悪魔の槍衾

望月誠司

コメント 21

シナリオID:2246

オープニング

 その人型クリーパーの造作は悪魔じみて。
 数は三体。
 それぞれ紫、黒、赤の皮膚色をしている。
 右の手にするは槍。
 左には円型盾(ラウンドシールド)を保持していた。
 横一列に並び、重厚な足音を揃え、黄塵吹きすさぶ荒野を南へと行進してゆく。

 やがて彼らは人里へ到達する。
 三体の悪魔達が高速で駆ける。
 手にする槍より、それぞれ紫、黒、赤の光が勢いよく噴出した。
 光は瞬間的に収束して刃と化す。

 光が三条はしった。
 紫、黒、赤の光の槍が、一人の村人の身を次々に貫いてゆく。
 標的となった村人は集中攻撃を受け瞬く間に絶命した。

 それを目撃した他の村人達が恐怖の悲鳴をあげ、弾かれたように背を向け、這(ほ)う這(ほ)うの体(てい)で駆け出す。
 悪魔達は紫、黒、赤にそれぞれ不気味に光る瞳を向け、疾風のごとく、猟犬のごとく、襲いかかった。

 光が走り、断末魔の悲鳴が響き渡る。
 さきほどまで平穏そのものだった村は、瞬く間に地獄絵図と化していった。

●
 その日、預言の魔女オペラが見た予知夢とはそのような内容だった。
 悪魔じみた造作の、三体の亜人型クリーパーが村を襲い、多くの人間を虐殺するという。

 預言の魔女オペラの予知夢はその実現を妨げようと動かぬ限り、100%的中する。

「地獄の現出を防げるのはおぬしらしかいないのじゃ」

 リアルな夢の中で、村人達が虐殺されてゆく姿を目撃したハーフリングの魔女はそう語った。
 彼女は絶望の中で人の命が失われていくのを阻止したがっている。

 ギルドより依頼が冒険者達へと出された。
 その内容は、

「村に迫り来ている悪魔的クリーパーを速やかに捕捉し、これを討て」

 との事だった。

解説

■預言の魔女が予知夢により得て、ギルドより冒険者達に伝えられている情報(以下の解説内容はPC情報で良い) ■敵戦力 ●デーモン・ファランクス × 3  悪魔じみた造作の亜人型クリーパー達。  体長は180cmほど。  手に槍と盾を持つ。  三体とも皮膚の色が違う(紫、黒、赤)  三体は横隊で密集し南へと向かい荒野を行進している。  西端から数えてそれぞれギルドより「紫魔槍」「黒魔槍」「赤魔槍」と命名されている。 ●特殊能力 ・エリアプロテクション  魔槍這者達を中心として展開されている防護的エーテル領域。  直径3hex以内の自身含む味方の物理・魔法の防御力を100%上昇させる。  複数のこの能力の影響下にある場合、その対象へはすべて効果が重複する。 (三重の場合、元の防御力の三倍の防御力になる) ●ダッシュ  サブアクションでも移動の2倍の値で移動する ●移動の値  4 ●エーテルスピア  それぞれ槍からエーテル光を噴出して収束、刃と成し攻撃して来る。  射程2。  またエーテルスピアによる攻撃の対象とした存在へと即座に『呪力』を付与する。 『呪力』を付与された対象へのエーテルスピアによる攻撃は、物理攻撃力及び命中力が100%上昇する。 『呪力』及びその効果は重複する。 (要するに同ラウンド中に複数体から連続して攻撃を受けた場合、二体目からは二倍の攻撃・命中で攻撃され、三体目からは三倍で攻撃される) 『呪力』は次のラウンドのセットアップ時にすべて消滅する。 ●習性 ・直前に攻撃してきた対象を優先的に標的に選ぶ傾向がある。  ただしその対象が11hexよりも離れた位置にいる場合でかつ、10hex以内に他の敵が存在する時は他の敵への攻撃を優先する。 ・これといった優先攻撃目標が存在しない場合、味方の付近に位置取りする、あるいは味方が攻撃している敵にターゲットを合わせて集中攻撃しようとする ■迎撃地点の地形及び天候など  遮蔽物の無い平坦な荒野。  時刻は快晴、昼。  風が強く吹いて時折り土煙が舞っている。

