【CP】ヴィントへの道は遠く

霧柄頼道

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シナリオID:1284

オープニング

●
 帝国都市南部ヴィントを巡る決戦は、冒険者達の協力により帝国軍が制した。
 現在急ピッチで復興が推し進められ、それにつれて複数ある難民キャンプの一部が、近日中の解散と王国への跡地返還を帝国と王国に打診。
 結果、ヴィントを中心とした帝国本土へ、難民による帰還の旅が始まったのである――。

 難民キャンプの一角で、故郷を目指さんとする難民の一団が集まり、荷支度を整えていた。
「この時をどんなに夢見た事か! ……あの絶望の日から、必死になって生き延びた意味があった……!」
 毎日の土仕事や力仕事で服装は汚れていたが、目には感極まったような希望の光が咲いている。
「ただ、まず覚悟して欲しいのは、我々の故郷はヴィントにも劣らぬほど、荒廃してしまっているかもしれないという事だ。苦難の日々はまだ続く」
「なぁに、このキャンプで学んだ経験を活かせば、どこでだってやっていけるさ。むしろ積極的に復興して、それをもってシルトラース全体の復活を示すんだ!」
 一同は頷き合い、難民キャンプを発っていく。長く世話になった地だが、ついに離れる時が来たのだ。
 ――しかし、そんな話し合いを、物陰でニヤリと笑いながら聞いている影があった。

 難民達は肩を寄せ合い、しばらくは何事もなく街道を進んでいたものの――異変は突如として訪れた。
「げッひィヤハーッ! 持ってるもん全部置いてけや! さもなきゃ死ね!」
 背の高い草むらや岩陰から盗賊達が現れ、襲い掛かって来たのである。
 逃走を図る一行。とはいえ難民の中には武器を持ち、戦闘経験のある者も同行している。
 難民達と同じ立場で支援していこうと考え、軍をやめて合流した元シルトラース兵士や、流れ者の元傭兵、あるいは武術の心得がある商人に、キャンプ内で訓練を重ね、剣を扱えるようになった農民など……いずれにしても気骨のある戦士達である事に違いはない。
 戦力としてはそれこそ、帝国軍の小隊にも劣らない。少々の敵が襲って来ようと、むしろ返り討ちにしてくれる――。
「なんだ……奴ら、退いて行ったぞ?」
 なのに、盗賊を迎え撃つべく目前に見えた荒野へ飛び込んだ矢先、敵はこれまた前触れもなく追跡をやめ、嫌な笑みだけを残し、一人、また一人と姿を消していくではないか。
 意外な展開に当惑し、ぽかんと立ち尽くしていたのも束の間だった。
「……お、おい! 向こうから魔獣の群れが!」
 今度は反対方向から、ダイアウルフと呼ばれる狼型の魔獣らが、うなり声とともに突っ込んで来たではないか!

 難民達は激しい攻防の末、魔獣の群れを撃退した。
 しかし犠牲は大きく、こちらも半数以上が殺されてしまっている。
 それでも血を吐き、歯を食いしばりながら立ち上がって、目線を上げた先には。
「――ありゃりゃりゃま! 残念でっした~!」
 先ほど去っていったはずの盗賊達が、こちらを笑いながら取り囲んでいたのである。
「もォキミ達はァ~ン……帰れませ~~~~~ンッ!」
 疲れ切り、傷を負った難民達はろくな抵抗もかなわず、容赦なく蹂躙され、惨殺されていく。
「俺は、故郷に……家に、帰……」
 力なく手を伸ばす難民。力尽きる彼の頭上で、青空を白い鳥が羽ばたいていった――。

●
「故郷へ帰る途上の難民グループが、ヒューマンバルバロイの盗賊団に襲われてしまうのじゃ」
 冒険者ギルドに集まる冒険者達へ、預言の魔女オペラは予知したままの内容を語っていた。
「冒険者の皆には現地へ向かい、難民達を救出してやって欲しいのじゃ」
 とはいえ今回の事件には、計画的なものを感じる。
 恐らく盗賊達は、難民グループの行き先や戦力などをあらかじめ知っていたに違いない。
「きっと盗賊どもの一部が、難民を装ってキャンプへ潜り込み、マトにかけやすい獲物を見繕っていたのじゃろう」
 さらに、難民達はダイアウルフにも襲われている。あれも事前にダイアウルフの縄張りを知っており、難民を巧妙にその縄張り内へ追い込んだ結果であろう。
「難民と魔獣を争わせ、自分達は高みの見物をしながら、後詰を果たす……中々に考えられた嫌な手口じゃな」
 冒険者達が介入できるタイミングは、難民達が追い立てられ、ダイアウルフの縄張りへ入った後あたりからだ。
 魔獣から難民を守り抜くのはもちろんだが、盗賊への対処も疎かにしてはならない。
「連中はどこか近場で監視しているじゃろうし、チャンスと見れば躊躇なく飛び掛かって来るはずじゃ」
 常に警戒するか、あるいはこちらから仕掛けるか――先手を打てるよう、工夫した方がいいかも知れない。
「故郷までもう少し、という所で殺されてしまうのは、さぞ無念だった事じゃろう。ここは皆で協力し、難民達を助けて欲しいのじゃ!」

