ただ肉を食い尽くすことを競います
岩岡志摩
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シナリオID:851
オープニング
●経緯
当たり前の話になるが、この世界では魔獣が存在する。
魔獣達は時として人間を襲う存在もいるが、基本的には自分より弱い獣を襲うことが多い。
なぜそんな話をここに記載するかというと、ある集落において、住民達が育てていた家畜を魔獣達が襲ったからだ。
住民達の手で、魔獣達は狩られるか撃退されたものの、後に残ったのは魔獣に命を奪われ、食い散らかされた家畜の肉体だった。
魔獣に食い荒らされた家畜の肉など、どんなにきれいにしても売り物にはしづらい。
事情を知れば、食べようとする人は少ないだろう。
そうなると、食い散らされた家畜の肉などは廃棄するか、肥料のたしにするしかない。
普通ならそう考えるのが自然だが、この集落の人々は強かだった。
「だったら事情を話しても食べてくれる人たちに、食い尽くしてもらおうじゃないか」
そう主張する集落の人々の脳裏には、ほぼ同時に冒険者達の姿が浮かんでいた。
確かに冒険者達なら、魔獣に食い散らされようが、食える部分があれば残らず平らげてくれるだろう。
「この際だ。冒険者達の食べっぷりを見せる大会にすればいいんじゃないか?」
「いいな。肉が台無しになる前に、俺達で準備をしよう」
「料理を作ってくれる人達を集めるのは任せろ。ちょっと食材の調達で貸しがある奴らがいる」
集落の人々の行動は早かった。
●肉肉肉
そして様々な交渉(物理)と準備と根回しを重ね、その集落では大食い大会が始まる。
集落の人々や、話を聞きつけた旅人が集まり、盛り上がる大食い会場。
「胃が壊れるまで食べたいかー! 浜に打ち上げられた魚のように動けなくなるまで食べたいかー!」
司会役を務める集落の人が割と物騒なことを叫び、参加者を煽る。
なお参加者というのは、依頼に応じた冒険者である皆様方のことだ。
「ルールは簡単、お肉を食べるだけ!」
主な肉は鶏肉や牛肉、豚肉で、あの食い散らされた肉の数々は、理性がぶっ飛びそうな料理の数々へと変貌を遂げた。
鳥の丸焼きは、食われた頭や内臓の部分を丁寧に除去した後、香草や野菜、卵を詰めてローストした一品に仕上がっている。
切り分けた皿の上では、香草で香り付けされた透明な肉汁があふれ、肉と一緒に熱を加えられた野菜や卵が湯気をたてて、肉汁の海の中で輝いている。
半分喰われた牛も、食われていない部位の肉だけ調理すれば、ステーキや炭火焼きへと早変わり。
焼きたての牛肉からは、時折脂がしたたり落ちて、じゅうじゅうと音を立てている。
圧巻は、頭を食われた大型の豚をうまく調理した豚の丸焼き。
豚の丸焼きの匂いの香ばしさといったら、耐え難いほど。
油を塗って香ばしく焼けた皮は、明るい茶色に輝いていた。
「食べ方は自由! 最終的に食い尽くすことができれば問題なし!」
大会側……というか冒険者に依頼を出した集落側からすれば、全て誰かの胃袋におさまってくれればいいようだ。
そしてもっとも大量に食べきった猛者が、最優秀の健啖家として称えられる。
称賛されるだけで、特に何かの商品が出たりとか名誉が増えるとか、そう言った話はないので、そこはご了承願いたい。
そして暴力的なまでに食欲をそそる匂いを漂わせる、数々の料理が冒険者達を待ち受けていた。
●特殊ルール
この大食い大会では、誰が一番多くの肉を食べられるのかを競いますが、それよりも優先されるのは並べられた料理を全て食いつくすことです。
お残しはできません。
それぞれの肉料理の量ですが、およその目安として普通の人が食べる量を基準としますと、鳥料理が10~15人前、牛肉料理が20~25人前、豚料理が30~35人前程度あります。
鳥料理だけ量が少ないと思われるかもしれませんが、卵は意外と腹が膨れます。そのためこの比率になっています。
大会主催者側は、冒険者の皆様ならお一人で5~10人前くらいは平らげるだろうと予想して、この量にしています。
そのため、競いながらも誰がどの料理を食って、最終的には全て食い尽くせるようにするのかを予め相談し合うのも手です。
大会に参加する前に食事を抜いたり運動を重ねて、予めお腹を空かせていくことも一つの手です。
ここから先は大会主催者側が暗黙の了解として認めている内容です。
大会規定としては、水を飲んだり他のものを食べるなどしてはいけないとされていますが、ばれなければ大丈夫です。
そしてマジカルポケットを使うなどして、食べる量を誤魔化したとして、ばれなければ問題ありません。
バレなければ、肉を食い尽くすためどのような手段を使っても大丈夫です。
ただし食べ物を駄目にするような行動だけはお控えください。
それでは、鋼鉄の胃袋を持つ冒険者の皆様。
大食い大会、スタートです。
当たり前の話になるが、この世界では魔獣が存在する。
魔獣達は時として人間を襲う存在もいるが、基本的には自分より弱い獣を襲うことが多い。
なぜそんな話をここに記載するかというと、ある集落において、住民達が育てていた家畜を魔獣達が襲ったからだ。
住民達の手で、魔獣達は狩られるか撃退されたものの、後に残ったのは魔獣に命を奪われ、食い散らかされた家畜の肉体だった。
魔獣に食い荒らされた家畜の肉など、どんなにきれいにしても売り物にはしづらい。
