手負いの熊は、危険な存在!
ゆうきつかさ
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シナリオID:1080
オープニング
●
熊の魔獣が現れたのは、いまから数日前の事だった。
たまたま、それを見つけたのは、森で休息を取っていた旅人達。
旅人達からすれば、熊の魔獣に遭遇した時点で、運の尽き。
慌てて逃げ出そうとしたものの、血に飢えたケモノと化した熊の魔獣から、遠ざかる事は困難だった。
それでも、奇跡的に生き残った旅人がいた。
背中を鋭い爪で引っ掻かれ、服もボロボロ、意識も朦朧としながら、何とか近くの村まで逃げてきた。
しかし、その事がそもそもの間違いだった。
熊の魔獣は旅人のニオイを嗅ぎつけ、村の中で暴れまわった。
手当たり次第に喰らいつき、悲鳴を上げる村人達の息の根を止めながら……。
その状況で生き残る事が出来たのは、ずっと息を潜めて、家から出なかった者達だけだった。
今回の依頼は、その村の生き残り達であった。
熊の魔獣が寝たのを見計らって、何とか村から逃げ出したものの、このままでは帰る場所がないため困っているようである。
このままでは、亡くなった家族の弔いも出来ないという事で、冒険者ギルドに依頼をしてきたらしい。
熊の魔獣は、体長3メートルほどあり、性格は凶暴。
食に対して貪欲で、自分が狙った獲物は、何処までも追いかけ、喰らっているようである。
身体には幾つも傷があった事から、どこか別の場所で冒険者と戦ったのかも知れないが、未だに生きている事を考えると、依頼的には失敗したか、逃がしてしまったという事だろう。
そう言った意味で、冒険者達に恨みを抱いている可能性が高く、挑発に乗りやすいかも知れないという事だった。
また可能な限り、村から遠ざけて欲しいという事であった。
ただし、それは熊の魔獣を倒す事が出来なかった場合の話。
熊の魔獣さえ倒してしまえば問題がないため、まわりの被害などは考えず、戦ってほしいという事だった。
熊の魔獣が現れたのは、いまから数日前の事だった。
たまたま、それを見つけたのは、森で休息を取っていた旅人達。
旅人達からすれば、熊の魔獣に遭遇した時点で、運の尽き。
慌てて逃げ出そうとしたものの、血に飢えたケモノと化した熊の魔獣から、遠ざかる事は困難だった。
それでも、奇跡的に生き残った旅人がいた。
背中を鋭い爪で引っ掻かれ、服もボロボロ、意識も朦朧としながら、何とか近くの村まで逃げてきた。
しかし、その事がそもそもの間違いだった。
熊の魔獣は旅人のニオイを嗅ぎつけ、村の中で暴れまわった。
手当たり次第に喰らいつき、悲鳴を上げる村人達の息の根を止めながら……。
その状況で生き残る事が出来たのは、ずっと息を潜めて、家から出なかった者達だけだった。
今回の依頼は、その村の生き残り達であった。
熊の魔獣が寝たのを見計らって、何とか村から逃げ出したものの、このままでは帰る場所がないため困っているようである。
このままでは、亡くなった家族の弔いも出来ないという事で、冒険者ギルドに依頼をしてきたらしい。
熊の魔獣は、体長3メートルほどあり、性格は凶暴。
食に対して貪欲で、自分が狙った獲物は、何処までも追いかけ、喰らっているようである。
身体には幾つも傷があった事から、どこか別の場所で冒険者と戦ったのかも知れないが、未だに生きている事を考えると、依頼的には失敗したか、逃がしてしまったという事だろう。
そう言った意味で、冒険者達に恨みを抱いている可能性が高く、挑発に乗りやすいかも知れないという事だった。
また可能な限り、村から遠ざけて欲しいという事であった。
ただし、それは熊の魔獣を倒す事が出来なかった場合の話。
熊の魔獣さえ倒してしまえば問題がないため、まわりの被害などは考えず、戦ってほしいという事だった。
