復讐の依頼~殲滅の爆雷巨人~

望月誠司

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シナリオID:2259

オープニング

 とぐろを巻く稲妻だ。
 凶悪に輝く光を纏った巨人が剛腕を振るう。

 必死の形相で駆ける少女の背に拳が炸裂する。少女の細い身体がひしゃげる。既に絶命した肉の塊が吹き飛んで、教会の壁に激突し砕け、赤い染みを作った。

 巨人が地響きを立てながら高速で駆ける。
 人々が悲鳴をあげながら逃げる。

 巨大な拳が振り上げられた。
 蒼い輝きが収束してゆき肥大化してゆき、強烈に眩い巨大な光を形成する。

「OOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 巨人が咆吼を轟かせながら蒼い巨大な光を纏った拳を振り下ろす。

 蒼雷の巨拳が、逃げる青年を果実のように押し潰し、拳が大地を爆砕して土砂を間欠泉の如くに吹き上げ、蒼い光が爆ぜる。
 爆ぜる蒼い雷が渦を巻き周囲へと荒れ狂いながらドーム状に膨れ上がってゆく。

 迫り来る爆雷の光に呑み込まれた逃げまどう村人達の身が次々に爆ぜひしゃげ、消し飛んでゆく。

 人々が次々に消し飛ばされてゆき、村が一つ、辺境から消えた。

●
「奴を殺して欲しい」

 半年前にクリーパーによって滅ぼされた村の、今となっては唯一の生き残りだという少年が据わった眼差しで言った。
 年の頃は十五か十六といった所だろうか。顔も手も土埃とこびりついた垢で薄汚れている。服も薄汚れてあちこちがほつれ穴があいている。

 少年から漂う悪臭に顔を顰めつつギルド職員は尋ねた。冒険者を雇うには金がかかる。

「金はあるのか」
「ある」

 少年は懐から袋を取り出してカウンター上に置く。
 薄汚れた革袋だ。それを置く手も土埃と垢に汚れている。
 ギルド職員はふんと鼻を鳴らした。

「なら良い。冒険者へと依頼を出そう。必ず成功するとは限らないが」
「……頼んだ」

 憎悪に染まった瞳で少年はそう言った。
 かくて『稲妻の巨人』の討伐依頼が冒険者ギルドへと出される事となる。

解説

■討伐対象 ●稲妻の巨人(以下ギルドが掴んでいる情報(PC情報))  滅びた村を根城にしている体長5メートル程の人型クリーパー。  とぐろを巻く蒼い稲妻のような光を身に纏っている。  攻撃力と命中力と生命力と抵抗力が非常に高い。 ●爆雷撃  最大射程1。  蒼雷を拳に収束させて放つ拳や蹴りなど。  攻撃を受けたPCは受けた衝撃力に比例して吹き飛ぶ。最大で6hex程度。  雷光のように素早く、非授恵者ならば一撃で爆砕する程に凶悪に破壊力が高い。 ●雷陣拳  最大射程1。  蒼雷を拳に極限まで収束させ振り下ろす。  命中地点より直径3hexに爆雷が範囲内に荒れ狂う。  高命中高破壊力の範囲攻撃。  連続使用が不能。  一度使用するとそのラウンドと次のラウンド中は使用できない。  雷陣拳を使用出来る状態であり、雷陣拳で攻撃可能な対象が存在する場合、必ず最初に雷陣拳を使用する。 ●二回主行動  1ラウンド中サブアクションを1回、メインアクションを2回行える。 ●暗視能力  暗くても見通せる。 ●ショートスリーパー  ほぼ眠りを必要とせず、眠っていても気配にすぐに反応する程度には眠りが浅い。 ●備考  特にプレイングに仕掛ける時刻に関して記述が無いか、記述が割れている場合は天気の良い昼間に巨人へと戦闘を仕掛ける事になります。

マスターより

 滅びた村へようこそ、望月誠司です。  今回はシンプルに強い敵です。  高いステータスと二回攻撃と範囲攻撃でゴリ押ししてくる接近戦型パワー&スピードファイターです。  力があって速くてデカくてタフです。  ご興味惹かれましたらご参加いただけましたら幸いです。

