うっかり探索者ミアちゃんと無くした剣
紀藤トキ
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シナリオID:1307
オープニング
「これ以上は危ないかもしれない。下がりましょう。ミアさん、少しの間抑えて貰えますか」
「わかりました。ここは私に任せて、先に下がってください!」
殿を受け持ったミアに声を掛け、新米冒険者たちが下がっていく。臨時で組んだパーティだが、リーダーの子は臨機応変な良い判断だな、などと思いつつ剣を振るってヤドカリ魔獣を押しとどめた。硬いが、切れないほどでもない。
「さて、時間も稼いだし帰りましょうか」
『新人探索者のミア』としてでも倒してしまえなくはないが、時間が掛かるし魔法をぶっ放せない事にイライラしそうなので、適当な辺りで見切りをつける。戻ろうと考えた瞬間、足元が揺れた。
「これは……、迷宮の作り替え!?」
できたばかりの枝などではちょくちょくある奴だ。思えば、海老魔獣しか出ない筈の狩場にヤドカリ魔獣やマーマンどもが出てきた辺りで変化の兆しは見えていた。先にあがった子らは主幹路までたどり着けただろうか。
「……っ、と」
考え事をしたせいか、せり出した壁に腕をぶつけた。痛みは無いのだが、剣が弾かれて飛び……。
「あ、ああー!?」
壁が閉じた。探しに行こうかとも思ったが、枝場が落ち着くまで少し掛かるかもしれない。先に逃げたパーティの面々がミアの事を心配して二重遭難になっても困る。
「……しょうがないわね。後で取りに来ないと……」
それほど物に執着する方ではないが、あれは大事な物なのだ。ミアはまだ地響きが続く枝場の先をちらりと見てから、今度こそ踵を返した。
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「……と、いうわけでその後取りに戻ったんですけれど、どこに行ったのか。見つからなかったんです」
しょんぼりしつつミアは事情を話す。場所はロケーション的には岩場の浅瀬で、疑似陽光があるので日中の灯の心配はない。出現する海老魔獣は食べても美味しいので低レベルの冒険者に人気が出始めていた枝場だった。ミアの実際のレベルは知られていないが、20レベル程度の授恵者が不利な戦闘を避ければ単独行動もできなくはない。以前までならば。
「枝場の傾向が変わってしまって。たまに岩だと思ったらヤドカリとか、あと水の中からマーマンとか出てくるんですよね」
物を探しながら探索するには、最近少しばかりエンカウント率が高いらしい。エドゥノーグと同様であれば、枝場の変動から少し経てば、敵の出方も落ち着くのではないかとも言われているのだが。
「私もそろそろ帰ろうと思っているんですよ。メインはエドゥノーグだから、ずっとここに居る訳にも行かないですしね」
ちょっと汗を浮かべつつ言う感じからすると、それほどヴィントにじっくり腰を据えられない理由があるようだ。
「ですが……。ダンジョンに飲み込まれた装備品は消えてしまうものですよ。残念ですけれど、もうダメなんじゃないですか?」
「俺達も探したいんだけど、レベル低いから足手まといっスよね」
と言うのは、ミアが剣を失ってしまった時のパーティメンバーの少年達だった。男女2名づつの4人組で10レベル前後。もともと帝国民で同じ地方の出身者というパーティで、生活費を稼ぐためにダンジョンに潜っているのだという。お金を稼いだら、王国の遠縁に身を寄せている家族を呼び寄せたいのだとか。どこか懐かしそうにその様子を見つつも、ミアは首を振った。
「ああ、あれは、ちょっと特別な剣ですから。そう簡単には消えたりしません。だから、そんなに責任を感じないで、ね?」
「う……、そう、ですか」
「アタシ達も、手伝わせてくださいよ。荷物運びでも何でもしますから」
しゅんとしたリーダー格のウォーリア君を押しのけて、シーフ娘が言い募る。