解説
作戦が行われるのは、昼頃。
熊の魔獣は、村の広場にいます。
体長は3メートルほどで、身体には幾つも傷があります。
自分達と戦った冒険者を見分ける事が出来ないようなので、それっぽく振舞っていれば挑発に乗るかも知れません。
また熊の魔獣は体当たりを仕掛けて来たり、噛みついて来たり、爪で引っ掻いてきたりするため、注意しておきましょう。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
今回の目的は、熊の魔獣を倒す事です。
既に、村人達は亡くなっているため、救出などをする必要はありません。
また依頼をしてきた村人達は、亡くなった村人達を埋葬する事さえ出来ればいいため、村に被害が出ても問題がありません。
リプレイ
●
村の方向から漂ってきたのは、血のニオイに混ざったケモノのニオイであった。
それだけで、普通の人間であれば、警戒して近づく事はない。
その先に何があるのか、本能的に理解する事が出来てしまうため、わざわざ自分の目で確かめる必要がないからである。
だが、それをモノともせず、村に近づく者達がいた。
「最近、魔獣による被害が増えてきたな。……とは言え、犠牲になった人達のためにも、きっちりカタをつけてやらないとな」
すぐさま、ケン・Z・ブラッドリーが天眼と暗視で視野と視界を確保し、茂みに隠れたまま村の様子を窺った。
熊の魔獣は村の広場で眠っており、そのまわりには沢山の遺体があった。
その遺体の大半は損傷が激しく、中には原型を留めていないモノもあった。
おそらく、熊の魔獣の食事になっているのだろう。
まるでそれが自分のモノである事を示すようにして、自分の目が届く場所に置かれていた。
「……また随分と派手に暴れたみたいだね」
テス・クラルスが手付かずの惨状に、眉をしかめた。
この様子では、大半の村人が逃げる間もなく、殺されてしまったのだろう。
運よく逃げ延びた村人達も、熊の魔獣に襲われた時の記憶が蘇ってくるのか、眠れぬ夜を過ごしているらしい。
その事を考えるだけで、テスは胸が痛くなった。
しかし、現状では十分にあり得る事。
引き受けた依頼を完遂出来なければ、こういった村が増えてしまう可能もあるため、他人事のようには思えなかった。
もちろん、そうならないように、全力を尽くしているつもりだが、すべての依頼に目が届く訳では無いため、避けられない現実でもあった。
「おそらく、亡骸(食料)がある限りは、居座りつもりでいるんでしょうね」
サシャ・テーリングが茂みに隠れつつ、天眼で村の様子を窺った。
熊の魔獣が暴れまわった事で、村の建物はほとんど壊れており、遺体の山の方が目立っていた。
その分、熊の魔獣を目視する事が出来るようになっていたが、逆に気づかれてしまう可能性も高かった。
「だとしたら、依頼主が獲物と認識されてる以上、今後も付き纏われる危険があるという事ですか。それなら、余計に放っておく訳には行きませんね」
ロイ・アウレアが超聴覚で周囲の音を聞きながら、熊の魔獣が目覚めないように警戒しつつ、逃げ道を塞ぐようにして徐々にまわりを囲んでいった。
その間、熊の魔獣は寝息を立てて、完全に眠っているように見えたものの、激しく耳が動いており、周囲を警戒している様子であった。
「奴は、これまでも、人と戦ってきたようだな。噂では、冒険者と戦って、相打ちになったとか……。そう言った意味で、油断は出来ないな」
アルバス・ロウルが最悪の未来を脳裏に浮かべつつ、熊の魔獣をジロリと睨みつけた。
熊の魔獣は、まだ動かない。
だが、こちらの存在に気付いている事は間違いない。
「それじゃ、速攻で倒して犠牲者の魂を弔うぜ!」
アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが仲間達に声を掛け、熊の魔獣に攻撃を仕掛けるため、一気に距離を縮めていった。