マスターより

 砂煙と共に風が吹く荒野の戦場へようこそ、望月誠司です。  例によって今回もオーソドックスな純戦闘物のシナリオになります。  今回はVS複数体です。  攻防において相互支援する能力を保有している為、三体に対して正面から一人で立ち向かった場合、まず勝てません。  古来よりどれほどの剣の達人でも槍衾相手には勝てない、と言います。  ただし、この悪魔的クリーパー達は無敵ではありません。  ご興味惹かれましたらご参加いただけましたら幸いです。

リプレイ

 空は青く晴れている。
 砂煙と共に吹く風が、茶けた荒野を流れてゆく。

 北より一定速度で歩調を合わせ、行進して来ているのは三体のクリーパー。
 紫、黒、赤の色の皮膚をした、悪魔じみた人型クリーパー達。
 円型盾を左手に、右手にはそれぞれ皮膚と同色の光を立ち昇らせる槍を手にしている。

 その様を見やりつつ、ギルドからの事前情報を思い返し、

「いいですよね、タコ殴り。されるのは困りますが」

 複数人で一気に突撃して間合いを詰め、一人を取り囲んで長い槍で突き突き叩く。
 基本に忠実過ぎるクリーパー達の戦術を指してエルファリアは「いっそ共感します」と述べた。
 古から連綿と続く戦いの基本戦法。
 それはシンプル故に当たり前に効果を発揮する。複数から集中攻撃されるときついのだ。

「面倒くせえ性質してンな」

 その戦術と互いを互いに強化するクリーパー達の特殊能力を指してアーテミシアが呟いた。

「……まあ逆に引き離しちまえば大した脅威でもなくなる、か」
「そうですね、やることがガチガチの相手をどう崩すか、と考えると……まあやりたいことを出来なくするのが一番です」

 エルファリアがアーテミシアに同意する。

「お互いフォロー出来ない距離にふっ飛ばしてしまいましょう」
「やっぱそれが効率的かね」
「異議なーし!」

 ナキルが二人に賛同し、

「それじゃそういう手筈で」

 サイラス、ミィアも頷く。

 かくてギルドより討伐依頼を請け負った五人の冒険者達は作戦を立てると、デーモン・ファランクスを迎撃すべく駆け出したのだった。

●
 敵味方の互いの距離が詰まってゆく。

 反応速度味方最速のナキル、タイミングをはかっている、まだ仕掛けない。前に出ない。味方がドラゴンチャリオッツを使用するまで様子を見つつ味方についてゆく。

 ミィア、天眼にて五感を張り巡らせ、透視で砂煙を透かしつつ、全体位置を把握せんとつとめる。ナキルよりも少し後方につけている。

 サイラス、紫魔槍を鋳造で狙うべく前進する。サイラスの基本的な移動速度は非常に低いのでなかなか遅い前進だ。

 ドラチャリ担当のエルファリアも前進、赤魔槍を目指す。授恵者の平均よりは少し遅めの速度だが他の前衛二人よりは速い。

 アーテミシア、間合いをはかりつつ前進している。こちも基本的な移動速度はかなり低いのでチャージングからのドラゴンチャリオッツに繋げたい。
 チャージングは一息に30メートルを詰め、ドラチャリは10メートルを加速する。だから間合いは40メートル。

 ギルドからの事前情報によれば、デーモン・ファランクス達の「ダッシュ」は40メートルの距離を一気に詰め、そしてその光槍の射程は10メートル。だから間合いは50メートル。

 あちらの方が間合いが広い。

 基本、先手争いは間合いが広い側が有利だ。
 これを覆すには間合いの詰め方、仕掛けるタイミング、反応速度らが重要になる。
 冒険者の側がいかなる時も無条件に先手を取れる訳ではない。

 そんな訳であるから、アーテミシアは彼我の速度から間合いをはかりつつ移動していた訳であるが――

(その位置、まずくないか?)

 エルファリアの行動にタイミングを合わせられるようにもはかっていたアーテミシアは、銀髪娘の背を見やってふと危機感を覚えた。
 今回の戦い、敵味方の特性上、居合抜きみたいな勝負である。距離の詰め方、仕掛けるタイミングは重要だった。

 ボンッ!