解説

●勝利条件  難民グループの救助 ●バルバロイ盗賊団×二十人程度  元々はリーンエス辺境を放浪していましたが、帝国軍によるヴィント攻略の報を耳にし、力のない難民達を相手に一稼ぎできないか、と国境を越えて来たようです。  人里へ紛れ込んで情報収集したり、魔獣を利用するなど、ちょこざいな小細工を仕掛ける傾向にあり、その上劣勢と見たら逃げ出すなど、引き際も良いです。 ・盗賊斧兵  盗賊団の主力である、斧を装備した盗賊です。生命と防御力が高く、自慢の斧を振るって近距離単体物理攻撃を仕掛け、場合によっては近くの仲間へカバリングも行います。 ・盗賊弓兵  斧兵よりは数が少ない、弓を装備した盗賊です。防御力は貧弱ですが素早く、射撃による遠距離単体物理攻撃を行います。 ・盗賊首領  質の良い鎧兜を身に着けた、大柄な男です。大型のハンマーを縦横無尽に操り戦います。  ハンマーは投げると自動的に持ち主の元へ戻る魔法がかけられているため、通常の近距離単体物理攻撃と、投擲による遠距離単体物理攻撃の二種類を使い分けます。 ●ダイアウルフの群れ×七、八体程度  速さや移動力は高いものの、数はそれほど多くなく、強い個体もいないため、群れとしては弱い部類に入ります。  ヴィント周辺を支配していた大型クリーパーや厄介な魔獣がいなくなったので、弱めの自分達でもワンチャン縄張りを広げられないか、と近づいてきた手合いです。  ゆえに、戦いになっても、仲間が何体かやられたら逃げにかかる程度には弱腰です。  攻撃方法も接近してからの噛みつきや引っかきなど、単純な近距離単体物理攻撃のみ。  盗賊団は仲間でもなんでもないため、出くわしたら難民や冒険者と同じように襲います。 ●場所と状況  街道から逸れた先にある荒れ地。  起伏は少ないものの、点在する大小さまざまな岩や枯れ木が死角となり、充分な視野が確保しにくい上、ダイアウルフ以外の危険な魔獣もちらほら生息しています。  ダイアウルフは難民が自分達の縄張りへ侵入したのを嗅覚と聴覚で察知し、集団で襲撃します。  盗賊団は荒野内のどこかへ身を隠しながらその様子を観察し、難民達が食い殺された後(生きていてもトドメを刺して)悠々と金品を物色する算段です。  首尾よく難民を救い出す事ができたら、危険な荒野脱出までの間くらいは、護衛へついてあげると安心でしょう。

マスターより

 霧柄頼道です。よろしくお願いします。  ようやく生まれ育った地へ帰れる、と湧き立つ難民達。けれど、そんな彼らをつけ狙う卑劣な影。  盗賊団の企みを打ち破り、難民達の帰路を支援してあげましょう!

リプレイ

●
 荒れ地で立ち尽くす難民達。すると反対方向から、獣の吠え声が響いて来る。
「……お、おい! 向こうから魔獣の群れが!」
 地を蹴り、砂を巻き上げ、岩を跳び越え、ダイアウルフ達が襲い掛かり――。
 瞬間、その場へ飛び込んだフリューリングスルフト=ティエラが、勢いよく得物を振りかぶり、素早い三連撃でもって先頭のウルフを叩き斬った!
「――自分の身、しっかり守っててさぁ!」
 驚く難民達へ、守備に注力するよう伝え――後から同じく冒険者の仲間達も追いつき、彼らの壁となって立ちふさがる。
「皆さん、気を緩めないで! ここはダイアウルフの縄張りよ!」
「あんた達は、一体……!?」
 巧みに棍を操り、ウルフの突撃を捌くロゼットへ、難民が問いかけた。
「俺達も難民だ! 道に迷ってしまってな……!」
 シグルド・オルセンがどこかで見ているはずの盗賊達にも届くよう、大声で答える。
「こうなったら一蓮托生、共に戦うしか……くっ!」
 ウルフへ向けて槍を突き入れつつも反撃をもらい、実力はそれほどでもなさそうだという風な演技を怠らない。
「おいおい、誰か援護してくれよ! 俺は腕にゃ自信がねぇし、武器だってしょぼいんだからな!」
 エイル・ビュセファスは難民を庇える位置取りをしつつ、シューターを装い後方から矢を射かけていく。いかにも弱そうな発言を重ねていくのも忘れない。
「皆さん、敵はこちらを包囲しているみたいです!」
 ハルハン・ツァガーンナルは耳を澄まし、死角となりそうな箇所も隙なくチェック――敵の気配を感じ取るや、声を張って示す。
「あっちからもウルフです! 来ますよ!」
 注意を飛ばすと同時に前へ出てシーザーロアを使い、敵を自身へ誘導。
 次ラウンドからは猛烈に斧を打ち込み、難民の中でも非戦闘員達の方へは決して通さない。

