学園七不思議、廃校舎をさまようモノ?
狐野径
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シナリオID:2263
オープニング
パンクリアース学園の敷地内にある、使われなくなった校舎。
そこには七不思議のうちの一つ「さまよう何か」があるという。
だから、メアリベル・ヴァイオレットは調査したかった。
勝手に入り込むよりも、カギを手に入れ正攻法で入ることを考えた。
カギを管理している人に、「学園の七不思議の調査のために貸してくださいませ!」とは言わなかった。そこはやんわりと「使われなくなった校舎に素敵な装飾があると伺いましたので、調査させてください」といった。
そういう事なら、ということで、注意事項はあったけれども貸してくれた。
きちんと手順を踏んだメアリベルは、冒険者を雇って「学園の七不思議のひとつ、さまようモノを探したいのですわ!」とキラキラする目でいうのだった。
メアリベルは子爵家の令嬢である。
表向きは子爵家令嬢として、穏やかにおっとりと過ごしているけれども、趣味はオカルトだった。
学園にいるなら、学園にいるうちに、学園の七不思議を解き明かしたいという希望に燃えている。一時期は不穏なこともあったけれども、今は安定している学園内。
だからこそ、元気よくオカルト調査をする。
単独だとさすがにお付きもいい顔しないし、両親に何を言われるかわからないので、冒険者に頼む。
趣味についてあれこれは言わない親や周りに対して、せめてもの安心と感謝だった。
今回は廃校舎をさまよう何かがいるということ。
それも、人の姿をしているというのだ。
目撃した「友達の友達」や「先輩のお兄さん」とかによると、廃校舎の二階、端の教室あたりにいるという。
目撃者は夜、校舎の横の道を歩いているときに見たという。
まぁ、学園の敷地とは言え、夜にそこを歩いていることがどうかというのもあるのだけれども。
実は「七不思議を求めていたのでは」と思ってみたりもするメアリベルだった。
さて、メアリベルは廃校舎にまつわる噂や情報を集めていた。
いじめられた子が閉じ込められて翌朝まで見つけてもらえなかった。
教師が禁断の愛によって色々起こし刃傷沙汰があったとか。
下級貴族の子が事故に遭って死亡した、とか。
教師が病気を悪化させ、吐血して亡くなった、とか。
エーテルが澱みやすく、引き寄せられるものが多くて、使われなくなった、とか。
気になった生徒に声を掛けられなくて、声を掛けようとして思い切り張っ倒した生徒がいる、とか。
まぁ、よくわからない噂や情報がたくさん出て来た。
その中で、メアリベルが「これは正しい情報」と捉えられたのは、エーテルの澱みはなさそうということと校舎のマップだけだった。エーテルについては封鎖されていないとか状況からの判断。
ただ、エーテル説が割と説得力あるのにいきなり候補が消えているような気もしてメアリベルは首をかしげる。しかし、世の中は色々なことがあるし、色々知らないことも……と前向きに考える。
結局、噂や情報が細かいし、追うことができなかった……というのが情報精査が難しい真相に近い。
状況はあれだけれども、実際見てみればわかるだろうという中間点を通り過ぎ、冒険者雇っての実地調査なのだ。
建物に入る前に、目撃証言があるあたりを外から見る。
校舎の中は暗い。
窓には古びたカーテンがあり、それはタッセルで束ねられている。
内部の天井の境あたりの壁に、何かの飾りが見える。大きな点が三つに見える。
ただし、特に人の姿は見えなかったし、さまよう気配もない。
残念がることなく、探索を開始する。
マップによると、廊下があって、同じ方向に教室が数個ある。
二階も同様の作り。
廊下の端と端は一階は入り口と階段であり、二階は階段と小部屋がある。小部屋はそうこのようになっていた。
一階の手前の部屋から一つずつ見ていく。
なお、教室によっては、机や椅子が寄せられていたり、倉庫のように使われ箱がたくさんあるところがある。
特に何もないけれども、メアリベルはわくわくしているのがわかる。
誰もいない、暗い校舎を探索するというだけでもわくわく。
何かいるかもしれないということでわくわく。
手元の明かりだけが頼り。
さて、一部屋一部屋見て回る中、冒険者は気づく。
何かいる、ということに。
「何か! ですのっ!」
メアリベルの目がキラキラどころからんらんと輝く。
冒険者としてはメアリベルの安全を確保しつつ、捜索に行くか、退避するかしたいところでもある。
しかし、メアリベルのなかでは七不思議につながる何かがいるという判断だ。
明かりを隠し、近づいてくる何かを見ようと隠れた。
手に明かりをもった少女が現れた。
この学園の生徒だろうか。
冒険者が声を掛けようとする前に、メアリベルが、
「あなたも……なのっですっのっ!」
飛び出す。興奮のあまり言葉が空回りしている。
「え、あ、きゃあ」
少女の方が驚く。
「ごめんなさい! 思わず、興奮してしまって……さまよえる何かに見えなかったので、その、あの、お友達……同胞? 趣味が同じ方かと思ってしまいました!」
メアリベルが必死に弁解する。弁解しているというより、目は輝き、オカルト好きよねと問うている。
少女は困惑しながらも、答える。
「え? あの、よくわかりませんが、ごめんなさい」
「……謝る必要はありませんわ。勘違いなら仕方がないですもの」
「え、あ、はい……えと」
少女の方は状況が飲み込めず、メアリベルと冒険者を見て言葉を探している。
「廃校舎にどう入ったんですの? 何か事情があるのですの? 例えば、さまよう何かを探しにとか」
「あ、はい……実は……あの……えと」
少女はしどろもどろになり言葉を探している様子だ。
「荷物、隠されちゃって……それを、探しに来たんです」
「隠され……?」
メアリベルは少し考える。
楽しい遊びだとはさすがに考えられず、いじめであると考えた。
「どこに隠されたか、わからないのですものね……」
「はい」
「探しますわ!」
「え?」
「私たちも探すの手伝いますわ! そんなひどいことをする人たちがいるならば、七不思議どころではありませんわ!」
メアリベルはきっぱり言う。
