それと大豆の間柄

狐野径

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シナリオID:1954

オープニング

●集落からの救援願い
 エラトゥーン都市同盟の都市ベールコートに属するミルドレッド領。
 『雪百合騎士団』の元に、疲労で身を引きずるように、男性が駆け込む。

「お願いです! 集落に出たものを退治してください!」

 話を聞くと、数日前から集落の人が何かに襲われたという。
 まず、夜間の見回りをしていた二人が襲われた。
 一人は首がもがれ、一人は行方不明。
 その場に見回りに使っていた明かりは落ちていた。

 集落の人たちは気味悪がったが、死体を保護し、行方不明者や敵対者の捜索をした。
 事件があったところ、その周りと徐々に範囲を広げる。
 墓地と廃墟、そして、林が残るが、日が暮れてきたため翌日にすることにした。

 夜の見回りはせず、それぞれ家で過ごす。

 しかし、翌日、調査を開始しようとしたが、ある一家がいない。
 その家に様子を見に行くと、血痕と死体があった。
 残っている死体は凄惨で、食われ、残ったのは骨という感じだった。
 その家は集落でも、墓地や廃墟、林が近いところにあった。
 そう考えると、道に足跡はある――気がした。
 普段から皆歩く場所だから、誰かしらの足跡はあるため、明確にわからない。

 ここまで来ると、自分たちで対処できる相手ではないという判断になる。
 助けを求めるのと、防御に専念することを同時に進める方向で定まった。

 集落は囲いがあるというわけではなく、広いところにぽつぽつと家や畑がある。
 バリケードを作って集落に入れないというような作戦は取れないため、どこかの家にこもることになる。二軒ほど守りやすい、戦いやすいところを選んだ。
 そのうえで、助けを求めに一人走った。それでも、二日ほど時間がかかっている。

 状況を話し終えた男性は「お願いです! 助けを!」と懇願した。

「話を聞いた縁だ、私が行こう」
 騎士団員の一人シェリー・ダーレンはいう。
 騎士団長など上の人には許可を取り、冒険者にも助力を請う。
「今回、救援と調査が主体となる。もちろん、討伐可能なら、そのまま倒すがな」
 シェリーは冒険者に言う。
 相手が何かわからないため、いきなり倒すという言葉は危険だ。
 慎重さも必要な一方で、臨機応変さも必要。
 周辺の地理の確認や過去に似たような事例があるかなども、わかる範囲で調査した。
 良くも悪くも今回につながりそうな話はなかった。

 救援を頼んだ人はここで休息をとってもらい、一行は兵糧や負傷者を考え医療品も持ち、出発する。

●現場の集落
 馬なども使い、比較的早く現地に入った。
 何事もなければのどかな風景だが、人気もなく不穏な空気を感じた。

「雪百合騎士団のシェリー・ダーレンだ! 助けに来たぞ!」
 彼女が声をあげるとき、他の者は動く者がないか警戒を強める。
 動くものはない。

「該当の家を確認するとともに、野営の準備だな」
 シェリーは告げる。
 日があるうちに到着したが、夕闇は迫っている。
 敵の状況を考えると建物の方が安全とも言い難い。
 天幕を張り、拠点を整えたところで、夜営の準備するもの、家の確認をするもので行動は分けた。

 避難しているはずの家は誰もいなかった。
 扉が壊れ、中には血痕がある。
 しかし、怪我人もいなければ死体もない。
 他の家も手早く見ておく。

 シェリーは最後の一軒を見てから拠点に戻ろうと考えた。
 その農家は集落の外れで、倉庫の状況から豆類を育てているようだった。
「誰かいるか? 雪百合騎士団のシェリーという」

