生贄を捧げよ!
ゆうきつかさ
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シナリオID:1286
オープニング
大きな災いが起こるたび、生贄を捧げていた村があった。
生贄を捧げれば、災いが消える。
……そう思われてきた村があった。
だが、生贄を捧げても、災いが消えなかった事もあった。
その場合は、生贄が穢れていたと決めつけ、災いが消えるまで、生贄を捧げてきたようである。
それが原因で、過疎化が進んでいるものの、生贄の風習が途絶える事はなかった。
最近になって、その村の近くに、魔獣が現れた。
長老が叫ぶ。
それはイキガミ様じゃ!
イキガミ様の怒りを鎮めるため、生贄を捧げるのじゃ、と……。
そして、選ばれたのは、村の若い娘であった。
「俺は納得がいかねぇ。だって、そうだろ! 生贄を捧げれば、災いが消えるって。そんなの、あり得ねぇだろ! 相手は魔獣だぞ! イキガミ様なんかじゃねぇ!」
依頼主であるサルファが、苛立ちを隠せない様子で、叫び声を響かせた。
出来る事なら、自分の力で魔獣を倒したいところだが、そんな力は彼に無い。
だが、このまま何もしなければ、最愛の人が生贄として捧げられてしまう。
それを防ぐために、魔獣を倒して欲しいという事だった。
魔獣は体長3メートルほどのケモノのような姿をしており、全身には針のようなトゲが生えているらしい。
身の危険を感じると、全身のトゲを飛ばしてくるようだ。
その事を踏まえた上で、魔獣を倒す事が今回の目的である。
解説
マスターより
リプレイ
「……生贄か。まだそんな風習が残っている場所もあるのだな。悪習といえど一度根付けば根絶は難しいところだが……」
ブレイドは複雑な気持ちになりながら、夕暮れの森を進んでいた。
森の中はヒッソリと静まり返っており、今にも物陰から何かが飛び出してきそうなほど不気味であった。
そんな中、ブレイドは暗視と捜波・改を駆使して、イキガミ様と呼ばれる魔獣の気配を探っていた。
「確かに、長く続く信仰が説得で簡単に変わる訳がないしね。みんな何かに取り憑かれているような感じで騒いでいたし……」
一方、エルシー・サリバンは村人達の反応を思い出し、嫌悪感をあらわにした。
ここに来る前、依頼主であるサルファの村に行ったのだが、他の村人達はイキガミ様が実在すると思い込んでいるらしく、まったく話を聞こうとしなかった。
それどころか、自分達の考え以外は、みんな間違っていると思い込んでおり、それを長老が煽っているようだった。
それだけ魔獣の姿とイキガミ様の姿が酷似していたのだろう。
村人達の考えを改めさせるためには、長期の話し合いが必要になりそうである。
「それでも、生贄の是非を問うなら否だろう。そもそも、イキガミ様とやらが何かしら災いを起こしているという証拠もない。まぁ自分達ではどうにもできない魔物ならば、それそのものが村にとっての災厄ではあろうが……。どうあれ、魔物は魔物だ。神ではない」
シグルド・オルセンが躊躇う事なく、キッパリと断言をした。
実際にイキガミ様は神では無いのだから、間違った事は何も言っていない。
むしろ、それを理解する事の出来ない村人達の方が間違っているのだから……。
「うーん……、よくわかんねーけど、とにかく魔獣の退治ができればいいんだよな?」
フォルカー・バルテンが不思議そうに首を傾げながら、仲間達に対して問いかけた。
どうやら村人達にとって、イキガミ様は神にも等しい存在のようである。
しかし、実際に現れたのは、見た目がよく似た魔獣であって、イキガミ様とは別物であった。
それでも、村に伝わる伝承などから、村人達は魔獣がイキガミ様であると思い込んでいるようだ。
「ああ、その通りだ。そもそもイキガミ様なんて、存在していない。それを証明するためにも、倒す必要がある」
アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトがランタンで辺りを照らしながら、森の中を進んでいった。
イキガミ様の生息地域が近づいているためか、木々には奇妙な飾りつけが施されており、何やら近寄り難い雰囲気が漂っていた。
「……見つけたよ」
その途端、超聴覚で聞き耳を立てていたエルシーが、仲間達に警告するようにしながらダマスカス鋼の盾を構えた。
イキガミ様は全身にトゲを生やしたケモノのような姿をしており、見た目はヤマアラシに近かった。
その気配に気づいたティム(ペットの栗鼠)も、身の危険を感じて、エルシーの後ろに隠れた。
「アレがイキガミ様とやらか。……見たままにあのトゲは厄介そうだ」
ブレイドが茂みに隠れつつ、イキガミ様の様子を窺った、
イキガミ様は、ブレイド達の存在に気づいたのか、何かを探すようにして、鼻をヒクヒクさせていた。
