【酔頸】72時間
革酎
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シナリオID:2016
オープニング
リーンエス王国の西方辺境伯領都、その中央に鎮座する石造りの豪邸は、どこか要塞じみた雰囲気を漂わせている。
この館の主であるルーヴェン・アクファリテ西方辺境伯は、強い西陽が射し込む執務室で、腹心の部下であるダルヴィン・ケルソー護兵団長の訪問を受けた。
「ジーロー伯爵の強行偵察隊がクジャリ族の支配地域内に潜入し、橋頭保を築いた模様です」
それまで書類作業を進めていたルーヴェンは手を止めて立ち上がり、ダルヴィンが差し出す周辺砂海図をじっと覗き込んだ。
朝から今まで大量の文字ばかりを追いかけていた所為で随分と目が疲れているルーヴェンだったが、その周辺砂海図に視線を落とした瞬間、眠そうな顔つきがほとんど一瞬で緊張に強張った色へと変じた。
「おい、こいつぁ何の冗談だ?」
ダルヴィンから受け取った周辺砂海図を執務卓上に押し広げ、鋭い眼光を煌めかせる。
何のことかよく分からないダルヴィンは、戸惑い気味に小首を傾げた。
「おっとそうか、お前は内地の出身だから知らなくても当然か……だが、ここは拙い」
ルーヴェンは渋い表情を浮かべつつ、ダルヴィンが事前に記しておいた件の橋頭保たる地点を指差した。
先日、ヘルマス・ジーロー伯爵からシラー砂漠最大級のバルバロイ組織『太信党』の傘下にある蛮族クジャリに対して強行偵察を敢行する、との連絡が届いた。ジーロー伯爵はシラー砂漠に隣接する王国南西付近に領地を持ち、ルーヴェンと同じく対辺境防衛線を構築する貴族のひとりとして数えられている。
そしてここ数年は活動を控えていた筈の太信党が、最近になって突如行動を激化させてきたことにジーロー伯爵は懸念を示していた。
一方でジーロー伯爵自身は昨年、別のバルバロイ組織『黒熱砂』の撃退に成功し、彼の私設兵団も士気が大いに上がっている。その勢いに乗って、太信党傘下のクジャリ族への強行偵察を買って出たまでは良かったが、彼の部下が確保したという橋頭保に問題があった。
「ここはシラーの神の分祀殿だ。こんなところを王国側の前線砦なんぞにしちまったら、如何にてめぇの命大事な蛮族連中でも、死に物狂いで奪い返しに来るぞ」
職業軍人としての訓練を受けていない蛮族は大抵の場合に於いて士気が低く、己の命が危険となれば簡単に追い散らされる程度の意識しか持っていないことが多い。
そんな蛮族とて、絶対に譲れない領域というものはあるだろう。例えば今回の様に、彼らの信じる神を結果的に冒涜したと見なされる場合などである。
ジーローの奴、下手ぁ打ちやがったな――ルーヴェンは渋い表情を浮かべながら別の資料を引き寄せ、この分祀殿に最も近い手持ちの部隊の位置を改めて確認してみた。
すると、徒歩で凡そ二日程度の距離に、200人規模の歩兵隊が居た。
「すぐにこいつらを向かわせろ……生き残ってりゃ良いがな」
台詞の後半は、件の分祀殿に橋頭保を築いたというジーロー伯爵配下の兵達を案じてのひと言だった。
●惨劇の予感
そこは、石造りの簡素な神殿を思わせる建造物であった。
「ここは一体、どういう由来の建物なんだろうな?」
ジーロー伯爵傘下の私設兵団から派遣されてきた強行偵察隊の長クレオール・テロドは独特のだみ声を響かせつつ、ひんやりとした屋内をぐるりと見渡した。
昼間は肌を刺す様な強い陽射しで砂の大地を焼く日光も、今は遥か西の稜線の向こう側へと去り、乾いた空気が急速に温度感を失い始めている。
クレオールの周囲では彼の部下と、ジーロー伯爵の依頼を受けて随行してきた冒険者達がこの橋頭保を臨時の前線砦として完成させるべく、防備の増強や篝火の設置などの為に忙しく走り回っていた。