 と何かが爆ぜるような音が響いた。
 前方彼方の荒野の土が粉砕され煙が高く舞い上がる。
 小さな影が、あっという間に、みるみるうちに大きくなる、風裂く唸りをあげて迫り来る。
 デーモン・ファランクス達が大地を蹴りつけ、放たれた弩矢の如く、猛加速して飛び出して来ていたのだ。

 紫色、黒色、赤色の光が爆発的に噴出した。
 光達はうねり一瞬で収束して眩く鋭い刃を形成し、悪魔じみた人型クリーパー達がエルファリアへと迫り来る。

 穿つような紫色の閃光。
 銀髪金瞳、175cmの女性的な起伏豊かな若い娘は、普段はあまり使用しない盾を素早く翳した。
 竜鱗が貼らエルれた鋼盾と紫光とが激突し、強烈な衝撃と共に呪力が荒れ狂う。
 瞬間、ファリアが見ている景色が傾いた。
 構えられた盾の下を掻い潜るように、赤魔槍が低く弧を描く横薙ぎの斬撃を繰り出していた。
 呪力により飛躍的に破壊力の増した赤光刃が、エルファリアの右脚へと足払いのように炸裂したのだ。

 痛みは感じなかった。
 ペインキルの効果だ。

 だが、何かが砕けたような嫌な音が鳴り響いて、態勢が大きく崩れた。
 漆黒の悪魔じみた人型クリーパーが、黒い光を噴出しながら槍を最上段に振り上げている。

 天雷の如くに黒槍刃が振り下ろされた。

 黒い光が、エルファリアの頭部めがけ迫り来る。

 死の光を見つめながら銀髪娘は咄嗟に頭部を横に振った。黒雷が側頭部をかすめ、鎖骨部に激突する。

 痛みは感じなかった。
 しかし、噴き上がる真っ赤な鮮血と共に、エルファリアの意識は漆黒の闇へと強制的に沈んだ。

 直後、眩い光を纏った緑色の腕が唸りをあげて黒魔槍を殴り飛ばした。突撃してきたアーテミシアが繰り出したシールドガントレット=ドラゴンチャリオッツだ。
 黒魔槍の身が浮き上がり、木の葉の如く勢いよく吹き飛ばされてゆく。

 ナキル、こういうケースになった場合どう動く?
 誰かが倒されるのは想定になかったので少し判断に迷ったが、ドラチャリで吹き飛ばされなかった敵個体が発生した場合のプランに基づいて動く事にする。
 意識を攻撃に集中させているブロンドのハーフリングの少年は、エーテルを全開に解放、爆発的に加速して飛び出した。
 宙を舞い吹き飛んでゆく黒魔槍を追って矢の如く駆けてゆく。
 猛然と荒野を駆けつつナキルは剣を振り上げエーテルを極限まで収束させた。

「吼えろアズラクッ!!」

 アズラク――硝子のように透ける刀身を持つ蒼剣アルサリアは、少年の裂帛の気合と共に半月を描いて振り下ろされ、その叫びに呼応するよう風巻く唸りと共に衝撃波を噴出した。
 不可視の空圧の刃が、荒野の砂塵を巻き上げ吹き散らし軌跡を描きながら、風の咆吼と共に黒い悪魔へと牙を剥き襲いかかる。
 次の刹那、宙空にあり十全に身動きの取れぬ黒魔槍の身に不可視の衝撃の刃が炸裂、轟音を響かせ凶悪な破壊力を解き放つ。
 黒い悪魔が弾かれるようにさらに吹き飛び、凄まじい勢いで荒野に叩きつけられ、ゴロゴロと転がって砂煙を巻き上げてゆく。しかし悪魔じみた人型クリーパーはその回転の勢いを逆に利用して足から立ち上がった。不気味に輝く黒い瞳でナキルを見る。

