ダンジョン謎かけへの挑戦者求む(食事つき)
岩岡志摩
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シナリオID:956
オープニング
エドゥーノーグ迷宮の中に、ある特殊な枝場がある。
ダンジョンにはつきもののモンスターが、そこには現れない。
あるのは『謎かけ』と、間違えたら強制的に入り口に戻されるワープのような仕掛け。
どうやらここではモンスターを倒す力よりも、謎を解く知恵が必要らしい。
●最初の謎かけ
そしてその謎かけだが、該当する枝場の入り口に全て書かれている。
そう、謎かけは1つではなく2つある。
この枝場は全部で2つの部屋で構成されており、次の部屋もしくはゴールに到達するまで、それぞれの謎かけと仕掛けが待ち構えている。
実際には過去挑戦したとある商人が最初のところから間違えて、強制的に入り口に戻されているので、奥までは確かめようがないが、恐らくは同じようにその部屋の入口へとワープさせられると思われる。
最初に入ることのできる部屋には、四方の壁に同じ大きさのタイルが敷き詰められているが、東西南北それぞれで色が違う。
東側は青。西側は白。南側は赤。北側は黒色のタイルが並んでいる。
そしてこのタイルを謎かけの答えになる数だけ押し込み、最後に部屋の中央にある台座の上にある突起を押し込めば、次の部屋への扉が解放されると、入り口に書かれた文章には記されている。
その謎かけは以下の通り。
東西南北にそれぞれ赤と青、白と黒色の屋敷があります。
屋敷の主はそれぞれダニエル、マイケル、スミス、ジョセフという名です。
彼らが住んでいる屋敷とその色の手掛かりは、以下の通りです。
・ダニエルの屋敷の反対方向は、西でも東でもない。
・マイケルは東以外のどれかの屋敷に住む。
・黒色の屋敷に住むのはスミスで、西の反対側。
・白色の屋敷は、北と南のどちらでもない。
・マイケルの屋敷は、青でも赤でもない。
・北にある屋敷は、赤か白のどちらか。
・ジョセフの屋敷は、赤ではない。
・ここに書かれている屋敷の色の方角と、タイルの色の方角は必ずしも一致するとは限らない。
次にそれぞれの方角に並んだタイルを押し込む数を当てるための謎かけだが、入り口にはこう書かれている。
ジョセフを歓待する宴会を開くべく、ダニエル、マイケル、スミスは吟遊詩人を集めた。
集めた吟遊詩人の数だが、合わせて9人。
ジョセフは誰が何人の吟遊詩人を集めたかを尋ねたところ、3人は以下のように答えた。
ダニエルは言った。
「私はマイケルより2倍以上の吟遊詩人を集めました」
マイケルは言った。
「私はスミスの3倍以上の吟遊詩人を集めました」
スミスは言った。
「マイケルはダニエルより多くの吟遊詩人を集めていましたよ」
この中で集めた吟遊詩人の数が1人だけだった者は嘘をつき、2名は事実を言った。
それぞれの屋敷の主が集めた吟遊詩人の数が、押し込むタイルの数だ。
なおジョセフは招かれる側なので、ジョセフを表す色のタイルを押し込む必要はなく、0である。
これらが成立する数が、それぞれの方角にある色のタイルを押し込む数となるが、間違えた数を押して台座の突起を押すと、入り口へとワープする罠が動き、押されたタイルや台座の突起も元通りになってやり直しとなる。
正しい数のタイルを押したのち、中央にある台座の突起を押せば、上に繋がる階段が現れる仕掛けになっていると、入り口には記載があった。
