【聖祭】デートをしたかっただけなのに
北織 翼
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シナリオID:1654
オープニング
ここはエラトゥーン都市同盟の山間部にある鄙びた田舎村・ファーツ。
冷えた外気に頬を赤く染めながら、ワイナリーの娘・ヴェラは商隊の荷馬車と醸造所を往復する。
あれは確か、夏にさしかかった頃だったか……クリーパーが降らせる黒い雨で葡萄畑は甚大な被害を受けたが、駆けつけた冒険者がクリーパーを迅速に撃退してくれたおかげで、葡萄の木の全滅は免れた。
残った葡萄は僅かばかりではあったものの、今年もどうにかワインの仕込みを終え、醸造所の奥でじっくり熟成されてきた二年、三年もののワインは聖霊節の需要に備えて行商に出荷している最中だ。
「へい旦那、ワインのお代だよ。あっ、そういや旦那――」
行商は仕入れたワインの代金をヴェラの父・ランベルトに渡しながら続ける。
「――聞いたかい? 今年の聖霊節は、あっちこっちでテラリウムのランタンが出回るって話だ。さぞ夜景も綺麗なんだろうなぁ。俺たちゃこれからローレラウラに向かうんだが、着いたら一晩泊まってそいつを拝んでみようかって話してるところさ」
「ローレラウラか……懐かしいな。商売のついでに羽を伸ばしてくりゃいいさ」
ランベルトは行商に微笑んだ。
すると、行商は今度は幼い頃から知るヴェラに声を掛ける。
「ヴェラ嬢も、暇がありゃ行ってみるといい。お前さんみてぇな働き者のいい子なら引く手数多だろうし、誰かしら誘ってくれるだろう?」
突然話を振られたヴェラだったが、彼女は
「やだおじさん、こんな山奥に住んでる私にそんな人いるわけないでしょ」
と笑い飛ばした。
しかし……。
ワインの出荷を終え醸造所の裏でひとり休憩するヴェラの表情は晴れやかではなかった。
「夜景かぁ……いいなぁ……」
ヴェラは胸に秘めた思い人の姿を胸の奥に浮かべながら、ぽつりと呟く。
「一緒に見たいなぁ……でもなぁ……」
思い人は最近忙しそうに村の内外を行き来していて、ろくに顔も合せていない。
そういえば、暫く声も聞いていない。
その手に触れたのなんて、子供の頃に山にハイキングに行った時が最後じゃないか。
「私のことなんて……きっと何とも思ってないわ」
「……」
思い人に焦がれ落ち込む娘の呟きを醸造所の陰で偶々耳にしてしまったランベルトは、無言で踵を返し先程の行商人を追いかける。
しかし、この行動が後々しょうもない事件を引き起こすなど、この時の彼には知る由もなかった。
●
それから十日程たったある日の昼下がり、ヴェラは一世一代のオシャレをしてカフェのテーブルに着いていた。
(お父さんてば、ほんとお節介なんだから……)
ヴェラの恋の相手に心当たりのあったランベルトは、どうにかしてヴェラの初デートを成功させてやりたくて一肌脱いだ。
まず、行商に頼み込み商隊の馬車にヴェラを乗せてもらう。
次に、ローレラウラに着いたら湖のほとりに建つ高級宿に降ろしてもらう。
行商への手間賃に高級宿の宿泊費、帰りの旅費……決して安くはないが葡萄畑が全滅しなかったからこそどうにか捻り出せる金額だった。
加えて、行商が旧知の仲だったのも幸いした。
事情を知った行商は、ヴェラの食事や道中の簡易宿などでかかる経費に関しては全て持つと約束してくれた。
続いて、ランベルトは村長にも根回しする。
ヴェラが恋い焦がれる相手は村長の命令一つで村に戻ったり、冒険者ギルドに顔を出し依頼をこなしたりする。
いつぞやは村の教会の雨漏りを直す費用を稼いでこいと村長に命じられ依頼を受けに行ったらしい。
そこで、ランベルトは彼を上手くローレラウラに誘導してくれるよう村長に頼んだのだ。
村長の命令を受け、ヴェラが恋い焦がれる相手は今日ここに来る手筈になっている。
(でも、知らなかったなぁ……お父さんがお母さんにプロポーズした場所がこの宿のビーチだったなんて)
ヴェラの顔は自然とにやける。
(さすがにビーチは寒いけど、どうしよう……もし私も今日プロポーズなんてされちゃったら……)
「ないないないない!」
自分の妄想に自分で照れながら自分に盛大に突っ込むヴェラに、
「どうした? 何かなくしたのか?」
と背後から声が掛けられた。
(この声……来たっ!)
