【学乱】ちょっぴり早い肝試し

青猫格子

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シナリオID:907

オープニング

●パンクリアース学園・2年教室
「なあ知ってるか? 廃校舎の幽霊の話」
 2年のとあるクラス。授業の終わった後に生徒たちが集まって話をしている。
 近頃彼らの周りでは、廃校舎の一つに夜になると幽霊が出るという噂が流れていた。

「それは僕も聞いたけど、魔獣やクリーパーではないの?」
「暗い部屋に白い影がじっと浮いているって話だ。もしそういうのならとっくに騒ぎになって誰かが倒しているだろ」
 話を切り出してきたのはラルス・ダンネベルク。
 クラスの一番主流のグループにおけるリーダー的な存在だ。
 何かと仕切りがちで疎ましく思っている者もいるが、頼りになると思われて人気もそれなりにある。
「なあ、皆で今夜にこっそり侵入して幽霊の正体を確かめてみないか?」
 ラルスの提案に男子たちは面白そうだな、と騒ぐが女子たちはくだらないと去っていく。

「イアンは行かないか?」
「見つかったら怒られそうだし……やめておくよ」
 イアン・ランボヴィルは乗り気でなかった。怒られそうだというのは建前で、今日は新しい本を読み始めるつもりだったのだ。
「付き合い悪いなあ。ま、いいか。俺たちだけで行こうぜ」
 ラルスたちは侵入計画を相談するのか、教室の外に出てどこかへ行ってしまった。
 イアンは断ったことで彼らと険悪な雰囲気にならないか心配していたが、それほどではなかったので少しほっとした。
 教室に残っていたのは彼ともうひとりの少年だけだ。
「ど、どうしよう……」
 イアンはその少年が顔を青ざめて震えていることに気づいた。
「どうしたの?」
 少年は呟いてからイアンが残っていることにようやく気づいたようで驚いた顔をする。

 少年の名はイゴール。
 学園では比較的珍しい、平民の学生である。
 生物の知識はクラスでも一番で、しかも虫でも植物でも精密にスケッチできる腕を持っていた。
 自然の好きなイアンは密かに彼の知識や観察眼を尊敬している。
「実は、ぼく、アルバイトで似顔絵を描いているんだけど……」
 とある王党派貴族の推薦で入学し、奨学金で学費を賄っているがそれでも生活は苦しいらしい。
 少しでも生活費の足しにするためスケッチの腕を生かして似顔絵を描いていた。

「ええっ! 廃校舎に絵を置いてたの!?」
「うん。平民寮は狭いし、少しでも空いた時間に進められると思ったから……」
 イゴールの話によると、彼の絵の腕を見込んだある商人が、自分の全身像を依頼してきたらしい。
 今までよりも大きな作品で、依頼料も桁違いだったため、イゴールは張り切って作品を制作していた。
 それがどうやら幽霊と勘違いされ、噂が広まってしまったらしい。

「絵に何かあって作り直すことになったら納期に間に合わないし、ぼくの絵だって気づいたらラルスくんたちがどういう反応するか、心配で……」
 リーダーのラルスが特にそうなのだが、彼らはやたらプライドが高い。
 幽霊が偽物で、しかもイゴールが描いていたことを知ったら、自分たちを騙すためにやったのではないかと逆恨みされることを心配していたのだ。
 最近の彼らはどうも神経質になっており、以前だったら問題にならない小さな事で他の生徒や教師につっかかりかねない雰囲気があった。
 新学園長の就任、その方針が明らかになってからは特にそのような傾向が顕著である。

「じゃあさっさと絵をどこかに持ち出そうよ」
「でもどこに?!」
 イアンは貴族寮の自分の部屋に置こうと思ったが、途中でラルスやその仲間に見つかっても面倒だなと考えた。
 本人たちというよりは親の問題なのだが、ラルスたちはクラスの主流派のグループであり、その多くは貴族派貴族で占められている。
 イアンの家はというと現在は中立とされて、本人もそう思われている。クラスでは中立派が二番目に多いがとくにグループとしてまとまっているわけではない。リーダー的な人物もいない。人によっては普通にラルスたちと遊んでいる。
 そしてクラスで一番少ないのが王党派貴族やその推薦で入った平民の生徒だ。