●最後の謎かけ
そして階段を登った先には、それ自体が謎かけとなる部屋が待ち構えていると書かれていた。
記述によれば、そこは様々な文字が書かれた正方形の部屋で、謎かけの内容は以下の通り。
謎かけの空間は以下の8×8マスで構成され、「☆」から出発。そして複数のヒントがある。
ABCDEFGH
1ブカ僧ダ姫僧ペ城
2王兵スピアノ騎ナ
3フジマキバ兵セ騎
4ジダツノリピエタ
5タ城チル騎ダドム
6僧ナガノヒラオ兵
7タガメゲンゴロ騎
8兵ラルヒ☆兵王ン
ヒント1:兵はポーン。騎はナイト。僧はビショップ。城はルーク。王はキングの駒を示す。
ヒント2:姫のもとまでどの駒にも見つからずにたどり着けた時の軌跡が出口を示す。
ヒント3:この空間では下記のうち王の駒と同じ動きでマス目を移動できる。(進は各駒が移動できるマス)
口口口口口 口口口 口進口進口 進口口口進 口口進口口
口進進進口 進進進 進口口口進 口進口進口 口口進口口
口進王進口 口兵口 口口騎口口 口口僧口口 進進城進進
口進進進口 口口口 進口口口進 口進口進口 口口進口口
口口口口口 口進口進口 進口口口進 口口進口口
なお入り口から、姫を示すマスに至るまでの間に間違ったマスを踏んだ場合、なぜか巨大な金ダライがその人の頭上より落ちてくるようだ。
金ダライは当たっても痛くないが、そのインパクトに驚いている間に強制的にその部屋の入り口まで戻され、やり直しとなる。
●依頼
以上が、この枝場における謎かけとなる。
ここまでの部分は、最初の入り口にあたるところに全て記載されているので、挑む前に内容を書き写して答えを考えることもできる。
「これまで挑んだ方は最初のところで脱落しています。どうか冒険者の皆様のお知恵をお借りいたしたく」
依頼人である商人は、冒険者ギルド職員に謎解きとあるものの調達を依頼を出してきた。
ちなみにこの人物が、冒頭でこの枝場に挑戦した商人にあたる。
なんでもこの枝場の謎を解いた先には、この商人が求める素材が山と積まれた空間が存在するらしい。
その素材が回収するために、知り合いと一緒になって謎解きに挑戦したが、今のところ最初の部屋で謎解きに失敗している。
ただ、失敗して入り口に強制ワープさせられる際に、なぜか手には「残念賞」とばかり、飴玉が握られていたという。
この結果、飴玉は得られたが肝心の素材は回収できていない。
そういう経緯のもと、今回商人は冒険者の助けを借りることにしたようだ。
今回の素材を回収するための道具や箱といった、回収に必要なものは全て商人が用意してくれる。
なお商人はここで、追加の報酬を冒険者側に提示する。
それは、謎を解き素材を回収してくれれば、最近入手したという上質の牛肉料理を好きなだけ振る舞うというものだった。
その牛肉は食べるために手間暇をかけており、サシが入って大変美味とのこと。
商人は雇った料理人を介して肉を炭火焼きにしてステーキや焼き肉などに調理し、素材を持ち帰った皆様に振る舞う予定だという。
もちろんその場で食べきれないものは、皆様の手で持ち帰ることも可能だという話だ。
この依頼では、モンスターを倒す力は特に必要ではない。
謎かけを解く知恵と、上質な牛肉を平らげる胃袋が必要になるだろう。
ということで、謎かけに挑戦する冒険者を求む。
解説
マスターより
リプレイ
エドゥノーグ迷宮内にある枝場に、素材回収の依頼を受けた冒険者達が到着した。