「ん、気持ちだけ受け取っておきます。皆はまだこれからだから無理をしないで欲しいのと……、いえ、これは杞憂かな」
少し考えてから、ミアはやはり彼らの助力を拒絶する。それから、改めてギルドへ依頼を提出する。依頼内容は紛失物の捜索で、場所はダンジョン上層部の枝場。だいたいの場所はわかっているのだが、見つからないので海流に流されたのかもしれない。ダンジョンから持ち去られたという可能性は、考えなくても良いらしい。
「大事な友達から貰った剣なので、何とか取り戻したいんです。どうかよろしくお願いします」
と、ミアは集まった面々へ頭を下げた。
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それはとてもよく切れる剣だった。そこには力が宿っている。だから、それを手にしたマーマンは、いつもなら逃げかえるヤドカリに単身で挑み――、ついに打ち勝った。
『……俺は、マーマンの……選ばれし、モノ! 我こそは魚人の勇者!』
『オサ』
『オサだ……』
剣を掲げるマーマンの威容に、頭を下げる雑魚マーマンたち。水かきの付いた手足をバシャバシャさせたり、鰓から水をぷひゅぷひゅ出したりしているのは興奮しているのだろうか。
マーマン勇者と共に戦ううちに、傍近い2匹が手にした棒を鋭く研ぐようになった。マーマンランサーの誕生である。やはり共に居たマーマン2匹は突然口がとがり、水流を吐けるようになった。
『オサよ……』
『偉大な! オサ!』
事故によってなんか知恵が生えたり強めの配下を手に入れたマーマン勇者の戦いが、今始まる!
解説
マスターより
リプレイ
依頼の様子を聞いた一行は、新人達を自分たちで誘う事にした。
「良かったら一緒に行きませんか? 探しものなら人手は多い方がいいですし、名目上は先輩冒険者の見学とか?」
「え。良いんでしょうか」
「たまたま近くにいた冒険者同士が、たまたま協力し合うことになるのは全く問題ないことだと、思うよ?」
先輩風を吹かせたい気分だったトーラがまず声を掛け、驚いた様子の彼らにシェオルが頷きかける。彼の言葉はなぜか胡散臭く聞こえたが、ミアが出した依頼の条件に「協力者を募ってはならない」という物はなかったのだから、問題になる事はないだろう。
「まぁ、あたしも新人だから、とやかく言う立場じゃないわね」
ツンと言うデイジー・ロックウェルも、レベルが近い彼らと共闘することはやぶさかではない。
「ま、自衛位は出来るんだろうし、これも一種の勉強ってやつだ」
「そうです。無理だと思ったら引き返したり、ボク達に助けを求めること! それぞれの役割をしっかり果たして、落ち着いて対処してください。ね?」
バーネット・フォーサイスがニヤッと笑って同行を許すと、ハルハン・ツァガーンナルがこまごまと気を配る。そんな様子に、自分達が本当に歓迎されているのだと知って4人はほうっと息を吐いた。
「ヒーラーがいてくれるのは俺達にとっても助かるんだよな」
「そうですね。わたしもヒールは持って行っていますけれど、手を貸して貰っていいですか?」
「わ、わかりました先輩!」
シグルド・オルセンが彼らに早速声を掛け、後に続いたトーラの言葉にヒーラーがきりっとした様子で答える。トーラの鼻息がむふーっと最高速度を更新した。
「それじゃあ、シーフ君にも索敵を頼んでいいかな? 皆で手分けをして無用な戦闘は避けていこう」
「そうだな、君達にはマッピングを頼めるとありがたい」
シェオルが同クラスのシーフを手招きし、シグルドが残り二人へも役割を割り振る。
「大丈夫、これだけ居るんだ絶対見つけられるから……。協力して頑張ろうね」
シーフ君はララベル・サン・ディーベルに迎えられ、シェオルとトーラの合わせて4人で探索の指針を練る。人数が多くなった一行はダンジョンへと向かった。