 新学期が始まってからクラスの皆がようやくこのグループに馴染み、落ち着いてきたと言える時期だった。
 イアンはイゴールを助けたいとは思ったが、あまり表立って動くとこのクラスのバランスが崩れるのではないかと心配していたのだ。
 特に王党派グループは人数が少なく、何かのきっかけでクラスに居辛い雰囲気になってしまう可能性がないわけでもない。
(以前だったら教室の雰囲気が悪くなるくらいで済んだと思うけど……)
 イアンは、ラルスたち貴族派貴族の空気が変化したことにより、今まで以上に王党派や平民に厳しく接してくるのではないかと不安に思っていた。
 そうなると、最悪イゴールたちが学園にいられなくなる……などということもあるのではないだろうか。
 そのようなことは出来る限り防ぎたい。

「そうだ! ラルスくんたちが廃校舎に侵入したときに持ってくればいいんだよ」
 イアンはひらめいたが、イゴールは心配そうな表情のままだ。
「だ、大丈夫かな……?」
 廃校舎に侵入したラルスたちを上手く足止めしつつ、大きな絵を持ち出さないとならない。
 まずは協力者を集めなければ、とイアンは考えた。

解説

 幽霊の正体がイゴールの絵であることがばれないように、ラルスたち侵入者を足止めしつつ、廃校舎から絵を持ち出すのが目的です。  ラルスたちが絵に近づかないように、脅かしたり、多少追いかけても構いませんが、怪我を負わせたり大きなショックを与えすぎないようにしてください。  冒険者たちは学園で直接イアンに声をかけられるか、ギルドで呼び集められてすぐに廃校舎へ向かい、ラルスたちより少しだけ早く廃校舎へたどり着くことになります。  持ち出した絵を貴族寮まで運び、依頼人のイアンの部屋に隠すことができれば成功です。  侵入する生徒は以下の4人です  ラルス・ダンネベルク(貴族派貴族・イアンのクラスの主流派のグループのリーダー的存在)  ジャン(ラルスの友人)  ダミアン(ラルスの友人)  サンディ(ラルスの友人)  依頼者  イアン・ランボヴィル(中立派貴族の少年)  基本的に中立ですが、クラスのグループのバランスが崩れたり、少数派の王党派がクラスに居辛い雰囲気になってしまうことを心配しています。  絵画  実際の大人の大きさほどの高さで、暗い場面にほぼ等身大の人物が立っている絵です。  窓の近くに立てかけてあったのと、イゴールが暗いときにランプを付けて作業していたので幽霊と勘違いされたようです。  廃校舎  現在使われていない校舎の一つ。2階建て。各階に2つ教室があり、正面入口に近い部屋と奥の部屋がある。  正面入口は鍵がついているが、裏口の鍵が壊れており、出入りが可能。  裏口は正面入口から入った廊下の突き当たりにある。  階段は正面入口のすぐ近くにある1箇所のみ。  窓などは外側からは開けられないようになっているが、内側から開ければ出入り出来る。  絵が置いてあるのは2階の階段から奥の部屋。

マスターより

 こんにちは、青猫格子です。  パンクリアース学園の生徒たちの間のちょっとした(?)トラブルを解決してください。  依頼者のイアンは「ナッツの料理を庭園で」(https://www.alpaca-connect.com/world/world0/scenario/807)に登場していますが、参加するにあたりシナリオについての知識は必要ありません。  どうぞよろしくお願いいたします。

リプレイ

●夕暮れの廃校舎
 パンクリアース学園の一角にある廃校舎。
 普段は静かなはずのその校舎で、なにやらガタガタと物音がする。
「このくらいで大丈夫やろうか」
「ありがとうございます、エリック。私は外の仕掛けの準備をしてきますね」
 エリック・ハルトマンとルーカ・ルンガルディエールが教室の中にあった机を二人で外に出していた。
 これから来るラルスたちを確実に足止めするための準備であった。
「こっちももうすぐ準備完了、デェース!」
 白いワンピースに着替えたあいが廊下でぴょんぴょん跳ねている。奥の教室ではローリー・R・テイワズが何やらメイクの途中であった。
 まだ明るいので何かの行事の準備のようであるが、暗くなればその見え方は変わるだろう。
 ルーカは校舎の外に出て準備をしつつ、木の上から子供たちが近づいてくるのを確認できるよう注意を巡らせていた。

