ウナギが舞う時
ゆうきつかさ
コメント 15
シナリオID:1253
オープニング
辺境にある村で広がっていたのは、原因不明の奇病であった。
動機、息切れ、胸の痛み。
人によって症状に違いはあるものの、全員が同じ時期に発症し、寝込んでいるようである。
「この病気を治す方法は、ただひとつ。ウナギの魔獣の肝だけじゃ」
村長の話では、村人達の病気を治すためには、ウナギの魔獣の肝が必要らしい。
ウナギの魔獣(体長50センチ程)自体は戦闘力が低く、臆病な性格であったため、村人達が力を合わせれば、何とか獲る事が出来ていたようである。
しかし、今年に入ってから、沼の主(体長5メートル程)が現れたため、魔獣の肝を手に入れる事が不可能になってしまったらしい。
沼の主は巨大なウナギの姿をしており、炎を吐いて攻撃を仕掛けてくるらしく、村人達では近づく事さえ困難なようである。
「おそらく、村の者達はウナギの魔獣の肝が食べたくて、食べたくて、仕方が無くなってしまい、ノイローゼになっているのじゃろう。沼の主が現れるまでは、毎年のように食べていたから、仕方がないのじゃが……。村人達にとって、ウナギの魔獣の肝は、力の源。それさえ食べていれば、病気にならないと思い込んでいるため、余計に調子が悪くなっているようじゃ。だからと言って、その事を村の者達に伝えたとしても、決して認める事はないだろう。そこで、お前達に沼の主を倒してもらい、ウナギの魔獣を捕まえる事が出来るようにして欲しいという事じゃ」
そう言って村長が授恵者達に、沼の主退治を依頼するのであった。
解説
マスターより
リプレイ
「ウナギとウサギ……。似ているようで、まったく別物ね。まぁ、深い意味はないんだけど……。それよりも、ウナギよ、ウナギ!」
イーヤ・レプリスは仲間達と共に、沼の主を倒すため、森の中を歩いていた。
森の中は小鳥達が囀っており、平和そのもの。
普段、村人達が狩猟などを行っているため、比較的に安全な森のようである。
「それにしても、ウナギ食べたさにノイローゼとは……。病は気からというが、こんなこともあるのだな」
ブレイドがしみじみとした表情を浮かべ、どこか遠くを見つめた。
一体、何処からツッコミを入れればいいのか分からないが、おそらくそっとしておくのが正解なのだろう。
そもそも、ウナギの魔獣を食べなかっただけで、調子が悪くなる時点でアレなのだが、毎年のようにウナギの魔獣を食べていた村人達にとっては、死活問題だったのかも知れない。
「……病は気からって本当だからね。心の支えは大切だよ。そんなに美味しいなら私も食べてみたいな……」
エルシー・サリバンが問題の沼を見つけ、興味津々な様子で覗き込んだ。
沼の中にはウナギの魔獣達が絡み合うようにして泳いでおり、水が黒く濁っているように見えた。
「もしかすると、沼の主は食べられていくウナギの恨みが集まった存在かもしれないな。ちゃんと供養しないと、いずれ第二、第三のウナギボスが……」
ロドリック・アルカインが最悪の事態を想像し、険しい表情を浮かべた。
村人達の話では、沼の主はウナギの魔獣達に危害を加える者達に対して容赦がないため、あながち間違ってもいないだろう。
「とにかく、油断は禁物、安全第一であるな」
そんな中、夕霧が捜波と探波を駆使して、沼の主の居場所を絞り込んだ。
ハッキリと断言する事は出来ないものの、沼の主の底で眠っている可能性が高かった。
おそらく、ウナギの魔獣に危害を加えない限り、沼の主が姿を現す事もないのだろう。
実際には試してみないと分からないが、その可能性が高かった。
「……とは言え、ウナギの魔獣を捕まえるためには、沼の主とやらをどうにかせねばならんか。水から引き揚げたほうが戦いやすいのは間違いないんだが……」
その間に、ブレイドが艶やかな水着に着替え、練習用の銛を握り締め、見習い漁師のような出で立ちになった。
それと同時に、見習い漁師特有の超感覚(勘と思い込み)に目覚め、研ぎ澄まされた感覚が波動の如く辺りに漂い、沼の主をグイグイ引き寄せているような感覚に陥った。
だが、それは単なる気のせい。
