【西局】吸血鬼とその手勢、襲来す

岩岡志摩

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シナリオID:2242

オープニング

●??
 リーンエス王国西方に、シラーという名の砂漠が存在する。
 この砂漠では、アクファリテ西方辺境伯や当地の冒険者ギルド等が戦力を集め、バルバロイ組織『太信党』との戦いへの準備を進めていた。
 戦力が増えるほどそれを維持するための物資の量も増えていくのが戦いの常で、アクファリテ西方辺境伯が指定した場所には各地より物資が集められている。
 しかしその流れを妨害する存在も現れる。
 この日の夜、物資集積場所を兼ねる小さな砦に、人あらざる群れが迫っていた。
「では殺戮を始めよう」
 何者かが命令を下し、異形の群れは砦への進撃を開始する。
 襲撃者にとって、中にいる人々の命の価値などその辺に転がる石ころ以下だった。

●吸血鬼とその手勢、襲来す
 燃えている。
 少し前まではうすら寒い闇の中で、警護に当たる兵や運ばれた物資を抱えこんでいた砦を、燃える火が嘗め始め、紅い舌を不気味に伸ばしていく。
 砦を焼く炎が周囲を昼のように照らす中、消火に駆け回る兵士達の怒号に混じり、馬蹄の響きが砦の各所より流れてくる。
 時折魔法らしき光が煌めき、倉庫を構成していた区画が火の粉を舞いあげて崩れ落ちる。
 攻撃を放ったのは、宙を浮遊する半透明な姿のアンデッドで、兵士達からの射撃を浴びても倒れる様子はない。
 その周囲では骨でできた馬に乗り、槍で武装するスケルトン達が暴れまわり、砦にいる兵士達と交戦を続けていた。
「立ち向かってくるものは殺せ。逃げるものは殺せ」
 その中で、アンデッド達を率いていると思しき男が兵士達の殺戮を命じる。
 口の端から鋭い犬歯をみせ、砦を焼く炎に照らされたその顔は青白く冷たい色をしており、目は赤く輝いている。
 男を見た兵士達は、ほぼ直感でその正体を推測する。
 ――吸血鬼、と。
「降伏するものは殺せ。交渉を持ち掛けるものは殺せ。動いているものは殺せ。隠れるものは殺せ。何もしないものは殺せ」
 シンプルだが強固な殺意を帯びた指示が、周囲にいるアンデッド達に伝わっていく。
 その吸血鬼を敵の頭目だと判断した兵士達が、それぞれ武器を提げて躍りかかる。
 渾身の力で振り下ろした一撃が弾かれる間に、別の兵士は側面からの反撃で吹き飛ばされ、男や骨の怪物たちは残る兵士達を殴打刺突殴打。
 打撲骨折した音、肉を貫かれる音に苦痛の呻き声が重なり、血を噴く兵士達が意識を失い地面に積みあがっていく。
 さらに亡霊めいた怪異が魔法を放ち、正面にいた兵士達をなぎ倒す。
「いくら数を揃えようが、所詮この程度か」
 吸血鬼はこれ以上自身が手を下すまでもないと判断したのか、待機していた骨の馬に飛び乗ると踵を返す。
「目につくものは全て壊し、全て殺せ」
 そう言い残すと吸血鬼は配下の一部を砦に残し、他の手勢と共に去っていく。
 入れ違いに異常事態を察知した近隣の砦より、救援の兵士達が現場に駆け付ける。
 その中にはバルバロイ組織『太信党』との戦いを見据え、アクファリテ西方辺境伯や当地の冒険者ギルド等が呼び集めた冒険者達も含まれていた。

