発進、ローズベルト号! その前に修復だ!

椿油

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シナリオID:2195

オープニング

●同盟都市フロルゾン、朝
「さて、と」
 ローズベルト商会の当主ジェラルダは、商会が所有する倉庫にてやや上に向かって見上げていた。目線の先には商会唯一の船である、ローズベルト号。
「きちんと修復しないと海には出せないわね……」
 と、そこでポンと手を叩くジェラルダ。
「そうだ、装備も何が必要かは冒険者に一任しましょう! 冒険者の皆さんが乗るんだし――」

 ――時は数時間前に遡る。

●同盟都市フロルゾン、早朝

「新事業の件なんだけど、小島のビーチ開発しに行くのに何が必要だと思う? 婆や」
 開店前の商会にて婆やこと、お椎に尋ねるジェラルダ。
「また唐突な……そうですねぇ、まずは船でございましょうか。船が無いと小島にそもそも向かえないですからねぇ。後は資材等を運び入れるのなら、それもですね。それがどうかしましたかジェラルダ様?」
「答えには一つ足りないわよ婆や」
「と言いますと?」
 フフンと鼻を鳴らしたジェラルダ。
「道中の云々(あれやこれ)に耐えられる船員! すなわち冒険者の皆さんよっ!」
「ジェラルダ様、すっかり冒険者様の虜になってしまいましたねえ」
 婆やは手元の書類の『外注費』に目を配りつつ呟いた。

「と、いうわけで。船員の冒険者を募集するわよ。あ、そうだ船見てこなくちゃ! 確か倉庫にしまってあったわよね?」
「ええ、五番倉庫に先代様の船があったはずでございます」
「お父様の船ね……きっと良い船のはず!」

●そして今
 ジェラルダは忘れていた。ジェラルダは長年エルフの当主として商会を引き継いでいたが、先代はヒューマン……すなわち、かなりの年代物の船である事を。
「……。うん、アンティークね!」

 アンティークで誤魔化せるだろうか。ともかく、修復しなくてはまともに航海に繰り出せないだろう。あとは、冒険者が望む装備も――。

解説

【目的】 船の修復と最善な装備を自由に取り付ける。 【ローズベルト号について】 かなり痛んでいます。 一応甲板に乗れる程度の修復は商会側で施しましたが、残りは冒険者に一任されています。付けたければ、商会が用意出来る規模の物なら装備を増やせます。 ですが、完全武装した船、までは難しいでしょう(船の耐久度的にも)。 具体的に言うと「中規模の装備」であれば10個程増やせます。装備には鉄板などの耐久性を上げる物からもしもの時の武器や道具まで、発想次第です。 結果次第で船の防御力などなど、色々と変化が起こります。船が実行可能なアクションが増える可能性だってあります。 なお、最終的に一回海に浮かべてみて検査します。この工程までに、作業内容によっては数日かかる可能性があります。 【新事業とは】 ローズベルト商会が小島のビーチ化、及び冒険者や一般人の為のレジャー施設を作るようです。 便宜上「小島」としてありますが、いずれ命名する時が来るかもしれません。 【NPC】 ジェラルダ・ローズベルト(エルフ/女性) ローズベルト商会の当主。必要な装備を用意してくれます。相談掲示板で質問があれば彼女に【質問】と書いてお送り下さい。 婆や(ヒューマン/女性) 本名はお椎。どうやら元シノビのようでシャルガネに縁があります。長生きの老婆です。リプレイに出るかどうかはプレイング次第です。

マスターより

ローズベルト商会シリーズの新事業へようこそ。椿油です。 小島に行くには船! 船を浮かべる為、航海を楽に進める為の新装備のアイディアを商会が募集中です。 あ、修復もしましょう。 皆様のアツいプレイング、お待ちしております。

