【聖祭】夜景を眺めながら~礼拝前の修羅場編~
眞石ユキヒロ
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シナリオID:1680
オープニング
●お腐……オフの日の思いつき
水上都市アキュアリスタの波止場にしゃがみ、眩しすぎる西日を浴びながら、辺境都市群のギルド職員、ライリーベルは激しく後悔していた。
(アホだ、あたしは……)
亜人の逆ハーレム討伐が上手くいったことに気を良くして、あれもこれもと引き受けた自分が悪いことは理解している。
友人たちのドゥジンシのシナリオ原案五本、合同ドゥジンシへの参加三本、計八本。考えるべきこと、書くべきことはいっぱいある。だというのに。
(なんで……なんにも浮かばないんだよっ!!)
調子よく引き受けてしまった手前、今更「無理」と言うわけにもいかず、ネタを求めてあちこちをうろついていた。最後にたどり着いたのがこの場所。
少し前までは輸送前の岩が転がりマーマンがのさばっていたこの波止場も、冒険者たちのおかげで今ではテラリウムのランタンを使用した石のオブジェで飾り付けられ、立派なデートスポットに変身している。
(冒険者さんたち、みんなかっこよかったよな……羨ましい。あたしも授恵者だったら……。違う、今考えるべきことはそれじゃない!)
あと数分もすれば夜が訪れ、この場所にも夕食を済ませたカップルが集まってくるだろう。オブジェの影に隠れてカップルを観察することで少しでもネタを集めようと考えてここに潜んでみたのだ。けれど。
(そんな理由でカップルを覗きって、ちょっと、人としてヤバい気がするんだよな……)
時間が経てば経つほど、何もしていないのに罪悪感が増量する不思議。罪人気分のライリーに北風が強く吹き付けた。
「へぷしっ!」
(まだ何にもやってないのに罰された気分だよ……)
波止場でのネタ集めは諦めて、居住区の方に歩いて行く。居住区を抜ければ飲食店が建ち並ぶ通りに出る。
(頭を働かせるには糖質が必要だし、まずはご飯だご飯! 糖質一杯採れそうな店は……)
無数に並ぶ飲食店の看板を見上げる。なるべくあたしに無関心でうるさい店が良い。ネタになりそうなことが聞こえればもっと良い。
「っと! ごめんなさい!」
店の前に置かれたメニュー表に見入っていたら、誰かとぶつかってしまった。こういう時にとっさに謝罪の言葉が出るのは職業柄だ。そして、ぶつかった誰かが冒険者であるとわかったのも職業柄だった。
「あっ! いつもお世話になっております! 私、辺境都市群のギルド職員、ライリー・ベルです!」
続けざまに頭を下げて、職業柄の挨拶をする。向こうもライリーを覚えていたらしく、会話は和やかなままに終了した。
(冒険者さんたちって何だかんだで良い人が多いし、ちゃんと報酬を出せばドゥジンシのネタ出しを手伝ってくれる人、いるかもしれないよな……)
そうと決まればなるべく食費を浮かせたい。ライリーは飲食店に入らず、節約用のかさ増し料理のことを考えながら帰宅した。
●そして、実行
「それで、よろしければ私からの個人的な依頼、というか夜のお茶会? にも参加していただけると嬉しいのですが……」
もちろん頼む相手は選んでいる。すでに同士と判明している方、言動がドゥジン信徒っぽい方、ドゥジン信徒とは言い切れないが高い素質を感じる方、創作活動に興味をもって手伝ってくれそうな方。
「報酬もわずかですが出ますというか出します! どうしても、どうしてもお力を借りたいんです! ……ネタ出しの」
何の、とは言わない。けれどそれだけ言えば解る者には解る。そして素敵な景色でもう一押しする。
「波止場にテラリウムのランタンのオブジェ設置されてるじゃないですか。アレが綺麗に見えるいいお店を、もう取ってあるんですよ。実は」
最後にダメ押し。
「二杯までなら奢りますので、このとおり!!」
パンッと顔の前で両手を合わせて、目を閉じて頭を下げる。数秒後、ゆっくりと顔を上げて目を開いたライリーの前にいる冒険者の表情は――。
水上都市アキュアリスタの波止場にしゃがみ、眩しすぎる西日を浴びながら、辺境都市群のギルド職員、ライリーベルは激しく後悔していた。
(アホだ、あたしは……)
亜人の逆ハーレム討伐が上手くいったことに気を良くして、あれもこれもと引き受けた自分が悪いことは理解している。
友人たちのドゥジンシのシナリオ原案五本、合同ドゥジンシへの参加三本、計八本。考えるべきこと、書くべきことはいっぱいある。だというのに。
(なんで……なんにも浮かばないんだよっ!!)
調子よく引き受けてしまった手前、今更「無理」と言うわけにもいかず、ネタを求めてあちこちをうろついていた。最後にたどり着いたのがこの場所。
少し前までは輸送前の岩が転がりマーマンがのさばっていたこの波止場も、冒険者たちのおかげで今ではテラリウムのランタンを使用した石のオブジェで飾り付けられ、立派なデートスポットに変身している。
(冒険者さんたち、みんなかっこよかったよな……羨ましい。あたしも授恵者だったら……。違う、今考えるべきことはそれじゃない!)
