鎧を漁り、骸は呻き
螺子巻ゼンマイ
コメント 12
シナリオID:1570
オープニング
今となっては口伝にのみ残る事だが、鴉鳴くかの山には昔、濃い呪いを帯びた怪物が徘徊していたのだという。
近づく者の心を蝕み、膝を付いた人間のエーテルを吸い尽くし、木々は血を吸って黒い葉を繁らせる。
だがある時、怪物は一人の戦士によって討伐された。
金剛石をあしらった鎧を纏った戦士は、輝ける心の強さを以て怪物に挑み、その心臓に剣を突き立てたのだ。
……けれど、戦士は戻らなかった。
怪物の血を身に浴びた戦士は、呪いによって穢れたのだ。
穢れを人里に持ち込まない為、戦士は山の洞窟で独り、命を絶った。
以来、山の近くの村には平和が戻ったが……山の中には未だ、例の怪物の呪いが遺されているのだと、信じられている。
そういうわけで、村の人間は余程のことが無い限りは山に立ち入らない。
しかし村外の者であれば、話は別である。
呪いの伝説を聞いた無謀な男たちは、その伝説が事実であれば、山には戦士の鎧が遺されている筈だと考えた。金剛石をあしらった、恐らくは高価な鎧が、だ。
夢を見る事は止められない。
村人が忠告しても、そうして消息を絶つ者は珍しくなく。
あの時も、血気盛んに沸き立つ男たちを尻目に、村人はただ嘆息するばかりだった。
彼らもきっと山へと立ち入り、それっきりになるのだ。
命を無駄に散らすことは無いと話しても、ああいう手合いは聞き入れない。
村人は飽き飽きしていた。夢を語り死んでいく、鎧漁りの存在に。
だから、少しばかり。
気を抜いていた。口を酸っぱくして言い聞かせる価値は無いのだと。
いつもと同じように宿と食事を提供して、少しばかりの金を落としてくれれば良しとすべきだ、と。
「……ジェイルがいない?」
「ああ。アイツ、鎧漁りの話をなんか真剣に聞いてたし、もしかしたら」
村の若者が一人、男たちの熱に浮かされたらしい。
ジェイルという年若い村人は、病気の妹を抱えて苦しい日々を送っていた。
金があれば街で医者に見せてやれるのに、といつも呟いていたのを村人たちは知っている。
「おにいちゃんが、どうかしたの?」
「あ、ああ……いや」
ジェイルの家から、不思議そうな顔をした妹が、ふらりと出てくる。
その顔色は白く、蒼い。村の大人は「なんでもないんだ」と彼女を誤魔化して、ただ遠くへ出かける用事が出来たのだ、と帰らない理由に嘘を吐く。
連れ戻しに行くべきだ。
鎧漁りが勝手に命を散らすのはともかく、ジェイルにはあの妹がいる。
村人たちは話し合い、その日の昼前には街のギルドへと馬を走らせた。
依頼内容は、ジェイルの捜索。
無事に彼を連れ戻してくれれば、それ以上は望まない。
けれど、もし可能であれば……あの鎧漁りたちの命も、救えれば。
●
「なんだよあれ、なんだよあれ、なんだよあれッ!?」
ギルドに依頼が出されたのと、同刻。
真昼だというのに薄暗い山の中で、今年十四になる少年ジェイルは、木陰に隠れて荒れる呼吸を手で抑え込む。
足は震えていた。目には涙も浮かんでいる。
それだけ恐ろしかったのだ。たった今、目の前で起こった出来事が。
(あの鎧、生きてるぞ!?)
