【鍛道】歪む鋒の轍【求和】
崎田航輝
コメント 12
シナリオID:1768
オープニング
鍛冶師ダックル・エンビエントがそう言って軽く手を挙げ、冒険者達を迎える。
そこは――工房ではなかった。
木造りの部屋が、地下空間である事を感じさせない……ドワーフ王国の冒険者ギルド。その一室を取って、職員の一人も同席していた。
「俺一人で話すような事件じゃ、なくなってるって事だからな」
「こちらとしても、別件の依頼との関連が見られた事もあり――改めて、ギルドを通しての依頼としてお話させて頂くことにしました」
職員はそう言って、資料を用意する。
それを見ながらダックルは少しだけ、気持ちを落ち込ませているようだった。
●依頼
「……っと、悪いな。しみったれた顔で」
冒険者の視線に気付いたか、ダックルはそう言葉を零す。
それは他でもない、前回の調査結果を聞いていたからでもあろう。
ウィップ廃坑の奥にある、武器制作・輸出組織。そこに嘗ての弟子ソルスが深く関係している――その事を、まだ受け入れきれていないのだろう。
ただ、それゆえダックルの言葉には力がこもる。
「ソルスが後ろ暗い事に手を出してるんなら……その真実をちゃんと知りてえ」
如何な思いで武器と、鍛冶と向き合っているのか。
自分が愚かにも知らなかった事を全て知りたい、と。
それから職員の青年が言葉を続ける。
「依頼させて頂くのはウィップ廃坑の東、組織が根城にしていると思われるその場所の詳細な調査と――輸出現場確認の為の、尾行です」
曰く、前回の調査結果からすればソルスはウィップ廃坑にいない可能性があるという。
前回接触した組織の男によれば、ソルスは“忙しく”、“用心深い”。組織の中心で武器を作る役割を持っているなら、それは事実だろう、と。
「そして、組織は国外にまで網を広げています。つまり、ソルス氏も国外にいる可能性があり……組織を直ちに壊滅させてしまうと、行方を追えなくなるおそれがあるのです」
そこで今回は、隠密と情報収集を中心にした作戦になるでしょうと青年は言った。
「まずは組織内の潜入調査です」
如何な規模の組織なのか、ソルスがどういう立ち位置なのか。保管されている文書なども含め、実態把握が目的となる。
「ウィップ廃坑は、入り口に近い場所は人通りも多いようですが……深夜など、人が少なくなる時間もあるはずです」
地形の凹凸も激しいので、隠れながら東の奥へ潜入する事も出来るだろう。
また、前回武器を注文しているので、それを受け取りたいという体で接触する事も可能だろう。
「ただ、この方法ではあくまで客として潜入するので……奥までは見られないでしょう」
そこから調査を進めるなら、案内者などを無力化する必要もある為、事を荒立ててしまう可能性もある。
作戦に応じて潜入法を考えて下さい、と言った。
「そして、調査をしつつ……武器を運び出す動きがあれば、尾行をして下さい」
組織実態の把握の為には、実際の武器輸出の様子と、売る相手を確認しておければなお良いという。
おそらくは、組織の居場所から地上に続く道が別にあるはずだ。
武器は馬車などで運ばれるはずなので、見つけ出すのは難しい事ではないだろう。その後を追って、輸出の様子を一部始終確認してほしいと言った。
「ただ、尾行は長期の行軍となる可能性があります」
というのも、それが先の“別件”の話と繋がるという。
「都市同盟にエルムポートと言う街があるのですが、そこで追っている事件にこの組織が絡んでいる可能性があるのです」
曰く、ゴールディのターブという街にいる、“商会”という犯罪組織に……この武器輸出組織が出入りしているかも知れないというのだ。
「仮に輸出先がターブなら、尾行は一日や二日では済まないでしょう」