●怪現象と動く甲冑
 日が暮れてしばらくすると、廃校舎に近づいてくる一団があった。
「よし、誰にも見つかっていなさそうだな」
 ラルス・ダンネベルクは仲間たちに合図して建物の裏口に回る。
 入口の鍵は締まっているが、裏口は壊れていて入れるという話であった。
 鍵のない扉は風に吹かれて揺れている。
 オオーン……と遠くから野犬のような吠え声が響いた。
「外にいると危ないですよ。早く入りましょう」
 野犬の声に危機を感じたダミアンがラルスに声をかける。
 彼らはゆっくり扉に近づいてから、急いで中に入った。

「なんだ? これは……」
 裏口は一本道の廊下に面しており、まっすぐ奥の階段まで続いているはずだった。
 ところが、廊下には古い机や椅子が乱雑に積み上げられている。
 廊下の左側には二つの教室があり、それぞれの教室には前後二つの出入り口があった。
 その二つの出入り口の間に机が積み上げられていたのだ。
「どかして行くか?」
 ラルスの友人の一人、ジャンが提案した。彼は仲間の中でも大柄で体力自慢の少年だ。
「いや、時間がかかるだろう。こっちから行こう」
 教室には鍵がかかっておらず、通り抜けられそうだった。回り道をすれば机を移動させるより早く進めるだろう。
 それに、あまり物音を立てると見回りしている者に見つかるかもしれないという心配があった。

 教室の中はがらんとしている。廊下に椅子や机が出されていたからだ。
 全体的に古いが、部屋の作りは普段彼らが使用しているものと大差ない。
 劇か何かの小道具だろうか、甲冑やぬいぐるみなどが乱雑に置かれていた。
「物置にしているってほど物があるわけでもないのに、なんで机を出したんだろうな?」
 サンディが首を傾げた。
「さあな。とにかく幽霊が出るのは2階って話だ。さっさと行こう……」
 ラルスが歩こうとしたとき、再び外で野犬の吠え声が聞こえた。

(ラルスたちが来たで、ルーカ)
 教室の中で全身鎧を着込んで待機していたエリックは、テレパスで外に待機していたルーカに合図を送った。
「分かりました。では……」
 ルーカは手にしていた細い糸をそっと引く。糸は教室の中につながっており、教室の中のロッカーを開く仕組みだ。

 ギィイ……
「わあっ!!」
 風もないのにいきなりロッカーが開いたのでサンディとダミアンが飛び上がった。
「落ち着け、二人とも。ネズミでもいたんだろ」
 ラルスが友人たちを落ち着かせようとするが、ペタペタと奇妙な音がするので窓の方を見る。
「ひっ……!」
 先程までなかった赤い手形が窓に浮き上がっていた。
 これもルーカが隠れて手形を付けていたのだが、突然のことに子どもたちには相当効いたようだ。
「子供たちよ……帰りなさい……これ以上進むのは危険です……」
 窓際に置かれたぬいぐるみがラルスたちに語りかける。ルーカが声を当てているのだ。

「脅かしやがって、外に誰かいるんだろう? ちょっと見てやる……」
 唯一動じていないジャンが窓に近づこうとするが、それまで不動であった甲冑が突然動き出して彼らに近づいてきた。
「な、何だこいつ!!」
 正体はもちろんエリックだ。しかし知らない子供たちは教室の中で慌てふためいて甲冑に追い詰められる。
「そんなっ、幽霊は2階にでるんじゃないのか?」
「いいから、さっさと逃げよう!」
 子供たちは教室の外に慌てて逃げ、ぴしゃりと扉を締めた。
 しかし、奥の教室の廊下にも机が積み上げられている。
「もう教室には入りたくないっす……」
「俺もだ、ジャン、どけてくれ」
 ラルスは甲冑のいた教室の扉をおさえつつ、ジャンたちに廊下の机を動かすよう指示するのであった。

●絵を運び出せ
 少しだけ時間が戻り、ラルスたちが廃校舎に入ってくる直前のことだ。
 ハーヴィとイデアの二人は二回の奥の教室にたどり着いていた。
「これがイゴールの絵だね」
 ハーヴィはすぐに絵を見つけることができた。
 教室の奥にある大きなカンバスである。
「もたもたしていると生徒たちが到着してしまいますね。急ぎましょう」
 イデアが絵の大きさを確認した。これならなんとかマジカルポケットで運ぶことが可能だろう。

