永久に眠れ!
ゆうきつかさ
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シナリオID:1094
オープニング
●リーンエス王国
森の中を彷徨っていたのは、巨大なサボテン(5メートル)の魔獣であった。
サボテンの魔獣から漂うのは、甘いニオイ。
そのニオイを嗅いだ者は、深い眠りについてしまうらしい。
サボテンの魔獣は眠りについた旅人に触手を絡ませ、頭のてっぺんにある口の中に放り込んで食欲を満たしているらしく、まわりに人が集まっている間は、その場に留まっているようだ。
今回、依頼をしてきたのは、それを目の当たりにした旅人の一人。
運よく眠っていなかったため、朦朧とする意識の中、命辛々逃げてきたようである。
だが、巨大なサボテンの魔獣は、未だに健在。
いまのところ、リーンエス王国の辺境にある森を根城にしているものの、食料を求めて近隣の村々を襲っても、おかしくない状況にあるようだ。
そのような事態を防ぐため、サボテンの魔獣を倒して欲しいという事だった。
サボテンの魔獣は甘いニオイを漂わせ、旅人達を引きつけており、動けなくなったところで触手を絡ませ、口の中に放り込んでいるらしい。
また逃げようとした時、トゲを飛ばしてきたため、なるべく距離を取って戦った方が良いかも知れないという事だった。
森の中を彷徨っていたのは、巨大なサボテン(5メートル)の魔獣であった。
サボテンの魔獣から漂うのは、甘いニオイ。
そのニオイを嗅いだ者は、深い眠りについてしまうらしい。
サボテンの魔獣は眠りについた旅人に触手を絡ませ、頭のてっぺんにある口の中に放り込んで食欲を満たしているらしく、まわりに人が集まっている間は、その場に留まっているようだ。
今回、依頼をしてきたのは、それを目の当たりにした旅人の一人。
運よく眠っていなかったため、朦朧とする意識の中、命辛々逃げてきたようである。
だが、巨大なサボテンの魔獣は、未だに健在。
いまのところ、リーンエス王国の辺境にある森を根城にしているものの、食料を求めて近隣の村々を襲っても、おかしくない状況にあるようだ。
そのような事態を防ぐため、サボテンの魔獣を倒して欲しいという事だった。
サボテンの魔獣は甘いニオイを漂わせ、旅人達を引きつけており、動けなくなったところで触手を絡ませ、口の中に放り込んでいるらしい。
また逃げようとした時、トゲを飛ばしてきたため、なるべく距離を取って戦った方が良いかも知れないという事だった。
解説
作戦が行われるのは、昼間。
サボテンの魔獣がいるのは、森の中です。
まわりには旅人達(数名程度)が眠っているため、可能な限り助けておきましょう。
状況的に助ける事が出来なかったとしても、サボテンの魔獣さえ倒す事が出来れば成功になります。
物語の流れとしては、森の中で準備を整え、旅人達を救出した後、サボテンの魔獣を倒す事になります。
サボテンの魔獣は、甘いニオイに誘われて近づく相手には、攻撃してくる事がありません。
逆に自分の傍から遠ざかっていく者に対しては容赦がありません。
それ以上に、攻撃を仕掛けてくる相手に容赦がないため、仲間達が旅人を避難させている間に、誰かが注意を引くといいかも知れません。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
今回の依頼はサボテンの魔獣を倒す事が目的です。
旅人の人数は、参加した人数で救出できる数と考えてください。
この辺りは、都合よく解釈してかまいませんので、眠っている旅人は一人しかいなかった(他の旅人は、既に胃袋の中)という前提で、プレイングを掛けても、まったく問題がありません。
リプレイ
●
サボテンの魔獣が確認されたのは、リーンエス王国の辺境にある森だった。
依頼主である旅人から、詳しい場所を聞く事が出来たため、途中で迷う事なく目的地に行く事が出来た。
そのまわりに旅人達がおり、スヤスヤと寝息を立てていた。
その寝顔は、とても幸せそうであったが、何日も眠ったままなのか、みんな痩せ細っていた。
そんな旅人達をサボテンの魔獣が触手で優しく撫でながら、食べ頃になるのを待っているような感じであった。
「木を隠すなら森なんていうけど、5mもあるサボテンとか擬態する気は、まったくなさそう。……というか移動できるんだー。何となく非常口に駆け込むようなポーズから棘千本とか飛ばしてきそうな予感……!」
