【CP】ウォレス伯爵私兵団、始動
岩岡志摩
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シナリオID:1060
オープニング
リーンエス王国に属するヴィガ・リスタ子爵のもとには、それなりに鮮度の高い情報が届く。
「なんだ、この中途半端な結果は?」
子爵はその情報を届け、今は傍らに控える道化師ロコへと問いかける。
「どういったことデショウ?」
「ウォレスの小娘の件だ。集落は壊滅を免れ、手先は生き残り、狗どもは全滅だと?」
子爵は不満そうだ。
「たしかその小娘とやらは伯爵デハ?」
「奴は生まれがいいだけで周囲の者達を不快にさせ、気持ち悪くさせるために生まれてきた女だ。そんな奴など伯爵と呼べるものか」
子爵は自分よりも爵位が上の女性など、存在自体が邪悪だと断じている。
何が子爵をそうさせているかは不明だが、子爵はウォレス伯爵への敵愾心を隠そうともしていない。
「ウォレスの小娘がキャンプに援軍を送るのは確かか?」
「戦いを経験した私兵を送ることは確かなようデス」
「これ以上キャンプを支援する者達を増やしてはならん。それは我々王国を弱体化させる行為だ」
ここでロコは、いささか挑発的な物言いで子爵に問う。
「貴方様は、いつまで王国の守護者気取りなのデスカ?」
その物言いに気分を害することなく、子爵は答える。
「誰かがやらねばならん。誰かが睨みをきかせねばならん。王国を影から守る者というのは、いつでも嫌われ者だ」
なお王国上層部はそんなことを子爵に頼んでいない。子爵がそう思い込んでいるだけだ。
ロコは子爵の言い分を肯定も否定もせず、沈黙を保つ。
「すべては王国のためだ。使えそうな狗どもをキャンプにけしかけろ」
子爵の命令を受けたロコは首を垂れ、静かにその場から消える。
その仮面に隠された顔に、侮蔑の笑みを浮かべながら。
●ある密告
冒険者ギルドの職員、アルヒ・ラスカスは自分宛でギルドに届けられた差出人不明の手紙をどう扱うべきか、悩んでいた。
元々アルヒはウォレス伯爵から、帝国難民キャンプへ派遣する私兵団を冒険者達に率いてもらいたいという依頼を受けている。
その依頼を斡旋すべく動こうとしたところで、その私兵団の派遣先にあたる帝国難民キャンプを脅かしかねない情報が、その手紙には記されていた。
――隠密裏に動くことに特化したコボルト達が、密かに難民キャンプへと進出を始めている。
その目的は、難民キャンプ内部へと潜入しての破壊工作および内部にいる人々の暗殺。
数はおよそ44体。
40体は通常の個体だが、残る4体は上位存在にあたる特異個体だという。
ご丁寧にも届けられた紙には、コボルト達が難民キャンプへと侵入をはかると思われるルートまで記載がある。
そしてそのルートからの敵に対処する場合、最も近い位置にいるのはウォレス伯爵の私兵団40名。
この私兵団は訓練期間こそ短いが過去に冒険者達によって鍛え上げられ、コボルト達との実戦経験も済んでいる。
アルヒはこの差出人不明の手紙の内容が虚偽ではないかと疑ったが、事実だとすれば難民キャンプへ攻め込んでくるコボルト達の一部を見逃すことになる。
「この情報を寄こした目的がわからないが、恐らく差出人は『奴』だろうな」
そしてアルヒは最近の事例から、この密告を行った存在に心当たりがある。
以前、難民キャンプ周辺にあるエルフの小集落に魔獣達をけしかけ、壊滅させたとされる道化師。
その名はロコ。
過去にロコはディズル大湿地帯でも現地で暮らすリザードマンの部族の1つ、ターミル族の集落を魔獣達に襲わせ、集落にいる少年を攫い、多くの命を奪うことにも加担した。
大湿原の『封印地帯』を巡る一連の戦いの経緯などから考えると、恐らくロコはメドゥの指先に関わっていると思われるが、表立って動くことは少なく、いまだ謎が多い。
わかっているのは、この道化師は魔獣を使役して周囲に災厄を振りまいていること。
その見方で考えると、ここに記載されたコボルト達は実在する可能性が高い。
