【竜盤】カタパルトを強くするZE☆
広大野人
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シナリオID:1449
オープニング
リーンエス王国から派遣された軍事顧問であるイェルド・ルリンは、とある工房に足を運んでいた。
新兵器の開発について専門家として助言する事も、彼の役割であるからだ。
「……なんだこれは?」
巨大な投石器を眼前に、イェルドはそんな疑問を口にした。
その兵器が何をするものなのか、それは知っている所だ。疑問は、これをどう戦場で扱うかという事……。
工房の職人であるゲンナイは、顧問の心中など知る由も無く、胸を張って答えた。
「これは、振り子と絡繰り式を合わせた最新の大型投石器だZE☆」
射程も投石物の重量も、これまでの物とは一線を画すだろう。
その威力を知れば、竜も驚くに違いない……とゲンナイは思っていた。
「……これだけの大きさの物をサクっと作ってしまう事に、驚きだ」
「褒めても何も出ないZE☆」
前髪をサラっと跳ね除けながら照れるゲンナイに、冷たい口調でイェルドは言い放った。
「ゲンナイ……お前、戦場に出た事ねぇだろう?」
「おう! 俺は絡繰り師だからな!」
「残念ながら、コレじゃだめだ……まず、無駄にでかい。お前、これをどうやって戦場に運ぶつもりなんだ?」
その質問に対して、ゲンナイはキョトンと目を丸くする。
「ひっぱりゃいいんじゃねぇ。一応、車輪も付けたから、馬が8頭ぐらいありゃ……」
「段差は?」
「気合だZE☆」
親指を立てて爽やかな返事をしたゲンナイの頭を、イェルドはつい、いつもの勢いでひっぱ叩いた。
「あのな……敵が動かない相手なら兎も角、メルトウォールは混成軍だ。竜の眷属もいりゃ、獣乗りもいて機動力もあるだろう。鈍重な兵器は恰好の的だ」
「なら、敵を倒してから移動すればいいんじゃねぇ!」
「その敵を倒すのに、新兵器を造っているんだろうが!」
話していて疲れる相手だが、イェルドは顧問だ。匙を投げる訳にはいかない。
やれやれといった様相で、ため息を漏らしつつ、投石器を確かめるイェルド。なるほど、造り自体は悪くない。ゲンナイという技術者の腕は確かなのは認める。しかし、肝心の部分が抜けていた。
「これ以外にも、試作品はいくつかあるのだろう?」
「当然だZE☆」
「なら、全部まとめて冒険者に見て貰って意見を吸い上げるしかない。それと、ただ、石を飛ばすだけじゃダメだ」
冒険者からは、試作投石器と付随する物に関して、感想なり助言なり、貰えれば良いだろう。
これらの投石器はドワーフ王国の一般兵や授恵者ではない者が扱う前提だから、冒険者が直接使う機会はあまりないかもしれない。
しかし、戦場の主戦力の一つでもあるので連携を考えれば、冒険者の話は聞いておきたい所だ。
●
「……と、まぁ、そんな訳で、お前らを呼んだ」
集まった冒険者達を前にしてイェルドはそう言った。
広場に並んでいるのは、巨大な投石器から小さい投石器まで、5台。
ゲンナイ曰く、『振り子式と絡繰り式』を掛け合わせた投石器は2台で、いずれも大きく、8頭引きと6頭引きの2種類に分かれる。
車輪も付いてはいるが、整地された道以外は苦手そうだ。おまけに、運用人数の想定も多い。
「中型に関しては自走式と牽引式の2種類。こちらは巻き上げ式の投石器だ」
現実的な大きさで言うと、現状のリーンエス王国でも見られるサイズになる。
巻き上げ式で射出物を打ち出す投石器になるので、『振り子式と絡繰り式』の投石器よりかは射程も投石重量も下がるが、その分、機動力はまだマシだろう。
4頭の馬に直接牽かせる自走式の方がやや大きい。一方、牽引式は2頭牽きだが、馬車に繋げたり連結して車列を構築できる。感覚でいうと騎兵が流行する前の戦車のようなタイプだ。
「一番小さいのは馬ではなく、人の手で運べるし、分解もできる」
小型投石器は持ち運び可能な巨大弩のようなものだ。
分解すれば数人が背負って運べるので、地形問わず移動できるのが魅力的だろう。
本来であれば、戦場の状況によって使い分けるべきだろうが、全ての投石器を満遍なく大量生産するだけの余裕はない。
「これらの投石器から1つないし2つ選んで、改善点も付け加えて欲しい」