あと数分もすれば夜が訪れ、この場所にも夕食を済ませたカップルが集まってくるだろう。オブジェの影に隠れてカップルを観察することで少しでもネタを集めようと考えてここに潜んでみたのだ。けれど。
(そんな理由でカップルを覗きって、ちょっと、人としてヤバい気がするんだよな……)
時間が経てば経つほど、何もしていないのに罪悪感が増量する不思議。罪人気分のライリーに北風が強く吹き付けた。
「へぷしっ!」
(まだ何にもやってないのに罰された気分だよ……)
波止場でのネタ集めは諦めて、居住区の方に歩いて行く。居住区を抜ければ飲食店が建ち並ぶ通りに出る。
(頭を働かせるには糖質が必要だし、まずはご飯だご飯! 糖質一杯採れそうな店は……)
無数に並ぶ飲食店の看板を見上げる。なるべくあたしに無関心でうるさい店が良い。ネタになりそうなことが聞こえればもっと良い。
「っと! ごめんなさい!」
店の前に置かれたメニュー表に見入っていたら、誰かとぶつかってしまった。こういう時にとっさに謝罪の言葉が出るのは職業柄だ。そして、ぶつかった誰かが冒険者であるとわかったのも職業柄だった。
「あっ! いつもお世話になっております! 私、辺境都市群のギルド職員、ライリー・ベルです!」
続けざまに頭を下げて、職業柄の挨拶をする。向こうもライリーを覚えていたらしく、会話は和やかなままに終了した。
(冒険者さんたちって何だかんだで良い人が多いし、ちゃんと報酬を出せばドゥジンシのネタ出しを手伝ってくれる人、いるかもしれないよな……)
そうと決まればなるべく食費を浮かせたい。ライリーは飲食店に入らず、節約用のかさ増し料理のことを考えながら帰宅した。
●そして、実行
「それで、よろしければ私からの個人的な依頼、というか夜のお茶会? にも参加していただけると嬉しいのですが……」
もちろん頼む相手は選んでいる。すでに同士と判明している方、言動がドゥジン信徒っぽい方、ドゥジン信徒とは言い切れないが高い素質を感じる方、創作活動に興味をもって手伝ってくれそうな方。
「報酬もわずかですが出ますというか出します! どうしても、どうしてもお力を借りたいんです! ……ネタ出しの」
何の、とは言わない。けれどそれだけ言えば解る者には解る。そして素敵な景色でもう一押しする。
「波止場にテラリウムのランタンのオブジェ設置されてるじゃないですか。アレが綺麗に見えるいいお店を、もう取ってあるんですよ。実は」
最後にダメ押し。
「二杯までなら奢りますので、このとおり!!」
パンッと顔の前で両手を合わせて、目を閉じて頭を下げる。数秒後、ゆっくりと顔を上げて目を開いたライリーの前にいる冒険者の表情は――。
解説
●目標
楽しく萌え語りや恋愛語りやイチャイチャごっこをしましょう!
●NPC
・ライリー・ベル
辺境都市群のギルド職員で、敬虔なドゥジン信徒。亜人や魔獣のハーレム以外のすべてのLを許容する。
亜人ハーレムの討伐が上手くいったことで調子に乗り、友人たちのドゥジンシの原案を引き受け、合同ドゥジンシへの複数参加などを行った直後にスランプに陥る。
助けてくださる心優しい冒険者さんへの報酬は、当然彼女の懐から出る。
リプレイ中は水を飲みながらひたすらメモを取っているため空気になります。喋るとしても最初と最後にちょっとくらいです。
話題に対してライリーのリアクションが欲しい場合はプレイングにその旨ご記載ください。
●状況
・すること
萌え語り、カプ語り、恋愛語りなどドゥジンシのネタになる会話と食事。イチャつく演技なども可です。
カップリングはNL、BL、GLすべて大丈夫です。
飲んだり食べたりしながらそういった話題で冒険者さんたちが盛り上がっていれば、ライリーも自然とスランプを抜け出せるでしょう。
・お店
水上都市アキュアリスタの高台にある、穴場的なお店。おかげで貸し切り状態です。
壁の一面がガラス張りになっており、アキュアリスタの美しい夜景を一望できます。OPの最初にライリーが潜んでいた波止場も見えます。
ガラス張りの壁の近くのテーブルは三日月の形で、テラリウムのランタンと紋様が輝く遺跡の夜景が見える円の外側に8名、ランタンと植物で飾り付けられた店内を見渡せる円の内側に2名着席可能です。
ライリーは冒険者さんたちを見ることができる隣のテーブルに1人で座ります。
・メニュー
ミートソーススパゲティ
ペペロンチーノ
ボンゴレ
野菜のサンドイッチ
ワイン
エール
百合茶
紅茶(ダージリン/アールグレイ)
自家製ハーブティ(カモミール/レモングラス)
ジュース(オレンジ/リンゴ/ブドウ/グレープフルーツ)
ミルク
水(無料)
飲み物は2杯までならライリーが奢ります。ライリーの奢りを断る、水だけ飲むのもOKです。
ライリーからの奢りを断っても報酬に影響は一切出ません。ご安心ください。
マスターより
冒険者の皆さん、メリーユールフェス! 眞石ユキヒロです。
OPにお目通しいただきありがとうございます!
今回はライリーからの依頼……というよりお願い、あるいは親睦会でしょうかね。
ですが報酬はキッチリ出ます。ライリーの懐から!
ライリーの太っ腹具合に涙が出ますよ。そうさせたのは私ですが。
ライリーのドゥジン的な危機ではありますが、なんか楽しそうくらいのお気持ちでお気軽にご参加ください。
女性も男性も、みんな楽しく修羅場しましょう!