実際に、沼の主の居場所を特定した訳では無いのだが、いかにもそれっぽい雰囲気が漂っているため、仲間達もゴクリと唾を飲み込むほど、空気がピリピリとしていた。
「だったら、戦いやすくしておかないとな」
そんな空気を察したロドリックがウォーターウォークを発動させ、不可視のエーテルを付与し、仲間達が水上でも歩けるようにした。
そうする事によって、底が見えないほど深い沼でも、支障なく戦う事が出来るようになった。
「ロドリックさん、ありがとうだよー。それじゃ、沼の主を退治しちゃおうか」
それに合わせて、エルシーが投網を放り投げ、ウナギの魔獣を獲り始めた。
その途端、ウナギの魔獣達がパニックに陥った様子で、投網から逃げ出そうとしたものの、身体が網目にハマッてしまい、身動きが取れなくなった。
「グォォォォォォォォン!」
次の瞬間、沼の主がザバァンと音を立て、咆哮を響かせながら、エルシー達の前に姿を現した。
沼の主はウナギのようであったが、枯れ枝のような角が生えており、禍々しい雰囲気が漂っていた。
「わたし達の前に現れたという事は、覚悟が出来ているって事よね? だったら、遠慮はいらないわね。ウナギは出荷よー、覚悟しなさーい!」
イーヤが天眼で五感を総動員させ、攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
「グォォォォォォォォォォォォン!」
それと同時に、沼の主が唸り声を響かラながら、炎のブレスを吐き捨て、辺りを火の海に変えた。
「ピギャアアアアアアアアアアアア!」
その巻き添えを食らったウナギの魔獣達が、投網ごと炎に包まれ、悲しげな鳴き声を響かせ、香ばしいニオイを漂わせた。
しかし、沼の主はまったく気にしておらず、必要な犠牲であると認識しているようだった。
例え、ウナギの魔獣達が犠牲になったとしても、イーヤ達さえ倒す事が出来れば、すべてが帳消しになると思っているのだろう。
そのため、周囲が蒲焼寄りのニオイに包まれても、沼の主に躊躇いはなかった。
それどころか、魔獣の蒲焼食べ放題とばかりに、炎の息を吐いていた。
その事に危機感を覚えたウナギの魔獣達が、逃げるようにして、沼の底に潜っていった。
「ここまで来ると、ウナギと言うより、ドラゴンじゃな」
夕霧が沼の主が吐き出した炎を避けながら、警戒した様子で岩陰に隠れた。
炎を吐く時点でウナギとは違うような気もするのだが、見た目的にはウナギ寄り。
何となくドラゴンっぽい気もするものの、村人達がウナギと言っている以上、沼の主もウナギの魔獣の一種なのだろう。
「こっちだ!」
その間に、ブレイドが天眼と戦術眼を駆使して、沼の主を挑発しながら、陸まで誘導しようとした。
だが、沼の主は挑発には乗らず、再び炎のブレスを吐いてきた。
運よく炎のブレスがブレイドに届く事はなかったものの、熱気と共に熱風が伝わってきた。
その事に危機感を覚えたブレイドが、沼の主を牽制しつつ、間合いを取った。
「グォォォォォォォォォォォォォン!」
次の瞬間、沼の主が炎の吐き方を変え、細く、鋭く、遠くまで飛ぶようにして、ブレイドをジリジリと追い詰めていった。
(南無……)
それを目の当たりにしたエルシーが、青空に浮かぶブレイドの笑顔を見上げ、心の中で感謝の祈りを捧げた。
……これは尊い犠牲。
志半ばで散っていったブレイドも、きっと空の上でエルシー達を見守っているはず。
「いや、生きているから……!」
そんな空気を察したブレイドが、エルシーにツッコミを入れた。
幸いブレイドは綱渡り感覚で、炎の息を避けているものの、次第に退路を塞がれ、何時こんがり焼かれてもおかしくないような状況に陥っていた。
「い、いま助けるね!」
その事に気づいたエルシーが、鋭射2で沼の主を牽制した。
だが、沼の主の狙いはブレイドに集中しており、幾つも死亡フラグが立っているような感じになっていた。
「何の心配もないわ。例え、命を落とすような事があっても、骨だけは……って冗談を言っている場合では無いようね。……安心して。決して見殺しにはしないから……」
イーヤが軽く冗談を言おうとした途端、ブレイドの身体に火がついたため、気まずい様子でサイドヒールを発動させた。
