彷徨う者達

ゆうきつかさ

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シナリオID:1324

オープニング

●ディズル大湿地帯
 数日ほど前、砂浜に流れ着いたのは、嵐に巻き込まれて沈んだと思われていた船だった。
 そこにはリザードマン達の姿があったものの、全員アンデッドと化しており、悲しそうに呻き声を上げていた。
 いまのところ、甲板をウロついているだけのようだが、何らかのキッカケで船から降りてくる可能性も捨てきれないという事だった。
「……とは言え、アンデッドと化した奴等を倒すのは気が引ける。その中には子供の頃から知っている奴等もいるからな。万が一、船から降りてきたとしても、俺達には色々と迷いが生じちまって、倒せないって訳さ。もちろん、俺達だけで倒す事が出来る程、アンデッド達も弱くねえ。だから、頼む。お前達の手でアンデッド達を倒してくれ」
 依頼主であるリザードマンの話では、船に乗っていたのは、20人ほど。
 そのうちの何人かは嵐に巻き込まれて、海に落ちてしまった可能性があるため、それよりも少ない数のリザードマンが、アンデッドと化している可能性が高いという事だった。
 現在、アンデッド達は甲板をウロついているものの、数体ほどしか確認されていないため、船室にも何体か潜んでいる可能性が高いようである。
 また船長の姿も見えないため、船室……もしくは別の場所に潜んでいる可能性が高いという事だった。
 とにかく、アンデッド達が船から降りる前に、倒して欲しいというのが、今回の依頼であった。

解説

【基本的な情報】  アンデッドと化したのは、リザードマンの船乗り。  確認されている船乗りの数は、20人。  そのうちの何人かがアンデッドと化した可能性が高い。  船自体だいぶダメージを受けているため、破壊しても構わない。  ただし、その場合はアンデッド達が砂浜に降りてくるため、取り逃がす事なく全滅させる必要がある。  アンデッド達は炎に弱いものの、その状態で襲ってくる事もある。  鋭い爪や牙で攻撃を仕掛けてくるため、要注意。  また船長アンデッドは筋骨隆々で、船倉に潜んでいるらしい。

マスターより

 どうも、ゆうきつかさです。  今回の目的は、アンデッド達を倒す事です。  物語の流れとしては、砂浜に打ち上げられた船のところに行き、その場で攻撃もしくは乗り込んでいきます。  船が燃えてしまった場合は、アンデッド達が一斉に飛び出してくるため、逃げ道を塞いでおく必要があります。  無難に行くのであれば、船に乗り込んで甲板のアンデッド達を倒し、船室のアンデッド達を倒し、船倉の船長アンデッドを倒す事が理想的です。