ウィップ廃坑がドワーフ王国の南方にあるとはいえ、ゴールディは遠い。野営もするだろうし、同盟での物資補給なども念頭に置いて動く必要があるでしょうと言った。
「情報によれば、ターブは“商会”のもの……つまり街全土が犯罪組織の手の内にあるようです。輸出先がターブだと判れば、その時点で黒と判断して離脱して構いません」
可能であれば、冒険者と気づかれぬように武器受け渡しを邪魔して……買い手の戦力を削ぐ結果を狙っても良い。
「その辺りは皆さんの判断に委ねます」
「弟子一人説得できなかったせいで、何だか大きな事になっちまってるな」
そう言うダックルには少し、後悔の色が浮かんでいた。
けれど――だから、と冒険者達に目を向ける。
「ソルスを見つけたら、説教でもしてやりてえ。そのために……その組織ってのを調べ上げてくれよ」
それがソルスを見つける事に繋がるなら、と。
ダックルは冒険者達に希望を託すように言った。
解説
マスターより
リプレイ
日が落ちると、山岳が深く翳ってゆく。
そんな時間には、中をうろつく無法者もいないのか――ウィップ廃坑の周辺にも静けさが降りていた。
「調査に集中出来そうだね」
木立の陰から廃坑の入り口を見下ろして、呟くのはヴィナス。
それに頷いて、岩場の間から歩んでくるのは――海神・江流だ。
「こっちも準備は出来たよ」
視線をやるのは廃坑の東。
そこに外側から、もう一つの出口らしいものを見つけて……その近くに、ミニビヒモーに牽かせた荷馬車を潜ませてきたのだ。
それはカイン・ステラが提案した周辺の調査による結果だ。
「これで上手くいくかは……やってみないと判らないけどな」
「ま、やってみりゃ判るって事だろ」
カインの呟きに、快活な笑みを見せるのはハヤト=ガラン=ヴォルファング。
これまで触れてきた幾つもの事件が、結びついているらしいと判ってきた所。ならばその調べを、一層進めるだけだから。
「俺は隠密していく。皆も頼むな」
言ってハヤトが廃坑の入り口に走ると――ヴィナスと江流もまた、そこに足を踏み入れる。
「……」
この先に、ソルスを示す情報があるだろうかと江流は思った。
(覆水は盆に返らないものだが――)
まだこぼれきった訳じゃない。
間に合う部分だけでも掬い取って、ダックルが師匠としての仕事をやり直せるように。
「詰めていかないとな――」
そうして口を開ける闇へと、歩み進んだ。
廃坑内部の西は、不気味な静けさに満ちている。
ただ、無人ではない。奥へ進むヴィナスと江流は――その先で、灯りを持って見回りをしているらしい男を見つけた。
腰に下げる武器から、組織の人間なのは間違いない。
ヴィナスと江流は頷き合い、そこに声をかけた。
「客か」
以前とは別の男だが、窓口役ではあるらしくそう応えてくる。
ヴィナスは肯定すると――少し逡巡してから、事情を話した。
「この前、別行動中の若手が団長に内緒で武器を頼んだらしくてね」
「団長?」
「そう、傭兵団の」
と、江流が言葉を添える。
傭兵団の商人と、それに付き添う仲介・案内役の形だ。
詳細を説明すると、男は頷いた。
「それなら話は聞いている」
「その進捗を聞きたい。ここ以外に商売の話をできる場所や連絡手段はあるかい?」
ヴィナスが言うと、男は頷いた。
そして「来い」と奥へ顎をしゃくるから――二人は真っ直ぐについて行く。
通されたのは広くはない一室だ。そこで「まだ全てが出来てはいない」と言いつつ……男は完成した数点を卓に置いてみせた。
「悪くない出来だろう」
「失礼するよ」
ヴィナスはその剣を見やる。
確かにそれは良く出来た剣だったが……ヴィナスはにやりと笑ってみせた。
「本気じゃないだろう?」
「……ああ、数を優先した結果だ。今は無理だが、少数ならもっと良い仕事が出来る」