「謎かけが要求されるダンジョンというのも面白いものですね」
フリーダ=ブロムヴィストは、今回の謎解きを楽しんでいる。
「啓示では『グリッ=チアリのチャ=トなら壁抜けで無視できます』とありますが、人間に壁を抜ける事はできないでしょうし、今回は正攻法で解く必要がありますね」
エドゥノーグ迷宮内の枝場の仕組みはいまだに不明な点が多く、謎解きのヒントは複数存在する。
「初仕事だ。張り切って臨むとしよう。困っている人を助けるのは当然のことだ。謎解きが殊更得意なわけではないが全力で頑張るぞ!」
今回初任務となるアルバス・ロウルは、やる気を全身にみなぎらせ、最初の謎へと挑む。
この部屋での仕掛けは、謎を解き四方にあるタイルを正解の数だけ押すこと。
「しかし失敗してももらえる物があるのか……危険がないか確かめる為にも一度は失敗しておこう!」
不正解の場合、特にデメリットはないのでアルバスは失敗を恐れない。
「タイルを押したら台座の上にある突起を思いっきり押し込む! 自信はないが勢いは大事だ!」
そしてアルバスは心中に正解と思った数とは異なる枚数をあえて押しこみ、部屋中央にある台座の突起を押す。
その途端アルバスの姿が消え、気が付くとアルバスは飴を入手した状態で入口に立っていた。
「実は今までダンジョンに潜ったことってないのだけど、謎解きならわたしでも協力できる……はずよ。頭脳労働なら任せてちょうだい」
アルバスと同じく、今回初任務となるスズリ・D・ニザヴェリールも、既にこの部屋での正解にはたどり着いている。
スズリは事前にギルド職員アルヒ・ラスカスより、誰か一人でも正解に辿り着けばその場の全員が正解したとみなされるという説明を受けていた。
このためスズリは正解の数を押すのは仲間達に任せ、自身はこの枝場の仕掛けを調べ始めている。
「食事も楽しみだけど、こんな謎解きを仕掛けてくるダンジョン自体が興味深いわ」
――もし他にも似たような興味を持っている参加者がいたら道連れ……もとい、一緒に調べてみるのもアリね。
仲間達の許可を得た上で、スズリは部屋のあちこちを調べて回る。
「宴席の報酬付きとはね。ずいぶんと気前がいいじゃないか」
エリザ・A・ミシャールは、依頼の説明で提示された追加報酬である『肉』につられ、今回の依頼に参加している。
「上質な牛肉料理、どんなものが出てくるのだろうね」
――豪商といってもいい商人なら、きっといいものを食べているに違いない。
既にエリザの頭の中では、まだ実物を見ていない牛肉が美味しく出来上がっている。
この部屋の攻略については、エリザも自分なりの『答え』を周囲の仲間達に話している。
「おいしい、おいしい、おっにっくぅー♪ 皆と協力して謎を解くよ。お肉のために頑張るんだよ!」
そしてルルト・アーキスも、エリザと同様に追加報酬の『肉』がとても気になるようだ。
軽快な手つきと動きでパネルを押し、台座の突起を押したルルトの姿が消え、次の瞬間入口へと転移した。
「うわぁ、ほんとにアメもらえたよ!」
飴が手の中にあることをルルトは喜び、口の中へ放り込む。
「ふふふー、おいしいんだよ♪ アメのおかわり……はっ、後でお肉があるからここは我慢!」
ある程度飴を入手したルルトは、待っている肉のことを思い出すとそれ以上不正解を試すことを止め、友人であるロイ・アウレアのもとに向かう。
そのロイは、紙と筆記用具を使って謎かけとヒントを記録していた。
(肉を持ち帰り、コミュでパーティだ!)