リプレイ

●ディズル大湿地帯
 数日ほど前、砂浜に流れ着いたのは、嵐に巻き込まれて沈んだと思われていた船だった。
 嵐に巻き込まれた影響で、船はあちこち壊れており、今まで浮いていたのが不思議に思えるほどだった。
 その甲板にはリザードマン達の姿があるものの、全員アンデッドと化しており、悲しそうに呻き声を上げていた。
「屍人に成っても家族の元へ帰って来たのですね」
 そんな中、エヴァン・ピオネロが岩陰に隠れ、同情した様子で口を開いた。
 だが、アンデッド達に、生前の記憶はない。
 それでも、アンデッド達が『家に帰りたい』と言って、泣いているような印象を受けた。
「……それほど、ここが恋しかったという事なのかもしれないね」
 テス・クラルスが複雑な気持ちになりつつ、アンデッド達に視線を送った。
 アンデッド達はいつ転がり落ちてもおかしくない程、頭をユラユラと揺らしており、意味もなく甲板を歩き回っていた。
「アンデッドの数からして、全員帰ってきたという訳では無いのです」
 すぐさま、ハル・チフが捜波・改で探知用のエーテルの波動を走らせ、アンデッドの正確な個体数と配置を仲間達に伝えた。
 この様子では、船が嵐に巻き込まれた時、何人かの船乗りが海に飲み込まれてしまったのだろう。
 アンデッドの数は、聞いていた数の半分ほどだった。
「それでも、ここまで帰ってきた事は間違いないのですから、せめて穏やかに眠りに就けるよう、お手伝いしましょう」
 サシャ・テーリングが仲間達に声を掛けながら、ゆっくりと船に近づいていった。
 船は半分ほど陸に上がっていたものの、甲板に上がるのは難しそうな感じであった。
「ウォ……オオオオオ……」
 次の瞬間、アンデッド達が次々と落下し、砂浜に頭を打ちつけた。
 その拍子に首の骨を折れたものの、アンデッド達はまったく気にしておらず、何事もなかった様子で、フラフラと起き上がってきた。
「このまま、ご家族に会わせてしまったら、大切な人達の命まで奪ってしまう事になります。そんな事、ご本人だって望んでいないはずです」
 その事に危機感を覚えたエヴァンが、アンデッド達の前に陣取った。
 それでも、彼らの家族であれば、どんな姿であろうと、会いたいと思うはず。
 今すぐ会って、抱き締めたいと言うのが、本音であろう。
 だが、生前の記憶がないアンデッド達に会わせたところで、待っているのは悲しい結末だけである。
 それが分かっていながら、家族と会わせる訳にはいかなかった。
「確かに……。彼等に同胞を傷つけさせる訳には行かないね」
 テスも納得した様子で、アンデッド達の行く手を阻んだ。
「ウ……ウ……ウガァ……」
 その間にアンデッド達が、フラフラと頭を揺らしながら、テス達に襲いかかってきた。
「本当なら家族に会わせるべきなのかも知れませんが……ごめんなさい」
 エヴァンが申し訳なさそうにしながら、アーケインテンペスト改で、稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させた。
「ウウォォォォ……」
 その途端、アンデッド達がイラついた様子で、稲妻のような光を振り払おうとした。
 しかし、稲妻のような光は、アンデッド達の身体に纏わりつき、決して離れようとしなかった。
 その事でアンデッド達の注意が、稲妻のような光に向いた。
「……援護します」
 その隙をつくようにして、サシャがひとりずつタイミングを見計らいながら、何度かに分けて輝刃と堅甲2と掛けていった。
「ゾンビになっても帰りたいほど、ここが恋しかったのかい。でも、ここから先には行かせないよ。その代わり、安らぎをあげるね。少々、手荒だけど、すぐに終わるから……」
 その間に、テスがアンデッド達の前に立ち、爆炎で薙ぎ払おうとした。
「ウォ……オン……」
 だが、アンデッド達は炎に包まれながら、稲妻のような光を振り払い、テス達に襲いかかっていこうとした。
「みんな纏めて、相手をするのです!」
 それを迎え撃つようにして、ハルがサシャと連携を取りつつ、闘気槌2で巨大な光塊をダマスカス鋼の剣Reを纏わせ、アンデッドめがけて振り下ろした。
 それに合わせて、エヴァンが爆炎2で巨大な炎弾を放ち、アンデッド達を消し炭に変えた。
「……ここから船内に入る事が出来そうだね」
 そんな中、テスが船の側面に損傷している部分がある事に気づき、まわりにいた仲間達を呼び集めた。
 その部分は船が座礁した時に傷ついたようにも見えたが、内側から何度も殴って出来た損傷にも見えた。
 そのため、何度か攻撃を加えれば、破壊する事が出来そうな感じであった。
 おそらく、アンデッドと化した船長が外に出るため、殴り続けていたのだろう。
 途中で飽きてしまったのか、いまのところ殴っている様子はないものの、船内にいる事は間違いない。
「……行きましょう」
 エヴァンが覚悟を決めた様子で、船の脆くなった部分を壊し始めた。
 その途端、何かの腐った臭いが、エヴァン達の身体を包み込んだ。
「こ、このニオイは……!」
 反射的にサシャが口元を押さえ、警戒した様子で薄めを開けた。
 おそらく、船内にアンデッド達がいる事を知らなければ入ろうとは思わなかった事だろう。
 しかし、ここにいるアンデッド達を放ったまま、帰る訳にもいかないため、腐臭を掻き分けるようにして、船内に足を踏み入れた。
 その上で、念には念を入れて水樽で背後を塞ぎ、アンデッド達が外に出ないように対策を講じた。
「……この近くにいるようだね」
 テスが警戒した様子で、超聴覚を暗視と駆使しつつ、船内の様子を窺った。
 船内には明かりがついていなかったものの、甲板に幾つか穴が開いているらしく、そこから光が差していた。
「ウ、ウウ~……」
 次の瞬間、船室に隠れていたアンデッド達が、虚ろな表情を浮かべたまま、テス達に群がるようにして、一気に距離を縮めてきた。
「なるべく苦しむ事がないように……終わらせましょう」