 カタリ。
 何かが鳴る。

 敵か、それとも、被害者か?
 シェリーに緊張が走り、剣の柄に手が伸びる。

 倉庫には乾燥させた大豆が入った樽。
 一部の樽は壊れており、大豆が散らばっていた。
 血痕も見られるため、ここで争いがあったのはわかる。

「誰か、いるか?」

 再度、シェリーが声をかけた。
 床が少し浮き、明かりが見える。
「……騎士団さん?」
「そうだ。シェリー・ダーレンという」
「……よかったっ!」
 シェリーはあっさり納得されたので驚く。
 地下室の扉が開き、感激した男性が出て来た。
「よかった! あの人は無事についたんですね」
「ああ。それにしてもよく、私を信用したな?」
「あ、それは、襲ってきたものたちは言葉が通じませんでしたから」
 シェリーは男が言うことから、敵と遭遇したと判断で来た。
「助けを求めた日から何があったか聞かせてもらおうか?」
「もちろんです」
 一旦、助かっている全員と顔を合わせることになる。
 地下室にいたのは、この家の持ち主の一家と近所の人だった。
 夫婦と子ども三人に祖父母、同じ集落の老婦人と孫二人、男性と子ども。
 あとの人たちは消息不明だという。
 温かい食事の後、状況の詳細を聞くことになる。

●追加の状況と遭遇
 助けを求めに来た男が言う通り、二軒の家に分散して集落の人は隠れた。
 基本隠れるが、何かあれば抵抗するつもりで見張りもたてたりしていた。
 ただ、襲撃には耐えきれなかったという。

 襲ってきたのはヒトの姿をしたもの。
 着ているものはぼろだ。
 全員、人間らしい言葉は発しないという。
 それでも素早かったり、力強かったりするため、必死に逃げたという。

 そして、大豆農家の家に逃げ込んだのが現在シェリーたちの前にいる12人。
 襲撃を受けた後は、こもっていたという。

 シェリーはねぎらった後、何か引っかかると考える。
 一行が助かったのはいいことだが、他の家と何が違うのか?
 わからないことはひとまず、思考の片隅に置く。
 まずは、集落の人にはひとまず天幕で休んでもらい、明日、安全なところに送り届けることを考える。

 ただ、集落の人は不安がっている。
 老婦人が口を開いた。
「あの地下室に戻っていいでしょうか? すみません! 皆さんを疑っているとかではないです」
 シェリーは理解を示した。
「そうだな……夕食を食べた後、寝るのはあそこにしよう。その方が良かろう」
「……ありがとうございます」
「構わない。気持ちが休まる方がいいし、許されるなら、我々もそこに陣を張ろう」
 住民は同意した。
 天幕をたたむのは翌日でいいし、警戒を強めるべき夜に荷物を運ぶのは問題だ。

 シェリーたちに付き添われ住民は天幕の外に出た。
 林などがある方から、獣じみた声が聞こえた。
「あれです!」
 怯える住民。
「陣形を取れ!」
 シェリーは住民たちを守るように立つし、号令に冒険者たちも動く。

 襲撃者の姿を目の当たりにする。
 人間の姿をしているが、化け物じみた様子があった。
 青白い肌や腐りかけた肌を持つし、衣類はぼろだ。
 それらからは腐臭や血臭が漂う。
 青白い肌の個体は、動きが素早かった。
 止まっているのは瞬間で、次には別のところにいる感覚だ。

 もし、接敵されたら、どうなるか?
 集落の人たちだけでなく、自分たちも殺される危険性を感じずにはいられなかった。
 しかし、逃げることもできない。
 背を向ければ一瞬で餌食だ。

 それらは力を誇示するように天幕を壊した。
 中には誰もいない状況だったが、「ギャアアアア」と悲鳴のようなものが上がった。
 青白い肌をした個体が逃げていく。それは非常に動きが速かった。
 それを追うように一般的な人間の移動速度の者たちがついていく。

 何があったのか?
 天幕を見ると、誰かが食べかけていた炒り豆がぶちまけられていた。
 その上、踏みつぶした跡もある。

 恐れたのは豆なのだろうか?