金剛石の鎧は確かにあった。
血を浴び黒く穢れた鎧は確かに、剣を携え洞窟に眠っていた。
鎧漁りは歓喜して、鎧を運び去ろうと腕を伸ばし。
リーダー格の男の指先が、黒い血の跡に触れた途端。
(動いて、斬った。鎧漁りの兄ちゃんたちを。それだけでもヤバいけど……)
木の陰から、チラと洞窟の入り口を覗く。
ザッザッザ……中からは砂利を踏む無数の足音が響く。
彼らが出てくるのも、時間の問題だ。
(逃げなきゃ。村まで? でも……)
洞窟から出る時、ジェイルは足を怪我していた。
早くは走れない。それに、きっと奴らは、自分の事を追っている。
(俺が逃げたら、妹や村の人も……)
山から下りてきた奴らに、殺されてしまうかもしれない。
迷っている内に、足音は洞窟の外に出た。
もう一度、ジェイルは入口へと目をやる。
「……オ、オォ……」
……鎧漁りだ。
胴を切られ、血を喪い蒼褪めた鎧漁りたちの、死体。
死んだはずの彼らはしかし、金剛石の鎧に従えられるように、呻きながらも動いている。
彼らはアンデッドと化していた。
怪物の呪いだろう、とジェイルは信じ、後悔する。
なんて馬鹿な真似をしたんだろう。どんな理由であれ、この山に立ち入るべきじゃなかったのに。
痛む足を引きずりながら、ジェイルは村の大人たちに聞いた昔話を、もう一度頭に思い浮かべる。
――曰く、その山は呪われている。
解説
マスターより
リプレイ
「ロマンに憧れるのは分かるけど、命を落とすような真似をするのは悪い子だねぇ……」
事情を聞いたロベリアは、そう嘆息し肩を竦める。
きっと伝説の戦士も、自分の鎧を求めて人死にが出たと知れば悲しむんじゃないだろうか。
「一番悪い子はジェイル君さ! 可愛い妹に心配かけて……」
「まぁ、夢に当てられる事が悪い事ばかりたぁ言わんがな」
危険を顧みず追いかけてこそ、掴み取れる物もあるのだろう。
ラオ=レイは呟いてから、ふぅと大きく息を吐く。
「しかし、今回ばかりはちょいと背伸びが過ぎたようじゃ」
彼の動機も分からないではない。
だからと言って、無謀を放置してはおけない。
「……ちゃんと連れ戻してあげないとね」
「そうじゃな。何としても無事に連れて帰ってやらんとな」
帰りを待つ妹のため。
冒険者たちは依頼を引き受け、急ぎ山へと向かった。
●
「危険な状況という事なら、一刻を争うわね」
依頼を受けてから二、三時間。
ジェイルが『呪い』に関する何かに遭遇しているとすれば、時間に猶予はない。
アヴェラ・ウッチェロは周辺にエーテルの波動を放ち、状況を探る。
「……この辺りには何もないみたい。もう少し奥、急ぎましょう」
スキルから得た情報を処理しながらも、彼女の耳は注意深く周りの音を拾う。
足音、或いは鎧の擦れる音。そういったものが拾えれば良いのだけれど……
彼女は同じく耳を澄ますラオと視線を合わせ、共に首を振る。成果はまだ、無い。
「ジェイルー! 聞こえたら返事をしてちょうだーい!」
若しくは、彼が自分たちを見つけてくれれば。
ロゼットは声を張り上げながら、暗い森を見回した。
まだ日は高いのに、森の木々が光を遮ってしまっている。
迷わないよう、彼女は注意深く今進んでいる方角を意識する。
そんな中、旅中の知識から周囲を観察していた冒険者だわが、「気になるものを見つけた」と声を掛けた。
「人の通った跡だろう。それも複数人も」
「本当だね。この先にジェイル君がいるかもしれない」
ランタンを寄せて足跡を確認したロベリアが、鋭い歯を見せて笑む。
そうして足音を追い進むと、やがてアヴェラとラオの耳が異音を掴む。
「鎧が動いているわね」
「近いのう。数は分かるかの?」