 それに合わせて、サシャが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出し、アンデッド達を閉じ込めた。
 そのため、アンデッド達はパニックに陥り、八つ当たりするような感じで、狂ったように拳を振り回した。
「だからと言って、大技を繰り出すのは、控えた方が良さそうですね。長い船旅で、あちこち脆くなっているようですし……」
 エヴァンがまわりを気にしながら、魔弾で宿り木の長杖Reの先端から光球を飛ばした。
 そこに追い打ちをかけるようにして、仲間達がアンデッド達に攻撃を仕掛け、次々と肉の塊に変えていった。
「最後に1口くらい味わいたいだろう」
 そんな中、テスがアンデッド達の持ち物を、ひとつずつベルトポーチにしまい込み、代わりに蒸留酒を口の中に流し込んだ。
「ウ……ウ……ウウウウ……」
 そのニオイに誘われるようにして、今度は船長アンデッドが姿を現した。
 船長アンデッドは、他のアンデッドと比べて損傷が酷く、大量に湧いたウジが、穴の開いた腹から零れ落ち、床を這いまわっていた。
「ここまで船を守ってきたのですね。……屍人に成っても船長だけあります。さぁ船員たちを連れて黄泉への船旅に……これが最後のお仕事です……!」
 エヴァンが再びアーケインテンペスト改を発動させ、稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させた。
「ウ、ウォォォォォォォォン!」
 その空間に閉じ込められた船長アンデッドが、恨めしそうに唸り声を響かせた。
 だが、稲妻のような光からは逃れる事が出来ず、まるで檻の閉じ込められているような状態になっていた。
「……」
 その間に、ハルが一定の距離を保ちながら、船長アンデッドの様子を窺った。
 船長アンデッドの拳は潰れ、歯はボロボロ。
 ところどころ鱗が剥がれ、肉が剥き出しになっている部分もあった。
「ご家族にその姿を見せない為にも、どうぞこのままお眠り下さい」
 それを目の当たりにしたサシャが、エーテルブロー2で、ダマスカス鋼の祭刀に眩い光を宿し、船長アンデッドに斬りかかった。
 その拍子に、船長アンデッドの腹が裂け、腐臭と共にモツ的なモノが飛び出した。
「ウ、ウ……ウガァァァァァァァァァァァァァァ!」
 それと同時に船長アンデッドが、バランスを崩して倒れ込んだ。
 その隙をつくようにして、ハル達が一斉に攻撃を仕掛け、船長アンデッドにトドメをさした。
「後は、この遺体をご家族に届けるだけですね」
 エヴァンは遺品となるモノを回収しつつ、肉の塊と化したアンデッドを運び始めた。
 肉の塊と化したアンデッドは、どれも損傷が酷く、脆くて崩れやすかったため、途中で落とす事が無いように、布などに包んで外まで運んだ。
「航海日誌もあったのです」
 一方、ハルは船長室で航海日誌を見つけ、ペラペラと中身を確認した。
 中身を見る限り、日記が書かれていたのは、嵐の前。
 それが前日なのか、数日前なのか、特定する事は出来ないが、少なくとも日誌に嵐の事は書かれていなかった。
 その事から船乗り達が嵐に巻き込まれて、命を落とした可能性が高いものの、日誌に詳しい事が書かれていなかったため、何が起こったのか分からなかった。
「船乗り達が、どうしてアンデッドと化したのか、わかりませんが、念のため船を燃やしておきましょう。…どんな病が蔓延ってるか判りませんからね」
 サシャが船内に充満したニオイで、激しく咳込みながら、逃げるようにして船の外に出ていった。
 おそらく、船内に病原菌が蔓延している事はないと思うが、腐臭に混ざってカビのニオイがしているため、長居をしていい場所とは言えなかった。
 それでも、肉の塊と化したアンデッドを、このまま放っておく訳にもいかないため、別の事を考えながら船内を往復していった。
「みんな、お疲れ様。これで後は燃やすだけだね」
 テスが仲間達に声を掛けた後、完全に無人となった船を見上げた。
 嵐の後で一体何があったのか分からないが、ここまで流れ着いた事を考えると、船長が最後の力を振り絞り、舵を取って故郷を目指したのかも知れない。
 いまとなっては、すべてが憶測でしかない。
 それでも、船乗り達が脳裏に浮かべたのは、自分達の家族と、故郷であった可能性が高かった。
(……故郷の地で眠れて良かったね)
 そんな事を考えながら、テスがフレイムゲイズで炎球が放ち、紅蓮の炎で船を包んだ。
 その炎が船乗り達の魂と共に、煙となって空に昇っていくのを眺めながら、テスが静かに祈りを捧げた。
「エーテルは不滅なのです、今度生まれ変わった時は、言葉をかわせる事を願うのです」
 ハルも空に昇っていく煙を見上げ、船乗り達の冥福を祈るのであった。

マスターコメント

 今回は、どのプレイングも素晴らしかったため、大成功になりました。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:多い4 / 4〜8人

2021年08月28日 17時58分32秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ハル・チフ

    出発まで時間がないですが よろしくなのです! シーフのハルですよ こちらの人数も少なそうなので 正攻法で行こうと思うのです 捜波を持って行きますね

  2. テス・アウレア

    キャスターのテス・クラルスです 正攻法、了解だよ 炎に弱いとの事だし、フレイムゲイズは持っていこうかな よろしくね

  3. サシャ・テーリング

    ヒーラーのサシャです。よろしくお願いします。 >正攻法 『甲板のアンデッド達を倒し、船室のアンデッド達を倒し、船倉の船長アンデッドを倒す』 ですね、了解しました。 一応ですが、アンデットの逃亡阻止、或いは私たちの態勢立て直し様に光縛封を準備しますね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0