【FF】妖精と一緒にお茶を
夜月天音
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シナリオID:1529
オープニング
快晴の昼、エラトゥーン都市同盟南東、ベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』も収穫祭で賑わっていた。
それもただ収穫された味を満喫するだけではない。
ドア近くに置かれた案内板に、妖精と一緒にお菓子とお茶を楽しむ事が出来る旨が書かれてあった。
店のドアを開けると、
「いらっしゃいませ! 本日は収穫祭に相応しく、エラトゥーンで収穫された野菜や果物をたっぷり味わう事が出来ますよ。是非、妖精さんと一緒にいかがですか?」
「実は、今朝店を開けた時、妖精さんが入り込み、お客さんとお喋りや飲食をしたいとお願いをされまして、叶うと美味しいナッツを貰う事が出来ますよ」
種族様々な美男美女の従業員の笑顔に迎えられた。
「オハナシ!」
「ハナセー」
「おかし! おかし!」
姿様々の愛らしい妖精達が、入店して来た客にまとわりつき始めた。
それもただ収穫された味を満喫するだけではない。
ドア近くに置かれた案内板に、妖精と一緒にお菓子とお茶を楽しむ事が出来る旨が書かれてあった。
店のドアを開けると、
「いらっしゃいませ! 本日は収穫祭に相応しく、エラトゥーンで収穫された野菜や果物をたっぷり味わう事が出来ますよ。是非、妖精さんと一緒にいかがですか?」
「実は、今朝店を開けた時、妖精さんが入り込み、お客さんとお喋りや飲食をしたいとお願いをされまして、叶うと美味しいナッツを貰う事が出来ますよ」
種族様々な美男美女の従業員の笑顔に迎えられた。
「オハナシ!」
「ハナセー」
「おかし! おかし!」
姿様々の愛らしい妖精達が、入店して来た客にまとわりつき始めた。
解説
喫茶店を訪れて、食べたり飲んだりだけでなく妖精と交流しそのまま食べられるナッツを貰って下さい。
活動時間は、昼から夜までとなります。
【店について】
普通の喫茶店と同様に食事、デザート、百合茶、ジュース、酒など種類豊富に扱っていますが、本日は収穫祭になりますので、野菜や果物がいつも以上に美味しいです。
【妖精について】
人の姿だったり動物の姿だったり手振り身振りや片言だがお喋りをする者もいたり、性格も様々です。
※活動時間や飲食する料理や交流する妖精などの希望がありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
収穫祭を舌で味わうだけでなく妖精とお喋りを楽しんで頂ければと思います。
リプレイ
快晴の昼、収穫祭で賑わうエラトゥーン都市同盟南東、ベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』。
「お祭りの雰囲気そのままに、こちらも素敵な賑わいようね」
宣伝文句を受けて店を訪れたアンネエルカは、妖精達があちこちする店内に和みつつ適当な席に座った。
「温かい紅茶と……そうね、少しずつで構わないから果物の盛り合わせをいただけないかしら」
メニューを軽く見た後、店員を呼び止め注文した。
すぐに注文した品は運ばれ、
「……いい香りね」
紅茶の心地よい匂いに鼻孔をくすぐられていると、
「あら、セヴランさん」
すぐ横を冒険仲間が通りかかり、笑顔で挨拶をした。
「これはアンネエルカさん」
セヴラン・クアルトも気付き挨拶を返してから、付近の席に腰を下ろした。
「野菜とチーズのサンドイッチとカットフルーツを……あと、お勧めのワインを1杯」
席に着いたセヴランは、メニューを開き物色してから注文した。
選んだ料理が運ばれると、
「追加で食後にお勧めのフルーツのデザートにフルーツティーも頼む」
セヴランは追加の注文をした。
「ふわぁ、あっちもこっちも妖精さんが! なんでしょう、この、物語で語られるようなすばらしい非日常感!」
入店したレイヤ・ダライ=カホールは、宣伝文句通りの光景にすでに興奮気味だ。
