ハーレムごろし?~オーガのコロシアイ薔薇ハーレム~
眞石ユキヒロ
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シナリオID:1977
オープニング
(なんであたしの周りの人間ばっかり授恵者に目覚めるんだろうね……)
戸惑ったし、七日ほど経った今だって戸惑っている。まさか自分を叱っている最中に先輩が授恵者に目覚めるなんて。
(マーメイドの時の少年、ツェレン先輩、そして彼……。なんであたしだけ授恵者に目覚めないんだろ……)
文書を持った右の手をきつく握ってしまいそうになる。考えても拳を握っても、過去も現在も未来も動きはしないのに。
それよりも自分の仕事だ。ライリーは依頼板の前に立つと文書を貼り付け、依頼の説明を開始した。
「近辺の都市をオーガの薔薇ハーレムが占拠しました! 百合ハーレムに続いて薔薇ハーレムですよ!」
辺境都市群のギルド職員、ライリー・ベル。現在、二徹。
前回と違うのはいつもライリーを叱っているシカのハーフビースト、ツェレン先輩が依頼の準備で怒る暇もないほど忙しいこと。
「オーガの薔……集団は都市の広場で殺し合いを行っているそうです! 現状は身内で争っているとはいえ、いつどこへ矛先が変わるともわからず極めて危険です!」
とはいえ何度も怒られていればライリーの心境も多少は変わる。今度からは徹夜は最大一回までにしようかと考える夜もあった。
結局、今日は二徹目になってしまったわけだけれど。
「オーガの集……薔薇ハーレムには特異個体が二体もいたそうです。偶然居合わせた冒険者にはその二体が他のオーガたちを殺し合わせているように見えたと」
なんだか複雑な亜人関係が見えてきた。人間以外にも残虐だなあいつら。
やっぱり生きてちゃいけないな、魔獣や亜人のハーレムは。
「その冒険者の手引きで避難できた住人も多いですが、取り残されてしまった住人も未だ存在しているようです。住人たちに矛先が向かう前にオーガの薔薇ハーレム集団の討伐をお願いします!」
ライリーは依頼板を背に、集まってきた冒険者たちに一礼した。ナチュラルに薔薇ハーレムなどと口にしてしまっている以外は普通の勤務態度だった。
「今回の依頼のハーレムは最低なだけじゃなく支離滅裂でもありますからね! 可及的速やかに始末してくださいね!」
訂正。急に私情が入った。
カウンターを片手で叩く音がする。肩を跳ねさせたライリーが視線を向けると、シカ頭の先輩――ツェレンの鋭い視線とバッチリぶつかってしまった。
「ベル、何度言えばわかるんだ! ……しかし今は一刻の猶予を争う。帰ってきてからゆっくり叱ってやる。それまで大人しく待っていろよ」
(先輩、震えながらなにかのフラグみたいなこと言わないでくださいよ……。これから死地に赴くんですよ先輩は……)
鎧に身を包んだツェレンは金属のこすれる音を立てながら、たどたどしい足取りでライリーの隣に並ぶ。ライリーは過去最高に緊張しているツェレンを心配するが、内容が内容なので口には出せなかった。
「出発はいひっ、……一時間後となります。私、ハーフビーストのウォーリアであるツェレンも同行させていひゃっ、……いただきます!」
依頼の補足をしようとしてツェレンが二度も噛む。ライリーは額から冷や汗を流しながらツェレンを盗み見た。
歯の根が合っていない。表情はライリーを怒った時のままで固まっている。普段なら折り目正しい礼をする人だというのに、礼と思しき動作でも首しか曲がっていない。
(冒険者さんたちや住民のみなさんも当然として、先輩もちゃんと帰って来れますように……!)
ライリーは祈った。冒険者の、住民の、先輩の無事を。
(ついでにこの大陸すべての亜人や魔獣のハーレムが滅びますように……!)