質問があれば冒頭に【質問】と書いて相談卓に投稿すればライリーが答えられる範囲で答えます。
リプレイ
●
住民、冒険者、観光客などで賑わう夜のアキュアリスタ外縁部は遺跡の紋様の輝きと、テラリウムのランタンのイルミネーションで輝いていた。
その景色に今回の依頼主、あるいは主催のライリー・ベルが指定した店へ向かうシルエットが二つ。
「水上都市アキュアリスタ、風光明媚なよいところですね」
東方風の衣装を纏った小柄なヒューマン、東雲・更紗が瞳を輝かせ、初めて目にするモノを見回していた。
「ところで更紗さんよ、あまりキョロキョロするとおのぼりさんに見えるぞ? いや、そのものには違いないんだが……迷子になってもしらんぞ」
更紗の隣を歩く巨体の偉丈夫、ヒューマンのブレイドは更紗に気を配りながら歩いていく。
「あぁごめんなさい、つい物珍しくって……」
「うーむ、手でも引いてやったほうがいいのか……。完全に引率の先生だな、これでは」
ブレイドが控えめに苦笑する。
●
ライリーが予約した店は高台にあった。壁の一面がガラス張りになっており、アキュアリスタの夜景を一望できる。
「わあ、素敵なお店ですね!」
かわいらしい顔立ちをしたヒューマンのシェルリア・リトヴァールが店内を見渡してから上品な笑みを浮かべた。
「お招き感謝します。また大変な状態とお聞きしました…私でお役に立てると良いのですが」
穏やかな雰囲気を湛えたヒューマンのサシャ・テーリングは小首をかしげて優しく微笑んだ。
「どんな話でも良いと聞いたが間違いはないか?」
右手の義手が特徴的なエルフのカルフ・オルヴォが三日月型の大きなテーブル席に着き、ライリーに確認する。ライリーが力強く頷いた。
「ネタが出ないのは苦しいですよね、分かります。お力になれるかどうかは分かりませんけど、楽しくイロイロとお話しましょう!」
シェルリアも明るい笑顔を浮かべ、席に着く。
「飯を決めようぜ。おれは葡萄のジュースとペペロンチーノだ」
角と爪を備えたリザードマンのサイラスも、ドシリと座るとメニュー表を広げて早々と注文を決めた。
「せっかくですのでワインを……」
「……こらこら、ここはお子様らしくジュースでいいんじゃないか?」
「ダメなのですか……。それではオレンジジュースと野菜のサンドイッチをいただきますね」
「自分はエールで乾杯といくか」
更紗とブレイドも大きなテーブル席に着き注文をする。
「喰いもんは要らん、エールを1杯頼む。ライリー、代金は自分で払うからな」
「百合茶とボンゴレをいただきます」
「私はミートソーススパゲティとブドウジュースを頂きますねっ。ライリー様には一杯だけ奢ってもらいます。ご馳走様です」
カルフ、サシャ、シェルリアもそれぞれ店員へ注文を伝えた。
●
注文の品を待つ間、夜景の見える壁の近くに立ち、シェルリアがこんなことを口にした。
「せっかくの夜景が見えるシチュエーションですし、「この夜景を全て君にあげるよ」なんてのもいいですよね!」
サシャも隣に立ち「素敵ですね」と目を細めた。
「そしてその後、本当に街の全てを支配して言葉通り「街ごとプレゼント」なんてのもアリだと思うんです! その過程で悪の道に走ってしまいかつての恋人と敵対するのも美味しいと……」
サシャは大きく目を見開き、天啓を得たというような表情を見せた。
互いにシンパシーを感じ始めた二人の横で、更紗は至る所まで飾り付けられたアキュアリスタの夜景を隅々まで眺めている。
「波止場もおぶじぇでらいとあっぷされています」
「あれは子供を狙うマーメイドの縄張りがあった場所ですね。……誘拐された美少年と亜人の×◎※系ではインパクト弱でしょうか?」
サシャは充分にインパクトの強い発言を繰り出した。
「それとは別にレイウェスト様とエフレム様は鉄板! 手に取っていただきやすいですよね」
サシャのドゥジン魂に、シェルリアもさらにドゥジン魂をヒートアップさせる。
「やっぱり障害のある恋とか王道だと思うんですよ。亡国の王族の生き残りが援助者を慕うけれど私情よりも国の復興を優先しなきゃいけないとか、高貴な身分を隠した旅人が庶民を見初めるけど身分違いに苦しむとか!」
席に座って飯を待つサイラスはサシャの「あのお二方」という言葉になんとなく偉い人と敵を感じ取ったが、直後のシェルリアの発言によって強制的に思考を停止させられた。
「え、モデルなんていませんよ、ええ。これならどのLにも転用可能ですねっ!」
そう、シェルリアの言うとおりモデルなどいないのである。似たような境遇の人は、この大陸にいるかもしれないけれど。
「とても素晴らしい考えです!」
実在の人物の話は慎重にすべき、それもドゥジン信徒のマナーの一つであった。
●
「おっ、飯が来たな!」
「では……乾杯だ」
ブレイドが皆に声をかけると隣のテーブルでメモを取っていたライリーも水を持って駆けつけた。
「乾杯!」
みんなで立ち上がりグラスを合わせると、小気味よい音が響いた。
「次はワインを頼むぜ」
サイラスは葡萄のジュースを一気に飲み干し、そのままの勢いで次の飲み物を注文した。
「決戦ではお疲れさんだったな」
ブレイドは更紗に声をかけつつ、合間にエールを飲む。
「作戦自体も無事成功したらしいし、ドラゴンステーキなんてレアなシロモノにありつけて言う事なしさ」