男は引き出されたように何気なく返答したが……そこに重大な情報が含まれているのを、江流は聞き逃さない。
(やはり今、ソルスはいないか)
前回から戻っていないなら、ソルスは長い期間ここを空けている事になる。
それが何を意味するかは――この後だ。
「これで問題はないかな」
江流が隣に向くと、ヴィナスは頷いて応える。そして事を荒立てぬまま、帰還する流れになった。
「もう冬だ、冒険者に護衛された学者連中が水都に移動していて、人目につかない仕事がし難いのに依頼は多い」
互いに人の目には気をつけて動いた方がいいかもな、と。
ヴィナスが言うと、男は「ああ」と応えてこちらの背を見送る。
こちらを同類だと認識している為だろう。警戒してついて来るでもなく、そのまま部屋に戻っていった。
それを確認すると――ヴィナスと江流は素早く道の分岐点へ。そのまま別の部屋への道を進み……薄暗い空間へと辿り着いた。
同じ頃、カインは東の出口側から栗鼠のランを侵入させていた。
灯りが焚かれているとはいえ、凹凸の多い洞窟だ。ランの小さな体なら見つかるべくもない。
そうでなくとも出口側はひとけも少なく――真っ直ぐに入ってゆく事が出来た。
(さて、何があるかな)
カインは共有する視界から情報を受け取りつつ、ランを奥へ進ませてゆく。
――と。
道に合流する形で幅のある空間が伸びていて……その先の通路から明かりと音が漏れている。
(あの先が鍛冶をやってる場所か。なら――)
と、そこで少々待機させていると、車輪が土を噛む音が聞こえた。
予想したとおり、幅広の道から馬車が出てきたのだ。完成した武器を山と積んでおり――構成員らしき男達がその上に覆いをかけている。
(間違いないな)
それが判れば問題はない。
カインはそちらとは違う方向に繋がる通路に合図を出させてから……ランを引き上げさせた。
その合図を見つけてそちらに走り……馬車の近くに辿り着いたのがハヤトだ。
ハヤトは三本通路の北側から向かったヴィナス達とは別行動で、南側の通路から分岐に潜入していた。
そちら側では音が少なく、明かりも薄く――鍛冶が行われていないらしかった。
どうやら複数の部屋で交代制になっているようで、ハヤトは休憩中の場所を探り当てた形。ほぼ無人の工房をそのまま駆け抜けて、東の出口の傍でランを見つけたという訳だった。
(ったく、大仰な馬車だぜ)
無論、そこには構成員がいるので、ハヤトは岩陰に隠れつつ観察する。
馬車は大量の武器が積める荷台を備えており、一見にはどこかの富裕層が設えたかのように見えた。
(あれもカモフラージュの一部だろうな)
あのまま山を出て、街も通り……悠々と武器を輸出するのだろう。
(しっかりと、見させてもらうぜ)
ハヤトは構成員が一度奥に戻ったタイミングで、素早く馬車の傍へ。尾行しやすくする為、後部車輪と荷台の下部裏側へ香水をつけた。
後は、可能な限り工房を調べてから――物陰で馬車が出るのを待った。
ヴィナスと江流が見つけた部屋には、薄闇が降りていた。
隣の部屋が鍛冶工房にあたるらしく、大きな槌の音が響いているが――こちらはひとけが少ない。
鍛冶以外の雑務を行う部屋で……現在は多くの構成員が鍛冶仕事に回っている為、こちらに待機している人間がいないという状況だろう。
(とはいえ、無人でもないか)
ヴィナスは奥に人影を見つけて、江流に視線を送る。
江流は頷いて、壁歩き。凹凸に隠れつつ天井付近に登り、構成員の動きを見ながらヴィナスに合図を出した。
ヴィナスはそれに従い、人のいない棚を見てゆく。
幸いなのは、鍛冶の音が漏れてくる為に雑音を立てても問題ない事だろう。速度を優先し、ヴィナスはそこから書類を幾らか抜き出した。
(地図、か。やっぱりあったな)
それは幾つもの線が引かれた地図。
