デカいカニ、食べ放題!
ゆうきつかさ
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シナリオID:1058
オープニング
それは海からやってきた。
まるで小島のような大きさ(約5メートル)のあるソレは、カニの魔獣であった。
その背中は緑色の苔で覆われており、ヤシの木の如く伸びた目がギョロギョロとしていた。
だが、リザードマン達は恐怖よりも、食欲の方が勝っていた。
それも、そのはず。
カニの魔獣から漂うのは、香ばしいニオイ。
その誘惑に勝てるリザードマンが存在していなかったのだから……。
それどころか、『あ、これ絶対に美味しいヤツ』と言う気持ちの方が勝って、瞳はランラン、涎はダラダラ。
しかし、現実は残酷。
カニの魔獣を食べるため、ワァァァァァと群がったリザードマン達は、返り討ちにあって、御飯になった。
そんなリザードマン達の最後を見た白い鳥が、大きく翼を広げて飛び立った。
それが預言者オペラの見た夢だった。
いまのところ、それは現実ではない。
あくまで未来の話……。
だが、このまま何もしなければ、確実に起こり得る出来事であった。
カニの魔獣は朝日と共に、海からやってくる。
リザードマン達が気づくとしたら、それから数時間後。
カニの魔獣から漂うニオイに誘われ、導かれるようにして姿を現すだろうという事だった。
そうなってしまうと、リザードマン達を説得したり、避難させたりしなければならなくなるため、その前にカニの魔獣を倒して欲しいという事だった。
カニの魔獣は背中が緑色の苔で覆われているものの、ハサミや脚はトゲトゲとしており、刃物の如く鋭いようである。
また身体も非常に硬いため、注意をしておく必要があるようだ。
そう言った事も踏まえた上で、カニの魔獣を倒す事が今回の目的である。
解説
マスターより
リプレイ
「……海です! 大森林にはなかったので、ワクワクですよ」
エヴァン・ピオネロはノリノリな様子で、仲間達と共にディズル大湿地帯にある海にやってきた。
降り注ぐ太陽の光が心地よく、海から漂う潮の香りで、気持ちが晴れ晴れとした。
しかも、今は貸し切り状態。
予言者オペラの言葉に間違いがなければ、数時間後リザードマン達がやってくる事になっているが、それまでにカニの魔獣を倒してしまえば問題ない。
人数的に不安がないと言ったら嘘になるが、ヤル気も食欲も最高潮に達していた。
「……とは言え、今回の依頼は、あまり悲壮感がないっていうか、何と言うか……。いや、結果としてはアレなんだけど、食欲に負けたって……。オペラさんがどんな表情で依頼してきたのか気になるよ」
それとは対照的に、アルマ・ヴァレンタインが複雑な気持ちになりつつ、乾いた笑いを響かせた。
あくまでオペラが予言した事なので、まだ現実にはなっていない。
それでも、命を落とす理由が、あまりにもアレ過ぎるため、ここで笑うべきなのか、それともションボリすべきなのか、分からなくなってしまったようである。
「とりあえず、他が寄ってくる前に、さっさと下拵え(≒討伐)しねぇとな」
そんな中、ゴブロウタが警戒した様子で、ゆっくりと辺りを見回した。
辺りに漂う潮のニオイ。
そのニオイに入り混じって漂ってきたのは、血のニオイであった。
おそらく、海の中に潜む『何か』が、この辺りの魚でも食べたのだろう。
それがカニの魔獣なのか、別の『何か』なのか分からないが、少しずつこちらに近づいているようだった。
「とにかく、カニです。絶対に仕留めて、皆でカニパーティーにしましょうね。焼きガニ、カニ鍋、茹でカニ、カニフライ、カニクリームコロッケ等その他もろもろ……ん?」
その途端、ホークアイで索敵をしていたレラ・シュマリが、海の異変に気付いて仲間達に合図を送った。
「ピギャアアアアアアアアアアアアア!」
それと同時にカニの魔獣が耳障りな鳴き声を響かせながら、海の中から顔を出し、自らの力を示すようにして、高々とハサミを上げた。
だが、授恵者達の気持ちは、カニが望むモノとは明らかに違っていた。
(何、これ……美味しそう!)