余計なことも祈った。
彼女が信仰するドゥジン神がこの祈りをどう思うかは一切不明である。
●
イェルノー荒野、とある都市。
石畳が敷かれた広場にはオーガの肉体と血と瓦礫が飛び交っている。
その中心のひときわ大きな木の下には、特異個体のオーガが二体、どっしりと腰を据えていた。今回の争いの原因はこの特異個体たちにある。
『兄者、あの者の上腕二頭筋など素晴らしくないか?』
青色の特異個体が目の前をよぎった若いオーガの隆起した筋肉を指さしながら、隣に座る赤い特異個体に声をかけた。
『馬鹿言え、俺は大腿四頭筋派だ』
目の前で行われる同族同士の殺し合いに「カカッ」と笑いながら、赤色の兄者は青色の太股を遠慮なく摩った。
『弟者、現時点ではお前の太股が一番気に入っているがな!』
『兄者、我らの新たな兄弟を決める戦いの最中だというのに……』
青色の弟者は無駄な脂肪のない筋肉質の腕を下ろし、眉根を寄せた。
この戦いのきっかけは赤色の兄者の急な思いつきだった。『どっか場所借りて殺し合わせて、最後に残った勝者を俺らの新たな弟として迎え入れる』と。
『正直な気持ちを口にして何が悪いっ! それに俺は俺たちを取り巻く戦いもこの目で、耳で、皮膚で、楽しんでいるぞ!』
青色の弟者は笑いながら自分の太股を撫で続ける赤色の兄者を放置し、視線をぐるりと回した。
『単調な殺戮と破壊ばかりで、飽きが来てもいる……』
弟者は飛来した瓦礫を片手で受け止めて適当に投げた。その先には民家の窓がありガラスが派手に砕けたが、その事実が目に入るだけであった。オーガたちの激しい殺し合いに紛れ、音も悲鳴も聞こえない。
『俺らと愛し合うに相応しい新たな弟、楽しみだなぁ!』
青色の弟者の言葉を無視しながら、赤色の兄者は青色の弟者の太股をさすり続けた。
彼らが背にした大樹にオーガの肉体が打ち付けられ、二度と動かなくなっても赤色の兄者は笑いを止めなかった。
解説
マスターより
リプレイ
「ブレイドさん、オーガの薔薇ハーレムですよ! 薔薇ハーレム!」
眉根を寄せて黙り込むシーフのブレイドに、キャスターの東雲・更紗は溌剌とした笑顔で興奮気味に語りかけた。
「どうしたんです? そんなお顔をされて……。ほら、サシャさんのウキウキ? 顔を見習って下さいまし」
二人の隣を歩くヒーラーのサシャ・テーリングはウキウキというより、ギラギラとした笑みを浮かべていた。
「ブレイドさんも一緒に楽しみませんか?」
「……勘弁してくれ」
オーガの集団が都市を占拠しているという一大事だというのに、二人が放つおかしな雰囲気のおかげで気が滅入ってしまう。
二人が盛り上がっているということはこの依頼にドゥジン的な何かを見いだしているという証左であった。受付嬢も薔薇だのハーレムだのと口にしていたことだし。
「私が居れば、こんなクエストは華麗に優雅に華憐に達成して差し上げますわ!!」
ブレイドとは対照的に、ツェレンに先導され前方を歩くウォーリアのリリリリスは今日も絶好調であった。鬼の肉。新たな至高の皿の発想が無限に湧き出てくる。
(そういえば前に夢で口説いたのオーガだったか。口説くべきか)
ブレイドの心中を察し、ウォーリアのサイラスは思ったことを心の中にとどめておいた。というか口に出したら絶対に面倒なことになるから黙っておいた。更紗もこの場にいることだし。
●占拠された都市
中心部の喧噪を外縁部の沈黙が包む、奇妙な都市だった。中心部からほど遠い外縁部付近にもひび割れた建物がいくつか散見された。
「とりあえず俺がオーガの集団の様子を見てくっから、その間に避難誘導のこととか話し合っといてくれよ」
サイラスは大きな音がする中心部に向かった。冒険者は建物の影に隠れ、小さな声で意見を出し合う。
