吸血鬼よ。寝た子を起こすな

岩岡志摩

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シナリオID:1550

オープニング

●野営
 秋も深まり、ようやく過ごしやすくなってきた今日この頃。
 とある野営地に、皆様は居た。
 そろそろ日が沈む。
 今日皆様は、それぞれの理由からここで野営することにした。
 皆様がどうしてここに集まったのかは、それぞれ理由があるだろう。
 こことは別の場所で依頼をこなした帰り。
 強くなるための修行から帰ってくる途中。
 あるいは観光で出かけた帰りかもしれない。
 単に近くの街にある宿屋の代金を惜しみ、野営を決めただけかもしれない。
 冒険者とはいまだ見たことのない未開の土地を探し、危険を潜り抜けてきた者達という側面もある。
 新人の場合は、これからそうなるだろう。
 だから野宿なんてお手の物だろう。たぶん。メイビー。
 ちょうど冒険者ギルドから貸与された野営道具が揃っている。
 野営道具に、調理器具。暖をとったり料理を作ったりする為のたき火。
 それだけあれば満天の星空の下、一手間加えた料理が味わえるだろう。
 もう少しすれば寒い季節になるだろうが、今は天幕の下に引きこもっていることは無い。
 地面に外套を広げてそこに転がって、星を見ながら寝るのも良いだろう。
 これも冒険者が味わえる暮らしの一つ。
 たまにはこんな日があっても悪くな――。
「おや、こんなところに餌が転がっているな」
 皆様の眠りを妨げたのは、皆様を『餌』呼ばわりする不審な声。
 目を開けてみれば、まだ周囲は夜が明ける前。
 見張り役の仲間は照明も兼ねた篝火を周囲に残し、席を外しているようだが、すぐ戻ってくるだろう。
 だがそれよりも、真夜中に訪れたこの男はある意味異様だった。
「こんなところで野営とは、家をなくした放浪の民かあるいは冒険者か。ちょうどいい」
 口の端から鋭い犬歯をみせ、篝火に照らされたその肌は青白く冷たい色をしており、目は赤く輝いている。
 肌の色を断言できるのは、この男が赤いマントの他には同じ色のブーツ、そして赤色のパンツしか履いていないから。
 季節柄を考えてほしい。いや、別の季節でもかなり問題だろう。
 ――というか、まともな服はなかったのか?
 冒険者の中で、そんな疑問が生じたとか、そうでなかったとか。
 そして変態――男はこう言った。
「血に飢えていたところだ。この私に血を吸われる栄誉を与えてやろう」
 恐らく正体は吸血鬼だろうが、まずはその筋骨逞しいというか、見ている人間を暑苦しくさせるポージングは止めようね?
 大胸筋を誇示するポーズをとった男の筋肉がぴくぴくと動き、ミチミチと皆様に語りかけてくる。
 そして篝火の向こうから、全身が骨で構成されるアンデッド――スケルトンが2体、近づいてきた。
 どうもこの吸血鬼は死霊術師の素質もあるようだが、吸血鬼は気づいていない。
 この場にいるのは、狩られるだけの一般人にあらず。
 力を合わせれば吸血鬼すら屠ることができる、冒険者の皆様だ。
 いわば眠れる獅子達を、吸血鬼は叩き起こしてしまった。
 こんなへんた……もとい吸血鬼に黙って血を吸われるほど、この場にいる冒険者の皆様はお人好しではない。
 さあ冒険者の皆様。
 皆様の睡眠を妨害した報いを、この吸血鬼にしっかりと受けさせてあげようじゃないか。