「グォォォォォォォォォォォォォォン!」
次の瞬間、熊の魔獣が飛び起き、地響きするほどの勢いで、辺りに咆哮を響かせた。
それだけで、常人であれば腰を抜かして、動けなくなってしまうほどの恐ろしさ。
しかし、アルベルト達は両肩を目に見えない『何か』に押さえつけられているような錯覚に陥りつつも、まったく怯む事がなかった。
「随分と甘く見られたようだね。この程度の脅しで、屈すると思われているんだとしたら……。オレ達だって、覚悟を決めて、ここに来ているんだ。だから、逃げない。逃げる訳が……ない!」
ロイがテスにアイコンタクトを送り、熊の魔獣と距離を取った。
「アルバス、頼んだ」
それに合わせて、テスが一定の距離を保ちつつ、村の出入り口を塞ぐようにして陣取り、アーケインテンペスト改を発動させ、稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させた。
「……!」
その途端、熊の魔獣が動揺した様子で、稲妻のような光から逃げようとした。
だが、その気持ちに反して、稲妻のような光が落下し、熊の魔獣の逃げ道を塞いでいった。
「人の敵よ! お前は、ここで倒させてもらう!」
その隙をつくようにして、アルバスが戦術眼を駆使しつつ、シーザーロアを仕掛け、熊の魔獣の注意を引いた。
熊の魔獣は半ばヤケになりながら、稲妻のような光に纏わりつかれつつ、アルバスに向かって突っ込んできた。
「まずは逃げ足奪わせてもらうぜ」
それを邪魔するようにして、ケンがチャージングで瞬間的に加速し、首狩刀『SHIMADZU』で毒撃を仕掛け、熊の魔獣の脚を斬りつけた。
それでも、熊の魔獣は怯まなかった。
怒りで痛覚がマヒしているのか、口から泡を吐きながら、恨めしそうにケン達を睨みつけ、今にも飛び掛かってきそうな勢いだった。
「まだまだ、やる気のようですね」
サシャが堅甲2で、アルベルトが身に纏っているダマスカス鋼の全身鎧Reを淡い透明な光で包み、防御性能を強化した。
「だが、俺達の敵では無いな」
その流れに乗るようにして、アルベルトが熊の魔獣の懐に潜り込み、紫電一閃で研ぎ澄まされた鋭い一撃を放った。
「それに、生きる為に食べる事は責められない、だが人を狙う時点でオレ達の敵だ」
続いて、ロイが真ハーツベインショットで、不可視のエーテルを纏ったダマスカス鋼の矢を放ち、熊の魔獣の肉体を強烈に蝕んだ。
しかし、熊の魔獣は虚ろな表情を浮かべたまま涎を垂れ流し、唸り声を響かせながら、鋭い爪を振り回した。
「残念だが、お前の爪では、俺に届かん!」
その攻撃を見切りつつ、アルバスが熊の魔獣の顔面に強打を繰り出した。
「ピギャ……!」
その一撃を食らった熊の魔獣が間の抜けた鳴き声を上げ、尻餅をつくようにして座り込んだ。
それでも、必死に立ち上がろうとしたものの、宙を掻くだけで起き上がる事が出来なかった。
「一体、何を戸惑っている? その牙で、爪で、存分に暴れたのだろう? お前の番が来ただけだ。傍らの骸にも、あそこに転がる幼子も、きっと今のお前と同じ気持ちだっただろう。お前にも恐怖がわかるかい?」
そこに追い打ちをかけるようにして、テスがアシッドブリットを繰り出した。
テスが飛ばした緑色の光弾は、熊の魔獣に命中すると破裂し、纏わりついたエーテルが肉体を劣化させた。
それが熊の魔獣に恐怖を植え付け、一瞬にして戦意を喪失させた。
こうなってしまうと、戦っている場合ではないと判断したのか、熊の魔獣が逃げようとして慌てて後ろを向いた。
だが、既に逃げ道を塞がれている状態。
「……逃がすなっ!」
即座に、ロイがルプス(ペットの狼)に声を掛け、貫通衝撃射で熊の魔獣を射抜いた。