組織側も警戒心はあるのか、内容を明言するような記述は無かったが――ターブにも線は延びている。
(輸送ルートと見ていいな)
それから江流も別の収納を見つけていて……今度はヴィナスと役割を交代する形で調査。
廃坑の見取り図、組織の構成が読み取れる資料など、幾つか有用なものを見つけながら――
(……これは)
はっとして、江流は別の一枚に目を通す。
それは暗号も交じっているが――どうやら日程と、取引場所、そして武器の内訳らしきものが書かれた明細のようだ。
直近でも一件、輸出の予定がある事が判り――
(これがターブだと確定したら、そこから暗号もすぐに解ける)
暗号自体は単純で、時間をかければヒントが無くても解けるだろうが……答えがすぐに判るならそれに越した事はない。
それから有用と思われる書類を、更に入手。工房の方で休憩の動きが出たらしいと見ると、二人は深追いせずに脱出した。
●追跡
男達が馬車に乗り、馬を駆る。
ウィップ廃坑東側の出口から、武器の輸送が始まろうとしていた。
(ようやくか)
それを微動だにせずに見守っていたハヤトは――馬車が外に出ると、近づきすぎない距離を保って尾行する。
程なく、そこへカインも合流。ハヤトと頷き合い、長い行軍を始めた。
「……夜に乗じてドワーフ王国から離れる算段だな」
「ああ。日が昇る頃にはもうここからは離れていて、足もつかねえ」
そうやって他所とのやり取りを続けてるんだろうな、と。ハヤトは小声で言いながら、山道を進んでゆく。
暫くは、山岳の只中を南下してゆく形だ。
馬車の速度は緩く、尾行はしやすい。それでも視界が悪い分、気を抜かず――カインは後続の二人の為に木の枝と矢で印も残していった。
「向こうも悠長な旅をするつもりはないはずだからな」
実際、それは地形が緩やかになる頃に顕著になった。
野原に近い環境では、馬車はぎりぎりまで速度を出す。木立のある場所にも入ってゆくので、時折姿を見失いそうになる事もあった。
それでも――
「大丈夫だ。まだ匂いは残ってる」
ハヤトが香水を嗅覚で辿り、位置はしかと把握している。
そして、少しの時間が経つ頃には――
「来てくれたぞ」
カインが後ろを見やる。
そこにヴィナスと江流が乗る、馬車がやってきていた。
馬車は目立ちはするが、隠れ蓑にもなってくれる。だけでなく、休息を完全な野営に頼らずに済む事がありがたい存在だ。
昇った日が傾き、暗くなる頃には――組織の馬車が休息を取り始める。それを確認して、ハヤトとカインも後ろの馬車に合流した。
「向こうの方は?」
「問題ねえ。灯りを焚いて休んでる」
江流の言葉にハヤトが前方を示すと……木々に囲まれた場所から、焚き火の光が零れてくるのが見える。
それを確認したヴィナスは、すぐに幌の中に戻る。
「こっちは目立たないようにしよう」
「そうだな」
カインも頷く。
火は使わず、静まって休むという事だ。
温かい食事も、安心も、安全もない仮初の休息だが……それでも皆は交代で見張りをしてしかと睡眠を取る。
この先で街に寄れる機会もある――皆それを判っているから。
それは尾行が同盟近郊に入った、ある昼下がり。
組織の馬車が休憩を取ったその機に乗じて……カインがランをそこへ走らせていた。
(頼むな)
と、カインの意を汲んでランが向かうのは――馬の餌。
構成員が目を離している隙に、その桶を横たわらせて……餌を地面の土や石、草とごちゃまぜにする。
そうして離脱させると――その内に構成員達が騒ぎ出した。
与える筈の餌が用を成さなくなっているのだから当然だ。馬が蹴ったのか、何かの衝撃で倒れたのか、暫し言い合いになっていたが――
「お、奴ら馬車に乗ったぞ」
「だろうな。何にせよ、餌は調達しなくちゃならないんだ」
ハヤトにカインはそう言った。
