いつか辿り着く約束の日へ ―第3話―
広大野人
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シナリオID:879
オープニング
気まぐれか慈悲か、友情か、あるいは、愛だったのか……ある者の願いに光芒は応えた。
天から降り注いでいた光はその者の手の中から発せられるようになった。昼夜を問わず。魂が共にある限り。
暗闇を振り払い、人々は感謝の証として光芒に故郷である天に最も近くなるようにと、立派な塔を建てるのであった――。
●
リーンエス王国とシルトラース帝国を隔てる山脈の一つに、飾りっけのない質素な造りの砦が建っている。
かつては密輸監視の役目を担っていたが、今は帝国領から逃れて来る難民や襲来するクリーパーに対する防衛拠点として使用されている。
「そろそろだな……」
王国騎士イェルド・ルリンが砦中央に建つ塔の上から、眼下を見下ろしながら呟く。
この塔だけは砦が造られるよりも前から存在していたらしいが、イェルドにとってはどうでもいい話だった。
彼が呟いた言葉の意味は、この塔の上に立って一望すればすぐに理解できるだろう。
「こんな数……見た事ないですぜ!」
コルサという名の兵士が驚きの声を挙げた。
帝国領側から、ひしめくように黒紫這者が登ってきているのだ。
以前、冒険者達を雇って土砂罠で流した時よりも更に多い数。とてもではないが、砦を守る戦力が足りない。
「援軍をすぐに要請しましょう!」
「お前、それが間に合うとでも思っているのか?」
兵士の必死の叫びに、イェルドは呆れたように返す。
王都内では日々、政争が繰り広げられているのだ。先の輸送隊の件でもそうだが、王都中心から見た、辺境の砦一つの出来事など、奴等からすれば些細な事なのだ。
仮に増援が期待できたとして……少なくとも半月以上は変わらない。
「援軍が来た頃には、俺らはあの世行き確定だ」
「……じゃ、撤退の準備してきますね」
「馬鹿言え、王国騎士が敵に背を向けて逃げる訳いかねーだろ。つまり、俺の部下であるてめーも一緒だ」
その台詞に、マジっすかみたいな顔を浮かべたコルサ。
普段は王国騎士っぽくない言動なのに、こんな時だけは騎士様っぽい事する人だから部下も困る。
「惚れちゃいそうですわ」
「まぁ、こんなんでも王国騎士だからな……っつても、俺だって馬鹿じゃねぇ。ちゃんと援軍を呼んでおいたぜ」
「また冒険者っすか。なんすか? 可愛い子がいるからって贔屓してるんすか?」
「何度も言わせるな。俺の評価の基準は『戦場で役に立つかどうか』だけだぜ」
帝国崩壊以降、戦場を渡り歩いてきたこの王国騎士の台詞には、その評価をしなければならないだけの理由があったのだろう。
戦いの準備の為、先に階段を降りて行った兵士の背中を見届けながら、イェルドは小さく言葉を口にするのであった。
「……死んだら可愛いも何も……ないからな」
●
怒号、怒号、怒号。
砦に押し寄せて来る黒紫這者は途切れるは無かった。
兵士達の士気が崩壊しなかったのは、襲来までの間、食料に欠かなかった事と嗜好品が喜ばれた事、本国からの輸送隊が砦に残った事、なにより、援軍として冒険者達がやって来たからだ。
「時期に日が暮れる。夜通しの戦いになるだろう」
疲れた表情を全く見せず、むしろ、戦いの高揚感によるものなのだろうか、イェルドの目はギラギラとした輝きを発している。
「幸い、大量に持ち込まれた油のおかげで灯りの心配はしなくても良いが……昼間ほど視界が良い訳じゃねぇ。こっからは持ち場を決めて戦うとする」
彼が話している間でも兵士達が戦っている。
今はゆっくりと話している暇はなさそうだ。異論があっても指揮官である彼に従う事……それがこの戦場で生き延びる為の術なのだろう。
「悪いが、冒険者達は一辺を受け持ってもらう。そうでもしないと他二辺の戦力が足らねぇ」
兵士のほとんどが一般人で冒険者とは違い、特別な力は持っていない。
また、兵士達は集団での戦闘を基本に訓練されている。そこに冒険者を組み込んだ所でお互いやり難いだろう。