――刺客は用意した。誰かを傷つけたくなければ応戦しろ。
アルヒは手紙の向こうにいるロコが、そう言っているような気がした。
虚偽であるとしても、ウォレス伯爵の私兵団を動かすだけなら、通常の防衛に穴はできない。
アルヒは思案した後、そう結論付ける。
「いいだろう。難民キャンプへ向かう敵の各個撃破は、こちらとしても望ましいからな」
アルヒは手紙を握りしめると、ギルド職員や伯爵からの使者と相談したうえで、若干内容を修正した依頼の斡旋へと動き出した。
●やること
今回皆様にやってほしいことは、帝国難民キャンプに迫るコボルト群の1つを撃退することです。
ロコからと思われる密告で、およその侵攻ルートや数、その種類もほぼ判明しています。
皆様はそのルートの途中で敵を待ち伏せて、迎撃して下さい。
なお皆様への増援として、現地に最も近い場所に配備されたウォレス伯爵私兵団40名が派遣されます。
実戦経験こそ乏しいですが、私兵団の士気は高いです。
彼ら40名は全員射程20程度の弓を装備しています。遠距離攻撃に向いていますが、近距離戦は不向きです。
冒険者の皆様には彼らを守りながら、うまく私兵団を使いコボルト達を迎撃する必要があります。
なお彼らは以前皆様冒険者によってその性根から戦闘経験に至るあらゆる部分を鍛え上げられたため、皆様冒険者達のことを尊敬しており、指示には忠実に従います。
帝国難民キャンプを襲うであろう敵を少しでも減らすために。
皆様のお力をお貸し願えないでしょうか?
●今回の敵
コボルト×44
通常個体×40、特異個体×4で構成。
通常個体は半数20体が射程20の弓を、残り20体が射程0の剣を装備。下記特殊個体の影響によるものか、機動力や隠密性にやや優れる模様。略称『弓狗』『剣狗』。
特異個体×4
通常個体と比べ大柄で全高2mもあるため、一目で識別可能。射程5の短弓と射程0の剣を装備。略称『影狗』。
特異個体は全ての武器に授恵者に対しても効果のある毒を塗っているため、全ての攻撃で【スリップ】(強度1)のバッドステータス付与判定を行う。
冒険者のクラスのうちシーフに似た能力を駆使する模様。以下は密告に記載があった能力で、判断は自由。
隠蔽
何かを隠す判定を行う際、プラス補正が得られる。
死撃
死角より必殺の近接攻撃。【物防減:50%】【暗殺】。
解説
マスターより
リプレイ
その林道は周囲の色濃い樹幹が降り注ぐ陽光を受け止め、樹上を緑に隠していた。
「全く……ちゃんとしたやつのところに、こういったことが来るのはホント面倒だな」
ケン・Z・ブラッドリーは北側に陣取ると、最終防衛ラインと位置付けた箇所の周囲に持参したロープを括り付け、即席の罠をしかけながらもぼやく。
今ケン達のいる森は木々の緑で頭上が隠されており、天眼のみでは全体の把握に支障が生じたが、ケンが暗視も併用して索敵した結果、ある程度敵の動向を察知できた。
その敵である複数のコボルト達(以下『剣狗』『弓狗』と略)は大柄な個体(以下『影狗』と略)に率いられ、重なり合う葉に紛れ、帝国難民キャンプが存在する場所へと迫っている。
「まぁ……これも練度を上げるいい機会だと思えばまだましか」
ケンは自分に言い聞かせるようにそう呟くと、今回自分達が指揮するウォレス伯爵私兵団の兵士達に視線を移す。
「あなた達のうち、北側に向かう10名の配置はこの位置だよ。中央には20名がこの位置で、南側にはここに10名――」
フリューリングスルフト=ティエラは、アルヒ・ラスカスより借りた地図を兵士達に見せながら、兵士達を3つのグループに分け、中央を厚くする陣を敷き始める。
当初フリューリングスルフト(以下『フリュー』と略)は、狼煙の用意や兵士達に盾を支給することをアルヒに要請していたが、用意できる範疇を超えているとして断られている。
「アルヒさんは中央部隊にて、私兵団と一緒に行動しながら負傷者の治療に専念するのは可能なの?」
このためフリューは若干作戦の見直しを行っていた。
アルヒを中央に配するよう要請した後、フリューは隠蔽スキルで身を潜めつつ、捜波・改と看破を駆使して敵の動向を探る。