「翼竜のドラゴンステーキのようなトクベツは冒険者でもないとなかなか…本当によい機会でした」
更紗はドラゴンステーキのトクベツな味を思い出し、笑顔を浮かべた。
「冒険者でもないと」という言葉を聞いて、カルフは隣のテーブルに戻ったライリーに水を向けた。
「ライリーには憧れは無いのか? 例えば授恵者に憧れるならそれは他の奴も同じだろう」
自分の憧れをピタリと言い当てられて、ライリーは言葉を無くした。カルフはさらに提案を続ける。
「ギルドというネタの宝庫が目前にある。記録から美味しい部分を抜き出して、ギルド嬢とウィリアム王子辺りの有名どころが事件解決する話に友情か身分差恋愛を絡めるのはどうだ? 障害のある恋愛はより感情が高まる」
さすがは永い時を生きるエルフ、理にかなったネタである。
「冒険者の話なら冒険者と鍛冶屋の恋愛話とか出してみる? 架空の話として」
上機嫌でペペロンチーノを飲み下したサイラスが、カルフの話題に新たな要素を投入した。
「その人の為に武器防具の製作方法を学んで作ってる子と、その子の為にいろんなところを旅をして素材集めたり、土産話する人の話的な。そんな感じので惚気話とか膨らませたり?」
なるほど、冒険者らしい発想だ。現実味もあって、ネタとしても申し分ない。
「まあ実話だったりしなくもないが。……いや「僕らの愛の巣を作ってください」じゃねーよ」
架空の話という前提が吹っ飛び、現実味が100%に到達した。
「……出来るし土木建築関連のも持ってるけど、製作系一通り収めてるだけで鍛冶屋だわ。俺見て家だの工房の相談始めるのやめーや」
何やら深刻そうな問題が露見したが、彼とて解決してもらうことを期待して発言したわけではなかった。
●
「それにしても、BLというじゃんるがあるのですか。ブレイドさんのような屈強な殿方があんなことやそんなことを……それはアリ! ですね」
野菜サンドを食べ終えた更紗から、突然の爆弾発言が飛び出した。かわいらしい満面の笑みまでセットでだ。
「こらそこ、変な目で人をみるんじゃない。お前さんのところでは衆道とかいうらしいが、自分はいたってノーマルだからな……?」
ブレイドは冷や汗をかきつつ弁明し、己の潔白(?)を証明しようとした。
「その手の話は貝のバケモノの触手に絡まれて汁まみれになったくらいだ」
動揺が原因か、小さな声で余計なことを言ってしまったが。
「その触手のお話をもうちょっと詳しく……!」
更紗が立ち上がり、隣に座るブレイドに詰め寄る。
「私もそのお話は気になります」
「参考として聞いてみたいです! よろしいですか?」
触手で汁まみれになった屈強な男が実在する。非常に衝撃的な事実である。
声を上げたサシャとシェルリアだけでなく、隣のテーブルのライリーの視線も当然ブレイドに集中する。
「忘れたい事故なんで詳しくは話さんからな」
その言葉に女子たちの興味はさらに膨れる。
その時、絶妙なタイミングで店員がサイラスのワインを運んできた。
「ありがとな!」
大きな声で礼を言い、サイラスがワインを受け取る。
「萌えだったら格上が相手より上だと示してからの蹂躙とか囲い出す話とか、相手を振り回す人とか? まず俺自体が勝手に動くから振り回される様子とか考えるの新鮮なのよな」
ワインを一口飲んで、ニカッと笑いながらサイラスが新しいネタを提供する。
「下剋上なら、美少年と亜人の話にも応用できますね」
新しいネタを提供されたならそれに乗るのも礼儀。サシャが小首をかしげて微笑む。
「振り回すのですか。 障害のある恋なら状況に振り回される、などもあるでしょうね」
シェルリアも明るい笑顔を浮かべてサイラスの方に視線を向けた。
ライリーも手元の羊皮紙に視線を戻す。
唯一、更紗だけはブレイドの身に起こったことへの興味が消えないままだった。
「話は変わるが、身分差のガチなら覚えがある。その方はオレの忠誠心しか見てなくてな……。だから忠誠を示す為に指令のまま動いた結果……」
カルフは更紗を見つつ、右手の義手の小指を立てた。
「当時のコレに腕を吹っ飛ばされた。腕を失くした事への後悔は未だ無……っと、空気を重くしちまったか?」
言いながら、カルフは義手に視線をやった。突然、世界の広さを知らされた更紗は言葉を無くし、自分の椅子に座った。
「他で聞いたどうしようもない恋愛だと、女好きで次々遊び歩いたエルフが本気で惚れたら実の孫ってのはエルフあるあるだぞ」
空気を変えるように、カルフが新しいネタを投入する。
「以降は孫に男が言い寄る度に「自分より落ちるのは認めん」と騒いでたが「女癖は無い分、てめーよりマシだろう?(意訳)」と孫の母……つまり娘に一刀両断されてた。これだから、エロフって言われるんだろう」
サシャもシェルリアも更紗も興味深そうにエルフ特有の話を聞いている。ヒューマンではそうそうあり得ない面白おかしい話題に、更紗の表情にも笑顔が戻りつつあった。
カルフの発言の裏で、ブレイドは小さく息を吐いた。話題をそらしてくれたサイラスとカルフに心の中で感謝する。
そしてブレイドは唖然呆然としながらも一つの悟りを得た。
(いろんなLを許容するって、ええ……世界は広いな)
●
「私……最近イケおじに興味が出まして」