解説

●目的・目標  敵の撃破。  一般人の安全確保。 ●地理  集落は大きな道を中心に、家や畑が点在している。  その道を進むと、林に入っていく。  林の手前に墓地と廃屋がある。  廃屋はちょっとした屋敷の大きさ。  集落の人に聞くとわかるが、相当前に商人が住んでいたらしい。ただ、色々あって放置された。地下室はあるかもしれない。 ●NPC  ・シェリー・ダーレン ヒューマン、22歳、女。ウォリアー。  人を守ることを考えて行動する。ただし、考えるより殴るタイプ。  冒険者が進言しないと、護衛に残して、そのまま、敵を追う可能性高い。  ・集落の人たち 老若男女12人と助けを求めに走った人以外は消息不明。  集落にいるのは12人。 ●敵  ・吸血鬼×1 太陽も弱いのかもしれないけど、昼間の隠れ場所がしっかりしていた。  大豆は何か感じる様子。  状況によっては逃げるという選択肢もあるので、ご注意を。  会話は通じない。  噛みつき、吸血、ひっかき。噛みつきは【スリップ】付与あり、要抵抗。  ※大豆について。当てられた場合、ひるむ。ダメージが入るかどうかいまいちわからないけれども、嫌だという認識はあるらしい。豆を数え出すとしても、戦闘状態だとその限りではないかもしれない。  ・下僕×6 いわゆるグールぽい。肉はなんでも食べる。  移動は速いわけではないが、力強さはある。跳躍はそれなりにできそう。  基本、力任せに殴る、噛みつく。  会話はもっと通じない。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  豆まきです? 大豆の扱いは皆様の作戦次第。  それなりに存在はしております。  豆農家あるので。  あ、何かすごく私が色々しゃべりそうですが……逃がさないことが大切です、ということで締めますね!  よろしくお願いします。

リプレイ

●逃げるもの、隠れるもの
 冒険者は襲撃にすぐに反応した。
 一般人はすぐに避難させ、襲撃してきたものに対応しようした。
 ただ、それらは、天幕を壊した直後、逃げる。
 大豆に怯えたもしくは驚いたようにも見えた。

 サイラスとキーゼは逃げたものを追う。
 動く死体のようなもの――グールは追うのは易い。ただ、青白い肌の個体――吸血鬼と思われる存在はやや難しい。動きが速いため、意識しないと見失いそうだった。
 サイラスは集落の人たちが調査しきれていない建物が怪しいだろうと考え、グールを追いながら向かう。
 キーゼはとっさに豆をポケットに一つかみねじり込み、馬を借り追いかけようとした。
「ひとまずシェリー氏は護衛を最優先に……守りが得意なのは貴女だけですからね、頼りにしています」
 と、白百合騎士団のシェリー・ダーレンに声を掛けてから出た。
 冒険者がヒーラー主体というのが主な理由。
 さらに、彼女の性格は同道している間に知れている。人情に篤いのはいいけれども、敵の状況をきちんと把握しないで突撃する危険性を感じる。
 リサ・ベイカーはキーゼの言葉を引き取るように、シェリーにいう。
「シェリーさんには建物の入り口付近で警戒してもらいます」
「それはいいが……」
 自分は行かなくていいのかという雰囲気を漂わせる。
「キーゼさんが言う通りですよ。シェリーさんがここを守らなくてどうするんですか! わたしは屋根の上から警戒しますね」
 シェリーはうなずき、避難する人たちを守るように立った。

 ネーヴェ・グラヌローザは住民を地下室に誘導していた。
 それと同時に、情報収集もする。
「林や建物は調査が未完だと聞いています」
「はい、襲撃がありましたので、何かいるならそこかと……怖くて行けなくなりました」
「隠れやすいということですか?」
「使っていないから何がいるかわからないということもあります」
「地下室とかありますか?」
「地下室も屋根裏もあります」
「なるほど……何かしらが潜みやすいかもしれませんね」
 ネーヴェは敵がどこに行くかや、再襲撃あるのか、逃げるとなるとどこか、など考える。
「……まずは、体勢を整えましょう」
 地下室から出たところで、大豆を撒く。何らかの効果があるのは先ほどの状況からわかっているからだ。
 シェリーには場を任せるとともに「状況に応じて戦闘に加わってください」と告げる。
「それはもちろんだ」
 ネーヴェは大豆をもって作業を開始した。