それは即ち街に寄らなくてはいけないという事だ。そしてここから一番近い街は――
「エルムポートって訳だね」
江流の言葉にカインが頷くと、ヴィナスも程なく馬車を駆り、組織を追い始めた。
予想通り、組織の馬車はエルムポートへ入ってゆく。
それを確認して、こちらも街に入ってゆくと――
「お待ちしてました」
言って迎えてくれたのが、街の商会の長――モクトル・モハ。ギルドを介して話は通っており、協力体制が出来ていると述べてくれた。
ヴィナスは礼を言って、馬車を示す。
「まだ長い行軍になる。物資を補充できれば嬉しい」
「判りました。水と食糧を十分に積ませましょう。ミニビヒモーに疲労が蓄積しないよう、馬も用意します」
「悪いな」
ハヤトがそう返していると、カインはもう一つ、モクトルへ頼んだ。
「念の為だ。商人達の間に噂を流してくれないか。奴らの耳に届くように」
それは“冒険者が随分慌ただしい”、という噂だ。
魔獣騒ぎが起こり、多くの冒険者が出払っていて――『何かがあったら怖い』と人々が憂いている、そんな状況を組織構成員に伝える為のもの。
「すぐに、手配します」
モクトルの言葉通り、作り上げた噂はすぐに商人達の間で話されるようになり……飼料や物資を補給する組織の馬車にも伝わった。
その為でもあろう、構成員達は、自分達にとっては逆に安心できる状況だと判断したか――急いで街を出ず、街で一泊すると決めたようだった。
「これで俺達も、少しは英気を養えるな」
江流の言葉に皆は頷き……冒険者達も、その日は宿で疲れた体を癒やした。
そうして翌日。
組織の馬車が街を発つと、冒険者達も尾行を続けた。
行軍はここからが本番。だが十分な物資を携えた一行は、見張りも休息も、そして追跡も余裕を持ってこなし……同盟を越え、ゴールディへ。
そこから広がる森林を暫く進んだ後――
「少しずつ開けて来たな」
カインが周囲を確認する。
自然地帯で、かなり急峻な場所も多いが……先刻より確かに、人の踏み均した跡が見えるようになっていた。
江流が一度、注意深く木に登って見渡してみると――
「間違いなかったみたいだね」
前方の遠くに、山中にぽっかりと出来た人里の姿が見えた。
そこは紛う事なき、ターブの街。
冒険者達は馬車から降り、木々に隠れながら追跡。組織の馬車が確かにターブに入るのを確認した。
だけでなく――
「武器の受け渡しもしてるな」
街そのものの警戒が強いのか、入り口の直ぐ側で取引がされている。
ターブが商売相手であった何よりの証拠だ。
現場の襲撃も出来そうだが――ただ、ここで事を構えるとターブの内部にもこちらの存在が露見する可能性があった。
「今回は、深入りは避けるか」
ハヤトが言うと皆は頷き、後退。馬車に戻って帰還を始める。
それでも、収穫は十分にあった。
ヴィナスは手に入れた地図を見せる。
「ターブが確認出来た事でより確かになったよ。これは輸送ルートを纏めたものだ」
これで組織の行動範囲が把握できる。
江流も暗号の書かれた明細を出した。
「日付と場所から、暗号のこの部分がターブだって事が判る。後は難しくない」
そしてそこから判明する事もある。
「今、組織は南ソームダリアという場所に“最上級”の品を納品中みたいだ」
予定でもなく、納品済みでもないという事は……おそらく作業中なのだろう。
そして最上級の品を作れるのは――
「ソルスだけか」
カインの言葉に、ヴィナスも頷く。
「資料から、ソルスが組織のトップだと判った」
ソルスが間違いなく、組織で最高の品を作れる鍛冶師なのだ。
「作業中で、廃坑にいないって事は……納品先にいるのかもな」
ハヤトはそう呟いた。
即ち、現地でクライアントの武器を作っている。
それが事実だとしたら。