アルマ・ヴァレンタインが、警戒した様子で茂みに身を隠しながら、サボテンの魔獣に視線を送った。
最初は気のせいかと思ったが、よく見ればハニワっぽい。
むしろ、ハニワ顔のサボテン。
思わず『サボテンだァー!』と叫んでしまいそうなほど、それっぽく見えてきた。
それは単なる思い込みであったものの、一度見えたハニワ顔が消える事はなかった。
「ひょっとして、砂漠から来たのか? ……旅も自由に出来ない時代になったな」
ロイ・アウレアがゲンナリとした表情を浮かべ、深い溜息を洩らした。
サボテンの魔獣が、何処から現れたのか分からないが、いまのところ知る必要はない。
だが、サボテンの魔獣が、この場所にいる限り、犠牲者は増えていくばかり。
サボテンの魔獣の身体から漂うニオイに誘われ、旅人達が引き寄せられているため、何としても負の連鎖を、ここで断ち切る必要があった。
「とりあえず、これを持っておいて」
アルマが水袋の水をバンダナに染み込ませて口に巻き、森の中で見つけたハーブで眠気覚ましを作り、それを仲間達に配っていった。
万が一、これで眠ってしまうような事があったとしても、眠気覚ましさえあれば、パッチリスッキリ目覚めるはずである。
「それじゃ、始めようか。とりあえず、獲物を食い尽くすまで、ここに留まっていると思うけど、放っておく訳には行かないから……」
ダムド・フィリスが茂みに身を隠しながら、険しい表情を浮かべた。
旅人達が食べられてしまうのは、時間の問題。
それまでに旅人達を助け出し、サボテンの魔獣を倒す必要があった。
それは簡単そうで、難しい事。
最悪の場合は、旅人達が途中で命を落としてしまうかも知れないため、慎重に行動する必要があった。
「……とは言え、あまり近寄らないのが吉だな、これは……」
サイラスがサボテンの魔獣の様子を窺いながら、そのまわりで眠っている旅人達に視線を送った。
本音を言えば、このまま遠距離攻撃を仕掛けて、サボテンの魔獣を倒してしまうところだが、旅人達が人質に取られている以上、迂闊に手を出す訳にはいかなかった。
「だからと言って、あの人達を見捨てる訳にもいかないよ。大丈夫、みんなはボクが援護するから……!」
アルマが覚悟を決めた様子で、レゾナンス・オブ・ヴァローを発動させ、声と共にエーテルを解き放ち、仲間達の身体能力を向上させた。
この状況で旅人達を見捨てて、サボテンの魔獣を倒す事など考えられないため、敢えて危ない橋を渡る事にしたようである。
もちろん、それは賭けであったが、何もしないよりは、マシだった。
「それじゃ、援護よろしく」
ダムドが、わざとニオイに引き寄せられているフリをしながら、ゆっくりとサボテンの魔獣に近づいていった。
いくら仲間の援護があるとは言え、サボテンの魔獣に近づくのは、自殺行為。
そのため、今にも心臓が飛び出し、走り出しそうな衝動に襲われつつ、虚ろな表情を浮かべて、フラフラと歩いていった。
正直、怖い。
本音を言えば、帰りたい。
そんな気持ちを押し殺して、すり潰し、心を無にする事で、不可能を可能にした。
少なくとも、サボテンの魔獣は、怪しんでいない。
「……」
その後に続くようにして、ロイが布をマスク代わりにしながら、木の後ろに隠れて、少しずつ距離を縮めていった。
いまのところ、サボテンの魔獣が襲ってくる事はないものの、まるで手招きするようにして、ユラユラと触手を揺らし、甘いニオイを漂わせているため、色々な意味で油断は禁物であった。
「さすがにニオイが強くなってきたね」
その事に危機感を覚えたアルマが豪風2を発動させ、サボテンの魔獣から漂うニオイを吹き飛ばした。
「……今だっ!」
次の瞬間、ダムドが旅人達を抱え、疾風足で走り出した。
それは、一瞬。
ここでしくじれば、作戦失敗。
故に、あれこれ難しい事を考えず、逃げる事だけ考えた。
そうしなければ、途中で心に迷いが生じてしまい、作戦に支障が出てしまう可能性が高かった。
「ピギィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
その事に気づいたサボテンの魔獣が、ダムドめがけて無数のトゲを飛ばしてきた。
そこには激しい怒りと殺気が込められており、行く手を阻むようにして生えていた木々を容赦なく貫いた。
そのトゲを運よく回避したものの、ある意味奇跡。
運良く回避する事が出来ただけだった。
しかも、サボテンの魔獣にロックオンされているため、旅人達の救出が困難になった。
だからと言って、ここで退けない。
……退ける訳がない!