 一方、トーラとバーネット・フォーサイスの二人は、戦いを監視している盗賊団を先んじて発見するべく、荒れ地を隠密に進んでいた。
「せっかく故郷に戻れるところで盗賊に襲われるなんて……!」
 トーラは不届き者どもへの怒りを燃やしつつも、障害物の死角伝いに移動する事で気配を殺し、こまめに捜波も流して索敵を行う。
「獲物を弱らせてから狩るつもりなんだろうが……そうはいかない」
 バーネットも身を隠しながら探す。敵から見つからないよう保護色の外套を着込んでいるものの――目的が似たような盗賊達も、同じような服装をしている可能性は高い。
 ゆえにどんな違和感も見逃さぬようくまなく目を配り――ほどなく見えて来た、一際大きな岩陰に、不審な一団が集まっているのを発見した。
「おーい! 奴らはどんな感じなんだーい? まだ戦ってるー?」
 頭領らしき大柄な男が、頭上を振り仰いで陽気に声をかける。
 すると岩の上から見張り役らしき盗賊が顔を出し、こそこそと報告した。
「予定と違って別の難民グループが合流したみたいっすけど、まァ大した事ないっすね。俺らにとっちゃ楽勝っす」
「そっかぁ~。引き続き監視よろろン!」
「……そうやって舌なめずりしてる時が、一番隙だらけなんだぜ」
 バーネットは呟いて振り返り、少し離れた場所にいるトーラへ、声を出さずハンドサインで敵の位置と数を教える。
 情報を受け取ったトーラは、そこから続けざまにテレパスを発動。
 離れた護衛組へ、盗賊団を発見した旨を知らせる――。

●
 見張り役の盗賊は、戦場から突然飛来して来たフリーズボルトに額を撃ち抜かれた。
 不意打ちだったため踏ん張れなかったのか、よろよろと数歩後ろへ歩いて倒れ――頭から地上へ、真っ逆さまに転落。
「流れ弾が当たったんか~? アホだなー!」
 衝撃で首の骨を折って死んだ仲間を指し、盗賊達はゲラゲラ腹を抱えて笑う。
「……うまく騙せたみたいね」
 そのフリーズボルトを放った本人であるシャルロット・エクレールは、小さく息をつく。
 トーラからのテレパスで見張り役の位置は把握できていたため、誤射を装って狙ってみたが、うまくいったらしい。
 敵の目を潰す結果となったし、よりこちらが先手を打ちやすくなった事だろう――。
 その頃にはダイアウルフの群れは恐れをなして逃げ出しており、戦闘はひとまず終了していた。
「お、終わったのか……?」
 呼吸の荒い難民達。疲労や傷はあるものの、今の所死者は出ていない。
「ううん、そのまま静かに聞いて。実は……」
 ロゼットが小声で伝える。先ほどの盗賊団が、いまだ周囲に隠れ潜んでいる事。
 もうすぐ襲ってくるが、それを返り討ちにする計画である事など――。
「……傷は痛ぇだろうが、もう少し辛抱してくれや」
 エイルもぐったりと倒れ伏した振りをしながら、声を低めて補足する。
「ありゃりゃりゃま! 残念でっした~!」
 やがて、遠目の岩陰からぞろぞろと、盗賊団達が下卑た笑い声を木霊させ姿を現した。
「わぁー盗賊団が現れたー……と、思うたさぁ?」
 刹那――フリューは芝居をやめ、敵の出鼻を挫くべく駆け出していく!
「もォキミ達はァ~ン……帰れま……なっ、何ィッ!?」
 驚愕する盗賊団。その首領目指して猛然と疾駆しつつ、進路上の邪魔な盗賊達を、すり抜けざまに斬りつけてのける。
「これまで我慢してきた彼らの念願……貴方達に邪魔はさせない!」
 ロゼットも後に続いた。敵が難民達へ近づかぬよう棍を素早く突き込み、前線を構築していく。
「難民狙う盗賊とは……なんかみみっちい連中だ」
「んだとコラァ!?」
 シグルドのぼやきが耳に入ったのか、盗賊が怒りに顔を歪めて斧を振りかぶってくる。
 叩き込まれる質量と衝撃を、構えた盾で受け流して何とかしのぎ――。
「まぁこっちを殺しにきてるんだ、反撃で死んでも文句は言えないよなぁ」
 腰のひねりを加えた一閃を浴びせて薙ぎ倒し、シグルドは言い捨てた。
「難民の皆さんには、手を出させません!」
 ハルハンも果敢に直進し、斧を振り上げ敵勢へ斬り込んでいく。
「もう少しで故郷へ、戻れるんです。絶対に、全員を送り届けますから!」
 力強く踏み込みながら、光塊を纏わせた得物をまっすぐに振り下ろし――激しい衝撃とともに、目前まで迫っていた敵を薙ぎ払う!
「難民狩りなァ。実入りも少ねぇだろうに安全狙いか?」
 エイルが矢へエーテルを込め、一か所に固まっている盗賊団めがけて放つ。
「小さぇやつらだ……逆に剥いでやるか」
 光の矢が破砕して破片が飛び散り、範囲内にいた敵へ食い込み、傷つけていく。
 エイルら護衛組が敵の足を止めてくれた事で、トーラとバーネットは後背から虚を突く事が可能となる――!
 トーラが足音を殺しながら駆け寄り、背を向けている弓兵の急所へ狙い定め、目にも留まらぬ三連斬を浴びせて手傷を負わせた。
 バーネットも護衛組側を支援するため、敵陣の切れ目へスタティックフィールドを展開し、斧兵と弓兵の動きを纏めて阻む。
「企みはお見通しです! 抵抗しても無駄です、降伏して下さい!」
 トーラが叫ぶも、敵はいきりたち、がぜん闘志と殺意を向けて来るではないか――。
「あなた達も食い詰めたのかもしれないから、ちょっぴり気の毒だけど……」
 動きが阻害されている盗賊達へ、シャルロットが魔導の潮流で強化された氷嵐を差し向ける。
「何が嫌だって卑怯な稼ぎ方するやつが一番キライなのよ。――懲りてもらうわ」
 吹き荒れる氷と暴風が多くの敵を巻き込み、少しでも踏ん張れなかった者をきりもみ回転させながら吹っ飛ばす。
 こうして盗賊団との戦いが始まった。ここからが本番であり山場である。
 果たして冒険者達は、難民を守り切れるのか――。