「十一体、ってところね」
アヴェラが口にした数に、ロゼットは顔を曇らせる。
木々を抜けた先の光景が、彼女の脳裏に浮かんだ故だろう。
冒険者たちはすぐにも駆け出して、識別した何者かの前へ出る。
そうして、彼女たちの目に飛び込んできたものは。
「鎧が……動いてる? アンデッドまで……!」
伝説のそれであろう鎧と。
呻き声を上げる、鎧漁りだったもの。
……幸いにも、それで動揺する冒険者はここにはいない。
ロゼットも、落ち着いて彼らの中にジェイルの姿が無い事を確認した。
「それじゃあ、彼が近くにいる事を祈って」
ロベリアはすぅと深く息を吸い、絶叫する。
「ジェイル君生きてるか~い! 助けに来たから慌てるなよ~! 可愛い妹君が待ってるぞ~!」
山の鴉が慌てて逃げ出す声量だった。
正確には、彼女の術によって増幅された音。
魔女は爆音に鎧たちが無反応な事を残念がりつつ、シンと静まった森で返事を待つ。
するとか細く震えた声で、「ここです」と返事があった。
その一言で、状況は動き出す。
「今行くわ、待ってて!」
ロゼットが駆け出すと同時に、鎧たちも声の方向へ意識を向けた。
狙われているのだろう。鎧漁りが声頼りに弓を放つが、矢は瞬時に駆け寄った盾に弾かれる。
「引き付けましょう」
「ああ。……通ってくれればいいが」
矢を防いだドゥーンフォルトが短く言うと、だわがコクリと頷いた。
二人は直近の鎧漁りに鋭い殺気を叩きつけ、様子を見る。
「ヴ、ヴ……」
「効果ありですね」
「なら、引き続き俺は鎧漁りを相手する」
「頼みます。自分は鎧の方へ!」
ばさりとマントを翻しながら、ドゥーンフォルトは鎧漁りの間を駆け抜ける。
眼前には、先に駆け出していたアヴェラの姿。
「さて、行くわ」
重厚そうな汚れた鎧は、彼女の目からすれば倍近い巨体であったが。
(関節部なら効くかしらね)
故にこそ冷静に、彼女は敵の弱点を考察する。
少なくとも、厚みある部位を狙うよりは通りやすいはずだ。
アヴェラは考え、爪刃で鎧の脚関節を狙い、腱撃のエーテルを叩き込んだ。
「……」
鎧は沈黙を保つが、手ごたえのようなものはある。
部位かスキルか、どちらかは確実に有効だ。
「ヴ……」
鎧より僅か前方では、鎧漁りが警戒状態に入っていた。
だがその不確かな意識は、剣士たちのシーザーロアによって乱されている。
「おうおう、ウォーリアの旦那方ばかり気にしてちゃあいかんぞ」
注意を欠いた鎧漁りの懐に、ラオが瞬時に潜り込んだ。
最早夢さえ映さない濁った瞳に、彼は僅かに眉根を寄せて。
「まずは駆けつけ一杯、熱い一撃をどうぞ召し上がれ、じゃ!」
紅蓮の炎爪を、叩き込む。
ずざりと肉を断たれた屍は、ぷつりと糸が切れたように倒れ込んだ。
「よーく頑張ったのう、坊主。儂らが来たからにはもう大丈夫じゃ」
ラオはチラと背後を横目で見て、威風堂々と口にする。
ロゼットが、木陰で動けなくなっていたジェイルの救出に成功したのだ。
「足を怪我してるのね。見せて?」
「っ、はい、でも」
どこかで切ったのだろう。
血の流れる足に、ロゼットは己の棍からエーテルの光を浴びせてゆく。
少年は治っていく足と神官と老爺とを見回して、それでも少し怯えの残った声で、言う。
「あれは森の呪いなんだ……みんな、逃げて!」
「逃げる? 少し違うねぇ。ボクらは連れ戻しに来たんだぞ?」
「けど」
「任せなさい。人外の相手は慣れてるの」
戸惑うジェイルに、敵と戦うロベリアとアヴェラはハッキリとした口調で応える。
攻撃は通った。倒せない相手、というわけではない。
「俺たちはお前を守りに来た。守らせろ、お前も村も」