冒険者達だけで一辺を守らせるというのは酷でもあるが、それなりの意味もあると踏んでの事のようだ。
「えぇー!」
兵士コルサが口を尖らせた。
こいつは楽したいだけだから無視して構わんとイェルドは冒険者達に告げた。
「問題なのは、いつまで、この攻勢が続くか予想できない事だ」
黒紫這者は闇雲に砦を攻めてきている。
城壁をよじ登ろうとしたり、遠距離攻撃を仕掛けてきたり、今の所、それだけだで戦術的な動きは見えない。
指揮する存在がいれば、それを倒すだけで良いのだろうがそんな存在は確認できない。
こうなると圧倒的な物量に対してひたすら耐えるしかないのだ。
「既に砦は囲まれて退路は塞がれている。どこか一辺が落ちれば俺達は全滅だ。だが、耐えきれば俺達の勝ちだ。敵だって無限に存在しているはずがねぇ」
そこで台詞を区切ると、イェルドは数歩進み、無造作に転がっている樽をポンポンと叩く。
中身は油が入っているようで重量感のある音が響いた。
「砦にあるものはなんだって使ってもいい。油、石、木材なんかは沢山、備蓄してある。とにかく、奴等を迎え撃て」
将軍は戦いに勝つ為の指揮が求められるが、ここは最前線の戦場だ。
戦場で戦う者に求められる事――それは勝つ事ではない。次の為に、生き残る事なのだから。
解説
マスターより
リプレイ
幾基も設置された篝火が砦全体を包み込むように照らしている。
山の上に立つ砦だけが明るく……周囲は夜の闇と共に黒紫這者が暗雲のような不気味さを放っていた。
冒険者達が持ち場に到着すると、それまで受け持っていた兵士達が妙に高いテンションで別の持ち場へと移動していく。
「ふー。正念場ねぇ」
エミリア・シバの呟きはまさにその通りであった。
押し寄せる黒紫這者に対して、日中の防衛戦は有利に経過していたが、戦いの本番はむしろ、ここからだろう。
城壁の上から見える風景にバーネット・フォーサイスが両肩を竦めた。
「何処を見ても敵、敵、敵で、減っている様子がねぇな、こりゃ……」
「それなりに準備が出来てからの戦いで良かったかな」
サニー・フォン・オルライトがそう言いながら城壁の下を覗き込む。
日中の戦いで障害物となっていた防護柵や逆茂木は壊され、堀の中には黒紫這者が蠢いている状態ではある。
それでも、これらがあったおかげで敵の足並みがズレたので、それなりに意味があった。
奴等は闇雲に進んでくるだけだったので、障害物の無い箇所に敵が集まる様な誘導には至らなかったが、足並みがズレた事で対処の猶予が多少できたからだ。
「まさか、丸太落としただけでも意味があったなんてね」
「あの王国騎士が楽しそうに落としていたな」
冒険者達から防衛準備の提案を受けたイェルドは、その話に手を叩くと荷台に嬉々として丸太を載せていた。
ちなみに、砦には軍馬はいないが作業用や伝令用の馬が数頭いた。それらの世話に必要な糧秣にも冒険者達の関わりがあった。
兵士達が一生懸命、障害物や堀を造っている時に隊長が落とした丸太は、帝国領側の急斜面を登って来る黒紫這者共の侵攻を多少なりとも遅らせた。
「皆で作って準備した物、大事に使わせてもらうわ」
穴を幾つか開けた小樽を城壁に取りついた敵に向かって投げるエミリア。
中には油が入っている。彼女自身が買付したあの油だ。よく滑ると言われた通り――その効果は抜群で、城壁に付着すれば滑り、斜面に広がれば滑り、手に付けば物を掴めず、一度転倒してしまえば斜面を転がり落ちるのであった。
食料となる物はあまり使いたくないというイェルドの意向はあったものの、火炎瓶の類は大きな成果を見せていた。
「思った以上に、鼠返しが役に立ったようだ」
ロイ・アウレアが監視隙間から下を覗きつつ、火炎瓶を投げた。
1体の黒紫這者に直撃すると、油を四散させて割れると同時に火がついて周囲の者を巻き込んでいる。
炎から逃れようと別の黒紫這者が城壁の僅かな歪みを掴み登ろうとするが……鼠返しに塞がれて虚しく手を右往左往させていた。
日中から続くそんな様子。ロイの言葉にセリオス・オーガストが同意する。
「オーバーハングの登り方を知らない……というか、ただ障害物を乗り越えようとするだけなのだな」