また、試作品は並んでいるので、実際に使って貰っても大丈夫だと、イェルドは言葉を続けた。
そして、締め括ろうと思った所である事を思い出す。
「あぁ……投石器に付随する物に関しても何かあれば助言が欲しい。今のところ、射出物は石以外にも用意したい……対邪竜に、石だけだと心許ないしな。石以外にも有効な物があれば、積極的に使っていきたいからな。冒険者なら色々な所に出向いているだろう? 具体的な材料の場所や現象も合わせて教えてくれると助かる」
こうして、新兵器開発が一つ、始まるのであった。
●
メルトウォールの勢力圏域に組み込まれた都市ヌバッフは、高い城壁に囲まれた都市だ。
かつては小さい集落から始まったとされ、街中を幾重にも囲うように城壁があり、外側に向けて、より高くなっただけで、防御力はさほど高くない。
都市周辺は平地で道も整備されているので、攻められると弱いのが特徴の街が、ヌバッフなのだ。
「攻勢を維持する勢いが止まる時、そこで終わりね」
太守の館から見える大通りの様子を眺め、フランセスという名の女性は予言するように告げた。
通りにはすれ違うのも困難ではないかと思うほど、沢山の馬車の車列。いずれも、最前線に物資を運んでいるものだ。
「我ラガ奴等ニ屈スルト?」
抜き身の大太刀を身体に預けながら一体のリザードマンが確認するように訊ねた。
不快に思っている訳ではない。ヌバッフの統治を託されたこのリザードマンは、ただ主の命令に従っているだけで、戦いの結末など知った事ではないからだ。
「貴方達の武力は認めるわ。けれど、それでは勝てない」
「ナラ、オ前ハドウナノダ? 負ケルト思ッテイル側ニ付ク必要ハアルノカ?」
リザードマンから見れば、フランセス達は『外野』だ。
偉大なる主に付き従う存在ではない以上、早々に見限られても構わないと思っていた。
しかし、フランセスは意外な申し出をしてきた。リザードマンが知っている人間は、命欲しさに逃げ出す臆病者共と思っていただけに不思議だったのだ。
「……戦いで負けるより、恐ろしい事が世の中にはあるのよ」
それはフランセスにとって何よりも大事な事。
だから、此処で成果を出さなければいけない。自分という存在が意味があるものだと、認めさせる為に。
「ナルホド。貴公ニハ貴公ナリノ矜持ガアルノダナ。理解シタ。貴公ノ作戦トヤラニ応ジヨウ。コノ街ガ陥落スルヨウナ事ガアルナラバ、ソノ時、一矢報イル方法ヲ、ナ」
リザードマンの言葉にフランセスはニヤリと笑うのであった。
解説
マスターより
リプレイ
巨大な工房の中央に円陣が組まれた椅子。
周囲には試作投石器がズラリと並べられていた。これから投石器について、冒険者達からの見立てやアドバイスが行われるからだ。
「なんか緊張するZE☆」
「そんな事で、自由に意見を――と言いたい所だが、投石器順に意見を出してもらうか」
妙なテンションのゲンナイを放置して、軍事顧問のイェルド・ルリンが冒険者達を見渡してから宣言すると、とりあえずといった感じで、ロイ・アウレアに視線を向けた。
「イェルドさん、久しぶりです」
「あぁ、時の流れは早いな。兵器名の方は事前に貰った通りでいくが、まずは、このでかぶつについて、言ってくれ」
顧問が指差したのは、投石器1号と2号。
振り子式と絡繰り式を組み合わせた最新型の巨大投石器だ。
「巨大というのは戦場で威圧感があるので攻守共に士気へと効果がありますし、折角の技術ですから活かす方向に考えた方が良いですね」
「確かに、この大きさの物が並んでいるだけで妙な安心感はあるな」
視覚的な効果があるのは確かだ。敵にとっても威圧を掛ける事もできる。
目立つからこそ敵の目を引く――という所から戦術を組むのも悪くない。
「具体的には、砦の規模に合わせ、半固定で使用するか、東西南北と道を整備して移動しやすくするか……でしょうか」
威力や射程は申し分ないので、機動力の問題が解消されれば極めて有効な兵器に成り得るのは言うまでもない。
隣に座るシグルド・オルセンが頷いて同意する。
「同感だ。1号と2号は移動と手間が掛かりすぎる。固定砲台に近い運用で、野戦では後方に陣取っての運用が効果的だ。その為には、照準の精度が上がれば申し分ないな」