「避難し損なった住民には中心部から離れた頑丈な建物に集まっていただき、建物前に荷車や樽などで防護柵を作るのはいかがでしょうか?」
冷静に話を切り出したのは、道中ギラついていたサシャだった。目的地に到着した今はすっかり落ち着いており、執るべき手段について真剣に考えている。
「自分は双波で取り残された住人の所在を把握しよう」
「私もサーマルアイと亜人語適正でお手伝いいたしますね」
ブレイドも更紗も自分にできることを提案する。
「ツェレンさんは私と一緒に建物の見張りと住人の護衛をしましょう」
サシャの提案に、所在なさげにしていたツェレンが頷く。
役割が固まりかけた頃、偵察に向かっていたサイラスが帰ってきた。
「雑魚オーガどもは勝手に殺し合うんだってよ。その間に避難誘導、やっちゃおうぜ」
サイラスはブレイドと更紗が見つけた住人を建物まで送り届ける役を担当することになった。
「市民の避難誘導はしてもらえれば。えぇ、えぇ憂いはありませんわね」
木の大剣とノブレス・オブリージュを携えたリリリリスが都市の中心部へと駆けていった。陽動の役割を買って出てくれたということなのだろう。
サシャは彼女に何らかの支援を行うべきかと考えたが、その横顔に自分や更紗とは違うベクトルのギラギラを見いだしたため、保留にしておいた。
あの人はきっと大丈夫だ。そういう雰囲気しかない。
●住民避難作戦と各々の思惑
サシャはツェレンを引き連れ、一番傷ついていない石造りの家の前に荷車や樽を積み上げていく。
(『俺……絶対……弟……』つまり『俺の方が絶対、あの二人の弟に相応しいだろうが!』といったところでしょうか)
合間に亜人語適性と超聴力を用いてオーガたちのぶつかり合いを聞き、ドゥジン信徒特有の補完力を働かせることも忘れない。
(敵の監視と次の動きを察知でき、妄想捗る会話まで聞かせていただけて、私には一挙両得です)
一方、ツェレンにそんな余裕はない。腕力よりも緊張が原因で樽を落としそうになる。
サシャは自分の作業を止め、ツェレンに近寄り声をかけた。
「気負わなくても大丈夫ですわ。心を落ち着かせて確実にやって参りましょう?」
こわばっていたツェレンの表情が、その一言でいくらか柔らかくなった。
サシャはツェレンの様子を見ながらテキパキと動き、サイラスが連れてきた住民六名を建物の中に招き、現状を説明した。
「じゃ、おれはもっかいブレイドと東雲のとこに行ってくるから」
住民を引き渡したサイラスは二人と合流するまでの道中、比較的小さなオーガの死体を目にした。おそらく広場からここまで投げ飛ばされ、その衝撃で死んだのだろう。腰に巻かれたボロ布がズレ、アレが見えている。今ここにいるのが自分一人でよかったと思いながら、その形状が人間と大して変わらないことを確認する。
多分、オーガにとってもココは……。
サイラスも男だ、同情心はある。だからといって弱点と推測できる箇所を狙わないのもおかしい。これは戦い。つまり命の取り合いなのだ。
そんなことを考えているうちに二人の居場所に辿り着いた。ブレイドは探波を用いて建物と地形を確認しつつ、捜波を用いて住民の位置把握に務めている。住宅に入り、マークした人数と実際の人数を照合し、避難の手順を説明する作業はつつがなく行われている。
更紗はサーマルアイを用いて、見落とした住民がいないかを確認している。サーマルアイでは建物の中までは確認できないが、人が残っている建物は人が残っていない建物より若干温度が高い。更紗が中に入ると住民が驚いたり寄ってくることも多々あった。
「サイラスさん、ちょうど良いところに来たな」
ブレイドがサイラスに視線を向けた。すでに住人が十数名、比較的被害の少ない建物の陰で身を寄せ合っている。