それは脅威ではなく、御馳走だった。
文字通り、食べ放題。
この時点で戦う事よりも、食べる事の方が、優先されていた。
「……!」
そんな空気を察したのか、カニの魔獣が後ろに下がった。
……何か違う。
そう言わんばかりに、動揺している様子であった。
それだけ、その場にいた授恵者達の食欲が、カニの魔獣の迫力に勝っていたのだろう。
あからさまにカニの魔獣が警戒しており、近づく事さえ躊躇っている様子であった。
「リザードマンさん達が来るまで数時間はあるっていうし……。サクサクと片づけておかないとね」
その不安を現実のモノにするようにして、アルマが物凄くイイ笑顔を浮かべた。
この時点で、頭の中に浮かぶのは、沢山のカニ料理。
おそらく、そのすべてを料理したとしても、余ってしまう程の量。
故に、涎が止まらない。
「ピギャース!」
その事に危機感を覚えたカニの魔獣が、巨大なハサミを振り下ろした。
ここでやらねば、間違いなく、やられる。
そう本能が訴えかけているのか、休む間もなくハサミが振り下ろされた。
「そんな攻撃が効くと思っているんですか?」
即座に、エヴァンがアイアンウォールを発動させ、カニの魔獣の攻撃を防いだ。
既に、エヴァンも涎が止まらない。
頭の中から溢れ出しそうな勢いで、沢山のカニ料理が浮かんでいるため、食べる事しか頭に無かった。
「……!」
だが、カニの魔獣も、素直に食べられる気はない。
例え、その身に美味しさがギッシリ詰まっていたとしても、素直に食べられる気など、カケラもなかった。
むしろ、全力抵抗。
ありったけの力を込めて、猛攻撃!
(ああ、カニの魔獣が暴れるたび、美味しそうなニオイが辺りに漂ってきますね……。こ、これは違う意味で強敵ですね。リザードマン達が、命懸けで食べようとするのも、納得です……)
その間に、レラが大きな岩の後ろに隠れ、自らの食欲と激戦を繰り広げた。
ただでさえハラペコ状態に陥っているため、ここで気を抜いてしまうと、理性が屈してしまう可能性があった。
そうなってしまうと食欲に支配されたまま、カニの魔獣に特攻を仕掛けてもおかしくないような状況であった。
「カニトケンカ -FIGHT CRAB -かいまくだよー♪」
それと同時に、アルマが魔錆3を発動させ、カニの魔獣の身体を柔らかくした。
そのため、ハサミも脚もフニャつき、カニの魔獣が崩れ落ちた。
「……!」
それはカニの魔獣にとって、まったく予想もしていない事だった。
唯一の武器であるハサミを無力化された事で、絶体絶命の大ピンチ。
しかも、自慢の甲羅も、何やら柔い。
「ひょっとして、ビビッているのか?」
そこに追い打ちをかけるようにして、ゴブロウタが破鎧砕2を仕掛け、カニの魔獣の肉体を蝕んだ。
「……!」
続けざまに攻撃を食らった事で、カニの魔獣は後悔していた。
完全に戦う相手を間違えた、と……。
一体、何処で選択を間違ったのか。
それとも、これが運命だったのか。
まったく答えが出ぬまま、頭の中で負の感情が、グルグルと回っているようだった。
「……!」
しかし、カニの魔獣は、挫けなかった。
ほんの少し前まで、心がポッキリと折れていたものの、このまま何もしなければ、脚をポッキリ折られて、御馳走様である。
故に、覚悟を決めていた。
食べられる覚悟ではなく、戦う覚悟を……!
(……塩・レモン・タレ……!)
次の瞬間、エヴァンが頭の中でカニ祭りを開催しつつ、メテオライト2で大量の小さな光弾を放って、カニの魔獣の脚をへし折った。
それはカニの魔獣が思い描いていた最悪の結末を、現実のモノにするほどの破壊力を秘めていた。
「カニの旨味ギッシリって感じだな」
ゴブロウタもカ二の魔獣の全身から漂う濃厚なニオイで、頭をクラクラさせながら、メテオライト2を発動させた。
その途端、辺りに濃厚なカニのニオイが広がり、それだけで幸せな気持ちになった。
「これは全身で『早く食べて!』と言っているようなモノ……! カニみその部分も、食べられそうですかね? それなら新鮮なうちに……」
レラもワクワクとドキドキが止まらない様子で攪乱射撃を仕掛け、カニの魔獣を牽制した。
それでも、カニの魔獣は抵抗する事を止めなかったが……、レラには分かる。
今が食べ頃である事を……。
これを逃してしまうと、味が落ちていく一方である事を……!