「べっ、別に何もなくしてなんか……えっ?」
……想像してほしい。
秘かに思い続ける人の声にぱっと明るい笑みを咲かせ、しかしその思いを悟られたくなくてこれまでのように少々ツンツンして振り向いて……現れた彼の「付録」に口をあんぐりとさせる彼女の顔を。
振り向いたヴェラの目の前には、ファーツ出身の授恵者で冒険者でもあるフェリクス・グレネマイアー……と三人の子供が立っているではないか。
「フェリクス、その子たちは……?」
わなわなと震える唇から魂が抜け出ていきそうな気がしながらもヴェラは己を奮い立たせてフェリクスに尋ねたが、彼の方はそんなヴェラの心などつゆ知らずあっけらかんとして答える。
「どうやら親とはぐれたらしくてさ。放っておけないから連れてきたんだ」
「連れてきたって……あなた下手すりゃ誘拐犯になりかねないわよ!?」
「ああ、大丈夫。ちゃんと宿のオーナーには事情を説明してあるから」
「なら宿の人に預けるべきじゃないの?」
「うーん、そうしようと思ったんだけどこの時期宿は大忙しらしくて、迷子の相手に人手を割く余裕がないって……それで、つい」
苦笑するフェリクスにヴェラは大きな溜め息を吐いた。
「つい、いつもの善人根性で『なら俺が面倒見るよ、冒険者だし』なんて言って引き受けたってわけね」
「ハハッ、さすがヴェラだな。何でもお見通しだ」
爽やかな笑顔でそう返されたら、ヴェラには何も言えない。
こういう様を、人は「惚れた弱み」と言うのだろう。
しかも、何だかんだ言ってヴェラも子供たちを放っておける性分ではなかった。
「とりあえず、この子たちに何か食べさせてあげた方がいいんじゃない? お腹が空いたら機嫌も悪くなるし、泣き出したらあなたじゃ手に負えなくなるわよ」
「それもそうか。お前ほんと頼りになるな」
「……それはどうも」
(私にとっては初めてのデートだったのに……フェリクスあなたは一体どういうつもりで……ああもうっ、こうなったら何でもやってやろうじゃないの!)
ヴェラはカフェのスタッフに席の手配を頼もうとフェリクスたちから僅かな間、そうほんの僅かな間目を離した。
しかし、それが更なる騒動を巻き起こす。
「こっちのテーブルに椅子が揃ったから……って、ねぇフェリクス、どうしたの……?」
血相を変えてあちこちを見回すフェリクスの姿に、ヴェラはとてつもなく嫌な予感を覚えた。
「油断した……子供たちがいない」
「はぁっ!?」
(そうよ昔っからこの人は子供の扱いだけはほんとにほんとに……!)
予感的中。
ヴェラはフェリクスをカフェからつまみ出す。
「あなた冒険者ならその辺で同業者捕まえられるでしょ! さっさと助っ人呼んできなさいっ!」
解説
マスターより
リプレイ
「ねぇアルバス、この辺りはテラリウムのランタンを使った夜景が綺麗なんだって。見てみたいよねっ!」
「それなら、せっかくだから暗くなるまで待って夜景を眺めていくか」
「そうこなくっちゃ!」
ルルト・アーキスとアルバス・ロウルは無事に終えた依頼の帰りにローレラウラに立ち寄っていた。
「それまではあの宿のカフェで暇つぶしでも……って、ん?」
アルバスは、見覚えのある男がカフェの入口から弾き出されるなり焦った顔つきで右往左往している様を目撃する。
「ルルト、あれ……フェリクスじゃないか?」
「ほんとだ。でも、何だか様子がおかしいね。どうしたのかな?」
ルルトはアルバスと頷き合いフェリクスに駆け寄った。
「フェリクス!」
「ルルトに……アルバスじゃないか!」
「どうしたんだ? そんなに慌てて」
フェリクスはアルバスの問いに答える代わりに二人の手を全力で引っ張る。
「頼む、力を貸してくれ!!」
火事場の馬鹿力とはこういうことを言うのだろうか。
凄まじい力で手を引かれたルルトとアルバスはまるでフラッグのように宙をはためきながらカフェに連れ込まれた。
●
その頃、ロイ・アウレアは寒風の中逞しく咲く季節の花々に微笑しながら宿の玄関をくぐり、ロビーに入った。
ロビーは宿泊客で賑わい、聖霊節を盛大に祝う飾り付けが宿全体を華やかに彩っている。
かつて家具の搬入出を手伝ったラウンジには温かいウェルカムドリンクを嗜む老夫婦や一枚の膝掛けを分け合い寄り添うカップル、カフェの前には「聖霊節特別メニュー」などと書かれた看板。
ロイは秘かに小さなガッツポーズを作った。
やはりこの宿は外さない、恋人を連れてくるには申し分ないと。
(でも、先々のことを考えるならもっとしっかり把握しておきたいな……確か、テラリウムのランタンで湖をライトアップするイベントがあるんだっけ? その夜景がどれ程のものか、この目で確かめておきたいな)
そんなことを考えながらカフェに足を運ぶロイの背後から、
「あれ? ロイさん?」
と良く知る声。
振り向くと、
「やっぱりロイさんだーっ」
とアルマ・ヴァレンタインがニコニコしながら駆け寄った。
「こんな所で会うなんて奇遇だねー。もしかして、おデートかはねむーんの下見にでも来たのー?」
アルマの奇襲的ド直球尋問にロイの耳の先はぴくっと小さく跳ね、端正な顔は仄かに暖色に染まって緩い微笑みを湛える。
「……まぁ、そんなとこ。でも、その様子だとアルマさんの目的も似たようなものなんだろうね」
「ほわっ!?」
今度はアルマの頬が桜色に色づいた。
緑色の澄んだ瞳は指元で煌めくペアリングをチラチラと窺い、己の視線にいたたまれなくなった手はそろそろと腰の後ろに避難する。