「早速ですが住民の方の護送をよろしくお願いします」
更紗は震える少女に手を貸し、立ち上がる手助けをする。
「あいよー」
護衛対象を怯えさせないよう、サイラスは軽い調子で返事をした。
●そして戦場へ
「これで全員か。……自分たちが帰ってくるまで、この建物から動かずに待っていてくれ」
ブレイドの呼びかけに、建物内のほとんどの住人は頷いたり声を上げたりして了解を表現した。
「みんなも良い子で待っていてくださいね」
サシャがしゃがんで子供たちと目線を合わせ、優しい声で呼びかける。
と、眉尻のつり上がった少年がサシャの横をすり抜け、建物から飛び出した。「俺も戦いが見たい!」と叫びながら。外で待機していた更紗が追いかけるが、追いつくより先に少年の行き先に矢が打ち込まれた。少年が尻餅をついて、眉を八の字にする。
「危ねーぞ、小僧」
竜花琴を構えたサイラスが少年の前に立ち、威圧するように力強く発声する。
「まあまあ……いけないお子さんですね、危ないですから建物でお待ちくださいまし」
少年は自分の両肩に手を当てた更紗を振り返って涙目で反論した。「お前だって子供じゃん!」と。
「いえ、あの……私はまだ成長期ですので……?」
まだ十四歳。身長が伸びる可能性は充分にある。
そう自分に言い聞かせている更紗ではあるが、そこをつかれるとどうしても弱い。
更紗がオロオロしていると、表情に怒りを滲ませたサシャが少年に歩み寄った。
「勝手な行動はやめてください! ……更紗さんはまだ若いですが、あなたと同じように矢を打ち込まれたとして決して怯むことはありません。そういう訓練を受けています!」
まっすぐにぶつけられた怒りに、少年はぎゅっと目を閉じた。
「命が掛かっているんです、よく考えて理解してくださいね。……ブレイドさん、この子を建物の中へ」
「わかった。今度こそ大人しくしていてくれよ。自分も何も知らない子供の亡骸など見たくはないからな」
無表情のブレイドがひょいと少年の身体を持ち上げた。少年は抵抗も反論もせず、大人しく建物の中に運び込まれた。
●リリリリス★ソロバトル
遡ること数分前。広場に向かったリリリリスは歓喜の声を上げた。
「赤いお肉と青いお肉ですわ! これは食べ比べが必要ですわね!」
よだれをこぼすなどという品のないことはしないが、食欲は充分に刺激された。とはいえ先ずは〆なくては。
『なんだ、変な女が入ってきたな?』
『我を楽しませてくれるのだろうか……?』
リリリリスとしては食欲をそそる兄に興味津々なのだが、彼女に興味を抱いたのは弟の方だった。
素速く投げられた瓦礫を防御集中と重点硬化で受けきる。質量があるため吹き飛ばされそうにはなるが、それほど痛くはない。
(もっと痛いくらいが楽しいですわ)
近寄れば更なる痛みを受けることもできるし、下味も付けやすくなる。
しかしリリリリスが兄に近づこうとする度、弟は瓦礫を投げて彼女の歩みを止めた。その程度で諦めるリリリリスでもなかったが、無秩序に飛び交う瓦礫や木の棒もまた、彼女の前進を阻んだ。
●合流、そして
『生き残った! 生き残ってやったぞ! 今日から俺が二人にかわいがられる兄弟だ!』
「ブレイドさん聞こえましたか! オーガが一体生き残ったそうです。なんでも二人にかわいがられるとか……聞いていますかブレイドさん?」
更紗もドゥジン信徒特有の補完力で、断片的に聞こえた単語を正確に組み上げていく。
「実況はしなくていい。自分は戦いに専念したい」
「戦いに必要な情報も得られるかもしれませんよ」
サイラス、ツェレンを先頭にして、更紗、ブレイド、サシャも広場へ走っていく。
沈黙を貫くサイラスは最初にどのスキルでドコを狙うかを真剣に考えている。