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そして今、ミアと合流した一同は、少しばかりピリピリしている。4人が加わったことに依頼人ミアが怒った故の気まずさ――ではない。仕方がないか、という表情で4人の同行は受け入れている。
「ミア、剣無くしちゃうなんて災難だったね……僕も力になるから」
「大事なものは、見つけられるなら見つけたいですよね」
にっこり笑って声を掛けてくるララベルと、心配してくれたツァガーンナルに笑顔で会釈しつつ、ミアことエフィミア・リリックは首を傾げていた。では、さっきから自分を刺すこの視線はいったいなにゆえか。
「新人冒険者のデイジーよ、よろしくお願いするわ!」
「あ、はい。ミアと言います。よろしくお願いします」
探るような気配の主の一人、デイジーが正面から声を掛けてきたので、ミアは慌てて挨拶を返した。ふむふむ、と頭のてっぺんからつま先まで見てから、デイジーはふふんと笑う。ミアからは彼女の見慣れたツワモノの気配がした。
「貴女、な~んか隠してるわね? 歩き方とか、明らかに『新人』じゃないのだけど?」
同時に、Alexandra・Hexe・Claudiaの視線が更に敵意を帯びた。ミアの正体がエフィミア・リリックと同一人物であることを彼女は確信している。それは現場を見るという仕事に必要な偽りと許しても良い。だが、今回の案件はただの私事。
(自らのミスを糊塗するために隠し事をする道理などありません。個人のエゴからくる欺瞞に今後も振り回されるなど、御免被りたい所です)
Alexandraから見れば、エフィミアも『為政者』のような物だ。彼女を含む人々を偽って利用する事は許せないのだろう。しかし、それがすぐに敵意に結びついてしまう辺りに彼女の不安定さを感じさせた。
「コレが殺気の理由かあ。思い当たる節は程ほどあるのだけど、困ったわね」
ミアの口調からエフィミアのそれに変わった事に、デイジーは少し驚いている。
「あら。話してくれるの? あたしとしては秘密のままでも構わないのだけど」
「そっちの子が凄く怒ってるみたいだから、ね」
苛立ちを隠そうともしないAlexandraへエフィミアは目を向けた。見抜かれたと知ったAlexandraが反射的に構えるも、さすがに実力者。隙が無い。
「伺いましょうか。貴方の言い訳を」
「なんだ。こんな所で口論か?」
仕方なしにAlexandraが問うと、バーネットが聞きとがめる。先行していたシェオルやララベルも気が付いて心配げな顔をした。4人組も突然の仲違いは自分たちのせいではないかと案じるように見つめている。
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「ごめんなさい。実はミアとは世を忍ぶ仮の姿なのです。私は……」
気まずそうに自分の偽名について自供すると、授恵者達は驚いたり、最初から知っていた顔をしたり、そもそもエフィミアって誰? と首を傾げたりと各々反応を見せた。4人組が口をぽかんと開けている横で、先輩風を忘れたトーラがあわあわしている。
「わたし、何かこれまでにまずい事をしていませんでしたか……!?」
「いえ、多分……。大丈夫ですよね?」
失礼が無かったかと過去の遭遇記憶を遡るトーラを見て、心配性のツァガーンナルが考え込んだ。デイジーは落ち着き払って「なるほどね」などと言っている。
「ん、つまりミアでいる時はミアで、いいんじゃないかな?」
「まあ、理屈の上ではそうだな」
「依頼の間に別の仇名で呼ぶようなものだろう? 何が問題なんだ」
ララベルはすっぱり切り替えた。バーネットは思考を巡らせ、シグルドはざっくばらんに笑いとばす。「きっと大丈夫だよ」とシェオルは4人を元気づけようとしていたが彼らの不安げな表情はぬぐえない。そして発端のAlexandraはといえば納得の様子はなかった。
「そこが問題ではありません。分からないのですか」
「ちょっと待ってね。ええと、あとは依頼関係で誤魔化してたことだと……、剣の話?」