●やること
 皆様はある街の近くにある野営地で一晩を過ごすことを決めました。
 その理由は様々ですが、皆様はこの場所で思い思いに過ごしました。
 野営やそこで料理を作る為に必要な用具は、予め冒険者ギルドより借り受けている、という形になっていますので、皆様は所持しているという前提で野営器具や調理道具を扱うことができます。
 そして交代で見張り役を行い、皆様は眠りにつきました。
 しかしその睡眠を妨害するような形で、今回吸血鬼やスケルトン達が現れました。
 吸血鬼は皆様の血を吸いたがっているようですが、皆様は血を差し出す義理などありません。
 睡眠を妨害された怒りを込めて、吸血鬼たちをぶちのめして撃退して下さい。
 なお皆様が吸血鬼を撃退もしくは撃破した後、近くの街へ行けばわかりますが、この吸血鬼はこの一帯を荒らす不届きな存在として賞金が出ていたらしく、この周囲から追い払うための依頼も出ていました。
 皆様がこの吸血鬼を撃破もしくは撃退したことが証明できれば、皆様は報酬を受け取ることができます。
 なお吸血鬼を討伐もしくは撃退したことの証明は、別件で野営に関わっていたアルヒ・ラスカスが行いますので皆様の方で何か行われる必要はありません。
 PL情報ですが、この吸血鬼は皆様を強者と判断すると「殺すには惜しい。お前も吸血鬼にならないか?」と勧誘してきます。
 カッコ良くお断りいたしましょう。
 では皆様の眠りを妨げたへんた……もとい吸血鬼退治をお願いいたします。

解説

●目標  吸血鬼の撃破もしくは撃退  登場  吸血鬼×1  この場に現れた吸血鬼。見た目はヒューマンで身長2mの成人男性。略称『鬼』。  身体能力が高く、夜目が効くため暗闇でも行動に支障をきたさない。  下記スケルトンを従えていることから、死霊術師の素質もある模様。  射程1の槍と盾で攻防。  PL情報:下記スキルを使う模様。異常にしぶとい。  魅惑の構え  ポージングを披露することで、理屈は不明ながら1対象に【執着】のバッドステータス付与判定を行う。  サブアクション扱い。最大射程6hex。  円閃  武器を振り回して自身の周囲を薙ぎ払う。自身から直径1hex。自己識別。  スケルトン×2  人型骸骨の姿をした全高2mのアンデッド。通称『骨』。剣と盾で攻防。  アルヒ・ラスカス  今回唯一の増援。皆様の指示に従う。使用可能スキルはヒール、解呪。  状況  とある街近くにある雑木林内の野営地。現地時刻は夜明けまであと2時間ほどの夜で快晴。  皆様は何人か交代で見張りを用意し、就寝していた。  吸血鬼が下記見取り図内の北側よりスケルトン達と共に襲来し、吸血を宣言する。  皆様の中で見張りとなっていた人は、何らかの理由でこの場から席を外していたが、すぐに戻って来た。  皆様は吸血鬼がこの場所に来る前にこの場所で何かやっていても可。  現場は雑木林の中のひらけた場所で、周囲にはかがり火が配されており、視界は確保されている。  皆様には、この場で過ごすための野営道具や調理道具一式が貸与済み。  以下簡易見取り図。1マスあたり10×10m。  ↑北   ABCDEFGHI  1森森森森☆☆森森森  2森照 照  照営森  3森営     営森  4    鬼  5☆ 骨   骨 ☆  6森       森  7森照☆   ☆照森  8森照営   営照森  9森森森☆☆森森森森  ☆:PCスタート地点。自由に選択・重複可。  鬼:吸血鬼。  骨:スケルトン  営:皆様のテントがある場所。  森:森林地帯。見通しが悪く移動に支障が出る。  照:かがり火。

マスターより

 こちらはPC様よりリクエストされたシナリオになります。  今回の吸血鬼はデイウォーカーではないので、夜明けまで粘って撃退しても依頼は達成となります。  この吸血鬼は外見や挙動こそふざけていますが身体能力が高く、特に生命が異常に高い為、長期戦となる可能性が高いです。  なお周囲は無人のため、皆様の方で周辺で暮らす人々の避難誘導を行う必要はありません。  ご不明な点がございましたら、アルヒが答えられる範囲は答えます。