その話にゲンナイが頭を捻る。
「照準の精度か……」
錘の重量と絡繰りで調整するしかない状況なので、精度を高めるには工夫が必要そうだ。
ロイが口者に手を当て、何か思い出すように言葉を紡ぐ。
「それなら補助輪を付け、固定する事で安定性を増すのはどうでしょう」
取付作業に時間を費やす事になるが、安定性が増して精度が向上するのなら一考だ。
おまけに必要がなければ使わなければ良いので、柔軟に対応できる。
シグルドが念を押すようにゲンナイに確認をした。
「2号にも同じように改造できるのだろう?」
「規模の違いから、バランスを調整する必要があるけど……やってみせるZE☆」
一つ問題が解決された所で、イェルドが話を聞きながらレモネードを飲んでいるミア=リゼルに問い掛けた。
「なら、機構的な所としては、他には……ミアは何かあるか?」
彼女はごくんと音を立てて一息ついてから面々を見渡す。
「兵器名や付属品の案、運用のコツなどは皆さんにお任せできそうなので、私は構造面の改良点を挙げさせていただきますね」
言うと急に立ち上がり、1号の足元へと近づいた。
「投射機構の操作は絡繰りを利用して自動化できませんか?」
その台詞に茶を飲もうとしたゲンナイが噴き出す。
「じ、自動化!? いや、できなくはねぇーが、中身が複雑になっちまうな」
「それでは、誰にでも扱えるように半自動化するのはできますか?」
「あぁ……それなら、なんとかやりようはあるか」
1号と2号はともに巨大が故に動かす為には人手がいる。少しでも人手を減らせれば、それに越した事はない。
「後は機動力の問題だが……ドゥーンフォルトには妙案はあるのか?」
「いくつかのパーツに分けて輸送し、現地で組み立てという事はできませんか?」
イェルドに問われたドゥーンフォルトは確認するようにゲンナイに訊ねる。
「できなくは……ないかな? 技術者の問題だろうが……」
「射程に優れているのなら、戦線から少し離れた後方で組み立て易いでしょうし、戦場が移り変わっても再設置できます」
確かに、この工房で製造した投石器をそのまま移動させるよりかは現実的だ。
ドゥーンフォルトは補足するように話を続ける。
「どこまで分割するか、輸送や組み立て易さのバランスは、絡繰り師殿と相談、ですかね」
これで一先ずは、兵器の機動力についてはある程度解決されたとみていいだろう。
イェルドは話し合った内容を報告書に記す。
「おおよその方向は定まったな。では次は3号と4号だが、まず、シグルドの見立てはどうだ?」
「3号については現状で一番使い勝手が良い。バランスに優れている。4号と合わせて中衛向きだ。4号は動かすというより連結して並べるように運用したら良いだろう」
連結して使う――という所がミソのようだ。
遠慮気味にミアが手を挙げて、シグルドの後に続く。
「3号と4号は得意分野が異なるので、それぞれの苦手な部分を補い合うような同時運用を視野に入れると良いと思います。また、構成素材を軽い針葉樹系にすれば、移動しやすいかと」
「なるほどな。素材を選択するというのもありだな……費用はかさみそうだが、何とかなるだろう」
資金の方は後で考えるとしても……とボソっと呟いたイェルド。
今回は費用的な事まで考える必要は無い訳でもあるし。
「移動時の衝撃を吸収する目的いで、板バネや差動装置などを組み込むのはどうだろうか? 技術品なので費用は高くなるが。それと、投石器の射出方向を容易に替えられるように回転盤を備えるのも……」
台詞を途中で遮るようにゲンナイが唐突に叫ぶ。
「それだZE☆ 素材で本隊が軽量化できりゃ、回転盤もつけられる!」
「安定性を求めるなら、現地で入手し易い砂袋や水袋を重石にすればいい」
ロイの補足を聞いているのかいないのか、ゲンナイは何やら必死にメモを取っているのであった。
一休憩してから、椅子で組んだ円陣の中央に5号が置かれた。
まずはミアがレモネードを片手に持ちながら挙手をする。
「こちらの素材は、堅い広葉樹系に変更でしょうか。何度も組み立て解体して運用するように耐える素材が良いと思います。また、5号は携帯性に優れているから、弾も工夫したいところです」
分解して持ち運びが可能だから、強度を向上させる事は全員が一致する所だ。