「どれも美味しそうですが、ここはやっぱりケーキとお茶です! 何といってもケーキは欠かせませんよね!」
近くの席に座りメニューを開き、ケーキと深い繋がりがあるため選ぶのは当然言わずもがなだ。
すぐに注文した品は運ばれ、
「うわぁあ♪」
新鮮な果物で彩られたケーキの姿に一層レイヤは心を躍らせた。
「妖精さんがお客さんとは、絵本もかくやの光景があるのですね……それに彼らなりのお代のナッツ……製法が気になります」
入店したキリアン・フィッツジェラルドは、店内の光景に心を和ませてから近くの席に座った。
「何を注文しましょうか」
早速メニューを開いて、
「旬の果物を使った料理が美味しそうですね」
目についた旬の果物を使用した料理を注文した。
すぐに注文した品が運ばれ、
「……これは美味しそうですね」
見た目の色鮮やかさがさらにキリアンの食欲を刺激した。
あちこちでエラトゥーンの味を美味しく食していると、好奇心旺盛な妖精達が構って欲しくてやって来た。
「ん、美味しい。普段食べているよりもずっと美味しいような。どの野菜も果物も旬だからでしょうか」
キリアンの見知った野菜や果物も幾つかあるはずだが、いつもより美味しさが増しているように感じる。
「それとも、産地の恵みが豊富なのか、そこで生きる者達の知恵と創意工夫の産物なのか。色々聞いてみると面白いかもしれませんね」
思わず店員を呼び止め、あれこれと訊ねた。
さらに好奇心を刺激するのが、
「おはなし、おはなし」
「ペチャペチャ」
「したい、おはなし」
見た目様々な妖精達との交流だ。
「いいですよ。森の民に纏わる話をしましょう」
キリアンは快く妖精達の希望に応じ、話を始めた。
(人語によるやり取りも不可能ではなさそうですが、解釈に難儀しそうな子もいますし、ここは動物交感を使いましょう)
観客の顔ぶれを一巡。人語を喋る子もいれば理解不能な声を上げる子もいる。
「まず僕が話すのは狩猟ですね。形を変えての弱肉強食ではありますが」
妖精達の表情を観察し、退屈していないか確かめつつ上手に話をした。
「もり、すき」
「キラキラ、たくさん」
「きれいよー、おはな」
妖精達はキリアンのお話に興味津々だ。
「特に鹿は角笛に用いたり紋章にしたり……」
語る森の生活に関して、特に鹿への拘りの強さは言葉が多い。
「僕は僕達の糧となった生命、ひいては狩猟の術と森の恵みを齎してくれた神への感謝と敬意を忘れないために角笛による演奏や演舞などを奉納します」
当時の気持ちを滲ませながらあつく語った。飲食を忘れる程に。
散々話し終えたキリアンの胸には、
(彼らの文化に類するものや生活の営み、何を食するのか、如何なる音楽や舞を好むのか。ナッツの製法など、色々聞きたいですね。森と共に生きて歩み寄る為の新たなヒントに繋がるかもしれませんし)
妖精達への尽きぬ興味が沸き起こっていた。
「妖精達もまた森の民、大地の仔、次は僕に聞かせてくれませんか?」
早速、キリアンは幼子でも理解出来る程噛み砕いてあれこれと質問した。
「ナッツ!」
実を拾って木槌で砕く身振りをしたり、
「うた、すき、おどる、すき」
歌ったり踊ったり。
妖精達は思い思いに質問に答えた。
「キラキラ」
1人の人型妖精が、隣席のキラキラな様子に興味を持ったのか乱入しに行った。
それをきっかけに他の妖精達も続き、
「妖精もお洒落好きなのでしょうか」
妖精の生態に興味津々のキリアンも続いた。
「……ん、美味しい」
アンネエルカは紅茶をゆっくり味わっていたが、
「ふふふ」
突然笑みをこぼし、
「テリーズ・トラ・トリュース!」
寄って来た妖精達に挨拶をして、
「私、オシャレをするのが好きなの。キラキラしたもの、カラフルなもの、そういうものも素敵だなって思うの。この首飾りもそう」
仲良くなれたらと話し掛けた。胸元で輝く夢を結晶化させたようなデザインの夜煌石の首飾りに触れながら。
「きれー」
「ぴかぴか」
妖精達はキラキラな首飾りに息をのんだ。
「この首飾りだけじゃなく、このお皿に載ったツヤツヤなリンゴも、ころんっとしていて可愛いぶどうも、なんだか宝石みたいよね……」
アンネエルカが、果物が良く見えるようにと妖精達に皿を寄せると、