リプレイ

 滅ぼされた地だ。
 冒険者達は半年前にクリーパーによって地図上から消滅させられた辺境の廃村を訪れていた。
 時刻は昼。空は青く晴れている。
 四人の冒険者は崩れ落ちた家々の残骸の間を抜ける道を歩きながら、件の巨人の姿を探していた。
 一人ハヤト=ガラン=ヴォルファングは一同から離れ、家屋の陰に身を隠しながら移動している。

 廃集落の十字路に東側から差し掛かる。
 すると右手側にそれが見えた。

 道の彼方、村の広場であった場所に稲妻を全身に纏った体長5mにも及ぶ巨人が佇んでいる。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!」

 それは冒険者達の接近の気配を前もって察していたのか、先頭を歩くアーテミシアが十字路に足を踏み入れた瞬間、雄叫びをあげ駆け出した。

 地を揺るがせ、床子弩(バリスタ)から放たれた巨矢の如く、風を巻いて高速で突進して来る。

 一瞬で村広場から十字路までの距離を詰めながら巨人がその巨大な拳を振り上げた。
 蒼い輝きが拳に収束し肥大化する。
 猛烈に眩い巨大な光を形成する。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 咆吼を轟かせながら蒼い巨大な光の巨塊がブロンドのエルフ少女目がけ爆風を巻いて迫る。
 刹那、アーテミシアの姿が掻き消えた。

 蒼雷の巨拳が、空気だけが存在する空間を虚しく突き抜け、大地に激突し、爆砕し、盛大な土砂を間欠泉の如くに吹き上げる。
 蒼い光が爆ぜ狂う。
 蒼雷が渦を巻き周囲へと荒れ狂いながらドーム状に膨れ上がってゆく。

 しかし、その爆光に巻き込まれた者は誰一人として存在しなかった。
 セリオス・オーガストも、バーネット・フォーサイスも、エミリア・シバも、皆、雷陣拳を警戒して先頭のアーテミシアからかなり距離を取っていたからだ。

「ハッ、こりゃ夜でも目立っていいな」

 拳が振り下ろされる直前、エーテルを解放、瞬間的に加速し、機動して間合いを外しかわしたアーテミシアは、半球形に直径15m程にも膨れ上がり荒れ狂う爆雷の嵐を眺めながら呟いた。

「水に沈めたら楽しいことになりそうだぜ」

 そんな言葉が響く中に爆雷は収まり、しかし次の刹那、新たな光が炸裂した。
 巨人の眼前で光が一瞬、しかし猛烈な強さで荒れ狂う。
 一同から離れ、家屋の陰に身を潜めながら同行していたハヤトが、閃光塗弾を投擲したのだ。
 光が爆ぜる中、残像すら発生させる程の高速で赤褐色のゴブリンが飛び出している。
 天を駆けるかの如く跳んだ銀髪の傭兵団長ハヤトは、目を晦ませている巨人の顔面へと迫ると、藍玄の忍刀を一閃した。縮地一閃。
 手に伝わる確かな手応えとともに巨人の左の眼球が深々と斬り裂かれる。
 体液が噴出しゆく中、傭兵団長は宙空にて身を独楽の如くに回転させる。間髪入れず残った右目をもめがけ雷炎纏う脚を鞭の如くに振るう。
 焔雷獣の牙と骨を削りだしてつくられた具足が唸りをあげて巨人の眼球へと迫り、次の瞬間何もない空中を切った。
 巨人が機敏に頭部を後方に反らしていた。
 ハヤトは回転しながら地に降り立つと、また家屋の陰へと素早く駆け去ってゆく。

 他方。

「そんじゃま正々堂々と真っ向から……搦め手を使わせてもらうぜ」

 一行の最後尾に立つ、紫髪のハーフリング男が魔導書を構え、巨人を不敵にその緑瞳で見据えた。
 バーネット・フォーサイスだ。
 男が向ける魔導書の先より、霞状のエーテルが噴出し巨人へと向かい宙を翔け陽光に煌めきながら伸びてゆく。
 魔法の霧が広範囲に広がって、巨人を包み込み纏わりついてゆく。振り払わんと巨人が咆吼する。稲妻の巨人は非常に高い抵抗能力を誇っていたが、しかしバーネットの呪力はそれさえも上回っていた。
 凶悪極まりない付与力が、巨人の抵抗を強引に押し切り、巨人の視界を阻害しその攻撃精度を低下させてゆく。魔霧(まか)だ。