ロイもまた、頭の中の天秤が食欲へと傾きつつあるが、眼前の謎には真面目に臨んでいる。
「こうやって書けば判り易いよね」
ロイの指摘に紙を覗き込んでいたルルトも頷く。
「ダニエルの屋敷の反対は西でも東でもない……北か南だね。黒色の屋敷に住むのはスミスで西の反対……東の黒いのがスミスの家だね!」
ロイの書きだしたヒントをルルトが追っていき、他の仲間達との答え合わせの結果、同じ答えに至る。
東はスミスで黒。西はマイケルで白。南はジョセフで青。北はダニエルで赤。
確かにヒントの方角と部屋にあるタイルの色の方角は一部違っている。
「続いて全員正直と仮定。順に詩人を分け……アレ訳が判らなくなった」
悩みながらもロイは勘でパネルと押していく。
「オレが実験台になるっ。皆は違うのを押してくれ!」
そう叫んで台座の突起が押したロイは、入り口に転送される。
「んーっと……マイケルが嘘だとスミスも嘘になるね。スミスが嘘だと詩人が9人を超えちゃうから……嘘つきはダニエルだ」
「嘘つきはダニエルで確定と見ていいでしょう。よってダニエル1、スミス2、マイケル6、ジョセフ0で大丈夫でしょう」
ルルトとフリーダが正解を口にすると、調査を切り上げたスズリや、入口から戻ってきたロイやアルバスと共に、それぞれパネルを押していく。
「赤を1回、白を6回、黒を2回押す。押す順序は関係がないのだろうか?」
最後にエルザが台座の突起を押したところで、上に続く階段が出現した。
●謎二つ目
最初の謎に正解し、出現した階段を冒険者達があがった先には、床に様々な文字がマス目状に並ぶ空間が広がっていた。
ここでの謎は、『姫』と書かれたマスまでたどり着くこと。
「啓示によると『だから●●●●コインを売りに戻る必要があったのですね』……ですか? ●●●●コインってなんでしょう……?」
謎の啓示を受け取った(らしい)フリーダは首をひねる中、ロイとルルトが動き出す。
「要は『兵』や『騎』の移動可マスを塗り潰し、空きマスを進めば……あれ? 『城』の列が全部潰れる……どうやって超える……?」
ロイはヒントがチェスの駒の動きだと気づいたものの、しばし悩む。
「えぇぃっ、間違えたら再挑戦すれば良し!」
開き直ったロイは第一歩を踏み出す。
前方のマスへ。
直後、何の前触れもなく現れた金ダライがロイの頭に命中し、派手な衝突音が響く。
金ダライを浴びたロイが頭上へと一瞬気を取られた間に、その体は入口へ転移する。
ルルトも前進していたが、降ってきた金ダライを後ろに跳んで躱したところで、入口に転移していた。
「飴といいタライといい……ダンジョンは不思議がいっぱいなんだよ!」
ルルトは一連の仕掛けを目の当たりにして、興奮を隠さない。
なおもロイは様々なマスへと踏み入れるが、いくつかのマスで金ダライがロイの頭にぶち当たり、その都度ロイを入口へと押し戻す。
「体力はともかく、心が疲れて来た……チェスは好きだったのに」
いつしかロイは床にへたり込む。
痛くもないし意識も失わないが、徒労感が募っている。
「……1回くらいは金ダライの仕掛けを体験するのもアリよね?」
金ダライから熱烈なアプローチを受けるロイの現状を目の当たりにして、スズリの脳裏にふとそんな考えが浮かぶ。
ただロイの行動は無駄ではなく、ルルトはあることに気づく。
「んー……駒が行ける所は通っちゃダメってこと?」
ロイが踏み出して金ダライが落ちてこなかった場所には、共通点があった。
「そのようですね。まず、それぞれの駒が目を光らせているマスを全て特定しましょう」
スズリもルルトと同じことに気づいたのか、ロイのもとへ向かい、ロイの紙に書かれた部屋の図で確認する。
「そうなると、これがこうなって――」
ルルトはロイの紙にある駒が移動可能な所を塗り潰していき、同様の見解に至ったスズリも該当するマスを指摘する。
「通行できないマスを塗りつぶしていけば容易ですね。文章にして順を表すと、『ヒメノヒダリノマスダ』といった形でしょうか」
「軌跡は『ヒメノヒダリノマスダ』となる。つまり回答はD1の『ダ』が出口になるね」