「ちょちょいと片付けてやるから、坊主はそこの別嬪さんと一緒にいるんじゃぞ」
淡々と主張する、だわ。
わしらなら心配要らんわい、と笑むラオ。
冒険者たちの言葉と行動に、ジェイルの呼吸は落ち着いてきて。
「ね。もう大丈夫よ。貴方のことは助けるし――」
ロゼットはジェイルに優しく微笑み掛けてから、血で穢れた鎧へと目を向ける。
「――勇敢な戦士の偉業を、呪いとして終わらせないわ」
彼の物語を、正しく英雄譚として締めくくる為に。
冒険者は少年を守り、呪鎧と屍骸の群れへと、立ち向かう。
●
「今考えても仕方ないこと、なのですが」
振り下ろされた肉厚の剣を、ドゥーンフォルトは己が盾で防ぐ。
骨にまで響く衝撃と、対面して伝わる悪寒。嫌な感覚に眉を顰めながら、彼は呟いた。
「鎧を動かしている正体は、何なのでしょうね」
「どうかしら。仕組みまでは分からないけど……」
相対して分かるのは、鎧に中身は詰まってない。
完全に空というわけでは無さそうだが、動いているのは鎧自体なのだろう。
呪われたのは戦士なのか、鎧なのか。
怪物の血を浴びた事で戦士が呪われた、という口伝が確かなのなら……
「そこを、狙わせてもらう!」
返す刀の一撃で、大剣士は鎧の血の跡へ素早く刃を振り下ろす。
ガィンと響いた斬撃は、けれど鎧の反応を引き出さない。
(或いは、別の要因なのか?)
口伝はしばしば、正確性を失うモノだ。
こうして鎧が実在する以上、大まかな経緯に違いはないのだろうが。
ドゥーンフォルトは思考して、ふぅぅと深く息を吐く。
呪いの謎が解ければ、村の人々が安心して山の恵みを得られるようになる。
彼はそう考え、鎧の正体へと迫ったが……全てを知るには、きっと長い時が要るのだろう。
で、あるならば。大剣士はアヴェラが鎧の側面へと回るのを肌で感じながら、強い眼光を空虚な鎧の兜へ向ける。
為すべきは、戦士の注意を自分へ向けさせること。
そうすればその間に……ガギン!
アヴェラの爪が、鎧の関節部へと、突き刺さる。
「……」
がくり、と鎧の膝から一瞬、力が抜けた。
爪に纏わせたエーテルは、無機質な鎧を確かに蝕んでいる。
(相手を弱らせていく戦い方って、以前なら選ばなかったけど)
効果を感じたアヴェラは、それから抜け目なく周囲の探知を行う。
(こういう状況では、とても役に立つわね)
彼女の探知に掛かる鎧漁りも、数を減らしていた。
仲間が上手くやっているのだろう。集中出来る、と彼女は考えながら、次の手を打つ。
「ジェイル、私の後ろから出ちゃ駄目よ」
後方では、ロゼットがジェイルを背に庇いながら戦っていた。
祭棍から放たれる光の矢は、弓を手にした鎧漁りに命中し、その肉を穿つ。
こちらへ抜けて来そうな敵は、いない。
「はぁぁッ!」
シアンブルーの刃が一閃。だわの周囲の三体の鎧漁りを、同時に斬り払ったからだ。
斬撃で弱った敵には、ラオの爪が素早く食い込み、毒のエーテルが流し込まれた。
「死者に毒が効くかどうかなんざ知らんが、死者が動くなんてこたぁ、あり得ん」
動かす何かがあるのなら、そこにエーテルは届く。
ラオの予測は正しく、金剛石の鎧と同じく、鎧漁りの骸にも毒撃は有効だった。
鎧漁りはラオに剣を振り下ろそうとするが、その前に力を失い、崩れ落ちる。
「……」
配下が倒れた事で、鎧は配下へ僅かに虚空の視線を向けた。
範囲攻撃への警戒だろう。鎧漁りは各々が距離を取り始めている。
「おいおい」とロベリアは呟きつつ、周辺のエーテルを利用し無数の光弾を生成した。
一撃目では三体ほど巻き込めたが、次は……
「二体が限度か。もっと派手にお見舞いしてやりたかったが」
まぁいいさ、と魔女は笑んで宿り木の杖を目標へ向け振り下ろす。