リプレイ

●遭遇しました
 ある場所で冒険者達が野営していたら、吸血鬼(以下『鬼』と略)に襲われた。
 たまたま見張りの番を務めていたクローリカは鬼やその配下と思われるスケルトン(以下『骨』と略)を見ても慌てることなく、就寝していた仲間達を起こしにかかる。
(もう秋も深まっているというのに、何なんでしょうこの格好は……)
 クローリカは冷静に鬼の格好を確認する。
 鬼の姿は赤マントに赤いパンツとブーツしか身に着けておらず、先程から自身の筋肉を誇示するポーズをとっている。
「なんだ。猪なら歓迎だが食えないものが来たのだ」
 クローリカに起こされ、装備を整え天幕から出たストレガ・L・リベルガストラは、睡眠を邪魔した相手の姿を見るなりそんな評価を下す。
「さて、そんな装備で大丈夫か?」
 ストレガも、クローリカと似たような印象を抱いたようだ。
 クローリカは冒険者達を起こす時間を稼ぐため、鬼たちに向け閃光塗弾を投擲する。
「閃光での目くらましは、吸血鬼にも効果を発揮すると思います」
 クローリカが投げた閃光塗弾は鬼の足元で閃光を伴って破裂し、鬼は強烈な光をまともに見たせいか、マントで顔をおさえている。
 その隙を突く形で、ストレガはカースを行使。
 目に見えない呪詛のエーテルがストレガより放たれ、鬼に命中すると、呪いを込めたエーテルが鬼の身に絡みつく。
「もしかしてテリーズ・トラ・トリュースのつもりかぃ?」 
 クローリカに起こされ、装備を整えた状態で外に出てきたパヴェル・A・サムルガチェフは、飄々とした態度を見せているが目は笑っていない。
 パヴェルの記憶では今は収穫祭の時期のようだが、少なくとも寝ているところに押しかけるような風習ではない。
「だとすれば、てめぇは時期も時間も間違えたよなぁ。ふざけるのはその恰好だけにするんだねぇ」
 パヴェルは割と辛辣なことを言いつつもダマスカス鋼の祭刀を構え、この場にいる味方の支援に回る。
 なおこの頃にはクローリカと共に見張りに立ち、一時的にこの場にいなかったセリオス・オーガストも北側より戻ってきた。
 セリオスは天眼によって鬼や骨達を把握するなり、隠蔽スキルで身を潜める。
(敵は吸血鬼1体にスケルトンが2体で全てか。今の段階ではその全てが南に意識を向けているようだな)
 セリオスは鬼たちに気取られぬよう注意を払い、ゆっくりとダマスカス鋼の短弓Reの弦を引き絞る。
 そしてクローリカに起こされたバーネット・フォーサイスも装備を整え、天幕の外に出る。
 そのバーネットは鬼を見るなり、一瞬で目が覚めた。
「ダメだ、見た目がアレ過ぎて奴の主張が碌に頭に入らねぇ」
 バーネットの耳には鬼の言葉が届いていたようだが、鬼の外見が強烈過ぎたのか、頭に入ってこない。
「……まぁ、敵なのは変わらないだろうし、とりあえずぶちのめすか」
 鬼と骨を分断して連携を阻止するため、バーネットは天眼と戦術眼を活用すると、骨に向けグラビティフィールドを行使。
 不可視の重力場が骨の1体を中心に形成され、重力場に囚われた骨はその場から移動することができなくなる。
 バーネットの攻撃は、装備を整え外に出たサイラスも視認していた。
「狙う場所は下半身メインだな。足の骨と肉物理的に破壊するなり損傷させれば逃さず済むか?」
 サイラスは鬼達を見渡して位置を把握すると、一番近くにいる敵へと狙いを定めていく。
「翼がありそうなら背中も削いでおきたい所だな。スケルトンも仙骨や座骨あたり破壊すれば弱るはずだ」
 そんな見当をつけながら、サイラスは焔翼を行使。
 炎の翼めいたものを背中に顕現し、エーテルを放出することで加速したサイラスの身が前方へ射出された。
 そのままサイラスは、バーネットが捕捉したものとは別の骨を射程に捉えていく。
 ここでサイラスは鋳造を行使して、骨に向け金槌の形に固めたエーテルを投擲した。
 攻撃を受けた骨の身に大きなヒビが走り、骨は後退する。
(いい加減そのポーズを見せ続けるな。目が腐る)
 セリオスは肉体を誇示するポーズをとった鬼に対しとても嫌そうな視線を向けつつ、インベイシブアローを行使。
 弓弦が鳴り、不可視のエーテルを纏った矢が撃ち放たれ、鬼の(自主規制)に突き刺さる。
 矢に込められたエーテルが鬼の身を蝕み始め、鬼は悲鳴をあげた。