「『姫』の左のマスに出口が隠されているということね」
ルルトの作業を見ながら、フリーダとエリザ、スズリが同じ答えに至る中、ロイは大事なことに気づく。
「ルーク(城兵)は線上の別の駒を飛び越せなかった!」
ロイの脳裏にも、入口から姫に至るルートが浮かび上がった。
「軌跡の言葉は『ヒメノヒダリノマスダ』。迷いなく出口まで行こう」
答えが揃ったところで、アルバスが先頭をきってそのルートを進み、他の冒険者達も後に続く。
そして『ダ』のところへ踏み入れたところで、前方の壁が横にスライドして、奥に隠された部屋を露わにする。
そこには今回の依頼人が求めた『素材』が、山のように積まれていた。
「やった~肉!」
ロイは歓声をあげながら、ルルトからのハイタッチを受け止め、アルバスとエリザが率先して素材の回収を始める。
「素材は背負子に山盛りに回収しよう。鍛錬にもなるな!」
アルバスは宣言通り、借用した背負子に『素材』を積み上げていく。
「アタシは素材自体には特に興味がないぞ。もともとこの素材は依頼主に渡すものだ」
――その先に何か面白い商売や夢があるのであれば、商人が話すのを聞くのは嫌いじゃない。
既にエリザの意識は今後の『食事』へと向けられているが、アルバスと共に素材を回収する手つきは淀みない。
「頭を使って疲れたんだよ。アメ……ふぬぬ、我慢するんだよ」
ルルトは手に入れた飴に手を伸ばしかけるが、寸前で手を戻し、ロイやスズリと一緒になって素材を回収していく。
「何にせよこれでクリアです!」
素材の回収を終えたフリーダが、喜びの声をあげた。
●いざ実食
見事に謎を解き、素材を回収して戻ってきた冒険者達を前に、依頼人の喜びもひとしおだった。
依頼人が冒険者一人一人に感謝した後には、お礼として用意された牛肉が様々な料理となって、冒険者達を出迎える。
「どれもおいしそうなんだよ!」
ルルトは目をきらきらと輝かせ、目の前に並ぶ炭火焼き用の牛肉を焼いていく。
程よく火が通ったところで、ルルトは皿に盛りつけると、ナイフとフォークを進めて口に運ぶ。
ルルトがゆっくりと噛めば、予想以上の柔らかさで、甘い肉汁と肉自体が口内にほどけていく。
「こっちはタマさんの分だよ」
焼いた肉を切り分けたルルトは、傍らにいる猫のタマさん用に並べた皿の上に乗せると、タマさんは白い足先をそろえて食していく。
どうやら気に入ったようだ。
「脳が苦労した後のご馳走は格別……しかも普段食べれない味……肉汁がじゅわぁ」
柔らかく、それでいて弾力もある牛肉は、ロイが噛む度にたっぷりと肉汁が出てきた。
肉の滋味に溶けだした脂がのって、ロイの口の中で美味の花が咲く。
「牛肉料理なんてなかなか食べる機会もないし、堪能したいところね」
スズリも牛肉のステーキに手を伸ばしながら、ソースを絡めて食していく。
ソースは赤ワインをベースとしており、キノコをみじん切りで加えてある。
スズリが噛みしめると、素直な肉の味がソースとよく合い、肉本来の美味しさを引き立てている。
「わたしはゆっくり味わいながら、他の皆さんと謎解きやダンジョンそのものに対する感想話に花を咲かせることにするわ」
肉の味を堪能しながら、スズリは他の冒険者や依頼人達とも話をしていく。
一方で、その近くにいるアルバスはものすごい勢いで牛肉料理を平らげている。
「うまい! これを好きなだけ食べていいとは豪勢なことだ」
アルバスが噛み砕く肉は、肉質がとてもきめ細かく、舌にしっとりと肉の味を教えてくる。
最初は肉そのものの味を覚え、次にアルバスはソースを絡めて食す。
チーズをベースとしたソースは濃厚な味を肉に纏わせ、アルバスの口の中で絡まったその味は非常に美味。
「これ程の価値がある素材で何ができるやら楽しみだな」
牛肉料理を味わいながら、アルバスはここまで『報酬』が出る素材の使い道に思案を向ける。
別のところでは、エリザが依頼人にある種類の酒が用意できないか尋ねていた。
「前に別の酒場で飲んだ赤い酒が美味かった。味の濃い、脂の乗った肉には強い酒が合うんだ」
――そうじゃないかね?