 その間にエミリアが風の如くに突撃していた。竜爪の剣と竜爪の短剣を左右の手に構えると巨人の右の脛裏――アキレス腱へと迫り斬りつける。
 双剣が稲妻を纏う巨人の皮膚を斬り裂き、真っ赤な鮮血を噴出させる。しかし、続く三撃目の剣は空を切った。巨人が素早く横へ跳び退っている。
 エミリアは踊るようにステップすると間合いを広げて素早く駆け去り、反撃の射程から逃れてゆく。

 セリオス、バーネットのカースがかかってからインベイシブしたい所。バーネットの初手は魔霧のようだったので、初射の予定を変更する。
 竜骨の強弓に矢を番えエーテルを全開に解放する。月が満ちるように弓を目一杯まで引き絞ると銀色の瞳で巨人を睨み、矢を解き放つ。
 鋭い弓弦の音を響かせながら矢は爆発的に飛び出し、錐のごとく旋転しながら空を裂いて巨人へと迫った。
 エミリアの攻撃をかわした直後の巨人の腹に矢が鋭く突き立つ。凶悪な破壊力を炸裂させ肉を抉ってゆく。命中。

 ハヤト、目を潰した後にアキレス腱を狙いたいが、巨人の目は片方は潰れたが、片方はまだ潰れていない。右目が健在だ。
 精悍な体躯の男はエーテルを解放、空間そのものを縮めたかの如くに加速して地を蹴り、再び残像を発生させながら宙に舞う。
 三連の紅雷が巨人の右目へと襲いかかり、隻眼の巨人はしかし素早く顔を逸らしてかわす。巨体だったが巨人の反応は鈍くはなかった。部位狙いは不意でも突かない限り簡単にはあたりそうに無い。
 ほぼ同時、エミリアが巨人へと向かって再度突撃し、駆け抜けざまに右脛の裏を目がけて三連の剣閃を走らせている。二条の刃光が肉を斬り刻んだ。

 巨人は高速で一撃離脱してゆくハヤトとエミリアを忌々しそうに一瞥しつつ、周囲へと視線を走らせる。
 二人は遠くへ駆け去り、アーテミシアは先に雷陣拳をかわす為にチャージで離れたから、手頃な位置にいて狙えそうなのは、20メートル離れた位置に立っているセリオスだった。バーネットはその後ろなのでそうなる。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 稲妻纏う巨人が大気を震わせる咆吼を轟かせ、大地を揺るがせながら高速で、一瞬で、爆風を巻きながらセリオスへと間合いを詰める。

 固められた右の拳が弓のように引かれ振り上げられている。蒼い雷がその巨拳に収束され眩く輝いてゆく。

(これは、逃れられないな)

 セリオス、銀髪の猫科の半獣人の青年は、それを悟るとじたばたせずに冷静に、無表情で、爆風を巻いて迫る巨人をその銀瞳で鋭く睨み据える。矢を番えた強弓をエーテルを全開に目一杯に引き絞り、全霊を賭した一撃を撃ち放つ。
 矢が爆発的に鋭く撃ち放たれた。風を巻く閃光が、巨人の胸へと吸い込まれてゆく、錐の如くに回転しながら、深々とその骨肉を抉ってゆく。

 次の瞬間、蒼く眩い巨大な光を纏った巨拳がセリオスの身を捉え、轟音と共にひしゃげさせながら吹き飛ばした。
 螺旋に回転しながら宙を勢い良く唸りをあげて舞った青年が廃屋の壁に激突し、それを突き破りながら彼方へと消えてゆく。
 セリオスは立ちあがって戻ってはこなかった。昏倒した。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 巨人はさらに大地を揺るがし咆吼をあげながらさらにその先にいるバーネットへと迫ってゆく。

「待てよおい」

 その後背、金髪を靡かせながらエルフ少女が矢の如くに加速して迫り、戦槌を振り上げている。

(こいつ……)

 バーネットは巨人の意図をその視線から判断しつつ後退しながらエーテルを練り上げてゆく。
 巨大な死が迫って来る。
 振り切れそうにない。
 紫髪のハーフリングは弱点を探しながら魔導書を掲げ緑色の光弾を撃ち放つ。アシッドブリットだ。