シラー砂漠は全ての領域が砂だけで構成されている訳ではなく、オアシスや岩石地帯、或いは渓谷などが方々に散らばっている。今回橋頭保を築こうとしているこの石造りの建物は、小高い岩山の上に半ばそびえる様にして建っていた。
クレオールは二階建てのテラス部分に踏み出し、薄闇に包まれ始めている周辺の砂海に視線を走らせる。そこで、彼の表情が恐怖に凍り付いた。
「な……何だ、あれは……」
いつの間にか、無数の黒い影が岩山を包囲し尽くしていた。いずれも得物を携え、ゆっくりと硬い斜面を登ってくる。
見たところ、蛮族の群れであった。恐らくは、これからクレオール達が強行偵察をかけようとしていたクジャリ族ではなかろうか。
大半が剣や棍棒を構える戦士だが、中には魔獣使いも居るのだろうか、仔馬程の体躯を誇る巨大な岩蠍の姿も幾つか見られた。
そして西側の斜面麓には、人間とは思えない異形の姿が見えた。クレオールはかつて、壊密宗と呼ばれる魔人集団が黒熱砂と連携していたことを思い出した。
「あいつは確か、ジュラッツァ何とかって奴なんじゃないのか」
クレオールの記憶が正しければ、人間の肉体を強化改造する秘術を操る怪物だった筈だ。今、斜面上を迫りつつある蛮族共も、或いは強化されているのかも知れない。
そんな恐るべき連中が、明らかに包囲殲滅の意図を持って迫ってきている――クレオールは慌てて屋内へと走り、事態の急変なるを大声で知らせた。
最早、偵察云々ではなくなってきた。
ごく少数の限られた兵力と、急造の砦として仕上げた建物を頼りとしなければならない劣悪な状況で、十倍以上の規模を誇るかと思われる敵の大軍を迎え撃たなくてはならない。
絶望の名を冠した戦いが今まさに、目の前に迫ろうとしていた。
解説
マスターより
リプレイ
篝火が照らし出す石造りの広い空間内に、断末魔の悲鳴と、肉を刺し貫く嫌な音が同時に響いた。
得物を握る利き手の親指付け根から多量の血飛沫が飛び散っても、激痛に顔色ひとつ変えないエル=バ=ノイアンだったが、悲鳴の主がほとんどあっという間にものいわぬ骸と化した現状には、渋い表情を浮かべざるを得ない。
目の前で、ヘルマス・ジーロー伯爵配下の歩兵がひとり、無残な死を遂げた。
切り裂かれた腹から零れ落ちる内臓を拾い上げようと横たわったところへ、蛮族クジャリ族の戦士共が振るう刃が次々と容赦無く降り注いだ。敵は圧倒的な物量で襲い掛かり、ノイアンが救出に向かうよりも早く、その歩兵目掛けて一斉に群がったのである。
「あれは、どうしようも無い」
傍らで超至近距離での弓射撃を仕掛けていた戦士だわが、奥歯を噛み鳴らした。だわ自身、救えるものなら救いたかったが、授恵者達の手数を遥かに上回る接近戦人数を、敵はこれ見よがしに投入してきた。
流石に授恵者自身は蛮族共に後れを取ることは無かったが、この橋頭保に籠城しているジーロー伯爵配下の歩兵達は一般人に過ぎない。彼らに、十倍の敵戦力を抑えろという方が土台無理な話であった。
「こうなってくると、回復も防備増強も意味を為さないか」
ノイアンは後退を決心した。
数十という蛮族集団が雪崩を打って乱入してきた一階玄関口広間。乱戦とすらいえない、一方的な数の暴力。授恵者だからこそ持ち堪えられているのであり、通常であればあっという間に敵の支配領域に陥っていることだろう。
敵が十倍ならひとり当たり十人の敵を斃せば良い、という単純計算では済まない。狭い通路で一対一の状況に持ち込めばその理論も通用するが、包囲されている状況では、ひとりの敵を相手に廻す間に、九人の敵が四方から迫ってくるのだ。とても捌き切れる手数ではない。
事実、ノイアンもだわも全身血まみれだ。一部の致命傷になろうかという傷は咄嗟に治癒術で回復させたものの、細かい負傷は放置している。とてもではないが、治癒術にじっくりと時間を割く程の余裕は無かった。
「前方の敵を範囲攻撃で薙ぎ倒しても、後ろと左右から津波の様に襲ってくるな……」
「戦場とは、そういうものだろう」