「それに、この方々は冒険者なのですの! 冒険者と言えば失せもの探しのエキスパートなのですわ!」
メアリベルの紹介に冒険者は困惑する者もいるだろう。
ただ、メアリベルの意志ははっきりしている。
いじめは許さないことと、助けが必要なら助ける。
何か探しはこの後でもいいのだから。
「何を隠されたのですか?」
「……テキストとノート……あ、いえ、テキストと五冊が入ったカバンと筆記用具が入った袋です」
「わかりましたわ! 手分けして探せばきっと早いです」
メアリベルはてきぱきと話を進めていくのだった。
細かい手順や何かあれば、冒険者の出番となる――のだった。
「お名前をうかがっていいでしょうか?」
「あ、はい、カレンと言います」
「わたくしはメアリベルですわ」
カレンはメアリベルをまぶしそうに見つめるのだった。
そこには七不思議のうちの一つ「さまよう何か」があるという。
だから、メアリベル・ヴァイオレットは調査したかった。
勝手に入り込むよりも、カギを手に入れ正攻法で入ることを考えた。
カギを管理している人に、「学園の七不思議の調査のために貸してくださいませ!」とは言わなかった。そこはやんわりと「使われなくなった校舎に素敵な装飾があると伺いましたので、調査させてください」といった。
そういう事なら、ということで、注意事項はあったけれども貸してくれた。
きちんと手順を踏んだメアリベルは、冒険者を雇って「学園の七不思議のひとつ、さまようモノを探したいのですわ!」とキラキラする目でいうのだった。
メアリベルは子爵家の令嬢である。
表向きは子爵家令嬢として、穏やかにおっとりと過ごしているけれども、趣味はオカルトだった。
学園にいるなら、学園にいるうちに、学園の七不思議を解き明かしたいという希望に燃えている。一時期は不穏なこともあったけれども、今は安定している学園内。
だからこそ、元気よくオカルト調査をする。
単独だとさすがにお付きもいい顔しないし、両親に何を言われるかわからないので、冒険者に頼む。
趣味についてあれこれは言わない親や周りに対して、せめてもの安心と感謝だった。
今回は廃校舎をさまよう何かがいるということ。
それも、人の姿をしているというのだ。
目撃した「友達の友達」や「先輩のお兄さん」とかによると、廃校舎の二階、端の教室あたりにいるという。
目撃者は夜、校舎の横の道を歩いているときに見たという。
まぁ、学園の敷地とは言え、夜にそこを歩いていることがどうかというのもあるのだけれども。
実は「七不思議を求めていたのでは」と思ってみたりもするメアリベルだった。
さて、メアリベルは廃校舎にまつわる噂や情報を集めていた。
いじめられた子が閉じ込められて翌朝まで見つけてもらえなかった。
教師が禁断の愛によって色々起こし刃傷沙汰があったとか。
下級貴族の子が事故に遭って死亡した、とか。
教師が病気を悪化させ、吐血して亡くなった、とか。
エーテルが澱みやすく、引き寄せられるものが多くて、使われなくなった、とか。
気になった生徒に声を掛けられなくて、声を掛けようとして思い切り張っ倒した生徒がいる、とか。
まぁ、よくわからない噂や情報がたくさん出て来た。
その中で、メアリベルが「これは正しい情報」と捉えられたのは、エーテルの澱みはなさそうということと校舎のマップだけだった。エーテルについては封鎖されていないとか状況からの判断。
ただ、エーテル説が割と説得力あるのにいきなり候補が消えているような気もしてメアリベルは首をかしげる。しかし、世の中は色々なことがあるし、色々知らないことも……と前向きに考える。
結局、噂や情報が細かいし、追うことができなかった……というのが情報精査が難しい真相に近い。
状況はあれだけれども、実際見てみればわかるだろうという中間点を通り過ぎ、冒険者雇っての実地調査なのだ。
建物に入る前に、目撃証言があるあたりを外から見る。
校舎の中は暗い。
窓には古びたカーテンがあり、それはタッセルで束ねられている。
内部の天井の境あたりの壁に、何かの飾りが見える。大きな点が三つに見える。
ただし、特に人の姿は見えなかったし、さまよう気配もない。
残念がることなく、探索を開始する。
マップによると、廊下があって、同じ方向に教室が数個ある。
二階も同様の作り。
廊下の端と端は一階は入り口と階段であり、二階は階段と小部屋がある。小部屋はそうこのようになっていた。
一階の手前の部屋から一つずつ見ていく。
なお、教室によっては、机や椅子が寄せられていたり、倉庫のように使われ箱がたくさんあるところがある。
特に何もないけれども、メアリベルはわくわくしているのがわかる。
誰もいない、暗い校舎を探索するというだけでもわくわく。
何かいるかもしれないということでわくわく。
手元の明かりだけが頼り。
さて、一部屋一部屋見て回る中、冒険者は気づく。
何かいる、ということに。
「何か! ですのっ!」
メアリベルの目がキラキラどころからんらんと輝く。
冒険者としてはメアリベルの安全を確保しつつ、捜索に行くか、退避するかしたいところでもある。
しかし、メアリベルのなかでは七不思議につながる何かがいるという判断だ。
明かりを隠し、近づいてくる何かを見ようと隠れた。
手に明かりをもった少女が現れた。
この学園の生徒だろうか。
冒険者が声を掛けようとする前に、メアリベルが、
「あなたも……なのっですっのっ!」
飛び出す。興奮のあまり言葉が空回りしている。
「え、あ、きゃあ」
少女の方が驚く。
「ごめんなさい! 思わず、興奮してしまって……さまよえる何かに見えなかったので、その、あの、お友達……同胞? 趣味が同じ方かと思ってしまいました!」
メアリベルが必死に弁解する。弁解しているというより、目は輝き、オカルト好きよねと問うている。
少女は困惑しながらも、答える。
「え? あの、よくわかりませんが、ごめんなさい」
「……謝る必要はありませんわ。勘違いなら仕方がないですもの」
「え、あ、はい……えと」
少女の方は状況が飲み込めず、メアリベルと冒険者を見て言葉を探している。
「廃校舎にどう入ったんですの? 何か事情があるのですの? 例えば、さまよう何かを探しにとか」
「あ、はい……実は……あの……えと」
少女はしどろもどろになり言葉を探している様子だ。