 フクシア・S・シュルツは人々が地下に降りた後、大豆をバックパックに豆を詰めておく。何かしらの効果はあると感じた。
「これ以上被害を出すわけにも、逃がすわけにもまいりませんね……必ず護り切りましょう」
 現状は敵の姿はないが、簡単に逃げることはないだろう。人間が増え、抵抗するだけと思っているうちは。
 冒険者が本格的に攻撃をしかけたあとはまた別だ。考えることができる存在ならば、逃げる可能性はある。
 ランタンはベルトで腰に固定し、明かりの確保と手が空く状態を確保した。
「あの個体は肉食べるんでしょうか?」
 知恵がどの程度かわからないが、敵の意識を分散させることができれば、戦いやすくなると思った。
 積極的に攻勢に出るとはいえ、状況がまだ不透明だ。
 何があってもいいように、準備を進める。

●対決
 サイラスやキーゼが追う一行は、林のそばの家に向かっているように見えた。
 キーゼは吸血鬼を中心に【炸光矢】を放った後、進路を阻むように馬を操る。
 攻撃によりそれらの動きは変わる。吸血鬼は移動速度や反応速度など速くても、あくまで人間より速いのであり、馬と比べられるかは別。
 吸血鬼は追ってくるのは二人のみということを知る。そこからどう考えたか、グールたちに指示を出すと、撤退はやめた。
 その声は人が使う言語からすれば、吠え声のようだった。

 吸血鬼は、キーゼに向かう。キーゼが馬上ということもあり、跳躍する。
 キーゼはできる限り避けるが、首筋に鋭い痛みを覚える。
 攻撃の後、着地し、再度狙ってくる。
 吸血鬼は、攻撃すればどうにかなると認識したのかもしれない。
 一方で、キーゼは単独では難しい相手と認識はした。
 一般人の退避および、それにかかわった面々が戦う準備を整えたころ合いだ。
「戻ります」
 キーゼはサイラスに一言いう。
 サイラスは了解を示すが、
「んー、この下僕ぽいのどうにかするから」
 という。攻撃ができる範囲の物に攻撃を仕掛ける。
 グールがまとまっている状態だったこともあり【鳥獣戯】を放つ。
 キーゼは背後でサイラスの声を聞いた。
 一体でも足止めしてもらうほうがいいし、倒せるならなおさらだ。
 一般人を守りながら戦うことになるし、敵の攻撃は未知も含んでいた。

 ネーヴェは建物の外に出ると、戦いやすい場所を確認し、そこに大豆をまく。
 吸血鬼が大豆に反応を示していたこともあり、場を封じるのに使えると考える。
 吸血鬼の動きが素早いなら、場所を限るようにした方がいい。
 円のように撒くが、中に入れるため、一か所だけ開けておく。
 大豆を皿に使うために、樽を持ち出そうとした。
 バックパックに大豆を詰めていたフクシアはネーヴェが樽を動かそうとしているのに気づく。
「どこに動かしますか?」
「こちらに運びたいのです」
「わかりました」
 二人で転がしていく。
 豆をまき、その入り口となる部分に置く。
 もう一つも同じく置いた。

 屋根の上で警戒をしていたリサはキーゼが戻ってくるのを見た。吸血鬼が後を追っている。
 グールはサイラスのところで足止めされているのと、吸血鬼を追っているのがいるようだった。
「キーゼさんが吸血鬼と戻ってきます」
 戦闘開始が近いことを告げる。
 ネーヴェたちから了解を示す声が返ってくる。
「あの敵、移動速度結構速いですね」
 【魔矢】を放てるように準備する。

 キーゼが戻ってきたところで、ネーヴェが問う。
「大豆の輪の中に追い込めますか」
「なるほど、わかりました」
 キーゼはこの場を回り込むように馬を進めた。

 吸血鬼は家の方に人がいるのを見た。
 抗うつもりだというのは、リサの【魔矢】やシェリーの攻撃でわかる。
 ただ、そのようなものは、児戯に等しいし、食事にできるととらえた。
 だから、人間を襲うため、向かった。

