ゴールドベアを駆逐せよ!
ゆうきつかさ
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シナリオID:1236
オープニング
養蜂家クリストファーとゴールドベアの戦いは、惨敗に終わった。
そもそも、何の力もない一般人が、魔獣に勝てる訳がない。
その事が分かっていたため、冒険者ギルドに依頼を持ち込んだものの、報酬が見合わなかったためか、引き受けてもらえなかった。
そのため、自分だけで何とかしようとしたものの、ゴールドベアの一睨みでストンと腰を抜かしてしまったため、傷をつけるどころか、近づく事さえ出来なかった。
その結果、クリストファーが丹精込めて育てたハチミツはすべて奪われ、絶望の種だけが心に残った。
一方、ゴールドベアは全身ハチミツまみれになりながら、沢山の蜜蜂に囲まれてゴキゲンな様子。
だが、この状況では仕事にならない。
悩みに悩んだ挙句、クリストファーが選択したのは、再び冒険者ギルドに依頼を持ち込む事であった。
「ゴールドベアは縄張り意識が強く、蜜蜂達の巣箱に近づくだけでも、唸り声を上げて襲い掛かってくる。しかも、ゴールドベアの身体には、沢山の蜜蜂が纏わりついており、八つ当たり気味に攻撃を仕掛けてくるから、シャレにならん。だからと言って、このまま何もしなければ、廃業するのは確実だ。そこで、お前達にゴールドベアを倒して欲しいという訳だ」
クリストファーの話では、蜜蜂達の巣箱があるのは、森の中。
そのまわりには沢山の花が咲き乱れており、蜜蜂にとっては天国のような場所らしい。
それはゴールドベアにとっても同じ事で、命懸けで縄張りを守ろうとするため、注意をしてほしいという事だった。
解説
マスターより
リプレイ
「……来るのが遅くなって、すまない。どこも人手不足でさ。無理に挑んでアンタが死ななくて良かったよ」
ダムド・フィリスは仲間達と共に、リーンエス王国の辺境にある森にやってきた。
その場所には、依頼主であるクリストファーが寝泊まりしているテントにあった。
そこで、しばらく生活をしているらしく、木の枝に沢山の洗濯物が干されていた。
「こっちも無理を言って、すまなかった。本来であれば、私が対処すべき事案ではあるのだが、魔獣相手に勝てる程、強くはないのでな」
クリストファーが申し訳なさそうにしながら、ダムド達に対して頭を下げた。
それでも、あの手この手を使って、蜜蜂の巣箱にゴールドベアが近づかないようにしていたようだが、結果は散々だったようである。
そのため、このまま誰も依頼を引き受けないような事があれば、単身ゴールドベアに突っ込み、命を散らしていたとしても、おかしくないような状況であった。
「これって商売やってる側にとってはメイワクだよな。だから、分かるぜ。その気持ち。まあ……、商売したことねーけどさ」
フォルカー・バルテンがクリストファーを見つめ、苦笑いを浮かべた。
例え、商売をした事が無かったとしても、大切なモノが目の前で壊されてしまう気持ちなら分かる。
おそらく、クリストファーも、ハラワタが煮えくり返るような気持ちになりながら、ゴールドベアに殺意を抱いていた事は間違いない。
その気持ちに反して、何をやっても裏目に出ていたようなので、かなりストレスが溜まっているような印象を受けた。
「だったら、やるか。一緒に商売を……。まあ、そのためには、ゴールドベアを倒す必要があるけどな」
クリストファーがノリ気な様子で、フォルカーを仕事に誘った。
冗談半分、本気半分と言った感じのようだが、その言葉に含みはないようである。
「それにしても、蜂蜜好きなクマかぁ。蜂蜜農家からしたら天敵だよなぁ。ゴールドベアも人に被害を出さずにいてくれれば良かったのだが、害獣となってしまえば駆除するしかないんだよなぁ」
そんな中、シグルド・オルセンが複雑な気持ちになりつつ、どこか遠くを見つめた。
幸い、ゴールドベアは、一体のみ。