だわに応じながら、ここまで一方的な戦況に追い込まれたのはいつ以来だろうかと、ノイアンは己の鮮血に全身を紅く染めつつ、ふと呑気に考えてみた。
いざとなれば土でも食おうかと考えていたノイアンだが、砂漠には栄養価のある土も無い。
傍らのだわも、序盤こそは思い通りの戦術で何とか凌げたが、矢張り数の劣勢の前ではそれも時間稼ぎにしかならないことを、ただただ痛感するばかりであった。
一日程、時間を遡る。
「おぅおぅ、居るわ居るわ。まぁ良いじゃねぇか。ちっとは楽しめそうだぜ」
「へへっ……随分と派手なご歓待じゃねーか! こいつは罠にでも嵌められたか……?」
クレオール・テロド以下、防備増強を終えても尚、怯える色を隠そうともしない強行偵察隊の面々に対し、アーテミシアとハヤト=ガラン=ヴォルファングは寧ろ、この状況を楽しむ素振りさえ見せた。ふたりは二階テラスから斜面を登る無数の黒い影に、どこから痛い目に遭わせてやろうかとそれぞれで思案を巡らせている。
「じゃあオレは北の斜面への投石だな」
「南は任せろ。ブレイブファング傭兵団の真骨頂を見せてやんぜ!」
比較的巨大な岩蠍の少ない方面に対して、岩壁や石柱を破壊して作った投石弾丸を次々と放り投げる役割を担当するアーテミシア。分厚い甲羅を持つ岩蠍には余り効果が無いが、蛮族歩兵ならば十分な損害が見込めるというものである。
一方のハヤトは彼我の戦力を迅速且つ正確に分析した上で、強行偵察隊員達に長期戦の心得を説き、自らは岩蠍の早期撃退の為に打って出る算段だった。
「屍山血河ってか? 上等過ぎるぜ。神サマも生贄にゃ当分困らねえだろうよ!」
アーテミシアによる投石戦開始と同時に、ハヤトも南の斜面を下り始めた。
「何とか砦程の絶望的な状況ではないので何とかなるという天啓が降りてきています」
ハヤトと共に南斜面へ躍り出たフリーダ=ブロムヴィストが、比較的間合いの長い攻撃で先手を取った。が、蛮族共はまるで怯む様子が無く、薙ぎ倒されても血祭りにあげられても、次々に迫ってくる。
フリーダは戦闘開始前に手早く簡単に料理の準備を済ませてきたが、これだけの数が隙間無く迫ってくるとなると、食事も覚束ないのではないかと半ば諦めざるを得ない。
「北の斜面は、アーテミシア様が良い感じに牛耳って下さっているご様子ですね」
「こっちも負けてらんねえな……うるぁ! 俺がブレイブファング傭兵団のハヤト様だ!」
鋭く吠えるハヤトの眼前に、黒光りの分厚い甲羅が迫る。巨木をも断ち切ってしまいそうな巨大岩蠍の大型鋏が左右から襲い掛かってきた。
直後、岩蠍の攻撃は空を切る。いつの間にかハヤトは岩蠍の背後へと走り、毒針を持つ長い尾の付け根に痛烈な三段攻撃を叩き込んでいた。
「では私も失礼をば」
フリーダの一撃が岩蠍の脳天を砕いた。
しかし、籠城側が優勢だったのもほんの序盤だけだった。
開戦直後は、
「いやー、見渡すかぎりの敵! 敵! 敵! で、壮観だねー」
などと嘯いていたアルマ・ヴァレンタインも、強行偵察隊の面々から急増する負傷者の対応には、すっかり閉口していた。
守りを固めた岩壁を境界線として、迫り来る蛮族に槍や剣を振るう強行偵察隊員達だが、こちらの手数ひとつの間に、敵は十倍の手数を繰り出してくる。攻撃一手に対し、反撃が十手だ。防御もままならないうちに刃や破壊槌の群れが襲い掛かってくるのである。負傷しない方が、寧ろおかしい。
命大事に、無理せず退がれというアルマからの指示が無くとも、強行偵察隊員達は絶え間なく負傷し、立て続けに治療を受けにくる。
最初は元気付けようと軽口を叩いていたアルマも、次第に口数が少なくなってきた。喋っている暇も無い程に傷の治療への集中が必要になってきているのである。
他の授恵者も治癒術支援に廻ることがあったが、兎に角敵の数が多い為、結局アルマが回復役の主担当として大車輪の働きを見せざるを得なかった。
●Day 2