それが死亡フラグを立てる事になったとしても、旅人達を見捨てる訳には行かなかった。
「こっちだ!」
そんな空気を察したロイが、まわりの木を盾代わりにしながら、ダマスカス鋼の強弓Reを構え、サボテンの魔獣を狙い撃った。
ルプス(ペットの狼)もサボテンの魔獣を煽るようにしながら、素早く飛び跳ね注意を引いた。
「今のうちに早く……!」
サイラスもダムドが旅人達を運ぶ時間を稼ぐため、サボテンの魔獣の攻撃射程範囲外から鋭射を仕掛けた。
「ピキピキピィィィィィィィィィィィィ!」
これにはサボテンの魔獣も腹を立て、今度はサイラス達を狙って無数のトゲを飛ばしてきた。
しかし、トゲは当たらない。
サボテンの魔獣が何の策もなく、敵意剥き出しでトゲを放っているため、避ける事はそれほど難しくなかった。
(……これで全員かな)
その間に、ダムドが旅人達を抱え、サボテンの魔獣の攻撃が届かない場所まで避難した。
その上で念のため、助けそこなった旅人がいないか、捜波・改を使って確認した。
幸い、サボテンの魔獣に食べられた者はおらず、生き残っていた旅人全員を運ぶ出す事が出来た。
「ピキィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
だが、それはサボテンの魔獣から、餌を奪い取ったようなモノ。
その事でサボテンの魔獣が烈火の如く怒り狂い、触手をブンブンと振り回した。
それが激しい音を響かせ、まわりの木々を薙ぎ倒した。
それは駄々っ子。
まるで子供の我儘。
ブチ切れている事は間違いないが、何の策もなく触手を振り回したところで、それが当たるとは限らなかった。
「さぁ、怒れ! オレは、ここだ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、ロイがサボテンの魔獣を挑発しながら、真ハーツベインショットでダマスカス鋼の矢に不可視のエーテルを纏わせて解き放った。
「ピキィィィィィ!」
その一撃を食らったサボテンの魔獣が、肉体を蝕まれる痛みに耐えきれず、悲鳴にも似た鳴き声を響かせた。
その悲鳴を黙らせる勢いで、ルプスがサボテンの魔獣に飛び掛かり、鋭い牙を突き立て、容赦なく肉を食い千切った。
「ピュルルルルルル……」
それが原因でサボテンの魔獣は、うまく鳴く事が出来なくなってしまい、間の抜けた鳴き声を上げながら、再びトゲを飛ばしてきた。
「えいっ!」
即座にアルマが豪風2を発動させ、応戦した。
「ピキュルルルルル……!」
トゲが木々の合間を抜ける一方、豪風の爆発がザクザクとサボテンの魔獣の身体を斬り裂き、大量の血が勢いよく噴き出した。
だが、サボテンの魔獣に、血を止める術はない。
「……欲張り過ぎたんだよ。コソコソ隠れながら、ひとりずつ捕獲していたら、バレる事もなかったのに……」
ダムドが皮肉混じりに呟きながら、毒撃を繰り出してサボテンの身体を蝕んだ。
その影響でサボテンの魔獣はトゲを飛ばす事が出来なくなり、苦しそうに触手でピチパシと地面を叩いた。
「……そろそろ仕上げの時間だな」
サイラスが何かを悟った様子で、炸光矢3でエーテルを籠めた光の矢を放ち、無数の光破片を鋭く撒き散らした。
その光破片がサボテンの魔獣にザクザクと突き刺さり、大量の血が噴水の如く噴き出した。
「ピ、キャ、キュ……」
その影響でサボテンの魔獣が、みるみるうちに萎んでいき、腐臭を放つ液体がブシュッと辺りに飛び散った。
「まさかと思うけど、旅人が残っているって事はないよね?」
戦闘中に捜波・改で確認した事ではあるが、目視確認しなければ完全に安心はできない。ダムドが不安な気持ちに襲われながら、サボテンの魔獣を解体し始めた。
幸い、サボテンの魔獣の胃袋の中にも、旅人達の姿はなかった。
その代わり、胃袋の中には、旅人が身に着けていたものが、いくつか消化されずに残っていた。
「おそらく、サボテンの魔獣に食べられてしまった旅人達のモノだろう。まぁ、持って帰って無駄になる事はないだろう」
サイラスが胃袋の中に残っていた遺留品を、ひとつ残らず回収していった。
その中には、身元を証明するモノもあったため、冒険者ギルドに届けておけば、何かの手掛かりになるかも知れない。