「さっき外見などの特徴は聞いたが、それ以外に何かあるのか」
「友達に貰った大切な剣だって言ってたよね? だから僕、探してあげたくって」
シグルドの怪訝そうな声に、ララベルが言葉を継いだ。
「ボクも、このハルバードは、ボクに預けてもらった大切なものなので、気持ちは分かる気がします」
「貴方の言う友とは『何時』の話ですか。それに剣がそれほど大事なら何故捜索の人手を絞ったのでしょうか」
ツァガーンナルの共感の言葉に空気が和らいだ気がしたところを、Alexandraが一刀両断にする。さらにエフィミアを睨みながら言葉をつづけた。
「何故……、貴方は欺瞞を用いて私達の行動を操作したがるのですか? 答えなさい」
追及を受けたエフィミアは、観念したように深々と溜息をついた。まず、剣の素性については、かつてパーティの仲間だった剣士と再会した時に渡されたものだと語る。
「子や孫に使い手が育たなかったらしくてね。お前の好きにしろっていきなり放り投げられたのよ。あの頃はもうあいつ100歳は越えてたかな……」
いつ彼が帝国に仕えたのかは知らなかったが、帝国の皇帝から下賜されたという曰く付きの名剣だとか。レイウェストが使った宝剣とは比べるべくもないが。まあ、剣そのものは良い物だし、使っていいというならと遠慮なく使っていたのだそうだ。
「で、その子達が帝国出身なのは聞いてたから。手に取って見たら素性に気が付くかもな、と思って……」
「俺達平民なんで、そんなの見た事ないっす!」
言われた4名はブンブンと首を振っていた。
(帝国が滅んだ今、皇帝所縁の剣といえば政治的な価値もありますね。巻き込みたくなかったと言えば筋は通りはしますが……)
それが自分の立場を守るための欺瞞か、他者を守るための欺瞞か。どちらか一方と断じるにはAlexandraの持つ情報は少ない。洞察するに、これ以上の秘密は抱えていないようではある。少し考えてからAlexandraはゆっくり敵意を収めたが、ミアの行動を許したと言うより、判断保留というのが妥当な表現だろう。
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その後。色々バレたミアは、力を隠す気もなくなったらしい。挑発を放ったツァガーンナルへ向けて動き出したヤドカリを、殻ごと撃ち抜いて沈黙させた。その間、シグルド、デイジーと新人4人は海老の群れを危なげなく処理している。
「いや、確かに各個撃破で倒せる奴からって言ったがな」
天眼で戦況把握に努めていたバーネットは、ミアへ苦笑を向けた。戦闘を避けて動いた結果、交戦回数は少なくすんでいる。どうしても迂回できない敵も時間最優先で処理されていた。
「あ! そろそろ剣を落とした場所が近いのですよね?」
戦闘後、念のため、トーラは探波を放ってみたが刺さった剣っぽい構造物は周囲に見当たらないようだ。
「海老、崩れていないものだけ拾えば良いかな?」
「そうだな。せっかくだから拾えるものは拾っておくのも冒険者って奴だ」
「なるほど。それはそうですね」
シェオルやバーネットの発案で、4人組は海老魔獣のうち状態の良い物を拾いつつ、偵察役が先を見てくるのを待つ。
「依頼など出さずとも、貴方1人で十分だったのでは?」
疑いの視線をまだ向けてくるAlexandraへ、ミアは首を振った。
「私だけだと、全部焼き払うような攻略しかできないわよ? それやったら多分、また枝場が再構成かかるから……。剣を探すのは大変になると思う」
順調なのは最適なルートを選ぶシーフや、初動で敵を誘き出すウォーリアがいてくれてこそだと彼女は言う。2方向以上から敵が来れば複数キャスターがいる事が活きてくるし、ヒーラーがいてくれることで怪我する可能性を無視して強気に攻める事も可能だ。結果、戦闘時間が短くなれば余計な敵を呼び寄せる危険も少なくなる、と。
「この先は洞窟になっていたよ。もしかしたらヤドカリがいそうかな?」