フリューの発した探知用エーテルの波動は、射程範囲内にいた狗達の所在を暴き、把握できた狗達の位置をフリューは周囲の仲間に報せていく。
その間にもロイ・アウレアやセリオス・オーガスト、ハヤト=ガラン=ヴォルファングがケンと共同で罠の設置を行い、迎撃態勢を整えている。
「成長を見せて貰いに来たよ、オレの背は頼んだ」
以前ロイはこの場にいるウォレス伯爵私兵団を鍛え上げたことがある。
今回ロイは予めアルヒに対し、緊急の連絡用として、これから兵士達を配備する場所ごとに音色の違う笛の用意を人数分要請してした。
相談の結果、笛は全員分ではなく1つの配置につき1本ずつ貸与される形におさまっている。
「いいか。最初の音色で自分達の配備場所を示すんだ。次に伝えたい情報を笛の音で表す場合には――」
ロイは笛を長く吹いて出した音と、短く吹いて出した音を組み合わせ、吹く回数や吹き方によって意味を持たせるよう、兵士達に教え込んでいた。
その後は兵士達と共に、ロイは周囲にある草を縛って転倒用の罠に変え、木片とロープを組み合わせることで、引くと音が出るような簡易な仕掛けを敷設している。
「目標としては、こちらの被害を出さないようにしつつ、コボルトの群れを殲滅させることだな」
セリオスは被害ゼロを目指すべく、事前にできそうなことは全てやっておくつもりだ。
セリオスは南東側にある最終防衛ライン周囲に罠の設置を終えると、超視力や看破に加え、ホークアイも行使して狗達、特に影狗の居場所を突き止めるべく、探索に移る。
「この位置なら前衛が抜かれた時、私兵団の最後の砦になることができるはずだ。ここから特異個体を見つけ出すぞ」
セリオスの行使したホークアイや超視力、看破によって槍狗、弓狗の動きは捉えたものの、大柄の影狗の姿がいまだに見つからない。
だがセリオスは、影狗は必ずその近くにいると判断している。
そして森の中央でも、既に罠の設置を終えていたハヤトが最も先行する狗達を迎撃すべく、体を樹間に溶け込ませるように身を潜め、捜波・改を行使して探りを入れていた。
「メドゥの指先にいいように使われている感は癪に障るが……」
ハヤトは今回の情報源が、メドゥの指先と関わりがあるとされる道化師ロコからの密告という点が気に入らない。
そのハヤトより周囲に向け探知用のエーテルの波動が走り、効果範囲内にいる狗達を捉え、常にその位置を把握できるマークがつけられていく。
「コボルト共は片付けねぇことにはキャンプが危ねぇからな!」
意識を切り替えたハヤトは、ロコのことを頭の片隅に追いやると、マークできた狗達のうち、特に影狗へと狙いを定めていく。
「ここに来たコボルト共は、生かしといたってろくなことにゃなんねーだろうしな!」
そう独語したハヤトは、狗達が自身の射程まで近づくのを待ち受けていた。
●交戦
私兵団の展開を終えた冒険者達は、それぞれ狗達との戦いを開始する。
「基本は遠距離からの攻撃でコボルト達を仕留めるんだ。危なくなったら俺を呼べよ」
ケンは北側へ配備された兵士達にそう言い残すと、こちらに気づいたと思われる狗達へと向き直る。
「それじゃぁ……一狩り行きますか」
ケンは独語と共にチャージングを行使。
瞬間的に加速したケンが、鏃や槍の穂先を向ける狗達を避ける形で走り抜け、潜んでいるであろう影狗を探す。
天眼や暗視も駆使して周囲を探索する中、一瞬ケンの頭上に影が走った。
反射的にケンは頭上へダマスカス鋼の盾を振りあげ、風を切って飛来した矢を弾き飛ばす。
「よぅ、俺を狙うつもりだったのか?」
木の枝に着地する影狗を視認したケンは、そのままシーザーロアを行使。
ケンの言葉と共にエーテルが影狗へと叩きつけられ、ケンに執着させる感情を呼び起こさせる。
影狗の戦意が自分に向いたことを確認したケンは、影狗も含め、剣狗や弓狗達をまとめて始末すべく、誘引を開始する。
森の南側でも、フリューやセリオスが私兵団と共に狗達との交戦を始めている。
「行かせんよ、その先には。うちが最優先で狙うのは、あなただよ」