「念のため、二度と再生する事が無いように、細かく刻んだ後に、焼却した方が良さそうだな」
その間に、ロイがサボテンの魔獣だったモノを一カ所に集め、念には念を入れて焼却した。
サボテンの魔獣だったモノは勢いよく炎に包まれ、あっと言う間に消し炭と化した。
「寝るなー! 眠ったら死んじゃうかもだよーっ!」
そんな中、アルマが旅人達に声を掛けながら、ヒールで負傷を癒す光を撃ち放った。
そのおかげで何とか意識を取り戻したものの、数日間飲まず食わずであったため、すぐに動く事は難しそうだ。
それでも、旅人達を助け出す事が出来たため、依頼的には大成功と言ったところであった。
そして、ロイの持参したダンジョン野営セットで旅人達が最寄りの村まで歩ける程度に回復するのを待ったのち、アルマ達は依頼主に結果を報告するため、その場を後にするのであった。
サボテンの魔獣が確認されたのは、リーンエス王国の辺境にある森だった。
依頼主である旅人から、詳しい場所を聞く事が出来たため、途中で迷う事なく目的地に行く事が出来た。
そのまわりに旅人達がおり、スヤスヤと寝息を立てていた。
その寝顔は、とても幸せそうであったが、何日も眠ったままなのか、みんな痩せ細っていた。
そんな旅人達をサボテンの魔獣が触手で優しく撫でながら、食べ頃になるのを待っているような感じであった。
「木を隠すなら森なんていうけど、5mもあるサボテンとか擬態する気は、まったくなさそう。……というか移動できるんだー。何となく非常口に駆け込むようなポーズから棘千本とか飛ばしてきそうな予感……!」
アルマ・ヴァレンタインが、警戒した様子で茂みに身を隠しながら、サボテンの魔獣に視線を送った。
最初は気のせいかと思ったが、よく見ればハニワっぽい。
むしろ、ハニワ顔のサボテン。
思わず『サボテンだァー!』と叫んでしまいそうなほど、それっぽく見えてきた。
それは単なる思い込みであったものの、一度見えたハニワ顔が消える事はなかった。
「ひょっとして、砂漠から来たのか? ……旅も自由に出来ない時代になったな」
ロイ・アウレアがゲンナリとした表情を浮かべ、深い溜息を洩らした。
サボテンの魔獣が、何処から現れたのか分からないが、いまのところ知る必要はない。
だが、サボテンの魔獣が、この場所にいる限り、犠牲者は増えていくばかり。
サボテンの魔獣の身体から漂うニオイに誘われ、旅人達が引き寄せられているため、何としても負の連鎖を、ここで断ち切る必要があった。
「とりあえず、これを持っておいて」
アルマが水袋の水をバンダナに染み込ませて口に巻き、森の中で見つけたハーブで眠気覚ましを作り、それを仲間達に配っていった。
万が一、これで眠ってしまうような事があったとしても、眠気覚ましさえあれば、パッチリスッキリ目覚めるはずである。
「それじゃ、始めようか。とりあえず、獲物を食い尽くすまで、ここに留まっていると思うけど、放っておく訳には行かないから……」
ダムド・フィリスが茂みに身を隠しながら、険しい表情を浮かべた。
旅人達が食べられてしまうのは、時間の問題。
それまでに旅人達を助け出し、サボテンの魔獣を倒す必要があった。
それは簡単そうで、難しい事。
最悪の場合は、旅人達が途中で命を落としてしまうかも知れないため、慎重に行動する必要があった。
「……とは言え、あまり近寄らないのが吉だな、これは……」
サイラスがサボテンの魔獣の様子を窺いながら、そのまわりで眠っている旅人達に視線を送った。
本音を言えば、このまま遠距離攻撃を仕掛けて、サボテンの魔獣を倒してしまうところだが、旅人達が人質に取られている以上、迂闊に手を出す訳にはいかなかった。
「だからと言って、あの人達を見捨てる訳にもいかないよ。大丈夫、みんなはボクが援護するから……!」
アルマが覚悟を決めた様子で、レゾナンス・オブ・ヴァローを発動させ、声と共にエーテルを解き放ち、仲間達の身体能力を向上させた。
この状況で旅人達を見捨てて、サボテンの魔獣を倒す事など考えられないため、敢えて危ない橋を渡る事にしたようである。
もちろん、それは賭けであったが、何もしないよりは、マシだった。