 リサは「回避されてますね」と冷静に考える。
 屋根の上から警戒する意義がなくなっているため、降りて吸血鬼を逃がさないように、位置取りをする。

 ネーヴェは【雪花】を用いた後、吸血鬼の背後にいたグールに【メテオライト3】を放つ。キーゼに意識が向いていた部分のある吸血鬼は背後を攻撃されるような状況となる。
 フクシアは距離があることを考え、範囲魔法に巻き込まれているグールに【魔矢】を放つ。
 冒険者の攻撃により、吸血鬼は足元にある大豆に気づいていない。
 匂いで判断はしていれば逃げているだろうが、それはないようだった。

 キーゼは馬から降り、吸血鬼の側面に回る。
 近接する状態であるため【エーテルブロー】でたたく。
「さあ、どうしますか?」
 キーゼは大豆をまたぎ、円に入る。獲物を狙い追ってくる状態ならば――。

 吸血鬼はフクシアに狙いを定め、首に噛みつく。
「う、うわっ」
 すぐに離さず、血を吸うような状況だ。
「すぐに離しなさい」
 ネーヴェは真っ直ぐ言葉を紡ぎ【魔弾2】を放つ。
 キーゼはフクシアに注意しながら【エーテルブロー】を叩き込む。
 そして、リサも【魔矢】を放った。
 勢いに押される形で吸血鬼は後退し、大豆を踏んだ。
「ぎゃ」
 という声と共に、フクシアを離した。
 フクシアは転がるように吸血鬼から離れる。首筋を抑えてそのまま【ヒール】を用いる。
 大豆に近づいた時の吸血鬼の苦鳴は弱点を示すものでもあった。

 大豆の円を完成させるとともに、豆の線状にまだいる吸血鬼を押し込む必要はあった。
 ネーヴェは「樽壊しますっ!」と声をあげた。
 キーゼが一つ押し倒して中をぶちまけ、ネーヴェが魔法で樽を砕いた。
 大豆は飛び散り、線を補強する。また、一部は吸血鬼に当たる。
 吸血鬼は、大豆の円の中でうずくまる。

 サイラスは足止めできていたグールを倒したところで、吸血鬼を追う。
 戦いの音もするし、人を食料ととらえるならば、人のいる場所にいるだろう。この場を逃げるのでは無ければ。
 到着すると、大豆に囲まれて動けない吸血鬼がいた。
「豆、まめ、魔滅。どっかの言葉のそんな感じのあれかな?」
 吸血鬼は親の性質を引くならば、この血統は大豆に何かあったのかもしれない。
 動きが素早かったことを考えると、今が攻撃するチャンスだとわかる。
 まだ残っているグールがいるが、サイラスが後ろから近付いているのに気づいていない様子だった。
 だから、【鳥獣戯】で攻撃を仕掛けた。
 すでに、弱っていた個体は動きを止める。

「あくまで素早い動きが、とみるべきですね」
 キーゼは矢をつがえるが、吸血鬼を狙わず、救援に来る可能性のあるグールに【炸光矢】を使った。大豆が動きを制限するなら、吹き飛ばす状況は問題が生じる。

 リサは【魔矢】で吸血鬼を狙っていく。
 先ほどと違い魔法は当たる。
「今のうちという感じですね」
「ええ、そうですね」
 ネーヴェが【魔弾2】を放つ。当たりやすいと感じたが、いつまで続くかわからない。
 フクシアはまだ足元がふらつくため回復魔法も考えるが、敵を攻撃する方を選んだ。吸血鬼に向け【魔矢】を放つ。
「ヒトに近く見えますけれども……言葉が通じないのは、むしろ、幸いでしょうか」
 こちらは会話しても、特に反応をしてきていないし、脅すなど言葉を用いた行動は相手になかった。