それ以上、上に登れず侵攻が止まれば、全体の侵攻も止まる。
そうなれば城壁から石や丸太を落としてダメージを与える事ができた。
「ただ闇雲ってのはそうだが、反撃もあるから気をつけねぇとな」
敵の射出攻撃を弾き飛ばしながら、ハヤト=ガラン=ヴォルファングが言う。
落とす石や丸太に油で濡らした布を巻きつける策は、ただ油を振りかけるよりも効率的だった。
問題があるとすれば、冒険者達の提案した罠や籠城兵器となる物よりも、黒紫這者からの反撃だろう。
「これだけの数で一斉に射撃攻撃してきたら、脅威だとは思うのだが……」
ロイは用心しながら次の火炎瓶を用意する。
敵の中には稀に躰の一部を射出してくる奴がいた。ただ前進するだけと射撃攻撃してくる違いは分からないが……。
「……確かに、あの時も、敵の全部が射撃してきていたら、危うかったかもしれない」
以前の依頼を思い出すようにセリオスは言った。
戦術的な動きがほぼ皆無なのは何故なのか……知能があるのかないのか分からない黒紫這者だが、これではあまりにも御粗末だ。
「何か理由があるかもしれねぇが、まぁ、考察は無事に乗り切った後だな!」
ハヤトがそう応えると、大きな石を強引に持ち上げてから叩きつけるように城壁下に向かって落とすのであった。
●
「おらぁよぉぉ!」
それなりに大き目な石……というか、岩を城壁の真下に向かって叩き落とすハヤト。
岩は落下の衝撃で跳ね返り、そのまま斜面を転がり落ちる。その最中、多数の黒紫這者を巻き込んだのは言うまでもない。
「近接職の辛い所だよね」
サニーはロープで繋がれている丸太を投げては、引っ張り上げて回収していた。
冒険者達が受け持った辺の城壁下は、敵でいっぱいでとてもではないが無事に降りられる状況ではない。
壁をよじ登り始めた敵に、長柄武器なら……まぁ、届くか届かないかという状況なので、仕方ない。
「それだけ、今の所は防衛が上手く行っているって事よ」
そう言って、熱した油を城壁に流しているのはエミリアだった。狙いは二つ。一つは熱い油でダメージを与える事と、壁を滑り易くする事だ。
近接武器が届く範囲までに敵が登ってきたら、出番はいくらでもあるだろう。だが、それは籠城戦がそこまで追い詰められている事を意味する。ましてや、城壁上に敵が現れるようであれば、落城は目の前。
「ちと勿体ないが……使うしかないな」
空になった蒸留酒の瓶を、名残惜しそうな視線で一瞬見るとバーネットは手にした火炎瓶を敵が群れている所へ投げ込んだ。
放物線を描き、むき出しの地表に落下すると割れると同時に一気に火が燃え広がる。
術師は術を行使してなんぼのクラスだ。しかし、長期戦となるこの戦いでは使用できる機会は、よくよく考えないといけない。道具を使って戦う事も必要なのだ。
「物資だけは豊富ったって限度があるぞ」
自身でも持ち込んだ材料を使う。それほどまでに敵の数は多いという事だ。
そこにガラガラと音を立てて城壁上を車輪のついた荷車のようなものが到着する。
「滑車藉車を持って来た。この辺りだよな」
それを押していたのはロイだ。ひょいと荷台に上がる。
石袋とそこから繋がるロープは荷台の滑車に繋がれていた。石袋を落とし、滑車で回収できるし、おまけに移動もできる代物だ。
「あぁ。狙い通りだ」
セリオスがエーテルを纏わせた矢を、石袋を落とされて右往左往する一団に向かって放った。
着弾すると光の破片が周囲に襲い掛かる。密集している状況では効果は抜群だ。
「……やはりな」
これまで、幾度か対峙して来て、セリオスは確信した。
黒紫這者は『群れ』での行動を基本としている。別の『群れ』と合流する事はない。
これが、人間であれば別だ。所属している隊の人数が減れば、他の隊と合流するだろう。しかし、そうした動きは見られない。
組織的に動いている訳ではないのだ。城壁を攻めるにしてもタイミングを他の『群れ』と合わすとかそういう事をしていない。
「色々と分かってきたようだな!?」
「こう何度も矢を撃ち込めばな」
ハヤトからの問いにセリオスは返すと、次の矢を番える。