「ソルスの居場所は、南ソームダリア。地図上の場所は……王国西方、伯爵領レッドラントの中だ」
ヴィナスは言った。
ソルスを追うなら、何らかの形で踏み込まねばならないだろう。
「その為にも――今は、帰ろうか」
休息を取る必要もある。
だからまずは、エルムポートに寄って風呂に入ろう、と。そのヴィナスの言葉に皆も頷き――馬車を走らせた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人
2021年12月31日 10時17分18秒 公開
相談掲示板
シーフの海神江流だよ。今回は宜しくね。 目的が2つ。 武器輸出組織の根城への潜入調査と武器輸出を尾行して取引先を特定すること。 俺とヴィナスさんは前回、闇市に客を装って潜入してるから、商品を受け取りに来た。 って手法が使えそうだけど… 尾行の方がハードル高い感じがするね。 取引の行程が1日2日で済まないであろう、ってあたりで、そんな長距離を相手に気づかれずに尾行を続けるってのが、かなり厳しい。 食事や睡眠を含めた休息も考えると、1人で賄える感じじゃなさそうだから、参加者の状況によっては、潜入調査からそのまま引っ張らないと手が足りないかもしれないね。 ショートスリーパーや飲食不要、ピュアウォーターとか役に立ちそうには思ったけど、スキルに頼りきりにならない行程でいけるといいんだけどね。
江流に続いて…シーフのヴィナス、よろしくね。 尾行は時間が経つにつれて難易度が上がると思うからなぁ。 運び先と買い手を確認っていうのが大事だからね。 車輪に細工して、近隣の拠点に立ち寄らせるくらいしか思いつかなかった。もうちょっと考えてみる。 【暗輸】でもまとめたもの、連続で申し訳ないけど次から投下するね。 全部のものをざっくり、なので、作戦に関係ない箇所もあるけど、2つのシナリオの参加者が全て一致するわけではないので、そこはごめんってことで。
【澹世】 ゴールディにある街、ドネルズにあるジーモンファミリーのボスからの依頼が事の発端。 小競り合いより金稼ぎを重視していたこともあり、治安は良い部類。 ファミリーの金の盗難を追った結果、新興のエンゾファミリーが関与している情報を掴む。 が、エンゾファミリーは実在せず、ジーモンの旧友にしてウォーグスファミリーのボスによるものだった。 ウォーグスは既にドネルズを下っ端共々切り捨て、『商会』が取り仕切るターブへ。 が、『商会』は腰掛なのか、『商会』とも繋がりがある別の勢力の下に降った模様。 落とし前をつける為に乗り込んだ先、ターブに争いが起こっており、これより、ターブへ潜入、ウォーグスファミリーの拠点を見つけ、ウォーグス本人の情報を掴む。 メモ 国外脱出の可能性があることから、別の勢力は他国の可能性が高い。
【暗輸】 同盟の商業都市エルムポートの商人モクトルより金品盗難、何らかの手段で盗難品を入手した富豪の失踪の裏にあると思われる闇市、闇オークションの足跡を追う依頼が出された。 調査の結果、山岳地帯に拠点を見つけ、日を改め、潜入調査と闇市の壊滅へ動く。 無事に闇市は壊滅したが、モクトルの懸念通りトカゲの尻尾に過ぎず、大元は別に存在した。 闇市の責任者ライメルは、『商会』の構成員であり、ターブより来たという。 『商会』はターブを購入することで支配者となっており、部外者を排除する態勢となっている。そうして構成した小集団を各地へ派遣して金を稼いでいる。 集めた金の使用用途は不明。 これより、ターブにある商会打倒に向かう。 PL情報 商会トップはビレゴーというゴブリン。 助言と根回しする存在がおり、そのお陰で商会のトップになれた。 が、その存在に不気味なものを感じており、手を切るタイミングを考えている模様。 メモ 【鍛道】に関連する武器輸出シンジケートも『商会』に関与している可能性は出たものの、確定していない。 ※【澹世】【暗輸】の三話の時系列は同じ。が、同時進行ではない為どちらの依頼に参加しても問題ない。