事情を知れば、食べようとする人は少ないだろう。
そうなると、食い散らされた家畜の肉などは廃棄するか、肥料のたしにするしかない。
普通ならそう考えるのが自然だが、この集落の人々は強かだった。
「だったら事情を話しても食べてくれる人たちに、食い尽くしてもらおうじゃないか」
そう主張する集落の人々の脳裏には、ほぼ同時に冒険者達の姿が浮かんでいた。
確かに冒険者達なら、魔獣に食い散らされようが、食える部分があれば残らず平らげてくれるだろう。
「この際だ。冒険者達の食べっぷりを見せる大会にすればいいんじゃないか?」
「いいな。肉が台無しになる前に、俺達で準備をしよう」
「料理を作ってくれる人達を集めるのは任せろ。ちょっと食材の調達で貸しがある奴らがいる」
集落の人々の行動は早かった。
●肉肉肉
そして様々な交渉(物理)と準備と根回しを重ね、その集落では大食い大会が始まる。
集落の人々や、話を聞きつけた旅人が集まり、盛り上がる大食い会場。
「胃が壊れるまで食べたいかー! 浜に打ち上げられた魚のように動けなくなるまで食べたいかー!」
司会役を務める集落の人が割と物騒なことを叫び、参加者を煽る。
なお参加者というのは、依頼に応じた冒険者である皆様方のことだ。
「ルールは簡単、お肉を食べるだけ!」
主な肉は鶏肉や牛肉、豚肉で、あの食い散らされた肉の数々は、理性がぶっ飛びそうな料理の数々へと変貌を遂げた。
鳥の丸焼きは、食われた頭や内臓の部分を丁寧に除去した後、香草や野菜、卵を詰めてローストした一品に仕上がっている。
切り分けた皿の上では、香草で香り付けされた透明な肉汁があふれ、肉と一緒に熱を加えられた野菜や卵が湯気をたてて、肉汁の海の中で輝いている。
半分喰われた牛も、食われていない部位の肉だけ調理すれば、ステーキや炭火焼きへと早変わり。
焼きたての牛肉からは、時折脂がしたたり落ちて、じゅうじゅうと音を立てている。
圧巻は、頭を食われた大型の豚をうまく調理した豚の丸焼き。
豚の丸焼きの匂いの香ばしさといったら、耐え難いほど。
油を塗って香ばしく焼けた皮は、明るい茶色に輝いていた。
「食べ方は自由! 最終的に食い尽くすことができれば問題なし!」
大会側……というか冒険者に依頼を出した集落側からすれば、全て誰かの胃袋におさまってくれればいいようだ。
そしてもっとも大量に食べきった猛者が、最優秀の健啖家として称えられる。
称賛されるだけで、特に何かの商品が出たりとか名誉が増えるとか、そう言った話はないので、そこはご了承願いたい。
そして暴力的なまでに食欲をそそる匂いを漂わせる、数々の料理が冒険者達を待ち受けていた。
●特殊ルール
この大食い大会では、誰が一番多くの肉を食べられるのかを競いますが、それよりも優先されるのは並べられた料理を全て食いつくすことです。
お残しはできません。
それぞれの肉料理の量ですが、およその目安として普通の人が食べる量を基準としますと、鳥料理が10~15人前、牛肉料理が20~25人前、豚料理が30~35人前程度あります。
鳥料理だけ量が少ないと思われるかもしれませんが、卵は意外と腹が膨れます。そのためこの比率になっています。
大会主催者側は、冒険者の皆様ならお一人で5~10人前くらいは平らげるだろうと予想して、この量にしています。
そのため、競いながらも誰がどの料理を食って、最終的には全て食い尽くせるようにするのかを予め相談し合うのも手です。
大会に参加する前に食事を抜いたり運動を重ねて、予めお腹を空かせていくことも一つの手です。
ここから先は大会主催者側が暗黙の了解として認めている内容です。
大会規定としては、水を飲んだり他のものを食べるなどしてはいけないとされていますが、ばれなければ大丈夫です。
そしてマジカルポケットを使うなどして、食べる量を誤魔化したとして、ばれなければ問題ありません。
バレなければ、肉を食い尽くすためどのような手段を使っても大丈夫です。
ただし食べ物を駄目にするような行動だけはお控えください。
それでは、鋼鉄の胃袋を持つ冒険者の皆様。
大食い大会、スタートです。
解説
●目標
大食い大会に出された肉料理を全て食い尽くす
登場
集落の人々
今回大食い大会を企画し、運営する人々。
魔獣に家畜を食い散らされ、処分に困り冒険者達に食べてもらおうと、今回の大食い大会を企画した。
最終的に食い尽くしてくれるなら、ある程度のことは大目に見る予定。
大量の肉
今回の攻略対象。様々な料理に調理され、皆様に食べつくされるのを待っている。
およその目安で鶏肉が5~10人前、牛肉が20~25人前、豚肉が30~35人前程度ある。
状況
とある山あいに近い集落。現地時刻は正午快晴。皆様は集落の依頼に応じたという形で、この集落を訪れ、大食い大会に参加した。
料理は全て集落が手配した料理人が行うので、皆様は食べつくせばいい。なお依頼の形をとっているので、報酬が少し発生している。
皆様は下記の席の箇所から行動開始。それぞれの料理に向かって食い尽くすという流れになるが、その際バレなければどのような手段を講じても構わない。
(例:マジカルポケットを使う、水を飲む)
ただし料理を台無しにするような真似をした場合、やった人は責任をもって駄目にした料理を完食してもらう。この場合駄目にした料理は食い尽くした肉の量にカウントされないので注意。