●勧誘されました
 鬼と骨の分断に成功した冒険者達は、各個撃破にかかる。
「吸血鬼への付与は成功したようだ。今のうちにスケルトンの撃破に務めるとしよう」
 先の射撃への手ごたえを感じたセリオスは、再び短弓の弦を引き絞り、バーネットが押さえ込んだ骨を捕捉していく。
 そのバーネットは、グラビティフィールドで形成した重力場をもって、骨の移動を妨げている。
「ラスカスは自衛を優先してくれ。その間に味方が負傷したり、状態異常にかかったりしたらそちらの治療を頼んだ」
 バーネットはアルヒ・ラスカスに味方への支援を要請すると、一度鬼に視線を向け、その状態を確認する。
「呪いはかかったようだから、魔蝕を付与したいところだが……」
 バーネットは戦術眼を駆使した後、骨の撃破を優先するのが最適と判断し、骨に向け魔弾2を行使。
 突き出した宿り木の杖より光球が撃ち放たれ、骨の身に命中してその威力が浸透すると、骨に大きなダメージを負わせたところで、同じ骨に向けセリオスが鋭射2を行使。
 攻撃集中を宣言し、弓矢にエーテルを収束させたセリオスの一射は宙を飛び渡り、骨の頭部を貫いた。
 射抜かれた骨は頭部を粉砕され、頭を失った骨の身が急速に崩壊を始め、粉になって散っていく。
「スケルトンの撃破を確認した。残りはサイラスが倒すだろうから、このまま吸血鬼への集中攻撃に移行するぞ」
 骨を倒したセリオスは、冷静に状況を分析すると再び鬼へと向き直り、もう1体の骨はサイラスが追い詰めている。
(朝まで時間稼ぎとか、色々ストック尽きるよな)
 サイラスの目算では夜明けが近いが、持久戦になった場合は鬼が倒れる前にスキルの使用回数が尽きる懸念が残っている。
 骨からの攻撃をストライクラウンドで防いだサイラスは、そのまま骨の剣を跳ね上げると闘気槌3を行使。
 振り上げられたエクセキューションの黒い剣身に、巨大な光塊が纏って勢いよく振り下ろされ、骨の頭蓋から足元まで一気に叩き潰す。
「あの妙な構えの被害者はまだいないようだが、吸血鬼には……刀を投げ込むとするか?」
 骨を屠ったサイラスは、鋳造を鬼に叩き込む際は刀の形状にしておこうと心に決める。
 骨が全て撃破された後も、他の冒険者達と鬼との攻防は続いている。
 その中でクローリカは前衛役となってダマスカス鋼の盾を押し出し、鬼の攻撃を食い止めていた。
 鬼は筋肉を誇示するポーズをとり、クローリカに執着めいた効果を付与しようとするが、バーネットの要請で駆けつけたアルヒの解呪もあり、それは無効化される。
「後ろのお味方へ貴方の攻撃を通すわけにはいきません」
 クローリカは味方の盾となって鬼の前に立ち塞がり続ける。
「皆の攻撃が通りやすくなるように、その防御を崩させて頂きます」
 鬼からの刺突を盾で受け流すと、クローリカは丁重な物言いと共に破鎧砕2を行使。
 鬼の懐へと踏み込んだクローリカより、肉体を蝕むエーテルをまとわせたダマスカス鋼の細剣が繰り出され、鬼の身に突き刺さる。
 クローリカに続き、別の方角に回り込んだパヴェルも鬼を射程に捉えていく。
「予想はしていたけれど、てめぇを倒すまで先は長そうだなぁ」
 パヴェルは鬼のしぶとさに内心呆れつつも、射程に捉えた鬼に向け攻撃を重ねる。
「状態異常が無効化されることは避けたいところだねぇ」
 パヴェルはそう言いながら、アシッドブリットを行使。
 緑色の光弾がパヴェルより射出され、鬼に命中するとその威力を炸裂させ、その防御を劣化させるエーテルが鬼の身にまとわりつく。
「自身の能力に絶対的な自信がなくては、こうも護衛が少なくなることはないのだ」
 ストレガは鬼の護衛が2体の骨という少なさから、鬼が自分の強さに自身があるからと分析しつつ、足絡之呪を行使。
 次の瞬間、鮮やかな藍色に光る錨(いかり)と鎖が顕現して投擲され、錨が鬼に命中するなり付随する鎖が鬼の身に絡みつき、移動を妨げる効果を発揮する。
「私達を冒険者だと解っているなら、ヤコブ・ヴィリアンだってもう少し警戒するのだ」
 既に討たれた吸血鬼の名を挙げ、ストレガは眼前の鬼が無警戒過ぎると酷評すると、鬼が奇妙なことを言い出した。
「殺すには惜しい。お前達も吸血鬼にならないか?」