「ちょっと待ってね」
 イデアが収納する前に、ハーヴィはブランケットで絵を包む。万が一にも傷つかないようにするためだ。
 ブランケットをロープで固定した後はイデアが収納し、絵は空間からその姿を消した。
 それと同時に、一階から騒がしい声が聞こえてきた。
「生徒たちが来たようです」
 イデアの言葉にハーヴィは頷く。二人は何事もなかったように外に出て、階段を降りた。

 階段を降りると、奥の教室の廊下に置かれた机や椅子を子供たちが移動させている最中だった。
「そこで何をしているのです?」
「う、うわ! はあ、なんだお前たちは……」
 イデアたちが突然現れたことによってラルスが声を上げる。しかし先程の甲冑や怪現象と違い、一見普通の人のように見えるので安心したのか、若干気の抜けた反応であった。

「僕たちは学園の警備を依頼された冒険者だよ。この廃校舎の見回りをしてたんだ」
「警備……?」
 ラルスたちは怪訝そうな顔をする。冒険者がわざわざ学園内を見回るということは、やはり何かがこの辺りに隠されているのだろうか?
「この辺になにか危ない物でもあるんですか?」
 サンディがストレートに問いかける。
「私たちも詳しくは知りません。それより、もう夜ですし、生徒は寮に帰らなければいけませんよ」
「ふん……」
 ラルスはイデアの正論が気に食わないようだった。
「君たち、貴族なんでしょ。今は学生だけど、貴族って評判がとても大事なんだよね。いいのかな、不良生徒がいるって噂が広まっても……」
「うっ……」
 ハーヴィの言葉にラルスたちは苦い顔をする。ただでさえ学園は派閥争いできな臭い雰囲気になっているのだ。
 自分たちの悪い評判が広まることはできるだけ避けたい。
「わかったのなら早く帰りなさい」
 イデアがそう言い残し、二人は教室を通り抜けて校舎の外へ出ていった。

「ラルス、帰るのか?」
「ばか、だれが言うことなんか聞くか。それにもう警備はいなくなったんだから噂もなにもないだろ」
 警備たちがいなくなった後、片付け終えたジャンの問いかけにラルスは首を振った。
 あれから怪現象も甲冑が追いかけてくる様子もない。
 そして警備が階段から来た以上、2階には何もない可能性が高い。

 ならばせめてひと目だけでも教室の様子を見て「2階には幽霊はいなかった」と確認しても構わないだろう。
 その方が今後の話の種にもなるし。
 ラルスがそう考えながら机が避けられた廊下を通り、2階へと進もうとしたその時だった。

●二人の幽霊
 階段の上に白いワンピースの少女が座っていたのだ。
 先程の警備の者たちとは明らかに雰囲気が違う。そういえばなんとなく周りの空気が冷たいような気がする。
「あれが幽霊……!?」
 ラルスたちは驚いてあたりを見回す。どこかに誰かが隠れていて、自分たちを騙そうとしているのではないかと疑ったのだ。
 その間に少女は立ち上がり、ゆっくりと子供たちに近づいてきた。
「に、逃げろ!」
 ラルスはようやくの思いで声を上げて、きた道を引き返そうとする。
 ところがその時、横の教室の扉が開いて何かが現れる。
「あそ……ぼう……よ……」
 一見、ボロボロの服を着た男子生徒のようだが様子がおかしい。
 ボサボサの髪の間をよく見ると、痣や血でまみれた顔がこちらを見ている。
 ひどい大怪我をしているようだが、そもそもそのような状態で歩き回れるはずがない。
「こいつも幽霊!?」
 ダミアンが叫び声を上げる。
「うらめしい……もっと……たのしみたかった……」
 男子生徒の幽霊と少女の幽霊が同時にゆっくり近づいてくる。
 恐怖で腰を抜かしたサンディが廊下の床に手をつくと、何か違和感を感じる。
「ぎゃあっ!!」
 もぞもぞ動く毛虫が手を這っていたのだ。
 サンディがあまりに大きな声を上げたので、他の三人もパニック状態になる。
「うわああ!」
「こないでくれ〜!」