●
 盗賊団との戦闘は熾烈さを増すが、冒険者達が最初に挟撃を成功させた事で、敵の足並みは乱れつつあった。
 冒険者側は乱戦の中連携し合い、盗賊首領狙いと盗賊手下を狙うチームに分かれる格好で、戦いを続行する。
「抵抗するなら、痛い目にあって貰うしかないですね……!」
 トーラは後方から奇襲をかけ続け、弓兵へ狙いを絞り斬撃を見舞う。
 敵の反撃が始まれば、身軽なステップで飛び退って大きなダメージは避け、ヒット&アウェイで撹乱していく。
「遠隔攻撃は厄介だからな……さっさと退場してもらおうか」
 同じく後方側にいるバーネットも魔力を集中した。直前にトーラが離れてくれたおかげで、遠慮なくこの魔法を放つ事ができる。
 ストーンブラスト3。紅蓮の炎を纏いし巨岩が弓兵達へ飛来した。
 敵も矢を放って反撃していたが、周囲の大地を揺るがす爆発と一緒にぶちまけられた無数のつぶてが、矢玉ごと粉砕しながら敵勢を弾き飛ばしてみせる。
「俺っちは今からこっちの奴らを人質にするのぜ! 他の奴らは動くんじゃねーのぜ!」
 盗賊の一人が回り込みながら難民達へ近づき、手前にいた弱そうな女性を捕らえるべく、汚い手を伸ばす。
 その矢先、シグルドがカバリングで割って入るや、逆に刺突での痛烈な迎撃を食らわせ、盗賊をよろめかせた。
 しかもその直後、庇った難民の女性が怒りの声を上げ、手近にあった石を持ち上げるなり盗賊の頭部へ振り下ろし、頭蓋を砕く。
「……俺がやらなくても、誰かからやられるってわけだ」
 ハルハンも難民達を背へ守りつつ、斧を轟! と振るい大立ち回りを繰り広げていた。
「予知で教えてもらった悲しい未来……ここで絶対に、変えてみせます!」
 難民達に、指一本触れさせてなるものか――と受ける傷も一顧だにせず、敵が繰り出す斧ごと打ち砕かんばかりに、うなりを上げし猛打を片っ端からぶち込んでいく。
「クソっ! 旗色が悪ィぜ……ここは一旦逃げるか……?」
「駄目よ。ここで逃がしても、貴方たちは他の難民たちを狙う……!」
 盗賊首領は焦りを帯びた顔色でじり、と一歩引くも、ただちにロゼットが突っかける。
「憂いを断つためにも、首領の貴方はここで成敗するわ――!」
 ロゼットはさらに懐へ潜り込むや、腰を入れた突きを放つ。
 エーテル込められし輝く棍が首領を打ち据え、怯ませる。
 そこへ手下達が救援に来ようとするが、瞬間、彼らと首領の合流地点へ、雷が荒れ狂う霧が発生した。
「フリュー、そのまま畳みかけろ、逃がすんじゃねぇぞ!」
 エイルが展開した祈雷である。足止めされる首領へ、フリューが打ちかかった。
「誰に言ってるさぁエイル! うちの疾さが逃がした奴はおらん!」
 首領が死にもの狂いでハンマーを投げつけてくる。寸前で身をひねり、避けた……が。
「――って、戻ってくるの?!」
 鈍器は引き寄せられるみたいに同じ軌道で戻ってくる。これもかろうじて躱しつつ突き進み、エーテルを纏わせた剣撃をひらめかせ、縦横斜めに切り裂いた。
 直前に回避して体勢が崩れたせいか、ギリギリ致命傷を与えるには至らない。だから。
「シャル! 頼んだ!」
 声を受けたシャルロットだが、実はさっき投げ込まれたハンマーを食らって負傷している上、首領を倒しきれないかもしれない。
 だけども、少し前にはエイルから輝刃を付与されている。ならばきっと!
「任せて! フリュー!」
 力を振り絞り、フリーズボルトを発射!
 氷の矢は狙い過たず、逃げようと背を向ける首領の肩甲骨の間を撃ち抜き、もんどりうって倒れ込ませる。
「逃がすとお思い? このフリーズボルトは伊達じゃないのよ」
 首領はがくりと脱力し、ついに力尽きた――。