「グォォォォォォォォォオォォォォォン」
その事に危機感を覚えた熊の魔獣が、オロオロとしながら、逃げ道を探すようにして左右に跳ねた。
しかし、逃げ場は何処にもない。
「おいおい、今更逃げようとするなよ。まあ、所詮はケモノか」
その間に、ケンがチャージングで瞬間的に加速し、衝撃刃3で熊の魔獣に不可視の衝撃を飛ばした。
「だからと言って、いまさら後悔したところで手遅れだ。ここで逃がすような事があれば、犠牲者が増えるだけだしな」
それに合わせて、アルベルトが鋭撃2を繰り出し、熊の魔獣に鋭い一撃を放った。
「そもそも人の肉を覚えた獣は野に放ってはなりません。……冥府で謝罪なさい!」
次の瞬間、サシャが亡くなった人々に鎮魂の祈りを込め、熊の魔獣めがけてダマスカス鋼の祭刀を振り下ろした。
「グォォォォォォォォォオォォォォォン!」
そして、熊の魔獣の断末魔が、辺りに響き渡った。
●
「……こいつも必死だったのかも知れないな」
ケンは複雑な気持ちになりながら、熊の首に視線を落とした。
あの後、熊の魔獣は最後の力を振り絞り、ケンに食らいつこうとした。
おそらく、誰かひとりでも道連れにしようと思ったのだろう。
その相手に選ばれたケンは、躊躇う事なく熊の魔獣の首を刎ねた。
その首は地面に転がった後も、ケン達に対して殺気を放っていたものの、二度と動き出す事はなかった。
「村人達を襲わず、森の中で大人しくしていたら、違った結果になっていたかも知れませんね。……ですが、人の命を奪った時点で、自ら退路を断ったようなものです」
サシャが村人達の遺体を毛布やシーツで包み、広場に一体ずつ並べていった。
どの遺体も損傷が酷かったため、そのままでは村人達に見せる事が出来ない程、酷い状態になっていた。
「み、みんな、死んじまったのか。嘘だろ、おい! 誰か返事をしてくれ!」
そんな中、依頼をしてきた村人達が姿を現し、次々と遺体に駆け寄っていった。
みんな亡くなってしまった事実を受け入れる事が出来ないのだろう。
変わり果てた姿になった遺体に声を掛け、必死に起こそうとしていた。
「……ここには身内も居るでしょう。オレ達が行いますから休んでください」
そんな空気を察したロイが、村人達に声を掛けた。
村人達は小さくコクンと頷くと、フラフラと自分の家に戻っていった。
「さすがに、あのまま放っておくのは、酷だな。こっちは俺に任せてくれ」
アルベルトが心配した様子で、村人達の後を追った。
このまま亡くなった者達の後を追って命を断つような事はないと思うが、少し話を聞く必要がありそうである。
「それじゃ、埋葬の方は任せてください」
アルバスが察した様子で、遺体を荷車に積み込み、村外れにある墓地に運んで行った。
埋葬自体は、それほど時間が掛からなかったものの、墓の数は今までの倍に増えていた。
「どうか生き残った者たちを見守っておくれ。この地が再び健やかな営みの場所になりますように……」
そんな中、テスがロイと並ぶようにして墓の前に立ち、祈りを込めて手向けの酒を掛けた。
運良く生き延びた村人達だけで、この村を元通りにするのは難しいかも知れない。
だが、アルベルトが村人達を励ました事で、その瞳には希望の光が宿っていた。
村の方向から漂ってきたのは、血のニオイに混ざったケモノのニオイであった。
それだけで、普通の人間であれば、警戒して近づく事はない。
その先に何があるのか、本能的に理解する事が出来てしまうため、わざわざ自分の目で確かめる必要がないからである。
だが、それをモノともせず、村に近づく者達がいた。
「最近、魔獣による被害が増えてきたな。……とは言え、犠牲になった人達のためにも、きっちりカタをつけてやらないとな」
すぐさま、ケン・Z・ブラッドリーが天眼と暗視で視野と視界を確保し、茂みに隠れたまま村の様子を窺った。