しかし、大好きな「彼」の大叔父は眼前で全てを悟っているかのように微笑んでいて……。
「ま、まぁ……だってほら、大事でしょ? そのためのスポットっていうか、候補地の下見って」
「そうだね。それじゃ、カフェの様子も見ておいた方がいいんじゃないかな? 一緒にどう?」
「いいねー!」
ロイとアルマは連れ立ってカフェに入り――
「ルルトと、アルバス?」
「ロイにアルマ! キミたちも来てたの!?」
――見事に巻き込まれる。
●
(今、聞き覚えのあるお名前が聞こえたような気が……)
カフェでティーカップを口に運んでいたハリーヌ・ヨツユビは、鼻先をヒクヒクさせながら声のした方に円らな瞳を向ける。
視線の先では、ハリーヌの見知った冒険者たちと、彼らに相対して冒険者風の男性とおめかしした女性がテーブルを囲んで座っていた。
更に、視界の端では長身のハーフビーストが心配そうな顔をして冒険者たちのテーブルを見つめている。
(あれはハルハン様ではございませんか)
ハリーヌは席を立つと、
「ハルハン様、どうしたのでございますか?」
と、ハルハン・ツァガーンナルに声を掛けた。
「あっ、ハリーヌ! 貴方も来てたんですか! ロイたちを見かけて声を掛けようと思ったんですけど、みんな何だか深刻そうな顔してて……さっきから『迷子』がどうとか」
「迷子……でございますか?」
そう呟きながら例のテーブルに再び目をやったハリーヌと、ロイの目が合った。
「冒険者、あと二人見つけた」
ロイは冒険者風の青年にそう告げながらハリーヌとハルハンを手招きし、ばっちり巻き込む。
●
「俺はフェリクス、彼女は幼馴染みのヴェラで――」
簡単に自己紹介を済ませたフェリクスは取り急ぎ危機的な現状を説明した。
「成程な……その子たちの名前や特徴は? 親は?」
アルバスの問いにフェリクスはがくりと項垂れる。
「名前も親も……分からないんだ」
「要するに、迷子が更に迷子になって、親も分からない、と……いうことでございますね」
「ああ、その通りだ……」
ハリーヌからの確認にフェリクスは力なく答えたが、
「自己嫌悪に陥ってる場合じゃないでしょ。さっさと気持ち切り替えて捜索に出ないと。あの子たち外套も着てなかったし、寒い中外をうろついてたりしたら大変よ」
と、ヴェラはなかなか逞しい。
だが、そんな彼女の洒落た服装に、冒険者一同はさり気なく顔を見合わせ隠れた裏事情を察する……ルルト以外は。
ああ、これは彼女のためにも早く迷子騒動を解決してやった方がいい――と。
「迷子になったのはどのようなお子様でございますか?」
「ええと――」
気を取り直したフェリクスはようやく顔を上げハリーヌに答える。
「――迷子は三人、男の子一人に女の子二人。見たところ五、六歳くらい。カピバラのハーフビーストで、全員良く似てたからたぶん姉弟じゃないかと思う。一番大きな女の子は、もう少し年上かもしれないな。男の子は黄色いジャケットを着てたと思う。女の子二人は同じ柄のワンピースを着てた」
●
冒険者たちはルルトの提案でカフェを集合場所とした後、親が迷子の問い合わせに訪れた場合はカフェで待機するよう伝えてほしいとカフェの責任者や宿の受付などに依頼し、一旦外に出た。
「ヴェラ、ヴェラ……」
ハルハンはこっそりヴェラを呼び、フェリクスに気付かれないようそっと尋ねる。
「もしかして、今日はフェリクスとお出かけだったんですか?」
「私はそのつもりだったんだけどね……」
ヴェラは寂しそうに微笑んだ。
彼女たちの様子を見てロイたちは密かに溜め息を吐く。
「あー……コレ押して押して押し倒さないとダメなやつだー」
(……って言っても、ボクも押された側だったからあまり言えないんだけど)
悩ましげに額に手を当てるアルマに、ロイは
「とはいえ、無理強いでは良い結果にはならないだろうな」
と返しながらも、アルマの意見には肯定的だ。
「これは、無頓着な側に意識してもらう方が早そうだ」
相手がどんな思いで自分の傍にいるのか、自分が抱いている幸せに対し相手の感じている幸せはどんなものなのか、愛する人の心を確認したい衝動に駆られ独占欲に染まる想いを抱えながら追いかけるもどかしさ……ロイは今のヴェラにかつての己を重ねていた。
そして、そんなヴェラにまるで無頓着なフェリクスには、ロイの最愛の人と通じる部分がある。
(迷子を無事に保護したら、後で少し仕掛けてみようか)
ロイはそんな思惑を抱きながらヴェラとフェリクスを交互に見た。
●
「宿泊客や従業員のお子様という可能性もございますから、ワタクシはその辺りの方にお話を伺ってみようと思うのでございますが……」
探知用のエーテルを飛ばし小さな三人組のシルエットを探しながらハリーヌが提案すると、
「確かにその可能性もあるな。相手が幼い子供なら急いだ方がいいし、オレもそっちに行くよ」
「じゃ、ボクもー!」
と、ロイとアルマが続く。
「ああ、その方が早いかもな。頼んだ」
三人はアルバスらに見送られながら宿のロビーに入った。
「よしっ、ボクたちはこのままお外を探そう! ちょうどお腹が空く時間で、外套も着てないならお日さまの当たる暖かい所にいるかもしれないよっ」
「そうだな、条件を絞って効率良く探そう」
「賛成です! 子供の足ならそう遠くまでは行けないと思いますしね!」
ルルトは宿の外の道沿いに建つ店などで日当たりの良い所に目をつけ、ハルハンは白い熊耳をピンと張り鼻をクンクンさせ始めた。