リプレイ

「船の修繕ですね。あいにくと船体の知識は……詳しくないのですが。海上での戦いについてはせんせいから教わりました」
 ミア=リゼルの朧げな記憶に残るせんせいは海上戦闘に詳しかったらしい。
「古い船だな……。船の事って詳しくないけどさ……航海に耐えられるのか確認からだな」
 ダムド・フィリスはまじまじと船体を見つめる。先代の船、しかもエルフの先代ともなれば100年前ぐらいの船なのは確実だった。
「船体に傷が無いか、まず確認しましょうか」
 ミィアもまず気になる点は損傷であった。設備の案はあるが、その前に修復だろう。
「最近船増えたよなー……ま、皆の言う通りまずは補強だろうな」
 サイラスは《職人の道具箱》を持って来ていた。これでいくらか修繕と補強が出来れば。

●船体確認
「損傷は、っと」
 《壁歩き》及び双波と超視覚(視る為のスキル)を駆使し、船体の傷を確認していくダムド。
「あ、ここ腐ってるな……」
 木工技術を活かして修繕していく。板材はローズベルト商会がたんまりと持って来てくれていた。

「どんな感じかしら?」
 ジェラルダが訪ねる。
「んー、補強前提って感じ? 結構痛みが激しいっていうか」
 サイラスが板材を打ち付けながらジェラルダに返答した。
「そうですね、補強と修繕がかなり必要そうです」
 ミィアも腐った箇所に板材を打ち付け、補強していく。
「この船は何回ぐらい航海に出したのでしょうか」
 ミアが訪ねる。

「んーそうね、ちょっと待って。文献漁ってくるわね」
 戻ってくるのに時間を要している間に、修繕は粗方終わっていたが、戻って来たジェラルダは汚れだらけになりながら答えた。
「お義父様が元気な間に500回ぐらいかしら」
「整備士は?」
 サイラスが問う。
「当時はまだそこまで大きな商会じゃ無かったようだし……あまりまともには出来てなかったみたいね」

(じゃあこれだけ痛んでてもしゃーないわ、海水もかなり浴びてるだろうし)
(そうだな、腐ってる部分結構あったぞ)
(ですね……)
(船の整備までは教わりませんでしたが、凄く痛んでいるのは分かります)

 密かに冒険者達の意見は一致していた。

●装備拡張
「まーこれで戦場になっても少しぐらいは耐えらえるか?」
「だな……」
 とりあえずダムドが防腐剤と塗料を塗って見た目に安心感を取り入れつつ。
「非常艇(ボート)とかの緊急装備は付いてるのか?」
 ダムドが確認する。……無い。
「……とりあえず非常艇付けようぜ」
「賛成。非常食とか釣具も入れるといいと思うけど」

「ボートね、それなら確かこっちの倉庫に……」
 ジェラルダが別の倉庫から頑張って引きずり出してきたのは軽めのボート。
「これなら付けられそうよ」
「よし、じゃあ残りは任せとけ」

 ダムドが非常艇をくくりつける作業をしている間に、ミィアが次の提案をしていた。
「大きめの倉庫と、巻き上げ式のクレーンはどうでしょうか?」
「巻き上げ式のクレーン、良いわね」
「小島の開発にしろ、快適な船旅にしろ十分な物資が必要ですし、その出し入れも速やかに、そして確実に行えることが望ましいと思います」
「その通りだわ! それじゃあちょっとクレーン手配してくるから待っててね。倉庫は……木製のコンテナで良ければすぐに持ってこられるわよ」
「ひとまずそれで大丈夫だと思います」

 元シノビの婆やが木製コンテナを台に乗せて運搬してくる。
「お待たせ致しました、倉庫で御座います」
 一週間分の食料ぐらいは入るだろうか。早速取り付けにかかるミィア。

「魔法や紋具のような派手な攻撃法は望めなくとも、ドワーフ王国戦線で改良した投石機の知識が役立てられるでしょうか」
 ミアの提案は武器の類だ。巻き上げ式クレーンを手配してきたジェラルダが話を聞く。
「甲板に小型投石機を固定して……投げ込めるものは岩石に限らず薬毒も用いることができます。また銛の射出機を広いところに回転台と一緒に設置すれば全方向へ対応できるはず」
「成程ね、魔獣程度なら対処できそうだわ」
「あわせてロックできる機能を使えば、あらぬ方向に飛んでいく事態は防げるでしょう。装填が少し手間ですけどね」
「ふむふむ? 設計図としてはこんな物かしら?」

