【樹謂】赤狐、多い仕事に依頼出す
狐野径
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シナリオID:2271
オープニング
●ちびたち元気一杯
フィルエス大森林灰火の里の一つで、グレイオンスが住む里。
グレイオンスと冒険者が世界樹に向け旅立った。
残された者たちは、グレイオンスがいると考えて相談や依頼を経由してもらおうと来る人達がいるし、先日襲撃もあったための警戒もあった。避難で来た人が方々に移動する前にやってきていたり、人口密度が高い。そのような状況をまずを住民が分担してどうにかしていた。
そのような中、子どもであるエキルとラビトはワクワクしていた。
好奇心旺盛かつ自分で活動したい年頃。
冒険者が来るという事は色々話ができると思うし、ひょっとしたらカカオの情報を得られるかもしれないと想像する。
一方で、二人の親たちが自分たちの子どもが里の中を動き回るのを警戒していた。襲撃者がいなければそこまで気にしなかったが。
双方の両親は相談の結果、ウル・ヘルバに頼むことにした。
「という事で、キツネちゃん、この子たち、よろしく」
「どういうこと! なんで俺!」
「……この子たちに一番近い年齢なの、キツネちゃん」
言われたハーフビーストのウルは年齢近そうなエルフを思い出す。
世代が同じな青年たちは、若干上なのだ、悔しいことに。
その下にはいないわけでもない気がしたが、ウルが里の外に出たこともあり、縁がない。
呆然としていると、エキルとラビトが「キツネさーん」と両脇から抱き着いてきた。
「なつかれているんだもの」
「そうなのよね」
親たちはよかったとうなずきあっている。
ウルの分析では、二人が自分になつくのは、ハーフビーストであり、授恵者だから冒険者だということのはずだ。
ウルの反論が間に合わないまま、両親たちは「よろしく」と出ていく。
「ボクたち、キツネさんの手伝いする!」
「ぼくたち、がんばるよ!」
「手伝ってもらうことはねぇけど」
ウルが真顔で言うが、しばらく考える。
「ヤギ」
「やる!」
「お前らにはやらせねぇよ!」
「独り占め」
「違う! 里の外に……いや、ヤギたち里の中に入れておかねぇとまずいか」
「する!」
二人が走り出そうとしたからウルは服をつまんだ。
「だから、危ないって言っただろ!」
「えええ」
「何か手伝うよぉ」
ウルは両脇から二人にもみくちゃにされながら、しばらく考えた。
するべきことはたくさんあるが、子どもだけにするのはダメだ。
エルフ同士でどうにかなる内容は里のエルフたちがさばいているが、冒険者周りやどうしていいかわからないことはウルに回してくる節がある。
ウルは色々考え「俺、若いんだよな?」と思わずつぶやいた。
●巫女、現る
モルアモの里で巫女をしているファシオ。
ハイアルヴについて知り、愕然とした。
自分がハイアルヴだと思って聞いていたお告げは何だったのだろうか?
それは、世界樹なのだろうか? もしくは?
「ハイアルヴって何、結局!」
大声で叫んだところ、扉が開いて族長が入ってくる。
「落ちつこう」
「私が聞いたことで何か事件が起こっていないって保証がないんじゃ!」
「ない」
「否定もしない!」
「否定するにも材料がないし……あの子の事件以来、他の種族をどう考えるか自分たちで決めていた節もあるし、問題がある状態があったとは私は思っていないから」
「……あ、確かに」
モルアモは比較的穏やか。
族長が言うように、特に何もない。
なお、お告げは聞かない方がいいなら、今暇なのかもしれないとファシオは考えた。
「今なら、私いらないな」
「いや、巫女という役割はともかく、君が不要って話にはならないよ?」
「そこじゃない! ちょっと出かけてきていいかって話」
「危険もあるだろう」
「行ってくる」
「どこに」
「ルインの里に。どう考えても情報ほしい」
「気を付けて行ってくるんだよ」
族長に見送られて、突撃するかの如くファシオは出かけた。
そして、里に来て「頼もう!」と入り口でいきなりの挨拶。
周囲にいたエルフたちの注目を集める。
「グレイオンス殿はおられるか」
近くにいたエルフが応対する中、グレイオンスの家からウルが出てくる。
両脇にエキルとラビトをくっつけて。
ファシオはウルの方に一直線に行く。
「おい、キツネ!」
「……げっ、なんで、ここにいるんだ」
「子持ちか」
ウルは即刻「違う」と否定するが、エキルとラビトは「おとーさん」「わーい」とともみくちゃにする。
「てめぇら、乗るな。グレイは今出かけていねぇぞ」
「っ、なんと!」
ファシオが非常に落胆したので、ウルが心配になり、
「ゆっくりしていきな」
という。ファシオはため息をつく。
「……相談に乗ってほしかったが……お前に言っても仕方ないな」
「んー、あんたのとこの族長には相談したのか?」
「……別に」
「ふてくされるんじゃねぇよ! 俺の方がふてくされそうだし」
ファシオはしおれて里の中を歩きだした。
ウルはハイアルヴが世界樹、そして、お告げを聞くなという話から、巫女である彼女が不安や心配など様々な気持ちになっているのだろうと想像はできた。
とはいえ、ウルだとケンカになるだけで、相性はよくない。
ウルは冒険者で手が空いている人がいれば、頼みたいことリストを提示した。
一つ、モルアモの巫女ファシオが里の中うろついているから、相談に乗るまたは話を聞いてほしいということ。
一つは里の外にいるはずのヤギ三頭を里の中に連れてきてほしいこと。
一つはラビトとエキルの遊び相手。興味があるのは冒険者についてとカカオ栽培について。直近の遊びはキツネさんごっこ、最近の遊びは、カカオ発見ごっこ。
避難してきている人たちに対しての炊き出しや怪我人などの救護。基本的にかすり傷。