「荷物、隠されちゃって……それを、探しに来たんです」
「隠され……?」
メアリベルは少し考える。
楽しい遊びだとはさすがに考えられず、いじめであると考えた。
「どこに隠されたか、わからないのですものね……」
「はい」
「探しますわ!」
「え?」
「私たちも探すの手伝いますわ! そんなひどいことをする人たちがいるならば、七不思議どころではありませんわ!」
メアリベルはきっぱり言う。
「それに、この方々は冒険者なのですの! 冒険者と言えば失せもの探しのエキスパートなのですわ!」
メアリベルの紹介に冒険者は困惑する者もいるだろう。
ただ、メアリベルの意志ははっきりしている。
いじめは許さないことと、助けが必要なら助ける。
何か探しはこの後でもいいのだから。
「何を隠されたのですか?」
「……テキストとノート……あ、いえ、テキストと五冊が入ったカバンと筆記用具が入った袋です」
「わかりましたわ! 手分けして探せばきっと早いです」
メアリベルはてきぱきと話を進めていくのだった。
細かい手順や何かあれば、冒険者の出番となる――のだった。
「お名前をうかがっていいでしょうか?」
「あ、はい、カレンと言います」
「わたくしはメアリベルですわ」
カレンはメアリベルをまぶしそうに見つめるのだった。
解説
●目的・目標
隠された品を探すこと。
七不思議の原因を突き止められるとよりよい。
※リプレイはOPの直後の行動から進むことになります。
●捜索場所
廃校舎内。
長方形の形。
一階は出入口、階段がある。長辺の一辺に沿って廊下がある。
二階は出入口がない分、階段脇には小部屋がある。
廊下の窓側ではない方には教室がある。七部屋ある。
部屋によっては箱やがらくたがたくさんある。
埃の状況はまんべんなくある。
入り口に近い教室の方は出入りが時々あるのか、薄いかもしれない。
おかれているものなどは、それなりに古いものから最近の物まで。
●捜索するもの
テキスト五冊が入ったカバン、筆記具が入った袋。
テキストと共にメモが書かれた紙の束があるかもしれない。
どこにあるかはわからない。
●NPC
・メアリベル・ヴァイオレット ヒューマン10代女性、二年生。
貴族であり子爵の親がいる。
おしとやかな穏やかそうな雰囲気の令嬢という外面。
オカルト大好きで自室やオカルト話題になると素が出る。
・カレン ヒューマン10代女性、何年生?
雰囲気から貴族の少女らしい。
おどおどしているのは、何だろうか?
単独行動をとりたがる。
悪意があるという雰囲気より、何か隠しているかも?
●補足
エーテルの澱みとか、エーテルの何かがあると、不思議現象はあるかもしれません。
現在のところそういったものがあるような話はありません。
七不思議自体は「さまようモノ」ですが、目撃は「一定のところ」という微妙な差異があります。とはいえ、それが動いているかどうかもわかりません。目撃者とされる友達の友達や友達の兄は逃げてますので……。
なお、探せば探し物は見つかりますが、ちょっと古いものに見えます。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
現れた少女カレンは何か隠し事はしているようですし、見つかったものは古いもの?
その理由は何があるのか――。
さて、私のことになりますが、母校も色々いたなぁと思い出してOP書いていました。七不思議というより怪談かもしれません。そういえば、通常の教室でも怪談ありましたよ……ただ、あれは嘘くさい……嘘くさいけどなんか、気持ち悪いという……。一番怖いのは、学校での合宿、夜の調理室に出現する大量のゴキブ……。
では、よろしくお願いします。
リプレイ
●出会いは突然で
突然現れた少女カレンに驚くが、冷静な対応をする冒険者たち。
サイラスは状況の分析をしていたけれども、情報が少ないことが判断を難しくしているととらえた。
まず、廃校舎にまつわる噂と七不思議は曖昧過ぎる。
噂が曖昧過ぎるために、依頼主メアリベル・ヴァイオレットも裏付けを途中であきらめている。その結果、実際見て考えることにしたため、一行はここにいるのだ。
カレンについては、何か目的がある人間か、それとも、得体のしれない何かなのかを知るすべがない。そのため、観察するしかない。
ゲルトは校舎であったという事件の数々を聞き、驚いていた。
学園内に物騒な噂があるとは想像していなかった。
だから、七不思議として、死んだ人が何等かで歩き回っている可能性も否定できないのかと、恐怖を覚える。
また、カレンが語っているいじめが事実としても、いじめる側やカレンがどうやって入ったのかという疑問がある。その結果、噂と合わせてカレンの正体を考えると、背筋に冷たい物が流れていく。
ただ、カレンを放っておいてはいけないとは考える。
「この建物には何かが潜んでいるらしい。オレたちと行動しよう」
その提案に、彼女は困惑をしている様子だ。
シェルリア・リトヴァールは七不思議について「真相を突き止めましょう!」と気合を入れていた。
建物の中には先客がいたうえ、語る内容には問題を感じさせるものもあるが、メアリベルが、七不思議よりカレンの探しの方が重要と言い切ったことには納得した。
「七不思議も気になりますけど、困っている人は助けなきゃですよね! メアリベル様、さすがです!」
メアリベルは鍵を借りて来たこの校舎に、カレンや荷物を隠した人たちはどうやって入ったかは考えないことにした、ひとまず。
アルシエラ・ライゼルは「七不思議、不思議がななつ、本日のわくわくタ~イム?」と楽し気に淡々という。口元はスカーフで覆っていた。
「任せてメアリベル……私はそういうのを見られるから……」
スッと手の平を見せ、自信ありげな雰囲気を出す。
「神スキル……残留思念感応を使えば、きっと」
メアリベルは「冒険者は色々な力をもっているのですわね!」と感激する。
「私はね……当たり前だと思ってることを客観的に見てみると、全部不思議だと思うんだよ……そう考えると、今回の不思議も私たちの日常だよね……ふふ」
メアリベルが「さすがですわ」と感激している。
ただ、聞きようによっては、真理であり、煙に巻かれているような雰囲気もあったりするかもしれない?