 他方、アーテミシアと同時にサイラスもまた動いていた。
 赤鱗のリザードマンは炎で形成された翼のような光を背から噴出して広げ、左手にランタンシールドを参考に製造された大盾を構え、白い砂煙を巻き上げながら荒野を滑るように機動してゆく。
 右手より光を噴出、巨大な斧を形成、身を捻りざま投擲。白光の大斧が回転し風裂く唸りをあげながら紫魔槍へと襲いかかる。
 紫魔槍は素早く円型盾(ラウンドシールド)を翳した。
 重複するエリアプロテクションにより超強化されている盾と光の大斧とが激突し光の粒子を散らす。紫色の瞳がサイラスを見る。

 ミィア――祈りを捧げるように瞳を閉じている少女より眩い純白の光が溢れ出した。
 黒い祭司礼装(カソック)に身を包むブロンドのハーフリングは両手を翳し、エメラルドに似た緑色の瞳を開く。呟きと共にその両手から光が解き放たれ、地に横たわる銀髪娘の身を包み込んでゆく。
 サイドヒールとヒールだ。
 エルファリアの負傷が急速に癒えてゆく。
 ミィアの力はかなり高く、二重に放たれたそれはかなりの回復力があったが、しかし、エルファリアが受けた傷は極めて深かった。
 かなり回復したが、全回復には遠い。

●
 黒魔槍が再び爆発的に弩矢の如く飛び出した。狙いはナキル。
 黒い閃槍がハーフリングの少年へと襲い掛かる。
 意識を攻撃に集中させているナキルは、エーテルを開放し精神を研ぎ澄ませ、前に出ながら身を捻る。
 反応強化で回避が上昇している。しかし同時に攻撃集中により低下もしている。
 黒いエーテルスピアの切っ先が、少年の腹を捉え突き刺さる。かわしきれない。しかし、咄嗟に身が捻られた事により、その穂先は内臓へと達する前に肉を抉り切りながら抜け、空間を貫いてゆく。
 ナキルは激痛と共に鮮血を吹き出しながらも歯を喰いしばり、剣の間合いへと踏み込む、蒼剣アルサリアに破鎧のエーテルを収束させ一閃する。
 攻撃集中により精度と破壊力が増している。
 蒼い刃が唸りをあげ、黒い悪魔が翳す円形盾をかわし、その奥の身を斬り裂く。血飛沫を噴出させると共に肉体を蝕むエーテルをまとわりつかせてゆく。

 凶悪なダメージを与え、黒魔槍の生命力を急速に削ってゆくナキルだったが、しかし彼の生命力の方も半分以上が一撃で消し飛んでいた。
 攻撃は強いが装甲は薄い。
 あと一撃直撃を受けたら戦闘不能は免れないだろう。

 他方、光の大斧を円型盾により受け止めた紫色の肌を持つ悪魔は、それを投擲してきたサイラスへと向かい爆発的に飛び出し襲いかかっていた。

 紫光により形成されている長大な光槍が、円弧を描きながら唸りをあげて竜巻の如くに振るわれる。

 自身をエーテルで強化し竜に近付けている赤鱗のリザードマンは、非常な頑強さを誇る大盾「剣鱗」を翳した。
 光槍が大盾と激突して火花を散らし、強烈な衝撃を巻き起こす。が、サイラスは揺らがなかった。多少の衝撃が突き抜けてきているが、掠り傷のようなものである。

 反撃、相手の光の長槍は非常に長い(その射程10mだ)為、風雷坊で反撃するには踏み込む必要がある。
 が、サイラスとしては眼前の紫魔槍は他からより引き離す方向へと誘導したい。

 その為、赤鱗のリザードマンは手に今度は光のナイフを出現させると、紫魔槍の槍持つ右手を狙い鋭く投擲した。
 人型悪魔は素早く反応して円型盾を翳し受け止め、孤立した事により強化が弱まった盾を高威力のエーテルナイフはバターのように貫通して紫魔槍の腕を穿つ。
 ちなみに紫魔槍の盾は、盾の裏側のベルトに前腕を通しつつ、取っ手を掌で握り込んで支えているタイプである。

 他方、赤魔槍がナキルの方を向いた。
 それを目撃しアーテミシアは反射的に危機感を募らせる。

(集中攻撃されると不味い!)