「くり」
「ぶどう、おいしい」
「なし、すき」
妖精達は、各々好きな果物の名前を言ったり自由だ。
「そうね。果物は美味しいわよね」
アンネエルカは賛同し、
「おいしい、いっしょ」
妖精達を喜ばせた。
だが、
「えぇ、好きな物を誰かと共有できるのってとっても嬉しくて幸せだと思うけど、私が言いたいのは食べる事じゃなくて、それをモチーフにしたみたいな服や装飾も大好きって事で……」
アンネエルカが言いたい事はちょっぴり違う。
「ええと、どう伝えたらいいかしら。ねね、妖精さんたちもオシャレはするの? 良かったら私にオシャレのお手伝いさせてちょうだいな!」
少し苦心しながら言いたい事を伝えた。
そこに、
「あそぶー」
首飾りに気付いた人型妖精が1人現れた。
「あら、テリーズ・トラ・トリュース! 飛び入りは大歓迎よ。一緒にオシャレを楽しまない?」
新たなお客さんにアンネエルカはにっこり。
「妖精がお洒落に興味を持つのか、面白そうですね」
隣席のキリアンが声を掛けて来た。
「えぇ」
アンネエルカは歓迎してから、
「この果物の中ならどれが好き?」
妖精達に訊ねた。
「ぶどう」
「まっか!」
「これ、これ」
妖精達は各々好きな果物を言った。
「ぶどう好きの貴方にはこのキラキラな紫リボン、りんご好きさんはこのチャーミングな赤色リボンで、梨が好きな子には黄色と黄緑にグラデーションするこのリボンを」
希望に合わせてアンネエルカは、喫茶店に入る前に購入していたリボンを妖精達の発言によってプレゼント。
「これ、すき」
りんご色のリボンを気に入り器用に髪に結ぶ人型妖精。
「器用ですね。他にはどんな事が出来るんですか?」
キリアンが感心し、興味津々とばかりに訊ねた。
「私も知りたいわ。好きな物も、たっくさんね」
アンネエルカも言葉を重ねた。
妖精達は小さな体を沢山使って、答えた。
近くから語りが聞こえ、
「おはなし」
「きく」
「あっち、あっち」
妖精達の興味はすっかりとられてしまう。
「面白そうですね」
自由人気質のキリアンも妖精達を止めるどころか、一緒に聞く気満々だ。
「えぇ」
アンネエルカも続いた。
「さすがの一言」
セヴランはお勧めのワインを匂いと舌で味わってから、
「野菜が新鮮で美味しい」
野菜とチーズのサンドイッチを一切れ口に運び、野菜から滲む瑞々しさや甘さや苦味に唸った。
そして、
「やぁ、はじめまして、可愛い妖精さん達。僕と一緒にお茶のひと時を楽しんでくれるかな? 栗鼠のララも連れて来たよ」
妖精達が声を掛ける前にこちらから挨拶をする。
妖精達も笑顔で挨拶を返し、
「ララ、ララ」
「りんご」
「おはなし」
人型から動物型まで様々な妖精達が、歌ったり栗鼠のララを撫でたり果物に目をキラキラ。
「可愛いお嬢さんや動物の姿の子と出会えて僕も心が華やぐよ」
小さかろうと相手は女性とあってか、紳士の横顔だ。
妖精達も笑顔で応じると、セヴランは店員を呼び止め、取り分け皿とナイフとフォークをいくつか持ってきて貰った。
一口大に切ったフルーツをフォークに差して妖精達にあげた後、
「お近づきの印にどうぞ! ララも仲良く堪能しようね」
セヴランは果物を小さく切って皿に分けた。
ララの前に皿を置いた時に、
「この子は子リスの頃、森で親栗鼠とはぐれていた所を拾ったのが出会いの切欠でね。ちょっとおっとりさんだけど、目印兼オシャレ用のリボン等も嫌がらない良い子なんだよ」
ララを紹介した。
すると妖精達は仲良しの印とばかりになでなで。
「ララ、よかったね」
セヴランは、微笑まし気に小さきもののほのぼのを眺めつつ、
「おはなしというと……僕はね楽師なんだ。これが好きな楽器のバイオリン」
自身の生業である辻楽師について語り始めた。手に小型の弦楽器で定番のバイオリンを手にして。
「弓と弦を触れさせて、こう、音を鳴らす。アクセントで弦だけを弾いて鳴らす時もあるけどね」
説明通りゆっくりと優しい音を2つ3つ響かせる。
「触れ方、弾き方で色んな声を出してくれる。音の響きが指先から全身に伝わってくる感覚が好きでね。他の楽器も、歌うのも好きだけど、バイオリンが一番好きかな。君達の世界には楽器はあるのかな?」