 ラルスたちは押し合いながら廊下の机をよじ登り抜けて、転びそうになりながらも急いで廃校舎から飛び出した。
「ローリー、うまくいった、デェース♪」
 子供たちが去っていく様子を見て、少女の幽霊が嬉しそうに飛び跳ねた。
 ぴょこり、と髪の中に隠していたフクロモモンガの耳が飛び出す。
 幽霊の少女の正体はあいであった。
「よく演技できてましたね。それに毛虫も効いてたようです」
 男子生徒の幽霊に扮していたローリーは、髪を整えながらあいに言った。
 彼女はあらかじめ集めておいた毛虫を、階段を降りてくるときにこっそり階下に撒いていたのだ。
 普段は元気なあいだが、白いワンピース姿で無言のまま子供たちに近づいて来る様子は幽霊に見間違えてもおかしくない演技だった。
「ローリーも制服お似合いデェース♪ 幽霊っぽい話し方ですごかったデス!」
 彼は事故で亡くなった男子生徒という設定で幽霊に扮していた。
 顔の痣や血も化粧である。

「お疲れ様」
 手前の教室に待機していたルーカとエリックが二人の元にやってきた。
「絵運び班はうまく絵を運び出せたようやね」
 エリックはローリーたちとラルスのやり取りの様子を見てはいないが聞いていた。
 一瞬安心した後、複数の幽霊が現れたことにラルスたちは相当驚いたのだろう。
 さすがにもうこの後戻ってくることはないように思われた。
「そろそろお二人は貴族寮に着いている頃でしょうか。無事に届けられるといいですが」
 ルーカの足元には狼がいた。彼のペットであり、外から聞こえていた遠吠えの正体でもあった。
 冒険者たちは校舎の中を簡単に片付けて、それから帰ることにした。

●貴族寮にて
 貴族寮の入り口で、イアン・ランボヴィルは落ち着かない様子でうろうろしている。
(ラルスくんたちが先に帰ってきたら、どうやってごまかそうかな……)
 考えてもなかなかいい案がまとまらず、かえって心配になるばかりだ。

「イアン!」
 聞き覚えのある声にイアンは顔を上げる。
 ハーヴィとイデアが駆けてくるところだった。
「よかった! 部屋はこっちだよ」
 イアンは急いで二人を部屋に案内する。二人はなるべく静かに部屋の中に入った。
 部屋の中には心配そうな顔をしたイゴールが待っていた。
「こちらがあなたの絵で間違いありませんね」
 イデアがマジカルポケットから絵を取り出して部屋の脇に立て掛けた。
「……はい! 本当にありがとうございます!」
 ブランケットから出てきた絵を見たイゴールの表情が明るくなる。

「間に合ってよかったよ」
 ハーヴィはそのとき、貴族寮の入り口に数人がドタバタと入ってきた音を聞いた。
 どうやらラルスたちが帰ってきたらしい。
 イアンがドアを開けてそっと様子を窺うと、青ざめた顔をしたラルスたちが急いでそれぞれの部屋へ帰っていく途中であった。
「彼らと顔を合わせないように、そろそろ私たちは失礼しましょうか」
 イデアとハーヴィが帰る支度を始めたため、イゴールも一緒に寮を出ることにした。絵はイアンの部屋に保管してもらうことになった。
「冒険者さんたち、イアンくん今日は本当にありがとう」
 最後にイゴールがイアンと冒険者達にお礼をする。
「いいんだよ。絵の作業の続きが必要ならまたここに来てね」
 三人はそのまま寮を出て無事に帰路へとついたのであった。

●その後……
 イゴールの絵は無事に完成し、商人へ納品した絵はとても喜ばれたという。
 廃校舎の幽霊の噂については、ラルスたちが、
「幽霊は一人だけじゃなく何人もいる。動く甲冑とか事故で死んだ生徒とか少女とか! 俺たちは見たんだからな!」
 と力説したのだが、流石に荒唐無稽過ぎたのかほとんどの者には受け入れられず、その後噂は急速に沈静化したそうだ。

マスターコメント

お疲れさまでした。 絵は無事に回収され、廃校舎の幽霊の噂も落ち着きました。 ご参加ありがとうございました。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年05月24日 17時57分46秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ハーヴィ

    キャスターのハーヴィだよ。まだ依頼は成立していないけど、先にご挨拶。宜しくね。 イアンが困ってるなら助けたいなって思って来たよ。……でも、本当に夏を先取り肝試しだね。僕あんまし怖いの得意じゃないんだよな……大丈夫かな……。 えっと、今考えてる足止めの方法は、「エンライト」で注意を惹いて、「幻影」でお化けが別の場所にいると錯覚させること。上手く絵のある方向とは違う部屋に誘導出来たら良いなって思ってる。

  2. No.2

    イデアと申します。よろしくお願いいたします 侵入者である生徒を脅かすなどして足止めしつつ絵を回収する依頼、ですか ハーヴィ様の案に乗らせていただいてもよろしいでしょうか 汎用の「あっ」を用い、エンライトの光や幻影の方向に注目させ時間を稼いだりしましょう 「発光」等でも驚かせそうですね

  3. ハーヴィ

    イデアさん、宜しくね。 ふふっ、是非に、だよ。一緒に頑張って驚かそうね! 汎用の「あっ」を使うのは名案だね。僕もつけとこっと。 思ったんだけど、これって驚かし班と絵の運搬班に分かれた方が良いのかな?