●やること
 リーンエス王国西方に存在するシラー砂漠やその周辺では、バルバロイ組織『太信党』が大規模な攻勢を仕掛けてきました。
 これを食い止めるため、西方辺境伯ルーヴェン・アクファリテは麾下の戦力を動員すると同時に、冒険者ギルドに対しても支援を要請。同じく西方領境を守る王国貴族達と力を合わせ、太信党の侵攻を食い止めようとしています。
 皆様は西方辺境伯ルーヴェンより冒険者ギルドに対して出された依頼の1つに応じ、この地へやってきました。
 皆様が当初の依頼に従い、現場近くに存在する砦の1つに到着したところ、近隣にある別の砦から「襲撃を受け砦が壊滅しつつある」との救援要請が飛び込みました。
 砦といっても実際には物資集積場所を柵で囲み、簡易な倉庫や建物が置かれただけの小規模なもので、配備されている兵士達も少数に留まります。
 冒険者ギルドを介し、砦の救援へと依頼内容が変更された結果、皆様も襲撃された砦に駆けつけ、今に至ります。
 既に砦は半壊状態となり、現場にいた兵士達もほぼ全員戦闘不能に陥り、砦の各所で昏倒している中、襲撃をかけたと思しき敵の群れが砦内で暴れまわっています。
 皆様には負傷者の治療や回収にあたる兵士達を守りながら、砦内を暴れまわる敵の撃破をお願いいたします。
 撃破対象となる敵ですが、伝令役となり難を逃れた兵士によると、吸血鬼らしき存在に率いられたアンデッドの群れであることが明らかになっています。
 なお吸血鬼らしき存在は手勢の大半と共に現場より去っているため、砦内に残る全てのアンデッド全てを倒せば目標達成となります。
 今回は緊急かつ本来皆様が行っていた依頼内容を追加するということもあり、報酬の増額が提示されています。

解説

●目標  半壊した砦に残る兵士達の救出  副目標:砦内にいる敵を全て撃破  失敗条件:犠牲者が出る  登場  吸血鬼  下記アンデッド群を率いて砦を襲撃した存在。既に手勢の大半と共に姿を消しており、現場には下記の敵しかいない。  骨馬×3  骨の馬めいた外見のアンデッド。凄まじい移動速度と機動力を誇るが、反面物理魔法耐性は弱い。略称『馬』。  スケルトン×3  人型の骨めいた姿のアンデッド。上記『骨馬』に乗り射程1の長槍を振るう。下記能力を使用。略称『骨』。  突進  近接で【突撃】攻撃を行い、命中した場合【吹飛:6】の効果を発動する。射程2。直前に武器が赤く光るため、注意すれば避けられる。  レイス×2  半透明の人型めいた姿のアンデッド。常に浮遊して移動。下記能力の他、射程12の魔法射撃攻撃を放つ。異様にタフ。略称『霊』。  幽体  物理によるダメージを減少させる。パッシブ。  アルヒ・ラスカス  今回の皆様への増援。皆様の指示に従う。使用スキルはヒールと解呪。  負傷者×複数  砦を守っていた兵士達。吸血鬼とその手勢に撃破され、それぞれ手傷を追い倒れている。全員一般人。  兵士達  皆様と共に砦に駆けつけた味方。全員一般人。人命救助を最重要任務として指示されており、負傷者の回収や搬送には応じるが、それ以外の要請には応じられない(物品貸与も含む)。    状況  リーンエス王国西方シラー砂漠に存在する小規模な砦の1つ。現地時刻は夜間で快晴。砦を焼く炎で周囲が照らされ、視界は確保されている。  現在敵アンデッドは砦内の破壊活動に移行しつつあり、周囲には負傷した兵士達が複数転がっており、現在兵士達が救助活動にあたっている。  皆様は砦内の広場に残る負傷者たちを救い、周囲で暴れまわるアンデッド達を倒すことが求められている。  周辺では上記兵士達が他の負傷者の収容や搬送に全力を注いでいるため、皆様が周囲にいる人々の避難誘導を行う必要はない。  以下簡易見取り図。1マスあたり10×10m。  ↑北   ABCDEFGHI  1☆  霊    ☆  2 傷  ←騎  3  4騎→ 傷  霊 ☆  5  6        ☆  7 傷   ←騎  8☆   ☆   ☆  ☆:PCスタート地点。自由に選択・重複可。  傷:負傷者  騎:スケルトン&骨馬  霊:レイス