なお、避難してきている人は行き先があるとここから別のところに行くので休息のために来ている。
情報を求めに来ている人やグレイオンスに相談に来た人などの整理。
魔物や異変がないか見回り。
それぞれの人がやりたいことを少しでもしてくれると助かるという部類。
ウルがお願いを出しているのを見て、ラビトとエキルが小躍りし始める。
「冒険者ギルドっぽい」
「ギルドの人だね、キツネさん」
「ボクたちも?」
「そうだね」
とりあえず、二人は紙に何かを書き始めた。
フィルエス大森林灰火の里の一つで、グレイオンスが住む里。
グレイオンスと冒険者が世界樹に向け旅立った。
残された者たちは、グレイオンスがいると考えて相談や依頼を経由してもらおうと来る人達がいるし、先日襲撃もあったための警戒もあった。避難で来た人が方々に移動する前にやってきていたり、人口密度が高い。そのような状況をまずを住民が分担してどうにかしていた。
そのような中、子どもであるエキルとラビトはワクワクしていた。
好奇心旺盛かつ自分で活動したい年頃。
冒険者が来るという事は色々話ができると思うし、ひょっとしたらカカオの情報を得られるかもしれないと想像する。
一方で、二人の親たちが自分たちの子どもが里の中を動き回るのを警戒していた。襲撃者がいなければそこまで気にしなかったが。
双方の両親は相談の結果、ウル・ヘルバに頼むことにした。
「という事で、キツネちゃん、この子たち、よろしく」
「どういうこと! なんで俺!」
「……この子たちに一番近い年齢なの、キツネちゃん」
言われたハーフビーストのウルは年齢近そうなエルフを思い出す。
世代が同じな青年たちは、若干上なのだ、悔しいことに。
その下にはいないわけでもない気がしたが、ウルが里の外に出たこともあり、縁がない。
呆然としていると、エキルとラビトが「キツネさーん」と両脇から抱き着いてきた。
「なつかれているんだもの」
「そうなのよね」
親たちはよかったとうなずきあっている。
ウルの分析では、二人が自分になつくのは、ハーフビーストであり、授恵者だから冒険者だということのはずだ。
ウルの反論が間に合わないまま、両親たちは「よろしく」と出ていく。
「ボクたち、キツネさんの手伝いする!」
「ぼくたち、がんばるよ!」
「手伝ってもらうことはねぇけど」
ウルが真顔で言うが、しばらく考える。
「ヤギ」
「やる!」
「お前らにはやらせねぇよ!」
「独り占め」
「違う! 里の外に……いや、ヤギたち里の中に入れておかねぇとまずいか」
「する!」
二人が走り出そうとしたからウルは服をつまんだ。
「だから、危ないって言っただろ!」
「えええ」
「何か手伝うよぉ」
ウルは両脇から二人にもみくちゃにされながら、しばらく考えた。
するべきことはたくさんあるが、子どもだけにするのはダメだ。
エルフ同士でどうにかなる内容は里のエルフたちがさばいているが、冒険者周りやどうしていいかわからないことはウルに回してくる節がある。
ウルは色々考え「俺、若いんだよな?」と思わずつぶやいた。
●巫女、現る
モルアモの里で巫女をしているファシオ。
ハイアルヴについて知り、愕然とした。
自分がハイアルヴだと思って聞いていたお告げは何だったのだろうか?
それは、世界樹なのだろうか? もしくは?
「ハイアルヴって何、結局!」
大声で叫んだところ、扉が開いて族長が入ってくる。
「落ちつこう」
「私が聞いたことで何か事件が起こっていないって保証がないんじゃ!」
「ない」
「否定もしない!」
「否定するにも材料がないし……あの子の事件以来、他の種族をどう考えるか自分たちで決めていた節もあるし、問題がある状態があったとは私は思っていないから」
「……あ、確かに」
モルアモは比較的穏やか。
族長が言うように、特に何もない。
なお、お告げは聞かない方がいいなら、今暇なのかもしれないとファシオは考えた。
「今なら、私いらないな」
「いや、巫女という役割はともかく、君が不要って話にはならないよ?」
「そこじゃない! ちょっと出かけてきていいかって話」
「危険もあるだろう」
「行ってくる」
「どこに」
「ルインの里に。どう考えても情報ほしい」
「気を付けて行ってくるんだよ」
族長に見送られて、突撃するかの如くファシオは出かけた。
そして、里に来て「頼もう!」と入り口でいきなりの挨拶。
周囲にいたエルフたちの注目を集める。
「グレイオンス殿はおられるか」
近くにいたエルフが応対する中、グレイオンスの家からウルが出てくる。
両脇にエキルとラビトをくっつけて。
ファシオはウルの方に一直線に行く。
「おい、キツネ!」
「……げっ、なんで、ここにいるんだ」
「子持ちか」
ウルは即刻「違う」と否定するが、エキルとラビトは「おとーさん」「わーい」とともみくちゃにする。
「てめぇら、乗るな。グレイは今出かけていねぇぞ」
「っ、なんと!」
ファシオが非常に落胆したので、ウルが心配になり、
「ゆっくりしていきな」
という。ファシオはため息をつく。
「……相談に乗ってほしかったが……お前に言っても仕方ないな」
「んー、あんたのとこの族長には相談したのか?」
「……別に」
「ふてくされるんじゃねぇよ! 俺の方がふてくされそうだし」
ファシオはしおれて里の中を歩きだした。
ウルはハイアルヴが世界樹、そして、お告げを聞くなという話から、巫女である彼女が不安や心配など様々な気持ちになっているのだろうと想像はできた。
とはいえ、ウルだとケンカになるだけで、相性はよくない。
ウルは冒険者で手が空いている人がいれば、頼みたいことリストを提示した。
一つ、モルアモの巫女ファシオが里の中うろついているから、相談に乗るまたは話を聞いてほしいということ。