依頼人が確認したところ、同じというわけではないが、エリザの希望するものに近い酒があったので、それも提供される。
「こういう場での話のタネにも事欠かないだろう。つきあおう」
エリザがグラスを傾ければ、酒の持つ香りが鼻を抜け、意外に辛めの酒の味がエリザの舌を刺してくる。
酒が入るにつれ、エリザと話をする依頼人たちの口も滑らかになっていく。
「牛肉はこれ以外ですと、どんな調理が良いでしょう?」
それまで程よく焼けた牛肉を食していたフリーダは、まだ手を付けられていない牛肉にも目を向ける。
焼かれた肉にはしっかりと脂の旨味も合わさっており、添えられた香味野菜ともよく合い、美味をフリーダの舌に残す。
「普通にステーキ等の料理にしても良いでしょうが、あえてジャーキーにしてみるのも面白いかもしれません」
フリーダは持ち帰った後のことを念頭に、頭の中で様々な調理法を思案する。
「これほど上等な牛肉なら保存食にしても美味しいでしょうから、長期間のキャンプも楽しくなること請け合いです」
フリーダは今回入手できた牛肉を、できるだけ長く利用することを考えていた。
「持ち帰りも是非頼む!」
ひとしきり料理を堪能したアルバスは、手をつけていない牛肉や料理を持ち帰るため、容器の貸し出しを依頼人に頼み込む。
「ロイ。睡狼窟の皆へのお土産に持ち帰る分もあるよね?」
ルルトが自分が持ち帰る分を容器に詰め、マジカルポケットに収納しながら、ロイにそんなことを聞く。
「もちろんありますよ。――これに持ち帰りでお願いします!」
他の冒険者達とお互いの健闘をたたえ合っていたロイは、ルルトにそう応じると、依頼人に向け持参した容器を突き出し、頭を下げた。
●完了
あれだけあった牛肉料理が、ほぼ全て冒険者達の胃袋に収まったところで依頼は無事完了した。
残っていた料理や未調理の牛肉も、冒険者達がお土産として持ち帰ることが決まっている。
「それにしてもダンジョンを踏破するって、心地良い達成感が得られるのね。是非ともまた挑戦したいわ。ありがとう」
スズリは最後に今回の依頼を出してきた依頼人や、他の冒険者達に感謝を述べ一礼する。
こうしてある枝場で行われた謎かけと謎解きは、依頼人の求める素材を確保し、冒険者達の胃袋と持ち帰る容器を満たす結果に終わった。
エドゥノーグ迷宮内には、いまだに多くの謎で満ちている。
今後もこのような謎解きが必要な枝場が現れるかもしれない。
皆様はその謎に挑んでもいい。挑まなくてもいい。
エドゥノーグ迷宮は、皆様の挑戦を引き続き待っていることだろう。
……恐らくは。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年06月05日 08時40分34秒 公開
相談掲示板
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 見た所どの問題も解法さえ正しければご褒美が貰えそうな感じですね。 上手く正解して美味しい牛肉を頂きたい所です。
ルルト・アーキスだよ、よろしくね! おいしい、おいしい、おっにっくぅー♪ お肉を食べられるようにボクも頑張るんだよ。 んっと…ボクも2つのなぞなぞはたぶん解けたと思うの。 自分で解きたい人もいると思うから、ここでの答え合わせは、全員揃ってどうしたいか聞けるまで控えた方がよさそうかな? 謎解きは各自自由に、事前に答え合わせしたい人だけメッセージとかでこそっと確認とかでもいいと思うんだよ。 それにしてもワープするのすごいよね、どういう仕掛けなのかな? …失敗にならないなら一回ワープして飴も貰いたいんだよ。
アルバス・ロウルだ。よろしく! 謎に挑んで素材回収できて肉もあるとはいいこと尽くめだ。 目いっぱい楽しませてもらうよ。 答え合わせをしたい人はひとまずここで表明してもらうのが良いと思うぞ。 全員が良しとするなら公開でやりとりしてもいいだろう。