「こっちは浅瀬で、ヤドカリっぽい岩はなかったけど、ちょっと奥まで見てきたらマーマンの群れがいたよ」
そうこうするうちに、シェオルとララベルが二手に分かれた先を探って戻ってきた。幾ら巧みに擬態していても、聴覚やサーマルアイを駆使してじっくり観察する彼らの目を欺けるほどではない。
「マーマンの群れ、ですか?」
「うん。一匹が崇められてるみたいで、剣を掲げた姿はまるで海荒れる時、海の意思が遣わすという、魚人の勇者マ・マーン……。あれ? もしかして」
「ああ。マーマンが剣を持つって話は聞かないな。多分、それが当たりだ」
ツァガーンナルに説明するうちに、ララベルがはっと気が付く。ダンジョンについて下調べをしてきたシグルドが頷いた。
「次が決戦という事なら、ウォーターウォークをお願いしたいわね」
デイジーの言葉に、Alexandraがスキルを行使する。依頼人に思う所は有れど、受けた依頼その物に手を抜く理由はない。
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『ギョピー!』
『『ギョギョエー!!』』
マーマンの勇者が何やら叫び、応じるマーマンが鬨の声を上げる。しかし、亜人語適正は誰も持っていなかったので意味は解らなかった。
「あれがミアの剣なの……。凄い、剣に勇者の力が」
「あのマーマンは何やら雰囲気が違いますけど、これも迷宮の変化でしょうか」
ララベルが驚き、ツァガーンナルも身構えながら瞬き1つ。
「多分、良い武器を手に入れたおかげで強くなったんだろう。迷宮では稀にあることだ」
シグルドは思い当たる節があったらしく、頷いていた。
「おっと、楽に動けると思うなよ」
マーマンたちが動き出す前に、バーネットが移動速度を殺すエーテル場を出現させる。知らずに踏み込んだ槍魚人がグエグエ驚きの声を上げた。様子見していた勇者魚人が配下へ何か叫ぼうとしたところに、ツァガーンナルの挑発が刺さる。隣にいた鉄砲魚人へシグルドが獅子の咆哮をぶつけた。残る鉄砲魚人がミアへ水の刃を放ってくるも、魔法の障壁で阻まれる。
「存分にやっても、あの剣は壊れないと思うから良いわよ!」
「……言われなくとも」
ミアにそう答えて、Alexandraはストーンブラストを放つ。ミアと、ついでバーネットとトーラが光弾で敵を掃射した。アーケインを迂回する間もなく、魚人の群れがほぼ半壊したところへララベルが切り込む。
「動きづらいのはお互い様だから!」
アーケインに囚われた槍魚人を他所に逃がさぬ構えだ。爆撃範囲外だった雑魚魚人へは、4人組にディジーとシェオルを加えたチームが向かっていく。
「もう一発、行くわよ!」
挑発を受けてアーケインに踏み込まざるを得なかった勇者魚人と鉄砲魚人は、追加の範囲攻撃に為す術もなく撃たれていく。ララベルに迎撃されていなかった方の槍魚人と勇者魚人だけが生き残った。
「かわいそうですが、これで仕舞です」
ツァガーンナルが自分から間合いを埋め、アーケインの中から吠える勇者マーマンへ【シルーン・サルヒ】を振り下ろす。長身の彼女の身の丈を超える、暴風の名を持つハルバードは死に体だった勇者魚人の生命の火を吹き消した。
「追い打つわよ!」
デイジーが逃げ腰の敵へ突貫し、大剣を叩きつける。トーラが杖を振るって魔力を撃ち込むのに続いて、4人組のキャスターとヒーラーも攻撃を加えた。シェオルは念のため彼女達の傍から矢を放つ。最後の槍魚人がララベルに切り伏せられると状況は完全に味方有利となり、僅かの間で敵は逃げ切れずに全滅した。
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「ありがとう。何とか取り戻せてよかったわ」
「本当に、良かったですね」
持って来ていたらしい鞘へ剣を収めて、ミアが礼を言う。斧槍の柄を握り直して、ツァガーンナルがにっこり笑った。4人に対してはギルドからの依頼ではないので、別口で謝礼を払おうとしたようだが首を振られている。それではとシェオルが海老を分ける事を提案し、それならばと彼らも喜んで受け取った。