マスターより

 【西局】へようこそ。  こちらでは吸血鬼率いるアンデッド勢に襲撃された砦の救援になります。  この吸血鬼が何者で、なぜ襲撃をかけてきたのかは不明ですが、敵の脅威から救助対象を守ること、敵を排除することが急務になります。  今のところ死傷者は出ていませんが、アンデッド勢を放置すればその限りではありません。  ご不明な点がございましたら、出発36時間前までならアルヒが答えられる範囲のことは答えます。

リプレイ

●接敵
 冒険者達が救援要請を受け現場に到着した頃には、砦は激しく燃え上がり、昼のような明るさで周囲や広場を照らしていた。
「最優先は犠牲者を出さないことだ。必要とあれば敵を見逃すことも視野に入れるとしよう」
 北西側より進出したセリオス・オーガストは天眼を駆使して状況把握に努める。
 現場には負傷した兵士達が取り残されており、その周囲をアンデッドと思しき骨の人馬や半透明の人型めいたレイス(以下『霊』と略)が蠢いている。
 人命救助を第一と考えたセリオスは、北東側から疾走する骨の馬(以下『骨馬』と略)、および騎乗するスケルトン(以下『骨』と略)に竜骨の短弓を向ける。
「威圧してこちらに注意を向けさせておくぞ。負傷者には行かせない」
 威圧感を駆使しながら、セリオスはバスターアロー2を行使。
 短弓に光が収束され、力を溜めたセリオスが威力と速度を増大させた一射を撃ち放つ。
 セリオスの一射は骨馬の胴を貫き、射抜かれた骨馬は破片を散らして倒れ、騎乗する骨を地面に放り出す。
「被害が増えるほど、次のアンデッドが生まれてくる……早く何とかしないと」
 セリオスと同じ方角より進出したロゼットは、負傷者のもとへ駆けつける。
「救出に来ました。広場から出て、兵士達と合流してください」
 ロゼットは負傷者に声をかけ、リヴァーオブヴァイタルを行使。
 天地を巡るエーテルの流れと接続したロゼットが負傷者に手を添えると、手を介してエーテルより転化された生命力が兵士へと流れ込み、その負傷を瞬時に癒す。
「吸血鬼も気になりますけど、今はあの人達の救助が優先です!」
 東側より進出したトーラは、叫びと共に先手必勝を行使。
 エーテルを体内に巡らせ、反応速度を向上させたトーラは天眼を駆使して戦域を見渡す。
 その結果、霊と骨馬の両方をまとめて攻撃できないと知ったトーラに、同じ方角より進出した海神・江流が声をかける。
「俺が西から来る敵を迎え撃つ。レイスへの対処はあんたがやったほうがいいだろう?」
「承知しました。そのように動きます」
 江流の提案を承諾したトーラは疾風足を行使。
 瞬間的に加速し、霊との間合いを調整したトーラはタイダルストリーム3を行使。
「エーテル集中、迸れ、タイダルストリーム!」
 叫びと共に輝石の長杖が突き出され、その先より轟音と衝撃波を伴うエーテルの光芒が放たれる。
 光の奔流は射線上にいた霊を直撃してその身を引き裂き、仮の生命を削る。
 ほぼ同時に江流もホライゾナルジャンプを行使。
 その特殊な歩行法により江流は霊とすれ違い、突進する骨の人馬との距離を一気に詰める。
「その槍、馬上で振るうには長過ぎるんだよなァ……」
 自身の武術知識から骨の弱点を見抜いた江流は身を捻り、その刺突を躱すと骨が乗る骨馬に向けトリプルファング改を行使。
 脇差【神楽】と短刀【囃子】が交互に繰り出され、骨馬の身を深々と切り裂き、断ち割った。
 3連撃を浴びた骨馬は仮初の生命を失って横転し、騎乗していた骨が近くに着地する。
「なるたけ急いで駆けつけはしたものの、一足遅かったか……」
 同じく東より進出したバーネット・フォーサイスは、天眼を駆使して現状を把握する。
 バーネットは予めアルヒ・ラスカスに対し、西南方向にいる負傷者の救助を要請していたが、その方向への対処も考慮に入れている。
「こうなりゃ物的被害は仕方ないとして、人的被害は最小限に食い止めるぞ」
 バーネットは戦術眼を駆使してそう判断すると、江流の近くにいる骨に向けスネアージャベリンを行使。
 手の中に顕現した蒼白い光の槍をバーネットが投擲すると、光の槍は狙い通り骨の身に突き刺さってその威力を炸裂させ、その移動を阻害する。
 そしてやや東南側より進出したバル・ヌール・スケアクロウが、東南にいる骨の人馬を抑えにかかる。
「そちらも槍使いのようですし、少しばかりお付き合い願いましょう」
 バルは西南側に取り残された負傷者を守るため、骨の人馬を射程に捉えシーザーロアを行使。
 バルの殺気と共に放たれたエーテルが骨に叩きつけられ、骨はバルに向け骨馬を突進させる。
「私は少しばかり頑丈なだけで力自体はそこまでありませんからね。そちらから向かってくるのであれば、それを利用させていただきます」
 迫る骨馬と骨に動じることなく、バルはリベンジスマイトを発動。
 一時的にエーテルを活性化させたバルは、骨の攻撃に合わせて踏み込んでいく。
 一瞬の交錯と、一瞬の激突。
 ペインキルで痛覚を遮断していたバルは、鉄の盾を掲げて槍を防ぐと、ダマスカス鋼の槍を真横に振り抜く。
 バルの一撃は骨の脚部に叩きつけられ、骨馬は仮初の生命を削られ骨の破片を散らし、よろめいた。