ルルトがエーテルを頼りに幼子の姿を探りつつ辺りを俯瞰して眺めてみると、湯気の立つ蒸し物屋の店頭に何やら「怪しい」人影がある。
「ハルハン、何か聞こえる?」
ルルトが問うと、ハルハンは「うーん」と小さく唸った後、
「……おじさんの声と子供の泣き声が聞こえます」
と答えた。
「それらしき人影は一人分なんだけど……姉弟がはぐれて一人になってるのかもしれないよね、行ってみよう!」
「ですね! あっ、その前に――」
ハルハンは突然フェリクスの上着の袖回りや裾といった「子供の背丈で触れそうな部分」を嗅ぎだす。
「この匂い、フェリクスのものじゃありませんね。ヴェラのとも違います……ということは、これはきっと子供たちを預かった時についた子供たちの匂いですねっ!」
犬並の嗅覚、恐るべし。
ルルトの視覚とハルハンの嗅覚が見事にコラボレーションを見せ、目標の「カピバラその1」に一行はぐんぐんと近付く。
「蒸し物屋の方向からさっき嗅いだ匂いがしてきます、間違いないですよ!」
一行は子供の状況を案じながら目的地に急いだが、その時通り過ぎようとした露店の方から子供の泣き声が聞こえ反射的に足を止めた。
泣き声のした露店の方を見ると、
「ママー、ママーッ!!」
とお団子頭の女の子が右を向き左を向きながら大声で泣いている。
「だ、大丈夫かな?」
フェリクスは完全に女の子に気を取られ、それに気付いたアルバスとハルハンは瞬時に視線を交わした。
(あの子も確かに心配だが、迷子相手に名前も聞き出せなかったってのに新手を気にしてる場合じゃないだろう! ここは早急な対処が必要だぞ!)
(ボクに任せて下さい! フェリクスが新たなトラブルを起こすきっかけになりそうな不穏分子は早々に取り除きましょう!)
僅か一瞬のうちに二人の思考は絶妙な連携を見せ、ハルハンが
「あの子はボクが何とかします! 皆さんは早くカピバラっ子の方に! おやおやどうしましたかー!? 大丈夫ですよっ、ボクが肩車をしてあげますから、きっとすぐにママに見つけてもらえますよっ!」
とお団子ガールを捕獲している間に
「フェリクス、行くぞ!」
とアルバスが全力でフェリクスの脱線を阻止するのだった……。
程なくして、ルルトたちは蒸し物屋の前に到着する。
しゃくり上げている子供は黄色のジャケットを着たカピバラの男の子だ。
「フェリクス、ヴェラ、いなくなっちゃったのはこの子で間違いない?」
ルルトが念のため確認すると、二人は同時に頷いた。
「ご迷惑をおかけしました! 実は――」
フェリクスとヴェラは店主の男性に事情を説明し、その間にアルバスとルルトはカピバラ坊やの前にしゃがんで目線の高さを合わせながら、
「俺はアルバス。迷子ってのは君か? 『いきなりいなくなった』って、あの兄ちゃんが心配してたぞ」
「ボクはルルト、キミのお名前は?」
と笑顔で話しかける。
カピバラ坊やは、フェリクスの方をちらりと見て俯きながら、
「……ティムくん」
と名乗った。
「ティムかー、いいお名前だね。ほら、タマさんもそう言ってるように見えないかな?」
ルルトは愛猫のタマさんをティムに紹介する。
「ネコたんかわいい! ふわふわだぁ」
「ニャー」
「カピバラっ子はいましたかーっ!?」
愛らしく鳴くタマさんとティムがじゃれていると、ハルハンがクッキー片手に全力疾走してきた。
ハルハンは合流するなり
「例の迷子はすぐにママが見つかりました! あれだけでっかい声で泣いていればママもすぐに気付きますよね!」
と報告するが、ティムの視線がハルハンのクッキーに突き刺さる。
「お腹空いてるんですね。このクッキーをあげましょう!」
ハルハンがしゃがんでクッキーを差し出すと、ティムは
「わぁい!」
と取って早速齧りついた。
「余程腹を空かせてたんだな……それなら俺たちとカフェに行こうな。カフェで待っていればじきにお父さんお母さんが迎えに来る」
アルバスが温かい笑顔で差し出した手を、おやつを食べて落ち着いたティムはおずおずと握る。
●
一方、宿での情報収集から始めた三人は、子供だからこその危険性を念頭に置き迅速に事を進めていた。
ここは大人にとっては楽しいデートスポットでも、うっかり森に足を踏み入れ迷ったり魔獣に遭遇したりする可能性もあれば、湖に落ちる可能性もある。
小さな子供だけでうろつけば何が起こるか分からない危険な場所でもあるのだ。
「お忙しいところ恐縮でございます」
従業員を捕まえて、ハリーヌがぺこりとお辞儀して尋ねる。
「オーナーにはお話が通っているようでございますが、カピバラのような見た目の三人の迷子をお見かけではございませんでしょうか? 宿泊客や従業員のお子様に心当たりはございませんか?」
「うーん、食堂で見かけたような……」
「ありがとうございます。もしもその方がお子様をお探しのようでしたら、カフェでお待ちになるようお伝え頂けますか」
慇懃なハリーヌに従業員は笑顔で頷いた。
ロビーではアルマが得意の話術を武器に宿泊客から情報収集していた。
「……それ、ひょっとしてカッピー商会の社長さんのお子さんじゃないかしら?」
筋骨隆々のマダムがスクワットしながら答える。
「カッピー商会?」
「ええ、そこの社長さんて確かツヤツヤな毛並みのカピバラよ。今朝、ご夫人とお子さん三人くらい連れて食堂に入るの見たわ」
宿泊客・カピバラ・三人の子供というキーワードが出てきたことでアルマは確信を得た。
「ありがとう!」
(早速ハリーヌさんとロイさんに伝えなきゃ!)
