【呪輪】人の動き、巡る不穏

狐野径

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シナリオID:1197

オープニング

●現地へ
 フィルエス大森林の植物の枯死。現状は南東のシルトラース帝国やリーンエス王国に隣接する地域で状況が報告されている。
 既知の病気や虫の影響ではない、ということはわかっている。
 未知の何かか、自然なのか、故意なのか、外部の影響か内部で何かあったのか……状況を定める必要があった。

 グレイオンスは住む里を離れる。冒険者とエルフの仲立ち、情報統括や指揮を執るためだった。
 現状でも困惑が大きいエルフたちに、冒険者を関わらせることにより起こる混乱も予想された。
 情報の早さを考え、現在、情報が多い里に間借りをすることにしたのだった。
 ウル・ヘルバには先に行ってもらい、状況を告げてもらった。一緒に行くと言い張ったけれども、段取りも大切だし、一度行ったことある里なのだからと行かせた。
 グレイオンス自身は、ついてくるといった里の者と共に向う。

 ウルから話は聞いていたけれども、森の状況は実際見ると異様だった。
 自然に枯れたとしても、何かしらの命のかけらは感じられる。
 しかし、ここの様子は枯れるに任せ消えて行きそうなものだった。
 ふと、鼻腔をくすぐる匂いがある。
 第一報を持ってきたウルが腐る匂いがしていると言っていた。
 草木が枯れ、腐ったときの匂いがあるのは自然なことではある。一方で、それがあるということは枯れることの原因に関わる可能性も出てくる。
 風向きが変わったのは匂いが薄くなる。
 グレイオンスは状況を頭に叩き込む。

●不審な者
 グレイオンスが到着すると、プロステンの里の中は一気に賑やかになる。
 これにより、里に安心したという空気が漂い始める。
 ウルは滞在予定の家の中から顔を出す。
「俺は外行ってくる」
 ウルは落ち着かない様子で周りを見ている。
 グレイオンスはうなずくと「頼むことがあるかもしれないから、遠くには行くな」と告げた。
「わかった」
 それを見送った後、グレイオンスは家の中に入る。
 ここで、今回の件にあたることになる。
 まずは、この里で現状心当たりなど聞くことにする。
 些細なこと、気になる案件は関係ないと勝手に思い込まずに言うようにと告げておく。
 そうすると話をしに来る人たちはいる。
 その中に、不審人物について話に来た人がいた。身軽な格好で狩人をしているような雰囲気の、落ち着いた男だった。

「話すべきか悩んだのですが……」
「何があるか分からないから話すことが望ましい」
「……はい。えと……そういえば、という程度なんですけど、枯れる前というか、かなり前にこの辺で見ない人(エルフ)がいたんです。こう、ローブを重ねているというか、幾重にも布を重ねた感じのものをまとった……女性だと思うんですが、よくわからなくて……」
 相手はしどろもどろになりながらも話す。
「ただ、いた、というだけなんですけど、こうなると、関係ないかどうか……気になりだしました」
 その人物はどこかの里に滞在して、植物の観察や調査をしているだけかもしれない。
 それならば勝手に不審人物にするのは悪いという意識もあるのだろう。
 グレイオンスは淡々と話す。
「その人物は君だけが見たのか?」
「それは……何人かいるかもしれません。私は二度見てます。日も違いますから、森の中のどこかにいるのかもしれません」
「目撃したのは同じ場所か」
「同じではないですが、方向としては同じです」
 狩り向かった先であり、その一帯というべきかもしれない。
 大森林の地図を指す。
「そのあたりのエルフなのかもしれないし……とは思ったのですが気になりますし……。服装が、異様というか、このあたりで見ないものというくらいです」
 服装は重ねたローブや布はあせた黒や灰色、赤のようなものという。
 男はグレイオンスの反応を待つ。
「わかった」
 拒否されなかったことで男はホッとしていた。
「不審な情報は洗った方がいい」
 グレイオンスに言われ、男は立ち去った。
 ウルを呼び戻し、依頼を出してくるよう頼む。
 そのため、グレイオンスは先ほど聞いた話をした。
「不審者かどうか調べた方がいい。何もなければそれでよいのだから」
「わかった。俺もギルドに用あったし。ほかには?」
「今はない」
「行ってくる」
 ウルは飛び跳ねるように出かけて行った。
 見送り、地図を見る。
 里のエルフたちが協力してくれるかは、枯れているという状況にもよるかもしれない。
 枯れているのがどういう枯れ方なのか、また、広がり方なのかが不明な点が多い。
 不穏な気持ちが強ければ外から来る冒険者に警戒を強くするかも知れない。
 そうなると冒険者の交渉の手腕が問われることになる。