●捜索を始めよう
カレンはメアリベルの手を煩わせるということで、申し訳ないと恐縮しているが、「七不思議、ですか?」と問う。
メアリベルは学校にまつわる不思議な出来事について話をする。
「……私は一人で、探せますし……」
「人手があれば早く見つかりますわ! それに、さまようモノが危険なものならば、冒険者がいれば安心ですわ」
それに対してアルシエラが「いざとなったら、助けを求めるよ」とさらりと言う。
「お化けに対してはヒーラーさんがどうにかしてくれるって信じてる。いざとなった『ゲルトへるぷ』『シェリルアへるぷ』って」
ふられたゲルトとシェルリアはぎょっとする。
「ケガとかは治せるけど」
「ええ、まぁ……そうですよね」
ゲルトもシェルリアも困惑した。
アルシエラが驚いた様子を見せる。
「払うことができない? そんなばにゃにゃ。じゃあ、ウォーリアがすべてを蹴散らす」
サイラス一任だった。
「お化けを切ったことはないが、エーテルまとわせれば切れるだろう、俺に限らず」
ゲルトとシェルリアは「そういうこともありうる」と異口同音につぶやく。
メアリベルは冒険者の言葉を聞きながら、行動方針を考えていた。
「では……どうしましょうか……」
まとまって行動するか、ある程度離れるかは冒険者も対策を考えられている。
だから、メアリベルが折衷案を出した。
「分担するのは必要ですけれども、離れすぎるのもよくないのですわね。ですので、隣の部屋を確認すればよいですわ」
冒険者は特に異論を出さない。
それならば声も届くし、透視を持っている人は壁越しに見ることも可能だ。
シェルリアは捜索に向かう前に「どういったカバンなのでしょうか?」と持ち物の特徴を問うた。
カレンは「え、えっと……確か、革の……」と妙にしどろもどろだ。
自分の荷物なはずなのにおかしい。
それでわかるのかどうか不明だけれども、中身も確認すればそれらしいものはわかるだろう。
アルシエラが「いざゆかん不思議の国へ!」と出発を促す。
ただ、自分は進まず、他の人たちが進むのを待っている。
「どうしたのみんな、はよ、進んで」
と発破をかけていた。なお、一応、ペットの狼のシアには、カレンについていくように指示を出しておく。何かあっても把握しやすい。
進みだした一行の後ろにアルシエラはつき、
「最初に、トイレ見ておこう? 何かいるならそこだよね」
と、訳知り顔に言うのだった。
特に手がかりがあるわけではないため、トイレから調査する。
アルシエラは【エンライト】を用いて、明かりを作る。
丁寧に確認するが、特に何もなかった。埃の様子からしても、最近出入りがあったようには思えなかった。
「うーん?」
アルシエラは首をかしげるのだった。
さて、教室の調査に移っていく。
二手に分かれる際、暗視であったり、持参の明かりであったり、それぞれ適宜用いることになる。
最初にそれぞれ見た教室では、それらしいものはなかった。
さすがに使われていない教室ということで、個人の物が机にポンとあるのはないようだった。
次に移動する際、ゲルトはカレンに対して自分が二年生であることを伝えた後、「何年生?」と問う。
カレンは素直に「はい、一年です」と答える。
カレンはゴブリンであるゲルトがここの生徒であることに驚きを見せたけれども、すぐに納得している様子だった。もし、古い存在ならば、学園の改革は知らないだろうから、納得するのはわからない。
(これだけでそうだと決めつけるのは早い、かな)
荷物の捜索や、カレンについての推測を進める。
箱がたくさんある部屋に来た。
「この中も探した方がいいですよねー?」
シェルリアは消極的な雰囲気で積極的なことを言う。
メアリベルが躊躇なく探しているのを見て、埃っぽいし、服が汚れそうだけれども、決心を固めた。
「でも、カレン様、廃校舎は色々噂があるのに、一人で探し物って怖くなかったんですか?」
埃っぽさを忘れようとカレンに問う。
カレンは「噂はいくつか聞きましたけど、探せるなら、探したかったですので」と答える。一応、この校舎にまつわる何かは聞いているらしいが、気にしなかったらしい。
豪胆なのか、実利的なのか。
シェルリアはカレンのことを案じて話を続ける。
「大事なものではあるのでしょうけど、もし、おばけとかに襲われたら大変ですし、誰かを探した方がよかったと思うんですけど」
「いえ、それは……手伝っていただけてありがとうございます」
すごく、気を使った回答。
(まさか、カレン様がお化け……いや、まさかですよねー)
カレンをちらりと見て、首を横に振る。
なお、シェルリアは捜索の際に、隠されたものではなく、さまようモノがらみの何かがないか気にしてはいた。
だから、目撃証言があるあたりの教室に入ったとき、特に注意はした。