シグルドが5号の接地面に向かって、指先を向ける。
「折角の機動力は活かしたいな。精度はもうちょい下げてもいいから、簡易的な車輪をつけてみてはどうだ? 多少は動き易いはずだ」
「そうか、分解するほどの距離ではない移動の時は、確かに車輪があった方がいいな」
戦場ではそういった移動もあったりするものだ。
イェルドが車輪をつける事に同意すると、またもや、ゲンナイが大声を発した。
「あぁぁぁ! 1号と2号も現地組み立てなら、パーツの一部に車輪付けてしまえばいいんだ!」
5号は分解して背負って運べるが、1号と2号は背負えない……とすれば、牽引しやすいように車輪を付けてしまえば良い。
逆転の発想だが、冒険者達の意見がなければ思いも付かなかったはず。
これで各投石器について大体の意見は出ただろう。後は……とイェルドが言う。
「弾だな。今のところ、岩しか飛ばせるものがない」
その台詞にシグルドはお茶の入った湯飲みを静かに口に運んでから応える。
「5号については散弾……というか、広範囲に影響がある弾が使い易そうだ。1号と2号は火力重視で鋭利な螺旋状の棘がついているものを打ち出したりかな」
「弾を岩以外で……か。ロイも同意見か?」
こめかみのあたりを掻きつつ、イェルドは話を振った。
「5号の場合、ハチの巣や火炎瓶、薬剤や着色料も候補になるかと。また、5号程度であれば授恵者が操作する前提で、大樹海の母蜘蛛の糸を使うのも良いですね」
問題はこれらの工夫を具体的にどう成すか……という事だ。
休憩後から特に発言が無かったドゥーンフォルトに、ゲンナイが期待の目を向ける。
ドゥーンフォルトは、少し思案してから、工房の隅に置いてある壷を獲りに行った。
「お手軽な手段として用意が比較的簡単なのは、油壷に火をつけた物や石礫を詰めたものでしょうか。集団に対して効果が期待できます」
「壷なら落下時の衝撃で割れやすいか。費用も瓶と比べれば安いので大量に集められるはずだ」
感心しているイェルドに、ドゥーンフォルトは話を続ける。
「直接、ダメージを与えるものではありませんが、投網も放てば動きを阻害できますし、獣乗りには唐辛子などの刺激物の薬剤を広く散布すれば悪影響を与えられる事もできます」
機動力に優れる5号や4号などで阻害系の弾を撃ち、混乱したところを、後方から威力と射程が優れる1号や2号で攻撃する。
それぞれが別々に攻撃するよりも、より効果的に運用できるはずだ。
「竜はどうするか?」
ドワーフ王国が戦う相手はメルトウォールだ。竜の眷属だっているし、場合によっては邪竜と直接戦うこともあるかもしれない。
イェルドの質問に対して、ドゥーンフォルトは答える。
「銛のような返しが付いている槍を撃つのはどうでしょう? 鱗に覆われている部分は難しくても、翼や腹などを貫く事も可能では?」
理想を言えば、大型弩が良いが……投石器と弩では仕組みが異なる。
だが、ゲンナイは諦められなかった。これほどまでに冒険者達が熱心に考えてくれたのだから。
「あぁぁぁ! 全部盛ればいいんだZE☆ 螺旋状の棘を銛のように変えて、刺さったり、地面に落下した衝撃で破裂。油を撒き散らしたり、石礫を付けた網が広がったり、なんかいい感じの薬剤が撒かれたり!」
彼の頭の中でイメージが具現化したようで、興奮状態で冒険者達の手を感謝しながら取っていく。
そして、面々に向かって変な敬礼をすると思い浮かんだ事や今しがたの助言内容が、頭から抜け落ちる前にといった様子で工房の奥へと走り去っていった。
「……まぁ、なんかいい感じの薬剤がなんだか分からんが、良い方向に進むのは確実だろう」
イェルドが締め括るようにまとめた。
「うまくいくとよいのです」
全ての意見を出し尽くし、ミアは幸せそうな表情を浮かべながらレモネードの香りを楽しむのであった。
きっと、カタパルトは強くなるのだろうから。
●
ゲンナイと部下達が寝食を忘れて試作投石器を完成し、ほんの数日で、改めてお披露目となった。
冒険者達は工房の外の広場に集めらた。彼らの前に置かれているのは、5号改め、騒音という名が与えられた小型の投石器。
「あ……思った以上に頑丈そうですね」
そう言ってミアがコツコツと叩いて見せる。