「宿の中からは子供の泣き声らしきものは聞こえてこない。エーテルでもそれっぽいシルエットは掴めないな」
聴覚とエーテルを駆使していたロイがそう告げると、ハリーヌは考え込む。
「子供に寒さは関係なかったりもしますし、外で遊んでいる可能性もございましょう」
「外か……」
ロイは相棒のポーラを放し、屋根の上などから子供たちを捜索するよう命じた。
すると、ポーラと入れ替わるようにしてアルマがロビーからカッピー商会社長の情報を引っ提げて戻ってくる。
ハリーヌの得た情報とも掛け合わせ、三人は一度食堂へ。
そして、アルマが食堂前の廊下に飾られていた花瓶に触れると、子供たちが食堂を出てどこかに行く時に花瓶にぶつかった様子が残留思念として見えた。
「それから……子供たちの誰かが『花』を思い浮かべてたのが見えるよ。花を見たかったのかな?」
アルマの言葉を聞いたロイは玄関前の花畑を思い浮かべたが、思い返してもカピバラの子供は見かけていない。
「なら……裏庭か?」
その頃、裏庭の奥では……。
「ポンちゃん、そのお花は食べられないわ!」
「ポンちゃんおなかすいたのっ!」
「ダメって言ってるのに! パパに言いつけるからね!」
「ねぇねいじわる! えーん!! パパいないー! ママどこー!?」
「ええと……このお庭、どこから出るんだっけ……? どうしよう、ううぅ、ひっく……」
二人のカピバラガールが一輪の花を巡って壮絶なバトルを展開していたかと思いきや、親からはぐれたことに気付いて泣き出し、やがて疲れてへたり込んでいた。
その様子を屋根の上から目撃したポーラの視覚から、ロイは確信する。
「やっぱり裏庭にいたか。ありがとうポーラ、助かったよ」
裏庭に急いだ三人は、その奥で二人を見つけた。
「大丈夫? もう平気だよ、パパとママの所に帰ろうねー!」
アルマが声を上げると、二人がはっと振り向く。
振り向いたカピバラガール(小)は、アルマが手にしているクッキーを見るなりごくりと生唾を飲み込んだ。
カピバラガール(大)はどこか三人を警戒するような眼差しを送ってきたが、
「ワタクシたちは冒険者でございます。さあ、カフェにご案内いたしましょう」
とハリーヌが手持ちのパンを差し出せば、よろよろと立ち上がり、
「いただきます……もう、おなかすいて疲れちゃって……」
とパンに手を伸ばす。
「ボクはアルマ、あなたたちのお名前、教えてくれるー?」
「ついでに親の名前も教えてくれると助かるな」
迷子を保護したら今度は親探しだ。
アルマとロイに尋ねられ、大きい方のカピバラガールが両頬に詰め込んだパンを慌てて飲み込んで答える。
「わ、わたしはテン、この子はポン。パパはジム、ママはカミラよ」
●
「♪ティ~ムくんはカピたん~ ハ~ルハンはシロたん~ タ~マさんは~ねこたん~」
右手をルルト、左手をアルバスと繋ぎ、ルルトと即席の歌を歌いながらカフェに向かうティムは上機嫌だ。
「ティムくんね、タマさんと遊びたい!」
「いいよ、カフェに着いたらねっ」
ティムはすっかりタマさんを気に入ったらしい。
「そういえば……」
ハルハンはさりげなくフェリクスの方を振り返った。
「ヴェラとフェリクスはこの辺りに詳しいのですか?」
「いや、俺たちは初めて来た」
「――なら、はぐれないように手を繋いでおいた方がいいんじゃないですか? ほら、ティムもルルトたちと繋いでるんですから」
ハルハンのウインクに気付いたヴェラは顔をぶわっと紅潮させる……が。
「それもそうだな。お前、子供の頃村の山で遭難しかけたことあったし」
爽やかな笑顔で手を差し出すフェリクスには動揺のどの字もない。
「私はもう子供じゃないわ! ていうか、迷子を迷子にさせるあなたに言われたくない!」
紅潮の理由が恥じらいから怒りに変わるまでそうはかからなかった。
非授恵者とはいえワイナリーで力仕事をしているヴェラの握力を舐めて掛かると痛い目に遭う。
「あいだだだっ! ごめん、ごめんヴェラ!」
「私知ってる、授恵者これくらいどうってことない、手加減いらない!」
ヴェラは全力でフェリクスの手を握り潰し――カフェに着くまで意地でも放さなかった。
●
ロイたちがテンとポンを連れてカフェに入ると、まだアルバスたちが戻る前だった。
席に着いたハリーヌは軽食を適当に注文して子供たちの空腹に備える。
テンとポンは店内に興味津々の様子だったが、やはり幼いポンの方は注文した品が届くのさえも待てず椅子から降りてうろつき始めた。
「ダメよポンちゃん、お店ではいい子にしなさいってママに言われてるでしょ!」
「大丈夫でございますよテン様、ワタクシたちが目を離すことはございませんから」
ハリーヌは余裕を醸してテンを落ち着かせながらも、動き回るポンをしっかり目で追っている。
「そうだよ。それでも心配なら向こうがこっちに来たくなるよう仕向ければいい」
ロイが徐ろにアコーディオンを取り出し長い指を鍵盤の上で走らせると、走り回っていたポンがピタリと止まって振り向いた。
お祭りを彷彿とさせるアップテンポな曲にポンが楽しそうに体を揺らしていると、現れたポーラが彼女の肩に乗る。