みんなが食事を終えたところで、サシャが周囲を見回して最近の萌えを発表した。
「有名人限定でしたらドワーフのヴィンダールヴルさま。今は鍛冶師の頂点ですが実は昔はチャラ男だった……それがなぜこう育ったかを武勇伝の如く語る形にし、禁断・ライバル・師弟・三角関係と萌を塗し第一章・第二章…と年代・相手・立場を変えて、或いは多くの女性を泣かし・泣かされと……。数多くの男女を越えたからこそ今のヴィンダー様が! 風に進めて下さると妄想が捗ります」
ここは鍛冶場かというレベルで周囲の温度を変え、熱く語るサシャだが、その表情はあくまで穏やかな笑顔である。強い。
「禁断っつーと、ドワーフとリザードマンとか?」
意外なことに、最初に話に乗ったのはサイラスであった。サシャの笑みがさらに深いものになる。
「盲点でした。素晴らしい視点だと思います!」
サイラスはこの時、自分が気づいていなかったリザードマンの需要に気づかされ、同時にドゥジン信徒の業の深さを思い知らされた。
「障害のある恋は王道ですからね!」
サシャのみならず、シェルリアの笑みも明るくなり、語調が強くなる。
「こういうお店に二人で訪れて記念日を祝うなんてシチュもいいし、幸せな二人を影からひっそり眺めて秘めた想いに涙を流す方もいる……。そんなシチュもまた萌えますよね」
シェルリアは自分の萌えを上塗りしていく。
「もし出来ましたらお茶目さあるイケオジですと更に親しみ易いかと。発禁を頂く勢いで書いて頂きたいです。私、是非に拝見したいですわ」
サシャも当然自分の萌えを上塗りしていく。赤らんだ両頬を両の手で包み「涙を流す方はどなたがいいでしょう……」と口にするのだった。
●
サシャはひたすらメモを取るライリーの前でメニュー表を開いた。その横にカルフも立っている。
「ライリー様、この中からお好きな食べ物と飲み物をお選びください」
ライリーは戸惑いながらボンゴレとカモミールを指さした。カルフは店員にその二品を注文した。
「ライリー、オレが奢るなんか食え」
「1杯は私からの奢りです」
ライリーは立ち上がり限界まで頭を下げ、二人の思いやりを受け取った。
●
注文の品が運ばれるまでに発表したいことがあると、ライリーは冒険者たちがいるテーブル側にやってきた。
「語っていただいたネタを元に、無事8つのネタを作成できました、ありがとうございます!」
1つめは「街ごとプレゼントしようとした恋人と敵対し、最終的によりを戻す」ネタ。
2つめは「亜人に誘拐された美少年が×◎※され、復讐心に目覚めて下剋上を果たす」ネタ。
3つめは「冒険者と鍛冶屋が恋愛する。最終的に家も墓も自分たちで作る」ネタ。
4つめは「新米授恵者がひょんなことからウィリアム王子と一緒に旅をし、片思いを募らせていく」ネタ。
5つめは「架空の屈強な男性が貝の魔獣の触手に捕らえられ汁まみれになる」ネタ。
6つめは「冒険者たちが倒した魔物の可食部分を探し調理するコメディ」ネタ。
7つめは「ヴィンダールヴル様の武勇伝。リザードマンとの間に恋が芽生えたり、師匠と三角関係になる」ネタ。
8つめは「冒険者たちがご飯を食べながら楽しくドゥジンネタをおしゃべりする」ネタ。
「みなさんのおかげで私のドゥジン人生は首の皮一枚つながりました! 本当にありがとうございます!!」
ライリーは一人一人にお辞儀をして、報酬の入った封筒を手渡していった。
●
「シェルリア様、更紗様、こちらをお受け取りください」
ライリーがボンゴレをかき込みカモミールを飲み干す間に、サシャからシェルリア、更紗へ名刺が配られた。名刺には「ヤオヒーラー」という名前が書かれていた。
「ありがとうございます!」
シェルリアは自分の名刺を持っていなかったが、作るのもいいかもしれないと思い始めた。
「ヤオ、とは一体何のことでしょうか?」
更紗にも自分の名刺を持つ日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
新たな可能性を開いた夜のお茶会だった。
住民、冒険者、観光客などで賑わう夜のアキュアリスタ外縁部は遺跡の紋様の輝きと、テラリウムのランタンのイルミネーションで輝いていた。
その景色に今回の依頼主、あるいは主催のライリー・ベルが指定した店へ向かうシルエットが二つ。
「水上都市アキュアリスタ、風光明媚なよいところですね」
東方風の衣装を纏った小柄なヒューマン、東雲・更紗が瞳を輝かせ、初めて目にするモノを見回していた。
「ところで更紗さんよ、あまりキョロキョロするとおのぼりさんに見えるぞ? いや、そのものには違いないんだが……迷子になってもしらんぞ」
更紗の隣を歩く巨体の偉丈夫、ヒューマンのブレイドは更紗に気を配りながら歩いていく。
「あぁごめんなさい、つい物珍しくって……」
「うーむ、手でも引いてやったほうがいいのか……。完全に引率の先生だな、これでは」
ブレイドが控えめに苦笑する。
●
ライリーが予約した店は高台にあった。壁の一面がガラス張りになっており、アキュアリスタの夜景を一望できる。
「わあ、素敵なお店ですね!」
かわいらしい顔立ちをしたヒューマンのシェルリア・リトヴァールが店内を見渡してから上品な笑みを浮かべた。