セヴランは愛おし気にバイオリンに触れながら、妖精達に訊ねた。
妖精達は口笛や草笛を吹いたり踊ったりと騒がしく応えた。
「うた」
歌をねだる妖精に対して、
「あぁ。どんな曲をご所望かな? 何でも弾くよ?」
セヴランは快く曲の希望を訊ねた。明るいものから切ない系まで何でもござれだ。
妖精達は口々に様々な曲を希望し、
「よし、全部弾くよ。良かったら一緒に演奏しよう」
セヴランは全ての希望を受ける気満々で演奏を始めようとした瞬間、
「おはなし、おはなし」
妖精の1人が、近くのテーブルで開催されている物語に気付いた。
「ん……物語を語っているみたいだね。なかなか興味深い」
セヴランはバイオリンを弾き、
「物語に彩を添えようかな」
語られる物語や叙事詩に合わせ始めた。
「んーー、やはりケーキは至上にして至高ですね!」
食道楽のレイヤは次々と口内を彩る甘さに、自然と崇める神の教えをこぼす。
そこに、
「おはなし、おはなし」
「ドーン、バーン、オハナシ」
「きかせて、きかせて」
お話を所望する様々な妖精達がやって来た。
「もちろん! 何せ、お茶会を楽しむことは、何よりも大切なことである。わが神の教えですから」
レイヤはすぐさま歓迎し、口の中のケーキをあっという間に消化させた。
「お話をご所望という事で、物語とか叙事詩とかお話ししましょう。そういうのわたし、詳しいんです! ヒトの短い人生が紡ぐ物語は、きっと妖精たちには目新しく、面白いものでしょう」
レイヤはお任せあれと胸を叩いた後、
「これより語るは、ある娘が大切なモノに辿りつく迄の詩」
口を開き朗々と綴る。
「追憶に揺れる、可憐なるその花に、咲き誇る薔薇は、永遠に届かない。そう……」
レイヤが、美しくも儚い叙事詩を始めてしばらくして、
(バイオリンの音色? わたしの話に合わせてくれているような?)
合わせるように美しいバイオリンが聞こえてきた。まるで自分の語りに合わせてくれているかのような。
レイヤは音の出所が気になり頭をくるり。
(素敵な物語に音楽を添えさせてもらうよ)
(素晴らしい演奏、ありがとうございます!)
はたりと目が合うバイオリンを演奏するセヴランと語りをするレイヤ。
そのまま共演を続ける。
「目の前に広がるのは……」
冒険者が秘境に辿り着く物語。
(ここは壮大に……)
セヴランは壮大な音色を。
「ドウナッタ?」
「もっと、もっと」
「わぁあ」
耳を傾ける妖精達は夢中になり、次をせがむ。
そうして物語に夢中になっている妖精達の姿を前に、
(妖精もいろいろみたいですね。ヒトだったりもふもふだったり、空中を飛んだり泳いだり。それに物語を聞かせて貰っている幼い頃のわたしみたいです)
物語を続けるレイヤは、妖精達の姿に興味津々になるだけでなく、幼き自分を重ね懐かしむ。
その中には、
「……素敵ね」
「ですね」
妖精達と一緒に耳を傾けるアンネエルカとキリアンの姿。
「よし、僕も演奏に」
キリアンは物語に合わせて鳴るバイオリンの音色に自由人ぶりを見せた。手には小型の管楽器だ。
(おっ、これは面白くなりそうだね)
新たな演奏者にセヴランは視線を投げかけ歓迎した。
「その村に代々伝わる儀式で……」
レイヤは手振り身振りも加え、一生懸命に語りながらも、
(1人で物語をしていたのが、演奏のおかげで臨場感が凄いことに)
演奏で物語を盛り上げてくれている2人に視線で礼を言った。
(食べてもなくならない思い出作りが皆と出来て嬉しいわね)
アンネエルカは優しい光景にほっこり。
店内の客達を巻き込んだ演奏付きの語りは無事に終わった。
「楽しかったね」
演奏を終えたセヴランは、
「デザートが来たよ。一緒に食べよう」
食後にフルーツのデザートとフルーツティーを妖精達と舌鼓を打った。
「聞いてくれてありがとうございます! 良ければ妖精たちの物語をいろいろ教えてほしいです。どんなふうに日々を生きているかとか」
レイヤは妖精達に一礼してから今度はこっちの番だ。
(興味深いですし、もしかしたら魔法のヒントにもなるかもですし!)