ポンの肩からテンの手に乗り、またポンに戻る……ポーラは子守に大活躍だ。
ロイの演奏で賑やかになったカフェにルルトたちがティムを連れて合流すると、三姉弟は甲高い声を上げながら再会を喜んだ。
カピー商会社長、ジム・カピーが妻と共にカフェに駆け込んできたのは、アルバスが三姉弟の名前と親の迎えをカフェで待つことを宿の受付に伝えに行ってからほんの数分後のことだ。
「ああ、テン、ティム、ポン! 心配したんですよ!」
子供たちを抱きしめる社長夫人カミラ・カピーを見て、ルルトは
「無事見つかって良かったね♪」
と微笑む。
一方、カピー社長は冒険者たちにぺこぺこと頭を下げた。
「いやはや、皆様には何とお礼を申し上げたら良いか……いやはや、いやはや、心より御礼申し上げます。よろしければ、今度是非私共の経営する『カピのリゾート』においで下さい。いやはや子供たちを助けて頂いたお礼に、冒険者様には格安料金で特別室と極上のサービスをご用意いたしますので」
カピー社長はカフェを出るまで何度も振り返りお辞儀して、子供たちと共に去っていった。
●
「皆、今日は本当にありがとう!」
カピー一家が去りカフェでひと息吐いたところで、フェリクスは冒険者たちに深々と頭を下げて礼を言った。
「無事に解決出来て何よりだよ。そういえば、砂糖入りのお菓子は上手に出来た?」
フェリクスに問いながらカフェのパンケーキを頬張るルルトは幸せそうだ。
「ああ、ヴェラがすごく美味しいケーキを焼いてくれたんだ。子供たちの間で争奪戦になってたよ。な?」
「……ま、まぁね」
ちょっと持ち上げられて微笑まれただけで怒りを忘れモジモジするヴェラ。
そんな彼女に冒険者たちは生温い視線を送った……その辺りを未だ察していないらしいルルト以外は。
気付けば外はすっかり暗くなり、空には星が瞬き始めている。
「ねぇねぇ知ってた? ここは夜景が綺麗なんだって! 二人とも一緒に見に行こうよ!」
ルルトはフェリクスとヴェラに身を乗り出してニコニコしながら提案した……が。
「いやいやルルト、俺たちはそろそろお暇しよう。二人には二人の用事があるんだから、一緒に遊ぶのはまた今度にしような」
アルバスはルルトの無邪気ぶりに内心慌てつつもやんわりとその提案を取り下げる。
「ふむむ……そっか、じゃあ今度遊ぼうね!」
ルルトは小首を傾げながらもそう言って笑った。
●
「ねえねえっ、あの二人なんだけど……」
とりあえず全員カフェを出てそれぞれに歩き出したものの、相変わらずもどかしい様子のフェリクスとヴェラを窺いながらアルマは仲間たちを掻き集める。
「あれ、どちらか一押ししないと進展しなさそうだけど、何かいい案あるー?」
「ヴェラ様を連れていけるスポットをいくつかフェリクス様にご紹介すると多少は違ってくる気がするのでございますが……」
「ボクもそう思います!」
「オレも無頓着側に仕掛けてみるよ」
「俺も一言フェリクスに言っとかないとと思ってたことがある」
「それじゃ、ボクはヴェラにちょっとだけアドバイスしてみようかな」
冒険者たちはそれぞれの提案に頷き合い、早速フェリクスとヴェラに近付いた。
「フェリクス、この夜景もビーチから見たらきっとロマンチックですよねー。それに、あちこちから食べ物の匂いがしてきますから、ライトアップされている間は露店もやってると思いますよ。二人で色々見て回るといいですよ!」
「そうだぞフェリクス――」
ハルハンが「二人で」と強調しながらプッシュしたところで、今度はアルバスがフェリクスに耳打ちする。
「――今日、本当はヴェラと何か約束があったんじゃないか?」
「約束……ああ、村長に言われたんだ、ここからヴェラ一人で村に戻るのは危険だから合流して一緒に帰ってこいって」
「そ、それだけか?」
「それだけだけど……」
アルバスは頭を抱えた。
「君と一緒に村に帰るだけで女の子があんな格好すると思うか? とにかく、ヴェラのためにもちゃんと今日のこと穴埋めしてやれよ? せっかく初めての土地に来たなら記念に何かプレゼントしてやるとか」
「プレゼントか……何がいいかな?」
「物は何でもいいと思うぞ。そういうのは、気持ちだから」
「そうか……ありがとなアルバス、ヴェラが喜びそうな物を何か探してみるよ」
フェリクスの言葉にアルバスが頷くと、今度はハリーヌが口を開く。
「少し寒いでございますが、ビーチの隣にはテラスもございますし、ボートなどで湖に浮かぶランタンを間近にご覧になっては?」
ボートという二人きりになれるシチュエーションを提供する辺り、ハリーヌもなかなかにあざとい。
「あっ、ヴェラさん」
アルマはヴェラの腕を取り軽く引き寄せた。
「綺麗な夜景を見たら、それをバックに気持ちを伝えてみたらどう? 鈍感系? なフェリクスさんにも、それくらいすれば伝わる……かも?」
アルマのド直球アドバイスにヴェラの声が裏返る。
「ひぇっ!? 無理よ、無理無理無理!」
「そうかなー? 無理強いはしないけど、気持ちを伝えるのって実は案外簡単なことかもしれないよー?」
「ど……努力、してみる」
ぎこちない頷きを返すヴェラに、ハルハンも
(ヴェラ。がんば、ですよ!)