「それじゃ、援護よろしく」
ダムドが、わざとニオイに引き寄せられているフリをしながら、ゆっくりとサボテンの魔獣に近づいていった。
いくら仲間の援護があるとは言え、サボテンの魔獣に近づくのは、自殺行為。
そのため、今にも心臓が飛び出し、走り出しそうな衝動に襲われつつ、虚ろな表情を浮かべて、フラフラと歩いていった。
正直、怖い。
本音を言えば、帰りたい。
そんな気持ちを押し殺して、すり潰し、心を無にする事で、不可能を可能にした。
少なくとも、サボテンの魔獣は、怪しんでいない。
「……」
その後に続くようにして、ロイが布をマスク代わりにしながら、木の後ろに隠れて、少しずつ距離を縮めていった。
いまのところ、サボテンの魔獣が襲ってくる事はないものの、まるで手招きするようにして、ユラユラと触手を揺らし、甘いニオイを漂わせているため、色々な意味で油断は禁物であった。
「さすがにニオイが強くなってきたね」
その事に危機感を覚えたアルマが豪風2を発動させ、サボテンの魔獣から漂うニオイを吹き飛ばした。
「……今だっ!」
次の瞬間、ダムドが旅人達を抱え、疾風足で走り出した。
それは、一瞬。
ここでしくじれば、作戦失敗。
故に、あれこれ難しい事を考えず、逃げる事だけ考えた。
そうしなければ、途中で心に迷いが生じてしまい、作戦に支障が出てしまう可能性が高かった。
「ピギィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
その事に気づいたサボテンの魔獣が、ダムドめがけて無数のトゲを飛ばしてきた。
そこには激しい怒りと殺気が込められており、行く手を阻むようにして生えていた木々を容赦なく貫いた。
そのトゲを運よく回避したものの、ある意味奇跡。
運良く回避する事が出来ただけだった。
しかも、サボテンの魔獣にロックオンされているため、旅人達の救出が困難になった。
だからと言って、ここで退けない。
……退ける訳がない!
それが死亡フラグを立てる事になったとしても、旅人達を見捨てる訳には行かなかった。
「こっちだ!」
そんな空気を察したロイが、まわりの木を盾代わりにしながら、ダマスカス鋼の強弓Reを構え、サボテンの魔獣を狙い撃った。
ルプス(ペットの狼)もサボテンの魔獣を煽るようにしながら、素早く飛び跳ね注意を引いた。
「今のうちに早く……!」
サイラスもダムドが旅人達を運ぶ時間を稼ぐため、サボテンの魔獣の攻撃射程範囲外から鋭射を仕掛けた。
「ピキピキピィィィィィィィィィィィィ!」
これにはサボテンの魔獣も腹を立て、今度はサイラス達を狙って無数のトゲを飛ばしてきた。
しかし、トゲは当たらない。
サボテンの魔獣が何の策もなく、敵意剥き出しでトゲを放っているため、避ける事はそれほど難しくなかった。
(……これで全員かな)
その間に、ダムドが旅人達を抱え、サボテンの魔獣の攻撃が届かない場所まで避難した。
その上で念のため、助けそこなった旅人がいないか、捜波・改を使って確認した。
幸い、サボテンの魔獣に食べられた者はおらず、生き残っていた旅人全員を運ぶ出す事が出来た。
「ピキィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
だが、それはサボテンの魔獣から、餌を奪い取ったようなモノ。
その事でサボテンの魔獣が烈火の如く怒り狂い、触手をブンブンと振り回した。
それが激しい音を響かせ、まわりの木々を薙ぎ倒した。
それは駄々っ子。
まるで子供の我儘。
ブチ切れている事は間違いないが、何の策もなく触手を振り回したところで、それが当たるとは限らなかった。
「さぁ、怒れ! オレは、ここだ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、ロイがサボテンの魔獣を挑発しながら、真ハーツベインショットでダマスカス鋼の矢に不可視のエーテルを纏わせて解き放った。
「ピキィィィィィ!」
その一撃を食らったサボテンの魔獣が、肉体を蝕まれる痛みに耐えきれず、悲鳴にも似た鳴き声を響かせた。
その悲鳴を黙らせる勢いで、ルプスがサボテンの魔獣に飛び掛かり、鋭い牙を突き立て、容赦なく肉を食い千切った。