「それと、色々喋ったけど、できれば内緒にして欲しいなー……、なんて」
もじもじしつつそんな事を言うミアを、知ってて黙っていた面々は生暖かく見つめていた。ヴィントはいざ知らず、エドゥノーグではだいたい周知の事実ではある。
「それより頑張ってくれてた彼らを褒めてやって欲しい」
「あ、そうね。うん、他の人のいう事を良く聞いて、安全も配慮出来ていたし、良かったわよ」
シグルドが少し笑いながら言うと、ミアは真顔で頷いた。聞いた4人組は肩を並べていたシェオルやデイジーへ笑顔を向ける。
「頑張って! 早く家族呼べるといいね」
ララベルの激励に、ありがとうございます、と体育会系な礼を返しつつ。
「今回はすっげー勉強になったから、またこっち来た時は色々教えてくださいっ」
「いっそ、そのうちエドゥノーグへ出稼ぎに行ってもいいわね」
下げた頭は、見守っていた先輩や共に戦っていた冒険者へ向いていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年08月25日 18時49分06秒 公開
相談掲示板
ウォーリアのデイジーよ、よろしくね。 とりあえず、ミアの探しもの探していたら、ヘンテコ生物に遭遇して、たまたまそいつが探し物を持っているから 倒して取り返すって感じかしら? どうやって戦うか、を決めないとよね?
シーフのトーラです。 ミアさんの落とし物探し頑張りましょう! ところで、四人組の人達はどうしましょう?
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、宜しくね! 4人組、責任感じてるみたいだし、手伝わせてあげたい気もするけど…むむむむ。
―……。 (長いため息。…今回、このエルフもどきは酷く機嫌が悪いようだ) …今依頼でもよろしくお願いします。 キャスター、クラウディアです。 やることは至極簡単。形成された集団を範囲攻撃で蹴散らし、点在する烏合を各個撃破すればよいだけのこと。 敵の過半は水属性でしょうから、特効は地属性。 対応スキルとしてストーンブラストを持ち込んでおきますか。 エリアは岩場の浅瀬とのことですから、得意であれば遊泳、そうでなければ水上歩行でも。 ウォーターウォークを持ち込んでおきますので、必要であれば活用のほど。
ウォーリア、シグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 4人のお守りはまぁできないことはないが、皆の気持ち次第かね。来させん方が良いならその方が良いだろう。怪我人を増やすのは避けたいしな。
ウォーリア、ハルハン・ツァガーンナルです。 よろしくお願いします。 四人組は、同行しても大丈夫。だと思います 判断はできるようですし、今度はボクたちもいるので。
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 戦闘に関していえば、密集している敵は範囲攻撃で片づけ、強めの個体は足止めとかで 連携を分断して各個撃破、あたりで問題なさそうだな。 あとは4人組を連れていくかだが……エビとかマーマンの雑魚相手なら、 多数に群がられるとかじゃなければ、自衛戦闘は問題なさそうだし、 強めの個体もこっちで抑えられそうだから、勉強も兼ねて連れて行っても何とかなるとは思う。 まぁ、それでもリスクはつきものだし、その辺の判断は多数意見に従うつもりだ。
四人組?どうかしらね? 正直いって、あたしは自分の事で精一杯だから、面倒を見る余裕は無さそうね。 あたしたちのメンバーにヒーラーが居ないみたいだから、 そう言う意味では、ありかもしれないけど…… 戦い方は、クラウディアが言ってる感じだと、あたしは、雑魚対応が無難かしらね?