新たな兄弟の誕生に、広場の木の下に座ったままだった二体の特異個体が立ち上がった。
その瞬間、冒険者たちも広場に辿り着いた。今まさに兄がリリリリスに棍棒を振り下ろそうとしている。リリリリスはダイヤモンドシールドを発動し、光の膜で包み込んだノブレス・オブリージュでそれを受けきった。
『新たな兄弟の歓迎会をしたいんでなぁ! 早く倒されてくれねぇかなぁ!?』
もう一度振り下ろされた棍棒を、リリリリスの精神の象徴たる盾はしっかりと受け止めた。
「私くらいの守りを超えられないようではまだまだですわね」
リリリリスが口の端をつり上げ目を細める。それから木の大剣に持ち替え、毒撃を放った。
「弟子から着想を得た……下味を付ける作業ですわ!」
兄は素速く横に飛んで回避した。兄に纏わり付くリリリリスに新たな兄弟と弟が攻撃を仕掛けるが、一心不乱に兄を追いかける彼女には当たらなかった。
「レゾナンス・オブ・ヴァロー」
サシャの声と共に解き放たれたエーテルが、淡い光を放ちながら冒険者たちの身体を包み、身体能力を向上させた。それからサシャはブレイドに輝刃3を贈った。竜骨の強弓が淡い光で包まれる。
サイラスはニカッと笑い、新たな兄弟のアレに矢を打ち込んだ。ヒューマン男性のブレイドだけでなく兄と弟もぎょっとする。新たな兄弟はのたうち回った。
(まさかオーガにも効いてくれるとはなー)
余談だがオーガにも個体差があり、この手段がすべてのオーガに通じるわけではない。この集団にはたまたま有効だっただけである。
オーガたちが慄いている間に、更紗は超魔法を発動する。天地からかき集めたエーテルが己の力に変換されていく感覚が心地よい。
なお目の前で起きた件についてはあとでサシャと語り合おうと考えている。当然ブレイドも交えて。
(狙うなら倒れているオーガだが……)
まとまっていては危険だと判断したブレイドは壁歩きで頑丈な建物の壁を足場にし、のたうち回る新たな兄弟に鋭射を撃ち込んだ。もちろんアレ以外に。鋭く放たれた矢は悶絶するオーガの命を苦しみから解放した。
その後、ブレイドは弟に攪乱射撃3を射出した。矢に込めたエーテルが弟の感覚を侵す。
兄は引き続きリリリリスに攻撃し、リリリリスは先ほどと同じように捌ききった。しかし毒撃も当たってくれない。下味を付けたいのに。
弟は自分の前に立ったツェレンを狙っている。リリリリスとツェレンが気を引いている間に、サシャは更紗にも輝刃3を贈った。更紗の竜石の長杖も淡い光で包まれる。
「おれにあんたの身体のこと、もっと教えてくんない? ……死んだあとで!」
サイラスは口説くような言葉と共に鋭射2を放った。エーテルの収束した矢は兄のアレを貫く。兄は苦悶の表情を浮かべるが、兄の矜持で踏ん張った。
「私も全力で参ります。お覚悟を!」
更紗は攻撃集中し、杖先を弟に向けた。輝く魔弾が発射され、弟の胸をぶち抜いた。
『兄者……愛、して……』
弟は倒れ、永遠に動かなくなった。
『よくも、俺の一番の大切を……!』
兄が静かに涙を流した。それから更紗をにらみ据え、リリリリスとツェレンを弾き飛ばし、更紗へと一気に距離を詰めた。
真っ先に反応したのはブレイドだ。兄にありったけのエーテルを込めた鋭射を打ち込む。
リリリリスもチャージングで駆け寄り、渾身の破鎧砕で応戦する。
サシャはサイラスに輝刃3を贈る。
サイラスはアレを爆発させんばかりの鋭射2を放つ。
そして兄と対峙した更紗は目の前の巨大な敵にさようならだの魔弾を撃ち付けた。
●戦いのあと
(この集落に近づいたら、こうなります。っと)
住民に教えてもらったオーガの侵入経路に、リリリリスはオーガの遺体を設置した。
次にすべきことは至高の皿の作成である。