どうやら、ブレイドは死神とダンスを踊っているような状態に陥っているらしく、生かさず殺さず坂道を転がるような感覚で、命が削られているようだった。
その分、沼の主の注意がブレイドに向いているため、まわりにいる仲間達が攻撃を仕掛けやすくなっていた。
「いつまでも、炎を吐けると思ったら、大間違いじゃ」
すぐさま、夕霧が炸光矢2でエーテルを籠めた光の矢を放ち、無数の光破片を撒き散らした。
「これだけ巨大なウナギだ。きっと肝も大きいだろう」
それに合わせて、ロドリックが沼の主の肝を傷つけないように気をつけながら、魔矢で宿り木の杖の先端から光の矢を飛ばした。
続けざまに攻撃を食らった沼の主が、悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、口から炎と血の泡を吐いた。
それと同時に、まわりを包み込むようにして、ウナギ特有のニオイが漂ってきた。
「何だかお腹が減って来たね。ある意味、食べ頃って事かな」
そんな中、エルシーが激しい空腹に襲われ、沼の主と御馳走(未来予想図)を重ね合わせながら、貫通衝撃射2を仕掛け、指向性を持った衝撃波で沼の主を攻撃した。
「グルルルルルゥ!」
その事に危機感を覚えた沼の主が敵意剥き出しで、再び炎の息を吐き出そうとした。
「いい加減に諦めなさい。いくら足掻いたところで、死の運命から逃れる事は出来ないわよ」
次の瞬間、イーヤがメテオライト3で大量の小さな光弾を降らせ、沼の主が炎の息を吐けないようにした。
その巻き添えを食らったウナギの魔獣達が、悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、ピチピチと飛び跳ねた。
「獲ったどー!」
次の瞬間、ブレイドが自らの鬱憤を晴らすように銛を突き立て、沼の主を高々と掲げて雄叫びを響かせた。
沼の主は既に力を失っており、グッタリとしたまま、舌をダラリと垂らしていた。
「これは立派な肝が取れそうだな」
即座に、ロドリックが沼の主を捌き、巨大な肝を取り出した。
それは想像以上に立派で、薬にしても、お吸い物にしても、美味しそうな感じであった。
「これでウナギの魔獣を獲りやすくなったけど……。さすがに、乱獲しちゃまずいよね? ……何匹くらい必要かな?」
エルシーが仲間達に声を掛けながら、先程とは別の投網を沼に投げた。
ウナギの魔獣はピチピチと跳ねており、沼の中で大繁殖をしているようだった。
そもそも、ウナギの姿に酷似しているだけなので、実際のウナギとは異なり、異常なほど繁殖力があるようだった。
その事を考えると、あまり気にしなくても良さそうな気もするが、今後の事も考えて程々にする事にした。
「しかし、弱った時に、強すぎる力を受け取っては、返って外になる気もするのだが……。そもそも、ウナギが食べたくて、体調が悪くなっているのだから、食べれば治る……と考えるべきなのだろうか?」
ロドリックが、あれこれ考え事をしながら、複雑な気持ちになった。
どちらにしても、村人達はウナギの魔獣さえ食べる事が出来れば、どんな病気でも治ると思い込んでいるため、これ以上考える事自体野暮な事かも知れない。
「最後まで疲れる依頼なのじゃ……。とりあえず最低限を捕まえることが出来たら、あとは村のみんなで勝手に取って食べるじゃろう。わらわはいろいろあって疲れたのである」
そう言って夕霧がピチピチと跳ねるウナギの魔獣達を眺めながら、深い溜息をもらすのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い5 / 4〜8人
2021年08月10日 19時57分51秒 公開
相談掲示板
夏に疲れ果てている時に良さそうな依頼だと思ったが、ひとけがなかった。 ひとまず適当な行動を書きつつ時間を潰そうか……。
シューターのエルシーだよ。ヨロシクね。 ロドリックさんお久しぶりだよ~。 出発まで後2日あるので、増援が来るのを願いつつ作戦練ろうか? 作戦……作戦…投網を借りてウナギ魔獣を取りに行けば 自動的に沼の主が現れそうだね…? 現れなかったら無いで魔獣を捕獲すれば、村人は満足してくれそうだし ……その流れで書いてても良いかな?