既に捜波・改による探知に看破スキルを加え、周囲にいる狗達――特に影狗の位置を割り出していたフリューは疾風足を行使して、執拗に影狗の後を追い続ける。
森の中を跳び渡りながら、影狗は短弓を鳴らして矢を放つも、フリューは大きく地を蹴って近くの木の枝へと飛び乗り、さらに跳躍して宙を飛び、矢を樹木に命中させる。
その頃にはフリューからの連絡を受け、ホークアイスキルや超視力、看破スキルをフル活用して影狗の姿を捕捉したセリオスが、影狗に向けダマスカス鋼の短弓を引き絞っていた。
「情報提供感謝だ。今から着実に仕留めるぞ」
短くフリューに礼を述べたセリオスは、そのままバスターアローを行使。
光を集中させた短弓より、破壊力と速度を増大させた一射が撃ち放たれ、宙を飛び渡ると影狗の身を貫いた。
射抜かれた影狗が血を噴いてのけぞったところで、その頭上に到達したフリューが襲いかかる。
「――疾く疾く駆けろ。誉の緋色、疾風怒涛に参る……なんてさぁ♪」
フリューはそのまままっすぐに、体ごと影狗めがけて落下する中でトリプルファングを行使。
ダマスカス鋼の剣とダマスカス鋼の短剣の斬撃が交互に繰り出され、フリューの描いた剣閃に、斬り飛ばされた影狗の首や腕が彩った。
切断面から血を噴いて落下した影狗が地面に叩きつけられるのと前後して、フリューが着地する。
「こちらの方面に来た特異個体は撃破できたようだな。俺は引き続きここで敵を食い止めるつもりだ」
セリオスは影狗の絶命を確認すると、兵士達と連携して残りの狗達への迎撃に戻る。
「うるぁ! ブレイブファング傭兵団のハヤト様が相手になってやんぜ!」
森中央では、先行した狗の群れ近くの物陰よりハヤトが襲いかかり、名乗りを上げていた。
捜波・改を行使して、ハヤトが走らせた探知用のエーテルは、潜んでいた影狗も含め、指定範囲内にいる狗達の位置をほぼ割り出していた。
反応強化3を行使して、真後ろにハヤトが跳躍すると同時に、そのまま走っていればハヤトの体が占めたに違いない空間を、影狗からと思しき一射が駆け抜けた。
射撃された方向から、戦術眼も駆使して影狗の位置を割り出したハヤトは、着地するとフェザーステップや疾風足を駆使し、木の幹を蹴って跳躍した影狗へと追いすがる。
「俺に不意打ちとはいい度胸だ! 報いは受けてもらうぜ!」
同じく跳躍し、一気に肉薄したハヤトは叫びと共にトリプルファングを行使。
宙で焔雷獣の拳爪蹴牙と、藍玄の忍刀が交互に吹き伸びて、影狗の身を断ち切った。
声にならない悲鳴をあげて、血を撒いた影狗の肉体が、どさりと音を立てて落下する中、ハヤトが着地する。
「2段構えの攻撃を続けて、弓狗の早期削減と剣狗の接近を阻止するんだ。それでも敵が接近するなら陣形を崩さぬよう攻撃しつゆっくり後退するんだよ」
ロイは各方面から届く情報を中継しながら、天眼を駆使して戦場全体の把握を行い、自分が率いる兵士達への指揮を続けていた。
両耳に届く笛の音が、兵士達に教え込んだ意味も相まって、それぞれの状況をロイに教えてくれる。
「そうなると残る特異個体の狙いはオレだよな。――そうだろう?」
ロイが看破スキルを駆使しながら、森の陰にあたる方角へとダマスカス鋼の強弓Reを向けるのと、その方角より一条の矢が飛来したのはほぼ同時だった。
地面に身を転がして、頭上の空間を貫かせたロイはそのまま起き上がり、矢を放った影狗に向け炸光矢2を行使。
弓弦を鳴らしてエーテルを籠めた光の矢が射出され、影狗のいる空間で炸裂すると、まき散らされた無数の光の破片が、影狗の身を切り裂き、血をしぶかせた。
●撃退
影狗の大半が撃破されても、冒険者達と狗達の交戦は続いている。
――北側。
「遠距離を保って弓を持つ敵から片付けろ。2人で1体、袋叩きでいい。弓を撃たせるな」
ケンは私兵団の兵士達に指示を飛ばしながら、自身は殺界を行使していた。
首狩刀『SHIMADZU』にエーテル光が纏いつき、長大な刃を形成すると共に、周囲に不可視のエーテルが張り巡らされ、狗達の移動を阻み、釘づけにしていた。