とガッツポーズ付きで熱視線を送り、アルマと一緒になって懸命にヴェラの背中を押した。
アルマと何やら話しているヴェラを見やりながら、ロイはフェリクスに囁く。
「ヴェラさんは素敵な子だね。いつもあんな風に身綺麗に?」
「いや、ワイナリーの子だからいつもは作業衣姿で……」
ロイにそこまで答えて、フェリクスは小さく息を呑んだ。
父親と二人きりになって必死でワイナリーを守ってきた彼女が上品な生地のコートとスカートを身に纏っていることを何故今まで疑問に思わなかったのか、と。
「そうか……なら、フェリクスさんのためにお洒落してくれたのか……可愛らしいね。でも、あの格好で迷子たちを探し歩くのは大変だったろうな……それでも頑張ったのは、誰のためだろうね」
ロイの言葉は不思議とフェリクスの胸の奥に優しく、しかし深く刺さる。
「ああ……そうか」
神妙な面持ちでそう呟くと、フェリクスはヴェラに歩み寄り手を取った。
「……行こう」
掛けられたその一言が不思議な重みを持っていることを何となく察したヴェラの表情が強張る。
味わったことのない不安に駆られて、ちらり、とアルマとハルハンを窺うが、二人とも笑顔で「頑張れ」とぎゅっと拳を作る。
ヴェラはフェリクスの目を盗みこっそりと二人に笑みを返した。
●
テラリウムのランタンによる夜景は前評判通りの美しさだった。
湖面に灯籠のように浮かべられたランタンは幻想的に水面の揺らめきを反射させ、ビーチにちりばめられたそれはまるで地上に咲いた星の花。
湖岸に沿って並べられている光の列は、現実と非現実の世界を分かつ境界線のようにも見える。
「うわぁ……きらきら綺麗だねっ!」
「ああ、噂に違わぬ美しさだな」
ルルトの瞳は光の花をいくつも咲かせる草原のように、アルバスの瞳は星屑を抱く大海原のように輝いていた。
もっと、もっとこの夢のような世界に溶け込んでみたい、光を纏ってみたい――ルルトの手は自然とアルバスの手を握り、引っ張る。
「……ねね、アルバス! もっと向こうに行ってみようよ!」
「おっと……分かった分かった、そんなに急がなくてもランタンは逃げないって。それより、暗いから足元に気を付けるんだぞ」
「大丈夫だよっ」
光の世界に魅了されてはしゃぐルルトが湖畔に近付いた時、湖面からひゅうっと冷気が吹き上げた。
弱い風でも、冷えた湖から吹くそれは二人の体を小さく震わせる。
「寒いな……ほら、風邪を引いたら大変だ」
アルバスの上着がルルトの肩を包み込んだ。
(子供は寒さに強いと言うが、それでも冷えれば風邪を引くから……って、本人には言えないがな)
「子供じゃないもんっ!」と頬を膨らませて拗ねる様子を想像しアルバスは思わず苦笑を漏らしたが、彼を見上げるルルトは心底嬉しそうな笑顔を見せる。
「ふふふー、ありがと。でも、アルバス寒くない?」
「俺は――」
「そうだ!」
ルルトはタマさんにアルバスの肩を叩いてみせた。
すると、タマさんは軽やかに彼の肩にジャンプして、首を胴で包むように巻き付く。
「ふふっ、即席猫マフラーだよ」
「ニャー」
「ははっ、あったかいな」
ランタンに彩られた湖畔に、笑顔の花が咲いた。
ランタンの灯りに酔いしれる冒険者たちを遠目に眺めつつ、ハリーヌも湖面のイルミネーションと見物客の様子を興味深げに見つめる。
(昼と夜で違う顔を見せる湖だけではこうも賑わいはしないでございましょう。これだけのパフォーマンスを管理維持するためのリスクとコストを背負いながらの手厚いサービスの提供と思い切った経営が出来てこそのこの人出なのでございましょう。成程、観光ビジネスというものは一朝一夕には成り立たないものでございます……)
一方、ハルハンはライトアップされた湖畔近くの露店を巡り、こんがりと焼けた魚や大きな水飴菓子、揚げパンのような軽食に舌鼓を打ちながらその目と耳は常に周囲を警戒していた。
(ヴェラが今頑張ってるんですから、フェリクスが首を突っ込みそうな迷子を見かけたら先手を打ってボクが解決しておいてあげましょう!)