「ピュルルルルルル……」
それが原因でサボテンの魔獣は、うまく鳴く事が出来なくなってしまい、間の抜けた鳴き声を上げながら、再びトゲを飛ばしてきた。
「えいっ!」
即座にアルマが豪風2を発動させ、応戦した。
「ピキュルルルルル……!」
トゲが木々の合間を抜ける一方、豪風の爆発がザクザクとサボテンの魔獣の身体を斬り裂き、大量の血が勢いよく噴き出した。
だが、サボテンの魔獣に、血を止める術はない。
「……欲張り過ぎたんだよ。コソコソ隠れながら、ひとりずつ捕獲していたら、バレる事もなかったのに……」
ダムドが皮肉混じりに呟きながら、毒撃を繰り出してサボテンの身体を蝕んだ。
その影響でサボテンの魔獣はトゲを飛ばす事が出来なくなり、苦しそうに触手でピチパシと地面を叩いた。
「……そろそろ仕上げの時間だな」
サイラスが何かを悟った様子で、炸光矢3でエーテルを籠めた光の矢を放ち、無数の光破片を鋭く撒き散らした。
その光破片がサボテンの魔獣にザクザクと突き刺さり、大量の血が噴水の如く噴き出した。
「ピ、キャ、キュ……」
その影響でサボテンの魔獣が、みるみるうちに萎んでいき、腐臭を放つ液体がブシュッと辺りに飛び散った。
「まさかと思うけど、旅人が残っているって事はないよね?」
戦闘中に捜波・改で確認した事ではあるが、目視確認しなければ完全に安心はできない。ダムドが不安な気持ちに襲われながら、サボテンの魔獣を解体し始めた。
幸い、サボテンの魔獣の胃袋の中にも、旅人達の姿はなかった。
その代わり、胃袋の中には、旅人が身に着けていたものが、いくつか消化されずに残っていた。
「おそらく、サボテンの魔獣に食べられてしまった旅人達のモノだろう。まぁ、持って帰って無駄になる事はないだろう」
サイラスが胃袋の中に残っていた遺留品を、ひとつ残らず回収していった。
その中には、身元を証明するモノもあったため、冒険者ギルドに届けておけば、何かの手掛かりになるかも知れない。
「念のため、二度と再生する事が無いように、細かく刻んだ後に、焼却した方が良さそうだな」
その間に、ロイがサボテンの魔獣だったモノを一カ所に集め、念には念を入れて焼却した。
サボテンの魔獣だったモノは勢いよく炎に包まれ、あっと言う間に消し炭と化した。
「寝るなー! 眠ったら死んじゃうかもだよーっ!」
そんな中、アルマが旅人達に声を掛けながら、ヒールで負傷を癒す光を撃ち放った。
そのおかげで何とか意識を取り戻したものの、数日間飲まず食わずであったため、すぐに動く事は難しそうだ。
それでも、旅人達を助け出す事が出来たため、依頼的には大成功と言ったところであった。
そして、ロイの持参したダンジョン野営セットで旅人達が最寄りの村まで歩ける程度に回復するのを待ったのち、アルマ達は依頼主に結果を報告するため、その場を後にするのであった。
マスターコメント
どのプレイングも素晴らしかったので、今回は大成功になりました。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人
2021年07月05日 08時54分44秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
シューターのロイ・アウレアです。宜しくお願いします。 今のところ、救助と囮に分かれ動くのをイメージしてて 自分がどちらの役目を果たすかは集まり具合次第のつもりです。 まずは成立しますように。ご検討ください。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー。 救助と囮で分担するのいいと思うよー、ボクもどっち担当でもいいかな いちおうニオイ対策で口元にバンダナとか救助やるなら担架もってこうかなとは思ってるよー
ダムド・フィリス、シーフだ。 手分けをするなら救助役をしよう。 疾風足で安全圏に連れ出して先頭に加わらせて貰います。
No.4
サイラスだ、よろしくなー 囮側に回るわ
人数揃ってたー、サイラスさんよろしくねー それじゃあボクは救助側のほうにまわるねー
囮側に行きます。ヨロシク!