ちょっとした思いと共に。
「そういえば、お化けを倒すと妖精さんがくれるっていうあのお砂糖はどうやって手に入れているのですか? あんなに白い、上質なのは簡単には作れないと思うんですけど」
まずは誰もが気になるだろうことからだ。
「こころ、いっぱい」
「みんな、いっぱいいっぱいがんばった」
「おばけ、こわいよー」
妖精達は手振り身振りで答えた。
妖精達の感激の拍手に包まれる中。
「お疲れ様、フルーツをどうぞ」
アンネエルカから労いと共にフルーツを勧められ、
「ふふ、ありがとうございます」
キリアンはありがたくフルーツを貰った。
こうして、喫茶店『エヴァブルー』を訪れた客達は収穫祭を満喫し、妖精達から美味しいナッツを貰った。
「お祭りの雰囲気そのままに、こちらも素敵な賑わいようね」
宣伝文句を受けて店を訪れたアンネエルカは、妖精達があちこちする店内に和みつつ適当な席に座った。
「温かい紅茶と……そうね、少しずつで構わないから果物の盛り合わせをいただけないかしら」
メニューを軽く見た後、店員を呼び止め注文した。
すぐに注文した品は運ばれ、
「……いい香りね」
紅茶の心地よい匂いに鼻孔をくすぐられていると、
「あら、セヴランさん」
すぐ横を冒険仲間が通りかかり、笑顔で挨拶をした。
「これはアンネエルカさん」
セヴラン・クアルトも気付き挨拶を返してから、付近の席に腰を下ろした。
「野菜とチーズのサンドイッチとカットフルーツを……あと、お勧めのワインを1杯」
席に着いたセヴランは、メニューを開き物色してから注文した。
選んだ料理が運ばれると、
「追加で食後にお勧めのフルーツのデザートにフルーツティーも頼む」
セヴランは追加の注文をした。
「ふわぁ、あっちもこっちも妖精さんが! なんでしょう、この、物語で語られるようなすばらしい非日常感!」
入店したレイヤ・ダライ=カホールは、宣伝文句通りの光景にすでに興奮気味だ。
「どれも美味しそうですが、ここはやっぱりケーキとお茶です! 何といってもケーキは欠かせませんよね!」
近くの席に座りメニューを開き、ケーキと深い繋がりがあるため選ぶのは当然言わずもがなだ。
すぐに注文した品は運ばれ、
「うわぁあ♪」
新鮮な果物で彩られたケーキの姿に一層レイヤは心を躍らせた。
「妖精さんがお客さんとは、絵本もかくやの光景があるのですね……それに彼らなりのお代のナッツ……製法が気になります」
入店したキリアン・フィッツジェラルドは、店内の光景に心を和ませてから近くの席に座った。
「何を注文しましょうか」
早速メニューを開いて、
「旬の果物を使った料理が美味しそうですね」
目についた旬の果物を使用した料理を注文した。
すぐに注文した品が運ばれ、
「……これは美味しそうですね」
見た目の色鮮やかさがさらにキリアンの食欲を刺激した。
あちこちでエラトゥーンの味を美味しく食していると、好奇心旺盛な妖精達が構って欲しくてやって来た。
「ん、美味しい。普段食べているよりもずっと美味しいような。どの野菜も果物も旬だからでしょうか」
キリアンの見知った野菜や果物も幾つかあるはずだが、いつもより美味しさが増しているように感じる。
「それとも、産地の恵みが豊富なのか、そこで生きる者達の知恵と創意工夫の産物なのか。色々聞いてみると面白いかもしれませんね」
思わず店員を呼び止め、あれこれと訊ねた。
さらに好奇心を刺激するのが、
「おはなし、おはなし」
「ペチャペチャ」
「したい、おはなし」
見た目様々な妖精達との交流だ。
「いいですよ。森の民に纏わる話をしましょう」
キリアンは快く妖精達の希望に応じ、話を始めた。
(人語によるやり取りも不可能ではなさそうですが、解釈に難儀しそうな子もいますし、ここは動物交感を使いましょう)
観客の顔ぶれを一巡。人語を喋る子もいれば理解不能な声を上げる子もいる。
「まず僕が話すのは狩猟ですね。形を変えての弱肉強食ではありますが」
妖精達の表情を観察し、退屈していないか確かめつつ上手に話をした。
「もり、すき」
「キラキラ、たくさん」