一つは里の外にいるはずのヤギ三頭を里の中に連れてきてほしいこと。
一つはラビトとエキルの遊び相手。興味があるのは冒険者についてとカカオ栽培について。直近の遊びはキツネさんごっこ、最近の遊びは、カカオ発見ごっこ。
避難してきている人たちに対しての炊き出しや怪我人などの救護。基本的にかすり傷。
なお、避難してきている人は行き先があるとここから別のところに行くので休息のために来ている。
情報を求めに来ている人やグレイオンスに相談に来た人などの整理。
魔物や異変がないか見回り。
それぞれの人がやりたいことを少しでもしてくれると助かるという部類。
ウルがお願いを出しているのを見て、ラビトとエキルが小躍りし始める。
「冒険者ギルドっぽい」
「ギルドの人だね、キツネさん」
「ボクたちも?」
「そうだね」
とりあえず、二人は紙に何かを書き始めた。
解説
●目的・目標
里のある一日(朝から夕方まで)。
●里の状況
各地から来たエルフが多い。
避難途中で寄った人もいるし、情報収集や依頼・相談で来ている人たち。
炊き出しをしたり、休憩所を用意したりしている。
先日、火災のあった家の修復が行われている。
※狐野径「【樹謂】里の違和感、煙と人と」が先日に当たりますが、読まなくても問題ないです。
●NPC
・ウル・ヘルバ 授恵者のハーフビースト。
エルフの里で縁あって育つ。
基本的に里長や自警団もいるからすることないはずが、分類不能の仕事がやってくる。
・エキルとラビト
十歳くらいのエルフ。エキルが女、ラビトが男。
両親は別だけど、物心ついたころから一緒にいるのできょうだいみたい。
元気が有り余っているため、遊んだり、好奇心を満たしてくれると嬉しい。
カカオに興味があるのは、カカオがあればチョコレートを作れると知ったから。
・ヤギ メス、三匹。ただのヤギ。
里の外に小屋を持ち、自由に暮らしている。
状況を考えると、里の中に入れておいた方がいいとウルが判断したので、里にの中に連れてきたい。ヤギたちは自由気まま。
里の外にいる経緯は、色々あってグレイオンスに押し付けられた。なお、グレイオンスは「預かっているだけ」という認識。ウルが里にいるときは世話をしている。
・ファシオ モルアモの巫女。
ハイアルヴって何、巫女ってなんだという気持ちになってやってきた。
【呪輪】での元凶フェンヌ・ダーニの故郷であるが、彼女が里を出る際の巫女とはファシオは関係ない。同年代で色々考えることはあるけれども。
・その他の里のエルフたち 警備したり、家を直したり、炊き出しをしたり、狩りに行ったりと普通に行動している。
・他の氏族などから来た人 避難途中や相談・依頼に来たりと様々。
不安だったり、平穏さにホッとしたり、ちょっとけがしていたり、具合が悪いことも……あるけれども、命の危機に陥っている状況ではないという点は共通。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
ヤギは本当にただのヤギです。芸ができるとか、すごい生き物ってことはないです。
まぁ、小屋をもってその周りで暮らしていると考えると、ある意味能力? そこはファンタジーで。
できることはOPや解説から判断いただく、フリーアタックと言われるものです。
カカオ発見ごっこ……カカオに似た形の石とかみつけると小躍りして埋める、似てないとどこかにぶん投げておしまい……かもしれないです。
なお、先行シナリオにいるから見送られている……という悩む方でも、気にしなくてよいです。厳密を考えるなら、同時期及び、そちらに注意事項書きますので、注意はないです。
よろしくお願いします。
リプレイ
●依頼主の元へ
ストレガ・L・リベルガストラは依頼主ウル・ヘルバがいる家に寄る。入るとウルの周りにまとわりつくエキルとラビトに声を掛けた。
「カカオについて知りたいということなのだ?」
二人は嬉しそうに「カカオ!」と返事した。
ストレガは二人を連れて話がしやすいところに出かけるのだった。
アンジェは冒険者となったし、できることはしたい。今回は、ヤギを連れてこようと考える。
家の手前で、ストレガたちとすれ違う。その時、エキルとラビトはアンジェに手を振っていった。何だろうかと考えるけれども、好意的なものだと感じて、ほっとした。
気を取り直してノックして、中に入る。
ウルにらまれたような気がしたが、そのキツネ耳がピコピコ動いたのでなぜか安堵した。
アンジェは「あの、ヤギさん、探し、に」と言葉を絞り出した。
ウルは「助かる」というと説明をした。
ヤギの小屋と大体いそうな場所、どこに連れてくるのかを簡単な地図を描いて教えてくれた。
アルシエラ・ライゼルは、殴り込みのようにやってきたモルアモの巫女ファシオに声を掛けた。
「お悩みがあるなら、アルシエラが聞くよ」
と声を掛けると、ファシオは上から下まで見てから口を開いた。
「ふむ、冒険者なら、わしよりあちこち見ていよう。話をして帰ってもよかろう」
アルシエラは「あれ?」と思った。
悩みがありそうなファシオの話を聞くはずが、立場が変わっているようだった。
サイラスは炊き出しの準備をする。
逃げてくる人たちの体調を考えると、消化に優しい料理がいいと考える。
パンでも米でも、柔らかく、粥状が良いだろう。
状況に応じて怪我人救護や気分転換に楽器演奏も考える。
何より、臨機応変で。
ハリーヌ・ヨツユビは目まぐるしく起こる大森林での事件に、
「大騒ぎでございますねぇ」
と思いつつ、状況を精査する。
「お告げを聞くな……とはどういう状態でございましょうか?」
ハイアルヴが世界樹だったということから、余計に現状がわからない。
何はともあれ、余裕があればファシオに声を掛けるとして、まずは、火災の現場の後始末を手伝うことにした。
●衝撃のカカオ!