む、久しいね。以前は色々アドバイスありがとう。 ふむ、あと2人であれば、なんとか増えてくれるのではないかな? 作戦。作戦。……火を吐きに出てきたら魔法を撃つ程度しか考えていなかったな。 あちらから出てこない可能性もあるのか……。 私は事後に、ウナギは確かに力の源だが、薬で治癒してからウナギを食べた方がよりパワーアップできるぞ、とか言い包めようと思っているよ。
作戦……作戦…ううん、悩まなくても既にそこに見えてる気がしてきたよ。 水から引き上げる方が攻撃し易くなるので 私は炎が当たりそうで当たらない距離で煽ろうかな? 話す間にお1人参加してくれたね。よろしくだよー。 あとお1人、来てくれますように。
シーフのブレイドだ、よろしく頼む。 引き出すなり気を引くのなら連結したロープを命綱にしてエアーライドで沼を駆け回るか ウォーターウォークをかけてもらえるなら水上で回避に専念しようかと思う ただまあ…その、沼ポチャしたときは引き揚げてもらえると助かる…
4人になったねー!夕霧さん宜しくだよー。 作戦の希望とかあれば聞かせてね! ロドリックさんにウォーターウォークはお願いできるかな? 出来るなら私も水上へ出て、その後に陸へ誘き寄せるようにするよ。 ブレイドさん…前回がお猿で、今回はウナギ…引き続き…期待しちゃうよー! (既にフラグを立ててるようにしか見えない)
おお、揃って良かった。お二方はよろしく頼む。 ウォーターウォークは装備しておくよ。私は貧弱なので前には出ないがね!
ウォーターウォークゥゥゥ!ありがとうねー! >私は貧弱なので前には出ないがね! ……良いの?…出ないの? 私の眼には、単発、初心者歓迎、戦闘、etcの横にコメディって文字が…(目を擦る)
くふ、シーフの夕霧である。 ぬし達もよろしく頼むのじゃ。 頼むのじゃ、とは言ったものの正直なところ金欠でスキルを買うのもままならぬ。 ダマスカスの武器を買うまでは我慢なのじゃ。 ヒールと炸光矢で後ろから支援する形になると思っているのである……
レベルが上がるのは早くなったけど、装備を揃える資金が全然足りないよね。 ヒーラーさんが居ないからヒールが有難いし 何か事あったら援護して貰えると思うと安心だよ。 ちなみにスキルが無い時は、通常攻撃(普通に弓を放つ事)も出来るから資金は大事にね。
ボス猿でもらった称号があまりにもアレだがさすがに今回までは…? 自分が前に出る形だが…当たらなければどうということない (直撃もらって沈んだときはロープ投げ込んでもらうように書いてはいる…) そしてウォーターウォークの支援ありがとう ヒールなどの支援も助かる、頼りにさせてもらおう
>ブレイド 苦労を掛けた事態だったのに期待してごめんよ!前回のがあまりに鮮烈(ツボ)で……(口元を抑え) 今回は囮になる可能性を考慮してフォローする件は入れたから安心してね。 称号は…うん、もっと雄々しいのとか貰えると良いね! ヒールは夕霧さんが必要とする事態も考えて、私も持たせて貰ったよ。 これで準備完了、出発までのんびりするね。
滑り込みで失礼。 ヒーラーのイーヤよ、よろしく。 後ろでヒールか魔法攻撃してるわね。
イーヤさんありがとうだよー! それならヒールは攻撃スキルに変更させて貰うね。
ギリギリにヒールを持っていくか否か悩んでいたので本当にありがたい。 現地ではよろしく頼むよ。