以下は大食い大会会場の大まかな見取り図。
↑北
123456789
A
B 鶏 牛牛
C 鶏 席席 牛
D 鶏 席席 牛牛
E 鶏 席席
F 豚豚
G 豚豚豚豚豚豚豚
H
席:スタート地点。自由に選択重複可。
鶏:鳥肉料理が置かれたテーブル。
牛:牛肉料理が置かれたテーブル。
豚:豚肉料理が置かれたテーブル。
マスターより
こちらはPC様からのシナリオリクエストとなります。
最終的に肉を食い尽くしてくださるのであれば、どのように食して下さっても構いません。
大食い大会で肉を食い尽くしてくださる冒険者を、集落ではお待ちしています。
ご不明な点がございましたら、出発36時間前まででしたらアルヒ・ラスカスが答えられる範囲は答えます。
リプレイ
●レッツ大食い
この日、大食い大会に参加した冒険者達は、一様に上機嫌だった。
「にゃ――! お肉よこせ――!」
いち早く料理の群れへとダイブをかましたのは、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ。
さぁ、サフィラ選手、気合いの雄叫びで入場とともにスタート。
全ての肉を駆逐してやると言わんばかりの気合いです。
「今日のために三日もお腹すかせてきたんだからっ! 高いお肉から味わっていくよっ!」
腹いっぱい食べるためにサフィラ選手、努力を惜しみません。
既にサフィラ選手、食欲の権化と化しています。
「ああ、今日ほど冒険者に登録しておいて良かったと思った日はありません。なんていう幸運でしょうか、こんな依頼にありつけるなんて」
リディリディ・トゥラ・イェレミースは普段の様子とは異なり、満面の笑みを浮かべている。
スタートする座席も、どの肉からも近い席をおさえている。
「一生分の運を使ってしまったのかもしれませんが、こんなにお肉を食べられるなら本望です」
リディリディ、肉料理の群れを前に言い切った。
「この日のために調整してきたんだ……まずは食うぞぉ!」
バーネット・フォーサイスは周囲に積み上げられた料理の群れを前に、意気揚々とまず一皿分を切り分け始める。
この日のためにバーネットは、前日までは消化の良い食事を満腹まで食べることで、胃の拡張を試みたり、大会当日も朝食を早めの時間に少量摂り、空腹で胃が縮むのを防止するなど、常ならぬ努力をしている。
「……まぁ、食べきらにゃならん事を除いてだが」
そう、バーネット達の言う通り。待ち構える料理は大量にある。
「タダでお肉をいただけるのでございますか?」
ハリーヌ・ヨツユビは、改めて大会の主催者に確認を取る。
ハリーヌの期待に応えるように、大会主催者側は大きく頷きを返し、事情を説明する。
「ほうほう、魔獣に……。それは残念でございましたね。せめて無駄にしないことが供養でございますから、皆様がんばるでございますよ!」
なおハリーヌも食い尽くす側なので、頑張ってほしい。
「大会は兎も角、主旨に大いに納得しているのだ。全く問題ないのに肥料にされるのは勿体無いというもの」
ストレガ・L・リベルガストラは、今回の依頼もとい大食い大会になった経緯に深く頷いている。
「とゆか勿体無いし、問題ないのも知ってるなら村人も食べればいいのでは? ……もう食べてる? なら仕方ないのだ」
大会が行われている場所周囲でも、集落の人達は旅人たちも巻き込んでの宴会に突入していることは、ストレガも見てとれた。
「ここに難民も来ていたら喜んだだろうになーとも。干肉にするのも限界あるので仕方ないのだ」
ということで、ストレガも周囲に鎮座する料理へと手を付け始める。
「久しぶりの満腹の予感! ご飯を食べて喜ばれるとは―! なんという幸せでしょうか!?」
クラリス=ミシェは大量のタダ飯アンド報酬ありという今回の依頼に、喜びを隠さない。
ミシェは腹ペコの状態でこの大会に参加しているため、大量に食すことは問題ない。
「私、おうちがない身ですのでいつでも腹ぺこなのです。沢山食べられる……お肉……(じゅるり)」
ミシェは周囲に並ぶ肉料理を前に、その食欲を解放する。
「みんなで美味しく頂きましょうー!」
ミシェは、まず豚肉料理から手を付け始める。
スタートはバラバラだったが、食べつくすことが主旨のこの大会では、特に問題にならない。
それでは、大食い大会スタート。
●いざ実食
会場は冒険者達の振るうフォークやナイフが、料理とぶつかり合う喧騒に包まれる。
冒険者達は選り好みすることなく、それぞれの肉料理と『格闘』していく。
「タダ飯……どころか報酬貰ってまで食える飯は、色々な意味でウマイな」
バーネットは牛肉、豚肉、鶏肉の順に1皿ずつ料理を切り分け、その味に飽きないよう調整しながら料理を堪能する。
バーネットはどの料理も小さく切り分け、口に運んでいる。
なお調味料の使用については既に大会主催者側より許可が出ているので、バーネットは堂々と使っている。
バーネットの口の中で、肉の滋味と調味料が美味となる反応を引き起こし、バーネットの舌を喜ばせている。
「とりあえず……食べられるだけ食べるとするか」
一口ごとの量は多くないが、バーネットは着実にそれぞれの料理を平らげていく。
「どのお肉も美味しそうでなによりですね。存分に味わいましょう」
幸せそうな顔で、リディリディは鶏肉、牛肉、豚肉とバランスよく料理を皿に取り、どんどん食していく。