熊の魔獣は村の広場で眠っており、そのまわりには沢山の遺体があった。
その遺体の大半は損傷が激しく、中には原型を留めていないモノもあった。
おそらく、熊の魔獣の食事になっているのだろう。
まるでそれが自分のモノである事を示すようにして、自分の目が届く場所に置かれていた。
「……また随分と派手に暴れたみたいだね」
テス・クラルスが手付かずの惨状に、眉をしかめた。
この様子では、大半の村人が逃げる間もなく、殺されてしまったのだろう。
運よく逃げ延びた村人達も、熊の魔獣に襲われた時の記憶が蘇ってくるのか、眠れぬ夜を過ごしているらしい。
その事を考えるだけで、テスは胸が痛くなった。
しかし、現状では十分にあり得る事。
引き受けた依頼を完遂出来なければ、こういった村が増えてしまう可能もあるため、他人事のようには思えなかった。
もちろん、そうならないように、全力を尽くしているつもりだが、すべての依頼に目が届く訳では無いため、避けられない現実でもあった。
「おそらく、亡骸(食料)がある限りは、居座りつもりでいるんでしょうね」
サシャ・テーリングが茂みに隠れつつ、天眼で村の様子を窺った。
熊の魔獣が暴れまわった事で、村の建物はほとんど壊れており、遺体の山の方が目立っていた。
その分、熊の魔獣を目視する事が出来るようになっていたが、逆に気づかれてしまう可能性も高かった。
「だとしたら、依頼主が獲物と認識されてる以上、今後も付き纏われる危険があるという事ですか。それなら、余計に放っておく訳には行きませんね」
ロイ・アウレアが超聴覚で周囲の音を聞きながら、熊の魔獣が目覚めないように警戒しつつ、逃げ道を塞ぐようにして徐々にまわりを囲んでいった。
その間、熊の魔獣は寝息を立てて、完全に眠っているように見えたものの、激しく耳が動いており、周囲を警戒している様子であった。
「奴は、これまでも、人と戦ってきたようだな。噂では、冒険者と戦って、相打ちになったとか……。そう言った意味で、油断は出来ないな」
アルバス・ロウルが最悪の未来を脳裏に浮かべつつ、熊の魔獣をジロリと睨みつけた。
熊の魔獣は、まだ動かない。
だが、こちらの存在に気付いている事は間違いない。
「それじゃ、速攻で倒して犠牲者の魂を弔うぜ!」
アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが仲間達に声を掛け、熊の魔獣に攻撃を仕掛けるため、一気に距離を縮めていった。
「グォォォォォォォォォォォォォォン!」
次の瞬間、熊の魔獣が飛び起き、地響きするほどの勢いで、辺りに咆哮を響かせた。
それだけで、常人であれば腰を抜かして、動けなくなってしまうほどの恐ろしさ。
しかし、アルベルト達は両肩を目に見えない『何か』に押さえつけられているような錯覚に陥りつつも、まったく怯む事がなかった。
「随分と甘く見られたようだね。この程度の脅しで、屈すると思われているんだとしたら……。オレ達だって、覚悟を決めて、ここに来ているんだ。だから、逃げない。逃げる訳が……ない!」
ロイがテスにアイコンタクトを送り、熊の魔獣と距離を取った。
「アルバス、頼んだ」
それに合わせて、テスが一定の距離を保ちつつ、村の出入り口を塞ぐようにして陣取り、アーケインテンペスト改を発動させ、稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させた。
「……!」
その途端、熊の魔獣が動揺した様子で、稲妻のような光から逃げようとした。
だが、その気持ちに反して、稲妻のような光が落下し、熊の魔獣の逃げ道を塞いでいった。
「人の敵よ! お前は、ここで倒させてもらう!」
その隙をつくようにして、アルバスが戦術眼を駆使しつつ、シーザーロアを仕掛け、熊の魔獣の注意を引いた。