押し寄せる敵の数が急激に増えたようで城壁下では更に密集し、積み重なるようになってきた。
「数だけはキリがないわ」
エミリアが滑車藉車の荷台に上がると、滑車を勢いよく回して岩袋を引き上げる。
荷台での作業をエミリアに託すと、ロイは手慣れた動きで滑車藉車の車輪止めを外し、力強く押し出した。
「それでも、生き残った者の勝ちとも言いますからね」
「なら、とにかく、こちらの数を減らさない事を重視だよね」
不意にエミリア目掛けて飛んできた敵の射出攻撃を、身体を使って受け止めるサニー。
ちょっとしたダメージは回復手段があるので今のところ、問題はない。
ただでさえ、衆寡の状態なのだから、冒険者達も兵士達も、出来るだけ脱落者がでないような戦いをしなければならないのだ。
●
優勢だったのに翳りが見え始めたのは、隣の辺――兵士コルサが受け持っていた――の城壁上に黒紫這者が姿を現した事だった。
「敵が積み重なっているのか?」
バーネットの視界の中には、城壁に寄り掛かるように黒紫這者が集まって山と化していた。
どうしてそうなったのかは容易に想像できた。殲滅速度よりも敵の勢いが上回ったからだ。ギチギチに密集した所へ後続の黒紫這者が重なるように集まったのだ。
山が城壁と同じ高さになれば、それを伝って、湧き出る蛆虫の如く、敵が城壁上に現れてしまう。
城壁上の兵士達は上がって来た敵と城壁下の敵とに戦力を分散され――さらに殲滅速度が低下する悪循環に陥っている。
「ここは俺達に任せていろ。狭い城壁上の接近戦なら、忍賊の出番だぞ」
「任せたわ。必要があればすぐに帰ってくるから」
セリオスの言葉にエミリアはそう応えると、サニーとハヤトと顔を見合し、頷きあった。
そして、駆け出した仲間達を援護するように、ロイが力強く引き絞った矢を放つ。
「道を作ります」
エーテルを纏った矢は、城壁上の黒紫這者に直撃すると、その場で衝撃波を発して、周囲を巻き込んでバラバラと城壁外へと落下する。
時間を掛ければ掛ける程、敵の数が増えていく。
「奥にも……あるようだ」
続けて二射撃を番えながら、ロイは敵の足場が別の所にある所を見つけた。
もはや、一刻の猶予もない。残されたスキルを出し切るつもりで矢にエーテルを注ぐ。
「ここからは奥の足場に攻撃は届かない……か」
足元の城壁を登ってくる黒紫這者の頭上に、石を蹴って落としつつ、セリオスも狙いを城壁上の敵へと向けた。
少しでも露払いができれば、その分、忍賊達が素早く動く事が出来るはずだ。
「……轟いて割り、波となりて砕き、形あるモノを散らせ! 光波!!」
ロッドの先に光を集束させ、バーネットが術を行使した。
圧倒的な光の筋が城壁上を貫き、敵が築いた足場ごと吹き飛ばす。
「良いタイミングだよ!」
仲間の範囲攻撃に合わせ、サニーが城壁上の転がる物資を避けつつ、見事な機動で駆け抜ける。
落石用の大きい石にガッと踏み込むと軸として光の刃を纏わせた刃腕甲を振るう。それで幾体かの黒紫這者が城壁下へと落ちる。
開いたスペースに向かって、新手が姿を見せるがそれよりも早く、ハヤトが垂直な壁を走り上りつつ、全身を捻じ込むようにして突貫した。
「うるぁ! させるかよ!」
走って来た勢いそのままに片足で1体の胴体に着地すると、籠手と直刀を左右に交差するように突き出した。
直後、もう片方の足を力の限り踏み抜きつつ、クルっと姿勢を回して、城壁上に着地する。
唐突な応援に押されていた兵士達は、ポカーンと口を開けていた。それほどまでに鮮やかな手並みだった。
そんな兵士の一人の肩をポンと軽く叩き、色っぽい笑顔を向けるエミリア。
「十分、お返ししてあげないと、よね」
そう告げて、彼女自身はエーテルを纏った踏み込みで跳躍するように距離を詰めつつ、敵の動きを確認する。
手前側の足場は崩れかけている。城壁上の敵を一掃しつつ、奥の足場までの道を作る必要があるだろうか。
「援軍助かるっす! おい、もうひと踏ん張りだ!」
この辺の担当を受け持っていたコルサが冒険者達にお礼を言いながら、部下に激を飛ばす。