 彼女の担当は黒魔槍だったが、現在アーテミシアが吹き飛ばした黒魔槍とはナキルが斬りあっている。
 こちらも黒魔槍を集中攻撃するか、それとも担当を赤魔槍に切り替えて足止めするか、ドワーフを自認するブロンドエルフ娘は半瞬ほど迷ったが。

――分散が優先だ。

 素早く判断をくだした。
 作戦の大綱は敵に連携させない事だからだ。ここでフリーになっている赤を放り出して黒を殴りにいくのは作戦の根幹に反する。

 その為、アーテミシアは背を向け駆け出さんとした赤魔槍へと向かって猛然と踏み込み、ダマスカス鋼の斧を一閃した。
 赤魔槍が反応し振り向きざまに盾を翳す。肉厚の斧刃と円型盾とが激突する。激しい火花と共に強烈な衝撃が巻き起こり、斧刃はダメージを貫通させると共に破脚のエーテルを赤魔槍へとまとわりつかせてゆく。

 赤肌の悪魔じみた人型這者は後退しつつアーテミシアへと向かい赤光の槍を横薙ぎに一閃する。
 ブロンドの少女エルフは深く身を沈めつつ左のガントレットを傾斜して翳した。
 曲面装甲と光刃とが触れ合い、火花を散らしながら突き抜け、ベクトルを逸らされた赤光が何もない空間を薙ぎ払ってゆく。アーテミシア、受け流した。多少衝撃が抜けて来たが掠り傷だ。

 他方、全体の戦況を見渡しつつ回復に務めているミィア。
 エルファリアの傷はとても深く、そしてナキルがかなり深手を負っているように見えたので、少し迷ったが戦線維持を優先しエルファリアの復活を諦めてナキルを支えるべく駆け出す。
 ここでナキルが倒されるとアーテミシアが集中攻撃される訳で、一対一なら余裕で耐えていられるエルフ少女だったが、二対一で破壊力が倍になるとちょっとわからなくなってくる。
 カソック姿のハーフリング娘は長い金髪を靡かせながら荒野を駆け、サイドヒール改の射程にナキルを捉えると癒しの光玉を撃ち放った。
 少年の傷が急速に癒えてゆく。

 黒魔槍が後退しながら槍を脇に構える。
 ナキルが攻撃集中しつつエーテルを全開にしながら蒼剣を振り上げ踏み込む。

 黒槍の方が一歩速い。

 黒い光が走り、ナキルの胴が逆袈裟に掻っ捌かれ、ドス黒い鮮血が飛び散った。
 先程ミィアから回復を受けていたナキルだったが、それでも耐えられない。その身が前のめりに傾いでゆき、意識が急速に遠退いてゆく。

 が、その時、眩い光がナキルを包み込んだ。ミィアから回復の光が二重に放たれている。

 少年の蒼い瞳に消えかけていた意識の光が再び鮮烈に宿り、ナキルは倒れ込みそうな身を左足を素早く前に出して大地を踏み締め間一髪支える。

「――テメェもオレの武勇伝にしてやるぜぇえええっ!!!!」

 裂帛の咆吼と共にエーテルが爆発的に逆巻いた。
 蒼剣アルサリアが燃え上がるように眩く太陽の如くに鮮烈に輝き、光の刃が音すらも置き去りにして掻き消える。

 雷神剣(レグ・フルグス)

 転瞬、振り上げられていた光の剣は低い位置に――振り抜き切った位置に――移動していた。
 ナキルが背を向け駆け出す。

 悪魔の盾が真っ二つに断たれて落ちる。
 上半身、肩口から腰にかけて断裂が生じている。
 断裂から赤色が噴き上がり、身を二つに両断された悪魔の骸が荒野に転がっていった。

 
 その後、赤魔槍はアーテミシアを、紫魔槍はサイラスを攻撃したが頑強な二人の守りを打ち崩す事は出来なかった。
 アーテミシアは再度ドラチャリで赤魔槍を吹き飛ばし、サイラスは長寸肉厚の刀を盾の上から叩きつけパワーにものをいわせてカチ割り、紫魔槍の左腕を切断せしめた。

 やがてナキルとミィアが駆けつけるとアーテミシアはガントレットで組み付いて赤魔槍の動きを封じ、二人は赤魔槍の背をうって倒した。
 その後三人はサイラスの援護へと向かい、サイラスは四人で総攻撃を仕掛けて、最後のデーモン・ファランクスを屠ったのだった。