周囲を調査すれば、似たような個体が見つかるかも知れないが、とりあえず確認できているのは、一体のみのようである。
「これってプ……いや、ゴールデンベアのホームランダービーってヤツですね。いや、何となく言って見ただけなので、気にしないでください。何となく、これ以上、余計な事を言うと、そのまま闇に葬られそうですし……。とにかく、ゴールドベアのいる場所まで案内してもらえますか」
一方、ミア=リゼルは危うく禁断の言葉を口走りそうになりながら、クリストファーに視線を送った。
「あ、ああ、そうだな。それじゃ、こっちに来てくれ!」
クリストファーが、ぎこちない笑みを浮かべた後、ミア達を連れて森の中を歩いて行った。
問題の場所は、クリストファーのテントから、それほど離れていなかった。
ゴールドベアは全身ハチミツまみれになりながら、右手についたハチミツをしゃぶり、幸せそうな表情を浮かべていた。
「うぐぐぐぐ……」
それとは対照的に、クリストファーが唇を震わせ、今にもゴールドベアに飛び掛かりそうな勢いであった。
「食べもの無駄にしてやがる……許せねぇぞ」
ダムドも同じように怒りを感じながら、ゴールドベアをジロリと睨みつけた。
ゴールドベアは完全に油断をしているものの、ケタ外れのパワーがあるため、決して油断は出来なかった。
「それにしても……随分とデケェな」
フォルカーが岩陰に隠れながら、ゴールドベアに視線を送った。
体長3メートルと言うだけあって、見るからに巨大。
押し倒されたら、最後。
自力では逃げ出す事が、難しそうな感じであった。
「とりあえず、蜜蜂の巣箱を可能な限り、壊さないようにするため、ゴールドベアを引き離すか」
その間に、シグルドはゴールドベアを巣箱から引き離すため、あれこれと作戦を考え始めた。
ゴールドベアのまわりには、沢山の巣箱が転がっており、怒り狂った蜜蜂達がブンブンと攻撃音を響かせていた。
それでも、ゴールドベア自身はまったく気にしておらず、ハチミツのニオイに包まれて夢心地と言った感じであった。
「クリストファーさんのためにも、蜂蜜レモンのためにも……、黄金熊を倒しましょう!」
そんな中、ミアが覚悟を決めた様子で、ハチミツの香りがする香水をシュッと吹きかけた。
「……!」
その途端、ゴールドベアがムクッと起き上がり、ミアの身体から漂うハチミツのニオイを嗅ぎつけ、瞳をキュピィーンと輝かせた。
それと同時に、ミアの脳裏に過ったのは、『オレサマ、オマエ、マルカジリ』と言う言葉であった。
「さあ、こちらです!」
だからと言って、迷っている暇などない。
仲間達を信じて、全力逃走!
無駄な事など考えず、逃げる事だけ考えた。
「グルルルルッ!」
だが、ゴールドベアは速かった。
まるで飛ぶように走りながら、一気に距離を縮めてきた。
「よし、こっちに来い!」
すぐさま、フォルカーがゴールドベアに狙いを定め、ハーツベインショットを撃ち込んだ。
その影響でゴールドベアの身体に不可視のエーテルが纏わりつき、ジリジリと肉体を蝕んでいった。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
その痛みに苦しみながら、ゴールドベアが八つ当たり気味に体当たりを仕掛け、辺りの木々を薙ぎ倒した。
それでも、苦しみから逃れる事が出来なかったため、凄まじい殺意をフォルカー達に向けた。
「お前さんの力は、そんなものか!」
その事に気づいたシグルドが、シーザーロアを発動させ、ゴールドベアの注意を引いた。
ゴールドベアは自分の怒りをぶつける事さえ出来れば誰でも良かったため、躊躇う事なくシグルドに体当たりを仕掛けた。
次の瞬間、シグルドが重点硬化で輝くエーテルを強く収束させ、防御性能を瞬間的に高める事で自らの身を守った。
「これだけ巣箱から引き離す事が出来れば十分ですね」
それに合わせて、ミアが堅甲でシグルドを淡い透明な光で包んで、さらに防御性能を強化した。