ズダダダダンッ! 雨の如く降りしきる光弾で、更に鎧漁りは力を失う。
「まとまったのは大体倒したかな?」
「残りも今、片付ける」
ダンッ! 強く地を蹴って踏み出した剣士は、残る敵の数歩手前で得物を振るう。
ブォンッ! 瞬間現れたシアンの刃は、衝撃を伴って空を斬り、斬撃を敵へと届かせた。
残るは一体。穢れた戦士の鎧のみ。
「『戦士たちに輝く刃の加護を与え給え!』」
ロゼットの祈りが、ドゥーンフォルトの刃に淡い光を纏わせる。
そして低く深く迫ったアヴェラが、鎧の脚関節を狙い爪を差し込んだ。
関節からねじ込んだ刃に、肉の手応えは無い。
けれど刃から滲むエーテルは、鎧の全体に行き渡り、敵の動きを鈍く抑えた。
その隙を見逃さず、大剣士は全霊の力を込め、大きく得物を振り上げ、叩き込む。
「……ッ」
軋む音。限界は近い。
ぎしりと兜を下に向けた鎧は、足元を駆けるアヴェラを突こうとするが。
「させるものかッ!」
一撃は、ドゥーンフォルトの盾が防いだ。
やはり重い。盾越しでも苦痛が体を突き抜ける。
けれど大剣士は姿勢を崩さず、脳は次の一撃に向け動く。
(ここで削り切れるかしら)
アヴェラは再び爪を鎧の関節に突き刺し、抜き払う。
彼女の感覚は既に、戦況が終結に近い事を感じ取っていた。
「見とれよ、坊主!」
接近したラオが、彼女の逆から鎧の側面へ回り込み、爪で鎧を掻き斬る。
ドゥーンフォルトがもう一度大剣で鎧を叩くと、すかさずその後ろから、だわがロゼットのスキルで輝きを強めた剣で、衝撃波を撃ち放つ。
「……、……!」
鎧は更に激しく軋む。
或いは既に、その虚ろに溜まった毒が、無い筈の命に届いていたやもしれない。
それでも……最期まで、派手に戦い葬ってやるのが、彼への礼儀というものだろう。
「これで幕引きだ。長い長い伝説の、ね!」
ロベリアの魔弾が、トドメとなった。
抑えつけるものが消えたかのように、鎧はバラバラと崩れ落ちる。
ただの鎧となったそれからは、もはや先ほどまでの悪寒は感じられない。
冒険者たちは勝利したのだ。
伝説と、呪いの物語に。
●
「怪我はないかしら」
アヴェラが問うと、ジェイルは「はい」と答える。
足の傷はロゼットが治していたし、戦いに巻き込まれる事も無かった。
良かったと彼女は呟いて、言うべきか少し考えてから、口にする
「苦しい中で一発逆転なんて、失敗したら妹さんはどうするのよ。賭けは、リスクを支払える人だけがするのよ」
「……はい」
俯く彼の姿を見て、分かってくれたようだとアヴェラは安堵する。
彼にリスクは払えない。彼らはきっと、呑み込んでいたのだろうけど。
「あ~~~……ま、なんじゃ。わし個人は別にどうってことはないんじゃが?」
ぼりぼりと頬を掻き、気にしていない素振りで、ラオは鎧漁りの屍に目を落とす。
「自分の欲得のためではあったんじゃろうが、死ねば澱。村の連中も気にしておったし、野ざらしも気分が良くない」
だから、彼らを何処かに弔えないか、とラオは提案する。
「そうね。怪我が無いなら、ジェイルも手伝える?」
頷く少年。アヴェラはそれから仲間に問う。
金剛石の鎧は、どうするべきかと。
「私はジェイルにあげても良いと思うのだけど」
「しかし……危険かもしれませんし、調べた方が良いかと」
原因が分かれば、山の安全も確保出来る。
そうなれば村の暮らしも良く出来るハズだと、ドゥーンフォルトは思う。
鎧を売るのに比べたら、時間は掛かってしまうけれど。
「ふむふむ。……ボクは悪い魔女だからねぇ。その辺り、悪巧みをしていたのさ!」
話し合う仲間に、ロベリアは悪魔じみた笑みを浮かべて、一つ提案した。
●