ストレガは実物のカカオを見せられるとよいと考えていたが、簡単に手には入らなかった。
「カカオはこういう感じなのだ」
念写でカカオを見せる。
エキルとラビトは楽しそうだ。
「わ、すごーい!」
「話に聞いていたのとちょっと違う?」
ストレガは「なぜ、カカオなのだ?」と問う。
エキルとラビトは先日、チョコレートを配ろうとして森の外に行ったことを語った。冒険者にチョコレートを作ればいいと教えてもらったそうだ。
「チョコレートを作るためにカカオを育てたいのだ?」
エキルとラビトが「そうなの!」と元気よく答えた。
ストレガは「結論から言うと、フィルエス大森林ではカカオを育てるのはちょっと難しいのだ」と告げた。
「やっぱり」
「聞いてたけど」
二人はしょんぼりする。
ストレガは説明を進める。
「ここは温暖で気温も安定し、植物を育てやすい環境ではあるのだ」
エキルとラビトが真剣な顔でうなずく。
「カカオは高温多湿を好むのだ。常に暑めで水分が多い環境なのだ。つまり、サウゼルのような熱帯環境」
「どこにあるの?」
ストレガは簡単な地図を描いて説明する。
「見てみたいな」
「カカオいっぱいあるんだよね」
二人はワクワクしている様子だ。
「連れて行ってもらうか、大きくなってから行くのがおすすめなのだ」
「そうだよね」
二人はパンクリアース学園に行って、カカオを育てる勉強をしたいという目標を語ってくれる。
「ここで育たないというわけでもないのだ。だから、知識を得て、可能性を探るのも大切なことなのだ」
ストレガはカカオが日陰を好むから大森林でも育てられるかもしれないこと、近くにあるシグモル火山は温泉が出るし、暑さがあることを利用することなどを伝えた。
「大量発生したのはエドゥノーグで、そこはダンジョンという特殊環境なのだ」
ストレガは二人の好奇心に自然と顔が緩む。
「エルフには長い時間があるのだ。じっくりカカオを研究して、世界に証明してほしいのだ」
小さいエルフ二人は寿命を言われてもピンとこない様子だ。
ストレガはチョコレートを取り出して、エキルとラビトに渡した。
「ゴールディの孤児院の子らが作った農場でカカオは作られているのだ。彼らはチョコを卸すためにがんばっているのだ」
「もらったら悪いよ」
「今日のご縁で、気持ちなのだ」
ストレガは二人が食べやすいように告げる。
「ぼくたちが食べると、いいことがあるってことだね」
「色々頑張らないとだね」
二人はチョコレートを三等分して食べることにした。
いずれは自分たちで育てたり、買うことを考えて。
●思い
アルシエラはファシオと里の隅っこに座って話を聞く。
アルシエラが「どういう悩みなの?」と問うと、ファシオはぽつぽつ話し出したかと思うと、だんだん止まらなくなる。
「だいたい、『お告げを聞くな』とか言われて、巫女ってなんじゃって気持ちになろう?」
「巫女は神に仕える女性って意味だよね」
「何にせよ、世界樹だったわけだけれどもな。それはいい。これまでしたお告げはどうなのだ?」
「でも、ハイアルヴが世界樹なら、世界樹の言葉だったわけだよね?」
世界樹は北の征竜と同じ時期に作られた存在であり、神と小さき者たちをつなぐものでもある。
ファシオは「世界樹なら別によいのじゃ」と言い、続ける。
「世界樹が『聞くな』と言うということは、得体のしれぬ何かの言ったものがあるのかどうかってなるのじゃ!」
「でも、ファシオが伝えて、事件とかなったことあるの?」
「ない、と思う……ないと思いたい」
アルシエラはファシオの悩みが現在入っている情報と、あいまいな部分が合わさった結果、心のよりどころをなくしていると感じられる。
「なら、問題なかったんだよ。だれかが盗み聞きしていたか知らないけれども、ファシオのところでは問題なかったんだから肩の力を抜こう!」
「まぁ、そうじゃな」
「確かに混乱はするけど、何もなかったんだったら、気にしすぎるとよくないよ」
「まぁ、確かに。族長も気にしている様子ではなかったし」
「そう?」
「むしろ、否定も肯定もせぬ」
「責めたわけじゃないだよね」
「そうじゃ」
「なら、ファシオは問題なく巫女の役割をこなしてきたんだよ」
ファシオは徐々に落ち着いてきた。
アルシエラは提案をした。
「今何が起こっているかわからないけど、例えば、巫女会議とか開いたら?」
「は?」
「お告げと結果の情報を集めていけば、法則性や答えが出るよ」