夜間は、敵の攻撃がぴたりと止まった。蛮族共も休息が必要なのだろう。
しかし籠城側は、ほとんどの者が軽口を叩く余裕を失っている。バーネット・フォーサイスも、そのうちのひとりだった。
西の斜面を担当しているバーネットは、初日の開戦時、光弾の雨や爆発巨岩、魔力の奔流等で敵の戦闘集団を片っ端から薙ぎ倒していた。
「わざわざ団体で来てくれてありがとうよ。挨拶代わりにこれでも喰らっとけ」
蛮族もバーネットの魔法攻撃火力は厄介と見て、相当な被害を出したところで出足がぴたりと止まった。そんなバーネットの視界の遥か奥には、ジュラッツァ・ゲ・ラカンカの不気味な巨影が仁王立ちになっているが、動く気配は無い。
「あいつがどう動くかで、戦局はがらりと変わるかもな」
当初はジュラッツァに警戒の念を向けていたバーネットだが、絶大な威力を誇る魔法攻撃を見せつけても、未だ動く気配が無い。何か、考えがあるのだろうか。
「まぁ、良いさ……来ないなら来ないで、存分に追い払うだけだからな」
次第にバーネットもジュラッツァを意識の外に追いやる様になったが、代わりに魔法攻撃への意識を集中させる必要に迫られてきた。味方の強行偵察隊員達に負傷者が続出し、西の斜面はほとんどバーネットひとりで抑えなければならなくなったからだ。
東の斜面も、状況は似た様なものであった。こちらを担当しているのはサイラスだった。
「いやー、なかなかキツかったな」
見張りに立つ強行偵察隊員と入れ替わる形で夜の二階テラス上に姿を見せたサイラス。東の蛮族共にサイラス特有の様々な魔法攻撃に加え、場合によっては防御力を徹底的に高めて接近戦に転じることもあった。
蛮族共は遠近自在の戦闘能力を見せるサイラスに相当に手を焼き、矢張りこちらも警戒する様になったのか、幾分距離を取って対峙する時間帯が多くなった。
「まー、味方が来るまでの足止めで十分だから、戦果はこんなもんかな」
アーテミシアに低く笑いかけるサイラス。だがアーテミシアからは余裕の色が感じられない。手持ちの弾数が減ってきている現状に、多少の危機感があるらしい。
「流石にこれ以上、この建物の壁や柱を壊して投石に、ってぇ訳にはいかねぇからな。防御力や建築強度が失われちまう」
「……そんなに使っちまったのか」
サイラス自身は敵の怒りを誘うのを避ける為に、この建物自体には極力触れない様にしていたのだが、アーテミシアは然程に気にすることもなく、壁や柱を破壊して斜面への投石に用いていた。これが果たして吉と出るか凶と出るか。
「そこらじゅうで光ってんのは、閃光塗弾か?」
「何でも、援軍の目印にする為ってことらしいよ」
アーテミシアに答えながら、サイラスは東の方角を指差した。二日程持続可能な光源として、アルマやだわ、バーネットといった面々が建物周辺にばら撒いている。夜戦に際しての光源にも使えるだろう。
「気づいてくれりゃあ良いがな」
いってから、アーテミシアは敵に動きがあることに気付いた。
夜明け前と同時に、クジャリ族は再び押し寄せてきた。それも、一日目とは比べ物にならない程の凄まじい勢いである。
敵はどうやら一日目の攻勢で、こちらの防御力を見抜いたらしい。その戦力分析結果は恐らく、ジュラッツァの頭脳から弾き出されたものであろう。
ブランケットを跳ね除けて一階へと駆け下りてきたノイアンの目の前で、数十名にも上るクジャリ族がバリケードを押し破り、手近の強行偵察隊員を刃の餌食にしていた。
最早回復に手を割いている場合ではなく、アルマも参戦。
「ホント強行偵察は地獄だぜ! フゥハハハーハァー」
妙なテンションで魔力の奔流を叩きつけるアルマだが、一度勢いを得た敵は一向に怯むこと無く、怒涛の勢いで迫ってくる。
「やっぱり、神殿っぽい所に居座ったのが拙かったか?」
今更愚痴っても仕方が無いとはいえ、バーネットはぼやかずにはいられなかった。咄嗟に光弾の雨を降らせてみたところで、蛮族に臆する気配は無い。