「いい加減その首狩らせてもらおうか!」
叫びと共に、ケンが間合に捉えた全ての狗達に斬撃が襲いかかり、肉を裂き、骨を断つ異音が幾重にも響き渡る。
やがて殺界の効果が失せた後には、断ち切られた狗達の骸が散乱していた。
ケンの殺界の範囲外にいた狗達にも、ケンの指揮する兵士達より放たれた矢が襲いかかり、次々とその身に突き刺さり、損傷を強いていく。
――南側。
「アルヒさんは負傷者の治療が優先だよ。中央部隊は負傷者の治癒が終わり次第。西側にいる敵群の撃破に移行だよね」
フリューは中央にいる兵士達へ指示を飛ばすと、自身が指揮する兵士達と共に、南側に残る狗達の殲滅に移る。
「ティエラ。南側は任せたぞ。俺は別の場所で戦っている味方の援護に向かうつもりだ」
セリオスはフリュー達だけでも南側の狗達を退治できると判断し、北の方向へと駆けていく。
後を任されたフリューは、飛来する矢の間を駆け抜けながら、フェザーステップや疾風足も駆使して一気に狗へと肉薄し、、繰り出される刺突を躱してその背後に回り込み、一撃のもとに槍狗の背を割る。
――音もなくその背を狙い。
――躍るように自由に駆け、刃を振るい。
――笑い、化かし、乱し、屠るんさぁ♪
槍狗が絶命したのを確認しながら、フリューは歌うように口ずさみ、次の標的への狙いを定めていく。
――中央。
先行した狗の群れを殲滅したハヤトと私兵団の兵士達は、奥に残る狗の群れと矢の応酬を繰り広げていた。
そこへセリオスが駆けつけ、ハヤトと連携して狗達の撃破に乗り出す。
「ヴォルファング。まとまっている敵は俺が倒すつもりだ。お前は兵士達に致命傷を与えそうな敵から各個撃破していくというのはどうだろうか?」
「あんたの案で問題ないと思うぜ。ここで討ち漏らしを出さずに全部倒しておくのが妥当だな」
セリオスとハヤトは短くやりとりした後、それぞれ駆け出して狗達を射程に捉えていく。
まずセリオスは最も多くまとまっている狗達に向け、短弓の弦を引き絞り、炸光矢3を行使。
弓弦が矢を放つ響きと共に、エーテルを籠めた光の矢が宙を飛び渡り、狗達のただ中に飛び込むと、炸裂した周囲に光の破片をぶちまける。
まともに光の破片群を浴びた狗達は、全身を引き裂かれ、血霧を撒き散らして倒れ伏し、絶命していく。
ここで一部の狗達が逃走を始めたが、捜波・改を駆使して残る狗達を捕捉していたハヤトは、逃走先へと疾駆して回り込む。
「いまさら逃げられるとでも思ったのかよ? 俺達はそこまで甘くはないんだぜ!」
疾風足で瞬間的に加速し、一気に狗達との間合を詰めたハヤトは、薙ぎ払い2を行使。
光の刃を纏わせた焔雷獣の拳爪蹴牙が一閃して、周囲の狗達を薙ぎ払う。
直撃を受けた狗達は、裂かれた箇所から血を噴出させて倒れていき、動かなくなる。
そして影狗との交戦を続けていたロイも、味方を巻き込まない形で影狗を撃破すべく、立ち位置を調整していた。
「兵達のところには向かわせないよ。オレがそれを認める訳がないだろう?」
ロイはそう呟くと、射程に捉えた影狗に向け、グラヴィティボルトを行使。
矢の先端に強力な重力波をエーテル力場が収束され、弓弦の響きと共に放たれた一射は、狙いあやまたず影狗の身を貫き、重力場エーテルが影狗の身に絡みつく。
既に損傷を蓄積させていた影狗は、その一撃で絶命し、血を噴いて地面に倒れ込む。
「兵の半数はオレと一緒に北方向へ。仲間達を助けに行くぞ」
影狗を屠ったロイは、休む間もなく残る狗達を殲滅すべく、次の戦場へと意識を向けた。
●防衛成る
北・中央・南と分かれて侵攻を続けていた狗達は、その全てが帝国難民キャンプに到達することなく、冒険者や私兵団に行く手を阻まれ、全て撃破された。
「勲章を貰ったな、しっかり治せよ」
自身も兵士達を鍛え上げることに関わっていたロイは、一連の戦いで兵士達が軽傷で済んだことに喜びを見せる。
まだ実戦経験は浅いものの、冒険者達の采配や援護を受けた兵士達は、着実に成長を続けている。
「このたびはご指導並びに援護して下さり、本当にありがとうございます」