●お断りします
 鬼からの勧誘に対し、まずクローリカが吼える。
「誰がお前みたいな変態の仲間になるか!」
 常にない口調で明確な拒否を示したクローリカは鬼へと一気に迫ると、鬼はクローリカに向け、迎撃の槍を打ち下ろす。
 それを察知したクローリカはリヴェンジスマイトを行使。
「その攻撃は織り込み済みです」
 エーテルを一時的に活性化し、鬼の攻撃に合わせて踏み込んだクローリカは盾を前に出す。
 槍と盾が火花を散らし、弾く音を響かせたクローリカが反動を利用して体を捻り、細剣を突風の速度で繰り出した。
 鬼は回避しようとして躱せず、細剣の刺突に胸元を切り裂かれ、損傷を重ねていく。
 次にストレガが応じる。
「『停滞』して何になるのだ。ゴブリンロードもいずれ死ぬ。吸血鬼もそうなるのだ」
 あらゆる叡智を得るためには、世界は広すぎて。
 一人が得られる叡智には限界があると、ストレガは考える。
「そして叡智とは連綿と続かなければならないのだ。故に私は――『ストレガ』は『停滞』である不死を無価値とみなしたのだ」
 ストレガはそう言って鬼の勧誘を切り捨てる。
 ――日の下に出られないなど、阿呆としか言いようがない。
 内心そう呟くと、ストレガは魔糸3を行使。
 ストレガより蜘蛛糸のようなエーテルが鬼に向けて撃ち放たれ、鬼の身に命中したところでその身に絡みつき、その回避能力を低下させる。
「今の状況だと、味方の回復に専念した方がよさそうだねぇ」
 パヴェルはストレガの攻撃が成功したのを見て味方の治療へと方針を変え、クローリカに向けヒール2を行使する。
 パヴェルの身よりエーテルが引き出され、強い光となってクローリカの身に到達すると、それまで蓄積していた損傷を回復していく。
「助かりました。ありがとうございます」
「大丈夫だったかぃ? 見た目がアレな敵だけど、攻撃力もあるようだねぇ」
 クローリカからの礼を受け、パヴェルはおっとりとした雰囲気で応じ、その間にバーネットが鬼に向け答えを告げる。
「そう言う誘いは、怪しい壺の押し売りだけで間に合ってるんだ」
 バーネットはきっぱりと鬼からの勧誘を拒絶する。
「他を当たって……っと。他も何も、今後は今から無くなるな」
 ――ここで俺達がお前を倒すからな。
 そう宣告すると、バーネットは魔蝕3を行使。
 バーネットより筋力を衰えさせるエーテルが撃ち放たれ、鬼に命中するとその攻撃力を低下させ、別の方角からも『答え』が届く。
「俺の答えが聞きたいか? 俺からの答えはこれだ」
 鬼の背後に回り込んだセリオスは、そう言って短弓の弦を引き絞ると真ハーツベインショットを行使。
 弓弦が矢を放つ響きと共に、不可視のエーテルを纏ったセリオスの一射が鬼の頭に突き刺さる。
 その身を強烈に蝕むエーテルが鬼にまとわりつき、頭を射抜かれた鬼はさらに生命を削られていく。
「これだけ効果を付与すればなんとかなるだろうな。効果が続いている間に撃破を頼む」
 セリオスは後の攻撃を仲間達に託し、サイラスが鬼へと切り込んでいく。
「浮気のお誘いはお断りだ。竜になる予定だから寄り道する気がないな」
 サイラスもまた、自らの信念をもとに鬼の誘いをはねつける。
「そもそも他人を、他の生物を取り込まないといけない生物なんて気持ちが悪いじゃないか」
 サイラスからすれば、吸血鬼は唾棄すべき存在に位置している。
 ――肉体も魂も精神も、全部俺のものだ。墓場の蛆蛭どもがそれを汚すな。
 言外にその態度をにじませ、サイラスは鋳造を行使。
 サイラスの手に刀の形状に固められたエーテルが顕現すると鬼に向け投擲され、鬼の身に命中する。
 既に様々な状態異常に蝕まれ、損傷を蓄積させていた鬼は腹を貫通されて生命を断たれ、地面に倒れ伏し動かなくなった。