「なるほど、情報の突き合わせ、か」
「そうそう」
ファシオは笑う。
「まぁ、会議を開くのは今は難しいだろうから、グレイオンス殿が世界樹から何を聞いてくるかによるの」
「一つずつ、考えるのが結構いいと思うよ」
「だな。まぁ、礼を言う」
アルシエラはファシオが落ち着いた様子を見せているので、安堵した。
アルシエラはファシオと別れた後、救護活動を始める。
●お告げとは
火災があった現場は家の全焼はまぬかれているけれども、修繕または壊しての再建が必要な状況のようだ。
ハリーヌが手伝いを申し出る。
「このようなナリでも授恵者でございます。ゴリラも力持ちでございますからね。お手伝いするでございますよ」
現場で指揮を執っているエルフはハリーヌとゴリラを見た後「よろしくお願いします」と告げる。
ハリーヌとゴリラは、まとめられているがれきや廃材を運ぶことにする。また、わかるならば建材を運んで来ようと考える。
「どこに運べばよいでございますか」
「あっちで分別しているから」
ハリーヌはがれきなどをうまいことまとめ、マジカルポケットにしまう。
ゴリラにはまとまっていて持ちやすいものを選んで持ってもらう。
がれきを運び終えると持って行く建材をマジカルポケットに収納した。
合間に状況を聞こうと現場の人に話しかける。
「この火災も、ハイアルヴの妙なお告げのせいで起きたのでございますか?」
「そうみたい」
「それにしても、里が丸焦げにならなかったのは不幸中の幸いでございます。早く再建して、元の生活を取り戻すのでございますよ」
「そうね。冒険者がたまたま来てくれていて、今回も助かる。ありがと」
「いえいえ」
何往復かすると、運ぶものもなくなる。
ファシオの様子も気になったので、声を掛けに行くのだった。
ハリーヌはお花見セットを広げ、チョコ―レートをお茶請けとして用意する。
「ファシオ様は、最近ハイアルヴまわりのことで不安を感じていらっしゃるのでございますね」
「不安なるなってことがおかしかろう!」
ハリーヌが疑問に思ったあたりがポンポン出る。
お告げを聞くなと言われて、今まで聞いて出してきたことはどうなるのか、と不安視するのも理解できた。
「ですが、エルフにとって、巫女様は特別な存在でございましょう。皆様が動揺している今、お告げがなかろうと、導ける立場の方は必要なのでございます」
「人望がないから、族長にいらないと言われたら!」
「そういわれたのでございますか?」
「言われてない」
「なら、勝手に想像なさっては自滅となりましょう?」
「確かになぁ……」
「世界樹については、グレイオンス様が今お調べになっていると聞いたでございます。あなた様が必要ないなど、結論付けるのはきっとまだ早いでございますよ。吉報をを待つでございます」
ファシオは「そうだの」と短く言った後礼を述べ、帰るかしばらくいるか考えることにした。
●ヤギ
アンジェは里の外に出る。
人の目がないためか、森の中はどこか落ち着く。とはいえ、油断すると何があるかわからない。
ヤギがいるだろう方に向かってみる。
見つけるのは簡単だった。
ヤギは小屋の近くでそれぞれの時間を過ごしていた。
どうやって連れていくかは思案するところで、動物のおやつを取り出した。
かわいいペットならまっしぐら、してくれるけれども、どうだろうか?
ヤギたちはちらりと見て、興味は持ってくれた。
「食べて、いいよ?」
動物交感も駆使し、ヤギと仲良くなろうとした。
小さいヤギは興味を持ってくれているけれども、大きいのはそっけない。中くらいのは小さいヤギを気にして、アンジェをじっと見る。便宜上大中小と言っているけれども、中と小はあまり大きさが変わらない。
「……三匹一緒に、いける、かな?」
小さいヤギを連れて行けば、中くらいのは来てくれそう。
親子だったら、攻撃されそうだしと色々考える。
小さいヤギにロープをかけてみる。
「め、めぇえええ」
「めぇええ」
ヤギたちがアンジェに向かってきた。
慌てて逃げて、木に隠れた。
「ロープ、嫌い、なの?」
アンジェに向かってきただけでロープを気にしている様子はない。
「……うーん」
小さいヤギをかばおうとしたため、まずは中と仲良くなるべきだろうか?
アンジェは「ごめんね、びっくりさせて」と声を掛ける。
そして、少しずつ、近づくとロープを外した。
おやつを食べないけれども、目では追っている。
ここでひらめいた!