兵士達の1人が代表して冒険者達への感謝を述べ、深々と頭を下げる。
後日の話になるが、兵士達の成長を確認できたウォレス伯爵からも、今回兵士達を守り抜いてくれた冒険者達への多大な感謝が表明され、ある名誉職への打診と共に冒険者ギルドにも届いている。
その打診については、受けるかどうかは冒険者達それぞれの判断に委ねられた。
こうして帝国難民キャンプに忍び寄ろうとした一つの脅威は、冒険者達の尽力により、その存在を知られることなく消滅した。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準5 / 4〜8人
2021年06月30日 23時59分40秒 公開
相談掲示板
シューターのロイ・アウレアです。よろしくお願いします。 私兵団の皆様の成長を見せて貰いに来ました。 後2名来てくれることを願い、相談を進めさせてください。 今回、参加数がフルでも比率が 1対1、まともに遣り合ったらきついね。 なので兵を片側に集め、まずは片側のコボルト群を短時間で倒せないかと考えてます。 先ず、兵はD~Iの9とIの8から、Aの8のコボルト群の対応 残りは6・7列の森に隠れ、事態を察し来るだろう2列、5列のコボルト群を罠と弓で足止め。 討伐は、私兵団が『弓狗』>『剣狗』の優先で対応。 授恵者は『影狗』優先、倒せたら『弓狗』>『剣狗』はどうだろう? あくまでも案なので、変更可、ご検討ください。
ウォーリアーのケンだ よろしくな 最悪俺らは特異体に専念することも考えておかないといけないだろうな
・・・ん、遅くなったがシューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず最低人数がそろったから出発はできそうだな 片側に集めるのはいいんだが最悪それだと反対側が抜かれる可能性があるのが怖いな。 特に真ん中は一番近いから足止めをしないとまずいのではないか? 厳しいかもしれんが中央を厚くしつつ、上下を早めに倒して前上下から圧力をかけるのはダメだろうか。 現在だと中央に二人、上下に一人ずつで、上下を兵士大目にして援護を行い中央は時間稼ぎしてもらうという形になるだろうか。アルヒは中央にいてもらって回復に専念してもらう形にすれば回復があるから少しはもつとは思うが
うんうん、特異隊に専念が良いよな…。 ただその場合、私兵の動きをどうしたら良いかが浮かばないんだ。 案があれば是非に頼む。 セリオスの案も特異隊へ1対1で向う形だね? オレのより確実で安定すると思う。 そして…私兵の配置をお願いしても良いだろうか?どう分けたら良いかがピンと来ないんだ。
ギリギリの飛び入り参加でごめんさぁ!シーフのフリュー、よろしくお願いします! そうやね、なかなか厳しい状況さぁ。 罠、落とし穴とかかな? 仕掛けておくのと、私兵団が『弓狗』>『剣狗』の優先 授恵者が『影狗』優先対応っていうのも良いと思うさぁ。 でも真ん中の足止めは先にというかしておかなきゃと思うから、セリオスさんの案をもとに。 私兵団は上下のコボルト殲滅を速やかに。 授恵者は真ん中の影狗を速やかに殲滅し、上下の加勢に。と、うちは考えて。 〇提案 ・私兵団の動きと割り振り 私兵団の割り振りは真ん中厚めにして上下部隊はコボルト殲滅後、挟み撃ちの形で真ん中部隊に合流。 対A2:10名(コボルト殲滅後、C列経路で真ん中部隊に合流) 対A8:10名(コボルト殲滅後、C列経路で真ん中部隊に合流) 対A5,D5:20名(D5コボルト対応後、そのままA5コボルト対応へ移行) ※移行時に私兵団が影狗(D5)に狙われぬよう、これを授恵者が速やかに撃破してから移行 ・授恵者の割り振り 対A2:1~2人 対A8:1~2人 対A5,D5:アルヒ+2~4人 A2とA8対応が一人の場合、影狗がどんくらい強いか分からんから。 撃破出来るならして、難しいなら真ん中対応の授恵者が加勢にくるまで時間稼ぎ。 って、考えたんやけど。 ややこしいかな?