●
「ゲェ~ッ!? カシラがやられた! もう勝ち目はねぇ!」
 首領が息絶えたのを目の当たりにし、盗賊達はこけつまろびつ逃走を図ろうとする。
「おっと、黙って逃がすと思うか?」
 バーネットが抜け目なく立ちはだかり、メテオライトを詠唱。
「お前らの団は今日限りで――壊滅だ」
 逃げ惑う敵へ向けて無数の光弾を降り注がせ、一息にダメージを叩き込む。
 その追撃により盗賊の何割かは生命を削り切られて倒れたものの、もういくらかは戦場を離れ、逃げ延びたようだった。

 戦いが終わり、難民を含め全員が怪我の治療をしたり、休息を取った後――。
「ちっ、大したもんがねぇ。しけてやがんな」
 エイルは賊の死体を物色するが、しょっぱい結果に舌打ちし。
「――これは使えるんじゃねぇのか? この先何があるか分かんねぇし、持ってきな」
 当面の食糧になりそうな保存食類を、まとめて難民達へ渡してやる。
「あんた達、難民じゃないな? 授恵者……つまり冒険者だろう?」
 難民達は礼を言うとともに、冒険者達の正体へ言及する。
「同じリーンエス王国出身としては、黙って見ていられなかったので。盗賊なんて」
 どこか複雑な表情で、シャルロットが応じた。王国民として今回の事態にやるせない気持ちもあるが――一方で自分も自由に生きてみたいという望みもあったからだ。
「今回間に合ったのは、託宣があったのよ。今日まで耐えてきた皆さんの、念願のために力を貸してあげなさいと」
 ロゼットが後を継いで説明し、トーラもぐっと拳を握りながら申し出る。
「難民の皆さん……いいえもう帰還民ですね! 皆さんを安全な所まで送りますよ!」
「い、いいのか? 言っておくが、ここから先も大変な道のりだぞ」
 安心してください、とハルハンが強く頷きかけた。
「此処から先は、ボクたちが守ります! さぁ、皆で帰りましょう!」
「俺は傭兵やってたんで、こういうのには慣れてる。実力の程も、さっきの盗賊戦で見てもらった通りだ。信用してもらっていい」
 シグルドも言葉を添えると、難民達は顔を見合わせ――もう一度礼を述べるととともに、護衛の依頼をして来た。
「これで決まりさぁ! みんな、出発しんこー!」
 フリューの元気の良いかけ声とともに、一行は歩き出す。
 まずはこの荒野から、危険な魔獣に気を付けつつ脱出。
 辿り着いた街道では先ほどの盗賊団が報復に襲って来ないか警戒し――時には難民達と談笑しつつ、ヴィントやその周囲にある村や町を巡り、難民を一人ずつ送り届けていった。
 何日もかかる長い旅程となったが、難民達は誰も犠牲となる事なく、懐かしきふるさとへ帰り着けたのだった――。