●依頼
 冒険者ギルドがウルを経由して受けた依頼は次のようなものだった。

 木々が枯れ、植物にも影響出ている調査の一環として、不審者の捜索をしてもらいたい。
 現象が起こる前に、プロステンという里の奧の方で、見慣れぬエルフと思われる人物を見たということだ。
 先入観を与えないためにいえることは、性別は不明であり、やせ形である。
 服装が重ね着であり、重々しい。
 現状の目撃情報は地図に記されている通りだ。
 森の木々が枯れる現象が起こっている可能性もある。
 そのため、風景が変わっていることや、敵性の生き物がいる可能性、植生の変化があるかも知れない。つまり、調査であるけれども危険が伴うかもしれないと言うことだった。
 だかこそ、授恵者たる冒険者の力を借りたい。

 地図に記されている場所の周囲にはいくつか集落はある。
 ただ、その集落だけで情報が集まるかは分からない。
 その人物に対する情報をどう集めるのか、どこまで向うのかは依頼を受けた冒険者次第でもある。

解説

●目的・目標  不審な人物の調査。 ●不審人物の情報  プロステンの里で遠出していた頃に見ている人はいる。なお、里からは北に行っている。  身長160~170センチ程、やせ形。ローブや布を幾重にも羽織っている感じである。  植物を見ている風だったという。  なお、情報収集は目撃情報のあった周囲の集落や奧の集落、森の外に近い集落での確認は行われていない。 ●一般的な集落の状況  訪れる可能性のある集落はエルフのみで成り立っている。時折来るのはリザードマンの知り合い程度だ。  エルフやリザードマン以外への感情は現状は不安と警戒が強い。ドワーフに対してはもともと警戒はしている。  それ以外の部分は個々の対応の仕方による。 ●訪問する可能性のある里の様子  森の外に近い集落は冒険者に対して友好的かつ協力的である。  木々の状況に不安は覚えるけれども、調査が入るということでそれなりに安堵している。  目撃情報があった所の近くの集落は、枯死への不安があるためか、外から来る人に警戒が強い。  枯死の影響も見て取れるため、致し方がない反応かもしれない。  家に籠もっている住民が多い。一方で、視線は感じるので、様子をうかがわれてているようではある。  さらに奧に行った場合。  視界はあまりよくなくなる。理由は行ってみることでわかることになる。  集落の前にはバリケードのようなものがあり、そこに見張りがいる。  追い返される。  魔物や魔獣が増えていることや、植物の枯死だけでなく、それに合わせるように動物も消えたという。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  対応、気をつけないと、情報得られないということです。奧の里に行けば行くほど警戒が強くなります。  なお、距離はあまり考えないでいいですが、情報は早く得る方が望ましいです。  よろしくお願いします。