<弓優先 いいと思う、私兵が狙われると面倒だしな。 まあ罠とかは作ってる時間が厳しそうではありそうだが 割り振りもまあ問題ないと思う。 しいて言えば真ん中は特異個体を倒したら一人ずつ上下に応援でもいいと思う。残った一人とアルヒと私兵団で普通のコボルトならどうにかできそうだしな とりあえず俺は中央を希望しておく。 遠距離から早めに火力をぶち込んで倒せるなら倒したいところだ。 あと相手が隠蔽使うようだからホークアイと看破で早めに見破れるようにするつもりだ
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 作戦は了解したぜ! んじゃ、俺も中央を希望しとくぜ! 速攻で特攻んで影狗を斃してから状況見て別部隊の加勢に回るつもりでいんぜ!
特異個体(影狗)をうちらで倒す、が、重要だと思うので。 倒せたあとはバランス見て他へ加勢って事で!うん、うちもえぇかなと思うさぁ 念の為の私兵団へのフォローは、状況見て、かな? 真ん中は特異個体2体おるからよろしく頼むさぁ! うちは下の方に行こうかな! とりあえず、配置希望まとめておくね。 〇希望 ・対A5&D5(中央):アルヒ(NPC)、セリオス、ハヤト ・対A2(上): ・対A8(下):フリュー
んじゃ、俺は上に回ろう 状況見て、中央へと切り込みも考えておこう 〇希望 ・対A5&D5(中央):アルヒ(NPC)、セリオス、ハヤト ・対A2(上):ケン ・対A8(下):フリュー
フリューさん兵位置をありがとう! >私兵団は上下のコボルト殲滅を速やかに。 >授恵者は真ん中の影狗を速やかに殲滅し、上下の加勢に。 了解しました!オレは中央に行って、殲滅を急ぐよ。 そうすれば上下への移動も手分けでスムーズだろうからね。 兵の割り振りと動きをプレに書くのもお願いしたいが良いだろうか? 〇希望 ・対A5&D5(中央):アルヒ(NPC)、セリオス、ハヤト、ロイ ・対A2(上):ケン ・対A8(下):フリュー 罠は、木に隠れて敵が通った瞬間にロープを張るとかの単純なので良い思ってるよ。 オレの方で書いておきます。
兵の割り振りとかはうん、うちの方でプレに書くよ その前に兵の動きの方でもう少し相談したいんやけどええかな? 初期位置と+a動きなんやけど。 〇初期位置 私兵団は装備が射程20の弓だから、これは敵もだけど。 敵との距離が離れる分命中率は下がるけど、私兵団は近距離戦が苦手だから、出来るなら距離は確保しておきたいかなと思った。 1マス10m×10mってことは2sq分って事……なはず。射程は十分足りる。 ので、私兵団の初期位置はそれぞれ。 ・対A5&D5(中央):H5またはI5 距離確保の為 ・対A2(上):E2 敵との距離は近いが、森の中だけど移動には不向きであって、向こうからの攻撃に対してなら見通しが悪い分敵の命中率を下げられるのでは?と思った。 ・対A8(下):G8またはH8 剣狗の移動時間を稼ぎつつ十分に射撃攻撃が出来るように。 ☆うちらの初期位置に関しては私兵団と一緒じゃなくてもいいと思ってる。 森の中に隠れてて、私兵団が交戦(弓攻撃)を始めてから横から奇襲をかけてもいいし、私兵団よりも前に位置してて射撃支援をもらいながら戦うことも出来るのかなって。 〇+aに関して 全員弓だけじゃなくて、敵の射撃攻撃を防ぐ盾持ちも可能なら欲しいと思った。 だから半分とはいかなくても、3~4人は盾持ってもらって敵射撃攻撃から味方(私兵団の事)を守ってもらいたいなと思ったんだけど、これは指示すればしてくれるのかな? 可能ならの案って事で。 どうかな? 自分では気づいてない事多くあると思うので、気づいたことあったら言うてほしいさぁ。
はっ!!罠のほうはお願いします!!