確かに城壁上に敵の侵入を許したが、今なら、押し返せる。兵士達は弱弱しく頷くと武器を構えた。
程なくして、城壁上に出現した黒紫這者をあらかた葬った。けれど、それでは終わらない。
積み重なった敵が足場となっているのだ。あれを一刻も早く消滅させないと次から次に城壁に敵が登って来てしまう。そうなったら、数の暴力で押し切られるからだ。
意を決し、飛び降りようとしたサニーにハヤトがロープを投げて寄越した。
「諦める……なんて柄じゃなさそうだしな」
受け取ったロープをグルっと腰に巻き付ける。命綱でない事はすぐに分かった。
敵が形成している足場を打ち壊したら、城壁の上に引き上げてもらう為のものだ。元々は城壁下に落とした石や木材を引き上げて再利用する為に用意したものではあるが……こんな所でも役に立った。
「諦める事なんてない。まだまだ、これから――」
続く言葉は剣戟に遮られたが、サニーの想いは十分に伝わった。
金髪をなびかせつつ、飛び降りた彼女の姿に、気持ちが砕かれそうだった兵士達は奮い立つ。
意図した結果ではなかったにせよ、結果的に兵士達の士気が回復したのであった。
●
あれからどれ程の時間が経過しただろうか、幾度も押し寄せてきていた敵の攻勢はいつしか徐々に穏やかになり――やがて、止んだ。
不気味なうめき声も響かない。篝火に照らされるのは、石やら木材などが散乱した地面のみだ。
勝利を知らせる鐘が響き、兵士達が歓声をあげる。
「一時はどうなるかと思ったけど、立て直せて良かったよね」
グーと背を伸ばしてサニーが言う。
冒険者達も受け持ちを維持しつつ、隣を助けに行かねばならない状況だったのだ。
戦力の分配は難しい所だったが、上手くいった訳だ。
「おかげで物資の残りはカツカツだけど」
バーネットが頭を掻きながら応えた。
彼の足元には持ち込んだ蒸留酒が転がっている。火炎瓶にせよ、木材や石にせよ、籠城戦で使用する物資はあまり残っていない。それほど、戦闘は長引き、激しかった。
もう一度、あの規模が押し寄せたら、果たして持ち堪えられるのか。
その危機感はロイも同様だった。
「近場に黒紫這者の発生地でも? 叩かないと今後も熱烈訪問が続きそうだ」
山裾の森……特に帝国領側に広がる森に潜んでいる……らしいまでは分かっている。
しかし、そこが発生源かと言われると、誰にも分からない。
ハヤトは帝国領側の斜面を睨みつつ、懸念していた事を口にした。
「あのクリーパー共、前にも増して数が増えてやがるな……」
「その通り。その見立て、流石、冒険者達だ」
そう言って、王国騎士のイェルドが姿を現す。全身傷だらけだが元気な様子だ。
無事でなによりだが、そこを褒めても喜ぶような男ではないが。
エミリアが水筒を彼に渡しながら訪ねる。
「何でここに集まるのかしら? クリーパーが欲しい何かがあるのかしら?」
「そう言われると確かにな。まぁ、何とかは高い所に登りたがるものだ」
冗談で応えた台詞にセリオスが思案しながら言う。
「砦という存在は、活用できる知力があって初めて意味を成すもの……」
黒紫這者が砦を手にしても使い道はない。
「……となると、アレか? だが、展望ぐらいにしか役に立たないぞ」
イェルドが指差したのは砦の中央に建つ、塔だった。
城壁とは造りが違うので、明らかに別時代に建てられたものとは分かる。
冒険者の勘かどうか分からないが――きっと、あの塔になにかある……そう感じずにはいられない雰囲気を、その塔は発していた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:多い6 / 4〜6人
2021年05月17日 05時54分42秒 公開
相談掲示板
シューターのロイ・アウレアです。皆さま宜しくお願いします。 初参加と成るので、お話は1,2話も読んでから改めてさせて下さい。