「その装甲は貰ってくぜ」

 緑色光弾が巨人の右脚に命中、破裂して物理装甲を劣化させるエーテルを纏わりつかせてゆく。
 直後、チャージングの勢いを乗せて振るわれたアーテミシアの竜骨の戦槌が、巨人の右の膝裏を捉え、轟音と共に肉を潰し衝撃力を炸裂させた。バーネットのアシッドブリットにより与えるダメージが増している。

 ハヤト、中てられそうに無いので両目を潰す事は諦めた。機動力を削ぐ為、エミリアが攻撃を加えた脛の裏側――アキレス腱へと狙いを移す。
 残像と共に暴嵐の如き連撃が一刹那に吹き荒れ、最後の一発はかわされるも、巨人へと連撃を与えながらそのまま駆け抜けてゆく。
 エミリア、夜空の色の髪を靡かせながら、ハヤトの攻撃をかわした先の巨人へと入って剣と短剣を光の如くに閃かせる。巨人の脚を斬り刻みながら女はそのまま高速で斬り抜けてゆく。
 巨人は高速で駆け去ってゆくハヤトとエミリアからの打撃に怒りの咆吼をあげる。右脚を引きずりながらも右拳を高々と振り上げた。

 蒼い輝きが拳に収束し肥大化する。
 猛烈に眩い巨大な光を形成してゆく。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 轟く咆吼。
 巨大な蒼光。
 爆風を巻いて天雷の如くにその雷纏う巨拳が紫髪の小人へと振り下ろされる。

 不敵に笑うバーネットは、内心でヤバイと思いつつも、冷静に最も効果的となる角度を計算しつつ竜鱗の盾を掲げ、エーテルを全開に解き放った。
 輝く光がバーネットの全身を包み込む。エーテルバリアだ。

 激突。

 爆ぜる蒼雷が渦を巻き周囲へと荒れ狂いながらドーム状に膨れ上がってゆく。
 バーネットが見る世界が蒼と白に包まれ激しく明滅し、揺れてゆく。
 全身がバラバラになりそうな激痛がバーネットの体内で荒れ狂っていた。
 
(うぉおおおっ……!)

 紫髪のハーフリングが血反吐をはきだす。
 地面を靴底が抉る。
 だが、その小柄な身で、圧倒的なまでに巨大なクリーパーの拳を、彼は光纏う盾で受け止め、両脚を踏ん張って立っていた。

 痛いって事はまだ生きてるって事だ。

 堪えた。
 エーテルバリアと盾が飛躍的に物魔の防御力を上昇させ、巨人の右の雷陣拳をかろうじて凌いでいたのだ。

 次の瞬間、左の爆雷拳が横殴りにバーネットの身にめりこんだ。
 湿った凄惨な轟音を轟かせながら投石機(カタパルト)から放たれた石弾の如く水平にバーネットが吹き飛んでゆく。家屋の壁に激突、轟音と共に爆砕しながらその奥へと消えていった。

 授恵者は頑丈だから、そう簡単には命を落とさないが、まず意識はあるまい。バーネットも脱落と見て間違い無さそうだった。

 アーテミシアが舌打ちしながら駆け迫り、巨人の右の膝裏へと竜骨の戦槌を叩き込む。鈍い轟音が鳴り響く。

 巨人が態勢を崩し、右膝をつきながらも拳に稲妻を収束させ振り向きざまに薙ぐように振るった。

 ドワーフを自認するブロンドのエルフ少女は即応し、ガントレットを前方へと翳した。
 蒼光纏う巨拳が激突、その瞬間にアーテミシアは地を蹴って自ら後方へと跳んだ。
 巨人の一撃は頑強無比を誇るアーテミシアの装甲を貫通して来る程に強力だったが、それにより幾分かダメージが減衰される。
 吹き飛んだ少女は地を転がりながら間合いを離すと自身の肩に手をあて癒しの光を解き放った。痛みが急速に薄れ、生命力が回復してゆく。ヒールだ。