リプレイ

●質問
 不審人物捜索依頼を受けた冒険者は一度プロステンの里にやってきた。
 グレイオンスに確認を取りたいこともあるためだ。

 エフィルミアがグレイオンスに問う。
「今回の現象は『混沌の残滓たる大腐樹』がかつて出現した場所でしょうか?」
「世界樹にすくったものだ、今回は関係ないだろう」
 グレイオンスは否定した。
 イズレンディル・パラリムが情報確認や共有をするため質問する。
「森に枯死以外の変わりはありましたか? エーテルを奪い植物を不作にする、王国での事件もありましたね」
 リーンエス王国の事件を説明するが、グレイオンスは首を軽く横に振る。
 フローラリア・ネムス・ラミナは幅広く調査するために告げる。
「この現象の原因にかかわりそうな、気になる物があればできるだけ持って帰りますわね」
 コルネリウス・アーラは仲間の質問を静かに聞いていた。
 特に質問することはないけれども、何に注意していくかなど考えていた。
 皆の質問が終わったところで、レラ・シュマリが礼を述べた。
「ありがとうございました。不審人物を発見したという人の話を聞いてから出発します」
 グレイオンスは浅く首を引いた。

 一行はこの里で不審者を見たという人から話を聞き、出発する。
 情報や行動の行き違いをなくすため、まとまって行動する。
 その場所の近くの集落で聞いていく、そこで情報があれば……というように進むことになるだろう。
 不審人物や魔物などとの戦闘も考慮に入れた。

●森の中
 冒険者一行は森の中で位置の把握は特に注意する。
 それと同時に、不審者の痕跡や現在起こっている現象に意識を払った。

 エフィルミアはグレイオンスに質問したこと以外にも最近情勢を考えると不安はぬぐえない。
(記憶に新しい『腐緑獣』。ここでも超大型クリーパーが目覚めるためにエーテルを吸い上げているのだとしたら?)
 そう考えると森は死んでしまう。もし、確認されていないモノがあり、不審者が何をしていたならば先手必勝でどうにかしたかった。
 なお、聞き込みをする集落に向かう際は、周囲に注意を払う。

 コルネリウスは位置感覚を意識し、イズレンディルの調査方針「幅広く情報を確認する必要性」に則り、気づいたことは記録する。
 プロステンの里を離れていくが、特に変化は見られない。
 元気なく枯れている植物たちがある。
 むろん、不審者の痕跡も見逃したくはなかった。

 イズレンディルはプロステンではあくまで不審者かもしれないという情報であり、精度が低いと考える。
 徐々に情報が得られるとよい。
 ただし、里での調査にも時間は掛けられない。範囲が分からないのでどれだけ時間が掛かるかわからないからだった。

 フローラリアはフィルエス大森林の外周上に居を構える氏族の出身だ。それでも豊かな森を実感していた。
 各地で不穏なことや戦いを見ていると、大森林のみに永久の平穏があるとは思ってなかった。しかし、実際異変が起こると不安は大きい。
 今回の調査で、採集や気になる点を埋めていくことを考えていた。
 まずは、プロステン周りの元気そうな植物の一つを土ごとケトルに入れた。
 枯れていくというのはどういう原理かという情報の整理のためだ。
 空間の影響か、土の影響か、それとも違う何かがあるのか?
 なお、異変は突然変化があるかなど意識する。そして、必要に応じて採集する。

 レラはこの大森林に住まうものではないが、森の恵みとともに生きるエルフとしてはこの状況は一大事だった。
 病気や虫が影響ではないということで、特殊な状況や人為的な物と目星をつける。
 原因の特定につながるかもしれない、不審人物。
 何かを見つけるためにと、周囲には意識を払った。

 一行は見慣れぬ人物の目撃のあったあたりに来た。
 特に変わったことはないため、近くの集落に向った。

 一つ目の集落では警戒されたが、ここに来た理由を話すと、すぐ対応してくれた。それに加え、見てきた状況など情報を求められた。
 めぼしい情報がないため、近くの集落に向う。

 その集落では、目撃されているような人物を見かけたという証言があった。
 時期は同じ頃で、木々が枯れる前だ。このあたりの人ではないため、声はかけたという。
 そうすると「植物を研究しているだけだ。必要なら採取し、戻るのみ」とか細い声で答えたという。
 それ以上は特に会話はしていないという。
 声の感じからは女性だと思ったとのことだった。
 どちらの方に行ったかという情報をもらい、向かう。