スズリ・D・ニザヴェリールよ。よろしく。 ああ、ギルドで依頼を受けるのは初めてだから……はじめましてと言っておいた方が良いのもね。 頭脳労働なら任せておいて。 ……と言いたいところだけど、キミ達が言うように答え合わせについては必要に応じての方が良さそうね。達成感も大事だし。 ところで、金ダライが落ちてくる仕掛けが個人的に気になるわ。 いったいどこから降ってくるのよ……。試してみたい欲に駆られてくるわね……。
うんうん、報酬だけでなくお肉まで食べられるなんて至れり尽くせりなんだよ♪危ないこともないみたいだし、思いっきり楽しもー! スズリもロイもよろしくね。5人になったから出発確定だー! アルバスとスズリはご意見ありがと。うん、やっぱりここで話す場合は全員の同意があった方がいいよね。ボクはどっちでも大丈夫だから、もし、答え合わせしたいって人が居たら気軽に言ってね。 確かに…金ダライもどこから落ちてくるんだろう?(天井を見上げ) ダンジョンには不思議がいっぱいなんだよ。
ロイ・アウレアです。よろしくお願いします。 頭脳労働はまるでダメ… でも気になり数日間、頭から湯気を出してました。(ヤットワカッタヨ…) うんうん、金ダライとは戯れてはみたいよね? やり直し可なら入口に飛ばされてみたいな…。 答え合わせに関しては皆様にお任せで、しても・しなくてもOK。 オレは、牛炭火焼き・ステーキ・牛肉の赤ワイン煮……是非に持ち帰りでお願いします!
まだお時間が大丈夫そうなので、アルヒさんに質問させて下さい。 Q1、金ダライの洗礼を受けたり、飴玉も入手したいのですが 失敗した場合は再挑戦が可能でしょうか?(あえてプレに失敗をネタを組み込みたい) Q2、また回答は1名でも答えを出せたら、全員成功とみなされ肉料理を頂けますか? (成功した人のみでしたら、真面目に頑張ります。) …ぶっちゃけ、自分の目には『特殊』『調査』『初心者歓迎』と書かれた横に 『コメディ』と浮き上がって見えプレが迷走してます…( もう一つ 姿絵!美しい蒼と穏やかな笑みが印象的ですね。おめでとうございます!
アルヒ・ラスカスだ。今回はよろしく頼む。 Q1、金ダライの洗礼を受けたり、飴玉も入手したいのですが 失敗した場合は再挑戦が可能でしょうか?(あえてプレに失敗をネタを組み込みたい) A1: 再挑戦は可能だ。挑戦回数は特に制限がないようだぞ。 (そういうわけで、失敗やネタに組み込むことも可能です) Q2、また回答は1名でも答えを出せたら、全員成功とみなされ肉料理を頂けますか? (成功した人のみでしたら、真面目に頑張ります。) A2: その見解で問題ない。1人でも正解を出して無事素材を回収出来たら、全員成功とみなされるので、全員で牛肉料理が食べられるぞ。 ……これは独り言だが。 姿絵へのお褒めの言葉、ありがとう。
ロイは質問してくれて、アルヒは教えてくれてありがと。 何回でも挑戦できるって聞いて安心したんだよ。 …こころおきなく飴を食べられる♪ ホントだ!! アルヒはおめでとだよ、とっても綺麗だね!
アルヒさん、色々教えてくれてありがとう。 飴玉で糖分を補給しつつ頑張って金ダライの謎を……もとい、仕掛けの謎を解いて行くとしましょう。 お肉を食べる前にお腹いっぱいにならないように気を付けるのよ、ルルトさん。
回答をありがとうございます。 では遠慮せずに、楽しくタライとランデブー! 「あれ、何でオレはここに(見回し)」に行かせて頂きます。
顔出しが遅くなって済まない。 想像以上に謎解きが面白く、夢中になってしまったね。 これは帰還後のパーティで皆と答え合わせをしながら料理を楽しむ形になるのかね? 楽しみにしているよ。
謎解き楽しいよね、エリザもよろしくね! >スズリ そうだ、おにくもあるんだった!Σ 飴の食べ過ぎには気を付けるね、ありがとー。