「意思疎通は……無理そうか」
シグルドが茂みから姿を現し、イキガミ様に視線を送った。
「グルルルルッ!」
その途端、イキガミ様は唸り声を響かせ、シグルドに対して激しい敵意を向けた。
この時点で、交渉の余地なし。
やはり、魔獣は、魔獣。
神のカケラも感じない程、ケモノじみた反応を示しているため、倒したところで祟られる心配もなさそうだ。
「どうやらイキガミ様とやらもヤル気のようだな。だったら、その期待に応えてやらないとなっ!」
すぐさま、アルベルトがダマスカス鋼の大太刀Reを握り締め、イキガミ様に斬りかかっていった。
「……!」
それと同時に、イキガミ様がビクッと身体を震わせ、勢いよく飛び退いた。
「まさか逃げるのか? 仮にも神と呼ばれた存在が、随分と臆病だな」
即座に、シグルドがシーザーロアを発動させ、イキガミ様の注意を引いた。
「グルルルルッ!」
その挑発に乗ったイキガミ様が、今にも飛び掛かりそうな勢いで、勢いをつけて地面を蹴った。
「……そこまでだよ」
すぐさま、エルシーがエンライトを発動させ、光の玉を形成する事で、イキガミ様を驚かせた。
「飛ばすトゲもなくなるほど刻んでくれよう」
それに合わせて、ブレイドが疾風足で一気に距離を縮め、トリプルファングを繰り出した。
その拍子に、イキガミ様の身体からトゲが飛び散り、地面にザクザクと突き刺さっていった。
「俺の一撃を食らえ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、アルベルトが紫電一閃を繰り出し、イキガミ様の肉を抉るようにして斬り裂いた。
「ピィィィィィィィィィィィィ!」
その一撃を食らったイキガミ様が、悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、苦しそうに地面を転がった。
「……これが神の正体か」
フォルカーが複雑な気持ちになりつつ、重撃射で鉄の矢の先端にエーテルを収束させて解き放ち、イキガミ様に纏わりつかせる事で、動きを鈍らせた。
それでも、このまま何もしなければ、イキガミ様として、村人達に恐れられ、生贄が捧げられていただろう。
その事を考えるだけで、背筋にゾッと冷たいモノが駆け抜けた。
「どうした? この程度なのかよ、イキガミ様!!」
続いて、アルベルトが皮肉混じりに呟きながら、鋭撃2を繰り出し、さらにイキガミ様を追い詰めていった。
「ピギャアアアアアアアアアアアアアアアア!」
その事に危機感を覚えたイキガミ様が耳障りな鳴き声を響かせ、全身に生えたトゲを飛ばしてきた。
それと同時に、エルシーがダマスカス鋼の盾を構え、自らの身を守りつつ、反撃する機会を窺った。
「……と言うか、そんな事をしていいのか。自分の身を守っていたトゲを飛ばしてしまったら、袋叩きにしてくれと言っているようなものなんだが……」
そんな中、シグルドがダマスカス鋼の盾を構えたまま、真正面から突っ込んでいき、破脚砕で肉体を蝕むエーテルを纏ったダマスカス鋼の槍を突き刺した。
「命運尽きたな! 滅び去れ!!」
次の瞬間、ブレイドが再びトリプルファングを仕掛け、イキガミ様の身体を斬りつけた。
それに合わせて、フォルカーがハーツベインショットを仕掛け、鉄の矢に不可視のエーテルを纏わせて放ち、イキガミ様の首を貫いた。
「グ……グエ……」
続けざまに攻撃を食らった事で、イキガミ様は身を守る事が出来ず、激しく痙攣した後、動かなくなった。
「さて……、討伐はできたが生贄の風習をやめさせるにはどうしたものか。キレイさっぱり燃やしてやるくらいしか思いつかん」
そんな中、ブレイドがダマスカス鋼の剣についた血を払い、イキガミ様の身体に蒸留酒を掛け、火打箱で火をつけようとした。
「いや、せめて首を斬り落としておくべきだろ。魔物の死体を持ち帰れば、長老が意味のない生贄で、犠牲を出した責任を取る事になるだろうからな」
そう言ってシグルドが仲間達からナイフを借りて、イキガミ様の首を斬り落とそうとした。
「こら、そこで何をやってる!」
次の瞬間、村人達が松明を掲げて、シグルド達のまわりに集まってきた。
どうやら依頼主であるサルファが捕まり、洗いざらい白状させられたようである。
そのため、サルファは猿轡を噛まされ、瞳には涙を浮かべ、ウーウーと唸り声を上げていた。
「私達は、この村と同じ神を崇める者です。偽神が現れ、真の神への敬仰を奪う事態が起きるとのお告げがあったため、ここに参りました」
そのドサクサに紛れて、エルシーが厳かな神服を纏い、エンライトで形成した光の玉を利用し、神々しい雰囲気を漂わせながら巫女として振舞った。
「それに、『イキガミ様』は俺達が斃した。もう生贄なんて捧げる必要は無い。それでも、また魔獣が現れたら、今度は冒険者を頼れ。いいな!!」