マスターコメント

お疲れ様でした。 絶体絶命のピンチに追い込まれた難民達を、華麗な連携で救い出すみなさんの手際が、見事でした。 無事帰りつけた難民達は、新たな生活を築くため、あるいは取り戻すため、今頃奮闘しているはず。 彼ら一人一人が帰郷を果たした事により、シルトラース全体の復興にも、つながる事でしょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2021年08月20日 03時23分39秒 公開

成功

相談掲示板

  1. ハルハン・ツァガーンナル

    ウォーリア、ハルハン・ツァガーンナルです。 一先ず、人が集まるのを待つばかりですね。 人数が集まれば、ウルフを凌げそうなら盗賊団へ先手を取って襲撃などもできそうです

  2. ロゼット

    ヒーラー、ロゼットよ。よろしくね。 盗賊団には、こちらから探し出して仕掛けても良いけど、 いったん通りすがりを装ってウルフから難民を助けた後、 立ち去る素振りを見せて、誘き出すなんて手もあるかな? チャンスを狙ってるようなら。

  3. トーラ

    シーフのトーラです。よろしくお願いします! そうですね。狼を撃退したあと難民の人達と一緒にいたら盗賊は襲ってこないでしょうし、この先の帰還する人の安全のためにも、逃がさず討伐したいので立ち去って誘い出すのはありだと思います。 その場合、難民の人達の安全を考えて何人か残ってはどうでしょうか? 怪我をして難民キャンプで安静にしている風を装うとか。

  4. シグルド・オルセン

    ウォーリアのシグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 俺はとりあえずタンクで動くよ。 数人は難民の中に紛れるなりして残った方が良いだろうな。上手くやれば挟撃もできるだろうし。

  5. ハルハン・ツァガーンナル

    皆さんよろしくおねがいします! >盗賊団 ボクとしては、一旦離れるのは、賛成しづらい。ですね 相手の数が20人と多いので、主導権を与えると、難民の人への被害が大きくなってしまいそうなのが怖いです 誘き寄せるなら、ウルフ戦後に、気を緩めた振り、なども有効だと思います オペラが話してた未来のように、疲弊した後を狙うのは定石、だと思うので >戦闘 ウルフは問題なさそうですが、盗賊団は、首領を抑える人がいると安心そうですね やっぱり、リーダーの有無は大きいと思うので、首領は逃がすことなく、ここで決着させてしまいたいです

  6. ロゼット

    ゴメンなさい。訂正するわ。 離れるのが不安なら、盗賊団に聞こえないように難民グループと 相談して、怪我人が出て手当て中な風を装って、待ってみる? あとウルフとの戦闘も見られてるだろうから、ウルフ戦では 派手なスキルは温存して、盗賊団を油断させるとか、かな。

  7. シグルド・オルセン

    さて。ある程度OPを読み直してみたが、難民の数がさっぱりだな。 それから盗賊の一部が難民に成りすましてウルフの方へと誘導するようだから、その成りすましの盗賊をどうするかも考えなければならないだろうな。 ハルハンの不安を考えるなら、半数よりも少数を先んじて盗賊集団を見つけるための斥候という形が良いだろうか?

  8. トーラ

    難民の人たちから離れないなら、何人かは狼と戦うときは戦闘に加わらず難民のふりをして紛れるのはどうでしょう? ウルフの群れは7、8体との事ですし、戦える難民の方と一緒に守りに徹して貰って被害を出さないように出来れば、ウルフ対応が半数くらいでも撃退は出来ないでしょうか。 >難民の数 20人ほどの盗賊に取り囲まれているので、同数かその倍くらいな気がしますけど、倒れている人も居るのでもっと多いかも知れませんね。私たち8人でカバーするのは難しいかもです。 >盗賊団 ボスは防御が高いですし、ウォーリアの方が押さえに回って貰って、キャスターやヒーラーの方の魔法攻撃で攻撃するのがいいと思います。 シーフだと一撃が軽いので物理防御の高い相手は苦手なんですよね…。 なのでわたしは弓兵に忍び寄るか駆け寄って攻撃しようと思います。ただ、斧兵も多いので杖を持って魔法攻撃ができるようにするのも検討中です。

  9. フリューリングスルフト=ティエラ

    シーフのフリューリングスルフトさぁ、フリューって呼んでね。よろしく! ロゼっとさんのウルフ戦では派手なスキルは温存は良ぇなって思ったよ。 トーラさんの何人かはウルフ戦の時戦闘に加わらず難民のフリして紛れ守りに徹するの自然に見えるし、盗賊団も油断するかな。ただ、うちらが介入できるタイミングはOP読むと、ウルフたちの縄張りに入った辺りからだそうだから、ウルフ戦中にそっちに目を引き付けてそっと紛れるって感じが良いかな思うんやけど、どうやろ?