だわ、フリーダ、ハヤトの三人も何とか敵の勢いを止めようと前に出た。僅かでも食事と睡眠を取ることが出来たから休養は十分といって良かったが、それでもあっという間に全身が傷だらけとなる。
「こいつぁ駄目だ! 二階に退くぜ!」
「一階は放棄せよとの啓示もございます。そのご提案、乗らせて頂きます」
ハヤトとフリーダが石段の登り口へ退き始める。この石段は部屋の中央にただ積み上げられているだけという構造の為、石段正面だけではなく、開けている左右からの攻撃にも対処せねばならない。
実際、強硬偵察員達は繰り出される槍や破壊槌に足元を撃たれ、蛮族の群れの中に落下してゆく。悲鳴が断末魔へと変じるのは、ほとんど一瞬だ。
「何とか二階降り口で抑えろ。ここでなら一対一の状況に持ち込める」
だわの冷静な声。彼は先に二階へと上がり、テラスから斜面の敵に鏃の雨を降らせていた。そのだわの言葉を受けて、ハヤトとフリーダはバーネット、サイラス、アルマを先に二階へと押しやり、ノイアンと共に階段を上へ上へと後退していった。
相変わらず左右からも敵の容赦無い攻撃が続き、必死に二階へと上がろうとする強行偵察員達が次々と引きずり降ろされる様を、横目で眺めるしか無かった。
二階階段降り口を授恵者が守り切るか、それとも蛮族が突破するか。勝負の分かれ目はこの一点に集約されたといって良い。
ノイアン、ハヤト、フリーダ、サイラスの四人で降り口を四方から囲い、登ってくる蛮族を次々と斬り伏せてゆく。
一方でだわ、バーネット、アルマ、アーテミシアはテラスから斜面の敵への攻撃を続けていた。蛮族は全員が建物一階に入り切れず、残りは未だ斜面上に居る。斜面の敵は頭上に関しては完全に無防備である為、建物内に入る前にひとりでも数を減らしておくに越したことは無い。
ここからは、我慢比べだ。授恵者が根負けして二階への侵入を許すか、或いは蛮族が想定以上の兵力を減らされたことで諦めるか。
既に強行偵察隊の半数以上が死傷し、隊長クレオールも瀕死の重傷を負っている。
一階部分は強行偵察隊の無残に斬り刻まれた遺体の他、授恵者達によって薙ぎ倒され、或いは一撃のもとに脳天や心臓を破壊された蛮族共の数え切れない程の骸で、床が覆い尽くされている。
クジャリの戦士達は同族の死体を踏み越えて、二階に迫ろうと必死に刃を繰り出し続けた。
●Day 3
西方辺境伯ルーヴェン・アクファリテが麾下の隊200名を率いて件の橋頭保に到着した時、この小さな岩山は文字通り死屍累々の地獄と化していた。
明け方の冷たい空気の中で、死臭と、むせ返る様な血の臭いが渦巻いている。
出迎えたのは全身傷だらけで血まみれの授恵者8名と、強行偵察隊員の生き残り6名。僅かに残った水や食料で辛うじて飢えを凌ぎながら、必死に持ち堪えていた。
「済まねぇ、ちょいと遅れちまった。敵はここに散らばってる死体で全部か?」
鞍から跳び下りたルーヴェンが訊くと、サイラスは百人程の蛮族が、ルーヴェンの隊を見て逃げていった旨を説明した。
「僭越ながら辺境伯……ここは橋頭保としては不適格かと」
だわが血まみれの物凄い形相で、しかしその声音は穏やかな調子で、ルーヴェンに進言した。自らの血がこびりついて赤黒く固まった髪が、彼の額や首筋にべったりと張り付いていた。
石造りの建物は、火攻めには強く、逆に周囲に対して投石や火矢が有効であることは、この二日間の戦いで証明されていたが、矢張り何といっても防御力に難点が多過ぎる。
この事実はだわのみならず、アーテミシアやノイアンも同じ分析結果を下していた。
ルーヴェンも、同意して頷き返す。
「ここはな、シラーの神の分祀殿なんだ。連中はまた奪い返しに来るだろうから、他へ移した方が良い」
その説明を受けて、授恵者達は成程と漸く合点した。
何故、蛮族共があれ程の血眼になって襲い掛かってきたのか、やっとその理由が理解出来た。