はーい、おねえさんはシーフのエミリアって言うわ、よろしくね! 前回運んできたものをうまく活かすにはどうしたらいいかしらねぇ? 油なんかは樽から漏れるようにして転がり落として火矢とか、地面を滑りやすくさせるとか、が思いついたかしらね。 石は…どのくらいのサイズの意思なのかしらね? そこそこ大きければ、石弓(弩ではなく落とす仕掛け)のように単純に落とすだけでも城壁にまとわりついてるのには効果ありそうよねぇ。 石や木材を使ってそういうの作れないかしらねぇ? 説明が下手なのだけれど、なんか簡素に城壁に等間隔に長い木材が飛び出るように設置して、その間に石とか油の入ったたるとかを乗せて、敵が来たら落っことすとかでも多少役に立たないかしらね?
・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず敵の数も多いわけだし、うまく迎え撃てるようにしないとな エミリアの言う通り油をまいたりするのはありだと思う
おーっす! 遅くなっちまったな。 ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな! 前回の物資も色々とあるみてーだから簡易的な迎撃兵器でも準備すっかな。 エミリアの言う斜面に油を撒いての滑らせ案に乗っかって、備蓄してある丸太や木材に油を染み込ませたロープや布を巻き付けて転げ落としてやんのはどーだ? 第一陣はそのまま落滑物としてクリーパー共を巻き込んで追い落とすイメージにして第二陣では途中火矢を放つなり最初から火をつけて転げ落とせば広範囲を巻き込んでダメージを与えられんじゃねーかと思ってよ。
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >準備 油を使った迎撃は良いと思う。 ただ、照明とか他の用途にも油は使うだろうし、その辺も考慮すると、 樽を丸ごと使う様な迎撃は、ここぞという時に使いたいな。 あとは他に有るもので迎撃の準備をするとなると、砦周辺に空堀を掘るとか、 木材を逆茂木にして砦周辺に配置する事で、敵の侵攻速度を下げたり、 侵攻ルートを制限させて、範囲攻撃に効率的に巻き込めるようにするとかは思いつくな。 これもこれで準備に時間は必要になるから、実際にできるかは微妙な所だが。 >石 まぁ砦を攻めてくる奴に対する備えだから、砦上の高さから落とされて被害が出る程度の サイズは有ると思うし、小さくてもこぶし大位の大きさは有るんじゃないか?
サニー・フォン・オルライト。クラスはシーフ よろしくね? >準備 油に関しては、こっちが暗視を揃えればある程度の節約は可能かな? とりあえず敵が攻めてくる前の準備としては、フォーサイス君が云う通りに堀は掘っておきたいかな。全方位に それで堀に沿う様に防護柵を設置して、一辺に対して2つくらいは通り道をあえて作っておきたいね 通り道もそのまま作るんじゃなくて、敵の流れが詰まる様に中間地点を絞って作る。堀には棘とかを設置して置いて徹底的に通れなくする そうすればフォーサイス君の言う様に、通り道に敵が殺到してこっちの火力を集中させやすいし、少人数でもある程度対処しやすくなる。かな まぁ、そこまで作業する時間があるかって言われたらどうなんだろうね、って感じなんだけど
遅くなりました。 ここが皆で守って来た砦で、物資も困らない程度にある事が具体的に浮かびました。 壁・地面に油を塗る、堀を作る、周囲に木材で逆茂木、侵攻ルートを制限させ範囲攻撃に効率的に巻き込む イェルドさんのOKが出ればどれも仕度したいね。 オレが思いついたのは、ちょっと大掛かりなので…OKを貰えるか判らないが 壁の上に大きくせり出した鼠返しを支度して手が掛けられないようにしたいのと 砦に城壁の開閉に使えるような大型の滑車は無いかな? あるなら壁壁面に添うように丸太をセットし、黒紫這者がある程度登ったら丸太を壁面に沿うよう直線的に落とす事で、窓の水滴をゴムベラで掻き落とすように振り落とせないだろうか? その後、滑車を巻いて丸太を引き上げれば何度でも使える。 読んだ限り黒紫這者に知性はあまりないので、落とされても懲りず同じ位置から登ってくれそうだ。 今、思い付いてるのはその2点で、どうやったら具体的になるかな…と考えてるよ。 あ、馬車の車輪…滑車の代わりに使えないだろうか?