ハルハンと同様にヴェラのことを思いながらも、アルマはようやくここに来た本来の目的を果たすべく再び動き出す。
(宿に湖に夜景に……おデートにもってこいの場所だよねー! あとは良さげなお店とか穴場とか、もっとリサーチしておこうっと!)
そして、ヴェラとフェリクスは……。
テラスで椅子を二つ並べ、黙って夜景を眺めていた。
どこからだろうか、微かにフルートの音色が夜風に乗って流れ込んでくる。
「ランタンの灯りも音楽もほんと綺麗ね、フェリクス」
「あ、ああ……」
笛の音に彩られる夜景に目を奪われたままうっとりと微笑むヴェラに何故か釘付けになり、フェリクスは彼女との間の「何か」が決定的に変わる予感を覚えた。
「……お前も綺麗だよ、すごく」
(お膳立てはここまでにして……さぁ、オレもそろそろ視察の再開だ!)
フルートをしまい、ロイが立ち上がる。
夜景を堪能した仲間たちに感想を聞いて、この後の予定がないならディナーにでも誘おうか。
食の好みは人それぞれ、きっと様々な意見を聞けるに違いない。
ロイは灯りに誘われるように湖畔を歩き出した。
マスターコメント
ロングシナリオ普通 報酬:標準6 / 6〜12人
2021年12月23日 14時08分23秒 公開
相談掲示板
まだ集まっていないが、挨拶だけさせてもらおう。 アルバス・ロウルだ。 友人のルルトと一緒に行動する予定だ。 今のところ迷子探しは冒険者側で預かって、ヴェラさんがデートに専念できるようにしたいと考えている。 行動がぶつかりそうな時は遠慮なく言ってくれ。 よろしくな!
ウォーリア、ツァガーンナルです! 迷子探しと、初デート。どちらも無事に成功させたいですね! よろしくおねがいします!
ルルト・アーキスだよ、よろしくね! アルバスと一緒に行動予定だよ。迷子の子達を素早く見つけるのはもちろんのこと、ヴェラにとっても皆にとっても楽しい思い出にできたらいいな♪ まずは迷子探し。おやつが欲しい時間帯、迷子の3人もお腹が空いてたとしたら屋台とかの美味しそうな香りに釣られてふらっとー…なんてこともありそうかな。
ロイ・アウレアです。皆さま宜しくお願いします。 初々しい時期でホコッとするね。 『迷子の発見と保護』 外見年齢が五~七歳なら会話は成立すると思うので 話しながらエンパシーで記憶(親の顔とか)を読み取るのが浮かんだが…持ってない。 ……誰か試す予定の方は居ますか? 無いならこの機会に取得を考えますし、居るならお任せし他の手で探そうと思う。 初デートを成功に導く方は…フェリクスに働きかけてみようかな。 今回はソロ参加なので見せつける…のはどう考えても難しいからね。 成立まで後1名、誰かヨロシクー!
ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミでございます。 迷子さがしと並行して親探しもしないとでございますねぇ。 宿泊客なのか、もしくは従業員のお子様という線も…? 目立つ風貌のお子様でございますから、聞き込みで双方探したいでございます。
ああ、その子供たちがフラフラとどこかに…… そうか、では別の方法で探しますね。
おお、参加が増えているな!よろしく! 従業員の子か、確かにその線もあるな。 迷子探しは「そこまで深く考えずオーソドックスに攻略していくくらいできっと大丈夫です。」とあるから、ソロでも全然いけると思うぞ! 迷子探しにはフェリクスとヴェラにも加わってもらうことを考えているんだが、どうだろうか。 最初はこちらで預かる方向で考えていたんだが、フェリクスが途中で迷子探しを放ってデートに専念できるか?とも思ってな。 デート中そわそわ気にしてしまうとヴェラが楽しめないだろうし、だったら一緒に探して気がかりをなくした方が楽しめるんじゃないかと思う。
>オーソドックスに攻略 ありがとう、では一般的な探し方にしよう。 フェリクスとヴェラにも頼むのはとても良い案だと思う。 お互いに今まで見えてなかった面も見えて進展で来そうだね。
アルマだよ、滑り込みの参加だけどどーぞよろしくねー 一般的な探し方とお二人にも加わってもらうのいいと思うよー いちおう迷子になってからの時間はそんなに経ってないみたいなので 補助的に残留感応思念で迷子と迷子の親?探しをしようかなと
はあぁ……俺としたことが……! ちょっとの間迷子たちの面倒を見るつもりが、俺が面倒事を巻き起こしちまうなんて……。 皆が手を貸してくれることになってホッとはしてるんだけど……なんか迷惑掛けて申し訳ない気持ちでいっぱいだ……。 とにかく、俺の不注意で更に迷子になっちまった迷子たちを早く見つけて親御さんに引き渡さないとだよな。 俺も頑張るから、よろしく頼む! (子供絡みの案件でこいつに勝手に頑張らせるとロクなことになりません。皆様が主導権を握ってこいつを思うままに動かして下さい。 by天の声)