●救出
 骨の突撃から負傷者達を守った冒険者達は、4か所で敵と交戦している。
 ――北西と中央。
「骨馬は撃破できたようだな。遠距離攻撃を持っているレイスも優先して倒したいところだが――」
 天眼を駆使して彼我の状況を確認したセリオスは、槍を構えてこちらに迫る骨に短弓を向ける。
「あのスケルトンを倒し終えたら、ロゼットの援護に向かうとしよう」
 次の行動を決めると、セリオスはラピッドショットを行使。
 弓弦を2度鳴らし、目にもとまらぬ速さで放たれたセリオスの二射は、狙い過たず骨の身にそれぞれ突き刺さる。
 立て続けに射抜かれた骨は仮初の生命が尽き、骨の破片を散らして倒れ、沈黙する。
 そのロゼットは、近づいてくる霊から先程治療した兵士を庇い、スケープセイントを行使していた。
 直後霊より兵士に向け光弾が放たれるも、ロゼットは兵士へのダメージを自身へ移し替えることで、守り抜く。
「死霊術に捕らわれた魂達……その枷から今、解き放ってあげるわ」
 ロゼットは死霊術によって使役されている眼前の敵達に向け、その解放を約束すると魔矢を行使。
 ダマスカス鋼の祭棍の先端より射出された光の矢が宙を飛び渡り、霊の身を穿つ。
 ロゼットの攻撃を受けた霊は仮初の生命を削られ、その場に停止すると、その間に兵士はロゼットに感謝しながら広場より離脱する。
「戦況が優位に傾くまで持久することも視野に入れているわよ」
 ロゼットは長期戦になることも覚悟して、この戦いに臨んでいる。
 そのロゼット達より東南の方向――中央付近では、江流が負傷者を守りながら骨との攻防を繰り広げている。
「長槍は歩兵が集団で運用してこそだぜ?」
 江流はそう言いながらも負傷者からやや距離を取り、あえて骨の突進を誘う動きを見せる。
 当初は骨馬をあえて倒さず、馬の苦手な横軸移動を強いる事で攻撃の好機を演出していくことを狙っていたが、自身の戦術眼をもとに戦況を分析した結果、先に馬を倒した方が敵の機動力を削ぎ、被害を減らすことができるとの判断が働き、骨馬を倒していた。
 突進の兆候を見た江流は真横に転がり、起き上がると先程まで自分がいた場所を、骨の槍が通過する。
 側面をさらす形となった骨に、江流は容赦なくトリプルファング改を行使して横撃を加える。
「だから、俺みたいな細かい動きをする相手に対して隙がある」
 指摘と共に、江流より【神楽】の斬撃と【囃子】の刺突が交互に繰り出される。
 2度の斬撃を浴び、頭部を貫かれた骨は仮初の生命を失い、破片を散らして倒れ、骸に戻る。
 ――東と東南。
 バーネットがあえて霊の近くを通り過ぎる動きを見せると、トーラも霊の近くで動く。
「狙われると危なそうですけど、それだけ負傷者の危険が減るのであえて目立っていきます!」
 トーラは負傷者を狙う敵を優先的に狙い、自分に攻撃を向けさせることで、負傷者を守ろうとしている。
「いざとなれば疾風足で駆け付けて、魔法で攻撃できる位置取りを心がけますね」
 するとトーラに向け霊より光弾が飛来するも、トーラは神眼法・改を行使。
 すべての感覚を研ぎ澄ませたトーラは、霊の攻撃を見切ると半身を退いて虚空を射抜かせ、回避する。
 その間にもトーラは天眼で周囲を確認する。
 今のところ敵は散開しており、まとめて倒すのは難しいと判断したトーラは、霊に向け魔弾2を行使。
 突き出された長杖より光球が撃ち放たれ、霊の身に着弾すると、その身を穿ち生命をさらに削る。
 トーラが霊を抑えているのを確認したバーネットは、南へと攻撃の矛先を向ける。
 その方角には、バルとの交戦を続けている骨の人馬がいた。
 バルは薙ぎ払い2の効果範囲内に骨馬を捉えようとするも、骨馬は機動力を活かして間合を変化させている。
 それを見たバーネットはバルとは別方向から骨と骨馬に迫り、グラビティフィールドを行使。
 直後、不可視の重力場が顕現して骨と骨馬を包み込み、重力場が骨達の移動を妨げる。
「援護ありがとうございます」
 バルはバーネットに礼を述べると、動きを鈍らせた骨馬との距離を詰める。
「古人曰く、将を射んとする者はまず馬を射よ、ってな」
 ――まぁ別にアレは将じゃないんだが。
 呟きと共に、バーネットも骨馬に向け、スネアージャベリンを行使。
 蒼白の光を凝縮したような槍がバーネットの手の中に顕現し、骨馬へと投擲される。
 ほぼ同時に骨馬を捉えたバルも、薙ぎ払い2を行使。
 蒼光の槍が骨馬の胴を貫き、光の刃を纏わせたバルの槍も周囲を薙ぎ払い、その威力を骨の人馬へ叩きつける。
 ここで仮初の生命が尽きた骨馬は、前のめりに倒れて骸に還り、乗っていた骨はその近くに着地する。
「砦の兵士さんも命がけだったのです、こちらが負傷を厭う理由はありません」
 骨が槍を構えて猛然と突いてくるが、バルは重点硬化を行使。
 輝くエーテルを収束させ、その身に纏うことで一時的に防御を高めたバルは、骨の刺突を食い止め自身の槍を突き通す。
 既に損傷が蓄積していた骨は、バルの一撃で仮初の生命が尽き、破片を散らして倒れ伏す。
「この一帯の安全は確保した。今のうちに負傷者の搬送を頼む」
 天眼で戦況を確認していたバーネットが、アルヒを介し周辺にいる兵士達に向け、負傷者の搬送を依頼する。
 やがてバーネットからの要請に応じた兵士達が、アルヒに守られながら負傷者達のもとに向かい、搬送を開始した。