「きれいよー、おはな」
妖精達はキリアンのお話に興味津々だ。
「特に鹿は角笛に用いたり紋章にしたり……」
語る森の生活に関して、特に鹿への拘りの強さは言葉が多い。
「僕は僕達の糧となった生命、ひいては狩猟の術と森の恵みを齎してくれた神への感謝と敬意を忘れないために角笛による演奏や演舞などを奉納します」
当時の気持ちを滲ませながらあつく語った。飲食を忘れる程に。
散々話し終えたキリアンの胸には、
(彼らの文化に類するものや生活の営み、何を食するのか、如何なる音楽や舞を好むのか。ナッツの製法など、色々聞きたいですね。森と共に生きて歩み寄る為の新たなヒントに繋がるかもしれませんし)
妖精達への尽きぬ興味が沸き起こっていた。
「妖精達もまた森の民、大地の仔、次は僕に聞かせてくれませんか?」
早速、キリアンは幼子でも理解出来る程噛み砕いてあれこれと質問した。
「ナッツ!」
実を拾って木槌で砕く身振りをしたり、
「うた、すき、おどる、すき」
歌ったり踊ったり。
妖精達は思い思いに質問に答えた。
「キラキラ」
1人の人型妖精が、隣席のキラキラな様子に興味を持ったのか乱入しに行った。
それをきっかけに他の妖精達も続き、
「妖精もお洒落好きなのでしょうか」
妖精の生態に興味津々のキリアンも続いた。
「……ん、美味しい」
アンネエルカは紅茶をゆっくり味わっていたが、
「ふふふ」
突然笑みをこぼし、
「テリーズ・トラ・トリュース!」
寄って来た妖精達に挨拶をして、
「私、オシャレをするのが好きなの。キラキラしたもの、カラフルなもの、そういうものも素敵だなって思うの。この首飾りもそう」
仲良くなれたらと話し掛けた。胸元で輝く夢を結晶化させたようなデザインの夜煌石の首飾りに触れながら。
「きれー」
「ぴかぴか」
妖精達はキラキラな首飾りに息をのんだ。
「この首飾りだけじゃなく、このお皿に載ったツヤツヤなリンゴも、ころんっとしていて可愛いぶどうも、なんだか宝石みたいよね……」
アンネエルカが、果物が良く見えるようにと妖精達に皿を寄せると、
「くり」
「ぶどう、おいしい」
「なし、すき」
妖精達は、各々好きな果物の名前を言ったり自由だ。
「そうね。果物は美味しいわよね」
アンネエルカは賛同し、
「おいしい、いっしょ」
妖精達を喜ばせた。
だが、
「えぇ、好きな物を誰かと共有できるのってとっても嬉しくて幸せだと思うけど、私が言いたいのは食べる事じゃなくて、それをモチーフにしたみたいな服や装飾も大好きって事で……」
アンネエルカが言いたい事はちょっぴり違う。
「ええと、どう伝えたらいいかしら。ねね、妖精さんたちもオシャレはするの? 良かったら私にオシャレのお手伝いさせてちょうだいな!」
少し苦心しながら言いたい事を伝えた。
そこに、
「あそぶー」
首飾りに気付いた人型妖精が1人現れた。
「あら、テリーズ・トラ・トリュース! 飛び入りは大歓迎よ。一緒にオシャレを楽しまない?」
新たなお客さんにアンネエルカはにっこり。
「妖精がお洒落に興味を持つのか、面白そうですね」
隣席のキリアンが声を掛けて来た。
「えぇ」
アンネエルカは歓迎してから、
「この果物の中ならどれが好き?」
妖精達に訊ねた。
「ぶどう」
「まっか!」
「これ、これ」
妖精達は各々好きな果物を言った。
「ぶどう好きの貴方にはこのキラキラな紫リボン、りんご好きさんはこのチャーミングな赤色リボンで、梨が好きな子には黄色と黄緑にグラデーションするこのリボンを」
希望に合わせてアンネエルカは、喫茶店に入る前に購入していたリボンを妖精達の発言によってプレゼント。
「これ、すき」
りんご色のリボンを気に入り器用に髪に結ぶ人型妖精。
「器用ですね。他にはどんな事が出来るんですか?」
キリアンが感心し、興味津々とばかりに訊ねた。
「私も知りたいわ。好きな物も、たっくさんね」
アンネエルカも言葉を重ねた。
妖精達は小さな体を沢山使って、答えた。
近くから語りが聞こえ、
「おはなし」
「きく」
「あっち、あっち」