 巨人はさらに追撃の為に足を引きずりながらアーテミシアへと迫ってゆくが、アーテミシアが自ら後ろに飛んだ事により、第二撃を即座に撃ち込める距離ではなくなっていた。

 ハヤトとエミリアが矢のように突っ込んできて、交差ざまに巨人の左脚を削いでゆく。
 バーネットの置き土産により柔らかくなっている皮膚が裂かれ、血飛沫が盛大に噴き上がってゆく。
 二人は巨人からの反撃を受けぬよう、即座に駆け去ってゆく。
 巨人が憤怒の咆吼をあげた。
 纏わりついていた魔霧が吹き飛ぶ。

 ハヤトから残像が消える。しかしそれでも疾風の如くに駆ける。
 エミリアの機動速度がガクッと落ちる。スキルが切れた。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 巨人、さすがにここまで繰り返されれば、二人が一撃離脱してくる事は学習したらしい。
 その突撃にタイミングを合わせ、右の拳を振り上げる。

「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!!!!」

 轟く咆吼。
 巨大な蒼光。
 爆風を巻き天雷の拳が迎え撃つように銀髪のゴブリンへと襲いかかる。

 ハヤトは攻撃の軌道を瞬間的に見定めて飛び退り機動を変化させる。紙一重、巨拳を潜り抜ける。
 次の刹那、大地が爆砕され土砂が間欠泉のように噴き上がり、蒼白い光がドーム状に膨れ上がってゆく。
 赤褐色の肌の傭兵団長が光の中に消えてゆく。

 エミリア、前に出ていない。

 光が収まり、

「なかなか、狩り甲斐の、ある野郎、じゃ、ねぇ、か……」

 ハヤトが呟き、地に倒れ伏してゆく中、飛び込むのを遅らせていたエミリアが踏み込む。巨人へと迫り二本の刃で左の膝裏を斬り刻む。
 アーテミシアもまた巨人へと踏み込むと、左の膝頭へと戦槌を振り下ろす。

 さらにエミリアが斬撃の嵐を巻き起こして左の膝裏を斬り刻み、即座に飛び退く。呼吸を見切り間隙を縫うように鮮やかに離脱してゆく。

 膝立ちの巨人がアーテミシアへと拳を振るう。
 アーテミシアが吹き飛ぶ。しかし自ら後ろに跳ぶ事で威力を殺している少女はすぐに起き上がり自らにヒールする。

――巨人は片膝をついていたが、まだまだ死亡するような気配はなかった。非常にタフだ。

「退却も検討に入るかしら?」
「冗談。追い詰めてるのはこっちだぜ」
「それもそうねぇ」

 エミリアの問いかけにアーテミシアが答え、それにエミリアが頷く。

 巨人がエミリアへと四つ足の獣のように這い跳び迫りながら雷を収束させた拳を振り上げる。
 夜空の髪色の女はステップして落雷をかわす。大地が爆砕され蒼光が膨れ上がる。エミリアは視覚のみならずすべての感覚を研ぎ澄ませた。
 エーテルによってマテリアル界に起こされる現象には斑がある。
 その濃度の狭間、破壊の隙間を瞬時に見切り、半身に体を滑り込ませてゆく。
 光の狭間を縫い破壊をかわしながら、膝立ちにならんと身を起す巨人の左膝を斬り刻んでゆく。
 アーテミシアもまた駆けてきて踏み込むと戦槌を巨人の左膝へと振り下ろす。

――するとついに巨人の左膝も砕けた。



 巨人は立てなくなっても、それでも旺盛な生命力に任せて激しく抵抗した。
 しかしエミリアは一撃離脱し、カウンターを合わされてもかわし、アーテミシアは装甲で防御し、ヒールで回復し、決して倒れなかった。
 二人は地道に攻防を続け、やがてその非常に高い巨人の生命力のすべてを自分達が倒される前に削りきる事に成功、ついに勝利をおさめたのだった。

 戦後、精も魂も尽き果てたような有様の二人だったが、昏倒している三人を回収し、応急手当し、なんとか最寄りの村までたどり着いて、全員の生還と依頼の達成を果たしたのだった。


マスターコメント

 この度はご参加とプレイング、誠に有難うございました。  今回、最初の奇襲で片目取ったのもかなり大きかったと思うのでMVPをどちらの方にするか迷ったのですが、最後まで残って脚削ぎにも大きな貢献をした方に差し上げる事にしました。  ご満足いただける内容になっていれば幸いです。
ショートシナリオ