「流石に今日はもう、素材なんか持って帰る気もしないねぇ」
「岩蠍の殻なんざぁたかが知れてる。余計な荷物なるだけだぜ」
ぼやくサイラスに、ルーヴェンは苦笑を返した。
ただ兎に角、辛くてしんどい戦いだった。この人数で死線を乗り越えたという貴重な経験は、今後に活きるかも知れないが。
マスターコメント
ショートシナリオR難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年04月02日 22時55分07秒 公開
相談掲示板
No.1
サイラスだ、よろしくなー とりあえずリク主から何かリクエスト時にやりたかった事とかあるんやろか?と思いつつ とりあえず想定三日、実質二日程?の籠城戦を急増砦でやるから飲食不要とかあった方がええんやろなと。 後はスキルも使用回数回復しないと想定してくのがいいかな?睡眠で回復とかあり得たとしてもその睡眠時間ある?というね。 そんな感じ故回避で対処とかアクションスキルで耐久上げるとかの場合回復手段とか前者はせめて睡眠時間確保して疲労でミスとかあり得ない様にせんとなーと
ウォーリアだ、だわと呼んでもらえれば。よろしく頼む。 OPを見ると夜スタートか。 昼夜問わず戦うことを考えると暗視などもほしいところだし、砦外に出るなら気温や水のことも気になる。発汗による脱水症状も飲食不要で防げるのだろうか。 さて、大目的をどちらと取るかだが。 【1】この砦の死守(=救援到着まで砦付近を離れない) 【2】人命最優先(=脱出を目指す) この状況の発端は「橋頭堡にした場所が悪かった」ことだ。一旦ここを捨て他の場所を探す手もあると思う。 失うものが物資と兵とでは補充コストが違いすぎるし、仮に今回を凌ぎ切っても今後も同様の襲撃が続くだろう。 既に包囲された状態かつ相手はこちらの皆殺しも狙ってきそうだから脱出が容易でないのは承知の上だが、「砦に留まって戦う」か「機を見て包囲網に切れ目を作り脱出を狙う」かで戦略は変わってくると思う。 リクエスト者の意見も貰いつつ検討していければ。
リク主誰かって? オレだよ 多人数相手の死ぬ気の殴り合いがやりたかっただけで、それ以外の意図はなーンもねえぞ 背景とか設定とか一切指定しなかったしな まあ強いて言うなら籠城戦のイメージではあったけどな なンで、生き残る確率の高い方でいいンじゃね? 個人的には籠城の方が良さそうだけどな。 落とす岩はその辺りに幾らでもあるし、援軍が来るなら籠もるのも手ではあるぜ どっちにしても野戦はキツイし、スキルは飛び道具・回復・範囲攻撃辺りが良さそうかね
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 脱出も一つの選択ではあると思うが、頭数が10倍以上の戦力に包囲された状態からとなると、 切り込んで脱出経路を作るのも難儀しそうだし、脱出後も敵の追撃を抑える必要があるから、 戦い易さを考えれば籠城の方をメインにしつつ、どうしても耐えきれない場合に、 包囲からの脱出を試みるのが良いんじゃないかと思う。 >交戦 既に出ている意見でもあるが、兎にも角にも継戦能力優先で臨みたいな。 戦闘面では範囲攻撃でダメージ効率を上げたり、回復はなるべく各自で用意したりとかで、 それ以外だと飲食不要とかショートスリーパーで消耗を抑えたり、 暗視とかサーマルアイで夜間に備えるのも有りだな。 あと、籠城するなら段階的に後退して時間を稼ぐってのも手だと思う。 始めは建物近辺で敵を迎撃し、捌ききれなくなれば入口、通路、部屋と段階的に後退して、 交戦範囲を狭めながら戦えば、一度に相対する敵の数も制限できるし、 倒した敵自体が障害物として残るから、それで時間稼ぎが出来るんじゃないか? ただ、この場合は途中で脱出が難しいから、援軍到着まで交戦し続ける事になるのが難点だ。