●退治しました
 絶命した吸血鬼は急速にその身が朽ちていき、灰になって散らばると、それも風に乗って消えていく。
 それを見届けたサイラスやストレガが、残ったものがないか鬼が倒れた場所を探るが、全て風に運ばれていったようだ。
「灰になって消えたか。それも一つの結果だな」
 サイラスは自身の中で、何かの折り合いをつけたようだ。
 判明したところでストレガが中心となり、冒険者達は現場の後片付けを行っていく。
「目が冴えた者がいたら、ココアを淹れるのだ」
 ストレガはケトルやココアパウダーを使い、作成したココアを仲間達へ振る舞う。
「ありがとう。これでもうひと眠りできそうだねぇ」
 パヴェルはストレガに礼を言うと、焚火のある場所に向かう。
「討伐は成ったが、またあのような敵の襲撃を受けるのは願い下げだな」
 セリオスはよほどあの外見の鬼が嫌だったのか、そう言い残すと再び見張りへと戻っていく。
「変な邪魔が入りましたね」
 クローリカが思わず呟いた言葉が、この場にいる冒険者達の心情をよく表していると言えるだろう。
「ラスカスから聞いた話だと、あいつを倒した報酬を近くの街で受け取ることができるようだ。ひと眠りしたら全員で行くか?」
 バーネットはアルヒから聞いた話を仲間達に伝え、賛同を得たところで冒険者達は再びそれぞれの過ごし方で夜明けを迎える。
 野営は散々だったが、後で報酬をもらうことができそうなので、それで良しとしよう。
 ともあれ皆様。今回は本当にお疲れさまでした。いろいろな意味で。

マスターコメント

 今回は生命の高い吸血鬼相手の長期戦を想定していましたが、想定以上に皆様の攻撃力が高く、豊富な種類の状態異常を効果的に叩き込み続けた結果、夜明けになる前に吸血鬼を撃破することができました。  敵である吸血鬼はふざけた言動と外見でしたが、それに惑わされることなく確実に吸血鬼を倒すための手段を積み重ね、全ての敵を撃破するにいたしましたので大成功と判定させて頂きました。  改めましてこのたびはご参加下さりありがとうございました。  またの機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオR

ショートシナリオR普通 報酬:標準6 / 4〜8人

2021年11月06日 08時16分39秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. セリオス・オーガスト

    ・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず単純に吸血鬼とその配下の撃退だな 視界は明かりで確保できてるようだから心配はいらなそうだ あとはどうやるかだが、生命力が異常に高いとあるからスリップダメージ多用で削っていくほうがよさそうだな