 このように、集落から集落を移動していく。
 大森林の南東部でも、奥の方になってくる。
 視界が悪くなってきてはいた。
 それを実感したときには、視界の前を浮かぶものがあった。

 コルネリウスは幾度か目を瞬き、メモを取る。
「霧?」
 フローラリアは霧にしては形があるようなので、採集を試みる。
 小さな器にそれを入れ、できるだけ密封し外に逃がさないようにする。
 フローラリアは植物の状況も植物共感で感じ取ろうとする。植生が著しく合っていなくて苦しいという感じがした。
 フローラリアはこの辺りの植物の部分も採集する。
 ケトルに入っている植物や土と混ざらないように仕切りを置く。
 なお、ケトル内に入っている、元気な植物は特に変わった様子はない。
「この空間が何か影響を出しているのでしょうか? それとも、この……小さなものが?」
 フローラリアの言葉に、エフィルミアは首をかしげる。
「飛んでいるものが何か影響を出すということ?」
 直前の里では特に注意を促されていない。
 気にする程のことではないけれども、異変に見える。
 エフィルミアは念のため、口元をバンダナで覆うことにした。
 レラは周囲を見渡し、何かいる可能性を考え【捜波】を放つ。
 しかし、特に不審なものは見当たらない。
 波に掛かるものがなさ過ぎた。
「動物や鳥がいないですね」
 レラの言葉から、心配そうにクラウドが鼻をレラの手に当てた。
 イズレンディルは「急ぎましょう」と促した。
 状況の確認も大切だけれども、不審人物を洗うことが求められているのだから。

 近くの集落に行くと、警戒が大きくなっていた。
 外を歩く人はいないけれども、家の中には人がいるようだった。
 だから、扉越しに話はできたし、ほしがっている情報を告げると安堵された。
 そのような中「この奥の集落を見てきてほしい」と言われる。

 奧に近づくにつれて、魔物との交戦もあった。
 注意はしていたので、確実に討伐はする。

●集落
 言われていた集落近くに来たが、バリケードが目に入った。
 近づくには相手の緊張をほぐし、協力してもらうことが必要だ。

 イズレンディルが声を掛ける。
「グレイオンスさんの依頼を受けて、大森林の内外の情勢を広く見通すことを生業とするパラリム氏族の役割として森の異変を調査しています」
 相手の緊張をほぐすように、嘘偽りのないことだということを伝えるように話した。
 コルネリウスはイズレンディルに続けて、カリスマをもって説く。
「森とともに生きるエルフにとって、樹々が枯れることは不安が大きいと思います」
 コルネリウスは相手の反応を伺った後、続けて言葉を紡いだ。
「私は森の辺境育ちで、氏族にも属していません。けれど、大森林は同胞や大切な人……父の故郷です、エルフとしても、冒険者としても守りたいという気持ちが強くあります」
 エフィルミアはうなずいた。
「私は大森林の出身ですし、守りたいです。だから、仲間とともに調査しています。実際、ここに来る途中、魔物のとも遭遇しました。私たちは倒してきました」
 レラがそれを引き取り、続けた。
「私はこの森のエルフではありませんが、森を守るのは概ねエルフの共通した使命ではないでしょうか? だから、原因究明をするため来ました」
 集落のエルフたちの反応が出る。
「ここの周囲の植物のことを聞きたいですし、わたくしたちの知っていることはお話しますわ」
 とフローラリアは告げた。原因究明には情報が必要だ。
 コルネリウスがエルフたちの方をまっすぐ見つめ告げる。
「多くの仲間がこの問題に取り組んでいます……必ず解決策を見出すと約束します」
 そして、頭を下げ、バリケードの向こう側の反応を待った。
 もし、これで断られた場合、どうするか。エフィルミアは【ハイディング】を使ってこっそり入るつもりだった。そうすることで、中の状況を見ることはできる。
 できれば避けたいところではある。