素材が変わった事で強度が増したのだ。しかも、運用人数は変わっていない。
「車輪止めを外せば、リアカーみたいに牽けるのか」
シグルドが小型投石器の後方に取り付けられた車輪を見ながら言う。
これなら、ちょっと距離の移動も、わざわざ分解しなくて済むだろう。
「ちょっと乗っても良いですか?」
「なら、その状態で牽いてみるか」
ミアが投石器の中央に乗り、シグルドが牽引用の取手を装着させて、引っ張っていく。
2人が広場を走破している間、残った冒険者の前に別の投石器が引き出される。
3号は楯を壊すもの。
そして、4号は勝利を促す者。
改良前と見て明らかに違いが分かるのは、板バネや差動機構を組み込んだ絡繰りによる走破補助装置だ。
「構造的な問題で、ランドグリーズの方がより快適に、スムーズに移動ができるようになったZE☆」
そう説明するのは目の下にものすっごいクマができているゲンナイ。
瞳をギラギラさせていて、技術者らしく興奮していた。
ロイが確認するように訊ねる。
「ランドグリーズの長所を伸ばした様子ですね。では、シグルドリーヴァの方は?」
「シグルドリーヴァは、回転盤を装着したZE☆ 連結した際でも360度どの方向にも射撃ができるように、な」
連結地の弱点は射撃方向が限られている事だが、これなら連結を外さなくとも済む。
冒険者達のアドバイスが生んだ、見事な改良だろう。
連結されている後ろに、別の車両が繋がれている事をドゥーンフォルトが見つけた。
「これは、弾を載せる車両でしょうか」
仕切り板の大きさから推測したドゥーンフォルトにゲンナイが飛び掛かりそうな勢いで寄る。
「そう! 走破性能が上がったおかげで、弾を運ぶ車両もできたんだZE☆」
投石器の機動力を向上させる技術を応用して、新たに開発した弾を運ぶ車両を造ったのだ。
特に新しい弾は、岩と比べると構造的に脆い。輸送用の車両の開発はセットだったが、技術が上手く繋がった。
ミアとシグルドが戻り、4人が揃った所で、2号が入って来た。
荒れ狂う者と命名され、数人の作業員が回りを同行している。
そして、冒険者達の目の前で射撃体勢を取る為、補助輪がすばやく取り付けられた。
「操作はできる限り簡略化されたようだ」
その工程を観察しつつ、シグルドが呟く。
素材を丁寧に選択する事で、耐久性を維持しながら軽量化に成功したから出来た事だ。
一つひとつの手順ごとに安全確認の声が響いた。そこへ、手押し車に乗せられた弾が届けられ、ロイが何かに気が付く。
「あれが新型の弾……鉄球? いや、骨組みのように壷を覆っているのか」
「その通りだZE☆ 複数の棘楔を起点として網状に岩や壷を巻いている。割れるタイプと割れないタイプを用意した」
岩を包むタイプはこれまで通りの使い方が出来る上に、竜の腹や翼に刺されば、重しになる。
割れるタイプは、壷が着弾の衝撃で破裂すると同時に火と油が飛び散る物と、礫と共にネットが広がる物の二種だ。
イェルドが弾について有効な意見を幾つも出したドゥーンフォルトに確認する。
「これなら戦場で役に立ちそうじゃないか?」
「ただの岩を飛ばすよりかは、十分かと思います」
状況に応じて使い道を分けられるのは柔軟性も高いだろう。
岩や壷に巻き付けて装着するので、様々な弾の大きさにも対応可能だ。
不思議なものを手にするようにミアが弾の一つを持った。
「これを巻かなくても、壷だけでも飛ばせるのでしょうか?」
「当然だZE☆」
ビシっと親指を立てるゲンナイだった。
そして、最後に、1号……轟かす者と名付けられた巨大投石器が広場へと運ばれて来た。機構的には2号と変わらないという――が、それは見上げるような巨大さではなかった。
なぜなら、幾つかのパーツに分けられた状態だったからだ。
「皆の瞳に焼き付けてくれ! これが、全員の意見の集大成だZE☆」
力強くゲンナイは宣言すると、技術者達と一緒になって組み立て作業を開始する。
振り子を滑車に転換し、少人数でもスムーズに組み立てられていく様は圧巻だった。
「……ちなみに、組み立てにはどれ位、掛かるんだ?」
イェルドの質問に汗まみれになりながらゲンナイは胸を張って応える。
「今からだと、完全に夜だZE☆」
「「「お、おぉう……」」」