  2. No.2

    サイラスだ、よろしくなー とりあえず ・みんな討伐の方向でいいのかね?朝まで待つとか一ラウンド5秒らしいから攻撃最低限で足止め優先くらいでしか無さそうだし。 ・骨→本体とか骨に一人二人割いて本体(執着受けた人+壁役とか?)みたいな方針どうする? ・NPCどうする? ・盾役とかやる? ・開始位置どうする? この辺とりま考えるのが必要かなと? とりあえず俺は書き方の通り朝まで待つよりは殴り殺す方が早そうだなと思う。そりゃ状況によって一ラウンドの時間とか朝までの残り時間変わるけど、カバリングとか回復の本数(特に今回はヒーラーいない)が足りないと思うから。 方針はウォーリアと挑発受けた誰かが吸血鬼相手するか、行動遅らせてNPCの解呪で直してもらって全員で骨を早く落として本体専念になると思うけどまあそこはどちらでも。NPCに関しても知らない他人だから俺が何か頼むのもおかしいかなと言うことでお任せ 開始位置は移動力低いから5の列希望したいなと。チャージング持ち込めばいいだけだけども とりあえず他にウォーリアいるからカバリングなりシーザーロア持ち込んで囮するかそれともお任せするのか確認もしたいかなと。殴りたいタイプの人ならカバリング持ち込むし。

  3. バーネット・フォーサイス

    キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 とりあえず討伐狙いで良いと思う。 流石に、2時間交戦しながら足止めはしんどいどころの話じゃないし、 こっちのスキルが枯渇したらもうジリ貧で終わりだ。 交戦の方針は、敵同士を分断して骨から各個撃破していくか、 一か所に集めて範囲攻撃で一網打尽にするか、集まる面子次第でもあるが、 近接系の面子は執着を受けて吸血鬼の所に集まりかねないし、 回復とか範囲攻撃が豊富だったら、一か所に集めるやり方も有りだと思う。

  4. クローリカ

    ウォーリアのクローリカです。 撃破狙いで良いと思いますが、集まるメンバー次第ですね。ヒーラーさんは欲しい所です。

  5. ストレガ・L・リベルガストラ

    ストレガなのだ。宜しくなのだ。 討伐が早いのだ。 吸血鬼にはカースを仕掛けようかと。 その他はスネア投げて足を止めるのだ。

  6. No.6

    とりあえず揃わんし相談し辛いね。 とりま俺はヒーラーいない前提で移動用にチャージング、届かない,離れられた時用に衝撃刃、回復のヒール、序盤用に闘気槌か削り用に毒撃持ち込み 囮とかそれ系の話なし,どっかに飛ばしてもあれだし火力系積もうかなと

  7. バーネット・フォーサイス

    最低限の面子は揃っているから、まぁこれで何とかするしかあるまい。 >方針 とりあえず大まかな方向としては、足止め等で敵を分断後に各個撃破し、 最後に吸血鬼を集中攻撃する流れになるか? ヒーラーに関してはまぁ、各自余裕のある奴がヒールを用意しつつ、 ラスカスに回復を頼むしかないな。 >個人行動 ストレガがカースを仕掛けてくれるなら、俺もアシッドブリットと魔蝕3でBS付与しておくか。 あとは、足止め用にグラビティフィールドも用意しておく。 攻撃はスケルトンを優先して接近される前に削りつつ、回復用のヒールは俺も積んでいこう。

  8. パヴェル・A・サムルガチェフ

    キャスターのパヴェルだ。 よろしく頼む。 上手く行くかは解らねぇが、頼もしい同職さんがいるんだし、 祭刀担いで、ヒール2,3も詰んで行こうと思う。 【スリップが被った、ないし同時に命中させたとき、強度が上のスリップが残る】 【回復した段階で同一種のバッドステータスは次のターンまで抵抗が成功されていしまう】 ってぇとこが気になってる。 だもんで、もし可能であれば、そういうスキルは順番決めて使っていった方が良いかもしれねぇ、かな。

  9. セリオス・オーガスト

    方針は了解した。 なるべく早くスケルトンを倒して吸血鬼に専念したいところだな。 スリップスキルは俺はインベイシブアローと真ハーツベインショットを持っていけるから最大4発分までは何とかなるな。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0