妖精達の興味はすっかりとられてしまう。
「面白そうですね」
自由人気質のキリアンも妖精達を止めるどころか、一緒に聞く気満々だ。
「えぇ」
アンネエルカも続いた。
「さすがの一言」
セヴランはお勧めのワインを匂いと舌で味わってから、
「野菜が新鮮で美味しい」
野菜とチーズのサンドイッチを一切れ口に運び、野菜から滲む瑞々しさや甘さや苦味に唸った。
そして、
「やぁ、はじめまして、可愛い妖精さん達。僕と一緒にお茶のひと時を楽しんでくれるかな? 栗鼠のララも連れて来たよ」
妖精達が声を掛ける前にこちらから挨拶をする。
妖精達も笑顔で挨拶を返し、
「ララ、ララ」
「りんご」
「おはなし」
人型から動物型まで様々な妖精達が、歌ったり栗鼠のララを撫でたり果物に目をキラキラ。
「可愛いお嬢さんや動物の姿の子と出会えて僕も心が華やぐよ」
小さかろうと相手は女性とあってか、紳士の横顔だ。
妖精達も笑顔で応じると、セヴランは店員を呼び止め、取り分け皿とナイフとフォークをいくつか持ってきて貰った。
一口大に切ったフルーツをフォークに差して妖精達にあげた後、
「お近づきの印にどうぞ! ララも仲良く堪能しようね」
セヴランは果物を小さく切って皿に分けた。
ララの前に皿を置いた時に、
「この子は子リスの頃、森で親栗鼠とはぐれていた所を拾ったのが出会いの切欠でね。ちょっとおっとりさんだけど、目印兼オシャレ用のリボン等も嫌がらない良い子なんだよ」
ララを紹介した。
すると妖精達は仲良しの印とばかりになでなで。
「ララ、よかったね」
セヴランは、微笑まし気に小さきもののほのぼのを眺めつつ、
「おはなしというと……僕はね楽師なんだ。これが好きな楽器のバイオリン」
自身の生業である辻楽師について語り始めた。手に小型の弦楽器で定番のバイオリンを手にして。
「弓と弦を触れさせて、こう、音を鳴らす。アクセントで弦だけを弾いて鳴らす時もあるけどね」
説明通りゆっくりと優しい音を2つ3つ響かせる。
「触れ方、弾き方で色んな声を出してくれる。音の響きが指先から全身に伝わってくる感覚が好きでね。他の楽器も、歌うのも好きだけど、バイオリンが一番好きかな。君達の世界には楽器はあるのかな?」
セヴランは愛おし気にバイオリンに触れながら、妖精達に訊ねた。
妖精達は口笛や草笛を吹いたり踊ったりと騒がしく応えた。
「うた」
歌をねだる妖精に対して、
「あぁ。どんな曲をご所望かな? 何でも弾くよ?」
セヴランは快く曲の希望を訊ねた。明るいものから切ない系まで何でもござれだ。
妖精達は口々に様々な曲を希望し、
「よし、全部弾くよ。良かったら一緒に演奏しよう」
セヴランは全ての希望を受ける気満々で演奏を始めようとした瞬間、
「おはなし、おはなし」
妖精の1人が、近くのテーブルで開催されている物語に気付いた。
「ん……物語を語っているみたいだね。なかなか興味深い」
セヴランはバイオリンを弾き、
「物語に彩を添えようかな」
語られる物語や叙事詩に合わせ始めた。
「んーー、やはりケーキは至上にして至高ですね!」
食道楽のレイヤは次々と口内を彩る甘さに、自然と崇める神の教えをこぼす。
そこに、
「おはなし、おはなし」
「ドーン、バーン、オハナシ」
「きかせて、きかせて」
お話を所望する様々な妖精達がやって来た。
「もちろん! 何せ、お茶会を楽しむことは、何よりも大切なことである。わが神の教えですから」
レイヤはすぐさま歓迎し、口の中のケーキをあっという間に消化させた。
「お話をご所望という事で、物語とか叙事詩とかお話ししましょう。そういうのわたし、詳しいんです! ヒトの短い人生が紡ぐ物語は、きっと妖精たちには目新しく、面白いものでしょう」
レイヤはお任せあれと胸を叩いた後、
「これより語るは、ある娘が大切なモノに辿りつく迄の詩」
口を開き朗々と綴る。
「追憶に揺れる、可憐なるその花に、咲き誇る薔薇は、永遠に届かない。そう……」
レイヤが、美しくも儚い叙事詩を始めてしばらくして、
(バイオリンの音色? わたしの話に合わせてくれているような?)