 商品開発のプロであるジェラルダが設計図を書いていく。
「これなら我が商会の工房で作れる規模よ。少し時間がかかるけれど」
「それは良かったです。あとは、この手の船はマストが命。簡単には折れないよう補強が必要です。帆も傷みに強く難燃性のものを」
「そうね、帆が燃えたらこの船全部燃えてしまうものね……良い材料持ってくるわ!」

 設計図を工房の開発部門に丸投げしたジェラルダは、帆の元になりそうな布をいくつか持ってくる事にしたようだ。

「鉄板とか、装甲は……どうする?」
 非常艇を付け終えたダムドはサイラスと相談する。
「んー、倉庫も乗ったけどまだイケそうだし、おれはいいと思う」
「あ、じゃあ鉄板追加で!」
「オッケー、鉄板ね! 攻防から持ってくるわ!」

 ――なお、ジェラルダはこんなに忙しかったのは初めてかもしれないと後で日記に綴ったという。

 ミアがマスト(帆)にマスト(必需)な布を取り付けている間、もう一個サイラスは提案する。
「弓をベースにするならさほど加工は難しくないと思うんだけど」
「何でも言ってちょうだい!」
「釣り糸とかと、巻き取り装置(ウインチ)付けて貫いた物を引き寄せるやつ付けられないかなと」
「ああ、それならすぐに出来そうね。2時間位で」
 開発部門の開発目安時間を長く生きている間に覚えてしまっているジェラルダ。
「発射物を網とかにして、漁も可能に出来ればなと。大型な物に突き刺して巻き上げれば近寄れるし」
「ふむふむ、先端は尖っていた方がいいかしらね」
 ジェラルダが描いた設計図では、アンカーと網が同時に飛び出る仕組みになっていた。そして工房の開発部門へと持っていかれる設計図。

 そして巻き上げ式クレーンの方は港の方から調達してきた、使われていない新品同然の物を付けていくミィア。
「結構本格的なクレーンが見つかって良かったです」
「漁師にツテがあったおかげよ!」

 朝から始まった作業は、昼休憩を挟んでいた。その間にウインチ付きの投網装置は完成していたので取り付けるサイラス。なお開発部門の方々は昼飯返上である。今日の分は臨時ボーナスが出る事だろう。

「居住区と倉庫も幾つか……大小に区画分けして後々、自由に使えるようにした方がトラブルは減りそうだな」
「そうね。個人のスペースがあった方が良いかもしれないわね」
「内部の壁は船の耐久性にも繋がるんじゃねぇか?」
「オッケー、柱持ってくるわ。壁は板材で賄えるかしら」
「ああ」
 ダムドは鉄板を取り付けて、最後の耐久性補正となる壁と柱の設置に取り掛かっていた。

 夕方になると、ロック機能付きの投石機が現場に数個届く。
「さて、ようやく小型投石機が完成したわよ!」
 回転テーブルとロック装置、そしてあらゆる物を装填する為の経口3~40cmのシャッター付きの弾込め用の穴が空いている。
「シャッターで弾のサイズに合わせられるんですね」
 ミアは出来の良さに驚く。正直、半日程で出来る商会の技術力に感心していた。
「まぁ、量産は難しかったみたいだから3個程度でしばらくはいいかしらね」
 3個でも充分ではなかろうか。

「ふぅ、柱と壁も大体出来たぞ!」
「お疲れー、こっちもウインチの最終調整終わったけど……結構立派に出来てるなあ」
 サイラスがダムドの作った小部屋を見て感心している。途中少しサイラスも手伝ったが、これなら殆どの者が快適に過ごせそうだ。ランタンを引っかけるスペースもあり、夜の静かな波なら明かりも確保出来るだろう。