 緊張の下、待つ時間は長い。聞くという言葉が返ってきたとき、ほっとした。
「気づいたらこうなっていて、情報がなく……魔物や魔獣が現れて、どうしようもなかった」
 一行はそれに対して理解を示す。
 里の中に入ったところで、情報収集や情報交換を行う。

 イズレンディルは不審人物とされている人の外見を告げる。
 ただ、性別は伏せておく。余計な情報が入ることで正しい情報が入らない可能性も出てくる。
「些細なことでもなんでも構いません」
 ぽつぽつ話をしてくれる人は現れる。
 不安そうな顔に、情報を持った人が来たということからか、安堵の色がうかがえる。
 コルネリウスも話を聞き一緒に移動する。
 話を聞くことだけでもここの里の人の役に立つのだった。

 エフィルミアは仲間と移動しつつも、周囲の警戒をする。
 視界が悪ければ、何が入り込んでいるかなど分らないし、怪しい人はいる可能性だってある。
 里の中にある植物は枯れている。
 植物共感を用いても生命のかけらが感じられない。
「この辺りの魔物はどんな感じですか?」
 エフィルミアに問われたエルフのほうは首を傾げる。魔物は魔物に過ぎないと考える。
 レラが話に加わった。
「この辺り、動物がいないようですが」
「それは……徐々に減ってきていたよ」
「魔物の影響?」
 エフィルミナの問いかけに、エルフは「あるとは思う」と答える。
「魔物がいれば襲われる。それに気づいて逃げられるなら、この場から逃げるだろう?」
 突然起こった災禍であれば、巻き込まれるとしても、徐々にある異変に対して逃げる物も出てくる可能性はある。
「我々が気づかない場所に隠れているかもしれないし……この状況だと我々が見に行くことができない」
 フローラリアは「ここの周囲の植物をみてもよろしいでしょうか?」と里の者と仲間に問う。
 現状、里に不審者がいるということはないようだ。
 ただ、何があるか分らないため、単独行動は避ける必要がある。
 話をしていた里のエルフは奧地側の案内をしてくれる。
 他の所同様、枯れているという感覚は同じだ。
 フローラリアは断ってから枝を折ってみる。
 さらに、土と植物も保存した。
 ケトルの中を見るが、特に変わった様子はない。
 エフィルミナとレラはエーテルを捜索のために走らせ、何かないか確認をする。
 エフィルミナはハッとした。
「見てきます。それが何か分ったら、すぐに戻ります。交戦はしません」
「分りました。何かあったらすぐに声を上げて下さい」
 レラは長弓を構え、フローラリアも用心のため長杖を構えた。
 道案内のエルフはかばう。
 エフィルミナは何かいたところで話しかける。
「こんにちは! こんなところで何をしているんですか?」
 そこにあるのは植物だ。それは、里から離れる様にうねうねと歩いている。
 エフィルミナの声には反応しない。生き物に対しては深追いはしなかった。
 そのことを仲間に報告し、里に戻った。

 イズレンディルとコルネリウスは話を聞いていくうちに、ここでも空振りなのかと考えた。
 不審人物などいないならそれでいい。問題点が一つ消えるのだから。
 ただ、本当にいないという確信を自分たちが得られたかというと不安がある。
「ん? ……どこだったかな……植物の研究をしていた女性に似ているかも?」
 見慣れぬ人物や不審人物となるとぴんとこなかっただかのようだ。
「どこの氏族ですか?」
「ん……たしか……この辺り……だったかな」
 エルフは記憶を絞り出す。地図を見て指さすが、記憶が曖昧な様子。
「二つくらいしか集落はないよ」
「その人は今、そこに行けば?」
「分らない。30年くらい前だし。気づいたらいなくなっていたし」
 研究者として旅に出たのかも知れない、くらいだ。

 冒険者は戻る前に、里の人には注意を促す。
 冒険者の派遣があるよう話をしておくと告げておく。
 不安を持つエルフたちは一行を寂しそうに送り出した。

●報告
 冒険者は一直線でプロステンに戻る。
 本人を見つけた訳ではないが、これ以上進めば、情報だけ集めてその先に進むことができない。

 戻る途中、動物を見つけ、イラは動物交感を試みる。
 怯えを強く感じた。
「この状況はエルフだけでないですよね、怖いの」
 優しくなで、早く解決するからという気持ちが伝わると良いと考える。