「お招き感謝します。また大変な状態とお聞きしました…私でお役に立てると良いのですが」
穏やかな雰囲気を湛えたヒューマンのサシャ・テーリングは小首をかしげて優しく微笑んだ。
「どんな話でも良いと聞いたが間違いはないか?」
右手の義手が特徴的なエルフのカルフ・オルヴォが三日月型の大きなテーブル席に着き、ライリーに確認する。ライリーが力強く頷いた。
「ネタが出ないのは苦しいですよね、分かります。お力になれるかどうかは分かりませんけど、楽しくイロイロとお話しましょう!」
シェルリアも明るい笑顔を浮かべ、席に着く。
「飯を決めようぜ。おれは葡萄のジュースとペペロンチーノだ」
角と爪を備えたリザードマンのサイラスも、ドシリと座るとメニュー表を広げて早々と注文を決めた。
「せっかくですのでワインを……」
「……こらこら、ここはお子様らしくジュースでいいんじゃないか?」
「ダメなのですか……。それではオレンジジュースと野菜のサンドイッチをいただきますね」
「自分はエールで乾杯といくか」
更紗とブレイドも大きなテーブル席に着き注文をする。
「喰いもんは要らん、エールを1杯頼む。ライリー、代金は自分で払うからな」
「百合茶とボンゴレをいただきます」
「私はミートソーススパゲティとブドウジュースを頂きますねっ。ライリー様には一杯だけ奢ってもらいます。ご馳走様です」
カルフ、サシャ、シェルリアもそれぞれ店員へ注文を伝えた。
●
注文の品を待つ間、夜景の見える壁の近くに立ち、シェルリアがこんなことを口にした。
「せっかくの夜景が見えるシチュエーションですし、「この夜景を全て君にあげるよ」なんてのもいいですよね!」
サシャも隣に立ち「素敵ですね」と目を細めた。
「そしてその後、本当に街の全てを支配して言葉通り「街ごとプレゼント」なんてのもアリだと思うんです! その過程で悪の道に走ってしまいかつての恋人と敵対するのも美味しいと……」
サシャは大きく目を見開き、天啓を得たというような表情を見せた。
互いにシンパシーを感じ始めた二人の横で、更紗は至る所まで飾り付けられたアキュアリスタの夜景を隅々まで眺めている。
「波止場もおぶじぇでらいとあっぷされています」
「あれは子供を狙うマーメイドの縄張りがあった場所ですね。……誘拐された美少年と亜人の×◎※系ではインパクト弱でしょうか?」
サシャは充分にインパクトの強い発言を繰り出した。
「それとは別にレイウェスト様とエフレム様は鉄板! 手に取っていただきやすいですよね」
サシャのドゥジン魂に、シェルリアもさらにドゥジン魂をヒートアップさせる。
「やっぱり障害のある恋とか王道だと思うんですよ。亡国の王族の生き残りが援助者を慕うけれど私情よりも国の復興を優先しなきゃいけないとか、高貴な身分を隠した旅人が庶民を見初めるけど身分違いに苦しむとか!」
席に座って飯を待つサイラスはサシャの「あのお二方」という言葉になんとなく偉い人と敵を感じ取ったが、直後のシェルリアの発言によって強制的に思考を停止させられた。
「え、モデルなんていませんよ、ええ。これならどのLにも転用可能ですねっ!」
そう、シェルリアの言うとおりモデルなどいないのである。似たような境遇の人は、この大陸にいるかもしれないけれど。
「とても素晴らしい考えです!」
実在の人物の話は慎重にすべき、それもドゥジン信徒のマナーの一つであった。
●
「おっ、飯が来たな!」
「では……乾杯だ」
ブレイドが皆に声をかけると隣のテーブルでメモを取っていたライリーも水を持って駆けつけた。
「乾杯!」
みんなで立ち上がりグラスを合わせると、小気味よい音が響いた。
「次はワインを頼むぜ」
サイラスは葡萄のジュースを一気に飲み干し、そのままの勢いで次の飲み物を注文した。
「決戦ではお疲れさんだったな」
ブレイドは更紗に声をかけつつ、合間にエールを飲む。
「作戦自体も無事成功したらしいし、ドラゴンステーキなんてレアなシロモノにありつけて言う事なしさ」
「翼竜のドラゴンステーキのようなトクベツは冒険者でもないとなかなか…本当によい機会でした」
更紗はドラゴンステーキのトクベツな味を思い出し、笑顔を浮かべた。
「冒険者でもないと」という言葉を聞いて、カルフは隣のテーブルに戻ったライリーに水を向けた。
「ライリーには憧れは無いのか? 例えば授恵者に憧れるならそれは他の奴も同じだろう」
自分の憧れをピタリと言い当てられて、ライリーは言葉を無くした。カルフはさらに提案を続ける。
「ギルドというネタの宝庫が目前にある。記録から美味しい部分を抜き出して、ギルド嬢とウィリアム王子辺りの有名どころが事件解決する話に友情か身分差恋愛を絡めるのはどうだ? 障害のある恋愛はより感情が高まる」
さすがは永い時を生きるエルフ、理にかなったネタである。
「冒険者の話なら冒険者と鍛冶屋の恋愛話とか出してみる? 架空の話として」
上機嫌でペペロンチーノを飲み下したサイラスが、カルフの話題に新たな要素を投入した。
「その人の為に武器防具の製作方法を学んで作ってる子と、その子の為にいろんなところを旅をして素材集めたり、土産話する人の話的な。そんな感じので惚気話とか膨らませたり?」
なるほど、冒険者らしい発想だ。現実味もあって、ネタとしても申し分ない。