いずれの肉質もとてもきめ細かで、リディリディの舌にしっとりと当たり、素直な味が口の中に広がる。
「お肉を食べていると自然とよだれ……いえいえ唾液が出てきますから、お水が飲みたいということはないでしょう」
実際にリディリディが食した料理を飲み込むたびに、肉料理の心地よい暖かさが喉を通過していく感触がたまらない。
「お酒は飲みたいですが、肉本来の味を味わうのでしたら、今回の飲まない方式で良いかもしれませんね(もぐもぐ)」
リディリディの食べるペースは特段速いわけではないが、遅くなることもない。
その近くにいるサフィラ(選手)もまたゆっくり味わいながらも、リディリディと競うように(?)空になった皿を積み上げている。
「ダブルエッジとトリプルファングで、5倍早くあたしはお肉を食べれるのだっ!」
サフィラ選手、よく見るとダブルエッジとトリプルファングをそれぞれ使い分け、肉を切り分けています。
ストライクガントレット(右)とダマスカス鋼の爪の代わりに、それぞれの手に握られたナイフが縦横に振るわれ、断ち割られた肉がサフィラ選手の口へとおさまっていく。
噛み締めるごとに肉の旨味が口に広がり、肉を食っているという実感をサフィラ選手に教えてくれる。
そうこうしている間にサフィラ選手、牛肉を平らげると次は鶏肉料理へと狙いを定めていく。
「うーん……鶏肉はちょっと遠いなぁ……えいっ!」
ここでサフィラ選手、念動力を使った。
遠くにある鶏肉料理を乗せた皿が、サフィラ選手のもとへ引き寄せられる。
こちらの鶏肉も素早く解体され、サフィラ選手の口に運んだ塩味ベースの肉にはしっかり脂があり、入れられた香味野菜とよく合っている。
ミシェはというと、豚の丸焼きを中心にして、様々な料理を平らげている。
「ほかのお肉をもらいながら、とにかく食べまくります」
こんがりと焼けた皮の香ばしさもさることながら、柔らかく、それでいて弾力もある肉は、ミシェが噛む度にたっぷりと肉汁が弾け、美味の花をミシェの口の中で咲かせている。
丸ごとあった豚がどんどん骨になっていく光景は、圧巻と言えた。
「数日分の食事として、ここでとっておきたいのです」
どうやらミシェはこの機会に食いだめするつもりのようだ。
ミシェの手はフォークを進めたがり、鼻は香りを味わいたがった。
その一方、ストレガはいたってマイペースに食事を進めている。
「そも、一応水は飲めない事になってるので、早食いして喉に詰まっても知らんのだ」
とにかく自分のペースで料理を味わい、たらふく食す。
「鳥のローストは私もよくやるのだ。香草薬草を詰め込んで健康増進と、効率良い薬効を期待できるのだ」
ストレガは一方で料理への賛辞も忘れていない。
「牛はこの品質とても勿体ない。訳あり品でなければ貴族にも卸せただろうに!」
ゆっくりと噛めば肉は予想以上の軟らかさで、甘い肉汁と旨さがストレガの口内にほどけていく。
「ステーキとは豪勢でございますね! ワタクシ、ほっぺたが落ちそうでございますよ」
炭火で焼かれた牛肉は、程よい焦げ目と黒みがかった茶色が食欲をそそり、ハリーヌは脂や肉汁と共に口の中へと頬張る。
牛肉の他にも豚の丸焼きや鶏肉料理も皿に盛ったハリーヌは、バランスよく食しながらふと周囲を見渡す。
「さて、皆様の食欲は……と」
他の冒険者達が料理を平らげるスピードはバラバラだったが、一つ言えるとすれば、全員食べるスピードがいまだ落ちていない。
「なんだか凄い方もいらっしゃるようでございますね?」
他の冒険者達の食べっぷりに、ハリーヌは驚く。
ハリーヌは食べられるだけ食べるつもりだが、当人は大食いではなく普通の胃の容量の持ち主なので、自分のペースを維持していた。
●残しません
皿の上の料理は無尽蔵とさえ思えたが、終盤に差し掛かると皿の白さをさらしていく。
「そういえば、誰がどれから食べるとか、完食するためにどうするかとか、その辺の打ち合わせとかしなかったな」
バーネットの呟きに、近くで牛肉料理を食していたサフィラが応じる。
「んー、とりあえず目の前にあるお肉を食べ尽くすことしか考えてなかったから適当だねっ!」
サフィラからの答えに、バーネットは口に料理を運ぶ手を止めないまま思案し、結論を出す。
「……まぁ、なんとかなるか」
バーネットは、可能な限りその場で食べることを目指している。
その近くでは、ストレガがそれぞれの肉をバランスよく摂取し続けている。
「豚に関しては量の多さから一番消費せねばなるまい。できる限り消費しようなのだ」
ピュアウォーターで生成した水を使い、食事に見せかけて喉を潤しながら、ストレガは冷静に食す料理の優先順位をつけている。
大会には参加しているものの、ストレガにはこの大会で勝利する気はない。
むしろ今回の料理に使われた食材や調理方法などのほうに、意識が向けられている。
(マジカルポケットを使用し可能な限り限界まで詰め込み、持ち帰って頂く事にするのだ。明日以降に解体してパンにサンドするなりの弁当にするのだ)
既にストレガはマジックポケットを駆使して、料理を食べるフリをしながら懐の布で一つにまとめ、収納していた。
「え、ひとりで5人から10人前っていう想定なのですか?」
ここでリディリディは、大会主催者が1人あたりが食べきれるとみなした食事量を知る。
「あの……遠慮しなくても良いんですよ。もっと出してもらっても良いんですよ?」