そのままおやつを持って移動してみた。
小さなヤギと中くらいのは誘導されてくれる。大きいのは何があったのかというようについてきてくれた。
無事、ヤギたちは中に入ってくれた。
「あの、終わった……よ」
ウルに報告すると「ありがと」という。
「他のお手伝いもする、よ」
「うん、無理するな」
アンジェの様子に気付いているようだった。
「ううん。怖いけど、困っているなら……アンジェ、も助けてもらったから」
「そっか。何かあったら、周りに言えば助けてもらえるから安心しろ」
アンジェはうなずくと、サイラスが活動している方に向かった。
●炊き出し
サイラスは空いている場所を借りて、料理作る。鍋に水を張り、切った材料などを入れていく。
火を通している間に余裕があったので、楽器で演奏をする。気持ちが落ち着くようにと、穏やかそうな曲調の物を選んだ。
音が耳に入ったことで、周囲の人々の気持ちが少し変わったようであった。
避難しないといけないなどの気持ちで焦っていたところは、思考が途切れ、余裕が生まれたかもしれない。
鍋を見て火の加減を調整し、器に盛り、提供する。
提供することで、避難してきた人たちは、着の身着のままなのがわかる。
ケガをしている人も散見された。
痛がっているというわけではないため、最低限の手当てでよいのだろうと考える。何もしないことで悪化することだってあるのだ。
サイラスは手当をする人たちにアルシエラの姿を見た。人手があることをとらえつつ、まずは料理の提供を進めた。
料理の提供がひと段落ついたところで怪我人や具合の悪そうな人に声を掛けることにした。
大きなケガがあれば、救護する人たちに優先的に見てもらっているだろう、と考える。
持っている知識でどうにかなる部分を無理せず対応した。
そういうことをしていると「わしも何かしよう」とファシオがやってきた。
「おれより、この里の人に聞いたほうがよいかも? 食事をよそうなら、そっちでも」
「ふむ、まず、そのくらいするか」
ファシオは素直に、鍋の方に向かった。
巫女である彼女は不安がっていたらしいが、冒険者が話を聞いたおかげで気持ちの整理がついたように見える。
いずれにせよ、サイラスにはハイアルヴがどうのというのは、わかりづらい面もある情報という認識である。ハイアルヴとは直接関係せず、仕事としてかかわるとしても。
なお、ハイアルヴが世界樹だったという点や世界の状況を考えると、神話や民間で伝わっているような伝説の生き物が、実は生きていたという事もありうるのかと考え始める。
「そうなると、世界樹は人のふりをする植物かぁ?」
どうなるかはわからないため、情報を集め、状況を見ていくしかない。
アンジェもやってきて、徐々にここも人手が増えてくる。
ウルに頼まれた仕事が終わっても、あとからあとから仕事は出てくる。
それでも、一日が終われば、仕事も区切る。
「結構、助かった。ありがと」
ウルが声を掛けるのだった。
ストレガ・L・リベルガストラは依頼主ウル・ヘルバがいる家に寄る。入るとウルの周りにまとわりつくエキルとラビトに声を掛けた。
「カカオについて知りたいということなのだ?」
二人は嬉しそうに「カカオ!」と返事した。
ストレガは二人を連れて話がしやすいところに出かけるのだった。
アンジェは冒険者となったし、できることはしたい。今回は、ヤギを連れてこようと考える。
家の手前で、ストレガたちとすれ違う。その時、エキルとラビトはアンジェに手を振っていった。何だろうかと考えるけれども、好意的なものだと感じて、ほっとした。
気を取り直してノックして、中に入る。
ウルにらまれたような気がしたが、そのキツネ耳がピコピコ動いたのでなぜか安堵した。
アンジェは「あの、ヤギさん、探し、に」と言葉を絞り出した。
ウルは「助かる」というと説明をした。
ヤギの小屋と大体いそうな場所、どこに連れてくるのかを簡単な地図を描いて教えてくれた。
アルシエラ・ライゼルは、殴り込みのようにやってきたモルアモの巫女ファシオに声を掛けた。
「お悩みがあるなら、アルシエラが聞くよ」
と声を掛けると、ファシオは上から下まで見てから口を開いた。
「ふむ、冒険者なら、わしよりあちこち見ていよう。話をして帰ってもよかろう」
アルシエラは「あれ?」と思った。
悩みがありそうなファシオの話を聞くはずが、立場が変わっているようだった。
サイラスは炊き出しの準備をする。
逃げてくる人たちの体調を考えると、消化に優しい料理がいいと考える。
パンでも米でも、柔らかく、粥状が良いだろう。
状況に応じて怪我人救護や気分転換に楽器演奏も考える。
何より、臨機応変で。
ハリーヌ・ヨツユビは目まぐるしく起こる大森林での事件に、
「大騒ぎでございますねぇ」
と思いつつ、状況を精査する。
「お告げを聞くな……とはどういう状態でございましょうか?」
ハイアルヴが世界樹だったということから、余計に現状がわからない。
何はともあれ、余裕があればファシオに声を掛けるとして、まずは、火災の現場の後始末を手伝うことにした。
●衝撃のカカオ!
ストレガは実物のカカオを見せられるとよいと考えていたが、簡単に手には入らなかった。
「カカオはこういう感じなのだ」
念写でカカオを見せる。
エキルとラビトは楽しそうだ。
「わ、すごーい!」
「話に聞いていたのとちょっと違う?」
ストレガは「なぜ、カカオなのだ?」と問う。
エキルとラビトは先日、チョコレートを配ろうとして森の外に行ったことを語った。冒険者にチョコレートを作ればいいと教えてもらったそうだ。
「チョコレートを作るためにカカオを育てたいのだ?」
エキルとラビトが「そうなの!」と元気よく答えた。
ストレガは「結論から言うと、フィルエス大森林ではカカオを育てるのはちょっと難しいのだ」と告げた。
「やっぱり」
「聞いてたけど」
二人はしょんぼりする。
ストレガは説明を進める。
「ここは温暖で気温も安定し、植物を育てやすい環境ではあるのだ」
エキルとラビトが真剣な顔でうなずく。
「カカオは高温多湿を好むのだ。常に暑めで水分が多い環境なのだ。つまり、サウゼルのような熱帯環境」
「どこにあるの?」
ストレガは簡単な地図を描いて説明する。
「見てみたいな」
「カカオいっぱいあるんだよね」
二人はワクワクしている様子だ。
「連れて行ってもらうか、大きくなってから行くのがおすすめなのだ」
「そうだよね」