追伸 丸太ではなく、エミリアさん案の石を、網や袋に入れて落し滑車とロープで引き上げれば 何度も使えて体力の消耗も抑えられるのと コンパクトになるので砦の兵にも担当して貰えそうだがどうだろう。 登ってくる位置に合せピンポイントに落とす事も可能だろうし。 侵攻ルートを制限させる流れで登れるルートも絞れば、対応もし易くないかな?
おはようございます。 3連投になるが24時間切ったので後2案の追加と もしも相談がまとまらなかった場合は自分の発案した分はイェルドさんに提案する事 皆の提案した作業は積極的に手伝うとプレに入れます宣言をするね。 油樽はここ一番に残すとして、小分けにして使うならどうかな? 水筒(小)(大)に油を入れ、火炎瓶ならぬ火炎筒にして群れに投げ入れるとか 小麦やコーンスターチを薄い紙に包み、群れの上に投げ矢で射り、粉砕+火矢で燃やす粉塵爆弾を考えてます。 このメリットは、砦兵の手でも攻撃できる点なので時間稼ぎ出来ないかな? スキルは隣の辺がピンチや城壁上に敵が出現する、ある時点まで残す予定です。
昨日発言したつもりが、投稿してなかった…… >準備 うーむ……手元で何か作る系はまぁ、大体何とかなりそうだとして 空堀とかの土木系は時間がちと厳しそうだから、逆茂木とバリケード位にした方がいいか? まぁ、ここまで来たら、アウレアが纏めてくれたものを含め、やれそうな事は纏めて砦側に 提案してみる方向で良いかもな。 実現できそうな物だけ現地でGOサインが出る様だし、提案して協議するだけならタダだ。 >個人行動 とりあえず、逆茂木だとかバリケードだとかは、俺の方で提案だな。 あとは汎用に建築・土木と木工は積んでおいて、土木作業の指揮とか、 木材加工で他の準備案も手伝える様にしておく。 戦闘の方で範囲火力と足止め重視。 アーケインテンペスト改で敵を足止めし、敵が詰まった所に範囲攻撃で纏めて薙ぎ払う予定だ。
ロイの出してくれた案もそれぞれ面白ぇと思うぜ! バーネットも言うようにあとはイェルドに提案してみて採用されるかどうか次第でいいんじゃねーか? 俺は個人的にはクリーパー共が隣の辺に登り着くまでは上から投石やらで援護、隣が襲われて接近戦になったら壁歩きとかも使って移動して助けに入る感じで動くぜ!
バーネット、ハヤトさん、ありがとう。書くだけ書いておくよ。 見落としてたのが >冒険者達だけで一辺を守らせる 準備はともかく、粉塵爆弾は兵士の一部を借りる前提だったので 自分達だけで行うなら、少しコンパクトに纏めようと思う。 >敵を足止めし、敵が詰まった所に範囲攻撃 炸光矢2も持つつもりなので、手伝わせて欲しい。 後は隣の壁上のクリーパーを纏めて落とすように貫通衝撃射を持つね。
あら、ごめんなさい、もう明日になってしまってたわね。 細かい案に関しては、もう、冒険者で打ち合わせより、みんな各自が思い浮かんだのを砦側に提案って形にするのが良いかもしれないわね……申し訳ないわ。 油の樽に関しては無造作に転がっているってあるから、ある程度たくさんるものと思ってたわ、無駄にしないような案を考えてみるわね。