冒険者達とイェルドの声が重なる。
組み立て終わるまでこのまま見てないといけないのか……そんな事が心配になるのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い4 / 4〜5人
2021年10月13日 01時25分44秒 公開
相談掲示板
カタパルトを強くするのです! ヒーラーのミア=リゼルです。とりあえず成立まで人を待ちつつ…レモンケーキとお茶を用意してお待ちしております
シグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 とりあえず何か意見を出してみようかね。
ロイ・アウレアです。よろしくお願いします。 イェルド関りだったので参加したい…が、アイデア…と躊躇。 でも、案ずるより産むが易しかも知れないので、何とかなるさ!で行きますね。
わ!続々と集まってきました…よろしくお願いしますね! 確かにそろそろ案を出していく頃合いですね。 投石機はそれぞれ名前も募集しているとのことなので、それも考えつつ… 1号くんは移動と手間が課題。 2号くんは1号くんよりもひとまわり小さい。 1号くんと2号くんはほぼ同じ型なので、助言する内容も被りそうです。 3号くんと4号くんは同じ巻き上げ式ですが、 得意なものがばらばらですね。 同時運用で補い合うなら、それぞれの得意なことを伸ばしてあげるのがいいと思います! 5号は持ち運びが可能…これは持ち運び式という構造面を殺す改良は望ましくないように思いますので、使う弾を工夫する形がいいと思います。催涙弾とか!
名前は今湧いてるイメージだと 大型には《天山》、小型には《烈風》とか…(どこの国の戦闘機) ここは…もう少し練ります…。 >それぞれの得意を 同意です。デメリットに目を向けるより、メリットを伸ばす方が生かせる。 使用目的で浮かんだのは、1号と2号は砦内にて半固定で使用 東西南北と移動させ使えるように砦内に移動路作れば、移動×でも、十分に活用できるだろうと思いました。 3号は敵の威嚇用&陽動として、軍と一緒に移動させ 隊の主火力は敵がそれに気取られる間に迂回して、結果的に挟撃するとか 何かの作に組み込む事で使えそうだな…と。 4号は攻城戦で急襲を想定した移動戦に、持ち?歩く用 5号はミアさんの言うように対人(軍)として、特殊な球(スズメバチの巣)とか 打ち込むと敵側を混乱させられそうだなぁと…我ながらエゲツナイ事を考えてました。 もっと色々とアイデア(ネタ)が集まると良いね。 特に名前…ぁ…ワルキューレの名を頂くとか、格好良さそうですね。 例えば、大型には《レギンレイヴ》(神々の娘)、中型には《ランドグリーズ》(楯を壊すもの)、一番小さいのには《ゴッル》(騒音)とか? 一案としてだしておきますね。
俺はまだちと考え中だが、それぞれの持ち味を活かすやり方は良いと思うぞ。逆にその場合の欠点とかを挙げていけば、どのような状況での運用が適切かってのがわかるかもしれないし、俺はそういうものを考えていこうかな。
なんだかかっこいいお名前がいっぱい…!かっこいい… さてお知らせが来て気づいたのですが、なんと明日の朝出発…成立すると嬉しいですが、どちらにせよそろそろプレイングを書いて提出しなければ、ですね。漏れが出るといけないので、1〜5号についてそれぞれ思うところを書いて送る、のがよさそうです。私は構造面での改良点を中心に書いていこうと思います!
ドゥーンフォルトと申します。滑り込みでの参加ですが、どうぞよしなに。 絡繰り仕掛けに明るいわけではありませんが、何かの足しになるよう、考えてみますね。
有難いな、成立したね。改めて宜しくお願いします。 オレのはあくまでも、現状のままでの生かし方であって 「ドーンとパワーアップできるアイデアを強く募集します!」 ここからは離れてるので《こんな兵器があれば良いな》とか 「石以外の投石物及び投石器に付随する兵器類に関して」 こちらを重視しても良いと思う。(催涙弾やスズメバチの巣はこっちだね) 気楽になんでも話して過ごそう。
よかった…!成立おめでとうございます。皆さん、よろしくお願いしますね。 うまくいきますように…