 戦後、クリーパー達は蜃気楼のように掻き消えたが、槍と盾が残っていたのでサイラスはそれらを回収した。
 曰く、

「どうせ、正義の味方とか人間の為になんて欠片も考えてないし。お仕事して、ついでに副業とか趣味として使えそうな物を奪いにきただけ」

 との事だった。

 そのように個々人の動機は様々だったが、冒険者達の活躍によって悪魔じみたクリーパー達は討伐され、一つの村が地獄に叩き落とされる事が回避された事は確かである。

 滅びの予言はまた一つ防がれた。
 今はその結果を讃えよう。


マスターコメント

 お疲れ様でした。  先頭で接敵した方には厳しい結果だとは思うのですが、このような結果となりました。  難易度「易しい」なら自動的にPCサイドが良い感じに敵の行動スカした後に距離詰めてドラチャリできた事にしても良かったと思うのですが、純戦闘シナリオで難易度「難しい」でありましたので……  ほぼ戦闘しかないシナリオのその戦闘での最大の山場・難所を自動成功させてしまうとゲーム性が虚無になってしまうので、惨いとは思いつつも間合いの詰め方・仕掛けるタイミングに関する対策プレイングの記述が無い前衛のかたのうち、移動力が比較的高くて先頭になるだろうなと判定されたかたを斬らせていただきました。御免なさい。  MVPは射撃スキルで撃つ事により確実に引き寄せ・分断をしたかたに差し上げる事にいたしました。  ドラチャリのみだとタイミングを工夫しないと吹き飛ばした分の距離を詰める前に、敵側が即座にダッシュで吹き飛ばした分の距離を戻してきて分断失敗になってしまうので(今回はアタッカーの方が吹き飛ばした相手に対し即座に前進して追撃したので吹き飛ばしで分断できた))    この度はご参加とプレイング、誠に有難うございました。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:標準5 / 4〜5人

2022年06月09日 22時57分18秒 公開

普通

相談掲示板

  1. ナキル

    「ナキルだ、よろしく頼むぜ。 って言ってもしばらくはメンツが揃うまでのんびりって所か。 しかし、まぁ……(入ってから気付く)最大、5人か…… ま、なんとかなるだろ」

  2. エルファリア

    エルファリアと言います、よろしく。 成立まであと一人、ですかね。 んー、なんか能力も戦法もシンプルっていうか…… 攻撃の射程が短い上に行動は単純なので、まあそれぞれ個別に違う方向に引っ張って支援できなくして、って感じでしょうか。

  3. アーテミシア

    ウォリアーのアーテミシアだ。 バンド能力で強化されてるなら引き剥がせば良い。シンプルだな。 ドラゴンチャリオッツなり、ふっ飛ばしスキルなり使えば比較的ラクにいけそうだな。 いざとなったら組み付いて押し出すか

  4. No.4

    サイラスだ、これで最低限と ドラチャリ二人持つか、シーザーロアで分けるか、特性上三人射程10以内から打ち込んでばらけさせれば良いんでないこれ。あとは分けた相手の内どれかに四人目五人目(いれば)と一緒に当たって潰していくで

  5. ナキル

    「お、揃って来たな…… とりあえず、ドラチャリを頼めるなら オレは一体を確実に抉りに行くか。 射程距離は普通に近接攻撃の範疇になっちまうな。」

  6. アーテミシア

    ドラゴンチャリオッツ2つあれば二体ふっ飛ばして、残った一体を相手にすればいいか 残った奴を釘付けにして、ふっ飛ばした奴を二人づつで仕留めていけば効率的か? とりあえず最低人数いるし、誰がどれに当たるかだけはサッサと決めておくか オレは黒でいいかな。 紫 黒:アーテミシア 赤

  7. No.7

    どれでもいいのでとりあえず俺は他の人が狙わないやつって書いといたわ。どれも同じやし

  8. エルファリア

    >ドラゴンチャリオッツ とりあえず使えるようにしてきました。 んー、チャリオッツでふっ飛ばしたらふっ飛ばした相手は1対1で抑え込みつつ、取り残されたやつに残りが当たるとかの方がスムーズな気もしないでもないです? まあどれ相手でも変わらないですが、どれでもいいばっかりじゃ進まないので、私は赤相手にふっ飛ばしにかかりますかね。 紫 黒:アーテミシア 赤:エルファリア