「このカーテンの閉じ方が大雑把ですよね」
とはいう。古びたカーテンはタッセルで縛られているため、スカートを膨らませた女性の胴体に見えなくはない。
「でも、それだけで……あら?」
壁に何かの飾りの残骸がある。それは下向きの三角を描くようについていた。少し、光を反射するようでもある。
わからないけれども、明かりを向けた際に驚くかもしれない。
「メアリベル様、実は、この辺り」
かくかくしかじかと見つけたものについて語る。
「不思議なことがあるものですわね。確かに、光に驚いたということも……いえ! まだ確定ではありませんわ」
メアリベルは納得しかかったけれども、見ていないので負けないでいた。
アルシエラは埃の足跡もチェックする。
自分たちが動き回ってつけたものやカレンが動き回ってつけたもの以外に、不審なものはないようだった。教室の扉を開けば普通に開く。
埃の状況から、最近誰かの出入りはあるようにも思える。ただ、圧倒的に入っていないところが多い。
何か道具を見つけて【残留思念感応】を用いるが、特に何も感じなかった。思念が残るようなものがないということだろう。
サイラスは終わってから裏を取ることも考えつつ、メアリベルに問う。
「ここでおまじないとかオカルト的な何かするということはありうる?」
メアリベルは「特にないと思いますわ」と答えた後、
「何かあるのですか!」
とむしろ目の色を変えて間合いを詰める。
「……いや、物を隠すと恋が成就するとか、この校舎の何かをとってくると成績が上がるとか」
サイラスが適当に言うと、メアリベルは首を横に振った。
「特にありません。でも、私の調査の仕方が悪かったのかもしれません」
「いや、気にしなくていい」
サイラスの言葉に反して、メアリベルは嬉々としてメモを取っていた。
さて、カレンが何者かという点が欠落してるため、決めつけることはできない。
カレンが何か良くないものの部分であるならば、自分たちは護衛対象付きで罠にかかっている状態である。だから、決めつけず、視野を広く考えて対処するしかない。
いくつか部屋を探したところで、カバンが発見された。中身を見ると、それだろうとわかる。
アルシエラは「この箱はずいぶん使われていない、みたいな」という。
カバンの中身を確認するために出しているけれども、妙に古びている。
(この校舎が使われているときからあれば、そうなるよな)
ゲルトはカレンをちらっと見ながら考える。
ピースがそろったところで、サイラスはじっとする。
カレンがどういう存在か。
もし、敵性の物ならばどうなのか。
各対応はできるように。
●地に足がついた話
カレンはじっと紙の束を見る。
それだけは絶対に回収しないとまずい、と勝手に考えている。
そういう時に限って、回収できないのだ。
アルシエラがその紙の束を手にして、中を見始める。
「これ何かな」
「あ、それはっ!」
カレンが慌てて取り返そうとする。
アルシエラ「えっと、ポエム?」と首をかしげる。
カレンが非常に慌てるが、どう対応するか悩んで、もやもやしている動きになる。
その慌て方を見て、サイラスは「あれか、うん」とカレンが実体のある、ただの人間だと結論付けた。
サイラスはアルシエラの後ろからひょいとノートを回収した。
「で、君は結局何?」
と、カレンに問う。
カレンはどうしようという顔になり、サイラスを見る。
誰もがかたずを飲み様子をうかがう。
やはりお化けなのか、それとも、本当にいじめられっ子なのだろうか。
ゲルトは「きっと、さまようモノで」と色々湧きあがる感情と戦っていた。怖いけれども、いじめが絡んで事故死なら気の毒でもある。
カレンは頭を深々と下げた。
「ごめんなさい! 大伯父の荷物だったんです」
冒険者とメアリベルが一斉に「はい?」と聞き返した。
「私はいじめられてません! 大伯父がいじめにあって……」
ゲルトは確認するように言う。
「えっと? 下級貴族の子が……という話は」
カレンは「死んでません。卒業後は売れない詩人してました」ときっぱり言い切った。
カレンの入学が決まったころ、親族が集まった際にいじめについての話を聞いたという。彼は当時、下級貴族で社交性が良いわけでもなく、何かに秀でることもなく、いじめにあっていたという。
カバンを取り上げられ隠されたのは、学園生活の最終日。
色々なことをしている間に、取り戻すタイミングを逃したのだという。
それも校舎が使われなくなる直前とは言わないけれども、使用が終わる方のころ。
サイラスが「名前とか記載なければ、返却難しいか」という。
学園を離れてしまえば、誰の持ち物か探すのはかなり面倒くさいため、よほどな物品でない限り、本人が取りに来るのを待つ方がいいだろう。