  4. あい

    デェース、あいはあいデス!よろしくデェース! あいは、わーってするデス! ローリーと一緒にいっぱいいっぱい脅かすデェース!!(ぴょんこ

  5. ハーヴィ

    そういえば満員御礼だね、よかった! あい、宜しくね。君はローリーさんとペアで動くって感じで良いのかな? ふむ、今のところ、6人中4人が驚かせ役だね。 絵を運ぶ人も必要かなって思ってたんだけど、どうしようか。 エリックさんとルーカさんがまだ顔を出していないけれど、何をしたいか希望があれば聞きたいな。 この依頼は絵を部屋まで運び入れるところまでがセットになってるから、場合によっては僕がメインで絵を運ぶ方に回るのが良いかもなって思ってるよ。

  6. No.6

    満員でしたね。皆様、改めてよろしくお願いいたします 絵画は大人程の大きさがあるとの事 ハーヴィ様お一人では難しいでしょうから、私も協力いたしましょうか ですので、生徒達を驚かせ誤魔化しつつ足止めしていただく方などと分担が必要になりそうですね ……マジカルポケットで絵画の収納が可能であれば、話は変わってくるかもしれませんが

  7. ハーヴィ

    >マジカルポケット それ、名案! 直径2mくらいまでの物なら収まるみたいだから、いいんじゃないかな。 そしたら僕とイデアさんは絵の方に行って、あい達が驚かせてくれてる間に、絵をマジカルポケットに収めるって感じでどうだろ? もし、すぐ近くまで迫って来たなら、その時は僕がエンライト・幻影・あっ!?のコンボで追い払うよ。勿論この役割は逆でもオッケー。 もしもマジカルポケットでは収まらなさそうなら、2人で頑張って担ぎ上げるしかないかな。体力勝負になりそうだね……。 一応運びやすいように、ブランケットとロープを持ってって包むと良いかな?

  8. No.8

    >マジカルポケット そうですね。収納不可であれば、ハーヴィ様の仰ったように隠蔽しつつ担いで運び出しましょう 収納可or不可のいずれにせよ、脱出経路はいかがいたしましょうか ギルドで呼び集められてすぐに廃校舎へ向かった、わけですから、驚かす班は 我々冒険者は雇われの警備員、とでも申しつつ生徒らも廃校舎から立ち去るよう裏口にて説得、 その間に運ぶ班は窓などから脱出……でしょうか

  9. ハーヴィ

    >脱出経路 確か窓は内側からなら開くんだったよね。 それこそ絵はロープで吊るして、窓から下ろすって言うのはどうかな。夜なら窓が開いてるとか、何か吊るされてるとかも気付きにくいと思うんだよね。 警備員に扮する案は良いと思う。何なら運び出し班も最初から警備員に扮するってのも良いかも。 マジカルポケットが使えるなら、人間だけなら普通に入り口から抜ければいいから、それこそ警備員に成りすまして【話術】か【交渉】で言いくるめれば良いかな。 驚かし役は汎用スキルで手一杯だから、これはマジカルポケット持ちが装備すると無駄が無いと思う。

  10. No.10

    >成りすまし 【話術】、【交渉】、【演技】あたりですかね まあ信じていただけるかは別ですが、時間稼ぎができれば御の字 言い出しっぺの法則により、私がマジカルポケットを持って行ってみますね 無駄であればハーヴィ様の窓から下ろす作戦です

  11. ハーヴィ

    >時間稼ぎ まさにこれが目的だから、信じて貰えなくても大丈夫だと思うな。勿論、素直に信じて帰ってくれるなら、それが一番だけどね。 そしたらイデアさんにマジカルポケットはお願いするね。ありがとう、そして宜しくね。 ロープとブランケットは僕が持ってくよ。マジカルポケットがダメだった時は、バサーッと被せちゃお。 ブランケットは驚かし用にも使えるから、無駄にはならないと思う。 あと何か出来ることはあるかな……。 ふむむ、ちょっと考えてみる。