エルフのシーフ、シェオル。 どうぞよろしくね。 うん、密集具合を見つつの範囲攻撃と各個撃破、で僕も異論ないよ。 マーマン以外だと、岩かと思ったのにヤドカリだったってパターンが若干厄介かな? 索敵はきちんとしておきたいね。 四人組は……誘ってもいいんじゃないかなぁ。 ハルハン君が言うようにきちんと判断もできるみたいだし、 パーティ内のバランスや相性も良さそう。 あと自分で言うのも何だけど、現状の僕より戦力にもなりそうだし……。 個人行動としては、僕も孤立してる雑魚なんかを相手にできればと。 離れてたら弓、近付いてきたら剣で、チクチクやろうかな。
ウォーリアとシーフが三人ずつにキャスターが二人居るので、範囲攻撃も単体攻撃も十分そうですね。 範囲攻撃と回復が足りないようなら、杖を持って魔法攻撃に寄せることも出来ますよ。 索敵もシーフが三人いれば大丈夫だと思います。 新人四人ですけど、気にしているなら声をかけて同行して貰ってもいいかと思います。
それにしてもまあ。 冒険者ミアの、大事な友達から貰った剣探し…と。 ―その依頼を、受付を介さない個人依頼で済ませようというのは、解せませんね。 依頼先を選り好みするのもおかしい。 万全を期する上で、態々挙手までした彼らに後方支援だけでもさせる手はあろうに。 執着する経緯も説明なし。他にも隠し事の気配あり… …全く、冒険者にあるまじき体たらくと思えてならない。 (…どうも不機嫌の矛先は、依頼人であるミアらしい)
とりあえず4人は連れていく方針で良いのかな。反対意見がないならそのつもりでいよう。 ミアの思惑はとりあえず探し物を見つけてからだな。特殊な品だと言うし、見つかった時点で何かわかるかもしれないが。 戦闘では俺は守りが主体だから攻撃力はアテにできないと思うが、やれるだけはやろう。 まぁメインは剣の捜索だ。無闇に戦闘するより避けられるものは避けて行った方が良いだろう。シーフが索敵してくれるなら、避けられる戦闘も結構増えるだろ。
ん、ミア君、ギルドに依頼を提出したってあるから、受付は通してるんじゃないかな。 4人はそうだね、それじゃあ問題なければ僕から声を掛けておこうか。 雑魚敵相手を中心に支援してもらうのと、シーフの子には索敵の手伝いも頼む感じでいいかな? 僕も捜波あたり持っていっておくね。
んまぁ、ミアがな~んか隠してるぽい気はするけど、それはともかく、戦いに備えないとね? 四人組についてはお任せするわ、お手数かけてごめんなさいね。 戦いは、とりあえず、あたしは雑魚相手して、倒せたら他にもフォローに回るわね。
>4人 そんじゃま、4人は連れていくって事で良さそうだな。 戦闘中は4人ともバラバラに動かない、自衛を優先する、緊急時には俺達の指示に従う、辺りを 指示しておけば、とりあえず大丈夫そうか?
出発が明日だと勘違いしていました…。 とりあえず、杖とヒールを持っていきますね。あとは回数は少ないですけど範囲魔法。 4人については、私も声をかけてみますね。
そういえば、水辺での戦いもあり得るのかしら? 前にクラウディアが言ってくれてたけど、必要あればウォーターウォークを頂けると助かるわね。 個人的には、雑魚相手、可能なら側面に回り込んでの範囲攻撃かしら?と考えているわ。
ちょっと考えたのだけど、四人組と一緒に行動するなら、戦闘時、あたしは彼らと連動したほうが良いかしらね? そんな感じで動きを意識して置くわ!
あ、僕の方は離れている間は弓で撃っているだけだし、バランス感覚も持つから、 ウォーターウォークは他に欲しい人を優先してもらえたら、とは書いておくよ。 後方にいるから4人組含め戦況も見やすいだろうし、そちらもきちんと気に掛けておくね。