などというリディリディの進言もあり、村人達も頑張ったがいまだ手つかずとなっていた肉料理が急遽温めなおされて、冒険者達のもとへ運ばれてくる。
「うっぷ……おなかいっぱいになってきた……」
それまで牛肉料理から攻め、量を稼ごうという作戦をとっていたサフィラも、食べるペースが落ちてきた。
しかし追加の料理にリディリディが手を伸ばすのを見たサフィラは、食べる手を止めない。
「こうなったらあたしもいっぱい食べるんだからっ!」
もはやサフィラは執念でリディリディに対抗し、食べ続ける。
「流石にそろそろ限界か……不本意だが、やるか」
バーネットはマントや手品スキルを駆使して、挙動を隠しながら料理を包み始める。
(一纏めに包んでマジカルポケットに格納だ)
食べるフリをしながら、バーネットは料理を懐の紙に包み、マジカルポケットを駆使し収納する。
「お肉がまだたくさんあるのでございますね! ククッ……」
このころハリーヌはエーテルリンク2も駆使して、同伴していたゴリラに目立つ動きをするよう指示を出していた。
ゴリラが胸を叩く仕草(ドラミング)に大会主催者や観客の注意が向けられる中、ハリーヌは私物と押し通して足元に置いていたバックパックの口を開け、マジカルポケットを駆使して忍ばせていた水袋(大)を取り出し、肉料理を詰め込んでいる。
(今後も食べたいのでこっそり持って帰りたいのです……ぐぬぬう)
この頃にはすさまじい食べっぷりを見せていたミシェも、食べる速度が落ちてきている。
苦し紛れにヒールを使い、何かしらの回復効果は得られなくとも「まだ大丈夫」と自身に言い聞かせたり、ハリーヌのゴリラが観客の注目を集める隙を上手く利用しながら、自身も隠蔽スキルを駆使してマントの下に隠したバックパックに料理を詰め込むなどしていたが、限界は近いようだ。
ここでハリーヌがこれ以上の参加は無理と判断し、棄権を宣言する。
(持ち帰った料理は、いつも泊まっている宿のご主人やお客さんに振る舞って、恩を売るのが良さそうだな)
そんな算段をつけながら、ハリーヌは何食わぬ顔で料理を隠したまま会場観客席側へと移動し、応援に回る。
その間にもミシェが大会主催者達に向け交渉スキルを駆使して、料理の持ち帰り許可を得ようとしていた。
どうやら隠し通すよりは、正直に申請した方がより多く料理を持ち帰ることができるとミシェは判断したらしい。
「これほどおいしいお料理にできるなんて、今日一日ではもったいないのです! ぜひ、ぜひともこれからもおうちで食べさせてください!」
ミシェからすれば、死活問題である。
「後生ですので……! 必ずおいしくいただきますゆえ!」
そして追加の料理を着実に食していたリディリディも、大会主催者に問いかける。
「あの、お土産としてお肉を持ち帰ることってできるのでしょうか?」
リディリディはそれを期待して、バックパックや革袋を持参していた。
大会主催者側からすれば、食い尽くしてくれれば問題はないということなので、持ち帰った料理については当人が責任をもって処理すること、会場で食した量にはカウントされないことを条件に、いずれの持ち帰りも認められることとなった。
果たしてこの大食いを制するのは一体誰なのか?
●ごちそうさまでした
あれだけあった肉料理が全て平らげられたところで、大会主催者側より終了が告げられる。
持ち帰りの許可が下りたことで、残っていた料理も全て食されるか収納され、空になった皿の群れだけがテーブルに積み上げられていた。
最も大量に食べきった猛者に送られる、大食いチャンピオンの称号については審議の結果、同率一位とみなしてサフィラとバーネットの2人が選出される。
しかし他の参加者達も、それぞれの形で料理を食いつくすことに貢献したので、改めて集落の人々は今回依頼に応じてくれた冒険者達全員への称賛と拍手を惜しまなかった。
「このような依頼だったらいつでも呼んでください。すぐに駆け付けることをイェレミースの名において誓いましょう」
リディリディは集落の人達にそんな約束を残し、他の冒険者達と共に帰還していく。
冒険者達はタダで飯が食えた上に、お土産として料理を持ち帰ることができてハッピー。
集落の人達も、食材を無駄にすることなく処分できてハッピー。
こうして誰にも損がない大食い大会は、大きな盛り上がりを見せ無事終了した。
ごちそうさまでした。
ふたたび集落で食べきれない肉が大量に出たとしても、冒険者達がなんとかしてくれるだろう。
――たぶん。
この日、大食い大会に参加した冒険者達は、一様に上機嫌だった。
「にゃ――! お肉よこせ――!」
いち早く料理の群れへとダイブをかましたのは、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ。
さぁ、サフィラ選手、気合いの雄叫びで入場とともにスタート。
全ての肉を駆逐してやると言わんばかりの気合いです。
「今日のために三日もお腹すかせてきたんだからっ! 高いお肉から味わっていくよっ!」
腹いっぱい食べるためにサフィラ選手、努力を惜しみません。
既にサフィラ選手、食欲の権化と化しています。
「ああ、今日ほど冒険者に登録しておいて良かったと思った日はありません。なんていう幸運でしょうか、こんな依頼にありつけるなんて」