  10. バーネット・フォーサイス

    キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 ちっと出遅れたが、よろしく頼むわ。 >方針 ひとまずはダイアウルフに襲われる難民の救援に入らにゃならんが、 その時全員で救援に向かわず、何人かは隠れて盗賊団の位置を探すとかでも良いんじゃないか? 隠れている位置を把握できれば、奇襲だったり難民側との挟撃も仕掛けられるだろうし、 こっちの戦力も難民側だけと誤魔化せるから、警戒して退却される可能性も低くなると思う。

  11. シャルロット・エクレール

    キャスターのシャルロット・エクレールです。今回はフリューと、もうひとり、ヒーラーのエイルと一緒に参加しました。よろしくね。 難民に偽装して、敵を探したり護衛に回るのはいいね。狼に驚いて逃げたふりで敵を探すとか…弓兵の居処が早めに探し出したいね。攻撃してくる前にこっそり居場所把握して、出来れば早めに倒してしまいたい。難しいかなあ。 私としては敵の数を減らすために範囲攻撃するのと、首領への攻撃支援で火力になるのがお仕事かなって思ってるの。

  12. ロゼット

    なら護衛組、先に難民をウルフから守りに行く人と、 索敵組、その間に盗賊団を探し出す人に分けましょうか。 ダイアウルフ戦は派手なスキルは温存、監視してる盗賊団を 油断させて警戒度を下げて、後の展開が楽になるようにする。 索敵側は…盗賊団を見つけたら、そのまま仕掛けちゃう? いったん戻るか、何か連絡手段で護衛組を呼ぶか。 私はテレパスぐらいは使えるわ。距離100mまでだけど。 盗賊団もこちらを監視してるぐらいだから、目で見える距離、 離れた距離ではないと思うから、声や戦闘音でも聞こえるかな? >自分の行動 私は先に護衛組、難民をウルフから守りにいこうかな、と。 ウルフ相手でも難民側には死傷者が出ていたから、治療薬も兼ねて。 盗賊団相手には、私は耐久重視の前衛ヒーラーだから、壁役を やりながら回復して、エーテルブローの物魔攻撃で削っていくわ。 盗賊団の首領の、ハンマー投げは命中はともかく、威力は結構、 ありそうに思うから、キャスターとかは気をつけた方が良いかも。 >難民に偽装 最初から混ざっていたなら分からないと思うけど、 私たちは後から追いかけて、ダイアウルフに襲われる手前で 追いつく形だから、混ざるにはちょっと不自然かな?と。

  13. トーラ

    あ。介入のタイミング見落としてました…。 フリューさんmありがとうございます。 それなら索敵組に回ります。 ロゼットさんがテレパスを持っていくのなら、わたしも持っていきますね。 捜波で探して、テレパスで位置と人数を知らせるので。 盗賊の人数も多いですし、仕掛けるタイミングはウルフを撃退して護衛組がフリーになった時がいいと思います。 その前に仕掛けるなら、他の盗賊に気付かれないよう忍び寄って数を減らしていくとかでしょうか。

  14. フリューリングスルフト=ティエラ

    お、どういたしましてさぁ~(トーラさんに手をふりふり) なるほど!索敵してからの、挟撃……挟撃出来そうならしたいなぁ思うかな テレパスは・・・・・・持ってないなぁ、トーラさんとロゼットさんが持ってるんやね。 うちは、そしたら護衛組に回ろうかな。ウルフ戦でも盗賊戦でも前衛に出て回避と攻撃をどんどん仕掛けていくスタイルさぁ ひとまず組み分け一覧作っとくさぁ ※敬称省略 〇索敵組 トーラ―(テレパス持ち 〇護衛組 ロゼット(テレパス持ち フリュー

  15. ハルハン・ツァガーンナル

    組分け一覧、ありがとうございます! それなら、ボクは護衛組に回りますね どうしても、武装も目立つので、隠蔽など隠れる方には向かないので 派手なスキルを避けるなら、範囲攻撃などは温存しておいたほうが良さそうですね 索敵側は、ボクもトーラの意見に賛成です 仕掛けるなら、護衛組がフリーになった時が、戦力的には安心できそうですね 気づかれないよう数を減らすのも、いいと思います!