熊の魔獣は半ばヤケになりながら、稲妻のような光に纏わりつかれつつ、アルバスに向かって突っ込んできた。
「まずは逃げ足奪わせてもらうぜ」
それを邪魔するようにして、ケンがチャージングで瞬間的に加速し、首狩刀『SHIMADZU』で毒撃を仕掛け、熊の魔獣の脚を斬りつけた。
それでも、熊の魔獣は怯まなかった。
怒りで痛覚がマヒしているのか、口から泡を吐きながら、恨めしそうにケン達を睨みつけ、今にも飛び掛かってきそうな勢いだった。
「まだまだ、やる気のようですね」
サシャが堅甲2で、アルベルトが身に纏っているダマスカス鋼の全身鎧Reを淡い透明な光で包み、防御性能を強化した。
「だが、俺達の敵では無いな」
その流れに乗るようにして、アルベルトが熊の魔獣の懐に潜り込み、紫電一閃で研ぎ澄まされた鋭い一撃を放った。
「それに、生きる為に食べる事は責められない、だが人を狙う時点でオレ達の敵だ」
続いて、ロイが真ハーツベインショットで、不可視のエーテルを纏ったダマスカス鋼の矢を放ち、熊の魔獣の肉体を強烈に蝕んだ。
しかし、熊の魔獣は虚ろな表情を浮かべたまま涎を垂れ流し、唸り声を響かせながら、鋭い爪を振り回した。
「残念だが、お前の爪では、俺に届かん!」
その攻撃を見切りつつ、アルバスが熊の魔獣の顔面に強打を繰り出した。
「ピギャ……!」
その一撃を食らった熊の魔獣が間の抜けた鳴き声を上げ、尻餅をつくようにして座り込んだ。
それでも、必死に立ち上がろうとしたものの、宙を掻くだけで起き上がる事が出来なかった。
「一体、何を戸惑っている? その牙で、爪で、存分に暴れたのだろう? お前の番が来ただけだ。傍らの骸にも、あそこに転がる幼子も、きっと今のお前と同じ気持ちだっただろう。お前にも恐怖がわかるかい?」
そこに追い打ちをかけるようにして、テスがアシッドブリットを繰り出した。
テスが飛ばした緑色の光弾は、熊の魔獣に命中すると破裂し、纏わりついたエーテルが肉体を劣化させた。
それが熊の魔獣に恐怖を植え付け、一瞬にして戦意を喪失させた。
こうなってしまうと、戦っている場合ではないと判断したのか、熊の魔獣が逃げようとして慌てて後ろを向いた。
だが、既に逃げ道を塞がれている状態。
「……逃がすなっ!」
即座に、ロイがルプス(ペットの狼)に声を掛け、貫通衝撃射で熊の魔獣を射抜いた。
「グォォォォォォォォォオォォォォォン」
その事に危機感を覚えた熊の魔獣が、オロオロとしながら、逃げ道を探すようにして左右に跳ねた。
しかし、逃げ場は何処にもない。
「おいおい、今更逃げようとするなよ。まあ、所詮はケモノか」
その間に、ケンがチャージングで瞬間的に加速し、衝撃刃3で熊の魔獣に不可視の衝撃を飛ばした。
「だからと言って、いまさら後悔したところで手遅れだ。ここで逃がすような事があれば、犠牲者が増えるだけだしな」
それに合わせて、アルベルトが鋭撃2を繰り出し、熊の魔獣に鋭い一撃を放った。
「そもそも人の肉を覚えた獣は野に放ってはなりません。……冥府で謝罪なさい!」
次の瞬間、サシャが亡くなった人々に鎮魂の祈りを込め、熊の魔獣めがけてダマスカス鋼の祭刀を振り下ろした。
「グォォォォォォォォォオォォォォォン!」
そして、熊の魔獣の断末魔が、辺りに響き渡った。
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「……こいつも必死だったのかも知れないな」
ケンは複雑な気持ちになりながら、熊の首に視線を落とした。
あの後、熊の魔獣は最後の力を振り絞り、ケンに食らいつこうとした。
おそらく、誰かひとりでも道連れにしようと思ったのだろう。
その相手に選ばれたケンは、躊躇う事なく熊の魔獣の首を刎ねた。
その首は地面に転がった後も、ケン達に対して殺気を放っていたものの、二度と動き出す事はなかった。