合わせるように美しいバイオリンが聞こえてきた。まるで自分の語りに合わせてくれているかのような。
レイヤは音の出所が気になり頭をくるり。
(素敵な物語に音楽を添えさせてもらうよ)
(素晴らしい演奏、ありがとうございます!)
はたりと目が合うバイオリンを演奏するセヴランと語りをするレイヤ。
そのまま共演を続ける。
「目の前に広がるのは……」
冒険者が秘境に辿り着く物語。
(ここは壮大に……)
セヴランは壮大な音色を。
「ドウナッタ?」
「もっと、もっと」
「わぁあ」
耳を傾ける妖精達は夢中になり、次をせがむ。
そうして物語に夢中になっている妖精達の姿を前に、
(妖精もいろいろみたいですね。ヒトだったりもふもふだったり、空中を飛んだり泳いだり。それに物語を聞かせて貰っている幼い頃のわたしみたいです)
物語を続けるレイヤは、妖精達の姿に興味津々になるだけでなく、幼き自分を重ね懐かしむ。
その中には、
「……素敵ね」
「ですね」
妖精達と一緒に耳を傾けるアンネエルカとキリアンの姿。
「よし、僕も演奏に」
キリアンは物語に合わせて鳴るバイオリンの音色に自由人ぶりを見せた。手には小型の管楽器だ。
(おっ、これは面白くなりそうだね)
新たな演奏者にセヴランは視線を投げかけ歓迎した。
「その村に代々伝わる儀式で……」
レイヤは手振り身振りも加え、一生懸命に語りながらも、
(1人で物語をしていたのが、演奏のおかげで臨場感が凄いことに)
演奏で物語を盛り上げてくれている2人に視線で礼を言った。
(食べてもなくならない思い出作りが皆と出来て嬉しいわね)
アンネエルカは優しい光景にほっこり。
店内の客達を巻き込んだ演奏付きの語りは無事に終わった。
「楽しかったね」
演奏を終えたセヴランは、
「デザートが来たよ。一緒に食べよう」
食後にフルーツのデザートとフルーツティーを妖精達と舌鼓を打った。
「聞いてくれてありがとうございます! 良ければ妖精たちの物語をいろいろ教えてほしいです。どんなふうに日々を生きているかとか」
レイヤは妖精達に一礼してから今度はこっちの番だ。
(興味深いですし、もしかしたら魔法のヒントにもなるかもですし!)
ちょっとした思いと共に。
「そういえば、お化けを倒すと妖精さんがくれるっていうあのお砂糖はどうやって手に入れているのですか? あんなに白い、上質なのは簡単には作れないと思うんですけど」
まずは誰もが気になるだろうことからだ。
「こころ、いっぱい」
「みんな、いっぱいいっぱいがんばった」
「おばけ、こわいよー」
妖精達は手振り身振りで答えた。
妖精達の感激の拍手に包まれる中。
「お疲れ様、フルーツをどうぞ」
アンネエルカから労いと共にフルーツを勧められ、
「ふふ、ありがとうございます」
キリアンはありがたくフルーツを貰った。
こうして、喫茶店『エヴァブルー』を訪れた客達は収穫祭を満喫し、妖精達から美味しいナッツを貰った。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
妖精達と賑やかな収穫祭のひとときを過ごして頂き、大変ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜10人
2021年11月06日 10時53分20秒 公開
大成功
相談掲示板
レイヤ・ダライ=カホールです。 よろしくお願いしますね! 今回は妖精さんとのお茶会、とっても楽しみです。 お話をご所望みたいなので、物語とか叙事詩とかお話ししようかと思っています。
どうも。シューターのキリアン・フィッツジェラルドと申します。 妖精さんのお茶会で、僕達の文化の話というのも考えてますが。 僕からしては逆に妖精さん達の生の営み、文化の類はどうなっているのか聞きたいです。 棲家が森であるのなら、彼らもまた森の民ですし各々の営みを為す動物達もどう見える事か。
アンネエルカよ、アンネって呼んでくれても大丈夫。 どうぞよろしくね。 妖精さんとお茶会が出来るだなんて、とっても楽しみだわ! 私は好きな物の話をいっぱいしたいわ。 オシャレや、綺麗な景色…妖精さんたちも興味はあるかしら。 美味しいものを楽しみながら、のんびり色々なお話しが出来たらいいわよね。