その間もゴールドベアは怒りの感情に身を委ね、シグルドを何度も殴りつけた。
そのたび、ゴールドベアの身体からハチミツが飛び散り、辺りが一瞬にして甘いニオイに包まれた。
(ここまで蜜まみれだと、短剣の切れ味が鈍くなるのは、時間の問題だな。……だったら、なるべく急所を狙っておくか)
そのニオイに包まれながら、ダムドがエアーライドでエーテルを爆発的に噴出させ、空を舞うようにしながら、ゴールドベアの目や鼻、喉元などを斬りつけた。
「グガァァァァァァァァァァァァァ」
次の瞬間、ゴールドベアが左目から血を流し、恨めしそうにしながら、ダムドに体当たりを食らわせた。
「……クッ!」
その拍子に、ダムドの身体が宙を舞い、完全に無防備な状態になった。
「グルルルルルッ!」
それと同時に、ゴールドベアが唸り声を響かせ、ダムドを食い殺す勢いで、大きく口を開けた。
「……させるか!」
すぐさま、フォルカーが強射でエーテルを矢に纏わせ、ゴールドベアの右目を撃ち抜いた。
「グォォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
その攻撃を食らった事で、ゴールドベアは何も見えなくなり、恐怖と絶望に包まれる中、狂ったように右手を振り回した。
だが、まったく狙いを定める事が出来ないため、フォルカー達には当たらなかった。
それでも、何とかしなければ、やられてしまうと思っているのか、必死になっているようだった。
「……これで終わりだ」
その隙をつくようにして、シグルドが破脚砕を仕掛け、ノービスランスに肉体を蝕むエーテルを纏わせ、ゴールドベアの心臓を貫いた。
「グ……グガ……ガァ……」
その一撃を食らったゴールドベアが血の泡を吐き、白目を剥いて息絶えた。
「蜂蜜好きのクマ肉なら普通のクマ肉より柔らかくて美味そうだな。ちと食べてみるか? 蜂蜜が売れずに損した分を、これで儲けられるかも知れないからな」
シグルトがホッとした様子で、ゴールドベアの身体を解体し始めた。
ゴールドベアの身体は、ハチミツが染み込んでいる部位ほど柔らかく、臭みがない上、甘いニオイが漂っていた。
「いや、私は遠慮しておこう。何と言うか……色々と嫌な事を思い出しそうだしな」
クリストファーが口元を押さえ、ゴールドベアの死体から距離を取った。
この様子では、ゴールドベアに対して、色々な気持ちがあるのだろう。
そのため、食べる気にはならないようである。
「だったら、他の部位なら問題ないか? ハチミツパックしてある毛皮は高く売れるだろうし、掌はもちろん、内臓とかは薬や珍味になるからな。肉を扱うよりは、幾分かマシだろ?」
ダムドも狩猟の知識で、ゴールドベアを解体しながら、クリストファーに声を掛けた。
どれも売れば、それなりの金になりそうなので、損失分の補填くらいにはなりそうである。
「……なるほど。確かに、毛皮だけでも、高値で売れそうだな。掌や内臓は知り合いに聞いてみないと分からんが……。話だけでも持って行ってみるか」
クリストファーが、あれこれ考えを巡らせながら、ダムドに対して答えを返した。
どちらにしても、再び仕事を始めるためには、巣箱を元通りにする必要があるため、ある程度の金が必要である。
その金を稼ぐためにも、元手がなければ話にならないため、考えを改め、迷いを捨てたようである。
「ところでハチミツを少し分けてもらえませんか? ハチミツレモンジュースを作るのに使ってみたいと思うので……」
そんな中、ミアが瞳をランランと輝かせ、ハチミツを入れるツボを見せた。
そのツボは独特なデザインをしており、帯のような部分に『HUNNY』と書かれていた。
「うーん……、売り物にならないハチミツで良ければ、好きなだけ持って行って構わないぞ。どうせ、あっても処分するだけだしな」
クリストファーが巣箱の状態を思い浮かべ、半分以上のハチミツが売り物にはならないと判断した。
そのうちの一部は自分用に取っておこうと思っているようだが、それでも余ってしまうため、ミア達に渡す事が得策であると考えたようである。