サイラスはオーガの遺体を観察し、素材として使えそうな部分を吟味していた。
(さすがに骨格とか立派だなー。皮も丈夫だし。……丈夫じゃない部分もあったけど)
さて使い道はと思考を切り替え、解体作業に取りかかる。
サシャ、ブレイド、更紗、ツェレンは建物に避難させたままの住民に、勝利を告げに向かった。
「全員揃っているな」
ブレイドが把握していた住民がその場に全員存在している。もちろん、出発前に戦いを見たいと言っていた少年もだ。
「あの、お姉ちゃんたち、おじさん、ごめんなさい……」
少年は歩み出て、四人に頭を下げた。
「ちゃんと待っていられたのね、良かったわ」
サシャがしゃがみ、小首をかしげながら穏やかな笑みを浮かべる。
「お姉ちゃん、ですか……」
更紗が笑みをこぼす。建物の中に柔らかく心地よい空気が充満している気がした。
「できましたわー!」
それをぶち破るように、リリリリスがどんぶりを両手に建物に入ってきた。
「こちらは薔薇丼ですわ。表面だけ火を通した特異個体のお肉を食べ比べられる一品ですわ。お米の代わりに帝国焼きを敷いて、閃光塗弾Bで鮮やかに!」
何やら恐ろしい説明を強制的に聞かされる。
「サイラス様には装飾関係でお世話になりますし、初陣祝いにツェレン様にも食べていただきたいですわね」
青ざめたツェレンは口にした。「食事はギルドに戻ってからにしましょう」と。
道中でどうにか捨てることを考えながら。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 5〜8人
2022年03月14日 08時56分30秒 公開
相談掲示板
私(ワタクシ)、リリリリスですわ!!! …これは…もしや 噂に聞く『鬼の肉(オーガニック)』ですわね!
No.2
サイラスだ、よろしくなー とりあえず人待ちやけど、普通のオーガは後回しでボス狙いで良さげかなと。ドラチャリとかで吹っ飛ばせばカバーも出来なそうだと思うし
ヒーラーのサシャ・テーリングです。お見知りおき下さいませ。 普通のオーガが最後の一体になるまでの間に住民の避難へ動こうと思います。 自滅して下さるならありがたい限りですもの。 その後はボス狙いで了解いたしました。成立するまでの間に所持スキルを考えますね。 健康志向で鍛えられた肉体の強さを見せていただかなくては>鬼の肉
キャスターの東雲更紗と申します。 楽しそうな雰囲気の依頼に釣られて参りました、よろしくお願いいたしますね。 一般オーガの数が減るまで住民さん達の避難誘導をしつつ、 流れ弾…ならぬ瓦礫が飛んできたらハリケーンウォールで対応したく思います。
あら、成立しましたわね 私も一般お肉は自然淘汰に任せてしまって良いかと思いますわ。 赤いお肉か青いお肉か、少々迷いますが。 攻撃手数としては赤>青でしょうか…
冒険者の皆様、依頼にご参加いただきありがとうございます。 現在、緊張でガチガチになっているツェレンに変わり、私、ライリー・ベルが連絡いたします。 出発は明日(3/7)の朝8時となっております。 プレイング、スキル、装備などに不備がないか、今一度ご確認をお願いいたします。 ツェレンへの指示があれば、そちらもプレイングから承ります。 指示がない場合は住人の避難を手伝った後に、青色の弟者に破鎧砕となります。 皆様、どうかお気を付けて。 それと、ツェレン先輩のことも……。……。 いえ! ハーレムをぶっ潰して来てください! 鬼の肉(オーガニック)上等ですよ! よろしくお願いします!
ギリギリの顔出しになってすまない。 シーフのブレイドだ、よろしく頼む。 避難の手伝いでは双波と天眼で住民の所在や動きを把握するのと、 戦闘では弓の攪乱射撃や鋭射で援護にまわるつもりだ。