ゲルトが「ここにあるって分かっていた?」と問う。
「それは、教授に聞きました。使われなくなって倉庫状態だから、当時あったのはそのままだって」
情報の出どころはしっかりしていた。
「メアリベルの調べたのも教授に聞けばわかるんじゃないの?」
ふとアルシエラが言う。
一応メアリベルも聞いたらしいが、当時を知っている教授や噂に詳しい人がいなかったらしい。
シェルリアは核心の質問を繰り出す。
「……どうやって入られたのです?」
「……実は……鍵が開いている窓があるんです」
ここに荷物があるだろうけれども、教授たちに何と言えばいいか困って、入れないか確認したという。
そうしたら、運よく、入れたらしい。
ゲルトは「まさか、さまようモノって、お化けとかではないのか」とほっとする。メアリベルに悪いけれども、得体のしれないものでない方がいい。
カレンが申し訳なさそうに「……何度か入っていたので、そのせいでしょうか?」という。
ゲルトは気づいたことを口にした。
「でも、最近だろ? 入ったの」
「はい。そうです」
「メアリベルの調べたのは結構幅広いみたいだし……そうなると、噂自体は、以前からあるということ……になる?」
ゲルトはぞっとした。やはり、得体のしれないものはいるのだろうか、と。
なお、対照的にメアリベルの表情が明るくなる。
シェルリアは月の位置を見て言う。
「今日はこのくらいにしませんか?」
メアリベルは「そうですね」という。
「人助けができたことはよかったですわ」
「……すみません、本当、嘘なんてついて」
「素直に言ってもらえたらよかったですけれども」
「すみません」
メアリベルは「お茶でも致しましょう? お友達も含めて」と貴族の少女らしい心配りを見せるのだった。
シェルリアは「寮まで一緒に戻りましょう!」という。
「ありがとうございます」
カレンは腰が低かった。
さまようモノの目撃があった道を通ったけれども、特に何も目撃しないで終わった。
なお、噂などについて追加調査をするならば、その校舎内で死人は出ていないということはわかる。もちろん、当時生きていた人たちで死んだ人がいたとしても、校舎の中ではない。
さまようモノについては、謎であるけれども、錯覚だった可能性も否定できないのだった。
突然現れた少女カレンに驚くが、冷静な対応をする冒険者たち。
サイラスは状況の分析をしていたけれども、情報が少ないことが判断を難しくしているととらえた。
まず、廃校舎にまつわる噂と七不思議は曖昧過ぎる。
噂が曖昧過ぎるために、依頼主メアリベル・ヴァイオレットも裏付けを途中であきらめている。その結果、実際見て考えることにしたため、一行はここにいるのだ。
カレンについては、何か目的がある人間か、それとも、得体のしれない何かなのかを知るすべがない。そのため、観察するしかない。
ゲルトは校舎であったという事件の数々を聞き、驚いていた。
学園内に物騒な噂があるとは想像していなかった。
だから、七不思議として、死んだ人が何等かで歩き回っている可能性も否定できないのかと、恐怖を覚える。
また、カレンが語っているいじめが事実としても、いじめる側やカレンがどうやって入ったのかという疑問がある。その結果、噂と合わせてカレンの正体を考えると、背筋に冷たい物が流れていく。
ただ、カレンを放っておいてはいけないとは考える。
「この建物には何かが潜んでいるらしい。オレたちと行動しよう」
その提案に、彼女は困惑をしている様子だ。
シェルリア・リトヴァールは七不思議について「真相を突き止めましょう!」と気合を入れていた。
建物の中には先客がいたうえ、語る内容には問題を感じさせるものもあるが、メアリベルが、七不思議よりカレンの探しの方が重要と言い切ったことには納得した。
「七不思議も気になりますけど、困っている人は助けなきゃですよね! メアリベル様、さすがです!」
メアリベルは鍵を借りて来たこの校舎に、カレンや荷物を隠した人たちはどうやって入ったかは考えないことにした、ひとまず。
アルシエラ・ライゼルは「七不思議、不思議がななつ、本日のわくわくタ~イム?」と楽し気に淡々という。口元はスカーフで覆っていた。
「任せてメアリベル……私はそういうのを見られるから……」
スッと手の平を見せ、自信ありげな雰囲気を出す。
「神スキル……残留思念感応を使えば、きっと」
メアリベルは「冒険者は色々な力をもっているのですわね!」と感激する。
「私はね……当たり前だと思ってることを客観的に見てみると、全部不思議だと思うんだよ……そう考えると、今回の不思議も私たちの日常だよね……ふふ」
メアリベルが「さすがですわ」と感激している。
ただ、聞きようによっては、真理であり、煙に巻かれているような雰囲気もあったりするかもしれない?