 プロステンの里に近づくにつれて、異変が軽いため、ほっと息を吐く。
 冒険者ギルドを通すより、直接でグレイオンスに報告する。
 まずは依頼の主たる見慣れぬ人物の報告だ。
 イズレンディルがまず、告げる。
「植物の研究をしている女性とのことですけど、30年くらい前のことだというので、今はいるかどうかも分からないということです」
 コルネリウスは地図を指さす。
「その人は氏族が曖昧なのですが、このあたりに住む者だということです」
 グレイオンスは地図を見て「確かに、住まう氏族がいるな」と記憶をたぐり寄せる。
 その上で、移動中や回った里で見たものを報告する。
 エフィルミアは胞子のことや動く植物がいた事を報告する。
「動く植物は、魔物か魔獣か判断はつきませんでしたけど、声には反応しないので積極的に介入していません」
 準備もなく手を出せないが、里に人を派遣する必要があると述べる。
 フローラリアは採集してきたものを提出する。
「これが何かの役に立てばと思います。短い間ですが観察していましたけど、奧に行けば異変は強くなりますが、元気な植物に直接影響を出すという物ではないみたいですわ。異変は徐々にひどくなる感じです」
 グレイオンスはケトルを受け取る。
 一行の報告を吟味しているのか、しばらく沈黙が漂う。
「今回の結果を元に調査を進めよう。休息を取るといい」
 冒険者を見る目は険しさがなかった。
 冒険者たちは、グレイオンスの前を辞し、ギルドに報告に向かうのだった。
 休息をとることも大切だが、あの情景を考えると急いで行動をとりたくなる、そういう不安が募るのだった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございました。  地道な作業の積み重ね……不審人物の的は絞られました。それだけでなく、現地調査も行っていただきましたので、異変が起こっている地域の特定も進みやすくなるでしょう。  【呪輪】の真相、お付き合いいただければ幸いです。  では、ご縁があれば、お会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜6人

2021年08月04日 22時34分51秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. イズレンディル・パラリム

    エルフのキャスター、イズレンディル・パラリムと申します。 まだ参加者も少ない状況ですが、相談は進めて置ければと思いまして。 宜しくお願いしますね。 まずは調査聞き込みを行う場所ですが、大きく以下の3点でしょうか。 ●森の外に近い集落 ●目撃情報があった所の近くの集落 ●目撃情報からさらに奧の集落 奥に行くほど集落の警戒が強まる用ですので、どのように警戒を解いて話を伺うか、というのがテーマになりそうですね。 またどこまで奥に進むか、というのもありますが、私としては可能な限り奥まで進めればと思うところです。 聞き込み中心ですので分担は比較的自由にで構わないと思うのですが、 奥の集落付近は「魔物や魔獣が出現する」ことと「謎の視界悪化」があるようですので、 ここだけは単独ではなく2人以上で動いた方が良いとは思います。 >個人 ご相談次第ですが、エルフであることとフィルエス大森林の氏族であることを活かして集落の警戒を解いて聞き込みを出来ればと思っております。なるべく奥まで進みたいですね。 ひとまず大枠の所感で以上となります。 詳細等も詰められればと思います。宜しくお願いしますね。

  2. エフィルミア

    エルフのシーフ、エフィルミアです!よろしくお願いしますっ。 イズレンディルさん、分かりやすい纏めありがとうございます! 私も出来るだけ奥まで進みたいと思ってます。 説得に応じてもらえなかったら、ハイディングで隠れてこっそりバリケードを越えて調べる 力技も考えないといけないですかね? バレずにやる力技なら問題ない!なんて。 周囲を腐らせる、魔物や魔獣が増えている、動物が減っているっと。 うーん、腐緑獣みたいな超大型級クリーパーがいたら嫌だなぁ…。(むむむ)