二人はパンクリアース学園に行って、カカオを育てる勉強をしたいという目標を語ってくれる。
「ここで育たないというわけでもないのだ。だから、知識を得て、可能性を探るのも大切なことなのだ」
ストレガはカカオが日陰を好むから大森林でも育てられるかもしれないこと、近くにあるシグモル火山は温泉が出るし、暑さがあることを利用することなどを伝えた。
「大量発生したのはエドゥノーグで、そこはダンジョンという特殊環境なのだ」
ストレガは二人の好奇心に自然と顔が緩む。
「エルフには長い時間があるのだ。じっくりカカオを研究して、世界に証明してほしいのだ」
小さいエルフ二人は寿命を言われてもピンとこない様子だ。
ストレガはチョコレートを取り出して、エキルとラビトに渡した。
「ゴールディの孤児院の子らが作った農場でカカオは作られているのだ。彼らはチョコを卸すためにがんばっているのだ」
「もらったら悪いよ」
「今日のご縁で、気持ちなのだ」
ストレガは二人が食べやすいように告げる。
「ぼくたちが食べると、いいことがあるってことだね」
「色々頑張らないとだね」
二人はチョコレートを三等分して食べることにした。
いずれは自分たちで育てたり、買うことを考えて。
●思い
アルシエラはファシオと里の隅っこに座って話を聞く。
アルシエラが「どういう悩みなの?」と問うと、ファシオはぽつぽつ話し出したかと思うと、だんだん止まらなくなる。
「だいたい、『お告げを聞くな』とか言われて、巫女ってなんじゃって気持ちになろう?」
「巫女は神に仕える女性って意味だよね」
「何にせよ、世界樹だったわけだけれどもな。それはいい。これまでしたお告げはどうなのだ?」
「でも、ハイアルヴが世界樹なら、世界樹の言葉だったわけだよね?」
世界樹は北の征竜と同じ時期に作られた存在であり、神と小さき者たちをつなぐものでもある。
ファシオは「世界樹なら別によいのじゃ」と言い、続ける。
「世界樹が『聞くな』と言うということは、得体のしれぬ何かの言ったものがあるのかどうかってなるのじゃ!」
「でも、ファシオが伝えて、事件とかなったことあるの?」
「ない、と思う……ないと思いたい」
アルシエラはファシオの悩みが現在入っている情報と、あいまいな部分が合わさった結果、心のよりどころをなくしていると感じられる。
「なら、問題なかったんだよ。だれかが盗み聞きしていたか知らないけれども、ファシオのところでは問題なかったんだから肩の力を抜こう!」
「まぁ、そうじゃな」
「確かに混乱はするけど、何もなかったんだったら、気にしすぎるとよくないよ」
「まぁ、確かに。族長も気にしている様子ではなかったし」
「そう?」
「むしろ、否定も肯定もせぬ」
「責めたわけじゃないだよね」
「そうじゃ」
「なら、ファシオは問題なく巫女の役割をこなしてきたんだよ」
ファシオは徐々に落ち着いてきた。
アルシエラは提案をした。
「今何が起こっているかわからないけど、例えば、巫女会議とか開いたら?」
「は?」
「お告げと結果の情報を集めていけば、法則性や答えが出るよ」
「なるほど、情報の突き合わせ、か」
「そうそう」
ファシオは笑う。
「まぁ、会議を開くのは今は難しいだろうから、グレイオンス殿が世界樹から何を聞いてくるかによるの」
「一つずつ、考えるのが結構いいと思うよ」
「だな。まぁ、礼を言う」
アルシエラはファシオが落ち着いた様子を見せているので、安堵した。
アルシエラはファシオと別れた後、救護活動を始める。
●お告げとは
火災があった現場は家の全焼はまぬかれているけれども、修繕または壊しての再建が必要な状況のようだ。
ハリーヌが手伝いを申し出る。
「このようなナリでも授恵者でございます。ゴリラも力持ちでございますからね。お手伝いするでございますよ」
現場で指揮を執っているエルフはハリーヌとゴリラを見た後「よろしくお願いします」と告げる。
ハリーヌとゴリラは、まとめられているがれきや廃材を運ぶことにする。また、わかるならば建材を運んで来ようと考える。
「どこに運べばよいでございますか」
「あっちで分別しているから」
ハリーヌはがれきなどをうまいことまとめ、マジカルポケットにしまう。
ゴリラにはまとまっていて持ちやすいものを選んで持ってもらう。
がれきを運び終えると持って行く建材をマジカルポケットに収納した。
合間に状況を聞こうと現場の人に話しかける。
「この火災も、ハイアルヴの妙なお告げのせいで起きたのでございますか?」
「そうみたい」
「それにしても、里が丸焦げにならなかったのは不幸中の幸いでございます。早く再建して、元の生活を取り戻すのでございますよ」
「そうね。冒険者がたまたま来てくれていて、今回も助かる。ありがと」
「いえいえ」
何往復かすると、運ぶものもなくなる。
ファシオの様子も気になったので、声を掛けに行くのだった。
ハリーヌはお花見セットを広げ、チョコ―レートをお茶請けとして用意する。
「ファシオ様は、最近ハイアルヴまわりのことで不安を感じていらっしゃるのでございますね」
「不安なるなってことがおかしかろう!」
ハリーヌが疑問に思ったあたりがポンポン出る。
お告げを聞くなと言われて、今まで聞いて出してきたことはどうなるのか、と不安視するのも理解できた。
「ですが、エルフにとって、巫女様は特別な存在でございましょう。皆様が動揺している今、お告げがなかろうと、導ける立場の方は必要なのでございます」
「人望がないから、族長にいらないと言われたら!」
「そういわれたのでございますか?」
「言われてない」
「なら、勝手に想像なさっては自滅となりましょう?」
「確かになぁ……」
「世界樹については、グレイオンス様が今お調べになっていると聞いたでございます。あなた様が必要ないなど、結論付けるのはきっとまだ早いでございますよ。吉報をを待つでございます」
ファシオは「そうだの」と短く言った後礼を述べ、帰るかしばらくいるか考えることにした。
●ヤギ
アンジェは里の外に出る。
人の目がないためか、森の中はどこか落ち着く。とはいえ、油断すると何があるかわからない。
ヤギがいるだろう方に向かってみる。
見つけるのは簡単だった。
ヤギは小屋の近くでそれぞれの時間を過ごしていた。
どうやって連れていくかは思案するところで、動物のおやつを取り出した。
かわいいペットならまっしぐら、してくれるけれども、どうだろうか?