●捜索を始めよう
カレンはメアリベルの手を煩わせるということで、申し訳ないと恐縮しているが、「七不思議、ですか?」と問う。
メアリベルは学校にまつわる不思議な出来事について話をする。
「……私は一人で、探せますし……」
「人手があれば早く見つかりますわ! それに、さまようモノが危険なものならば、冒険者がいれば安心ですわ」
それに対してアルシエラが「いざとなったら、助けを求めるよ」とさらりと言う。
「お化けに対してはヒーラーさんがどうにかしてくれるって信じてる。いざとなった『ゲルトへるぷ』『シェリルアへるぷ』って」
ふられたゲルトとシェルリアはぎょっとする。
「ケガとかは治せるけど」
「ええ、まぁ……そうですよね」
ゲルトもシェルリアも困惑した。
アルシエラが驚いた様子を見せる。
「払うことができない? そんなばにゃにゃ。じゃあ、ウォーリアがすべてを蹴散らす」
サイラス一任だった。
「お化けを切ったことはないが、エーテルまとわせれば切れるだろう、俺に限らず」
ゲルトとシェルリアは「そういうこともありうる」と異口同音につぶやく。
メアリベルは冒険者の言葉を聞きながら、行動方針を考えていた。
「では……どうしましょうか……」
まとまって行動するか、ある程度離れるかは冒険者も対策を考えられている。
だから、メアリベルが折衷案を出した。
「分担するのは必要ですけれども、離れすぎるのもよくないのですわね。ですので、隣の部屋を確認すればよいですわ」
冒険者は特に異論を出さない。
それならば声も届くし、透視を持っている人は壁越しに見ることも可能だ。
シェルリアは捜索に向かう前に「どういったカバンなのでしょうか?」と持ち物の特徴を問うた。
カレンは「え、えっと……確か、革の……」と妙にしどろもどろだ。
自分の荷物なはずなのにおかしい。
それでわかるのかどうか不明だけれども、中身も確認すればそれらしいものはわかるだろう。
アルシエラが「いざゆかん不思議の国へ!」と出発を促す。
ただ、自分は進まず、他の人たちが進むのを待っている。
「どうしたのみんな、はよ、進んで」
と発破をかけていた。なお、一応、ペットの狼のシアには、カレンについていくように指示を出しておく。何かあっても把握しやすい。
進みだした一行の後ろにアルシエラはつき、
「最初に、トイレ見ておこう? 何かいるならそこだよね」
と、訳知り顔に言うのだった。
特に手がかりがあるわけではないため、トイレから調査する。
アルシエラは【エンライト】を用いて、明かりを作る。
丁寧に確認するが、特に何もなかった。埃の様子からしても、最近出入りがあったようには思えなかった。
「うーん?」
アルシエラは首をかしげるのだった。
さて、教室の調査に移っていく。
二手に分かれる際、暗視であったり、持参の明かりであったり、それぞれ適宜用いることになる。
最初にそれぞれ見た教室では、それらしいものはなかった。
さすがに使われていない教室ということで、個人の物が机にポンとあるのはないようだった。
次に移動する際、ゲルトはカレンに対して自分が二年生であることを伝えた後、「何年生?」と問う。
カレンは素直に「はい、一年です」と答える。
カレンはゴブリンであるゲルトがここの生徒であることに驚きを見せたけれども、すぐに納得している様子だった。もし、古い存在ならば、学園の改革は知らないだろうから、納得するのはわからない。
(これだけでそうだと決めつけるのは早い、かな)
荷物の捜索や、カレンについての推測を進める。
箱がたくさんある部屋に来た。
「この中も探した方がいいですよねー?」
シェルリアは消極的な雰囲気で積極的なことを言う。
メアリベルが躊躇なく探しているのを見て、埃っぽいし、服が汚れそうだけれども、決心を固めた。
「でも、カレン様、廃校舎は色々噂があるのに、一人で探し物って怖くなかったんですか?」
埃っぽさを忘れようとカレンに問う。
カレンは「噂はいくつか聞きましたけど、探せるなら、探したかったですので」と答える。一応、この校舎にまつわる何かは聞いているらしいが、気にしなかったらしい。
豪胆なのか、実利的なのか。
シェルリアはカレンのことを案じて話を続ける。
「大事なものではあるのでしょうけど、もし、おばけとかに襲われたら大変ですし、誰かを探した方がよかったと思うんですけど」
「いえ、それは……手伝っていただけてありがとうございます」
すごく、気を使った回答。
(まさか、カレン様がお化け……いや、まさかですよねー)
カレンをちらりと見て、首を横に振る。
なお、シェルリアは捜索の際に、隠されたものではなく、さまようモノがらみの何かがないか気にしてはいた。
だから、目撃証言があるあたりの教室に入ったとき、特に注意はした。
「このカーテンの閉じ方が大雑把ですよね」
とはいう。古びたカーテンはタッセルで縛られているため、スカートを膨らませた女性の胴体に見えなくはない。
「でも、それだけで……あら?」
壁に何かの飾りの残骸がある。それは下向きの三角を描くようについていた。少し、光を反射するようでもある。
わからないけれども、明かりを向けた際に驚くかもしれない。
「メアリベル様、実は、この辺り」
かくかくしかじかと見つけたものについて語る。
「不思議なことがあるものですわね。確かに、光に驚いたということも……いえ! まだ確定ではありませんわ」
メアリベルは納得しかかったけれども、見ていないので負けないでいた。
アルシエラは埃の足跡もチェックする。
自分たちが動き回ってつけたものやカレンが動き回ってつけたもの以外に、不審なものはないようだった。教室の扉を開けば普通に開く。
埃の状況から、最近誰かの出入りはあるようにも思える。ただ、圧倒的に入っていないところが多い。
何か道具を見つけて【残留思念感応】を用いるが、特に何も感じなかった。思念が残るようなものがないということだろう。
サイラスは終わってから裏を取ることも考えつつ、メアリベルに問う。
「ここでおまじないとかオカルト的な何かするということはありうる?」
メアリベルは「特にないと思いますわ」と答えた後、
「何かあるのですか!」
とむしろ目の色を変えて間合いを詰める。
「……いや、物を隠すと恋が成就するとか、この校舎の何かをとってくると成績が上がるとか」
サイラスが適当に言うと、メアリベルは首を横に振った。
「特にありません。でも、私の調査の仕方が悪かったのかもしれません」
「いや、気にしなくていい」
サイラスの言葉に反して、メアリベルは嬉々としてメモを取っていた。