その事を訴えるようにして、カニの魔獣の全身から、濃厚なニオイが解き放たれ、周囲をカニ色に染めていた。
「これ以上、戦いを長引かせるのは、ぼく達にとっても危険ですね。それでは最後の仕上げと行きましょうか」
それと同時に、エヴァンが爆炎2を繰り出し、カニの魔獣を容赦なく炎に包んだ。
こうなると、カニの魔獣も抵抗する事が出来なくなり、物言わぬカニ料理の器と化した。
「な、なんだ、これは……カニ……なのか!」
そんな中、リザードマン達が、風に乗って流れてきたカニのニオイに導かれ、エヴァン達の前に現れた。
リザードマン達は美味しく仕上がったカニの魔獣を見上げ、しばらく言葉を失っていた。
「既に調理済みですから、みんなで一緒に食べませんか?」
エヴァンが物凄くイイ笑顔を浮かべながら、カニの魔獣の身を解して、リザードマン達に配っていった。
「い、いいのか、これ」
それを受け取ったリザードマン達が、信じられない様子で目を丸くした。
「これだけ大きなカニですから、リザードマンさん達の分も十分ありますよ。皆で分けて美味しく食べましょう」
レラがカニの魔獣を解体しながら、リザードマン達に答えを返した。
「んじゃ、遠慮なく……」
リザードマンがゴクンと唾を飲み込んだ後、恐る恐る口まで運んでいった。
「美味ぇ! 美味すぎるッ!」
その途端、リザードマンが瞳をランランと輝かせ、一心不乱にカニの魔獣の肉を頬張った。
噛めば噛むほど、口の中に旨味が広がり、みんなゴキゲンな気持ちになった。
「手が空いたら、甲羅剥がしを手伝ってくれ。意外と、これが厄介でな。手伝ってもらえりゃ、そのぶん楽になるからな」
一方、ゴブロウタはカニの魔獣の背中に上り、せっせと甲羅剥がしをしていた。
「おっ、任せろ!」
すぐさま、顔に傷のあるリザードマンが、カニの魔獣の背中に駆け上がり、ゴブロウタの手伝いをし始めた。
「あ、そっちの固くなってきちゃうから、早めに食べちゃってー」
そんな中、アルマは鍋奉行ならぬカニ奉行となって、あれこれと指示を出しながら、余りそうな部位をバックパックにしまい込んだ。
「どれもプリプリしていて美味しいですー!」
その横でエヴァンがカニの魔獣の爪先まで身を解し、リザードマン秘伝のタレをつけて頬張った。
そのタレはカニと相性が良く、思わず唸ってしまう程だった。
そのため、食べる事を止められなくなってしまい、次第に口数も減っていった。
「確かに、泥臭さや、磯臭さも気にならないな。ひょっとして、これタレをつけたからか」
その間に、ゴブロウタが甲羅剥がしを終え、リザードマンから貰ったタレをつけて、カニの魔獣を食べ始めた。
タレ独特の酸味はあるものの、凝縮されていたカニの魔獣の旨味が、口の中で広がっていくため、病みつきになる味わいであった。
「カニさんの身を齧りつくのもいいけど、それだけだと飽きちゃうから、カニ鍋や酒蒸しとかも、どうですか?」
アルマがゴキゲンな様子で、料理の準備をし始めた。
そうしているうちに、カニの魔獣のニオイを嗅ぎつけたリザードマン達が、あちこちからワラワラとやってきた。
「皆で分けて美味しく食べましょう。ただし、美味しい物を、お残ししたら駄目ですよ」
そう言ってレラがまわりに集まってきたリザードマン達を、躊躇う事なく招き入れた。
そして、アルマ達はカニを食べたり、砂浜を走ったりして、リザードマン達と楽しい時を過ごすのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人
2021年06月26日 08時05分21秒 公開
相談掲示板
キャスターの…エヴァン・ピオネロです。 カニを食べに来ました…食べる事しか考えてません。よろしくお願いします。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー。 今回ばかりは白い鳥さんも呆れて飛んで行った気がするー…? おいしそーなカニさん…避難させるのは難しいし急いで倒しちゃわないとね あと一名さま(以上)きますよーに
シューターのレラ・シュマリと申します。 よろしくお願いします。 カニいいですね。 美味しいですね。
確定ですねーー食べれますね!(大切な事) 皆で美味しく頂きましょう! 席はまだ空いてますから食べたい方は遠慮せずですよー。
ちょっとこうごちそうを食いたくなったので... よろしくお願いいたします。 >方針 とりあえず速攻なぐる。 もしくはリザードマンが集まりそうになってきたら「下ごしらえ(討伐)が終わってから」という誘導を用意しておけばいいでしょうか?
食べたいですよねー、おなか一杯食べましょう。 >「下ごしらえ(討伐)が終わってから」 是非にお願いします。 ぼくはリザードマンさん達にお仕事をお願いするのと、先に食べてて貰えば静かかな…って えと…今、書きかけのプレを貼りますね。 ――― 塩・レモン・焚火…準備完了です! リザードマンさん達は火の番をお願いしますね! 【超魔法】で底上げ【メテオライト】で足の1か所に集中攻撃でもぎ取ります 「1本上がりましたー料理お願いします!食べてて良いですよーお替りも直ぐです!」 カニとリザードマンが接触しそうなら【アイアンウォール】で仕切って止めます カニが逃げたら魔糸で絡めて止めますね ――― 倒したらぼくも沢山食べてそのまま海で遊んで帰りますね。 夏ですし、生まれ育った大森林には海が無かったので我慢は出来そうに無いのです。
OPを読み直したら 蟹魔獣が現れて、リザードマンさんが来るまで数時間の猶予があるのですね。 まずは蟹の発見に力を入れて、もし倒し中にリザードマンさんが集まったら、火の番をお願いしようと思います。 1本切り落としておけば、先に食べて待ってて貰う事も可能ですよね。
出発人数になったね、よかったー 数時間もあるなら下ごしらえも十分間に合いそうな感じ 解体しやすくなるよう魔錆をもってくようにするね あとはボクもお鍋持参とー…蒸留酒で酒蒸しにしちゃおうかなと