 なお、グールはすでにすべて動きを止めていた。
 吸血鬼の方はまだそうではない。少し冷静になったのか、状況を把握し逃げようと考えているように見える。
 大豆がよほど嫌なようだ。出ようとはしている。しかし、冒険者の攻撃は逃げる場所をふさぐ。
 キーゼはポケットに入れていた大豆を取り出す。
「よほど嫌なようですね」
「試しに投げておこうか?」
 とサイラスも円と関係ない大豆を手に取った。
 吸血鬼の動きをふさぐようバラバラな方向から投げるつもりだった。
 フクシアは用意していたバックパックを手にする。
「バックパックごとぶつけます……」
 バックパックの中が飛び出るように、袋の口を開けて投げる用意をした。
 ネーヴェとリサは魔法の回数と相談の上、そのまま攻撃を続ける選択をする。
 大豆が弱点でもダメージとしてどうかは不明。
 それならば並行してダメージを魔法で当てた方が確実だ。
 逃がすわけにはいかないから。

 キーゼとサイラス、フクシアが三方から豆を吸血鬼に投げつける。
 リサとネーヴェが魔法で攻撃を重ねる。
 その結果、それは倒れた。

●確認や調査
 サイラスは吸血鬼から素材が取れるなら取りたかったが、特に何もない。キーゼが燃やすというので、そのまま引き渡す。
 廃屋の方の調査に行くというネーヴェたちと行動を共にする。行方不明者の状況がわかっていないからだ。もしかしたら、すでに死んでいるかもしれないし、ひょっとしたらどこかに隠れているかもしれない。運よく大豆があるところに。

 ネーヴェはフクシアと共に廃屋の方に向かう。大豆も念のためにもって。
 吸血鬼たちが潜んでいた可能性が高いからだ。
 集落の住民には何かいた形跡があれば「廃屋は燃やしておきます」と告げた。
 まだ何かいるかどうかもわからないし、潜みやすいならば、また別の個体が来る可能性はある。
 そうなったとき、同じような事件が発生してしまう。そのため、集落の人に否はなかった。
 墓地は掘り返されているということはなかった。
 そして、廃屋はそれなりに大きいけれども、豪邸ということはない。
 放置された理由はともかく、ネーヴェは盾を持ち、用心して進む。
 中に入ると、匂いが鼻についた。
「血の匂いと……生臭いですね」
 フクシアは眉を寄せた。
 壁や扉に穴が見られる。
 それと、人間だったものが、台所の方で見つかる。
 複数あるということで、集落の人だろうか。
 サイラスが「集落の人か確認した方がいいね」と告げる。
 集落の人で行方不明者がいるのだから。
 捜索を続け、食料貯蔵庫だったのか、地下室に向かう。
 地下にはサイラスが先に入る。何かいた場合、対処しやすいからだ。
「うん、いた後はあるけど、今はいないよ」
「わかりました。念入りに調査しましょう」
 残されているものは、食べたものであったり、何かの装飾品だったりなどだ。
 装飾品については回収する。この集落の人の物だったり、彼らが流れて来たルートの解明につながるかもしれない。
 念のため、大豆を中やその入り口に撒いておく。
 そのあと、遺体を出し、火を放つことになる。

 キーゼはグールの方は被害者の可能性を考え、遺留品があれば回収しておく。
 そのうえで、この集落の人はいないか確認をしてもらう。この集落の者でないのはわかったので、遺留品はシェリーに対処を頼むことになる。
 吸血鬼には蒸留酒を掛け、火打石で火をつけ燃やした。
 
「皆の活躍を見て何もしなかった私を恥じるような気になるな」
 シェリーは苦笑した。
「何言っているんですか! シェリーさんが守っているから戦えるんですよ。動きが止められたからよかったですが、大豆関係なくてそっちに向かったら、シェリーさんいないと素通しなんですから」
 リサが慰めではなく、事実を述べる。
「ありがとう。無事乗り切れたし、私ももっと学ばねば」
 シェリーは礼を述べた後、表情を引き締めた。