ざっとタグと指示をまとめてみたさぁ。 初期位置は仮決め。狼煙に関しては今パッと浮かんでしまったので、やめた方がいい場合やもっと良い手あったら言って欲しいさぁ! ============ 【方針】 敵殲滅と全員生還 上下中央の3部隊編成 敵軍早期殲滅し他部隊へ加勢 私兵団は弓狗>剣狗の順で優先撃破、影狗は冒険者に任せ速やかに加勢へ移行 〇私兵団&アルヒ 【方針】準拠 上下部隊3~4名、中央部隊6~8名は盾持ち前衛にて防御集中 弓兵は攻撃集中にて敵の早期殲滅に努める アルヒは中央部隊、私兵団と共に行動し負傷者の治癒専念。加勢移行時は冒険者が少ない方へ ☆連絡方法として狼煙を上げる。加勢移行は1本、負傷者多数にて撤退は2本 ・初期位置&指示 上部隊⇒E2:10名。加勢時はC列経路で挟撃狙い 中央部隊⇒H5:20名。D5殲滅後、A5殲滅へ移行。加勢時C列経路で上下へ分隊、挟撃狙い 下部隊⇒G8:10名。加勢時はF列経路
纏めありがとう! これに意見を言える程なら、初めの段階で策を提示出来てたからね! 合図とアルヒさんの動き考えてくれてるので オレからは罠に数名お借りしたいって点だけです。 ……ただ、基本は各列の頭を受刑者が抑える様に分散してるから、森抜け阻止の罠は不要だよね? その場合はA列側からコボルトが逃げないように罠を支度するのに3名と この3名には見張り役も兼ねて貰って逃亡時に合図(笛?)を鳴らして貰いたいと思うがどうだろう? 見張らるだけならペットにさせる事も出来るので…人手不足だし却下でも良いからね。
っと「頭を抑える様に分散」は私兵と一緒に動いた場合ね。 横から奇襲であっても各列に分散してるから、、森抜け阻止の罠は不要と思ったのと。 オレは弓なので私兵と一緒にH5から攻撃を仕掛けつつ、接近しようと思う。
事前準備って形で私兵団数名と罠作成するってプレに書いてもらえれば良いと思う! 森抜け防止用の罠、例えば鳴子とか。あれば敵の横からの奇襲に備える事は出来ると思うから、時間の許す限りで設置するのはありだと思う。 ただ人手不足が否めないので見張り専念に人手をさくのはやめた方がいいのかなと思うさぁ。 でもコボルトが戦闘中に横にそれていき、他部隊の方へ行くようであれば笛を吹いて合図とし、周囲警戒させるのは良いのかなと思う。ただ、ちょいプレに書ききれるかわからない。 お願い出来るならロイさんに事前準備として 罠作成・緊急時の警戒連絡として音の高さが違う笛、または鳴らす回数(上部隊からの警告なら1回、中央からなら2回、下部隊からなら3回)決めておく。 みたいな感じで書いてもらえるととても助かるさぁ。
了解、字数と時間と戦って組み込めるだけ組んでみる!
こう入れたよー 事前準備 兵達と協力し森抜け防止用に鳴子と草を縛り転倒させる罠を設置 緊急警戒連絡とし隊の配置ごとに音色の違う笛の準備し 鳴らす回数に意味を持たせ周知 警告なら1回、中央からなら2回とか、具体的な部分は入らなかった
ありがとうさあ!!みんなよろしくねー!