラバン! 次もイケるのだ?」
「もちろんなのだ、ししょー!」
フェリシアの《魔矢》もきちんと効果は発揮されている。確実に樹木魔獣は体力を減らしているのだ。
「このままやっちゃいますう~」
「かくじつに決めて倒しちゃうのだー!」
ラバンは《強射》を樹木魔獣の顔へと当てる。よろめく樹木魔獣。
「それでは、回復します……!」
アンジェが《ヒール2》をアルベルトに行使し、光のエーテルが傷を癒していく。
「助かったぜ! またぶん回して来る前に決めておくぞ!」
《チャージング》で近づき、《鋭撃2》を思いっきり当てるアルベルト。すると樹木魔獣は足を地に付けているのが保てなくなり、のびるように倒れた。
「倒した……のだ?」
ラバンがリスバンに確認させる。リスバンはチョケッと嬉しそうに鳴いた。
「やったのだししょー!」
「ラバンもよくやったのだ~!」
喜ぶラバン、そして大福。安堵の顔でアルベルトは大太刀を収納し、フェリシアも笑顔を見せながら戦闘態勢を解除し、アンジェはホッとしながら肩を撫でおろしたのだった。
●加工作業
「よし! 伐り終わったぜ」
アルベルトが大太刀を駆使しつつ、切り株になる程の大規模な木こりまでやってのけた。
「その枝を伐るのだ、ラバン」
「りょーかいなのだ!」
子供用ノコギリで枝を伐って、粽が運び出す。枝と言ってもかなり太く、牧場の柵に丸々一本使えてしまうかもしれない。机や椅子に加工するのは勿論、農具にだってなるだろう。
「小さな鶏小屋くらいなら作れるかもなのだ~。リスバンの休憩巣箱も作るのだ?」
「わぁ……! リスバン、ししょーに感謝するのだ! ほらほら!」
チョケチョケ鳴いているリスバンだった。
アンジェは本体に根付いていた太い原木の使い道を考えていた。
「長い木を切るのはもったいないから……そのまま大きい天幕の柱とか……?」
木の皮からは繊維を採ったり、染料にしたり出来るだろう。
「葉っぱは……あ、ミニビヒモーさん食べちゃ駄目です……」
もっしゃもっしゃ。ミニビヒモーは葉っぱを食べるだけで大満足だった。
フェリシアは根っこを観察している。
「この木、どうやって魔獣にくっついたんでしょうね? 共存してるとかです?」
上の木が攻撃された際に魔獣が痛がっていたので、共存以上の関係性があったのは間違いない。生命の神秘というやつだ。
机や椅子、柵などを色々試作で作ってみたところで大福が休憩を提案する。
「そろそろ休憩するのだ~」
お花見セットを広げ、春の行楽弁当をあらかじめ持って来た大福の隣に座るラバン。
「わーい休憩なのだー! ……何作ってるのだ?」
木彫りの栗鼠……いや、これはリスバンだった。
「ラバンに木彫りのリスバンをプレゼントなのだ!」
「わぁぁ……!」
ラバンの顔が輝く。
「誰かの助けになりたいって気持ち、立派なのだ! 一人前のシューターになってて師匠は嬉しいのだ!」
「ありがとーなのだししょー!!」
ラバンは木彫りのリスバンをくるくると眺めながら喜んではしゃいだ。
「良かったですねぇ~」
フェリシアは微笑ましく見つめていた。
●作品と共に去りぬ
いくつも作ったので持ちきれないかと思ったが、まだ天気は晴れているし昼間なので、荷馬車を借りたり近所の人に手伝ってもらいながら地道に少しずつ地元に運んで行くという。
「どうせ盗むような人もいないから、頑張って運ぶのだ!」
「おお、偉いな! 頑張れよ」
アルベルトもギルドまでだったらいくつか持って運べるかもしれないが、ラバンが言い出した事なので特に止めはしなかった。
「またいつか、一緒にお仕事するのだ~! シャルガネに遊びに来るのでもいいのだ!」
「そうするのだー!」
皆にバイバイと手を振りながら、ラバンはよいしょと荷物を抱える準備をするのだった。
後日、ラバンの地元に柵が増えて天幕付きの休憩スポットが増え、農具が寄贈されたという――。
マスターコメント
お疲れ様でした!大きなダメージも無く上手く討伐する事が出来ました。
作った物は帝国南部のラバンのいる拠点付近の皆さんが有効活用してくれるそうです。
リスバンの巣箱と木彫りリスバンはラバンが大切に持っておきます。ありがとうございます。
またのご参加をお待ちしております!
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人
2022年07月29日 00時55分16秒 公開
大成功
相談掲示板
…あの、…アンジェ、です。ヒーラー…、です。 よろしく、お願いします…。(ぺこり) あの、できるのは…、サークルプロテクションとヒールくらいです…。
シューターの大福と相棒の狼、粽(ちまき)なのだ~ よろしくお願いします、なのだ~! 久しぶりにラバンに会えて嬉しいし ウォーリアさん二人とヒーラーさんも来てくれて、とっても心強いのだ! ラバンが木材を使いたいみたいだから火は使わないようにして 攪乱射撃や精密射撃でウォーリアさんたちのアシストが出来ればなと思ってるのだ 他は索敵のための捜波と、木材加工のための建築・土木スキルを持って行くのだ まだ1レベルだけど少しは役に立てるかもしれないのだ あと休憩とれたら皆でお弁当食べれたら嬉しいのだ~ 冷たいお茶も持って…バナナはおやつに入…Σはっ! 分かってるのだ。これはお仕事なのだ(キリッ