ショートシナリオ非常に難しい 報酬:多い5 / 4〜5人

2022年06月18日 16時39分37秒 公開

普通

相談掲示板

  1. アーテミシア

    ン、集まったな シンプルに強いンなら、こっちは多少は頭を使ったほうがいいかね… 爆雷撃は距離を取るか、後ろを取ればいいか 雷陣拳は誰かが一発使うように誘導してから接近ってとこかね

  2. バーネット・フォーサイス

    キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 今回はシンプルとはいえべらぼうに強力な奴が相手だし、 俺らも相応に連携とか手順を決めておきたい所だ。 ひとまず、 ・最低限一人は巨人に接敵して注意を引きつけ、動き回られない様に足止め ・雷陣拳を使って来る時は、攻撃範囲内に入る奴は最小限にする ・BSは盛れるだけ盛って弱体化 この辺はやっておいた方が良さそうだな。

  3. エミリア・シバ

    そろっていたのに気が付くの遅れてしまったわね。 シーフのエミリアよ、よろしくね。 方針はバーネットちゃんのに賛成よ。 おねさんは、一応攻撃力の確保もしているので回避特化シーフと比べると低めだけれどそこそこ回避はあるから、神眼法とかで雷陣拳の誘発役、もできる、かもしれないわね。 誘発役以外の時は、フェザーステップと疾風足の組み合わせで雷陣拳の範囲に入らないようなヒット&アウェイで攻撃かしらね。 BSはほかの人の持っていくBSを聞いて考えたいところね。

  4. アーテミシア

    オレはとりあえず足回りから狙うかねえ。雷陣拳誘発したらチャージングで突っ込んで膝か膝の裏に食らわせる感じか 爆雷撃は1発耐えられれば吹っ飛ぶから回復する余裕は出来るな…

  5. セリオス・オーガスト

    ・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず方針は問題ないがBSは抵抗高いようだからやるならバーネットに呪いをかけるなどしてもらってのほうがよさそうだな。効かなければかける効率も悪いしな 一応俺は持っていくならスリップダメージと行動阻害のBSはもっていけるな

  6. バーネット・フォーサイス

    >個人行動 一応付与を上げるだけ上げて、BS付与をメインにしようと思ってる。 カースを掛ける事は前提として、アシッドブリットで【BS能力低下:物理防御:2】、 魔霞3で【命中低下:20%】あたりをやるつもりだ。 後は、魔弾2を切り捨て、魔蝕3で【物攻低下:20%】の付与をやるかどうかって所だな。

  7. エミリア・シバ

    回避を生かしたままだと、付与値が27にしかならないのよね。 一応持っていけそうなのは下記だけれど、バーネットちゃんやセリオスちゃんより強度低そうかしらね。 破鎧砕3【物防低下:20%】 破脚砕3【行動阻害】(強度2) 縛糸刃や死魔刃の特性系は回避枠が外せない感じだと、 特に強度も高くないしトリプルファングで火力の法維持したほうがいいかしらって思ったので今回はもっていかないつもり。 そしてふと、相手の攻撃って物理攻撃でいいのかしら? 自分は物理と思い込んでいたのだけれど、よく見るつ物理とも明言されていないのよねぇ 雷陣拳とか『爆雷が範囲内に荒れ狂う』とかあるので魔法威力計算の可能性もある?とか思ってしまったので 魔乱印【魔法攻撃低下:30%】を無駄になるかもしれないけれど、念のためにもっていこうかしらって考えてるわ。

  8. アーテミシア

    普通に考えれば電撃は魔法って気もするけど、書いてねえから何とも言えねえ オレは チャージング・ヒール・強打・装甲防御 だな。バフ・デバフやってる余裕がねえ。

  9. バーネット・フォーサイス

    そういや、攻撃力が非常に高いとしか書いてないから、 攻撃が物理なのか魔法なのか明言されてないな…… まぁ、若干決め打ち気味になっちまうが、魔蝕3で物理攻撃力を下げる事にする。

  10. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    おーっす! ギリギリになっちまってすまねぇ! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! シンプルに強ぇ相手か… 俺はヒット&アウェイでひたすら削るのに徹する感じだな。 デバフはねぇが巨人が相手っつーんならまずはアキレス腱辺りを集中攻撃してまずは足を止める戦法で行くぜ!!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0