  3. フローラリア・ネムス・ラミナ

    エルフのフローラリアですの。キャスターですわ。どうぞよろしくお願いいたしますわね! イズレンディルさんは状況など、ありがとうございます! わたくしとしましても、可能な限り早く、かつ深域まで調査をしたいところですわ……! >個人 わたくしの故郷はフィルエス外周の集落ですのであまり奥地の集落に対して有効な伝手とはならなそうなのが口惜しいですが、それでもフィルエスの出身です。他の種族の方々よりは心理的に激しい抵抗を受けずにお話は出来ると思いますの 植物共感もありますので、原因は分からずともどの辺りの被害が深刻か等の情報は得ることが出来るでしょうか……?

  4. レラ・シュマリ

    エルフのシューターのレラ・シュマリと申します。 よろしくお願いします。 探索についてはそれなりに出来ますので早期に奥に進む事については問題ありません。 動物交感も持っておりますのでそちら方面でも調査可能です。

  5. コルネリウス・アーラ

    エルフのウォーリア、コルネリウスです。 宜しくお願いします。 イズさんは状況を書き出してくださってありがとうございます。 私は森育ちとはいっても、氏族の中で暮らしてたわけではありませんので、余り奥地ではお役に立てないかもしれませんけれど。成るべく早急に、奥までは行きたいですね。 探索の仕方については、もう少々考えてみます。 一定以上から先は2名以上でというのも異論ありません。 その際には魔獣の対応なども考慮して、クラスなどを考えながら組めたらお互いにフォローがしやすいかなと思っています。

  6. イズレンディル・パラリム

    説得も重要ですが、エフィルミアの仰る通り隠れてこっそり侵入するぐらいの力技もあった方が良いですよね。正攻法も絡め手もどちらも組み合わせればより効果的ですしね! 植物共感や動物共感もきっと調査に役立つと思います。何らかの情報は得られそうですよね。 では、奥の集落へと向かって調査を進めていく方針に致しましょうか。 希望に合わせて担当の集落を分けて分担する、という事も考えたのですが、 奥へ向かう方針は同じのようですから、皆で一緒に「森の外に近い集落」から順に奥の集落へと 聞き込みをしていきましょうか? ここで相談すべきは、道中の視界が悪くなるあたりでの警戒と調査内容、 それと奥の集落での警戒を解く方法、の2点でしょうか。 警戒を解く方法については、私の方で話術を使うこととフィルエスの同朋であることを活かして森の異変の解決の為に動いているということを聞き入れて貰おうとは思っております。

  7. フローラリア・ネムス・ラミナ

    方針、了解いたしましたわ。いきなり深奥に向かっても、手前の手がかりを見逃してしまうかもしれませんものね。賛成ですの! >忍び込み 説得によって許可の下に調べられるのが望ましいですけれども、確かに早さという面ではこれ以上無い方法ではありますわよね……! わたくしは隠密は少々不得手ですので、その際は気を惹いたり別所へのアプローチなどに力を尽くせたらと思いますわ >警戒と調査内容 動物の消失というのも気になりますわよね。魔獣の増加に伴っての減少は無理もないことに感じられますが、それが果たして棲家の移動によるものなのか……何らかの理由によって絶命した不自然な亡骸があったりするのでしょうか? イズレンディルさんのように巧みに説き伏せられる自信は無いのですが……わたくしもフィルエスの同朋ですので、2名以上の単位で手分けする際にフィルエスに馴染みのない方がいらっしゃれば多少のご案内等は出来るかもしれませんわ

  8. コルネリウス・アーラ

    方針の提案、ありがとうございます。 >警戒と調査内容 植物の枯れ方や動物は死骸があれば調べておきたいですね。物理的に死骸がなくとも、何かしら違和感が残る痕跡はあるかもしれません。 >侵入 私は隠密は不得手なので、正攻法で正面から集落の方と接触してみたいと思っています。簡単には入れてくれないでしょうけれど、気を引いている間に隠密行動もしやすくなるかと思いますので。 対話はそこまで得意ではありませんが、警戒を解けるように声掛けができたらと。 私はこの辺りも不慣れなので、出来れば慣れている方と同行をお願い出来たらと思っています。