  9. アーテミシア

    3体に散らせて1:1と1:2を二組作りゃ後は殴り合いするだけだな。 1:1は防御に徹して残りが来るのを待ってもいいしな 後、狙わない奴がいなかったら字数が無駄になるからもう少し様子見といた方がいいぞ めんどくせーならふっ飛ばした方にフォローに行くでもいいんじゃね

  10. ミィア

    ヒーラーのミィアです。 回復を主にしますが、可能な時はナキルさんが狙っている敵への攻撃に加わります。 よろしくお願いします。

  11. No.11

    じゃあ紫だけ空いてるから紫狙うか。動き分からん人いるからどれが終わるかとか分からん。まあどれが先に終わっても問題ないが

  12. アーテミシア

    ンじゃ決まりだな ………ミィアが浮くな。この場合1:1を2つと3:1を一つになるな 場合によっちゃオレとナキルをチェンジだな。その場合オレは…エルファリアの方に行くか。レベル的にも。 とりあえずナキルの意見次第だな 紫:サイラス 黒:アーテミシア(ナキル&ミィア) 赤:エルファリア(&アーテミシア)

  13. ナキル

    「ワリィ間が空いちまった…あと一日くらい余裕あるかと思ったけど もう、そんな時間なかったし… ドラチャリで飛ばした後、抑えに行く。 飛ばさなかった一体を集中して叩く。 流れとしてはオレもそれを想定してたかな つっても、距離さえ取れれば撃破自体は勧められると思うから >アーテミシア チェンジって行くと黒の対応ってことか…? 吹っ飛ばした後の移動だったらそれも含めてカバーできるように動くし 3対1で短期で叩いて行くのも良いと思う ミィアはヒーラーだし、サイラスやエルファリアの状況によっては 回復等の行動や移動を加味すると、いい位置に居て貰えると助かるか 攻撃の手が多いのもすごく助かるけど! っと、ギリギリになってワリィな。

  14. アーテミシア

    まあ数が多い方が早くは片付くか ンじゃ、当初の予定通りだな。オレもドラチャリ用意するから、オレとエルファリアでふっ飛ばしてサイラスはその場で殴り合いだな。でもってナキルとミィアで叩くと ちょいとゴチャったが改めて置くと 紫:サイラス(ナキル&ミィア) 黒:アーテミシア【ドラチャリ】 赤:エルファリア【ドラチャリ】

  15. ナキル

    「>アーテミシア あぁ、ギリギリになっちまってすまねェな。 助かるぜ。 一応、”念の為に”、初動で「ドラチャリが一方で不発」した場合なんかには ドラチャリが成功した方から叩く旨も行動には入れて置いたぜ。 「引き離せた方から叩く」 のが動きとしてはベストだろうしな。 敵のステータスの印象としては、回避はそんなでもないと思ってるんだけど。」

  16. ミィア

    はい、回復を主にして、ですね。 位置関係も考えて離れたところにも届く衝撃刃を選んでいます。

  17. ナキル

    「>ミィア あぁ、よろしくな。 こっちも「天眼」でミィアやサイラスの射線確保には気を付けて動くぜ。」

  18. No.18

    ドラチャリ持ち込んだんだけども いやまあこっちも引き剥がせばいいからいいか。 あとこっち三人なん?

  19. アーテミシア

    3人はだれでもいいんだけど、一番攻撃力高い奴に3人回せば早くケリつくだろ オレはもう足止め前提でプレ書いたからなあ ドラチャリ3人でもまあ、バラバラにするって意味なら無駄にはならねえし

  20. ナキル

    「>サイラス オレもアーテミシアと同じ意見だな。 各個の距離が開いてる分にはメリットがあるんだし そこは特に問題無いと思うぜ。 強いて言うと移動力の差くらいか。 他の二人がドラチャリに成功したのを見てから動いても余裕はあるかも知れないしな。」

  21. エルファリア

    とりあえず、私はふっ飛ばし成功したら抑えておく感じですね。了解です。 まあ実力的にも妥当なところかと。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0