「まあ実話だったりしなくもないが。……いや「僕らの愛の巣を作ってください」じゃねーよ」
架空の話という前提が吹っ飛び、現実味が100%に到達した。
「……出来るし土木建築関連のも持ってるけど、製作系一通り収めてるだけで鍛冶屋だわ。俺見て家だの工房の相談始めるのやめーや」
何やら深刻そうな問題が露見したが、彼とて解決してもらうことを期待して発言したわけではなかった。
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「それにしても、BLというじゃんるがあるのですか。ブレイドさんのような屈強な殿方があんなことやそんなことを……それはアリ! ですね」
野菜サンドを食べ終えた更紗から、突然の爆弾発言が飛び出した。かわいらしい満面の笑みまでセットでだ。
「こらそこ、変な目で人をみるんじゃない。お前さんのところでは衆道とかいうらしいが、自分はいたってノーマルだからな……?」
ブレイドは冷や汗をかきつつ弁明し、己の潔白(?)を証明しようとした。
「その手の話は貝のバケモノの触手に絡まれて汁まみれになったくらいだ」
動揺が原因か、小さな声で余計なことを言ってしまったが。
「その触手のお話をもうちょっと詳しく……!」
更紗が立ち上がり、隣に座るブレイドに詰め寄る。
「私もそのお話は気になります」
「参考として聞いてみたいです! よろしいですか?」
触手で汁まみれになった屈強な男が実在する。非常に衝撃的な事実である。
声を上げたサシャとシェルリアだけでなく、隣のテーブルのライリーの視線も当然ブレイドに集中する。
「忘れたい事故なんで詳しくは話さんからな」
その言葉に女子たちの興味はさらに膨れる。
その時、絶妙なタイミングで店員がサイラスのワインを運んできた。
「ありがとな!」
大きな声で礼を言い、サイラスがワインを受け取る。
「萌えだったら格上が相手より上だと示してからの蹂躙とか囲い出す話とか、相手を振り回す人とか? まず俺自体が勝手に動くから振り回される様子とか考えるの新鮮なのよな」
ワインを一口飲んで、ニカッと笑いながらサイラスが新しいネタを提供する。
「下剋上なら、美少年と亜人の話にも応用できますね」
新しいネタを提供されたならそれに乗るのも礼儀。サシャが小首をかしげて微笑む。
「振り回すのですか。 障害のある恋なら状況に振り回される、などもあるでしょうね」
シェルリアも明るい笑顔を浮かべてサイラスの方に視線を向けた。
ライリーも手元の羊皮紙に視線を戻す。
唯一、更紗だけはブレイドの身に起こったことへの興味が消えないままだった。
「話は変わるが、身分差のガチなら覚えがある。その方はオレの忠誠心しか見てなくてな……。だから忠誠を示す為に指令のまま動いた結果……」
カルフは更紗を見つつ、右手の義手の小指を立てた。
「当時のコレに腕を吹っ飛ばされた。腕を失くした事への後悔は未だ無……っと、空気を重くしちまったか?」
言いながら、カルフは義手に視線をやった。突然、世界の広さを知らされた更紗は言葉を無くし、自分の椅子に座った。
「他で聞いたどうしようもない恋愛だと、女好きで次々遊び歩いたエルフが本気で惚れたら実の孫ってのはエルフあるあるだぞ」
空気を変えるように、カルフが新しいネタを投入する。
「以降は孫に男が言い寄る度に「自分より落ちるのは認めん」と騒いでたが「女癖は無い分、てめーよりマシだろう?(意訳)」と孫の母……つまり娘に一刀両断されてた。これだから、エロフって言われるんだろう」
サシャもシェルリアも更紗も興味深そうにエルフ特有の話を聞いている。ヒューマンではそうそうあり得ない面白おかしい話題に、更紗の表情にも笑顔が戻りつつあった。
カルフの発言の裏で、ブレイドは小さく息を吐いた。話題をそらしてくれたサイラスとカルフに心の中で感謝する。
そしてブレイドは唖然呆然としながらも一つの悟りを得た。
(いろんなLを許容するって、ええ……世界は広いな)
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「私……最近イケおじに興味が出まして」
みんなが食事を終えたところで、サシャが周囲を見回して最近の萌えを発表した。
「有名人限定でしたらドワーフのヴィンダールヴルさま。今は鍛冶師の頂点ですが実は昔はチャラ男だった……それがなぜこう育ったかを武勇伝の如く語る形にし、禁断・ライバル・師弟・三角関係と萌を塗し第一章・第二章…と年代・相手・立場を変えて、或いは多くの女性を泣かし・泣かされと……。数多くの男女を越えたからこそ今のヴィンダー様が! 風に進めて下さると妄想が捗ります」
ここは鍛冶場かというレベルで周囲の温度を変え、熱く語るサシャだが、その表情はあくまで穏やかな笑顔である。強い。
「禁断っつーと、ドワーフとリザードマンとか?」
意外なことに、最初に話に乗ったのはサイラスであった。サシャの笑みがさらに深いものになる。
「盲点でした。素晴らしい視点だと思います!」
サイラスはこの時、自分が気づいていなかったリザードマンの需要に気づかされ、同時にドゥジン信徒の業の深さを思い知らされた。
「障害のある恋は王道ですからね!」