さて、カレンが何者かという点が欠落してるため、決めつけることはできない。
カレンが何か良くないものの部分であるならば、自分たちは護衛対象付きで罠にかかっている状態である。だから、決めつけず、視野を広く考えて対処するしかない。
いくつか部屋を探したところで、カバンが発見された。中身を見ると、それだろうとわかる。
アルシエラは「この箱はずいぶん使われていない、みたいな」という。
カバンの中身を確認するために出しているけれども、妙に古びている。
(この校舎が使われているときからあれば、そうなるよな)
ゲルトはカレンをちらっと見ながら考える。
ピースがそろったところで、サイラスはじっとする。
カレンがどういう存在か。
もし、敵性の物ならばどうなのか。
各対応はできるように。
●地に足がついた話
カレンはじっと紙の束を見る。
それだけは絶対に回収しないとまずい、と勝手に考えている。
そういう時に限って、回収できないのだ。
アルシエラがその紙の束を手にして、中を見始める。
「これ何かな」
「あ、それはっ!」
カレンが慌てて取り返そうとする。
アルシエラ「えっと、ポエム?」と首をかしげる。
カレンが非常に慌てるが、どう対応するか悩んで、もやもやしている動きになる。
その慌て方を見て、サイラスは「あれか、うん」とカレンが実体のある、ただの人間だと結論付けた。
サイラスはアルシエラの後ろからひょいとノートを回収した。
「で、君は結局何?」
と、カレンに問う。
カレンはどうしようという顔になり、サイラスを見る。
誰もがかたずを飲み様子をうかがう。
やはりお化けなのか、それとも、本当にいじめられっ子なのだろうか。
ゲルトは「きっと、さまようモノで」と色々湧きあがる感情と戦っていた。怖いけれども、いじめが絡んで事故死なら気の毒でもある。
カレンは頭を深々と下げた。
「ごめんなさい! 大伯父の荷物だったんです」
冒険者とメアリベルが一斉に「はい?」と聞き返した。
「私はいじめられてません! 大伯父がいじめにあって……」
ゲルトは確認するように言う。
「えっと? 下級貴族の子が……という話は」
カレンは「死んでません。卒業後は売れない詩人してました」ときっぱり言い切った。
カレンの入学が決まったころ、親族が集まった際にいじめについての話を聞いたという。彼は当時、下級貴族で社交性が良いわけでもなく、何かに秀でることもなく、いじめにあっていたという。
カバンを取り上げられ隠されたのは、学園生活の最終日。
色々なことをしている間に、取り戻すタイミングを逃したのだという。
それも校舎が使われなくなる直前とは言わないけれども、使用が終わる方のころ。
サイラスが「名前とか記載なければ、返却難しいか」という。
学園を離れてしまえば、誰の持ち物か探すのはかなり面倒くさいため、よほどな物品でない限り、本人が取りに来るのを待つ方がいいだろう。
ゲルトが「ここにあるって分かっていた?」と問う。
「それは、教授に聞きました。使われなくなって倉庫状態だから、当時あったのはそのままだって」
情報の出どころはしっかりしていた。
「メアリベルの調べたのも教授に聞けばわかるんじゃないの?」
ふとアルシエラが言う。
一応メアリベルも聞いたらしいが、当時を知っている教授や噂に詳しい人がいなかったらしい。
シェルリアは核心の質問を繰り出す。
「……どうやって入られたのです?」
「……実は……鍵が開いている窓があるんです」
ここに荷物があるだろうけれども、教授たちに何と言えばいいか困って、入れないか確認したという。
そうしたら、運よく、入れたらしい。
ゲルトは「まさか、さまようモノって、お化けとかではないのか」とほっとする。メアリベルに悪いけれども、得体のしれないものでない方がいい。
カレンが申し訳なさそうに「……何度か入っていたので、そのせいでしょうか?」という。
ゲルトは気づいたことを口にした。
「でも、最近だろ? 入ったの」
「はい。そうです」
「メアリベルの調べたのは結構幅広いみたいだし……そうなると、噂自体は、以前からあるということ……になる?」
ゲルトはぞっとした。やはり、得体のしれないものはいるのだろうか、と。
なお、対照的にメアリベルの表情が明るくなる。
シェルリアは月の位置を見て言う。
「今日はこのくらいにしませんか?」
メアリベルは「そうですね」という。
「人助けができたことはよかったですわ」
「……すみません、本当、嘘なんてついて」
「素直に言ってもらえたらよかったですけれども」
「すみません」
メアリベルは「お茶でも致しましょう? お友達も含めて」と貴族の少女らしい心配りを見せるのだった。
シェルリアは「寮まで一緒に戻りましょう!」という。
「ありがとうございます」
カレンは腰が低かった。
さまようモノの目撃があった道を通ったけれども、特に何も目撃しないで終わった。
なお、噂などについて追加調査をするならば、その校舎内で死人は出ていないということはわかる。もちろん、当時生きていた人たちで死んだ人がいたとしても、校舎の中ではない。
さまようモノについては、謎であるけれども、錯覚だった可能性も否定できないのだった。
マスターコメント
ご参加ありがとうございました。
皆様の緊張感が漂うプレイングでございました。
カレンにつきましては警戒および寄り添いありがとうございます。
さまようモノは謎で終わりましたが、一応、さまよってはいないけれどもそれらしいものはOPとリプレイで記載してあります。
また、ご縁があればお会いしましょう。
ショートシナリオR普通 報酬:少ない4 / 4〜8人
2022年07月09日 11時45分57秒 公開
成功
参加者
相談掲示板
サーマルアイで見たらカレンの体温が……異常に低かったりして。 …なんて。 ハフビシューターのアルシエラ……よろしくね。 とりあえず……、埃の上に足跡があるかは覚えておいたほうが、いいかな。 お探し物が本人の物か、戻って確かめるよりかは物から記憶を辿るスキルがあると便利…かも。
ヒーラーのゲルトだ。 噂と実際の目撃情報の食い違いは気になるところだな。…複数いるのか? 探し物自体は手分けすれば全部見つけられそうだ。
ヒーラーのシェルリア・リトヴァールといいます、よろしくお願いします! 七不思議も気になりますけど、困ってる人は助けなきゃですよね! カレン様がどうやって廃校舎に入れたのかは気になる所ですけど。
No.4
サイラスだ、よろしくなー まあ明かりか透視とかいるかねーとは 他は色々考える