「この症状なら、きちんと薬を飲み続ければ完治出来そうね」
「薬草もこれなら高価じゃない。充分手が届くハズだ」
ロゼットとロベリアは、診察結果から薬の調合を相談し合い、メモを記す。
病気の妹を街の医者に診せるには、金が要る。
ならば今、自分たちが妹の容態を診て、薬を処方してやればいい。
ロベリアの目論見通り、妹の症状は二人の知識で対応可能なものだった。
「鎧探しは無駄足だった訳だ、残念!」
鮫のような歯を見せて笑う魔女に、ジェイルは呆気に取られた顔をする。
そうして一足先にジェイルの元を去ろうとする彼女は、最後に小さくこう言い残した。
「これに懲りたら早まった真似はせず……ちゃんと側に居てやるんだね」
それが一番、妹にとっても嬉しい筈だ。
「お代は要らないから、二人で美味しい物でも食べるといいよ」
彼女の言葉に、ジェイルはこくこくと何度も頷く。
「それじゃあジェイル。話したこと、お願いできる?」
「はい。お世話になりました!」
ロゼットに深く頭を下げてから、村の人々の元へ走るジェイル。
村では既に、アヴェラたちが事の顛末を村人に伝えている。
「これを、噂として広めてくれる?」
同じような夢を見て、滅びる者がでないように。
それから近辺では、ある噂話が語られるようになった。
――曰く、その山は呪われていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2021年11月06日 07時35分03秒 公開
相談掲示板
ヒーラーの神官戦士ロゼットよ。よろしくね。 考えておきたいことは、ふたつかな。 ・山中の洞窟、ジェイル発見のための準備 ・敵の撃破と、ジェイル救出のための行動 >敵「金剛石の鎧」 これは動く鎧、リビングアーマーみたいな感じかな。 中身がアンデッドか、空っぽなのかは分からないけど。 あと、敵「金剛石の鎧」を倒せたとして、鎧はどうするか。 呪われた品らしいから、回収するべきか、地に埋葬するか。 さすがにジェイルにそのまま渡すのは、後が怖いかなと。 こんな感じで、成立するまで様子見してるわ。
シーフのアヴェラよ。よろしくお願いするわ 洞窟・ジェイル発見については、私は「捜波」と「探波」で行おうと思うわ。 敵の撃破については、金剛石の鎧にデバフを与えていく感じかしらね。大ダメージとかは出せないから、そこはお願いする事になるわね。 あと、鎧漁りについての方針も認識合わせておきたいわね。殺すのか、生かすのか。 鎧の扱いだけど、回収がいいんじゃないかしらね。 埋めたら埋めたで、また漁る輩が出ないとも限らないし。
>鎧漁り×10 既に金剛石の鎧に殺されて、アンデッドにされているから 撃破しかないと思うわ。OPでの描写も生きているようには 見えないようだから、迷わず撃破していいかと。 >鎧は回収 確かに、回収した方が良さそうね。
ラオ=レイ、シーフをしておる。よろしく頼むぞい。 捜索については、大丈夫そうかのう。じゃあ、わしは攻撃スキルを中心に持っていくとするか。
ウォーリア。だわ と呼んでもらえれば。よろしく頼む。 悪いが、捜索は任せたい。そのぶん前衛は務められるよう努力する。 鎧漁りの撃破については異論なしだ。 取り巻きを無力化した後に本体の金剛を叩くのが良さそうに思えるが……仮に首を狙ったところで止まるかは分からないな。
ウォーリアのドゥーンフォルトと申します。どうぞよしなに。 自分は捜索に適したスキルを持ち合わせていないので、ジェイル救出のためにカバリング→シーザーロアで敵を引きつけようと思っています。 その間にどなたか、ジェイルを敵から引き離して保護してくれないでしょうか?