サシャのみならず、シェルリアの笑みも明るくなり、語調が強くなる。
「こういうお店に二人で訪れて記念日を祝うなんてシチュもいいし、幸せな二人を影からひっそり眺めて秘めた想いに涙を流す方もいる……。そんなシチュもまた萌えますよね」
シェルリアは自分の萌えを上塗りしていく。
「もし出来ましたらお茶目さあるイケオジですと更に親しみ易いかと。発禁を頂く勢いで書いて頂きたいです。私、是非に拝見したいですわ」
サシャも当然自分の萌えを上塗りしていく。赤らんだ両頬を両の手で包み「涙を流す方はどなたがいいでしょう……」と口にするのだった。
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サシャはひたすらメモを取るライリーの前でメニュー表を開いた。その横にカルフも立っている。
「ライリー様、この中からお好きな食べ物と飲み物をお選びください」
ライリーは戸惑いながらボンゴレとカモミールを指さした。カルフは店員にその二品を注文した。
「ライリー、オレが奢るなんか食え」
「1杯は私からの奢りです」
ライリーは立ち上がり限界まで頭を下げ、二人の思いやりを受け取った。
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注文の品が運ばれるまでに発表したいことがあると、ライリーは冒険者たちがいるテーブル側にやってきた。
「語っていただいたネタを元に、無事8つのネタを作成できました、ありがとうございます!」
1つめは「街ごとプレゼントしようとした恋人と敵対し、最終的によりを戻す」ネタ。
2つめは「亜人に誘拐された美少年が×◎※され、復讐心に目覚めて下剋上を果たす」ネタ。
3つめは「冒険者と鍛冶屋が恋愛する。最終的に家も墓も自分たちで作る」ネタ。
4つめは「新米授恵者がひょんなことからウィリアム王子と一緒に旅をし、片思いを募らせていく」ネタ。
5つめは「架空の屈強な男性が貝の魔獣の触手に捕らえられ汁まみれになる」ネタ。
6つめは「冒険者たちが倒した魔物の可食部分を探し調理するコメディ」ネタ。
7つめは「ヴィンダールヴル様の武勇伝。リザードマンとの間に恋が芽生えたり、師匠と三角関係になる」ネタ。
8つめは「冒険者たちがご飯を食べながら楽しくドゥジンネタをおしゃべりする」ネタ。
「みなさんのおかげで私のドゥジン人生は首の皮一枚つながりました! 本当にありがとうございます!!」
ライリーは一人一人にお辞儀をして、報酬の入った封筒を手渡していった。
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「シェルリア様、更紗様、こちらをお受け取りください」
ライリーがボンゴレをかき込みカモミールを飲み干す間に、サシャからシェルリア、更紗へ名刺が配られた。名刺には「ヤオヒーラー」という名前が書かれていた。
「ありがとうございます!」
シェルリアは自分の名刺を持っていなかったが、作るのもいいかもしれないと思い始めた。
「ヤオ、とは一体何のことでしょうか?」
更紗にも自分の名刺を持つ日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
新たな可能性を開いた夜のお茶会だった。
マスターコメント
冒険者の皆様、ご参加いただきありがとうございました!
メリーユールフェス! このシナリオの担当マスター、眞石ユキヒロです。
無事にライリーは8つのネタを生み出すことができました。
これも、いろいろな考えや経験を持つ冒険者の皆様にご参加いただいたおかげです!
ライリーも大変感謝しております。財布の中身はどうなった? 知らんな。
今回はご参加いただいた全員に称号を付与させていただきます。お気に召しましたらご使用いただけると嬉しいです。
それでは、またご縁がありましたらお会いしましょう!眞石ユキヒロでした!
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない6 / 6〜10人
2021年12月18日 20時42分33秒 公開
大成功
相談掲示板
サシャ・テーリングと申します。お見知りおき下さいませ。 無料で食事を頂きながら萌え語りして、更に書籍化されるかもと伺いまして参加しました。 私の熱い思いをライリー様にお伝え出来ると良いのですけど… この依頼の数ではお厳しいでしょうか……?お悩み中の方、どうかご検討下さいませね。
シェルリア・リトヴァールといいます! よろしくお願いします! ネタが出ないのは苦しいですよね、分かります。 お力になれるかどうかは分かりませんけど、 楽しくイロイロとお話出来ればって思います!
ブレイドだ、よろしく頼む。 連れ?と決戦の打ち上げにきたところだ。 ドゥジンシというのはよくわからんがこれもなにかの経験…か。
カルフと言う、宜しくな。 皆の話を聞かせて貰いつつ飲む予定だ。
No.5
サイラスだ、よろしくなー とりま適当にネタ話してこうかと。まあ数合わせ?みたいなもんだと思って貰えれば
東雲更紗と申します、よろしくお願いしますね。 ブレイドさんとの打ち上げを兼ねながら楽しくお話などできればと思います。