リディリディ・トゥラ・イェレミースは普段の様子とは異なり、満面の笑みを浮かべている。
スタートする座席も、どの肉からも近い席をおさえている。
「一生分の運を使ってしまったのかもしれませんが、こんなにお肉を食べられるなら本望です」
リディリディ、肉料理の群れを前に言い切った。
「この日のために調整してきたんだ……まずは食うぞぉ!」
バーネット・フォーサイスは周囲に積み上げられた料理の群れを前に、意気揚々とまず一皿分を切り分け始める。
この日のためにバーネットは、前日までは消化の良い食事を満腹まで食べることで、胃の拡張を試みたり、大会当日も朝食を早めの時間に少量摂り、空腹で胃が縮むのを防止するなど、常ならぬ努力をしている。
「……まぁ、食べきらにゃならん事を除いてだが」
そう、バーネット達の言う通り。待ち構える料理は大量にある。
「タダでお肉をいただけるのでございますか?」
ハリーヌ・ヨツユビは、改めて大会の主催者に確認を取る。
ハリーヌの期待に応えるように、大会主催者側は大きく頷きを返し、事情を説明する。
「ほうほう、魔獣に……。それは残念でございましたね。せめて無駄にしないことが供養でございますから、皆様がんばるでございますよ!」
なおハリーヌも食い尽くす側なので、頑張ってほしい。
「大会は兎も角、主旨に大いに納得しているのだ。全く問題ないのに肥料にされるのは勿体無いというもの」
ストレガ・L・リベルガストラは、今回の依頼もとい大食い大会になった経緯に深く頷いている。
「とゆか勿体無いし、問題ないのも知ってるなら村人も食べればいいのでは? ……もう食べてる? なら仕方ないのだ」
大会が行われている場所周囲でも、集落の人達は旅人たちも巻き込んでの宴会に突入していることは、ストレガも見てとれた。
「ここに難民も来ていたら喜んだだろうになーとも。干肉にするのも限界あるので仕方ないのだ」
ということで、ストレガも周囲に鎮座する料理へと手を付け始める。
「久しぶりの満腹の予感! ご飯を食べて喜ばれるとは―! なんという幸せでしょうか!?」
クラリス=ミシェは大量のタダ飯アンド報酬ありという今回の依頼に、喜びを隠さない。
ミシェは腹ペコの状態でこの大会に参加しているため、大量に食すことは問題ない。
「私、おうちがない身ですのでいつでも腹ぺこなのです。沢山食べられる……お肉……(じゅるり)」
ミシェは周囲に並ぶ肉料理を前に、その食欲を解放する。
「みんなで美味しく頂きましょうー!」
ミシェは、まず豚肉料理から手を付け始める。
スタートはバラバラだったが、食べつくすことが主旨のこの大会では、特に問題にならない。
それでは、大食い大会スタート。
●いざ実食
会場は冒険者達の振るうフォークやナイフが、料理とぶつかり合う喧騒に包まれる。
冒険者達は選り好みすることなく、それぞれの肉料理と『格闘』していく。
「タダ飯……どころか報酬貰ってまで食える飯は、色々な意味でウマイな」
バーネットは牛肉、豚肉、鶏肉の順に1皿ずつ料理を切り分け、その味に飽きないよう調整しながら料理を堪能する。
バーネットはどの料理も小さく切り分け、口に運んでいる。
なお調味料の使用については既に大会主催者側より許可が出ているので、バーネットは堂々と使っている。
バーネットの口の中で、肉の滋味と調味料が美味となる反応を引き起こし、バーネットの舌を喜ばせている。
「とりあえず……食べられるだけ食べるとするか」
一口ごとの量は多くないが、バーネットは着実にそれぞれの料理を平らげていく。
「どのお肉も美味しそうでなによりですね。存分に味わいましょう」
幸せそうな顔で、リディリディは鶏肉、牛肉、豚肉とバランスよく料理を皿に取り、どんどん食していく。
いずれの肉質もとてもきめ細かで、リディリディの舌にしっとりと当たり、素直な味が口の中に広がる。
「お肉を食べていると自然とよだれ……いえいえ唾液が出てきますから、お水が飲みたいということはないでしょう」
実際にリディリディが食した料理を飲み込むたびに、肉料理の心地よい暖かさが喉を通過していく感触がたまらない。
「お酒は飲みたいですが、肉本来の味を味わうのでしたら、今回の飲まない方式で良いかもしれませんね(もぐもぐ)」
リディリディの食べるペースは特段速いわけではないが、遅くなることもない。
その近くにいるサフィラ(選手)もまたゆっくり味わいながらも、リディリディと競うように(?)空になった皿を積み上げている。
「ダブルエッジとトリプルファングで、5倍早くあたしはお肉を食べれるのだっ!」
サフィラ選手、よく見るとダブルエッジとトリプルファングをそれぞれ使い分け、肉を切り分けています。
ストライクガントレット(右)とダマスカス鋼の爪の代わりに、それぞれの手に握られたナイフが縦横に振るわれ、断ち割られた肉がサフィラ選手の口へとおさまっていく。
噛み締めるごとに肉の旨味が口に広がり、肉を食っているという実感をサフィラ選手に教えてくれる。
そうこうしている間にサフィラ選手、牛肉を平らげると次は鶏肉料理へと狙いを定めていく。
「うーん……鶏肉はちょっと遠いなぁ……えいっ!」
ここでサフィラ選手、念動力を使った。
遠くにある鶏肉料理を乗せた皿が、サフィラ選手のもとへ引き寄せられる。
こちらの鶏肉も素早く解体され、サフィラ選手の口に運んだ塩味ベースの肉にはしっかり脂があり、入れられた香味野菜とよく合っている。