【鍛道】 ドワーフ王国のネルコット鉱山区に工房を構える鍛冶職人のドワーフ、ダックル・エンビエントより行方不明の弟子の捜索を依頼される。 失踪した弟子、ソルスの目撃情報があったウィップ廃坑にはならずものが方々にいるという。 商談を装って潜入した結果、警戒心の強い鍛冶職人に表に出せない武器を依頼できる窓口を確認。大量生産は質が落ちると返答があり、ソルス以外にも鍛冶職人がいる模様。 信頼できる相手なら国外への輸出も請け負っており、大量輸送手段を持っていること=武器輸出シンジゲートを示唆している。 【暗輸】で追っているターブの『商会』にも出入りしている可能性があり、これより尾行し、彼らの黒を確認する。 ソルス 才能だけならダックルを上回るが、心根はダックルと異なり、あらゆる要素での高みを目指していた為意見が合うことはなかった。 技術を教え込んだと思った矢先の失踪につき、用なしと判断した可能性もある。 過去は問わないというダックルの考えもあり、ソルスの出自は不明。 ダックルの目を盗んで知人に自作の武器を譲渡していた、危うい所がある、とはダックルの言葉。 現在ドワーフ王国外にいるだろう(職員談) メモ1 ソルスとソルス以外の鍛冶職人の間柄(上下関係の有無等)は不明。 また、ソルスの立ち位置がどの組織(『商会』の派遣している組織なのか別の勢力なのか)のどの立場にあるのかも不明。 武器を譲渡していた知人に関する詳細不明。本人登場と断言できる描写なし。 メモ2 【暗輸】第二話で登場した闇市の戦闘員の武器は普通のものだった。 闇市が末端であるという意味なのか、他に卸す客がいるのかは不明。
【泳冥】 王国の伯爵、ヒゼンベルク・メルベより寄り子の領地同士での紛争調査を依頼される。 双方の領地を訪れた結果、伯爵の父親、弟によって解決したようだが、領民だけでなく寄り子らへの箝口令があり、痕跡からも第三者の関与がある、内部事情に詳しい者でないと難しい点より、伯爵を陥れる陰謀の可能性が濃厚となる。 実行犯の潜伏場所は伯爵の弟が管轄している、寄り子のレクト男爵領。 男爵は部下の手を借りて何とか実務をこなしている程の病を得ていると主張し、厳戒態勢を敷いている中潜入すると、男爵は病を得ておらず、何らかの指示で動いているようだということ、クロックワードが出入りしていることの他、とある紋章を携えた、恐るべき気配を持った剣士を察知する。 メモ 寄り子の多くが巻き込まれており、単純な伯爵交代劇ではない、もっと大きな陰謀が示唆されている。 ソームダリアという地名が出ているが単語のみにつき詳細不明。
【誇剣】 王国の男爵ハンツ・レンドルより領付近に継続的に出現するバルバロイの討伐と周辺調査を依頼される。 バルバロイ討伐の結果、物資を寄越すといった支援する存在からの情報でやってきていた情報を得る。 周辺を更に調査すると、『少数の、力量差のある相手に一方的にやられ』、『とても質の高い武器で斬られた』という恐怖の残留思念を残したバルバロイの死体を複数発見。 更に精緻な細工がされた紋章を入手。調べた結果、二十年ほど前に卓越した戦力で隆盛した領が所持していた碧闘剣士団由来のもので、増長した剣士団は領主が辛抱強く解体に向けて動き、数年前にやっと消滅していた。 だが、レッドラント周辺に身を寄せているという情報があり、更に西側の寄り子領地でバルバロイが姿を見せた。 メルべ家は沈黙を守っているが、逆に好機で、賊の手引きを行っている者と紋章の剣士が同一であるのか…男爵の調査依頼を請け、砂漠へ向かった。 