ヤギたちはちらりと見て、興味は持ってくれた。
「食べて、いいよ?」
動物交感も駆使し、ヤギと仲良くなろうとした。
小さいヤギは興味を持ってくれているけれども、大きいのはそっけない。中くらいのは小さいヤギを気にして、アンジェをじっと見る。便宜上大中小と言っているけれども、中と小はあまり大きさが変わらない。
「……三匹一緒に、いける、かな?」
小さいヤギを連れて行けば、中くらいのは来てくれそう。
親子だったら、攻撃されそうだしと色々考える。
小さいヤギにロープをかけてみる。
「め、めぇえええ」
「めぇええ」
ヤギたちがアンジェに向かってきた。
慌てて逃げて、木に隠れた。
「ロープ、嫌い、なの?」
アンジェに向かってきただけでロープを気にしている様子はない。
「……うーん」
小さいヤギをかばおうとしたため、まずは中と仲良くなるべきだろうか?
アンジェは「ごめんね、びっくりさせて」と声を掛ける。
そして、少しずつ、近づくとロープを外した。
おやつを食べないけれども、目では追っている。
ここでひらめいた!
そのままおやつを持って移動してみた。
小さなヤギと中くらいのは誘導されてくれる。大きいのは何があったのかというようについてきてくれた。
無事、ヤギたちは中に入ってくれた。
「あの、終わった……よ」
ウルに報告すると「ありがと」という。
「他のお手伝いもする、よ」
「うん、無理するな」
アンジェの様子に気付いているようだった。
「ううん。怖いけど、困っているなら……アンジェ、も助けてもらったから」
「そっか。何かあったら、周りに言えば助けてもらえるから安心しろ」
アンジェはうなずくと、サイラスが活動している方に向かった。
●炊き出し
サイラスは空いている場所を借りて、料理作る。鍋に水を張り、切った材料などを入れていく。
火を通している間に余裕があったので、楽器で演奏をする。気持ちが落ち着くようにと、穏やかそうな曲調の物を選んだ。
音が耳に入ったことで、周囲の人々の気持ちが少し変わったようであった。
避難しないといけないなどの気持ちで焦っていたところは、思考が途切れ、余裕が生まれたかもしれない。
鍋を見て火の加減を調整し、器に盛り、提供する。
提供することで、避難してきた人たちは、着の身着のままなのがわかる。
ケガをしている人も散見された。
痛がっているというわけではないため、最低限の手当てでよいのだろうと考える。何もしないことで悪化することだってあるのだ。
サイラスは手当をする人たちにアルシエラの姿を見た。人手があることをとらえつつ、まずは料理の提供を進めた。
料理の提供がひと段落ついたところで怪我人や具合の悪そうな人に声を掛けることにした。
大きなケガがあれば、救護する人たちに優先的に見てもらっているだろう、と考える。
持っている知識でどうにかなる部分を無理せず対応した。
そういうことをしていると「わしも何かしよう」とファシオがやってきた。
「おれより、この里の人に聞いたほうがよいかも? 食事をよそうなら、そっちでも」
「ふむ、まず、そのくらいするか」
ファシオは素直に、鍋の方に向かった。
巫女である彼女は不安がっていたらしいが、冒険者が話を聞いたおかげで気持ちの整理がついたように見える。
いずれにせよ、サイラスにはハイアルヴがどうのというのは、わかりづらい面もある情報という認識である。ハイアルヴとは直接関係せず、仕事としてかかわるとしても。
なお、ハイアルヴが世界樹だったという点や世界の状況を考えると、神話や民間で伝わっているような伝説の生き物が、実は生きていたという事もありうるのかと考え始める。
「そうなると、世界樹は人のふりをする植物かぁ?」
どうなるかはわからないため、情報を集め、状況を見ていくしかない。
アンジェもやってきて、徐々にここも人手が増えてくる。
ウルに頼まれた仕事が終わっても、あとからあとから仕事は出てくる。
それでも、一日が終われば、仕事も区切る。
「結構、助かった。ありがと」
ウルが声を掛けるのだった。
マスターコメント
ご参加ありがとうございます。
衝撃のカカオ。ウルもカカオ取りにいきましたね……持って帰れませんでしたが。カカオ物語はあの時から始まった! ということにしてみます?
炊き出しやら怪我人救護やら、火災現場の片付け・再建など細かいところにも入っていただき、回復も進むことでしょう。
ヤギたちも何に巻き込まれるかわかりません。
なお、依頼、時間切ってなかったので、夕方には作業終了という流れになりました。
ご縁があれば、お会いしましょう。
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない5 / 4〜6人
2022年06月30日 17時37分08秒 公開
大成功
相談掲示板
…あの、…アンジェ、です。ヒーラー…、です。 よろしく、お願いします…。(ぺこり) アンジェ、にも、できることがあれば…。 あの、ヤギさん、探し、に…。
No.2
サイラスだ、よろしくなー とりあえず救護炊き出しへ
ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミでございます。 皆様、今回はよろしくお願いするでございますよ! さて、ワタクシは火事の跡の修復をお手伝いするでございます。 巫女様も何やら動揺されているようでございますね。 困っている方々のお役に立てればと思うでございます。
ストレガなのだ。宜しくなのだ。 カカオ栽培について話をしたいかと(気候的に残念なお知らせになるのだ
鞭ハフビのアルシエラ、よろしくね。 ファシオに話しかけてみる、簡単な事しか言えないけど…… 後は救援活動とかかな