  12. エリック・ルンガルディエール

    こんにちは、僕はエリック、よろしくね。 僕はルーカとともに行動する予定だけど、何をするかはまだ決まっていないんだ。

  13. ハーヴィ

    エリックさん、顔出してくれてありがとう。良かった。 今のところ、内訳は以下の通りになってるよ。 ・驚かし班(詳細不明)  あい  ローリー ・絵画運び班  イデア  ハーヴィ 絵画を運び出す方はもう大体打ち合わせが終わってるから、エリックさんとルーカさんは驚かせる側に入ってもらうことは出来る? 具体的にどう驚かせるかは2人に任せるよ。追い払うまでは行かなくても、僕とイデアさんが絵画を運び出し終えるまで時間稼ぎして欲しいな。 それならエリックさん達も自分達の好きなように動き易いと思うんだけど、どうかな。

  14. エリック・ルンガルディエール

    了解だよ、それでは僕とルーカは驚かし班で参加するね。

  15. ルーカ・ルンガルディエール

    大変遅くなり申し訳ございません ルーカと申します 前述された通り私とエリックは脅かし班で動きたいと思っています ・驚かし班(詳細不明)  あい  ローリー  エリック  ルーカ ・絵画運び班  イデア  ハーヴィ

  16. ハーヴィ

    エリックさん、ルーカさん、ありがとう。 驚かし班の活躍、ワクワク期待してるね。 いよいよ明日出発だね。 みんなで力を合わせて頑張ろうね!

  17. ルーカ・ルンガルディエール

    仮プレですが載せておきます 脅かし班 隠蔽度を上げるために装備は全ておいて、さらに【壁走り】で木の上に潜み【隠蔽】で隠れる その後は【暗視】や【捜波】で子供たちの位置把握、絵画運び班と接触しないように遠回りさせるように エリックや他の脅かし班と情報共有 基本的に驚かす方法として ・事前に罠として設置しておく ・直接驚かせる の二方法で驚かしにかかる また窓から逃げて迷子にさせないよう狼を連れていき咆えさせて、廃校舎外に野犬がいると思わせる 絵画運び班が廊下抜けたら即教室のある廊下に机などを乱雑に置き、必ず教室を経由させるように このような感じにします あと絵画運び班の方にもテレパシーを準備してくださると助かります

  18. ローリー・R・テイワズ

    申し訳ない、遅くなりました。ローリーです あいが伝えてくれているけど、おどかし班で頑張ろうとおもいます 細かい所は彼女と決めてきますね

  19. ハーヴィ

    >ルーカさん 仮プレありがとう! すごい、とっても本格的だね。 えーっと、絵画はマジカルポケットを使うか、窓から吊り下ろす方法で運ぶことになってるから、絵が廊下に出ることはないよ、ってことは先にお知らせさせてね。 後は「テレパシー」なんたけど、絵画運び斑は二人とも汎用スキル欄が現状埋まってて入れる隙間が無くて……んん、外すとしたら僕の「あっ!?」か、イデアさんの交渉系スキルになるんだけど、ここはイデアさんと要相談になるかな……間に合うと良いけど……。

  20. ハーヴィ

    >ローリーさん 顔出してくれてありがと! あいから話は聞いてたけど、本人の声が聞けるとやっぱ安心するね。 あいと一緒にどんな驚かしをするのか楽しみにしてるね!

  21. No.21

    >ハーヴィ様、ルーカ様 大変申し訳ないのですが、私のSPとOrbの都合上「テレパス」は取得不可能でして 私は【暗視】【マジカルポケット】を持って行く予定です。もう時間がありませんが

  22. ハーヴィ

    >イデアさん 良かった、お返事ありがと。 そういえば取得ポイントの問題があったね……。 >ルーカさん ごめんね、今見たら僕も余力無くて、ちょっと「テレパス」スキル取得は難しそう。 申し訳無いんだけど、もしこっちの様子を伺う必要があるなら「超聴覚」でこっちの物音を聞き取って何とかして貰って良いかな? もう少し早く顔を出して提案してくれたなら、もしかしたら何とかなったかもしれないと思うんだけど……ルーカさんにも都合があるだろうから、仕方ないよね。同じように、僕や他のみんなにもそれぞれ都合があるワケだから、今回は出発ギリギリの提案だし、受け入れられなくてごめんね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0