その流れに乗るようにして、アルベルトが村人達に釘をさした。
どうやら、村人達はイキガミ様が倒された事で、長老の言葉に疑問を抱き始めたらしく、アルベルト達を信じ始めているようだ。
「いや、駄目じゃ! こんな事をしたら、間違いなく祟られる! 早く生贄を! 清らかな乙女を捧げるのじゃあああああああああ!」
そんな空気を察した長老が、苛立ちを隠せない様子で騒ぎ始めた。
おそらく、プライドをズタズタにされてしまった事で、引くに引けなくなってしまったのだろう。
「……と言うか、イキガミ様は魔獣だったわけだし、生贄を捧げたところで、意味がないんじゃねーの? アンタがそんなんじゃ村人も悲しいぜ、きっと」
フォルカーが呆れた様子で、長老に視線を送った。
しかし、長老の命令は、絶対なのか、村人達は迷っている様子。
「ええい、どうした! 何をモタモタしている! いっそ、こいつらを生贄にしてしまえ! そうだ、その方がイキガミ様も、お喜びになるだろう!」
長老が両目をカッと見開き、何かに取り憑かれた様子で、不気味な笑い声を響かせた。
「どうやら、何も分かっていないようですね。そんな事をしても、イキガミ様は、喜びません。今までの生贄の儀で失敗もあった件、理由にお気づきですか? あれは信仰心不足の贄だったためです。つまり生贄として相応しいのは、清らかな乙女では無く……それ以上の事は言わなくてもわかりますね」
エルシーが長老を見つめ、ニッコリと笑った。
その途端、村人達の視線が、長老に集中した。
この様子では、村人達にも心当たりがあるのだろう。
どおりで、あの時……と言わんばかりに、納得しているようだった。
「うぐ……ぐっ!」
そのため、長老は、何も言えなくなった。
どうやら、長老にも心当たりがあるらしく、反論する事が出来なくなっているらしい。
「……という訳なんだが、どうする? オレは別に構わねえぜ」
フォルカーが長老を見つめ、とてもイイ笑顔を浮かべた。
「うぐぐ……! こ、今回は引き下がってやるが! 万が一、村に災いが降りかかるような事があれば、お前達のせいじゃからなっ!」
そう言って長老が捨て台詞を吐きながら、その場を後にするのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜8人
2021年08月20日 03時02分27秒 公開
相談掲示板
シューターのエルシーだよ。ヨロシクね。 生贄系は嫌いなので長老の吊し上げもするかも? この人はこう言うものと教えられて生きて来ただろうから 被害者かも知れないけど、どこかで止めたいからね。
シーフのブレイドだ、よろしく頼む。 地方ではまだこういう風習があったりするのだな… アラガミとやらが自ら生贄を求めたかも怪しいのによくも続いてきたものだ。 なにはともあれ、今回で終わらせられるよう尽力しよう。
フォルカー・バルテン、シューター オルセンさんはこないだぶりで、サリバンさんとブレイドさんは初めまして〜!(手をブンブン振って) 生贄か……想像したらゾッとしちまった。 どうにか止めてやりてーな。 ……うん、全力で頑張る!よろしく!
ウォーリアのシグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 フォルカーは先日の熊依頼ぶりだな。 生贄は、本当に効果があるなら百歩譲って一理あるだろうが、あるかどうかもわからんならやる価値はないな。 とりあえず魔獣を倒して、その上で魔獣を調べて生贄の意味のなさを証明し、糺そうかね。
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 「イキガミ様」とやらは、俺達で全力で斃してその後村長には生贄の習慣をやめさせるように説教かな。 また、魔獣とかが現れたら冒険者を頼れって言っておこうか。
揃ったね、ヨロシクだよ。 今回の目的は魔獣退治で、生贄廃止は横道に逸れてしまうんだ… なので、反対されても仕方ないと思ってたんだけど、同意して貰えて嬉しいよ。 アプローチ方法は人其々と思うから、誰かしらのが届くと良いな。 戦闘は、夕方から夜にかけてって事なので 暗視か光源があると良いと思うけど何かしら持てるかな? スキル枠の関係もあるから、私がエンライトで纏めて照らすことも出来るから言ってね。
こちらも間が空いてすまない、無事そろったようでなによりだ。 フォルカーさん、アルベルトさんはどうもお初(一礼)と、 エルシーさん、シグルドさんはタカラガイでもご一緒になったな あらためてよろしく頼む 生贄廃止はあまり口が回るほうではないので、誰かのが通るといいんだが… 光源については暗視はあるので、その辺はおまかせしたいと思う。