「村人達を襲わず、森の中で大人しくしていたら、違った結果になっていたかも知れませんね。……ですが、人の命を奪った時点で、自ら退路を断ったようなものです」
サシャが村人達の遺体を毛布やシーツで包み、広場に一体ずつ並べていった。
どの遺体も損傷が酷かったため、そのままでは村人達に見せる事が出来ない程、酷い状態になっていた。
「み、みんな、死んじまったのか。嘘だろ、おい! 誰か返事をしてくれ!」
そんな中、依頼をしてきた村人達が姿を現し、次々と遺体に駆け寄っていった。
みんな亡くなってしまった事実を受け入れる事が出来ないのだろう。
変わり果てた姿になった遺体に声を掛け、必死に起こそうとしていた。
「……ここには身内も居るでしょう。オレ達が行いますから休んでください」
そんな空気を察したロイが、村人達に声を掛けた。
村人達は小さくコクンと頷くと、フラフラと自分の家に戻っていった。
「さすがに、あのまま放っておくのは、酷だな。こっちは俺に任せてくれ」
アルベルトが心配した様子で、村人達の後を追った。
このまま亡くなった者達の後を追って命を断つような事はないと思うが、少し話を聞く必要がありそうである。
「それじゃ、埋葬の方は任せてください」
アルバスが察した様子で、遺体を荷車に積み込み、村外れにある墓地に運んで行った。
埋葬自体は、それほど時間が掛からなかったものの、墓の数は今までの倍に増えていた。
「どうか生き残った者たちを見守っておくれ。この地が再び健やかな営みの場所になりますように……」
そんな中、テスがロイと並ぶようにして墓の前に立ち、祈りを込めて手向けの酒を掛けた。
運良く生き延びた村人達だけで、この村を元通りにするのは難しいかも知れない。
だが、アルベルトが村人達を励ました事で、その瞳には希望の光が宿っていた。
マスターコメント
今回は、どのプレイングも素晴らしく、MVP候補が複数名居ました。
その中から厳選して選ばさせていただきました。
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2021年07月03日 07時47分01秒 公開
大成功
相談掲示板
シューターのロイアウレアです。宜しく。 家族の弔いが出来る状態にしたいと思い参加しました。 出発まで24時間切ってるが、特別な作戦は無しでも行けそうなので 同行してくれる方が居たら是非にお願いします。 っと取り逃がさない様に可能なら囲い込んで戦いたいとは思ってます。 別の策も今夜中なら合せられると思うので、何かあれば聞かせて下さいね。
ヒーラーのサシャ・テーリングです。 お願いします。
ウォーリアのアルバス・ロウルだ。よろしく頼む。 今のところは囲い込んで戦う方向か。 皆後衛職だな? なら動きやすい場所へ俺がシザーロアの執着で誘き寄せるのはどうだろうか。 路地や壁際に追い込めば少人数でも囲い込みやすいかもしれん。
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 とにかく、熊の魔獣を倒して犠牲者を丁寧に埋葬して魂を弔わないとな。
増えたね!皆さま宜しくお願いします。 >まわりの被害などは考えず、戦ってほしい (直に訳すと好きに暴れろって言うMSのメッセージだろうが) 村の被害状況がそれだけ酷いって事だと思うので シザーロアで足場が安定した位置に誘き出し、ウォーリアの二人で挟撃して貰えればそれで足止めになると思う。 オレはその左右・隙間から攻撃を入れるよ。
成立したね テス・クラルス、キャスターだよ 追い込みをしてくれるのありがたいよ なら私はアーケインで鈍足化をしようかな せめて弔いが心安らかなものになるよう しっかり仕留め切りたいね 皆様どうぞよろしくね!