そして、授恵者達は熊鍋を堪能した後、クリストファーに別れを告げ、帰路につくのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い4 / 4〜8人
2021年08月07日 06時59分54秒 公開
相談掲示板
はちみつ…レモン 成立すると良いのですが。よろしくお願いいたします。
フォルカー・バルテン、シューター 初依頼なんで足ひっぱんねえように頑張るな。よろしく。 成立するか分かんねえけどオレは……うーんと、弓でゴールドベアの注意逸らしたりできっかな。
ウォーリアのシグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 防御重視のタンクとして動くぞ。
あっ人が…(*ฅ́˘ฅ̀*) よろしくお願いいたします。とはいえまだ私に関してはレベルが1なのですが… シグルドさんがタンクさんとしてきてくださって、フォルカーさんがおそらくDPS…そして私がヒーラーですから、安定した布陣かと。あとは人数、ですね 基本的に今私が出来ることは、ヒールとサイドヒールの両面回復と、防御力を上げる堅甲ですので、戦闘面に関しては支援がメインになるかと。 フォルカーさんのおっしゃる通り、弓で気を逸らすなどのひと工夫もあると安心かもしれませんね…私も少し考えてみます
あと最低1人、来ると良いなぁ。 ゴールドベアは見た感じ1頭か。それならシザーロアで攻撃を俺に引き付けておこう。ヒーラーがいるなら問題なかろう。
シーフのダムドだ、これで確定だな、ヨロシク。 壁役・後方火力・支援と揃ってるから 追加火力って位置づけで、壁の横から攻撃を仕掛けようと思う。
お〜成立してる!みんなよろしくな! ウォーリア、シーフ、ヒーラー、シューターか。いい感じだな! オレの行動は、遠距離射撃でゴールドベアの注意をオレの方に向ける あと、バットステータス狙いで「ハーツベインショット」使おうかな。 ……ん〜こんな感じ? まあ……レベルは1だから、うまく立ち回れるか分かんねえけど。
お、揃ったな。バランスも良いな。良かった良かった。 そうだなぁ、あんまり相談はできないし必要なさそうだが、ちょいと提案はしとこうかね。 ゴールドベアは多分最初は巣箱の近くに陣取ってるだろ。巣箱は壊したくないからこの付近では戦闘は避けたい。それでフォルカーが遠距離射撃で注意を引き、巣箱から遠ざける。俺も注意を引くスキルがあるから、引き離したら俺がタゲを引き継いで、その後は各自連携取って討伐って感じでどうだ?
あっ…揃ったんですね、よかった。皆様、よろしくお願いいたします。 なるほど、たしかに巣箱に被害が及ぶのはいただけませんね…クリストファーさんとミツバチさんたちの今後も考え、プーさ…ゴールドベアを誘導しましょう。レベルが足りていれば光縛封などの戦略も取れるのですが…今回はないので、ヘイトを調整しつつ引きつけて倒す、という形になりそうですね。 無事倒せたらはちみつを少量いただけないでしょうか…はちみつレモンのジュースを作ってみたいですね…(レモニスト並の感想
初心者歓迎だからスキルの不自由は有っても レベルは気にせずで良いんじゃねーかな? シグルドの動きを中心に、フォルカーとミアの動きにも合せるようにするよ。 巣箱も気を付けとくな。
巣箱から引き離す……りょーかい! それならやりやすそーだし、巣箱のことも気にせず倒せそうだな! 遠距離射撃で注意引きながら巣箱から遠ざけるぜ。 レベルはそんな気にせず気楽にやって平気っぽい……?なるほどー!
引きつけの補助として、蜂蜜の香りの香水をつけて誘導する、などを思いつきましたのでプレイングに組み込んでみました。ミツバチさんも寄ってきてしまうかもしれませんが、ミツバチさんは温厚な蜂さんですから、動物交感で敵意がないことを示せば大丈夫かな、と…(シュッ