「後は、実際に海に出してみるとの事ですが」
 ミアがジェラルダに問う。
「そうね、でも皆疲れたでしょうから明日行うわ」
 ジェラルダが一旦休憩するよう促しつつ。開発部門の方々もようやくご飯にありつけた。

●早朝の港より、試運転をこめて
「さぁ、行くわよ新生ローズベルト号!」
 舵を取るのは婆やだった(シノビの力って凄い)。
「それでは出航致しますよジェラルダ様、安全の為お掴まり下さいませ」

 婆やが海へと新生ローズベルト号を発進させる。……浸水もなく、新しく増えた装備にも問題なく耐えていた。恐らく、当時の商会の技術力的に元々の装備が少なかったのではなかろうか。
「お義父様も宝の持ち腐れだったみたいね」
「軽く回遊して、魚を獲ってから帰りますよジェラルダ様」
 試運転のウインチや投石機も、問題なく動いた。魚は30匹ほど網に入り、ジェラルダの前の木箱でぴちぴち跳ねていた。そして港に戻り、船から降りたジェラルダ。

「……うん! とっても素敵だわ! ありがとう、皆!」
「これなら小島へ問題なく行けますでしょうね」
 ジェラルダと婆やから文句なしの太鼓判が押された。

「頑張った甲斐があったな」
 ダムドが安堵の息を漏らす。
「おー、獲れてる獲れてる。魚ちょっと貰っていっていい?」
 サイラスは折角なので獲れた魚を5匹ほど持ち帰って今日のオカズとする事にした。
「良かったです、これで小島の開発も進みますね」
 ミィアも胸を撫でおろした。
「それで、島の開発とは主に何を?」
 ミアが訪ねる。

「いわゆるリゾート開発みたいなものね! 冒険者も観光客も楽しめる場所にするわよ!」

 ジェラルダはドンと胸を叩き、事業の次のフェイズへ向けて朝日を眺めるのであった。

マスターコメント

修繕と装備の提案協力ありがとうございました! 【増えたもの】 ・補強用の舟板(耐久力+) ・壁と柱(耐久力+) ・鉄板(耐久力+) ・新品のマスト(耐久力+) ・ウインチ付き投網装置(技術力・攻撃力+) ・小型投石機(技術力・攻撃力+) ・巻き上げ式クレーン(技術力・輸送力+) ・倉庫(輸送力+) ・非常艇(輸送力+) 【計:耐久力+4 技術力+3 輸送力+3 攻撃力+2】 ステータスは目安ですが、かなりの強化が施せました! 次回の商会シナリオを楽しみにお待ちください。ご参加下さりありがとうございました!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人

2022年05月27日 20時33分27秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ミア=リゼル

    ま、ま間に合うでしょうか…!?(滑り込み ヒーラーのミア=リゼルです。ビーチ開発…ですね! よろしくお願いします。 船の作り方は……私は存じ上げないのですが。装備は火薬が使えませんし、ドワーフ王国での投石機開発の経験を活かしたいと思います。

  2. No.2

    サイラスだ、とりまギリギリだが 甲板に乗れる程度の集落とあるから建築辺りでもう少し補強と、鍛冶屋とかと木工あたり活かせばある程度こっちで制作してコスト抑えたり強度的に問題ないか見れるんじゃないかな

  3. ミィア

    ミィアです。 古い船みたいですし、透視とかを使って船体に傷がないか確認して、 ローズベルト商会の方に相談し、修復や補強の処置を取りたいと思います。 ほしい設備としましては大きめの倉庫と巻き上げ式のクレーンとかでしょうか。 小島の開発にしろ、快適な船旅にしろ十分な物資は必要ですし、 その出し入れも速やかに、そして確実に行えることが望ましいと思います。

  4. ダムド・フィリス

    シーフのダムドだ。宜しくな ミィアと被るが双波で船の状態を確認したり、壁歩きでマストや船壁のチェックをする。 後は非常装備の提案とかだ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0