ミシェはというと、豚の丸焼きを中心にして、様々な料理を平らげている。
「ほかのお肉をもらいながら、とにかく食べまくります」
こんがりと焼けた皮の香ばしさもさることながら、柔らかく、それでいて弾力もある肉は、ミシェが噛む度にたっぷりと肉汁が弾け、美味の花をミシェの口の中で咲かせている。
丸ごとあった豚がどんどん骨になっていく光景は、圧巻と言えた。
「数日分の食事として、ここでとっておきたいのです」
どうやらミシェはこの機会に食いだめするつもりのようだ。
ミシェの手はフォークを進めたがり、鼻は香りを味わいたがった。
その一方、ストレガはいたってマイペースに食事を進めている。
「そも、一応水は飲めない事になってるので、早食いして喉に詰まっても知らんのだ」
とにかく自分のペースで料理を味わい、たらふく食す。
「鳥のローストは私もよくやるのだ。香草薬草を詰め込んで健康増進と、効率良い薬効を期待できるのだ」
ストレガは一方で料理への賛辞も忘れていない。
「牛はこの品質とても勿体ない。訳あり品でなければ貴族にも卸せただろうに!」
ゆっくりと噛めば肉は予想以上の軟らかさで、甘い肉汁と旨さがストレガの口内にほどけていく。
「ステーキとは豪勢でございますね! ワタクシ、ほっぺたが落ちそうでございますよ」
炭火で焼かれた牛肉は、程よい焦げ目と黒みがかった茶色が食欲をそそり、ハリーヌは脂や肉汁と共に口の中へと頬張る。
牛肉の他にも豚の丸焼きや鶏肉料理も皿に盛ったハリーヌは、バランスよく食しながらふと周囲を見渡す。
「さて、皆様の食欲は……と」
他の冒険者達が料理を平らげるスピードはバラバラだったが、一つ言えるとすれば、全員食べるスピードがいまだ落ちていない。
「なんだか凄い方もいらっしゃるようでございますね?」
他の冒険者達の食べっぷりに、ハリーヌは驚く。
ハリーヌは食べられるだけ食べるつもりだが、当人は大食いではなく普通の胃の容量の持ち主なので、自分のペースを維持していた。
●残しません
皿の上の料理は無尽蔵とさえ思えたが、終盤に差し掛かると皿の白さをさらしていく。
「そういえば、誰がどれから食べるとか、完食するためにどうするかとか、その辺の打ち合わせとかしなかったな」
バーネットの呟きに、近くで牛肉料理を食していたサフィラが応じる。
「んー、とりあえず目の前にあるお肉を食べ尽くすことしか考えてなかったから適当だねっ!」
サフィラからの答えに、バーネットは口に料理を運ぶ手を止めないまま思案し、結論を出す。
「……まぁ、なんとかなるか」
バーネットは、可能な限りその場で食べることを目指している。
その近くでは、ストレガがそれぞれの肉をバランスよく摂取し続けている。
「豚に関しては量の多さから一番消費せねばなるまい。できる限り消費しようなのだ」
ピュアウォーターで生成した水を使い、食事に見せかけて喉を潤しながら、ストレガは冷静に食す料理の優先順位をつけている。
大会には参加しているものの、ストレガにはこの大会で勝利する気はない。
むしろ今回の料理に使われた食材や調理方法などのほうに、意識が向けられている。
(マジカルポケットを使用し可能な限り限界まで詰め込み、持ち帰って頂く事にするのだ。明日以降に解体してパンにサンドするなりの弁当にするのだ)
既にストレガはマジックポケットを駆使して、料理を食べるフリをしながら懐の布で一つにまとめ、収納していた。
「え、ひとりで5人から10人前っていう想定なのですか?」
ここでリディリディは、大会主催者が1人あたりが食べきれるとみなした食事量を知る。
「あの……遠慮しなくても良いんですよ。もっと出してもらっても良いんですよ?」
などというリディリディの進言もあり、村人達も頑張ったがいまだ手つかずとなっていた肉料理が急遽温めなおされて、冒険者達のもとへ運ばれてくる。
「うっぷ……おなかいっぱいになってきた……」
それまで牛肉料理から攻め、量を稼ごうという作戦をとっていたサフィラも、食べるペースが落ちてきた。
しかし追加の料理にリディリディが手を伸ばすのを見たサフィラは、食べる手を止めない。
「こうなったらあたしもいっぱい食べるんだからっ!」
もはやサフィラは執念でリディリディに対抗し、食べ続ける。
「流石にそろそろ限界か……不本意だが、やるか」
バーネットはマントや手品スキルを駆使して、挙動を隠しながら料理を包み始める。
(一纏めに包んでマジカルポケットに格納だ)
食べるフリをしながら、バーネットは料理を懐の紙に包み、マジカルポケットを駆使し収納する。
「お肉がまだたくさんあるのでございますね! ククッ……」
このころハリーヌはエーテルリンク2も駆使して、同伴していたゴリラに目立つ動きをするよう指示を出していた。
ゴリラが胸を叩く仕草(ドラミング)に大会主催者や観客の注意が向けられる中、ハリーヌは私物と押し通して足元に置いていたバックパックの口を開け、マジカルポケットを駆使して忍ばせていた水袋(大)を取り出し、肉料理を詰め込んでいる。
(今後も食べたいのでこっそり持って帰りたいのです……ぐぬぬう)
この頃にはすさまじい食べっぷりを見せていたミシェも、食べる速度が落ちてきている。