●撃破
 バーネットも担架を取り出し、負傷者の搬送に協力する。
「俺も手伝おう。反対側を担いでくれないか?」
 バーネットはアルヒと共に南西に残る負傷者を運び出し、バルが護送にあたる。
「ここでなければならない理由が、何かあったのでしょうか?」
 バルはふと今回の襲撃を行った敵の意図を推し量る。
 こちらの兵力を損失させることなのか。手駒となるアンデッドの増強なのか。
 そこまで考えたところでバルは意識を引き戻す。
「これで敵が負傷者に行く事態はなくなったか?」
 北側では、セリオスが天眼を駆使して全体の戦況を確認する。
 既に北西にいた元負傷者は自力で退き、他の負傷者も現場から運び出されている。
「敵が逃げだすようなら可能な限り、狙えるうちは追撃するぞ」
 現況を把握したセリオスは、北側に残る霊に向け鋭射2を行使。
 短弓と矢にエーテルが収束し、破壊力を増した一射をセリオスは放ち、霊の身に突き立てる。
 ここで中央にいる負傷者にヒールを使い、負傷者搬送作業を支援していた江流が、セリオスがいる方角へと体を向ける。
「残る敵への対処に加勢するなら、セリオス達を支援するほうが良さそうだな」
 自身の戦術眼より次の行動を導き出した江流は、ホライゾナルジャンプを行使。
 その特殊な走法を駆使した江流は、一気に霊との距離を詰める。
「負傷者のもとには向かわせない。ここで攻撃を畳みかけるぞ」
 そのまま肉薄した江流はトリプルファング改を行使。
 江流の握る【神楽】と【囃子】が合計3度閃き、霊の身を斬り払い、突き通して霊の身と仮の生命をさらに削る。
「ここから先は持久戦から殲滅に移行するわよ」
 それまでヒール3を自身に駆使して、霊からの攻撃を防いでいたロゼットは、戦況が優位になったと判断すると攻勢に転じる。
 そのままロゼットは霊に向け魔矢を行使。
 祭棍の先より放たれた光の矢は宙を飛び渡り、霊の身を深々と貫いた。
 既に損傷が蓄積していた霊はここで力尽き、その姿も薄れ、消失する。
 残るのは東側でトーラと交戦を続けている霊のみ。
 負傷者を送り届け、戻って来たバーネットとバルに、トーラからの呼びかけが届く。
「レイスは物理攻撃が効き辛いようなので、協力して確実に倒していきましょう!」
 トーラからの協力要請をバルとバーネットは共に承諾すると、トーラのもとへ合流し、3方向から霊に攻勢をかける。
「討伐が終われば消火作業を手伝い、犠牲者を弔いたいです」
 トーラは今後やることを列挙しながら、霊に向け魔弾2を行使。
 長杖の先に形成された光球が勢いよく撃ちだされ、霊の身に着弾する。
 仮の生命がさらに削られた霊に向け、別方向よりバルが迫る。
「あちらの思い通りかはさておいても、死者だけは出させたくないですしね」
 一気に肉薄したバルより槍の刺突が繰り出され、霊の身を貫いて、さらに損傷を蓄積させる。
「逃がしはしないぞ。これで終わりだ」
 そしてバーネットが別の方角より霊を射程に収め、魔弾2を行使。
 竜皮の魔導書より射出され、閃き飛んだ光球は霊の身に命中し、貫いた。
 既に損傷が蓄積していた霊は仮の生命を断たれ、その姿も薄れていき、消えた。