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 選定場所がアレだったとはいえ橋頭保にする気で来た以上は 本隊がくるまでの物資なり砂漠活動の用意はあるんじゃないかと思うけどー… 念のためマジポケなりバックパックに物資とか野営セットは準備していこうかなと あうぇーで土地勘がないのを考えると籠城も脱出も一長一短だし 方針は決まったほうにあわせるよー スキルは回復と解呪系をメインにもってく予定 使用回数の回復って最初の決戦で ≫十分な休養・睡眠が得られれば、一日に一回だけスキル回数を回復することができます。 ≫そのために必要な時間は、所持スキルや【3】の達成度に依存します。 って特別るーるがあったくらいで、その時はショートスリッパーも有効だった気が なお革酎MSのシナリオじゃないので「俺のシマじゃノーカンだから」も十分ありうる…
ウォーリアのノイアンだ。よろしく頼む。 ふむ…飲食不要の他に役立ちそうなのは、サバイバル知識、とかだろうか。手広くいろんな場面で活躍しそうだ。俺は暗視を持っていく予定だから、残り一つはそのどちらかになりそうかな… すでに色々案がでているから、こちらは工夫の範囲で話ができたら。時間さえ許せば、杭を「返し」として斜め下方に設置するだけでも、時間稼ぎにはなりそうだなと思った。その場合、土木・建築なんかあるといいかもしれないな。
No.7
籠城方針よりかねー個人としては 魔獣使いがエーテルリンク系で操るならジャマーも有効かなーと とりあえず術攻撃にして飛び道具持ち優先、特性を条件強化にしてこかと
とりあえずは籠城方面ってトコかね 飲食不要は欲しい所として…暗視もあるなら有ったほうがいいが、昼夜問わず襲ってくるなら交代制の必要があるか? 夜襲の可能性もあるし、暗視を持つなら昼の戦闘は控えたほうがいいかもしれねえな。 基本は二階のテラスに陣取って射撃やら岩落としやらかねえ。山の上だから落とす分には苦労しねえけど、四方八方から攻めて来るなら担当の振り分けが必要か?
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 10倍以上という事は1人あたり10体以上倒せば何とかなるのでしょうか? >基本方針 個人的にも籠城が良いかと思います。 突破する為の戦力と突破後に殿となる戦力のどちらも今回は欠けていますし、 相手の追跡も考慮すると籠城以上にハードルが高いかと。 それと相手の戦力を見るに建造物の破壊を狙えそうな岩蠍が一番の脅威でしょうか? 建物を使っての籠城戦をこちらが取ろうとするわけですから、 その建物が破壊されると非常に厄介ですし。
とりあえず籠城で考えてだいじょうぶそうー? あらためて10倍以上ってすごい兵力差だよねー… モブNPCさんに死傷者がでるとさらに広がりそうだし医療・薬学も持ってこうかなあ 暗視は有用そうだけど付ける枠がないのと 援軍さん達に\ここにいるぞ!/をお知らせするのも兼ねて 閃光塗弾の塗料を周辺にまいて(効果B)二日間持続の光源にしようかなと思ってるよ
ん。篭城の方針で行こう。 落とすものが足りなくなったら岩山表面を採掘感覚で切り崩して、とか。 ……砦もとい神殿内に神像らしきものがあればだが、放り投げれば奴ら受け止めてくれないだろうか。 強化改造兵の能力が如何程かも気になるところだが、数あたりの脅威度は岩蠍の方が上か。魔獣使いを探して狙ってみようと思う。 汎用は今のところショートスリーパーと戦術眼を持ち込む予定だ。武器は弓あたりの遠距離攻撃を用意していく。 強行偵察隊(味方NPC達)がもし非授恵者なら、強化改造兵や魔獣の前にはあまり立たせたくないな。備蓄されているであろう弓矢などを使ってもらいつつ、敵が上がってきた後は牽制を交えながら砦奥へと下がってもらう形になるだろうか。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 方針は籠城戦ってことだな! 継戦能力が鍵みてぇだから《飲食不要》《暗視》を持ってく予定だ。 後は岩蠍をどーにかしねーとってとこだよな。 《タナトスバイト》も持ってって岩蠍を優先的に斃すってのも考えてんぜ! >アルマ 俺も閃光塗弾は持ってけっから光源に使った貰って構わねぇぜ、