成立したわね。よろしく。 私は山中で道に迷わないよう「位置感覚」を持っていくわ。 戦闘は後ろから、射撃魔法や回復魔法で援護するわ。 金剛石の鎧と戦う人には、攻撃強化でバフをかけるわね。 >ジェイルの保護 なら私がやりましょうか。ウォーリアとシーフで4人いれば、 前衛は十分でしょうから、私は後ろに下がってるわ。 ジェイルは足を怪我してるらしいから、ヒールで治して。 >金剛石の鎧 ダメージが分かりにくいけど、鎧をひたすら叩いてみるか、 ウォーリアが動きを抑えて、その隙にシーフが手足の関節を ざくっと切ってみるとか。中身が無いなら、バラせるかも。
>鎧漁り あ、見落としてたわ。たしかに迷わず撃破で良さそうね。 >金剛石の鎧 関節ね。狙ってみるわ >ジェイルの保護 引き付けと保護、よろしくお願いするわね
ふむ、金剛石さえ倒しちまえば大した敵じゃないとはいえ、放っておくには数もいるしのう。 わしは鎧漁りどもをメインに戦おうかのう。
やあ、ボクはエルフのロベリア。見ての通り、悪い魔女さ。 皆、よろしく頼むよ。 ボクは久々の仕事だから、何か勘違い等があれば遠慮なく、でもやさしーく指摘してくれると嬉しいな♡(ふざけた様子でぶりっ子する) にしても、美しくても悲しい伝説を持った山と鎧だねぇ… 怪物を打ち倒した戦士もこのままじゃ報われないだろうし、ボク等が引導を渡してあげようじゃないか。 今の所、相談の流れは大体把握したつもりだよ。 捜索はアヴェラ君のスキルがあればかなり楽に進めれそうだね。 念を入れるならボクも超視力やサウンドボマーを使って大声でジェイル君へボク等が助けに向かってる旨を伝えたりも考えてるけど、必要なさそうかな? ジェイル君の保護は治療も出来るロゼット君に任せるので異論はないよ。 >戦闘 ボクは範囲攻撃も単体攻撃も行けるから、攻撃役に専念しようかな でも、その分か弱いから下がってるし守ってくれると嬉しいな(微妙にくねくね動いてか弱さアピール) ボクの優先順位は、強力な範囲攻撃が使えるから鎧漁りを素早く片付けた後に鎧へ集中する形がいいかな。
>保護 ありがとうございます。自分で安全な場所に避難することが難しそうだったので、ついていてくださるととても心強いです。
>保護 助かる。保護対象を優先して狙うような相手なら厄介だが……その時は何とかしよう。 >金剛石の鎧 その作戦が良さそうだな。バラせれば回収もしやすくなるか。 >サウンドボマー ついでに敵視をこちらに向けられるかもしれないな。聴覚があればだが。 こちらも念の為カバリングとシーザーロアの準備はしておく。その上で鎧漁りの処理から入るつもりだ。