  9. イズレンディル・パラリム

    今回の目的は「不審人物の調査」ではありますが、木が枯れる異変そのものも並行して確認したいですね。植物の枯れ方や動物は死骸からわかることはありそうですね! >調査内容 こちらは主に集落での聞き込みですが、後は下記のような点が調査項目でしょうか。 不審人物の足取りは、目撃地点に何か痕跡が残っているかもしれません。 ●集落での聞き込み(潜入調査も可) ●周辺環境の調査 ●不審人物の足取り調査 私自身は主に「集落での聞き込み」を中心にと思っております。 所持スキルも警戒を解くことに重点を置いて、調査よりも交渉系スキルを持参する予定です。 他の2点はお願い出来ると助かりますが、難しそうでしたら分担を相談させて下さいね。 >魔物や魔獣 念のため、戦闘の備えもしておきたいですね。 私自身は魔法攻撃と回復を中心に準備していきたいと思っております。

  10. レラ・シュマリ

    私はやはり不審人物の足取り調査と周辺環境の調査になりますね。 同じエルフでもこの森の生まれでは無いですからあまり信頼して貰えないでしょう。 スキルは捜波、看破、ホークアイ、動物交感と致します。 他にも探索スキルとしては超視覚、超聴覚、超嗅覚、天眼、位置感覚、サーマルアイがあります。 言って頂ければ変更します。

  11. エフィルミア

    間が開いてしまってすいません! 方針纏めありがとうございますっ。 私も『足取り調査』と『周辺環境の調査』が中心になると思います。 レラさんと協力して捜波出来ればいいかなっと! 特性スキルは【ハイディング】と【捜波・改】で 汎用スキルに【看破】と【植物共感】かな! 枯れた植物に共感が聞くかどうかわかりませんが、枯れかけの植物なら何か情報は得られるかもしれません! 戦闘スキルには【無拍子】を持ち込む予定ですが、調査をメインにしたいので 一発殴って逃げる感じで【フェザーステップ】と【疾風足】を持ち込む予定ですっ。 >忍び込み これについては説得がうまくいかなかった場合の最終手段…として書いておきます! 情報は得たい…ですけど、危ないのは確かなのでっ。 >気になる事 私は『混沌の残滓たる大腐樹』の場所、えーっと、つまりかつて『世界樹』があった場所と 今回の腐敗の中心地は一致するのかをグレイオンスさんや町の人に聞いておきたいと思います!

  12. フローラリア・ネムス・ラミナ

    わたくしは汎用として【採集】と【植物共感】を備えていこうと思いますわ。共感によって植物の様子を探り、影響が出ているものが見つかったら幾つか採集をしておきたいところでしょうか、と。出来れば深刻さの異なるものを幾つか…… わたくしの行動の方針としては、『集落の方との対話』と『森の状況の調査』を軸にしていこうと考えておりますわ。集落到着時は情報収集や説得をし、集落間の移動時に調査をする感じを想定しておりますの

  13. イズレンディル・パラリム

    私は、【話術】と【洞察】を持参致しますね。 私の氏族は森の情勢を見通す事を生業としていますので、こういった異変の際に各地に赴いて調査を行うのは自然な事だとは思います。集落の方へは、氏族の仕事であることを理由にして、かつグレイオンスさんからの依頼である事も含めて説明し、異変解決の調査に協力頂くようお願いをしてみます。 不審人物の足取り調査と周辺環境の調査は、やはり字数の都合上厳しくなりそうで。 ほとんど触れられないと思いますので、そちらご担当頂けて助かります! >気になる事 超大型クリーパーがエーテルを吸い上げている可能性はありそうですよね。 大腐樹に関わる確認、是非宜しくお願い致します!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0