>籠城 段階的には、まず岩山を登って来る奴らを攻撃とか落石で妨害して時間を稼ぎ、 その間に神殿を可能な限り砦化。 岩山で抑えきれなくなったら神殿まで後退して、出入口に殺到する敵を逐一迎撃ってのが 大まかな流れになるか? >閃光塗弾 地形にぶちまけて灯りにするのは良い案だな。 はっきり照らせるほどの光量が無かったとしても、敵影の有無を把握する位は出来そうだし、 なんとなくの位置が見えれば、アタリを付けて攻撃とかもできそうだ。 >建物破壊 敵も神殿の奪還が目的だから、基本的に向こうから神殿を崩して来るとかはしないと思うが、 このまま取り戻せない位ならいっその事神殿諸共、って思考に至る可能性も否定できん。 後は逆にこっちが神殿を破損させた場合も、火に油を注いで敵の士気が上がるかもしれんから、 建物崩して敵を埋める、とかは最後の手段だな。 >味方NPC 矢面に立って戦闘してもらうにはちと不安だし、弓矢が有れば遠距離から攻撃を頼むのと、 神殿の砦化及び戦闘中の補修に注力してもらうのがいいか?
とりあえず、だ。ある程度休養取りながら戦わにゃならねえな。 オレたちもだがNPC連中も多少は休ませねえと敵の前に自滅しかねねえ。 まあNPCは大体の方針だけ決めて実際はクレオールのオッサンに任せればいいか オレは兵士連中を相手にしておくかね。 …ところでNPC登録してあるけど質問あったら回答あンのかね?
出発まであと一日切ったねー これまで書いた内容に加えて汎用は物資に不足が出ないようマジポケと 24時間戦えますか~♪(戦えるとはいってない)でショートスリーパー 閃光塗弾の光源も協力どうもありがとー! みんなにもお手伝いお願いするような感じでプレイングだしてるよー
そいや本命の救援より前に別の部隊が来るンだったな そっちが来たら呼応して中に入れたほうがいいか? 300相手に出来るほどいるかはわからねえし、入れられるなら入れたほうがいいだろ。
しまった、出発の日付を勘違いしていた…あまり顔が出せなくてすまない。 こちらは暗視と…飲食不要が取れなかったのでサバイバル知識でなんとかしようと思う。戦闘の他は、効率よく休息を行えるよう支援するつもりだ。 辺境伯の部隊が来ることは落とし込みが難しいPL情報だから、扱いには留意したいな。
>方針 大まかな方針としては、 ・基本籠城して援軍を待ち、耐えきれない場合のみ包囲の突破を試みる ・建物を補強し防備を固める ・序盤は可能な限り敵を岩山の斜面を登らせない様に押し留め、 抑えきれなくなったら建物まで撤退し守りを固める ・余裕が有れば交代で休憩をとる ・味方NPCには遠距離攻撃と建物の補強を主に頼む こんな感じで大丈夫か? 問題無ければ俺の方で記載しておく >援軍 多分、敵をどうにか出来るだけの戦力を連れてくると思うから、 中に入れると言うよりは、余裕が有れば呼応して出撃する位で良いかもしれない。 >個人行動 アーケインテンペスト改とグラビティフィールドで抑えきれない敵を足止めしつつ、 各種範囲攻撃で薙ぎ払うのと、念のためヒールも用意しておく。 汎用スキルはショートスリーパーと戦術眼を積んでおく予定だ。
余り顔を出せず申し訳ない。 方針について異論無しだ。 > バーネット 纏めとても助かる。そちらの作戦に則って動く旨、こちらに書かせてもらおう。 こちらのスキルセットは殲滅用の範囲攻撃x2、岩蠍など強敵対策の単体攻撃x1、ヒールx1でいく。 汎用は前述の通り戦術眼とショートスリーパーの予定だ。