 集落の二か所で作られた炎。
 事件の解決を告げるものに他ならなかった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。  NPCの行動に対するきっぱりとした行動はすがすがしく素晴らしくあります。いや、助かります、書き手も「あ、待機、守ればいいのね」とわかりますが……プレイング見たとき、吹き出しましたけどね、あまりのすがすがしさに。  廃屋に戻って戦闘かと思いましたけど、状況見てこのようになりました。  また、ご縁がありましたらお会いしましょう。
ショートシナリオR

ショートシナリオR普通 報酬:標準5 / 4〜8人

2022年03月09日 00時25分28秒 公開

大成功

参加者

相談掲示板

  1. ネーヴェ・グラヌローザ

    ヒーラーのネーヴェ・グラヌローザと申します。宜しくお願い致します。 あとお一方、いらして下さると宜しいのですが……。 敵を逃さないようにすることが大切とのことで、大豆をどのように扱うかが鍵になりそうですわね。 住民の方々には地下室に篭って頂いて、守るように大豆を撒けば大丈夫でしょうか。 あとは逃がさないものの定番と言えば、光縛封になりましょうけれど……。 ぶつけると怯むのでしたか。投げるか、樽を転がしておいてそこへ誘き寄せ、一気に破壊するか、でしょうか。 時間帯はこれから夜、明かりないし暗視は必須でしょうか。 昼間逃げ込んでいる先はおそらく廃屋でしょうね。最終的にはここも何とかしたいところですわ。

  2. リサ・ベイカー

    よろしくお願いします。 大豆…? もし踏んだだけで逃げたのが、忌避感があるのであれば、 撒いておけば、ある程度の防御になるのかもですね。 逃さないことを考えるなら、逃げ道を塞ぐように撒いておくのもありかも?

  3. キーゼ

    さて、お願いします 集落の人間の保護と騎士団NPCの扱いをどうするか、ですね 吸血鬼はともかくグールに効くかはわかりませんし、そこが最優先でしょうか。 騎士団についてはいっそ殴りに行ってもらうとして、保護を優先する側と攻勢に出る側、でしょうか

  4. No.4

    フクシアと申します、よろしくお願い致します。 保護と攻撃で分担を行いますか? 豆はぶつける、撒くなどで抑えられるかもしれませんし、ネーヴェ様やリサ様の案も良いと思います。 光源については私はまだ暗視が手持ちにありませんので、明かりは持ちたいと考えております。

  5. ネーヴェ・グラヌローザ

    無事に成立して何よりに御座います。改めて皆様方、どうぞ宜しくお願い致します。 リサ様の仰る、逃げ道を塞ぐように撒くのは事前に行えるなら行っておきたいですかね。 周辺に豆を撒いた後、最後に塞ぐ形にするのが良さそうでしょうか。 グールはまとめて魔法攻撃で殲滅を狙いたく、杖装備でメテオライトを撃ち込めればと考えております。 地下室に入られないように、保護最優先の方は1名くらいいらっしゃっても宜しいかなとは思いますかね。 シェリー様も可能であれば護衛に回って頂いた方が宜しいかと存じますが、いかがでしょうか。

  6. リサ・ベイカー

    〉護衛 そうですね… では、わたしが護りに残りましょうか? シェリーさんも、護りに残って貰いつつ、状況次第で動く感じで

  7. キーゼ

    楽できそうなので僕が、と思いましたが。 では、リサ氏にお願い致しますね。 コチラは多少攻撃寄りに組み替えておきましょうか

  8. No.8

    リサ様が護りに回ってくださるのでしたら、私も攻撃寄りで考えていきますわね。 まだ使えるスキルも余り多くないので、魔矢などで距離を取りながら補助に回れればと考えております。

  9. リサ・ベイカー

    基本的には、住民は地下室に退避してもらって、そこを、シェリーさんと護ります。 皆さんの戦闘状況を出来る限り確認しつつ、 状況次第で、敵を逃さないように挟撃する動きに移りますね。 シェリーさんを護衛に残して。

  10. No.10

    サイラスだ、ギリギリだけどこの時間くらい待てば流石に枠足りないとかないよなと とりあえず前に出つつ攻撃してこかと

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0