メモ1 遺体は試し切りなのか、確認するかのように角度を変えて刻まれてあった。 メモ2 寄り子は寄り親の許しなく大きな動きは(本来)できない。 何か問題が起きていると男爵は判断している。 共通点『商会』『ターブ』 【澹世】【暗輸】【鍛道】 共通点『殺傷力が高い武器』『試し切り(探求心)』 【鍛道】【誇剣】 共通点『メルべ家』『紋章の剣士』 【誇剣】【泳冥】 ※『商会』の資金提供先によっては【泳冥】【誇剣】との関連が発生。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! ヴィナスは解りやすいまとめありがとな! 無茶苦茶助かるぜ♪ 潜入調査の方は江流とヴィナスに任せるとして、尾行がメインになる感じだもんな… しっかり準備しつつ気付かれねぇ距離を保っての尾行が必要そーだな。 俺の鼻(超嗅覚)とカインのペット使えば追跡尾行は問題ねーと思うが、目的地に着いてからをどう立ち回るかが重要そうだな…
カイン・ステラ。よろしくな。 潜入は2人に任せて、尾行に関連する動きをしようと思ってる。 馬車を使うみたいなんで、2人が商談している間に馬車に細工とまではいかなくとも中は確認しておいた方がいいかな。 流石にそのまま潜ませるのは距離を取られた時にリンクが外れると危ないんでしないが…。 隠密性の高さなら栗鼠、機動力とある程度の自衛なら大鼬かなと思ってる。 あと馬車を使う分轍が残ると思うんで多少の距離を取れるといいんだけど。 >目的地の動き 強襲して取引失敗かぁ。 運び出すのも取引する武器の種類や数にもよるよな。 偽の指示や情報を出して馬車から引き離して誰もいない間に馬車まるごとかっぱらうとか……?
追跡に関してなんだけど、潜入先で素性をバラすつもりはないのだから、そっちが終わり次第、荷馬車使って追跡組を後追いで追いかけようかと思うんだけど、どうかな。 カインさんが言うように轍が残るなら出発地点で間違えなければ離れててもちゃんと追跡できると思う。 水や食料をこっちで荷馬車で確保して、必要に応じて追跡ルートの途中で待っててもらえれば追いつき次第休息が取れると思う。 それに合わせて1人、先行組を追いかけていけばある程度長期の追跡、移動にも対応できないかと思うんだけど。 >潜入 内部に入り込むのはやっぱハイディングとか壁歩き使って踏み込んじまうのが楽かねぇ 商品の受け取りを取っ掛かりにして中に入るところまではいいとして、だけど。
>馬車追跡 ハヤトとカインが先行するの前提でありと思う。 荷馬車なら休憩の拠点になるし。物資を乗せて交替制で休めば対応可能だと思う。 >潜入 その辺りかなぁ。馬車が長距離移動に耐えられるものであるかどうかはカインのペットに調べてもらった方が安全じゃないかって思うけど、内部そのものは商品の受け取りや商談をとっかかりにした方が良さそう。 地図だったり指示書があるといいんだけどね。
【誇剣】二話判明情報 ・紋章の剣士達は碧闘剣士団と断定。業物の剣を所持。 ・憂う必要がない程の金の流れは辿れないようになっているが、レッドラントの貴族が背後にいる。 ・バルバロイを招き入れているのは、自分達の腕が鈍らないよう斬る為のもの。彼らが待ち望んでいるであろう『来るべき戦い』に備えている。 ・拠点はソームダリア。クロックワードもそこにいると思われる。 メモ 剣士団の復活を働きかけた存在の可能性が考えられる。 辿れない資金源の示唆よりレッドラントの貴族とは別の協力者の可能性も高い。 剣士団の武器に【鍛道】に名前が出ているソルスの関与濃厚。 先ほど公開されてたから纏めてみたよ。 高い、濃厚とは言ってるけど断定はされてないので、そこだけ注意してほしいな。