  16. バーネット・フォーサイス

    >タイミング 仕掛けるタイミングは、トーラの言う様に護衛がフリーになった時点で良いと思う。 その段階になると、盗賊団も難民グループを襲う事に意識を集中しているだろうし、 襲撃の直前に想定外の箇所から攻撃されれば、足並みも乱せそうだ。 >分担 それじゃあ、俺は索敵側に回るとするかね。 索敵自体は得意ってわけじゃないが、まぁ看破なり隠密なりを駆使したら何とかなるだろう。 ※敬称省略 〇索敵組 トーラ―(テレパス持ち バーネット 〇護衛組 ロゼット(テレパス持ち フリュー ハルハン

  17. シグルド・オルセン

    概ね了解だ。 それなら俺も護衛組になろう。さすがに俺の性質上ウルフ放置もしづらい。

  18. エイル・ビュセファス

    悪いな、顔出しが遅れちまった。 ヒーラーのエルフだ、よろしく頼む。 方針についても了解だ。 トーラが弓兵に仕掛ける以外は対策は無い状態か? シューターは居ないから一方的に撃たれちまうな、俺は弓装備で出ておくよ。 トーラが仕掛けやすいよう弓で射かけるな。 首領や斧兵は誰か抑えを任せられるか? 何しろ人数が多い、なるべくまとまるよう誘引してキャスターの範囲攻撃で仕留めたい所だな。 >狼戦後 とりあえず、スキルも使い切った!って顔してぐったりしておくぐらいはしておくぜ。 こっちが消耗していると思わせられたら仕掛けてきやすいだろうしな。 >分担 索敵はそんな人数も要らねぇだろうし護衛側だな。 ※敬称省略 〇索敵組 トーラ―(テレパス持ち バーネット 〇護衛組 ロゼット(テレパス持ち フリュー ハルハン シグルド エイル

  19. フリューリングスルフト=ティエラ

    とりいそぎでごめんなさいさぁ もし誰もおらんようなら、うちが回避特化して首領抑えに行くさ 範囲攻撃内に誘導したり、他へ攻撃向かないようにして。 他の斧兵や弓兵の数減ったら集中攻撃的な感じで思ってていいのかな? もし首領抑えるつもりでプレを既に提出済みの方おっても、その場合はうちは斧兵や弓兵へ行けるようにもしとくね

  20. ロゼット

    明日は出発ね。プレイングの出し忘れだけは気をつけて。 >対盗賊 こちらは、キャスター2名の火力が決め手になるでしょうから、 前衛組で、なるべく盗賊斧兵を散らさず足止めしたいわね。 盗賊弓兵は、足のあるシーフや弓を使える人に頼るかな。 >対首領 鎧兜で物防が高そうね。こだわらないけど、一応「物魔撃」で 防御を割った攻撃ができるから、対応するようには入れておくわ。 あと、特に書かなくても良いけど全部終わったら、難民グループの 荒野脱出までの護衛ぐらいは、引き受けてあげようかなって。 この辺りは魔獣も生息しているらしいから。

  21. ロゼット

    >フリューリングスルフト ゴメンなさい。同時だったわね。一応、首領対応は入れておくわ。

  22. シャルロット・エクレール

    こんばんは、ん。そしたら私も護衛に回るわ。フリューやロゼットさんが首領に対応するなら、そいつの周りにいる斧兵とか弓兵は邪魔になる。それを散らすのは、アシストになるしね。勿論首領本人も巻き込んでダメージ入るように出来たら良いし。がっちり数減らせるように頑張る。 テレパス念の為に取っておいたから、ウルフ削ってる時に何かあれば索敵班の人も声かけてください。ウルフ倒してるだけって顔しながら、隠れてる盗賊も位置が近ければ狙えるかもしれないし。狼ちゃんたちが片付いたら、冒頭に言ったとおりばりばり攻撃していきます。 戦闘の後は私もヒール持ってるから、難民の怪我しちゃった人とかのケアもさせてもらおうかな?送ってってあげるなら、傷治してあげたいわ。

  23. トーラ

    明日出発ですね。 わたしは盗賊の捜索と弓兵の無力化、それが済めば首領に脛撃や破鎧砕を仕掛けて攻撃が通りやすいようにサポートします。 難民というか、もう帰還民の人達の護衛もやりますよ!

  24. バーネット・フォーサイス

    >個人行動 そういや明記してなかったが、基本的にはアーケインテンペスト改とスタティックフィールドで 斧兵を足止めしつつ、弓兵を優先的に排除していく。 あと、索敵中に味方と意思疎通が必要な場合は、ハンドサインとかで伝えるつもりだ。

  25. エイル・ビュセファス

    大体問題ねぇかな。 フリューとロゼットは首領対応よろしく頼むわ。 動きはフリューの内容で問題ねぇと思うぜ。 シャルは火力面は任せた。 一応祈雷での攻撃も入れておくわ。輝刃の支援も入れとく。 トーラとバーネットは弓兵対応だな。 作光矢は持ってくから、まずはこいつを打ち込んで混乱を誘発してみる。 数は少ないらしいからさっさと仕留めて首領と斧兵に集中してぇな。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0