●完了
 敵を撃破した冒険者達は、それぞれ次の作業に移る。
「火を消しましょう。煙に巻かれた人はいますか?」
 トーラは兵士達に必要な情報を尋ね、消火活動に協力する。
「癒しの神聖術を、まだ残しているわ。傷の深い人はまだ居るかしら」
 ロゼットはアルヒと協力して他の場所にいる負傷者の治療を行い始める。
「ヒールを使うぞ。回復が必要な負傷者はいるか?」
 バーネットもロゼット達の作業に協力し、ヒールを駆使して治療にあたる。
「周辺を調べてみたが、他の敵は立ち去ったようだ」
 セリオスはこの砦を襲撃した他の敵が周辺にいないか偵察を行い、天眼も駆使して調べた結果を仲間達に報せる。
「敵が標的としたものに偏りは見られないようだ。手当たり次第というところかい?」
 江流は襲撃を受けた砦や兵士達の被害状況を調べ、敵が無差別に攻撃した可能性を指摘する。
「さて、騒ぐだけ騒いで何がしたかったのでしょうねぇ?」
 仲間達の作業を手伝う中、バルは敵の意図が気になるものの、今の段階では敵に関する情報は少ない。
 ――自分の後を追わせない、というのもありそうですか。
 バルはその可能性も視野に入れていた。
 やがて火は消し止められ、砦の復旧作業が始まる。
「……務めを果たした魂達が、迷わずマトリクス界へと旅立ちますように……」
 ロゼットは帰路に就く際、今回解放された死者の魂に向け、祈りを捧げていた。