苦し紛れにヒールを使い、何かしらの回復効果は得られなくとも「まだ大丈夫」と自身に言い聞かせたり、ハリーヌのゴリラが観客の注目を集める隙を上手く利用しながら、自身も隠蔽スキルを駆使してマントの下に隠したバックパックに料理を詰め込むなどしていたが、限界は近いようだ。
ここでハリーヌがこれ以上の参加は無理と判断し、棄権を宣言する。
(持ち帰った料理は、いつも泊まっている宿のご主人やお客さんに振る舞って、恩を売るのが良さそうだな)
そんな算段をつけながら、ハリーヌは何食わぬ顔で料理を隠したまま会場観客席側へと移動し、応援に回る。
その間にもミシェが大会主催者達に向け交渉スキルを駆使して、料理の持ち帰り許可を得ようとしていた。
どうやら隠し通すよりは、正直に申請した方がより多く料理を持ち帰ることができるとミシェは判断したらしい。
「これほどおいしいお料理にできるなんて、今日一日ではもったいないのです! ぜひ、ぜひともこれからもおうちで食べさせてください!」
ミシェからすれば、死活問題である。
「後生ですので……! 必ずおいしくいただきますゆえ!」
そして追加の料理を着実に食していたリディリディも、大会主催者に問いかける。
「あの、お土産としてお肉を持ち帰ることってできるのでしょうか?」
リディリディはそれを期待して、バックパックや革袋を持参していた。
大会主催者側からすれば、食い尽くしてくれれば問題はないということなので、持ち帰った料理については当人が責任をもって処理すること、会場で食した量にはカウントされないことを条件に、いずれの持ち帰りも認められることとなった。
果たしてこの大食いを制するのは一体誰なのか?
●ごちそうさまでした
あれだけあった肉料理が全て平らげられたところで、大会主催者側より終了が告げられる。
持ち帰りの許可が下りたことで、残っていた料理も全て食されるか収納され、空になった皿の群れだけがテーブルに積み上げられていた。
最も大量に食べきった猛者に送られる、大食いチャンピオンの称号については審議の結果、同率一位とみなしてサフィラとバーネットの2人が選出される。
しかし他の参加者達も、それぞれの形で料理を食いつくすことに貢献したので、改めて集落の人々は今回依頼に応じてくれた冒険者達全員への称賛と拍手を惜しまなかった。
「このような依頼だったらいつでも呼んでください。すぐに駆け付けることをイェレミースの名において誓いましょう」
リディリディは集落の人達にそんな約束を残し、他の冒険者達と共に帰還していく。
冒険者達はタダで飯が食えた上に、お土産として料理を持ち帰ることができてハッピー。
集落の人達も、食材を無駄にすることなく処分できてハッピー。
こうして誰にも損がない大食い大会は、大きな盛り上がりを見せ無事終了した。
ごちそうさまでした。
ふたたび集落で食べきれない肉が大量に出たとしても、冒険者達がなんとかしてくれるだろう。
――たぶん。
マスターコメント
今回は大食い大会をお楽しみ下さりありがとうございます。
ご参加下さったPC様がそれぞれの形で料理を全て平らげることができるよう努力されたことや、大会を盛り上げることに貢献して下さったので大成功と判定させて頂きました。
このたびはご参加下さりありがとうございました。
また機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオR易しい 報酬:少ない6 / 4〜6人
2021年05月10日 08時23分46秒 公開
大成功
参加者
- イェレミース トゥラ リディリディ
ストレガ・L・リベルガストラ
サフィラ・アズラク・ヴォルファング
バーネット・フォーサイス
ハリーヌ・ヨツユビ
クラリス=ミシェ
相談掲示板
No.1
(もぐもぐ)まだ正式に成立ということではないですが(もぐもぐ)ひとまずさきに(もぐもぐ)ご挨拶だけ(もぐもぐ)でも(もぐもぐ、ごくん)
No.2
大会に参加させて頂きます。 リディリディです。 今回はよろしくお願いします。
(もう食ってる…… バーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 とりあえず……食べられるだけ食べるとするか。
にゃ!お肉が食べれると聞いて参上! サフィラだよっ! ∑ってもう食べてるー!? こうなったらあたしもいっぱい食べるんだからっ!!(対抗してもぐもぐ)
お初にお目にかかりますよー!ミシェと申します! 私、おうちがない身ですのでいつでも腹ぺこなのです、沢山食べられるとなったら来るしかありません・・お肉・・(じゅるり) みんなで美味しく頂きましょうー!よろしくです。
食う側もいける、ストレガなのだ。 とりあえず、消費しようなのだ。
ご挨拶が遅れました。 ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミでございます。 お肉がたくさんあるのでございますね! ククッ…
そういえば、誰がどれから食べるとか、完食するためにどうするかとか、 その辺の打ち合わせとかしなかったな。 ……まぁ、なんとかなるか。
みなさんよろしくです。E当たりの席で豚肉をいっぱい食べようと思っているのです! (今後も食べたいのでこっそり持って帰りたいのです・・・ぐぬぬう)
んー、とりあえず目の前にあるお肉を食べ尽くすことしか考えてなかったから適当だねっ! たぶん、村人(MS)さんが調整してくれるよっ!