マスターコメント

 今回は戦場となる現場に救助対象となる負傷者が複数取り残され、その周囲に敵がいて負傷者に襲いかかろうとしているという、難しい状況からのスタートでした。  その中で皆様は敵の突撃を全て防ぎ止め、負傷者を死なせることなく現場より退避させることに成功し、最初の目標を達成されました。  皆様がそれぞれのやり方で敵を逃がすことなく全て撃破し、砦に対するアフターケア(消火や砦に残る負傷者の治療、周辺への偵察など)も行って下さったことから、文句なしの大成功です。  MVPは最も負傷者の救出や被害抑制に貢献された方を選出しています。  改めましてこのたびはご参加下さりありがとうございました。  また機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:多い6 / 4〜6人

2022年06月18日 07時32分45秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ロゼット

    ヒーラーの神官戦士ロゼットよ。よろしくね。 【質問】 >アルヒ 「負傷者×複数」と書かれているけど、これは簡易見取り図の 「負」の文字のところに、それぞれ何人かの負傷者がいる、 という解釈になるのかな。負×3で3人という意味じゃなくて。 それとも、砦全体には負傷者が複数いるけど、私たちの戦場に なる広場には負×3つで負傷者は3人、と考えて良いのかしら。

  2. トーラ

    シーフのトーラです。 よろしくお願いします! 6人で7体を相手にしつつ、負傷者を助け出さないといけない訳ですね。 まずは負傷者の救助を優先するべきでしょうか?

  3. バル・ヌール・スケアクロウ

    ウォーリアのバル・ヌール・スケアクロウです。 よろしくお願いしますね。 >行動に関して 救助と並行する、という流れかなと思っていました。 救助に関しては敵を引き付けるなり、相手取るなりで向かわせなければ他の兵士さんたちが向かえるようですしね。 こちらでなければならない理由もあまりないかなと思います。 もちろん、緊急性のある負傷者に向かうのもありだとは思いますが

  4. ロゼット

    スケルトンは骨馬に騎乗して、騎兵になってるから 実質は霊×2体と騎×3体の合計5体が敵ね。 そして負傷者は3か所、上側左、中央、下側左ね。 (解説:簡易見取り図より) 私は一応「魔矢」の魔法射撃もあるから、レイスのいる 上側か中央の負傷者を助けに行こうかなって思うわ。 とりあえず…A1あたりから、レイス対応と負傷者の 救助に行こうかな?他の人の希望次第で、移動するわ。 >行動に関して 負傷者を簡易見取り図の端っこまで運んで、回収役の兵士達に 引き継ぐとかはやって良いと思う。兵士達は戦闘しないようだし、 広場の中までは乗り込んでくれないと思った方が。 その辺もあって負傷者=3人の認識で良いのか、質問してみたわ。

  5. バーネット・フォーサイス

    キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 負傷者の救助は兵士たちの方で主に対応しているから、 俺らは敵の注意を引きつける、ないし足止めする事がメインで良いと思う。 敵は5組とはいえ機動力の高い奴とタフな奴が相手だし、 なるべくならフリーになる敵が出来ない様にしたいな。

  6. 海神 江流

    シーフの海神江流だよ。今回はよろしく。 敵の数がMAP上の座標の記号の数と合ってるから、1記号につき一人でいいんじゃないかな。 MAP上だと傷の座標は3つ。それぞれに騎が向かってるから、ここは止めないと駄目なとこだよね。 A1、A8からスタートすればB2、B7の負傷者はすぐに接触できそうだけど、D4の負傷者がちと急がないとまずそうに見えるね。 1hex=5mだから、I4からスタートして、ホライゾナルジャンプで霊をパスすれば移動12あれば敵を無視して1ラウンド目でD4の負傷者と接触出来るかな。 取り敢えず俺はそこに回ろうかなと思いますよっと。 そのまま西の騎の接触に備えるべきかと思うんで、後方G4の霊の足止めで誰かもう一人手伝ってもらえたら有り難いかな。 一応、ヒール持っていくんで、負傷の度合いによっては回復したほうがいいのかな。などと。

  7. アルヒ・ラスカス

     アルヒ・ラスカスだ。今回はよろしくたのむ。  回答が遅れてすまない。  Q1: 「負傷者×複数」と書かれているけど、これは簡易見取り図の 「負」の文字のところに、それぞれ何人かの負傷者がいる、 という解釈になるのかな。負×3で3人という意味じゃなくて。 それとも、砦全体には負傷者が複数いるけど、私たちの戦場に なる広場には負×3つで負傷者は3人、と考えて良いのかしら。 A1:  これはロゼット殿や海神殿の言う通り、「砦全体には負傷者が複数いるけど、私たちの戦場に なる広場には負×3つで負傷者は3人」という解釈で問題ない。  他の負傷者は兵士達が救助に当たっている。

  8. トーラ

    確かに並行して救助と討伐をやらないと行けませんね。 それなら、わたしも4Iからスタートして4Gのレイスの対処しようと思います。 杖を持って魔法攻撃主体で行きますね。

  9. バル・ヌール・スケアクロウ

    ん-、そうしますと私は8E辺りを希望して骨騎兵を相手していましょうか。 無理に倒さなくてもひきつけられれば(時間を稼げれば)いいのであれば何とでもなるでしょうし。 一応シーザーロアは準備しておきますが。

  10. セリオス・オーガスト

    ・・・・ん、反応が遅くなった、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず救助優先でいいと思う、それが目的だしな。 俺はロゼットとおなじくA1に位置して最初にA4のスケルトンを狙うつもりだ。その間に海神が保護してもらえれば助かる。そっちのスケルトンを何とかすればマップ上側の敵への対処に回れるしな 配置 A1:ロゼット、セリオス E8:バル I4:トーラ、海神

  11. 海神 江流

    セリオスさんもA4の騎を狙ってくれるなら、俺が無理に張り付かなくても良さそうかな。 その分の余裕でヒールかけるなり、区域外の味方に負傷者引き渡す動きが出来るといいだろうかね。 事故は防ぎたいから、離脱自体は4列の騎か霊のどちらかが倒れてからがいいかなとは思ってるところ。

  12. バル・ヌール・スケアクロウ

    とりあえず現地的にあると良さそうなのは応急手当のできそうな道具とか、多少清潔な水とかでしょうかね? 回収できた後に使用できそうですし。 あぁ、一応現状は「炎で視界は確保されている」わけですけど、それでも一応照明関係はあるに越したことはないでしょうかね? この場所を離れる時には使うでしょうし

  13. ロゼット

    アルヒは回答ありがとう。 私は、A1からB2の負傷者のところに移動して、 「リヴァーオブヴァイタル」で全回復、自力で離脱してもらう。 その間、回避に集中してレイスとスケルトン騎兵の攻撃に対応、 負傷者が狙われるなら「スケープセイント」で身代わりするわ。 負傷者が居なければ、自己回復しながら削り合いするだけだから、 コツコツ削って、上側のレイスとスケルトン騎兵の撃破を狙うわ。

  14. ロゼット

    >照明 「視界は確保されている」とあるから、戦闘中には触れなくても 良さそうね。道具欄に何か照明器具、くらいで足りると思うわ。

  15. バーネット・フォーサイス

    >個人行動 そんじゃま、俺もI4からスタートして、A4又はF2の敵の足止めをするかね。 初手でG4のレイスの所まで突っ込めば、A4のスケルトンというか骨馬まで スネアージャベリンとグラビティフィールドは届きそうだし。 配置 A1:ロゼット、セリオス E8:バル I4:トーラ、海神、バーネット

  16. トーラ

    それでは、わたしは2Fの騎馬も含めて4Gのレイスをタイダルストリームで攻撃してみようと思います。 セリオスさんとバーネットさんに追撃して貰って騎馬が倒せれば、後はレイスの対応に回るか、下の騎馬の対応に走りますね。

  17. バーネット・フォーサイス

    >ラスカス 土壇場になって気づいたが、ラスカスへの対応依頼とか全く触れてなかったな。 今更ではあるが、A8スタートでB7の負傷者のカバーや、スケアクロウの援護に 入ってもらう様に頼もうと思うが、問題無いだろうか?

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0